平成18年度第3回総務省政策評価会議事要旨

  1.  日時:平成19年2月21日(水)1500分〜1620

  2.  場所:総務省9階 第三特別会議室

  3.  出席者:
     
    中邨 章      明治大学大学院長・副学長
    荒巻 禎一   前京都府知事
    上山 信一   慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
    小澤 浩子   赤羽消防団団本部分団長
    北大路 信郷   明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
    國井 秀子   株式会社リコー常務執行役員
    ソフトウェア研究開発本部本部長
    多賀谷 一照   千葉大学法経学部教授
    村本 孜   成城大学社会イノベーション学部長

    総務省出席者】
      山川大臣官房総括審議官、村木大臣官房政策評価審議官、
    渡会大臣官房総務課長、下河内大臣官房会計課長、吉崎大臣官房企画課長、
    岩田大臣官房政策評価広報課長、河内大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1)  平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について
    (2) その他

  5.  配布資料(PDF)
     
    資料1  「総務省が実施した政策評価についての総合評価」(案)のポイント
    資料2  「総務省が実施した政策評価についての総合評価」(案)の構成イメージ
    資料3  今後のスケジュール(案)

  6.  評価会においてメンバーから出された主な意見等:
    議題1【平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について】

     資料1で大事な論点をきちんと俯瞰している。しかし、体系的にとらえられているかとか、評価の正当性についてはまだ詰めるべきところがある。
     資料2の目次の「3 「総務省が実施した政策評価」における取組の実施状況及び有効性の検証」の(3)、(4)、(5)は、評価方式ごとに評価書作成上の作業、手続きを並べるものに過ぎないのではないか。また一方「評価書の公表」「評価結果の政策への反映」も同じ章に記載され、総論と各論が混在している。評価方式ごとの手続と評価そのものは異なるので、(3)、(4)、(5)は別の章にすべき。
     総合評価である以上、これまでの5年間を振り返って検証すべき。単に「前年度にやった評価方法を見直して、次年度に反映する」というツールのモデルチェンジでは不十分。
     すなわち総務省は、この5年間、指標の見直しや政策の大くくり化による政策体系の見直しなど、試行錯誤をしてきた。これは政策評価にきちんと取り組んできた証拠でもある。悩みながら中味をバージョンアップしてきたのであり、そうした5年間の歴史、活動を振り返ってトータルとして評価すべき。
     資料2の「2 「総務省が実施した政策評価」における取組の構造の検証」の箇所について、既存の「基本計画」を抜粋してはりつけて掲載する予定になっている。これでは意味がないのではないか。

     総合評価書では、3つの評価方式ごとの記載にこだわることはないのではないか。総務省では実績評価に大きなウェートを置いているなら、そこに焦点を当てた構成としてもよいのではないか。
     資料2の目次については、評価書の中身、コンテンツが揃ってから編集方針をチェックすればよいので、資料1で示された総合評価書案のポイントを中心に議論した方がよいのではないか。
     これまでの取組が動的に把握できるような評価書にして欲しい。

     政策評価と予算との連携を進めているとのことだが、政策評価の実施頻度に関しては複数年度を対象とすることも考えている一方、予算は単年度主義であるなど、両者の観点は異なる。
     また、評価結果として評価書に記載している「端的な結論」は、類型II2ならば成果が上がっており予算は継続、類型III3ならば何らかの課題があるので見直しをするという前提である。今後、有効性に焦点を当てて分析するとのことだが、予算から見れば必要性が重要だと思われる。有効性を中心に評価結果を表すことで、問題はないのか。
     また、「財務省に対してどの政策を優先的に予算要求するのか」という判断と政策評価を関連させるのか、あるいはその判断は別にすべきなのか、を考えておく必要がある。

     有効性の観点からの評価がこれまで十分にできなかった理由を分析すべき。
     今後、有効性の観点から評価しようとした時、実は目標の立て方自体に問題があった等、抜本的な対応が必要となることも考えられる。
     有効性について分析しろと言われても、担当者は書きづらいのではないか。必要性、有効性、効率性の3つの観点は絡み合っており、別々に議論するのは難しいのではないか。

     政策評価の結果(端的な結論)については、類型II2とIII3の違いが不明確。
     また、実際の評価結果は全て類型II2かIII3のどちらかである。国民からは全て同じに見えてしまうのでかえってわかりにくい。
     今後、有効性の観点を中心に評価するとしても、これまでと同様に各類型が抽象的な文言となり、違いがないという事態も考えられる。
     有効性の観点からきちんと論理的に評価できるよう、各部局の担当者にしっかり意識をもってもらうことが重要。

     有効性分析は、かなり主観的なもの。それを如何に客観的なものにするかということだろう。

     評価制度を導入する目的として、費用対効果の意識を職員に持たせるという点があった。これは重要な要素だった。この5年間で職員に浸透しつつあることは大きな実績。
     また、行政の説明責任という要素もあるが、インターネットによる評価書の公表等を通じて、国民に浸透させてきたのではないか。
     更なる定着のために、予算との連携も含め、今後も努力して欲しい。
     白書等との作業の重複感など、他の報告書との関係がまだ整理できておらず、役割分担が明確でないので、住み分けを政策評価の立場からアピールしてはどうか。
     この評価会は、評価のルール作りや理論の深化、評価の質の向上などに取り組んできた。今後も、各部局が評価作業を繰り返してみて、やはりルール自体を見直さないといけないとなった場合に、評価会が提言をしていくべきではないか。

     政策評価と予算との連携が進むと、評価をより厳密に実施せざるを得なくなる。毎年度評価すべき政策と、複数年度に一度評価する政策とがあると、全体としては予算との連携が難しいのではないか。
     新しい政策をどのように捉えるのか、効率性の分析をどうするのか等、マトリックスで考える必要があるのではないか。

     今回の総合評価は「評価の評価」であり、高い品質が要求される。
     目次の構成は、早い段階でしっかり議論し、先に作成すべき。
     評価のための材料は十分揃っており、これ以上集める必要はない。現段階でストーリーラインは書けるのではないか。
     資料1は、現段階ではまだ定性的な記述に留まっている。例えばアンケートでの意見を引用する、アウトカム指標の比率を掲載する等、参考データを用いて根拠を示し、具体性を持たせる必要がある。参考データから積み上げて評価書を作成すべき。
     資料1の9「学識経験者の知見の活用」においては、当評価会の活用のあり方についてが記載されている。しかし、これは見当違い。この項目は各部局における学識経験者の知見の活用状況を記載すべき。どの程度知見を活用しているのかのデータが参考資料にもある。その率を今後どう改善していくかを分析すべき。

     人件費、共通経費はこれまで評価の対象ではなかったが、もし評価するのであれば例えば設備費においては効率性の分析が検討され得るし、人件費もどこにどれだけ使うべきかという面がある。しかし、政策評価とつながるかどうかは難しいところ。

     これまでの5年間、政策評価によく取り組んできたと考えている。
     総合評価書では、これまでの政策評価の成果と、政策評価実施体制の評価を別々に記載した方がよいのではないか。
     行政学ではいかに上手に政策を終わりに導くかという「政策終了」が注目されている。今後は、政策からの撤退ルールを決めておくという手法も検討すべきだろうか。
     国外では、ポスト政策評価として、政策評価を反省、修正する取組があるようなので、評価会でそうした面を考えていくという姿もあるかもしれない。


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