平成17年度総務省政策評価会(第4回)議事録


  1.  日時:平成18年1月12日(木)1000分〜1200

  2.  場所:総務省8階 第一特別会議室

  3.  出席者:
     
    中邨 章 明治大学大学院長
    青木 國太郎 東京都日の出町長
    荒巻 禎一 前京都府知事
    上山 信一 慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
    大住 莊四郎    関東学院大学経済学部教授
    小澤 浩子 赤羽消防団団本部分団長
    北大路 信郷 明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
    多賀谷 一照 千葉大学法経学部教授
    滝澤 光樹 株式会社インテック取締役 CTO 執行役員専務
      情報セキュリティ担当 技術・営業統括本部長
    武田 安正 アクセンチュア株式会社官公庁本部統括パートナー
    増田 昌三 高松市長
    総務省出席者】
    森大臣官房長、阪本大臣官房政策評価審議官、若生大臣官房参事官、
    井筒大臣官房会計課長、武内大臣官房企画課長、
    野上大臣官房政策評価広報課長、明渡大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1 )「政策評価に関する基本方針の改定」等について
    (2 )「平成18年度に総務省において実施する主要な政策ごとの目標設定等について(平成18年度目標設定表)」について
    (3 )今後の政策評価の取組について
    (4 )その他

  5.  配布資料(PDF)
     
    資料1 政策評価制度に関する見直しについて
    資料2 政策評価に関する基本方針の改定について
    資料3 政策評価の実施に関するガイドライン
    資料4− 1 行政改革の重要方針(抄)
    2 平成18年度予算編成の基本方針(抄)
    3 平成18年次会計検査の基本方針(抄)
    4 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(抄)
    資料5 平成18年度政策評価の進め方について(想定日程)
    資料6 基本方針の改定等を踏まえた総務省の課題等について
    資料7 過去の評価会における意見
    参考資料]
    参考資料1  広報誌「総務省」平成1712月号
    参考資料2  平成17年度総務省政策評価会構成委員(PDF)

  6.  議事録

    【野上政評課長】 本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。政策評価広報課長の野上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     まず初めに、前回6月の評価会以降の総務省幹部の異動につきましてご紹介いたします。
     大臣官房長、森清。
     大臣官房政策評価審議官、阪本和道。
     大臣官房参事官、若生俊彦。
     大臣官房会計課長、井筒郁夫。
     大臣官房企画課長、武内信博。
     大臣官房政策評価広報課企画官、明渡将。
     以上でございます。
     また、このたびから新しく本評価会にご参加いただくことになりました委員をご紹介いたします。
     これまでご尽力いただきました北海道上磯町長の海老澤順三様にかわりまして、新しくご参加いただきます、東京都日の出町長の青木國太郎様でございます。
    【青木委員】 よろしくお願いします。
    【野上政評課長】 なお本日は、國井様、城山様がご欠席となっております。
     それでは、議事に先立ちまして、森官房長からごあいさつ申し上げます。
    【森官房長】 おはようございます。明けましておめでとうございます。本日の評価会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
     まず、昨年6月までの政策評価会でご議論いただき、作成いたしました実績評価書につきましては、おかげさまで7月15日に公表することができました。皆様には多大なご尽力を賜り、重ねて御礼申し上げます。次回の実績評価も、より充実した内容にしてまいりたいと考えておりますので、今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
     総務省は、皆様ご案内のとおり、非常に幅広い業務を担当しておりまして、簡素で効率的な政府をつくるために、例えば郵政民営化でありますとか、三位一体の改革でありますとか、あるいは公務員の人件費改革でありますとか、大変重要な改革を担っているわけでございます。また、いわゆるユビキタスネット社会の実現、あるいは国民の安心・安全の確保など、国民の皆様の生活に本当に密着した幅広い行政分野に責任を有する役所でもございます。本年も引き続き諸課題の解決に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
     2つほど例を挙げますと、公務員の総人件費の改革というのは、小さくて効率的な政府を実現していく上で非常に重要な課題でございますが、人件費を減らすということは、要するに額を減らすか、人を減らすかということでございます。額のほうは人事院で担当しておりますけれども、人の数のほうの問題については、政府全体で、今後5年間で5%の純減という目標を掲げておりますが、定員管理を行います総務省といたしましては、そういったことの中で、メリハリをつけた厳しい増員査定を行うということで、過去5年間の純減の倍の数、5年間で1.5%以上と。政府全体で5%ですが、総務省として分担する各省の定員は1.5、残り3.5は内閣官房の行革推進本部が行うという仕分けはございますけれども、そういった役割を担っております。
     また本年は、政府の新しいICT戦略、従来ITと言っておりましたけれども、正確にはインフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーというのが世界的な潮流でございますので、それに倣ってICTと言うようにしております。まだ政府全体としてはITというふうになっておりますが、私どもとしては率先してICTと言っていきたいと思っておりますけれども、これの新しい、再びの開始の年でございます。我が国は、引き続き世界最先端のICT国家であり続けて世界を先導できるように、2010年にユビキタスネット社会を実現したいということで、u-Japan政策を推進していくということでございまして、非常に世の中に注目を浴びるわけでございます。
     こうした中で、政策評価につきましては、政府として政策評価の重点化・効率化、それから政策評価と予算・決算の連携強化、それから、重要政策に関する評価の徹底などに向けまして、去る12月に政策評価に関する基本方針の改定等を行ったところでございます。本日の評価会では、こうした見直しを踏まえまして、総務省自体として今後どのように政策評価に取り組んでいくべきかということにつきまして、ぜひとも先生方のお知恵を拝借したいというふうに考えております。
     本日は、限られた時間でございますけれども、先生方の忌憚のないご意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。以上でございます。
    【野上政評課長】 ありがとうございました。
     それでは、平成17年度第4回総務省政策評価会を始めさせていただきます。
     中邨座長、よろしくお願いいたします。
    【中邨座長】 おはようございます。それでは、第4回目の政策評価会を進めてまいりたいと思いますが、議事に入ります前に、資料につきまして事務局のほうからご報告いただいたことを私からご説明し、また、明渡企画官に補足説明をいただければと思います。
     今日まで、この評価会の資料につきましては特段の規定はありませんで、資料の公開も行ってこなかったというのが常でございます。ただ、ほかの審議会、懇談会におきましては、資料は原則公表というのが政府の方針でございますので、今後、この評価会の資料につきましても原則公表にするということで、ホームページにも掲載するということでございます。ただし、本日も、後で出てくると思いますが、議論の途中段階のものにつきましては、この委員会の委員限りということにしたいと考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか。
     明渡さん、何かございましたら。
    【明渡企画官】 特にございません。

