第4回接続の円滑化に関する特別部会公表資料(日本電信電話株式会社
平成8年 6月12日
日本電信電話株式会社
NTTは、ディジタル化の進展を踏まえ、ネットワークのオープン化を公表し
て以来、競争の促進に向けて、相互接続の推進に積極的に取り組んでいるところ
であります。
NTTとしては、さらに、ユーザの利便向上、株主の利益、経営の自主性等の
観点を踏まえ、接続の基本ルールについて基本的に次のように考えています。
1.接続の円滑化のためにルール化が必要であると考えており、NTTとして
は、合理的な接続料金を前提に、全ての事業者に対し公平に接続していきま
す。
2.ネットワークの特性を勘案すると、相互接続は全事業者間で行うこととな
りますが、接続ルールは全ての第一種電気通信事業者に適用される仕組みと
なるよう要望します。
3.ルールに関する法律上の規定は極力少なくし、事業者が約款上記載するこ
とにより、ルール化の実現が図れるよう要望します。
4.会計規則・通達の内容については、ユーザサービスにかかる収支との表裏
一体性及び接続に必要な費用負担の妥当性が担保される限度で極力簡潔なも
のとなるよう要望します。
5.接続に関する情報は積極的に開示していきます。
6.その他の項目についても、事業者間で既に実施もしくは検討中の方式をベ
ースとするよう要望します。
なお、ルールの公正・中立性を確保するため、事業者間の調整等を行う第
三者機関の設置を要望します。
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1.接続の円滑化のために、ルール化が必要であると考えており、合理的な接続
料金を前提に、全ての事業者に対し、公平に接続していきます。
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NTTは、ディジタル化の進展を踏まえ、平成7年2月、ネットワークのオ
ープン化の方針を公表し、以来、その推進に積極的に取り組んでおり、様々な
接続形態が出てきています。
しかし、他事業者との接続において、NTTとして従来からルール化に取り
組んできたものの、しばしば協議が難航する場合が生じており、今後、相互接
続の一層の円滑化を図り、ユーザ利便の向上を促進するためには、公正・中立
な接続ルールの明確化が必要と考えます。
NTTとしては、次の項目を前提に、合理的な理由がある場合を除き、公平
に接続していきます。
・適正な費用負担を条件とし、接続料金は適正な報酬を含めたコストベース
であること。
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2.ネットワークの特性を勘案すると、相互接続は全事業者間で行うこととなり
ますが、接続ルールは、全ての第一種電気通信事業者に適用される仕組みとな
るよう要望します。
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電気通信は、本来、ネットワークの相互接続により、その効用やユーザの利
便が飛躍的に向上するという性格を有しております。今後の接続形態の多様化
を考えれば、全ての事業者が、接続条件・料金を公表し、新たに接続を希望す
る事業者に対して公平な接続の機会を確保しておくことが望ましいと考えてい
ます。
相互接続は、ユーザ利便の向上を図る視点に立ち、第一種、第二種を含む全
ての事業者間で行うこととなりますが、接続ルールの適用対象については、サ
ービスの提供形態を踏まえ、基本的に、全ての第一種電気通信事業者とされる
よう要望します。
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3.ルールに関する法律上の規定は極力少なくし、事業者が約款上記載すること
により、ルール化の実現が図れるよう要望します。
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(1) 接続ルールは、事業者の自主性及び議論の透明性の確保に配慮して、検
討、策定し、ルール化は、接続協議の円滑化に、必要最小限の基本的なも
のに限定されるよう要望します。
(2) NTTとしては、基本的接続条件について、料金表・約款化していきま
す。
(a)基本的に、全ての第一種電気通信事業者が接続条件を料金表・約款の形
で公表。
(b)料金表・約款に規定する内容は、標準的な接続パターンにおける基本的
事項に限定。
(c)新たな接続パターンが出てきた場合でも、標準化できるものは最大限料
金表・約款に取込。
(d)接続料金については、定められた会計基準に則り、社内外同一水準で設
定。
(3) 競争下においても、NTTの信頼性のあるネットワークを運営していく
ためには、効率的なネットワークの構築・運用と同時に、必要なコストに
ついて回収できる仕組みが不可欠であると考えています。
接続料金に増分コストを導入するか否かについては、英米においても議
論されている最中であり、定義の明確化、ユーザ料金との関係の整理等を
行った上で、論議する必要があると考えます。
