電気通信審議会接続の円滑化に関する特別部会第4回会合議事要旨






1 日時
  平成8年6月12日(水) 午後2時〜4時10分

2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者
 (1)特別部会
   ア 委員・臨時委員
     増澤高雄(部会長)、舟田正之(部会長代理)、篠原滋子、園山重道、
    月尾嘉男、百崎英

   イ 専門委員
     相田仁、青井浩也、浅野正一郎、伊東晋、井上伸雄、佐藤治正、
    関口博正、醍醐聰、手塚仙夫、東海幹夫、三谷政昭

 (2)事務局
    佐村知子審議会室長

 (3)郵政省
    五十嵐三津雄電気通信局長 他

4 議題
  関係者からのヒアリング
   ア 株式会社タイタス・コミュニケーションズ 木暮社長
   イ 日本電信電話株式会社 澤田副社長
  討議

5 模様
  関係者からのヒアリングの後、次のような質疑応答があった。

 (1)株式会社タイタス・コミュニケーションズ 木暮社長

  ア 発信側、中継、着信側の3事業者がある場合、隣接する事業者2者間、
   発信側と中継の契約で接続できるのではないかとのことだが、その場合、
   着信呼を保証し、着信側のコストをカバーするような契約はどのようにつ
   くるのかとの質問があり、以下の回答があった。

   ・ 中継事業者と着信側の事業者との間で取り交わされる条件を発信側の
    事業者が受け継ぎ、仮に中継事業者が着信側にアクセスチャージを払っ
    ている場合には、発信側の事業者が中継事業者に、アクセスチャージと
    同額のものと中継事業者のマージンを支払うという形でカバーできるの
    ではないかと考える。ただし移動体系の場合に、料金設定が通常の場合
    と違うケースがあるので、その場合についてはほかに解決策がないか検
    討しているところである。
    これに対し、このやり方については他のNCCと打ち合わせを行ったこ
   とはあるかとの質問があり、他のNCCと協議したことはないとの回答が
   あった。

  イ 相互接続を義務付けるポイントに関して施設ベースのポイントではない
   とは具体的にどのような趣旨かとの質問があり、以下の回答があった。

   ・ 施設といった物理的な接続のポイントという考え方よりも、電気的、
    論理的なインタフェースのポイントが存在するところということで考え
    るべきではないかという見方を示したものである。例えば、電気的、論
    理的なインタフェースには、共通線信号方式といったものも含まれる。
    また、交換機の中継線側、加入者線側、MDF、管路といった物理的な
    区切りで接続を義務付け、しかもそれを新規事業者にも同様に義務付け
    るということは、実際のニーズに合わないと考えている。

  ウ 市内交換機と中継交換機のどちらに接続を希望しているのかとの質問が
   あり、両方に接続を希望するとの回答があった。

 (2)日本電信電話株式会社 澤田副社長

  ア 接続料金の中で交換機のソフトウェアの費用は現在どのように扱われて
   いるのかとの質問があり、以下のような回答があった。

   ・ 共通的にNTTのネットワークを使うことについてはアクセスチャー
    ジでやっているが、ネットワークのソフトウェア開発費用もその中に入
    ってきている。また、特別にある設備をおく場合に個別に費用をいただ
    いている。

  イ すべての第一種電気通信事業者に適用されるような接続ルールを作ると
   すると各事業者において必要になったソフト改造費をそれぞれ請求すべき
   なのかどうか、接続のためにNTTにかかるソフト改造費用はNTTが負
   担すべきではないかとの質問があり、以下の回答があった。

   ・ どんなルールを作っても結果的には顧客から料金をいただいて事業を
    運営するわけであり、料金を決めた事業者が顧客から料金をいただき、
    接続のための費用をほかの事業者に払うということだと思っている。N
    TTが便益を受けるものであればNTTが負担すべきものであるが、N
    TTのユーザーが他の事業者の費用まで負担するのは変であり、その点
    はきちっとしておかなければならない。

  ウ NTTが発信電話番号通知サービスを提供するに当たっては、中継のN
   CC側のソフトの改造費用も必要になるが、協議の結果それぞれ自分のと
   ころの改造費用は自分で負担することになったと伺っているが、NTTの
   利用者のためのサービスであり、それをNCCに持たせるというのは上記
   発言に反するのではないかとの質問があり、以下の回答があった。