    議題1【「政策評価に関する基本方針の改定」等について】

    【中邨座長】 それでは、本日大きな議題が3つばかりございます。まず第1の「政策評価に関する基本方針の改定」につきまして、事務局より資料の説明をお願いいたします。
    【明渡企画官】 政策評価広報課の明渡でございます。よろしくお願いいたします。
     まず議題1、「政策評価に関する基本方針の改定」等についてという部分でございます。資料1から4でございます。
     事前に、資料のご説明だけさせていただきますと、資料は1から7までございます。それとは別に、「委員限り」という、A3の大きなものと1枚ペーパーをお配りしております。それに加えて、いろいろ先生からお話を伺った際に、今年の評価書を机上に置いておけばどうかというご提案をいただきましたので、会議場に置いておく資料として、机の上には17年度実績評価書を置かせていただいております。配付している資料は、それに加えて参考資料1、2とございますけれども、以上でございます。
     それでは、議題1の関係の説明に移らせていただきます。主に、資料1が全体をまとめたものでございます。ご承知かと思いますけれども、政策評価法が平成13年に成立いたしまして、平成14年4月から施行されております。その中に、最初の点線部分の枠囲みですけれども、いわゆる見直し条項が附則第2条に規定されております。それが3年という期間になっておりまして、17年4月で丸3年を経過したということになっております。
     こういう状況を踏まえまして、当省の中の行政評価局のほうで見直しについて検討してまいりました。経緯を若干申しますと、昨年6月に「政策評価制度に関する見直しの方向性」を取りまとめ、また国会においては6月22日、参議院のほうで政策評価制度の見直しに関する決議がございまして、政策の企画立案や予算への適切な反映、政策体系の明示、重点化・効率化など6つの事項について決議が行われました。また、その後8月には、概算閣議の際に総理から発言がありまして、施政方針演説等で示された政策は、内閣として重点的な推進を国民に約束したものと。各大臣は、政策評価の対象として内閣の重点政策を選定し、その目標達成に向けて具体的な手段を国民にわかりやすく提示するとともに、進捗状況を常に把握して必要な対応をとられたいという指示もなされました。
     このような状況を踏まえまして、評価局のほうで、「政策評価に関する基本方針の改定」を行いました。こちらのほうは閣議決定でございまして、実際のものが資料2ということになっております。また、同日、各省庁の担当課長クラスから成る連絡会議がございますけれども、具体的な実施に当たっての「政策評価の実施に関するガイドライン」、資料3でございますが、その会議の了承ということで決定されております。
     以上、経緯でございますけれども、中身について何点か申し上げます。資料1のII2ですけれども、改定案のポイントがございます。こちらは政策評価制度全般ということでございますので、いわゆる制度官庁が担当する部分もあれば、それぞれ評価を行っている各省庁が実際に行わなければならないという部分、両方ございます。
     まず1点、大きな点といたしましては、「内閣の重要政策に関する評価の徹底」ということがございます。先ほど申し上げたように、総理の発言もございまして、基本方針、資料2でございますと11ページから12ページ、ガイドラインのほうですと、2ページの「(4) 重要政策に関する評価」という形で盛り込まれております。
     次に、1つ飛ばしまして、「政策評価の重点化・効率化」ということがございます。各府省において重点政策の評価に関するメリハリづけということで、重点的に行うもの、そうではないものも含めて、評価の中にもメリハリをつけて効率的にやっていこうということでございます。
     資料2の新基本方針というところでありますと、3ページに、「政策評価の実施に関する基本的な考え方」の最後のパラグラフの一番最後の部分に、「政策評価の重点化・効率化を図りながら進めていくとともに、政策評価の実施の過程を通じて制度の改善」云々と入っております。
     資料1の裏面を返していただきますと、「評価の質の向上」というブロックがございます。そのような中で、「政策評価と予算・決算の連携強化」という部分、骨太2005というものがございまして、資料4にもつけておりますけれども、政策評価、予算・決算の連携強化を一層進めていくという取組がうたわれております。
     最後のブロックでございますけれども、「国民への説明責任の徹底」ということがございます。「国民に分かりやすい評価書・要旨の作成」がございます。資料3のガイドラインでございますけれども、7ページの「(2) 評価書の作成に当たっての留意事項」がございます。その中で 6)、資料その他の情報に関する事項ということ、評価の過程で使用したデータ、バックデータの概要と、所在に関する情報などをわかりやすく載せるということなども書かれております。
     ちなみに、総務省における評価書につきまして申し上げますと、17年度実績評価書、いろいろご議論いただきましたけれども、要旨という40ページ余りのものを作成することになりました。その中で、26の政策がございますけれども、簡単なものも含めますと、図表とかグラフはほとんどのものが掲載されている。全く字だけのものは1つだけだったという状況となっております。
     資料1から3につきましての説明は以上でございます。
     資料4ですけれども、最近におきまして政策評価に関する記述があるような政府の決定がいろいろございました。4−1として「行政改革の重要方針」、あと「予算編成の基本方針」と、政府の決定というものではございませんけれども、「会計検査の基本方針」というところでもそういった観点に触れられております。こちらはご参考までに報告ということでございます。
     事務局からの説明は以上でございます。
    【中邨座長】 ありがとうございました。それでは、ただいまご説明をいただきました資料1から4までにつきまして、何かご質問等がございましたらお願いいたします。
     よろしゅうございますでしょうか。