(4) 現在ユーザ料金で費用が回収できていないサービスの赤字部分の費用負
担方法についても、明確なルール化がなされることを要望します。
(5) 接続料金を幅の中で算出できるような弾力的な算定方法のルール化を要
望します。
(6) 料金表、約款の決定手続については、第三者機関へのファイリング方式
とされるよう要望します。
米英における長期増分コストに関する議論
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米国における議論
1.長距離通話の足回り料金
増分コストの適用に向けての具体的動きなし。
2.市内接続料金
(1)新通信法以前
BOCと競争的市内電話会社との間について、一部の州で長期増分コ
スト又はそれに近い相互接続料金を適用。
(2)新通信法
市内電話会社間の相互補償コストは着信のAdditional
Costの妥当な概算値に基づき決定。
1996.8月 FCC規則を策定予定
英国における議論
1.現在の相互接続料金
全部配賦コストにより設定。
2.議論の経緯
1994. 3月 長期的問題として、相互接続料金の基礎として長期増分
コストを使用することを検討。
1995. 7月 1997年8月以降の相互接続料金の算定方法として検討。
1995.12月 OFTEL諮問
・相互接続料金へもプライスキャップ導入。
・ネットワーク要素ごとの料金について幅規制。
上限:スタンドアローンコスト
下限:長期増分コスト
1996. 2月 BT回答
・長期増分コストは理論上のメリットはあるが、実際の適用は
困難。
・ボトムアップ(理論的モデルから算出)ではなく、トップダ
ウン(実際のBTのコストから算定)に基づくべき。
1996. 3月 OFTEL諮問 提案継続
1996. 6月 OFTELによる非公式提案
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4.会計規則・通達の内容については、ユーザサービスにかかる収支との表裏一
体性及び接続に必要な費用負担の妥当性が担保される限度で極力簡潔なものと
なるよう要望します。
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(1) 接続に関する会計方法・基準について、公正・中立なルールの明確化が
必要であると考えます。
[留意する必要がある点]
(a)会計基準の適用対象は、基本的に全ての第一種電気通信事業者。
(b)接続に関する会計基準は、ユーザサービスにかかる収支と表裏一体の
関係にあること等も勘案し、現在の役務別収支・市内外収支と同様の体
系。
(c)接続に必要な費用の範囲及び分計の方法等については、妥当性の担保
のために必要な基本的考え方・基準について規定。
(d)設備に関連する費用の把握単位については、市内交換機(GC)、市
外交換機(ZC)、伝送路(GC〜ZC)程度の区分が適当。
(e)会計基準に則り会計を整理し、その結果については公認会計士のチェ
ックを受け、一般に開示。
(f)具体的な会計規則及び通達等の決定に当たっては、事業者の意見・要
望に十分配意。
(2) 事業部収支は、接続に関する会計の導入に応じてその位置づけを整理す
る必要があると考えます。
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5.接続に関する情報は積極的に開示していきます。
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(1) ネットワークをオープン化し、公平な接続を推進していくため、接続に
必要な情報は積極的に開示していく考えです。
(2) 接続料金は、料金算定のルールに基づき事業者が算定し料金表・約款を
定めることとし、そのファイリングに際しては、必要な根拠資料を提出す
ることにします。
なお、接続料金算定に関する情報の一般への閲覧に当たっては、企業と
して当然保護すべき株主の利益等の観点から、商法等の一般的な開示と同
程度が妥当であると考えております。
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6.その他の項目についても、事業者間で既に実施もしくは検討中の方式をベー
スとするよう要望します。
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接続の技術的条件
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接続約款の中に技術的条件を規定することは、必要な事項と考えますが、詳
細まで規定すると、技術の進歩等による変更に迅速に対応できないという問題
があります。
したがって、接続約款に定める内容は、標準的接続パターンの基本的内容と
し、詳細な技術的条件については、TTC標準に準拠しNTTが作成する技術
資料に記載することとしたいと考えます。
局舎・電柱・管路等の使用
