第2回接続の円滑化に関する特別部会公表資料(国際電信電話株式会社)
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電気通信審議会接続の円滑化に関する特別部会 御説明資料
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平成8年5月15日
国際電信電話株式会社
1.国際通信事業における接続の現状
(1)国際通信の提供形態
「国際通信役務はエンドーエンドで提供」
●国内事業者・外国側事業者のネットワークとの接続によりエンドーエンド
でサービスを提供
●複数の事業者との接続を前提とする事業であるため、技術的条件は概ね勧
告または標準準拠
(2)国内事業者との接続形態
「KDDは国際通信役務の国内伝送業務を国内事業者に委託」
●KDDは、国際通信役務の国内伝送業務を国内事業者に委託
国内事業者とは業務委託契約を締結し、郵政大臣より電気通信事業法第
15条の認可を取得
●接続の形態としては、国内公衆網との接続、専用網との接続がある
(3)国内事業者との接続状況
「NTT以外の国内事業者との接続も積極的に推進」
●NTT
●地域系事業者(TTNet、OMP、CTC、QTNet)
●中継系事業者(JT、TWJ、DDI)
●移動体事業者(IDO、NTTドコモ、DDIセルラー、デジタルホン、
ツーカーセルラー、デジタルツーカー)
●衛星系事業者(SCC)
(4)事業者支払費の実績
「事業者支払費は、ネットワークの効率化等により年々削減
全支払費に占めるNTT支払費の割合は、徐々に低下しているものの依然高
い」
(5)わが国の国際通信における接続の特徴
「国際通信には内外事業者との接続が必須。接続面で公正競争を阻害するおそ
れはない」
a)他事業者との網接続を前提とした事業
●内外事業者との円滑な接続に努力し、高品質のサービスを安定的に提供
b)ボトルネック設備を有していない
●接続面で公正競争を阻害するおそれはない
●国内各事業者との接続を積極的に推進
→国際通信事業者への接続の義務付けは不要
c)国内部分におけるNTTへの依存度は極めて大きい
●国内通信コストの削減が、国際通信料金の一層の低廉化と国際競争力の強
化(国際的な価格競争への対応、ハブ化の推進)のために重要
2.NTT電話網との接続の現状
(1)接続形態
「NTT電話網とはSZC階梯で接続、SZCと同一MAまでは直営伝送路を
設定」
●KDD網とNTT網とはSZC階梯で接続(現在東京、大阪、名古屋の3
カ所で接続)
●SZCと対向するKDD局は、SZCと同一MA内にあり、国際中継交換
機(INTS)から直営伝送路を設定
●SZC〜KDD局間には通話接続用伝送路をKDDの負担により設定
●授受点の新設、新規サービスの接続等に伴いNTT網の改造が必要な場合
は、KDDがNTTに対して網改造を依頼し、これに関わる費用をKDD
が負担
(2)費用負担
「端末〜KDD局間の国内伝送に関わるコストは、全てKDDが負担」
●網使用料
・NTT事業部別収支をもとに平均費用方式で算定
・事業者が負担する必要のないコストを控除した事業者料金
・端末別、距離段階別の料金を設定
・料金体系は今年度よりセットアップ料金+1秒当たり料金
(従来は〇〇秒/10円)
●網改造に関わる費用
・接続に伴うNTT網の改造費用(ソフト費、ハード費等)は全てKDD
が負担
・創設費をベースに年経費を算定
●伝送路に関わる費用
・伝送路使用料(中継伝送路、通話接続用伝送路、端末伝送路)について
は約款相当額を負担
(3)協議方法
「NTTとの接続に関わる協議手順はNTT/国内事業者間の相互接続と同様」
●網使用料
・前年度のNTT事業部別収支確定後、NTTより料金案の提示を受け交
渉を開始。提示は国内中継系事業者との交渉が決着後
・当該年度の年度末までに合意し、年度当初に遡及適用
●網改造に関わる費用
・NTTが策定した「相互接続ガイドブック」に則って協議(国内の相互
接続と同様の取扱い)
●伝送路使用料
・伝送路使用料については、約款相当額と整理されている
3.NTT網との接続に関する提言
(1)接続形態
「柔軟な接続形態の実現により、経済的・効率的なネットワーク構築が可能」
●委託伝送路による授受点の拡大
・委託伝送路による授受も可能とすることにより迅速かつ柔軟にネットワ
ークの構築が可能(従来は直営伝送路の建設により授受点を拡大)
●接続階梯の多様化
・国際トラヒックの多いZC・GCとの接続とSZC接続の混在を可能と
することにより最適な接続構成の実現(従来はSZC接続のみ)
(2)費用負担
「費用負担方法の見直しによる、国内網コストの低廉化」
●費用算定方法の見直し
・網使用料の算定においてトラヒックの疎通のために追加的に発生するコ
ストのみを負担する増分費用方式を導入
・伝送路使用料において営業費用等を控除した事業者料金を設定
・接続に関わる通話接続用伝送路使用料等の相互負担
●支払方法の柔軟化
・網改造に関わる費用を一時金と年経費とで負担する方法等の導入による
支払方法の多様化
●透明性の確保
・費用の算定範囲、算定根拠となるデータ等の一層の開示
(3)協議方法
「接続事業者の増加に伴い、全事業者に公平な協議手順の枠組みが必要」
●網使用料の協議方法の改善
・今後移動体事業者、地域系事業者等協議を行う事業者が増えることから
全事業者共通の問題の協議方法に関する新たな枠組み作りが必要
●網改造に関わる接続協議の迅速化、柔軟化
・接続協議期間の短縮
・網改造タイミング(年1〜2回)の拡大
・網改造に要する期間(標準2年)の短縮
(4)技術的条件
「接続の柔軟性・迅速性の向上」
●技術的条件に関わる柔軟性の確保
・事業者間接続を迅速に実施するため拡張性を考慮した網間インタフェー
ス・設備資源の準備
・各事業者が個別に要望する網改造に対する機動的な対応
●技術情報授受の円滑化
・新規・既存の網間接続に関する技術情報の開示
・管路、局舎スペース等の設備資源情報の開示
●ネットワークオープン化の早期具体化
・各接続階梯の機能・技術的接続条件の明確化
4.接続規制の在り方
「「公正競争」と「自由競争」をともに促進するルールの確立」
*各事業者とも、サービス提供上ボトルネック事業者との接続は不可欠
*市場活性化のための事業者の自由競争の確保
↓
●独占的なボトルネック事業者に対する接続ルールの確立
・ネットワークオープン化の明確化
・費用負担の在り方の検討
・「迅速な接続」の実現に向けた枠組み作り
・接続に係る技術的条件の柔軟性・透明性の確保
↓
公正有効競争の進展、相互接続の促進
↓
サービスの多様化・低廉化を促進し、ユーザーの選択の範囲を拡大
以 上