    議題2【「平成18年度に総務省において実施する主要な政策ごとの目標設定等について(平成18年度目標設定表)」について】

    【中邨座長】 それでは、第2番目の議題でございますが、「平成18年度に総務省において実施する主要な政策ごとの目標設定等について(平成18年度目標設定表)」につきまして、ご説明をお願いいたします。
    【明渡企画官】 引き続き説明させていただきます。資料番号を付していない、「委員限り」と書いたA4縦の1枚紙及び、A3の表裏で印刷しております約10枚程度の資料という2点でございます。主に、ポイントを書きました1枚紙に基づいて説明させていただきます。
     具体的な中身に入る前に、今回初めてご参加される先生もいらっしゃいますので、現在の状況を簡単にご説明したいと思っております。
     目標設定表につきましては、昨年におきましては11月ごろに一度ご意見を頂戴したという形でありまして、例年ご意見を頂戴しているものでございます。
     今後の予定といたしましては、今回頂戴しました意見、あと、1月20日から国会が開会されると聞いておりますけれども、例年、その冒頭で総理の施政方針演説がございます。そういった状況等を踏まえまして、さらなる精査をしたいと考えております。
     その後、例年のことでございますけれども、1カ月程度、パブリックコメント手続、国民の皆様方から意見を聞くということを行っておりまして、今年も行いたいと考えております。この際に注意したいと考えておりますのは、意見を求める際に、昨年出てきた意見などを拝見しますと、こういうふうな政策は継続してくれということであったり、こういうふうな政策をとるべきだというのが出てまいりました。そういうふうないろいろなご要望を、いろいろな機会をとらえて、我々としても聞いていかなければならないと考えておりますけれども、今回お伺いするものは、あくまで目標の設定についてということかと思っております。
     したがいまして、個別の政策をどのような形でとるのかということではなくて、むしろ、こういうふうな政策をとるのであればこういうふうなことを目標にすべきじゃないかということについて主に聞くという形を明らかにしていったほうが、より効果があるのではないかと思っております。そのような形で進めていければと考えております。
     その後は、例年どおりでございますけれども、3月下旬に省内委員会がございます。そちらのほうで最終決定して公表するという形になろうかと考えております。
     先生方に対しましても、適当なタイミングに、どういうふうな形になるかわかりませんけれども、ご報告してまいりたいと考えております。
     日程、ロジスティックの面につきましては以上でございます。
     中身の関係を申し上げますと、今回、取りまとめに当たりましては、内閣の重要施策を含めるように等々、各部局のほうには指示を出した上で行ってまいりました。若干形式的なものを申しますと、大きなA3の紙の上に書いてある表題でございますけれども、今回、実施する「主要な政策ごとの目標設定等について」という表題にいたしました。以前、17年度までは、「主要な政策・施策及びその実施手段の概要」ということでありました。こちらを変えたということは、むしろ今回の主目的は何かということ、先ほどパブリックコメントの関係でも申しましたけれども、目標がどうかということが主眼なのではないかと考えておりまして、今回は目標ということを明示する形の表題にしております。
     下のほうで、今回とりあえず現時点でまとめているものでございますけれども、政策数につきましては昨年度と変わっておりません。全体として26という形で整理しております。一番最後のページまで見ていただきますと、左から2番目のところですけれども、「政策(実績評価対象政策)」と書いておりますが、「(政策26)受給者の生活を支える恩給行政の推進」が一番最後で、合計で26という形で、これは昨年度と同じであります。
     ちなみに、数値目標ということがよく言われますが、こちらにつきましても17年度と同じ26分の18となっておりまして、全体として69%の割合という形になっております。
     構成につきまして若干変更しております。順序が逆になりますけれども、A4の1枚紙の裏側です。「分野数を現行5分野から6分野に移行」という形で整理させていただきました。下のほうにいろいろ説明を書いておりますけれども、総務省として重点施策というものを、目標設定表とは別に、夏に取りまとめております。そのときの整理が、6分野という形に変更になりました。そういった変更になったということと、また、IT新改革戦略が間もなく決定されるということを踏まえまして、そちらの重点分野の区分に合わせることを考えまして、今年度のものは6分野という形に整理しております。
     1枚紙の表のほうにお戻りいただきまして、主な例をご説明させていただきます。まず、先ほど申し上げましたように、内閣の重要政策を入れるようにという形で各部局と調整してまいりました。その例といたしまして、「(政策1)社会経済情勢の変化等に対応した行政管理の実施等」というのが、こちらのA3の大きな紙でいいますと冒頭の1ページにあります。真ん中あたりに「施策」とありまして、その中に、「国の行政組織等の減量・効率化」が上のほうにございます。よく新聞でも取り上げられておりますが、いわゆる国家公務員数の定員の削減というものでございまして、目標値は、17年度から21年度までの5年間で10%以上の定員合理化と。こちらのほうはグロスでございます。実際の合理化ということで、増員分は含んでおりません。
     もう一つ、下のほうはネットでございます。「18年度から22年度までの5年間で1.5%以上の純減を確保」ということで、先ほど官房長からのお話もございましたけれども、政府全体として5%以上の純減目標を設定されておりまして、定員管理を担当する行政管理局として、そのうちの1.5%を担当しているということで、総務省の部分につきましては、「1.5%」を、括弧書きではない本則の部分に書かせていただきました。
     それから、「(政策2)地方行革の推進」がございます。大きなペーパーでいいますと、1枚おめくりいただいて2ページとなります。施策の上から2つ目、「地方公共団体における定員管理及び地方公務員給与の適正化の推進」ということで、地方公務員の総定員がありまして、左記指標にかかる目標値ということで、「平成17年4月1日から平成22年4月1日までの5年間で4.6%以上純減」と掲げております。平成17年4月1日現在、地方公務員数は約304万人と承知しております。単純に掛け合わせると約14万程度になるのではないかと思いますが、こちらも年末の行革の重要方針等に書かれておりますので、それを踏まえまして、目標設定表の中にも含めております。
     2番目といたしまして、「より高い目標を掲げた指標の例」を挙げさせていただきました。u-Japanの関係でございますけれども、「(政策16)世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境実現を目指した公平かつ能率的な電波利用の促進」がございます。A3資料で申しますと15ページになります。施策の一番下の、「電波利用環境の整備」というところがございます。その中で、「過疎地域等において新たに携帯電話が利用可能な状態となった人口数」を指標として立てております。こちらは以前にも立てておりましたが、以前のものにつきましては3カ年で10万人という目標でございました。今度のものは、20年度までの3カ年でその倍、20万人ということで、より目標を高く掲げて施策の推進に努めていこうというものでございます。
     3で、指標の立て方を、今回いろいろ工夫したというものもございます。19ページ、「(政策22)火災・災害等による被害の軽減」の施策の上の部分でございます。「住宅火災による死者数」ということでございまして、住宅火災の場合、死亡原因というのはかなりの部分が逃げ遅れになっていると承知しております。また、逃げ遅れるという中で、年齢別将来推計人口というようなことを書いておりますけれども、人口動態が変わることによりまして、死者数が最近、若干増加していたりするということがございます。
     そのような状況を踏まえまして、消防法の改正が行われ、本年6月から、新築住宅につきましては火災警報器を義務づけることになっております。こういったものの効果ということで、仮にそういうふうな政策が行われなかった場合にどのようになるんだろうかというものを一度推計してみまして、そこの差を考えてみるというのを指標として考えていることなどが、今回のポイントとして挙げられるのかなと考えております。
     その他いろいろ、目標を高くしているものもございますけれども、かなり各論に入るということもございますので、主な点だけということで説明させていただきました。
     事務局からは以上でございます。
    【中邨座長】 どうもありがとうございました。資料もたくさんございますので、いろいろ私なりに理解したことが間違っていたら訂正をいただきたいんですが、今のお話は、大体3つぐらい重要なポイントがあったかなと思うんです。
     1つは、今後については、政策そのものではなくて目標の設定について、いろいろパブリックコメント等をいただきたいというお話だったかなと思います。したがって、政策そのものについては26政策というので変えない。2つ目のポイントとして、今までの5分野を、電子政府・電子自治体の推進を入れた6分野に変えたいというお話であったと思います。3つ目には、具体的に、A4の1ページ目にありましたように、目標の設定について、こういう3つぐらいの努力といいましょうか、工夫をしたということだろうと思うんですが、そういう理解でよろしゅうございますでしょうか。
    【明渡企画官】 結構でございます。
    【中邨座長】 今の議題2のご説明につきまして、委員の皆さんの中から、ご意見がありましたらお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
