防衛庁において、装備品等の購入等を行う調達業務は、装備品等の保管、配送等を行う補給業務及び装備品等の維持管理等を行う整備業務とともに、自衛隊の部隊行動を支える重要な後方支援業務の一つであり、自衛隊がその任務を遂行するためには、これらの後方支援業務が効果的に機能することが重要である。
調達に要する経費についてみると、平成11年度の実績では、調達実施本部が艦船、航空機等の主要なもの等について行う中央調達が1兆2,638億円、陸上、海上、航空の各自衛隊等が糧食等現地調達を便とするもの等について行う地方調達が6,641億円、合計で1兆9,279億円となっており、防衛関係費の約4割と大きな部分を占めている。防衛庁においては、現在、競争状態にないなどの一定の条件に当てはまる装備品等について、単価の低減目標を設定する等装備品の調達コスト削減に向けての取組が行われている。しかし、厳しい財政事情の下、「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成7年11月28日閣議決定。いわゆる「防衛大綱」)に示された防衛力の水準を維持するためには、調達に要する経費の抑制が引き続き不可欠であると考えられる。
しかしながら、装備品等については、特殊性を有するものが少なくないことを理由として、指名競争契約や随意契約による調達が多く、競争性の発揮が不十分な面が往々にしてみられるところであり、契約方式の選定に関するチェック機能の強化等によりコスト削減に向けた一層の改善が求められている。
また、調達に係る入札手続等については、一層の透明性の確保が課題となっている。
一方、自衛隊の部隊が、その任務を円滑に遂行するためには、多数の装備品等が品目によっては大量に必要とされ、これらの装備品等が部隊の必要に応じ効率よく補給されることが重要であるが、補給業務については、業務の迅速化、需要予測や在庫管理の適正化などを通じたコスト削減や業務運営の効率化などが求められている。
総務庁は、このような状況を踏まえ、主として調達コストの低減の観点から、防衛庁の調達業務、補給業務等の全般について幅広く調査を実施することとし、平成10年4月から、調達実施本部及び陸上自衛隊を対象として、また、11年12月からは、海上自衛隊及び航空自衛隊を対象として調査を実施した。
このうち、調達実施本部が行っている調達業務については、調査過程の平成10年秋に不祥事が発覚し、その透明性・公正性の確保が急務となったため、最優先で調査を進め、11年3月に必要な改善方策を勧告した。また、平成12年1月には、陸上自衛隊における調達業務等を中心に勧告を行った。今回は、海上自衛隊及び航空自衛隊における調達業務及び補給業務について勧告を行うものである。この勧告を含めた3本の勧告の指摘事項を踏まえ、防衛庁において、調達実施本部、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊における調達業務、補給業務及び整備業務がより一層効果的に機能するよう、業務全体の見直し、改善が図られることが必要である。
1 | 調達業務の適正かつ経済的な実施 | |
(1) | 一般競争契約の拡大等 | |
(2) | 競争性の適切な発揮 | |
(3) | 指名業者数の拡大 | |
(4) | 予定価格の決定方法の適正化と競争の活性化 | |
(5) | 契約に係るチェックシステムの充実等 | |
(6) | 監督・検査等の公正性・効率性の確保 | |
2 | 補給業務の迅速かつ効率的な実施 |