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(1) 接続のため最低限必要となる局舎・電柱・管路等については、基本的
に提供していきます。
(2) 局舎等の提供については、法律ではその使用に当たって遵守すべき事
項を接続約款の中に規定するようにすることを要望します。また、局状
により区々となる電力、空調等の提供条件は、個別に検討することとし
ます。
(3) 具体的な局舎・電柱・管路等の選定、局舎に設置される相手事業者の
設備の建設、保守方法についてはケースごとに異なることから、料金表
ではその料金の算定方法を規定する考えです。
(4) なお、接続のために最低限必要となるもの以外の場合においても、具
体的な設備の空き状況を勘案しつつ、個々に話し合いに応じていきます。
また、局舎の建設計画については、設備の移設等他事業者への影響を
勘案し、計画を明らかにしていくこととします。管路については、共同
施工の推進の観点から、行政主催の道路調整会議の場を通じて、工事計
画を調整しており、さらに今後、関係事業者と工事計画について協議す
る場を設定することも考えています。
(5) 局舎の賃貸借に当たり、現行法下で借り手側に発生する権利のあり方
についても、論議する必要があると考えます
番号ポータビリティ
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平成7年4月、ネットワークのオープン化個別13項目の一つとして発表し
ているところであり、その実現に向けて協力していく考えです。
ルール化に当たっては、次の論点の整理が必要です。
(1) 番号ポータビリティのエリア(範囲)
(2) 事業者間双方向性(例えばNTTから他事業者への番号ポータビリテ
ィだけでなく、他事 業者からNTTへの番号ポータビリティもできる
ようにする。)
(3) 番号管理の方法
(4) 相互接続性とユーザ料金・事業者間料金精算
・例えば加入者がNTTから他事業者に移行した場合
(a)相互接続性の確保(特に国際着信、移動体系からの着信など)
(b)その場合のユーザ料金、事業者間料金精算
(5) 技術条件(実現方式)
(6) 費用負担の方法
内容の検討に当たっては、技術の進歩が早いことを考慮し、技術的な制約を
設けないよう配意する必要があります。
網機能提供計画の開示
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網機能提供計画については、現在、接続条件に影響を及ぼす可能性のある網
機能の追加、変更について、自主的に開示してきているところであります。
(1) 網機能提供計画のルール化に当たっては、現在のNTTと他事業者間
のルールをベースとするよう要望します。
(現在のNTTと他事業者間のルール)
(a)開示内容:網機能の追加・変更の概要及び開発着手予定時期等
(b)開示時期:開発着手の概ね半年前
(c)開示方法:官報公示及び公示後説明会の実施
開示例:ダイヤル番号通知機能、フリーダイヤル番号通知機能、呼び返し
機能、応答後転送機能等
※なお、NTT網との接続に必要な標準的なインタフェースも順次開示し
ています。
(2) 網機能提供計画で開示した網機能については、
(a)当該事業者の費用負担で追加・変更する場合
他事業者の意見は誠実に伺いつつも、その意見を開示した網機能に
反映させるか否かの最終的な判断は、当該事業者に委ねられるべきも
のと考えます。
(b)他事業者から、自らの費用負担での網機能の追加・変更を要望された
場合
その手続きが制度化されたときは、これに従い、網機能の追加・変
更を行います。
優先接続
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優先接続(イコールアクセス)については、今後、競争が多様化していく中
で、現在のLCR方式を使った競争方式の是非も含め、論議を行う必要がある
と考えます。
ユーザが長距離事業者を予め指定することにより、長距離系事業者網を選択
するために必要な事業者番号のダイヤルを不要とする優先接続方式について、
他事業者からの要望があれば、具体的な条件整備に関して関係者間で導入に向
けて検討していく考えであり、従来からこの考え方は表明してきております。
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なお、ルールの公正・中立性を確保するため、事業者間の調整等を行う第三者
機関の設置を要望します。
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具体的な接続ルールの策定及びその遵守状況の監視についてどのような組織
が望ましいか併せて論議されるとともに、裁定の具体的手順、審査基準の明確
化も図られるよう要望します。
第三者機関は、通信事業に係わる政策立案機関から独立した中立的な公的機
関とし、
○ 接続ルールは、第三者機関で策定・運用
○ 接続条件は、第三者機関へのファイリングにより決定
○ 協議不調の場合は、第三者機関で、オープンかつ明確な手順・基準によ
り調整を実施