    【上山委員】 A3の「委員限り」のとじたほうの資料の1枚目のところに、たまたま「公益法人の設立許可及び指導監督基準等の遵守状況のフォローアップ結果」という目標項目が挙がっています。目標値が、例えば情報公開率100とか、あるいは公益法人本来の事業の規模が2分の1以上である法人の割合100%を目指そう。これは結構だと思うんですけど、目標年度というのが「毎年度」となっている。確かに毎年度こうあるべきであるというのは正論で、正しい目標ですけれども、参考で配っていただいている分厚いほう、17年度の実績評価書の18ページに全く同じ項目がある。これを開いていただきたいんですが、一番上に同じ項目がありまして、やっぱり去年の場合も、毎年度100%を目指すというふうになっている。過去の実績を見ますと、14年度が、国と地方でそれぞれ違いますけれども、大体97%ぐらいをうろうろしている。毎年全く何も改善されていないわけですね。これが141516と続き、さらに今後も100を目指して毎年度努力する。これからはさすがにもたないのではないかと思うんです。
     情報公開率も同じですね。97のままずっと推移しています。その下の、立入検査のようなところになると、18年度100%を目指しますと。15年度は42.5だったということで、これは期限と目標が両方設定されていて非常にいいと思うんですけれども、その他に関しては、要するに3年間全く何も進捗がなかったのを、今後、毎年度100を目指しますというふうに掲げている。これではとても目標とは言えないんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか。
     「毎年度」という設定自体が、あまり他省庁では見ない表現ですね。この例だけではなく、過去進捗がなかったものに関して、「毎年度」というような目標設定で、しかも「100」を目指すということはおそらく現実的な設定ではないんじゃないか。例えば98であれば来年度達成できますとか、3年後には100を目指すとする。ともかくもう少し科学的な解析をして、なぜ過去3年間100にならなかったのかという分析をする。そして、「毎年度」という表現は今年度から目標設定には一切使うべきでない。
     他省庁もちょっと調べられたらいいと思うんですが、毎年度という目標設定はないですよね、おそらく。
    【明渡企画官】 貴重な意見をありがとうございました。ちょっと事務局から申し上げたいと思います。
     まず、大変失礼な話ですけれども、上山先生がおっしゃられた989898という部分は、若干誤植がございまして、実際は40%台だった。これは誤りです。
    【上山委員】 すみません、ちょっと聞こえなかったんですが、何がどう誤植か教えてください。
    【明渡企画官】 「公益法人本来の事業の規模が2分の1以上である法人の割合」という部分で、国のほうで、14年度だと98.7%・・・・・・。
    【上山委員】 分厚いほうの資料の18ページが間違っているということですね。
    【明渡企画官】 そうです。そこの数字については誤りがございましたので、訂正のための措置をとっているところでございます。
    【上山委員】 正しい数字を教えてください。
    【明渡企画官】 14年度10月1日という部分は、国が49.6、地方が41.4、全体として43.4でございます。
    【上山委員】 そうすると、毎年大体同じようなレベルだったということですか。
    【明渡企画官】 その後の推移も申し上げますと15年度は国が49.6、地方が41.5、全体として43.5。平成1610月1日が49.2、地方が40.7、全体として42.9でございました。完全な当方の、事務局のミスでございますので、訂正のための措置はとっております。
     その上で、おっしゃられたご意見につきまして、改めて検討したいと思いますけれども、こちらの考えといたしまして、「毎年度」としていることにつきましては、公益法人改革自体が進んでおりまして、今年の通常国会に法案が出されることになるのではないかと思いますけれども、公益法人数自体、母数のほうが毎年変わっているというものであります。そういった状況の中、例年、10月1日現在ということで公益法人の概況調査を行って、その上で、本来事業が2分の1かどうか。一回2分の1になったからといって、その後、状況によってそこから離れてしまうものもあろうかと思っております。そういうこともあるので、「毎年度」という形で立てていると理解しております。
     また、「100%」につきましては、あるべき論という形、目標の立て方をどうするのかという点につきましていろいろご意見を頂戴できればと思いますけれども、つまり、どうあるべきかという観点を踏まえて100%と立てていると考えております。
     いずれにいたしましても、貴重なご意見をいただきましたので、事務局としても検討したいと考えております。
    【上山委員】 この「毎年度」という目標設定は、私は極めて重要な問題だと思うんです。今、公益法人のところについて、特殊な事情だというご説明がありましたが、次の3ページの行政改革のところでも、この紙は全面「毎年度」ですね。これは目標設定にならない。ほかの項目も、分厚いほうの資料を見ますとぱらぱらとあるので、やはり「毎年度」というふうに今年度の報告書で掲げたものについては、全面的に見直しをするべきではないかと思います。
     本件には2つの問題がある。そもそも指標、あるいは目標値として設定することに無理があるので、何となく妥協して「毎年度」と書いてしまう、これが1個ある。もう一つは、建前上100%じゃなくてはいけない、しかし現実があまりにもそれからずれている、したがって、中間的な数値を掲げるのは不謹慎であるというふうな社会的批判を浴びる可能性がある、したがって「毎年度」と書いてしまう。
     いずれにせよ、この「毎年度」問題というのは本質的な議論をはらんでいると思うし、他省庁においてはないようなことがここにあるというのは、やっぱり根本的に問題だと思う。ですから、これはかなり深刻にとらえるべきではないかと思うんです。ましてやこれらは行政改革とか、公益法人とか、自分でできる部分です。ユビキタスとか地球環境問題であれば自分でコントロールできない数値ですけれども、この種のことについては、毎年度100というのはやっぱり許されないんじゃないかと思います。目標数値を下げるとか、目標値をもっと現実的なものに変えるということも含めて、もっとちゃんと解析してつくり直すべきだと思います。
    【明渡企画官】 公益法人につきましては、自分でコントロールできるかどうかというところは、必ずしも役所だけでコントロールできるということではないと思いますけれども、意見を頂戴いたしましたので、いろいろ検討していきたいと考えております。
    【阪本政策評価審議官】 大変重要なご指摘だと思いますので、内部でもう少し検討してみたいと思います。
    【多賀谷委員】 特に公益法人、あるいは地方公共団体に対する総務省の監督で、多分同じような手法をとられると私は理解しておりますが、基本的に100%というのは、べき論として、すべてについてやってくれということ。しかし、公益法人も地方公共団体も分権化的な社会ですから、おっしゃることは違っていて、やれと言っても必ずしもやりません。だから、それは実際には無理です。
     ただ、従来どおりの方式がいいかどうかは、いいとは断言できませんけど、私の印象では、すべての自治体あるいは公益法人に対してやってくださいとしておく、そして毎年、今年は何%と。自治体はそれを見ていて、だんだん708090と上がっていくと、自分たちのところもやらなきゃいけないということでやっていく。そういう形で実際上、実効性はおそらく今まで上がってきたんだと思うんです。これが、今年70%、来年80%というと、残りの20%、30%にいればいいんだということで安住して、多分、全然実現できないという傾向にあったと思う。
     そういう手法を使っていたのをそのまま追認した形で数字が出てきていたと思うんですけれども、それでいいのか、それとも、今、上山委員がおっしゃったような形で、実際にパーセントをちゃんと書いたほうがいいのかというのは、ちょっと検討していただければ。
    【中邨座長】 今の点も含めまして、何かほかにございますでしょうか。
    【上山委員】 一言だけ。これは軽く聞いていただければいいんですけど、昔、青森県庁が政策評価をやったときに、現地の新聞も巻き込んで大騒ぎになった話がある。どうも高校生が結構たばこを吸っている。喫煙率が、実際の数値が10何%だったんですね。それで、県庁が目標値を、2年後に5%下げる、つまり5%ぐらいの喫煙率にするというのを書いてしまったんです。そうしたら地元の新聞が大騒ぎをして、あってはならないことなのに県庁は5%容認するのかという議論があった。最終的には、とにかく現実をちょっとでも変えることが最も重要であるということで、収束しましたが。
     その種の文化革命みたいなことを、総務省もやらないといけない時期に来ている。あってはならないことが現実にはいっぱいある。だから、ちょっとでも変えるための現実的な目標設定ということをやっていただきたいですね。
     ですから、「毎年度」という言葉は一切使わない。それから、100という非現実的な理想論はやめて、今46だったら来年は50でいいじゃないか、数字を下げて、みんなで気を楽に、もっと頑張ればいいじゃないか。こういう感じがする。よろしくお願いします。
    【中邨座長】 ほかにございませんでしょうか。
    【小澤委員】 パブリックコメントで今回いただくご意見は、従来と違って目標値をということで、それは、評価をする際には大変有用なことだと思うんですが、一般の国民の場合は、最初におっしゃった、今までのように、こういう政策を重視してほしいとか、これはぜひ続けてやってくださいというのは言いやすいことですけれども、目標値を意見として出すというのはなかなか難しいことだと思うんです。
     そこで、パブリックコメントを募集するときの仕掛けとして、説明なり資料なりを少しわかりやすく、丁寧なものにして、こちらが求めているような目標値というご意見が出るようにしていただきたいと思います。
