説明会・イベント

「「関係人口」創出事業」最終報告会 開催レポート

「「関係人口」創出事業」最終報告会の開催の様子をレポートします。

1.開催概要

2019年2月19日、総務省の「「関係人口」創出事業」モデル事業の最終報告会を、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにおいて開催しました。 最終報告会では、モデル事業を実施する30のモデル団体が一堂に会して、本事業の成果発表を行うとともに、 モデル団体と関係人口の創出に関心のある地方公共団体や事業者との情報交換の場として交流会を実施しました。


当日はモデル団体に加えて全国各地から約170名の方々が参加され、モデル団体の成果発表や有識者の言葉に熱心に耳を傾けられていました。交流会においても、モデル団体と参加者による活発な意見交換がなされ、関係人口に対する関心の高さが伺われました。


2.最終報告会の内容

【開会挨拶・概要説明】

報告会の冒頭で、主催者である総務省 地域自立応援課から、開会挨拶および「「関係人口」創出事業」の背景や概要についての説明がありました。



(総務省地域力創造グループ地域自立応援課 御給課長による開会挨拶)

【モデル団体の成果発表】

成果発表は、各モデル事業が関係人口としてターゲットとする方の属性に応じて分類した、3パターンの取組ごとに会場を設けて実施しました。各会場では、アドバイザリーボードとして地域づくりや地域の人材育成等の有識者をお呼びし、モデル事業に対するアドバイスや総括的な講評をいただきました。
次に、各会場の成果発表の様子を紹介します。


【会場①】

主に、パターン(1)① 「その地域にルーツがある者等を対象に関係人口を募る仕組みを設け、地域と継続的なつながりを持つ機会を提供する取組」を発表。


○アドバイザリーボード

公益社団法人中越防災安全推進機構 業務執行理事統括本部長  
稲垣 文彦 氏  

徳島大学大学院社会産業理工学研究部 准教授  
田口 太郎 氏


○モデル団体(取組パターン)※発表順

① 北海道等(パターン(1)①)

② 北海道夕張市(パターン(1)①)

③ 岩手県住田町(パターン(1)①)

④ 秋田県鹿角市(パターン(1)①)

⑤ 新潟県柏崎市(パターン(1)①)

⑥ 長野県泰阜村(パターン(1)①)

⑦ 岐阜県郡上市(パターン(1)①)

⑧ 三重県等(パターン(1)①)

⑨ 鳥取県日野町(パターン(1)①)

⑩ 香川県三木町(パターン(1)①)


取組パターン(1)①では、地域にルーツがある者を関係人口のターゲットとして設定し、地域に愛着あるファンを広く募集する取組や、 地域でのフィールドワークの取組により、地域課題の担い手を育成する事業等が紹介されました。


アドバイザリーボードである公益社団法人中越防災安全推進機構 稲垣文彦 業務執行理事統括本部長からは、 「関係人口の取組は、地域と都会両方が成長するwin-winの関係が重要で、地域に関わる都会の方とそれを受け入れる地域の方一人一人の声に耳を傾ける必要がある。」 との講評をいただきました。


また、徳島大学大学院社会産業理工学研究部 田口太郎 准教授からは、 「①各自治体の管轄範囲を超えて、人々の生活レベルに密着した関係人口事業を考える必要がある、 ②関係人口の取組は、20年、30年かけて成果が見える取組であり、本モデル事業を契機に各団体とも取組を継続してほしい、 ③地域の新しいファンを地域に呼び込むことも大事だが、目立たないながらも既に地域を支えている地域外の方々が今後も継続的に地域に関わり続けれられるような仕組み作りが必要である。」 との講評とともに、「今年度のモデル事業から得られた結果を元に、地域が関係人口に関連する事業に継続的に取り組むことで、人々が地域に関わる仕組みが生まれて、日本の暮らしは良くなるはずである。」 との話をいただきました。



