地方行政運営研究会第14次公務能率研究部会報告書
「地方自治・新時代における人材確保方策に関する調査研究」の概要 |
| 地方公共団体を取り巻く環境の変化と人材確保に当たっての課題 |
1 労働市場の変化と公務員の採用
職員採用は社会経済情勢の変化の影響を受けやすく、また、民間部門との競争にさらされていることから、各地方公共団体が労働市場の変化を的確に捉えつつ、創意と工夫を凝らして人材確保に努めていかなければならない。
2 地方分権の進展
地方分権の進展に伴い、これまでとは質的に異なる多種多様な分野の能力を持った人材が必要とされるようになってきており、従来のような画一的な競争試験のあり方についても見直されるようになってきている。また、役割が増大する市町村のうち、とりわけ小規模な団体にあっては、他の地方公共団体との協力等により人材の確保に努めることなどが必要とされる。
3 行財政改革の推進
行財政改革は、組織文化・風土の改善や人材育成の面で積極的に対応していくことが重要であるが、民間の経営感覚を持った人間を中途採用するなど、人材確保に際しても十分に留意すべき観点である。
4 高齢化社会への対応、社会資本整備の推進等
高齢化社会への対応、社会資本整備の推進等により、今後、福祉、土木等の分野の専門職に対する需要が確実に増大することが見込まれるが、質・量の両面からいかにしてこうした人材を確保していくかは重要かつ切実な課題である。
1 様々な媒体による採用情報の提供等
- 就職活動に利用する学生が増えていること、いつでも、どこからでもアクセスできる利点があることから、インターネットを活用した採用情報の提供は有効な方法である。
- 公務に適性を持った受験者を増大させるため、各種媒体の積極的な活用や採用された後の生活を受験者が現実的にイメージしやすい情報を加える等、宣伝、広報活動の一層の充実が必要である。
- 特に市町村においては、単独での取組が困難な場合があると考えられるので、市町村職員採用情報誌「地方公務員への道」の活用など、地方公共団体同士が協力、連携して情報発信を行うことが重要である。
2 職員採用実施面での工夫
- 採用試験の共同実施は、採用手続の透明性についての信頼性の向上や幅広い地域からの受験者の確保等により、優秀な人材の確保に資すると考えられる。
- 中途採用を実施する意義としては、組織の活性化など様々なことが考えられるが、導入するに当たっては中途採用者の処遇や昇任管理などいくつかの点に留意する必要がある。
- 新たな行政ニーズや大学教育の多様化等の環境の変化に対応して、試験区分や、問題構成の見直しなど工夫することが必要である。
- 面接試験や成績評価における工夫などにより、筆記試験による学力・知識中心の能力実証から人物評価を重視する判定方法への移行も重要なポイントである。
3 人材の広域・共同確保
- 保健・福祉や土木・建築といった分野の専門職員の確保は大きな課題であるが、小規模市町村を中心に担当職員の事務量が職員一人分に満たない場合などもあることから、都道府県による市町村に対する人材支援、事業団等の設立、都道府県による人材のあっせんなど、地方公共団体が相互に連携、協力し、広域・共同で人材確保の取組を進めていく必要がある。
4 職員派遣の活用
- 地方公共団体間の人事交流は既に幅広く取り組まれているが、従来、派遣される職員の人材の育成や地方公共団体相互の連帯意識の強化という視点が強調されてきた。今後は必要な人材を確保するための一手法であるという側面も重視して、職員派遣を活用していく必要がある。
◇人材確保の着眼点(地方公共団体への提言)
1 求める職員像の明確化
地方分権の推進により、必要とされる職員像が多彩になることが予想される中で、各地方公共団体がそれぞれ求める職員像やその資質・能力などを明確にして人材の確保に努めていくことが重要である。
2 職場の魅力醸成
積極的な取組を奨励するような職場風土への改善や能力・実力主義を基調とした人事管理システムの採用、職員の能力を引き出す人材育成方策の採用等の工夫により、職場の魅力を高めていくとともに、個々の地方公共団体や公務職場全体の魅力についても積極的にPRしていく必要がある。
3 人材確保に対する積極的な取組
労働市場において競争関係にある他の地方公共団体や民間企業の取組状況等にも十分留意しながら、当該団体が真に必要とする人材を確保していくための積極的な取組が求められる。
4 中・長期的な視点での人材確保
退職者が出ることや新規事業に着手することのみをもって直ちに新規採用を行うのではなく、将来の職員の年齢構成のあり方についてのビジョンを持つ等、中・長期的な展望のもとでの慎重な対応が必要とされる。
5 地方公共団体相互の連携・協力
単独の地方公共団体の取組には限度があることから、事務自体の広域での処理についても視野に入れながら、相互に積極的に連携、協力して人材の確保に取り組んでいくことが効果的である。
◇地方公共団体に対する支援方策(国としての支援方策)
1 新たな取組事例の情報提供等
人材確保に関する先進事例や全国的な取組状況などについて情報収集を行うとともに、事例集の作成などを通じて各地方公共団体に対してその内容を適宜フイードバックしていくことが重要である。
2 職員採用情報誌の発行支援
地方公務員人材確保協議会が刊行している市町村職員採用試験情報誌について、掲載団体の増加を図るとともに、配布部数や配布先の拡大、掲載内容の充実を検討すべきである。
3 インターネットを活用した採用情報の提供
自治省のホームページに掲載している職員採用情報について、今後とも情報内容の充実や検索面の工夫など更なる活用へ向けての検討が望まれる。
4 人材育成等アドバイザー制度の創設と活用促進
自治省においては、平成10年度の新規施策として、人材の育成・確保、人事管理に関する地方公共団体の取組を支援するため、専門的な立場から助言、情報提供などを行う人材育成等アドバイザー制度の創設を予定しているが、人材確保の分野に関しても積極的な活用が期待される。
5 地方公共団体人材交流バンクの検討
人材の相互応援をより広域的に行うとともに、人材の有効活用を図るため、地方公共団体相互間における職員交流の斡旋・支援や職員の派遣・受入に関する相談業務などの事業(これを仮に地方公共団体人材交流バンクと呼ぶ。)の実施可能性について、地方公共団体のニーズの有無、既存の法令との関係、事業主体等の面から検討していくことが考えられる。