    【中邨座長】 大変貴重なご意見かと思いますが、何かほかに。
    【上山委員】 目標を既に達成している場合はどうするのかという問題があると思うんです。分厚い資料の151ページを見ていただきたい。情報通信のデータについて、「専門家による評価において成果ありと評価される割合」というのが目標80とある。これが、14年度に既に100で、その後も毎年100です。ということは、これは達成済みですか。
     もしそうであれば指標をほかのものにする必要がある。あるいは目標値を100に上げて、達成済みだということで、それこそ目標年度を3.5ぐらいにしておくとか、いろいろあると思いますが、この種の既に達成済みであるものについても、やっぱり3年たっていますから、点検して、指標の組みかえをするべきじゃないかと思います。
    【中邨座長】 これ150%なんでしょう。
    【上山委員】 目標20件に対して34件も出ている。
    【明渡企画官】 こちらにはまた、先ほど上山先生がおっしゃられた「毎年度」がございますけれども、細かな資料が今、手元にはございませんが、例えば研究開発等でありましたら、それぞれの年度に行っているものが違っているということがあるのではないかと思います。例えば14年度で行ったものが30件あったとしたものと、15年度において行う30件が仮にあったとした場合に、それは別なものだということもあるのかなと考えます。
     そうした場合に、14年度で一度100%になったからといいましても、15年度に行う30件が必ず100%になる、要はストック的にたまっていくものではないのではないかと思います。具体的な内容につきましてはもう一度確認しますけれども、そういった場合もあるのではないかなと思います。
    【上山委員】 今のは、政策評価に関する基本的な誤解だと思うんです。もしそういう数値を目標にするのであれば、そもそも目標設定したこと自体が根本的な間違いですね。例えば交通事故を撲滅しましょうというのも同じです。同じ箇所で、同じドライバーが、同じような事故を毎年起こさないですね。
    【武田委員】 1枚もののほうでご説明していただいた中で、「より高い目標を掲げた指標の例」というふうに挙げていただいている中で、「電波利用環境の整備」、「過疎地域等において新たに携帯電話が利用可能な状態となった人口数」が20万人で、以前は10万人であったということで、2倍に引き上げられたということで、これは非常にすばらしいことだと思うのですが、実際に20万人というのはどういう意味があるのかというのが、この中だけでは表現し切れていないような気がします。
     ですから、この厚いほうを見せていただきましても、全体で何人、携帯電話が利用可能でない人がいるのかということがあって、それに対して、20年度までにここまでというような、全体の中でここまでを目指すという説明ぶりがあったほうが、国民にとってはよりわかりやすいのではないかと。ただ積み上げていくだけよりは、全体の中のここを目指すというような表現に変えたほうがよろしいのではないかと思います。
    【明渡企画官】 ご指摘いただいた意見を踏まえまして、可能かどうかを勉強してみたいと考えます。
    【大住委員】 先ほど上山委員がご指摘された点とも関連することかと思うんですが、指標と政策目標、政策目標が指標の目標値として書かれるということはないんですけれども、必ずしも政策目標というものは指標で集約できるわけではないですね。むしろ指標というのはごく一部の要素、あるいは状況を表現したものにすぎないと思います。
     そもそも政策評価をどういう手法で運用するのかということともかかわってくると思うんですけれども、指標というのはごく一部しか表現していないだろうと思うんです。先ほど来、指標の問題が上がっているわけですけれども、指標が適切かどうかということを判断する一つの基準は、おそらく政策の目標をどこまで具体的な言葉でわかりやすく示せるかということにかかってくると思うんです。つまり、政策目標が達成されたかどうかを指標でチェックするという仕組みだとすれば、あるいは指標の推進状況、達成状況を見て代替するということであれば、仮に指標が改善して、よくなったとしても、何か腑に落ちない点があるとすれば、おそらくその指標はもう役割を終えているか、あるいは指標そのものが適切ではなかったのではないか、いずれかだと思うんです。
     そういう判断をする資料として、今日いただいている政策ごとの目標がきちっと言葉で書かれているか、具体的か、こういうことをチェックしていただきたいと思うんです。
     先ほど上山委員がご指摘された政策17も、何となくそんな感じがするんですが、それ以上にひょっとすると問題かなと思うのは、前のほう、先ほど来議論がありましたけれども、「行政改革の推進」のところでも、しばしば気になるんです。この席でこんなことを言うと批判があると思うんですが、例えば「(政策2)地方行革の推進」、地方自治体に対して要請することだと思うんですけれども、地方自治体にどのようになってもらいたいのかということをもう少し具体的に書かなければ、例えば集中改革プランを公表しましたとか、総定員をこれだけ抑制しましたとか、あるいは地方公営企業における経営計画を策定しました、こんな数値目標を達成したところで、そもそもこれは、地方自治体がきちっとした経営ができる、きちっとした意思決定ができるような仕組みづくりを、本来は目標としているはずだと思うので、そういうイメージがわかるようなものを政策目標として、これはどこに書くのかよくわからないんですけれども、政策群の中に書き込んでいかれたほうがいいのではないかと思うんです。
     どうしてかということですが、仮にこれを地方自治体、地方公共団体が受け取ったときに、要するに集中改革プランを公表すればいいんだなと。右のほうになりますと、行政評価の導入率とありますから、行政評価を導入すればいいんだなというふうになってしまうわけですね。行政評価を導入する、あるいは集中改革プランを公表することによって何を実現するのかということをきちっとメッセージとして伝えていけば、おそらくこれを受け取った、あるいはこれを参考にした自治体、先ほどの例ですと公益法人等もそうかもしれませんけれども、何を目指すのかという合意形成ができるのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
     この仕組みが悪いというふうに申し上げているのではなくて、もう少しよくするために、例えば政策目標を具体的な言葉で書けないかということを申し上げているんですけれども、いかがでしょうか。
    【荒巻委員】 若干絡みますので。先ほどからの議論をお聞きして感じているんですけれども、政策目標を中心に評価していくという流れは当然だと思いますけれども、政策目標で、結果的には事業評価、政策評価というのが決算評価的なものなのか、あるいはそれを予算なり政策に反映させるために役立てる要素を持ったものかということになると、将来の政策決定なり予算編成にも役立たせてほしい、そのほうが存在価値もあるし、やりがいもあるという感じになると思うんです。
     その場合に、やはり目標数値その他も、将来の政策に役立つような数値をできるだけつかむようにしていく必要があるだろう。そうなると、上山さんがおっしゃったような、べき論だけではいけないのではないかという感じがいたしまして、その中で、私がちょっと感じますのは、例えば税金を取るときに、所得の把握というのが最終目標なんでしょうけれども、所得だけ把握していても、あまり政策には役立たないので、例えばおすし屋さんの所得を確保するのに、からめ手からと言うんでしょうか、のりをどのぐらい買っているとか、お米をどれぐらい買っているというアプローチをしてみたり、それから、変な話ですけれども、モーテルでシーツの洗濯をどれぐらいしているとか、そういうやり方でつかんでいる場合もあります。
     交通事故の場合でも、死者が1万人から6,000人ぐらいに減ったというだけで喜んでいていいかどうかというのは、政策としては、全体は減ったけれども、その中で年寄りとか子供のほうが増えているのか、増えていないのか、そういうところまで指標として知った上での1万人が6,000人になったという、アプローチで大分結果が違いますので、ただ喜んでいるだけでは済まないということになるでしょうから、そういう意味では、数値入りのときにも、今言ったような結果と目標だけではなくて、それに絡まる裏の背景なり要素を少し入れるように努力していくと、結果的に100%が目標だけれども全然動いていないというときに、なぜ動かないのかという議論にもつながって、政策にも影響させられるのではなかろうかと思いますので、これはそもそも、後で政策評価をどういう方向に持っていくかという議論と直接絡むのではないかと思いますので、あまりここでいろいろ言いませんけれども、感じとしては、政策評価の方向づけをどうするかということと、指標の問題等も非常に絡まっているという感じがしますので、最後にその議論が出る中でも、これも集約されたほうがいいのではなかろうかという感じがいたしました。
    【中邨座長】 ただいま、上山委員をはじめ、いろいろご議論、ご意見を頂戴いたしましたが、大住委員からお話がありましたように、今使っておられる指標というのは、やっぱり政策の一部の反映でしかない。それは当然だろうと思いますが、今のところ、どうしても一方では、政策を定量化して出せというのが、我々を含めて世間一般のそういう意見が強いものですから、政策の一部であっても、やはり指標化しなければならない。そういうことで、だんだん指標化のほうがひとり歩きをして、下手をすると政策本来よりも指標のほうが重要になってきているような雰囲気がないわけでもありません。
     そういうことを含めまして、議題2をこのあたりで終えまして、議題3の今後の政策評価の取組についてお話をいただいたところで、もう一度、今の議論等を含めて皆さんからご意見を頂戴できればと思いますが、もしご異議がなければ、議題3の今後の政策評価の取組についてご説明いただいて、その後、議論を続けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