【会場②】

主に、パターン(1)② 「ふるさと納税の寄附者に対して地域と継続的なつながりを持つ機会を提供する取組」を発表。


○アドバイザリーボード

明治大学農学部教授
小田切 徳美 氏


○モデル団体(取組パターン)※発表順

① 愛媛県西条市(パターン(1)①)

② 福岡県うきは市(パターン(1)①)

③ 鹿児島県肝付町 (パターン(1)①)

④ 北海道上士幌町 (パターン(1)②)

⑤ 北海道標茶市(パターン(1)②)

⑥ 岩手県花巻市(パターン(1)②)

⑦ 秋田県横手市(パターン(1)①②)

⑧ 山形県最上町(パターン(1)②)

⑨ 福島県天栄村(パターン(1)①②)

⑩ 新潟県等(パターン(1)②)


取組パターン(1)②では、ふるさと納税の寄附者を関係人口のターゲットとして設定し、ふるさと納税者と地域課題とのマッチング等、 購買者としてのふるさと納税者から、地域課題の担い手として地域への関わり度合いを深める取組等が紹介されました。


アドバイザリーボードである、明治大学農学部 小田切徳美 教授からは、「ふるさと納税は関わりの階段の重要な一段であり、 ふるさと納税の関係人口論的運用という意味で、階段としてどのように使うのかということを再認識した。」との話をいただきました。 また、全体の総括として、「関係人口の取組においては、①行政組織の中ではプロジェクトチームといった横串的な組織によって、 関心・関与の関わりの階段を一段一段政策部局が担当する必要がある、②関係人口と定住人口が関わることで、 両者が元気になる循環が必要である、③関係人口のKPIとして、人口×質について議論が必要である」との講評をいただきました。



【会場③】

主に、パターン(2) 「スキルや知見を有する都市部の人材等が、地域において地方公共団体と協働して実践活動等に取り組むことなどにより、都市部で暮らしながら、地域課題の解決等に継続的に関わるきっかけを提供する取組」を発表。


○アドバイザリーボード

公益社団法人中越防災安全推進機構 業務執行理事統括本部長
稲垣 文彦 氏

特定非営利活動法人ETIC. 代表理事
宮城 治男 氏


○モデル団体(取組パターン)※発表順

① 長野県等(パターン(2)

② 岩手県等(パターン(2)

③ 富山県南砺市(パターン(2)

④ 福井県等(パターン(2)

⑤ 熊本県天草市(パターン(1)①②)

⑥ 島根県益田市等(パターン(2)

⑦ 島根県邑南町(パターン(2)

⑧ 広島県福山市(パターン(2)

⑨ 徳島県等(パターン(2)

⑩ 熊本県南小国町(パターン(2)


取組パターン(2)では、多様なスキルや知見を持つ都市部の方々とともに、地域課題の掘り起こしから、 都市部の方と地域課題とのマッチング、また地域での事業実践活動等、様々な形で地域課題にアプローチする取組が紹介されました。


アドバイザリーボードである、公益社団法人中越防災安全推進機構 稲垣 文彦 業務執行理事統括本部長からは、 「①都市部の関係人口が地域に入り、気付きを得ることも大事だが、関係人口を受け入れる側の思いやその思いの変化も重要である、 ②事業に参加する都市部の方々との濃密な関係性を大事にしてほしい。」との講評をいただきました。 また、特定非営利活動法人ETIC.  宮城 治男 代表理事からは、 「①関係人口創出事業に対しては、事業に向き合う目的や事業の位置づけをしっかり考える必要がある、 ②地域に対する熱い思いを持った人々で構成される基盤や体制が必要であり、またそのような方々を地域で育む必要がある。」 との講評とともに、各モデル団体への労いと今後の関係人口創出事業への期待の言葉をいただきました。



【交流会】

成果発表会の後、モデル団体と一般参加者の方々との交流会を開催し、モデル団体の成果発表を踏まえた意見交換を実施しました。 交流会にはアドバイザリーボードも参加したことで、より有意義な交流会や意見交換の場になりました。

以上