   ・ NTTのローカルネットワークの改造費はNTTのローカルの契約者
    から付加料でいただくが、NCCの回線を通る場合にそのためのソフト
    改造費用等をどう回収するかは、NCCに料金回収手段があるので、そ
    ちらの方で対応してもらうということだと思う。

  エ ユーザー料金で回収できていないサービスの赤字部分の費用負担につい
   て明確なルール化がなされることを要望していることについて、現在番号
   案内について赤字補填が行われているが、番号案内以外のサービスについ
   て検討してほしいとの趣旨かとの質問があり、以下の回答があった。

   ・ 加入者回線にかかる部分は実際NCCの通話はそこを通っているが、
    そこのコストはいただいておらず、基本的にはユーザーからその分をい
    ただくということであるが、残念ながらそこのところはまだ赤字であり、
    そこの赤字のコストの負担についてルール化していただきたいとの趣旨
    である。

  オ これに対し、NTTがユニバーサルサービス的な義務を負っていて、そ
   の点を何らかの形で分担してもらいたいというロジックかと思うが、NT
   Tがワン・オブ・ゼムという形で位置づけられるのであれば、各事業者が
   自分の赤字を接続申込者に対して請求するのか、それはお互い自ら負うリ
   スクではないかとの質問があり、以下の回答があった。

   ・ NTTが担っているユニバーサルサービスは当然やっていかなければ
    ならないと思っている。米国でもユニバーサルサービスの問題はきちっ
    と議論して整理をしており、そういうことは当然必要である。ここで書
    いているのは、そういうことではなくて、実際に使っているんだけれど
    もそのコストをいただいてない部分があるので議論させていただいてい
    るということである。

  カ 接続に要する期間等について、次の質問があった。

   1.手続上の問題で期間が長くなっているのではないかという問題につい
    て、今後どう短縮することを考えているのか。

   2.外国の交換機は、すべての交換機に対してダウンロードを行うネット
    ワーク化やソフトウェアのモジュール化が行われているため、ソフトウ
    ェアの改修や機能の追加が短期間でコストがかからない形でできており、
    こういう種類のネットワークアーキテクチャーが導入されなければなら
    ないと思うが、それについてどのように計画しているか。

   3.ネットワークのオープン化は結局は全国民が利益を受けることであり、
    短期的に接続する事業者が負担できない部分については、NTTが負担
    するということになったとしても、長期的には国民全体が利益を受ける
    ことであり、正当化されるのではないか。

  これに対し、以下の回答があった。

   1.料金その他の問題については、料金表作成・約款化により条件をオー
    プン化することによりスピードが上がると考えている。

   2.現状は開発を始めて約2年かかっているが、今言われたようなダウン
    ロードを行うとか、センターから一括でファイルを取りかえるというよ
    うなことを逐次入れており、見込みがたったことから、3ヶ月、あるい
    は6ヶ月の2段階で短縮化を実現できるとの見通しを得ている。それで
    もまだ1年半かかるわけだが諸外国の例からしても十分ご理解が得られ
    る範囲ではないかと思っている。

   3.費用の回収は、費用が回収できる手段を持っている事業者がユーザー
    から回収すべきであり、回収手段がない事業者は、相手の事業者を通じ
    て回収するしか方法はないと思う。ある事業者の利用者からNTTの利
    用者に通話がかかってくる場合、NTTの利用者にとっても利便は向上
    しているといえるかもしれないが、今の料金は発信者から徴収すること
    でずっと来ており、着信者の利便が増えたからといって着信者からその
    分のコストを取っているわけではないので、ユーザーから料金をいただ
    ける事業者がそのコストを回収するというのが接続の基本的なルールだ
    と思う。

  キ 研究開発について、実用研究的なものは商業化されて回収されるもので
   あり、ユニバーサルサービスの責務として行う基礎的な研究について、そ
   れが責務だと立証できる、納得できるような内容を開示する必要があるの
   ではないか、また、内外の調達コストに差があるのか、ないのか、あるの
   ならどれぐらいあるのかについて何らかの形で資料を出さないと透明な接
   続料金が決まることにはならないのではないか、との質問があり、以下の
   回答があった。

   ・ 可能なものについては開示しているが、企業としてある程度の限界は
    ある。企業秘密になるような部分についてはやはりちょっと出せないも
    のもあると思うが、技術開発については、研究開発、成果の発表という
    形で発表しており、研究開発の公開、研究レポートの発表等、できるだ
    けのものは開示している。


  (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)