    議題3【今後の政策評価の取組について】

    【明渡企画官】 それでは、事務局より議題3の関係の資料につきましてご説明いたします。資料番号でいいますと、資料5から7、それぞれ1枚紙でございます。
     議題2に関する議論が、フリーディスカッションといいますか、具体的にどうあるべきかという形でいろいろ頂戴いたしましたけれども、こちらにつきましても、平成18年度におきましては、資料5に書いてありますとおり、一番下の部分でございますけれども、総務省の基本計画というものがございます。3年ごとに策定しているものでございますけれども、例年のパターンでいいますと、平成16年3月に現行のものを策定しておりますので、平成19年3月が改定の時期となっております。そちらのほうも視野に見つつ、一省庁としての総務省としてどのような形で政策評価を進めていくのかにつきまして、ご意見を頂戴できればと考えております。
     想定日程という資料5でございますけれども、3月に、先ほど議題2の部分で説明いたしました目標設定表を決定・公表という形にしたいと考えております。新年度に入りますと、18年度評価、17年度に行った事業等の実績評価を行い、評価書等は7月に公表という形になります。
     そちらとは別に、「予算との連携等」という欄を設けておりますけれども、例年、5月末か6月頭ぐらいと思いますけれども、予算要求を取りまとめしている部局や、機構・定員要求を取りまとめしている部局のほうから、それぞれの要求内容につきまして各部局に対して発注書を出しているという状況がございます。それを踏まえまして、7月から8月にかけて省議で予算要求等を取りまとめ、8月末に財務省に提出します。それとあわせて政策評価の反映状況も公表しているということが、例年の日程でございます。
     資料6でございます。先ほども現行の課題についていろいろ意見を頂戴いたしましたけれども、とりあえず事務局として、一度たたき台という形で、基本方針の改定等を踏まえた総務省の課題等について幾つか挙げてみました。もちろんここで掲げているものだけが課題だということではございませんので、書いていないものについても、いろいろ意見を頂戴できればということであります。
     1つ目といたしまして、「政策評価の重点化・効率化」を挙げさせていただきました。先生方ご認識いただいていると思いますけれども、総務省は統合省庁でございますので、非常に多様な業務を行っております。結果として、そのために用いている行政手段もそれぞれの政策によってかなり違っているということがございます。
     例示いたしますと、許認可等現況表を毎年まとめていますけれども、総務省の許認可件数は約600件ございます。しかしながら、人事・恩給局、行政管理局、行政評価局、自治税務局につきましては許認可は全くございません。あと、自治行政局、自治財政局、統計局も極めて少ないという形で、残りの約600近くは、消防庁、テレコム部局という形で持っているということでございます。
     また、予算について見てみましても、総務省の平成18年度予算が158,000億余りとなっておりますけれども、そのうち交付税の財源繰り入れが145,000億余りで、92%。恩給費がありまして、9,400億、6.5%となっております。残りの部分は2%弱となっておりまして、約三千四、五百億でしたでしょうか、それ以外の経費という形になっておりまして、財源と予算、そういったリソースを見ましても、各部局によってかなり違っている。また、2つ申し上げました非常に大きな予算につきましても、何かの対価を得て、その対価に対して支出するというものではなくて、移転的な支出となっているかなと思っております。
     このように各部局単位で見るのが本当にいいのかというのがございますけれども、行っている行政は多様でございますので、そういった中で使っているリソースであったり、行政手段なりというのは非常に違っているのではないかということがあります。そのような中で、重点化・効率化が求められております。今後、それぞれの行っている行政の内容によって、どういうふうな形で評価を進めていったらいいかを、またここで考えて、いろいろお知恵をいただければということでございます。
     その関連でございますけれども、資料7をおつけしております。今言った論点につきましては、過去の評価会においても、まとまったご議論をいただいたというよりも、先ほどの実績評価書等につきましてご議論いただく際に、同じようなご意見を何度かいただいていると思っております。事務局で、粗いものでございますけれども、そういうものを整理してみたらどうかというご意見を頂戴いたしましたので、まとめてみたものでございます。自分はあのときあんなことを言ったのに載っていないじゃないかということがあるかもしれませんけれども、そういった場合には、切にお許しいただきたいと思っております。
     資料6に戻りまして、「2 政策評価と予算・決算の連携強化」とございます。最初のところでもご説明いたしましたけれども、ただ、この部分につきましては、多分に大もとの制度をどうしていくのか。主計局であったり、行政評価局であったりという部分も絡んでおります。実務上どこまでできるのかということを、知恵を絞っていくことになるのかなと思っております。
     最後、3点目でありますけれども、「職員の意識改革」という部分で、昨年、1年ほど前ですけれども、いろいろご指導いただきまして、アンケート調査等も行いました。今後、そういったものを踏まえて更なる取組、どのような形で行っていけばいいのかということについて、更なるご意見、お知恵等を拝借できればと考えております。
     以上でございます。
    【中邨座長】 今、今後の取組のご説明がございましたが、1つは、制度官庁としてなかなか難しいというお話、それから、予算についてもこれからまだまだ連携が必要だというお話があったと思います。そういう点も含めまして、今後のあり方につきましては非常に重要な関連がございますので、先ほどの議論を含めて、いろいろ皆さんのご意見が頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
    【上山委員】 今ご説明いただいたこと自体に関しては特に異論はないんですけれども、根本的に思うのが、今回たまたま基本方針が改定されるということで、担当部門としては、それに合わせて資料を変えたり、手続を変えたりされる。それはそれで全く結構なんですけれども、政策評価制度そのものを、総務省が自分自身の改革にどう使っていくのかということに関しては全くご説明がなかった。官房長あるいは審議官のほうから、最後でも結構ですのでお聞きしたいと思います。
     つまり、基本方針が変わったから作業のやり方を変えますということだけでいいのかということです。行政評価局の文書自体の中に、「マネジメント・サイクル」という言葉とか、これを「使いこなして改革していく」ということを書かれているわけですから、ガイドラインに沿って手続を変えますということだけでは、新年度に向けての方針ということにはならない。
     それと関連して、具体的な話ですけれども、目標設定表、さっきも幾つか質問しましたけど、「委員限り」の資料のA3横長のものです。さっき大住先生からもご指摘がありましたけれども、指標の良し悪しを考えるだけじゃなくて、おそらく体系そのものを見直すという作業とセットじゃないと、にっちもさっちもいかない状況になってくる。
     法律ができて3年間は、とにかくやっていることを体系的に説明して、とりあえず何でもいいから数字を出すだけで大変だったし、そのこと自体に非常に意味があった。しかし、同じようなレベルのものを今後続けていっても中身がない。目標設定表でいいますと、おそらく「政策」というところは、これ以上あまり議論してもしようがない。その次の「施策」というところも、大体こんなことなのかなということになる。
     問題は、そこからいきなり「指標」になってしまうことです。例えば地方財政の問題。7ページの下のほうに「(政策9)地方財源の確保及び地方財政健全化」というのがあります。ここなどは典型です。政策自体はいい。その次に出てくる施策が、地方財源の確保、それから公債費負担の適正化というふうになって、この2つも別に間違っているわけではない。でも、既にこの段階で何かちょっと足りないなという気がする。その横の指標を見ますと、例えば地方財源の所要額の確保。目標値というと、所要額の確保を毎年するということになっていて、数字にすらなっていない。要するに「予算を取ってきます」という作業を言っているだけです。金額もコミットしていないし、手続きだけを言っている。さらにその下を見ると、公債費負担適正化計画の話です。でも、これは計画を完了したかどうかという話でしかない。
     要は、地方財政の健全化というのを政策のほうで書くのであれば、地方財政健全化のための施策というのは当然あるわけですね。今いろいろな改革が進んでいますけど、例えば資産の売却とか、いわゆるリストラ的なこととか、公共事業の抑制とか、それから歳入の確保にしても、徴税率を上げるとか、未納の回収をするとか、非常に具体的な施策が自治体のほうには山ほどあるわけですね。それが全て出てこない。
     私が見るに、総務省の本省の中の担当部門があって、そこがやっている作業、手続にかかることだけをここに書いている。でもそれは手続だから、やれば終わりです。そのことと地方財政の健全化は関係ない。であれば、政策9の文言を「地方財源の確保」だけでとどめるべきで、地方財源の健全化を目指すというふうな政策は、総務省は掲げるべきではないということになる。ですから、政策が間違っているか、施策が足りないか、どっちかだと思うんです。こういう根源的なところを今回のバージョンアップで抜本的に見直さないと、さすがに、あと3年このような体系で走っていても、現場にも徒労感が漂うのではないかと思うのです。
     申し上げたいのは、ガイドラインが出ました、したがって現場の作業担当者は仕事を、それに沿って手続を変えますというレベルの話ではなくて、やはり局長、幹部クラスも入って、そもそも政策と施策の関係は一体どうなっているのか、それから、重点施策というのはその中でもさらに具体的に何なのかという体系をつくらないと、立ち行かないのではないかということです。
    【中邨座長】 わかりました。
     ほかに、いかがでございましょうか。増田市長、何かございましたら。
    【増田委員】 地方財政のお話が出たので、ちょっとお聞きしたいのは、健全化の中で、最近、交付税の不交付団体を5割ぐらいにしようというようないろいろな話がありますが、そういうのは今度、新しい項目の中に出てくるのかどうなのか。私どもとしては非常に関心のある問題ですが、この中には見当たらないように思うんですが、どうなんでしょうか。
    【野上政評課長】 来年度の目標設定表の案として、こういう形で取りまとめておりまして、現段階で各部局から出てきたものを私どもが取りまとめたわけでございまして、今おっしゃいました不交付団体を半分以上にするといったことにつきまして、部局のほうからは、まだ出てきておりません。
    【増田委員】 まだ具体化していないと思うんですが、ぜひ次の見直しの機会にそういうのも入れてほしいと思います。
    【多賀谷委員】 全体として、6つの分野のうち比較的政策評価の議論にのりやすいのは、最後の、国民の安心・安全の確保というところだろうと思います。ただ、この場合には、先ほど事務局のペーパーから出てきたように、これはなかりせば的な指標といいますか、基本的にリスクの話で、リスクの低減というのを指標値に掲げている。多分そういう話なので、そういう観点からもう少し見直しをしていただければと思いますけれども、それ以外の、行政改革の推進とか、分権社会への着実な移行とか、u-Japanとか、ここら辺のところについては、先ほどの上山委員と別の意味で、ちょっと言いたいことはあるんですけれども、そもそもこういう制度政策の分野に政策指標的な議論をのせるのは限界があるということは我々も重々承知していて、強引にそれを当てはめることは意味がないんですが、しかしそうはいっても、これはかなり説明的な資料にし過ぎているというか、このために総務省のお役人の方が複数、汗水垂らして仕事をするのはもったいないという気はいたします。
     それで、せっかくこういうものができているので、これですべてが済むわけではないですけれども、ある程度生かすためにはどうしたらいいかなということを考えると、やはり制度政策の場合においては、アウトカムに対して具体的に影響が出てくるというものではないわけですね。しかし、ある意味において、政策同士、あるいは施策同士が複雑に絡み合っている。それが数値化できるものでもないし、それ以上に、政策と施策のかかわり、あるいはその間に、後にある事業のかかわりのところが、組織的な要素が入ってきていると思いますが、特に地方分権の場合には、相手が地方自治体、地方公共団体なわけですから、そこはきれいにはいかないという感じになります。
     その場合にどうしても、今までは説明概念的に政策をまとめてきたわけですけれども、なかなか悩ましい話ですが、それらの政策同士の組み合わせが妥当かどうかという話になると思います。つまり今までは旧自治省、郵政省、総務庁でそれぞれやってきた政策を、それぞれ部、課、室で行ってきた政策をともかく一つにまとめてきている。ところが、そのまとめられているところには有機的な連関が多分ないだろうと思うんです。そして、おそらく今後やらなければいけないのは、それぞれの部、課の間で果たされている業務が重複している場合もあるし、それらの間で逆のことをやっているということもあり得るだろうと思うんです。
     それらの間の有機的な連関、あるいは政策全体のヒエラルキーのところをチェックするということは必要だと思います。この点は、今現在、情報システムにおいてはエンタープライズ・アーキテクチャー(組織全体を通じた業務の最適化を図る設計手法)、EAという形で見直されているわけですけれども、総務省の政策の場合にも、そういう意味において、組織改編の話も絡むので、そう簡単にできないということは重々承知ですけれども、そこら辺のそれぞれの組織が担っている政策の役割、それが単体だけでこれだけのアウトカムがある、アウトプットがあるという議論では済まないと思うので、全体の中でどのように位置づけられるかということをそろそろ議論しなければいけない時期だろうと思います。
    【中邨座長】 ありがとうございました。
    【滝澤委員】 1点だけ。今までの行政評価の目標、指標というのは、行政サイドから見た、形としてどうかというのが主だったような気がします。一方で、一般企業でいいます顧客満足度という、仮に国民のための行政という観点から見たとすれば、特に行政側からの国民へのサービスの部分の国民の評価というものを、どこかに目標設定を置いたらいかがかなと。
     例えば国勢調査でも結構ですけれども、このA3の例でいくと10ページ目ですか、今、若干マスコミ的にも話題になっております電子政府とか電子自治体といったところも、本当に住民の方々の評価はどうなんだろう。要は形として100%つながっていればいいということじゃなくて、今度は質の問題もこの成果にかかわってくると思いますので、非常に大変だと思いますが、アンケート調査やヒアリングなど、どこかでそろそろ取組をしていただいて、ここに載せていただけると、いい成果が出た場合の予算の確保も非常にしやすくなるのかなという感じもあります。いわゆる顧客満足度という点をもう少し加味していただければということです。
    【中邨座長】 どうもありがとうございました。ほかにございますか。
    【北大路委員】 今日の資料の最後にある、これまでの発言を見ていても、やはり毎回同じことを皆さんもおっしゃっているし、私も申し上げてきたと思うのですが、今、多賀谷先生もおっしゃいましたけれども、制度官庁として、少なくとも単純な指標で評価するというのは、できないというよりは妥当でないという側面があるのではないかなという気がしてなりません。
     今回の基本方針では、「重点化」というのがキーワードですが、これはもちろん重要な政策という意味での重点化でしょうけれども、拡大解釈かもしれませんが、評価をして、成果が得られるというか、効果がある、つまりマネジメントの改善ができるとか、そういうものをまず重点的にやっていくというのは、こちらの中でもできるのではないかなと。効果を出していくと、やったかいがあるというんですか、そういうことが実感されるのではないか。前回も職員の方たちの調査を手伝わせていただいたわけですけれども、やはり実感が沸いてくると、毎回そういうふうに思っているのですが、膨大なエネルギーを払ってでもやるべきところはやるべきだという理解が広がっていくのではないかなと思います。
     これは私の能力不足なのですが、8ページの、税調の、地方税制度の見直しというのがあります。資料をいただいて以来、自分だったらどう書くかなと思って一生懸命考えたのですけれども、少なくともこのフォーマットに載るような書き方はできない。一番左側の政策は、「分権型社会を担う」ですが、これがアウトカムだとすれば、分権型社会が担えるようになったかどうかという話で、それを測定しなければいけません。しかし、これはあまりにも無謀だなと思いました。
     実際、施策レベルでは、毎年度の地方税制度の見直しをするという仕事をなさっていて、税調の答申を踏まえて、年度内に法律をつくって出す。ただ、年度内に成立しなかったから担当者たちのせいなのかというと、おそらくその要因は非常に少ないのではないか。よほど変なものでもつくらない限りはそんなことにならないのではないかと思います。この仕事を施策レベルで「見直し」と書いてあるのは、これは作業ですので、本来はもう少し目的として表現しないといけない。「こういうことを実現する」と書かなければいけないのです。
     したがって、国会で合意が得られるようなとか、国民に支持されるような次の税制案をつくるとか、法律をつくるというような、それがアウトカムなのかなと思うのですが、国会に通るかとか、国民の支持を得られるかというようなことを、こちらの仕事の中でやってしまってよいのか。少なくとも税調の答申を尊重して、あるいは政府全体の、いわゆる政権の考えを反映してということでしょうから、そこでアウトカムを実現する手段をそんなに与えられているわけでもないのかなとも思います。
     きちっと政府、政権の意思を反映できるような制度がつくられればよいと思いまして、少なくとも毎年このことを一生懸命考えて、評価をするとか、そのために少なくとも時間を割いて、職員の方たちが議論するというよりも、できれば、やるんだったら徹底的に、ある時点で、これはどういうふうに扱うかということを議論して、決着をつけて、あとは毎年評価するようなことが成果に結びつくのかということを考えたほうがよいのかなと思います。
     逆に言いますと、これに限らず、いったんはここに載っているすべての施策レベルの行政活動について、思い切ってメリハリをつけて、いつかきちんと議論しなければいけない。あるいは、今でなくても、放っておくのではないけれども、少し後にするのと、今これを重点的にやってしまおう、成果をきちんと出そうというところと、そういう議論をしたほうがいいような気がしてなりません。
    【中邨座長】 ありがとうございました。
     何かコメントございますか。青木町長、お願いいたします。
    【青木委員】 資料6の「3 職員の意識改革」を拝見いたしますと、例えば課題等で、「政策評価の評価内容・結果に対する職員の認知度は4割程度」と記されておりますし、「評価業務に関与しない職員など評価制度に関する認識が不十分な職員の意識改革が必要」だと、このように表現されているわけですが、国も地方も、ただ与えられた仕事をやる、しかし、意外と結果についてはあまり関心を持たないということが、我々が地方でも実感として感じているところです。
     そういう意味では、基本方針の改定等を踏まえた課題ということで、1、2、3とございますが、先ほど来、様々なご意見が出ておりますが、18年度の取組については、こういうことをもうちょっと強化して、そして取り組んでいただくことが必要なのかなと、このような感じを持ちました。
    【荒巻委員】 政策評価の表のつくり方とも絡むんですけれども、基本的な問題とも関係がありますので、ちょっと申し上げたいと思うんです。
     さっきからの議論も含めて、どういう指標を出したらいいかとか、どういう指標が適当だとか、足りないとか足りるという話にもなってきていますけれども、すべて総務省の評価書の中に書き込んでしまうというのは、実際問題なかなか無理じゃないかという感じがしまして、政策に役立つことまでやろうと思えば、もっと細かい背景その他をずっと分析しなければいけないので、そうなると、全部ここでやれといっても無理ですので、例えば○○白書のどのページに、この政策について各省庁がそういう意見を持っているとか、場合によっては公的な各省庁の広報誌の文とか、それから、毎年度これをやるのが適当かどうかという科目もありますので、5カ年計画とか10年計画があるものについては、政府のつくった計画のこの部分を指摘するとか、あるいは閣議決定とか経済財政諮問会議、いろいろなものがある中のきちっとした公的なものについてはそこの箇所を指摘して、そういうものを「注」としてこの評価書の中に入れれば、こちらで全部網羅しなくても簡単に、しかも実際もっと突っ込んだ形のものが読めますので、結局、それを知りたい国民なり関係の人にもっとこれを知らせて、政府なり政治に対する信頼感をつくろうというのがもともとこの制度の本質なので、常にこれ1冊で、全部うちがかぶってというのは無理な話なので、そういうことを活用するようにしてやれば、先ほどから議論になっているこの指標が、べき指標だけで終わっているからおかしいし、本当のことを表していないということになってみたり、そういうのも少しは解決できるのではなかろうかという感じがしまして、評価書の中に、注書きで、政府の公的なほかの部門でのものを書くという方法も検討していただいたらどうかなという感じがいたしております。
    【上山委員】 今日いろいろ根本的なことを言いましたけれども、さはさりながら、18年度というと、あと2か月なので、現実的なことを考えないといけない。
     それで、幾つか提案があるんですけど、1つは、既に世間の人が政策評価指標的に受けとめてしまっている指標というのが幾つかある。例えば「ラスパイレス指数」と「経常収支比率」、あるいは、さっきお話が出ましたけど、「不交付団体の比率」とか、「税金滞納率」。この種のものは、自治体とか、あるいは新聞とか週刊誌ですら数字として頻繁に使うものなわけです。その種の数値が政策評価で全然使われていないというのは、やっぱり問題だと思うんです。ですから、各原局で、その種の世の中で既に使われている、あるいは実務上非常によく使われている指標を一回棚卸ししてみたらどうかと思うのです。
     それに関しては、説明責任ということもこめて、指標として採用する必要がある。目標値として使うか、あるいは参考値程度にしておくかどうかはともかく、やはりデータとしてそういうものを体系の中に取り入れていないと、説明責任そのものが果たせていないということになる。この問題は作業的にはそれほど大変なことではないと思います。
     もう一つは、制度官庁であるということが、逆に言い訳にもなっているという問題です。例えば自治体の話は、確かに自治体経営は自治体がやっていて、総務省ではない。うちは制度をつくっているだけですよということになるわけですけど、現実には地方財政計画を運用し、交付税を配って、人もかなり送り込んでいる。ですから、国民側から見ると、いわば親子関係に見える。制度だけですよと言われても釈然としない。
     現実には言うことを聞かない自治体が山ほどあって、ご苦労されているのは非常によくわかるわけです。それでどうするか。制度だけでは動かないわけですね。そうすると、例えば京都議定書のような手法などは、数字をとにかくぼんとつくって、「達成しないと悪だ」ということで勝手に評価してしまうわけです。あの種の手法は1つ考えられますね。
     それから、経済財政諮問会議とか、いわゆる官邸主導でいろいろな数字が出てきますけれども、そういうものも同じような手法ですね。マニフェスト的に、総務省の担当部門から、これぐらいは達成してもらわないと困るんですよというのを勇気を持って出してみたらどうか。法律改正、制度を変えないと仕事ができないと思い込んでしまうからできないのであって、もはやそういう時代ではなくて、目標数値を、不交付団体の比率を3年以内に50%にするとか、その種のものを、京都議定書風に新しい仕組みをつくって出していったらどうか。
     今申し上げた、ラスパイレス指数など既に使われている指標、それから京都議定書的な指標、この2種類というのがおそらく今の目標設定表にはない。世間の人が期待しているのは、実はこの2種類なのですね。そこに現行との根本的な乖離がある。それをどうするかということだと思うんです。
     すごく単純な解決策は、1つ目についてはその種の手法もあるという認識をちゃんと表して、参考値として一般化した指標は一応全部掲げて、データとしては挙げる。2つ目の目標値に関しては、来年度は無理だけど、これに関してどうするのかというのを、例えば1年間かけて議論する。来年度から新しいバージョンアップをする。私は、バージョンアップ自体に1年ぐらいかける価値があるし、それはまた、確かに総務省という制度官庁の難しさというところを体現した作業なので、バージョンアップ自体が今年度の重要な作業だということをきっちりと明言して、現行のものの手直しをやりつつ、別の作業として、1年投資してやってみたらどうかと思う。
    【武田委員】 資料6についてのコメントですけれども、まず最初に、この3年間やってきて、今回改定をするということで、我々は非常にいろいろな枠組みを定義するのに使ってきた3年間だったんだなと思いまして、その中では、政評課の皆さんをはじめ、その努力というのは、今回の議論を聞いていても、要するに中身の議論に入ってきたという意味では、この最初の3年間は非常にうまくいったんだろうと評価しております。
     いざ、今ここで中身の話をするに当たって、資料6で幾つか挙げられていることを見ておりますと、上山さんが言われたような「毎年度」問題とか、本当に全部やる必要があるのかといったようなことが、まさにここに書かれていると思うんです。実際には、全部やらなければいけない、あるいは、それが予算と全部ひもづいているんだというふうにするから、毎年度評価しなければいけないし、非常にメリハリがないものになっていってしまうわけなので、上山さんが言われたように、ちょっと時間をとって、本当に全部これをやるのかとか、本当に予算と全部リンクをとっていかなければいけないものなのかなど、議論していく必要があるのではないか。
     例えば、先ほど私が、10万人を20万人にしましたというのもわかりにくいと言いましたのは、どういうことかというと、要するに予算を増やしますというふうに見えてしまうという意味なんです。ですから、何でもかんでも全部ここに突っ込むという形ではない、何に重点を置くんだということを、1年間なり、半年でもかけて、本当に議論する。その議論の中に我々も参加していくということでもいいのではないかと考えています。
    【大住委員】 先ほど上山委員がご指摘されたことを受けてということになるかもしれませんが、実は今日拝見した資料も政策が26ありまして、もちろん巨大官庁なのでこれだけの政策群があるということは重々わかるんですけれども、ただ、今まで3年間やられてきたことが、おそらく現行で総務省が担っている政策業務の整理だったんだろうと思うんです。
     更にそれを政策体系としてきちっとしたものをつくろうとすると、多分、アプローチが2つあって、まず第1に、この政策を更にグループ化して、総務省のミッションあるいはビジョンのようなものに取りまとめていく。こんなことができれば、おそらくそちら側から政策体系が整理されていく可能性があるのではないかなと思うんです。ミッションやビジョンを設定するときに、今さっき上山委員が言われた京都議定書的なものが使えるかもしれないし、世間一般で、よくマスコミで取り上げている指標の中には、それなりの理由があって指摘しているものが相当あるので、それをうまく取り込むことによって、総務省側からのメッセージが国民に対してもわかりやすく伝わっていくのではないかなという気がします。
     ですから、政策体系を整理するという意味と、国民に対するアカウンタビリティーを果たすという面で、おそらく非常に大きなメリットがあるのかなと思うんです。
     もう一つの整理の仕方は、おそらくこれは北大路先生が言われたことなんですけれども、具体的に進めていくレベル、実施のレベルですけれども、施策、事業、ここの詰めをやっていく。見やすい、わかりやすいところをつくっていく。成果が出やすいところでとりあえずぐるぐるやってみる、回してみるということだろうと思いますけれども、それは、時間の関係もあるので、今後1年かけて検討していくということでいいのかなと思うんです。
     いずれにしても、上山委員が言われたことを受けて、私は、26の政策ではなくて、省としての顔が見える、もう少しコンセプトが明確になるようなものをつくり上げていったほうがいいだろうと思うんです。それをすることは、政策評価そのものかどうかわかりませんけれども、省としての重点化の議論の道筋を開くのではないかなと思います。
    【中邨座長】 相当時間もたちました。多賀谷委員、どうぞ。
    【多賀谷委員】 確かにそれは難しい話で、基本的にこれは学問なのか、政治なのかという話になってきまして、現実に今、総務省自体が、3つの省庁が入ってきて、どういう政策をとるんだという全体的な方針がはっきりしていないでしょうし、しかも、これで見直している最中に、今現在、竹中委員会等で通信分野について省庁再編という議論になっている。それは実現するかどうかわかりませんけれども、そういう戦略的、あるいは、それこそ政策的な話と絡まっているので、そこをどういうふうにいくか。
     私は、感じとしては、省としてどういう方向に行くべきかということをこの評価会で決めることはおこがましいことで、それはできないだろうと思います。しかし、現実に、それについてこういう視点もあるよということを見せることはできるだろうと考えます。
    【滝澤委員】 今の後半の議論にも絡むんですけど、「政策評価に関する基本方針の改定について」という資料2の、3ページのところで明確に言われているような気がするんですけれども、1の(1)の上から5行目、政策評価は、Plan、Do、Seeを主要な要素とする政策のマネジメント・サイクルの中に制度化されたシステムとして明確に組み込むという大きな方針が出ているわけですが、今の議論は、まさに政策を企画立案するところまで踏み込まなきゃいけないよという議論に私には聞こえるんです。
     ですから、ここの方針をどうとらえていくかという、この評価会の役割、そこも非常に関係してくるような気がして、今のお話を聞いていたんですけれども、きょうは目標設定が中心ということでしたが、やっぱり本質的な議論を一回しておかなければいけないような気がいたします。
    【中邨座長】 ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。
     本日、大変貴重なご意見をいろいろいただきまして、我々の委員会は3年目になりましたでしょうか、一つの節目に来たんだろうと思います。本日の一番の重要なキーワードはやはり「変化」とか「改革」ではないかと思いますが、皆さんから、確かに今ちょうど改革の時期に来たので、これから新しいバージョンというご指摘がありましたが、その中身についてやや不満だというご意見が非常に多かったように思います。
     特に、確かに多賀谷先生がおっしゃったように、制度官庁としていろいろな問題を指標化することは難しいけれども、しかしそれでもなお、無理やりにと言うのは語弊があるかどうか知りませんが、指標化してきたものを何とか生かすためにはこれから何をすべきかということについて、さらに討議を進めるべきだという大変貴重なご意見がございました。
     さらに、政策とか施策についての基本的な体系の改革、特に総務省の各部局間の有機的な連携とかヒエラルキーのチェックというお話があったと思います。
     具体的には、上山委員から、ラスパイレスを含めて既に普通名詞化しているような指標を使うことが重要ではないかというお話と、もう一つは、京都議定書のような誘導型のインデックスも必要ではないかというお話があったと思います。
     それを踏まえて、大住委員からも、政策のグループ化、今26政策がありますが、それをもう少し整理、統合してグループ化して、それぞれにビジョンというものも考えてみてはどうか。そういうことから、総務省のコンセプトといいましょうか、そういうものが明確になるのではないかというお話があったと思います。
     更に詳しくは、荒巻委員からは、何でもかんでも取り込むのではなくて、できれば政府の信頼性を1つでも2つでも上昇させるためには、脚注という創意工夫を取り込んだ政策評価も必要ではないかと。
     そのほか、たくさんの皆さんから、どうも今回の新しいバージョンは手続論に傾斜しているところがあるので、将来、次年度に向けては、この委員会でさらに中身についても詳しく検討してみてはどうかというのが、皆さんの共通したご意見であったかなと思います。
     大変いろいろな、活発なご意見を頂戴いたしましたが、本日の議事録及び議事要旨につきましては、後ほど総務省のほうでおまとめいただきまして、各委員にご確認いただくということになろうかと思います。既に12時近くになっておりますので、本日の議論はこのあたりにしたいと思います。どうもいろいろとありがとうございました。
     それでは課長、よろしくお願いいたします。
    【野上政評課長】 本日は、長時間にわたりまして、大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。最後に、阪本政策評価審議官から一言ごあいさつさせていただきます。
    【阪本政策評価審議官】 最後に一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
     本日は、大変貴重なご意見を賜りましてありがとうございました。政策評価制度、法律が施行されましてから3年ということでございまして、まだまだこれからいろいろ改善していかなければならない点はあるんだろうと思っております。そういう中で、総務省としても今後積極的に取り組んでいかなければならない課題が多いわけでございます。
     本日は、大変根本的な課題も含めまして、幅広い貴重なご意見をいただきました。最後に座長から総括していただきましたように、非常に難しい問題が多いわけでございますけれども、要は政策をきちんと評価して、それを新たな政策にきちんと反映させていくということだと思いますので、数値目標につきましては、国会とか与党でご審議いただくもの、あるいは国民の世論とかマスコミの論調を踏まえまして、政策に反映していくものなど、幅広く、いろいろなレベルがあるわけでございまして、体系表に取り込んでいくのがなかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、本日いただきました様々なご意見を踏まえまして、18年度、すぐ取り込めるものはなるべくそういう形でやりたいと思いますけれども、1年ぐらいかけてやったらどうかということもございましたので、そういう根本的な問題につきましては、もう少し長期的に検討させていただきたいと考えております。
     引き続き今後とも、貴重な、忌憚のないご意見をいただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
    【野上政評課長】 それでは、以上をもちまして本日の評価会を閉会させていただきます。ありがとうございました。


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