中高層分譲共同住宅の管理等に関する行政監察

の結果に基づく行政監察局長通知事項

 

 

平成11年11月

総 務 庁


前 書 き

 昭和30年代から東京、大阪の二大都市圏を中心に建設され始めた中高層分譲共同住宅(以下「分譲マンション」という。)は、その後の地価高騰による土地の入手難、職住接近等の要請を背景として、全国の都市部で建設が開始されるようになり、46年に17万9,000戸であったものが、50年に51万1,000戸、60年に151万2,000戸、平成7年に295万7,000戸、10年には351万9,000戸にまで急激に増加している。また、我が国の新築持家総戸数に占める分譲マンション戸数の割合は、近年20パーセントを超え推移しており、都市圏における持家総戸数に占める分譲マンション戸数の割合も、京浜葉、中京及び京阪神の三大都市圏で17.5パーセントと高い割合を占めている。
 分譲マンションは、区分所有者が居住する専有部分を除く建物、敷地等が区分所有者の共有という戸建て住宅にはない特徴を有している。このため、分譲マンションには、区分所有者による管理ルール(管理規約)の策定や区分所有者の団体(以下「管理組合」という。)による管理の実施など特有の管理手法を必要とするが、区分所有者や管理組合は、管理ルールについての知識が乏しかったり、分譲マンションの管理に関するノウハウを有していないため、分譲マンションの管理を専門の管理業者に委託することが一般的である。また、分譲マンションの取引は、購入者にとって高額な対価を支払い財産を入手することであり、販売者である宅地建物取引業者は、購入予定者に対し、物件に関する権利と義務の内容を的確に周知することが必要となっている。
 総務庁は、過去2回(総務庁の前身である行政管理庁において実施したものを含む。)にわたり分譲マンションに関する行政監察を実施し、分譲マンションの管理規約や管理組合と管理業者との間で結ばれる管理委託契約の重要性、分譲マンション販売後における売主責任の重要性等に着目した勧告を行った。これを受け、建設省等においては、1)管理規約の標準的な規定内容を示した中高層共同住宅標準管理規約の策定(昭和57年1月住宅宅地審議会)、2)管理委託契約の標準的な規定内容を示した中高層共同住宅標準管理委託契約書の策定(昭和57年1月住宅宅地審議会)、3)分譲マンション管理業者の登録制度の創設(昭和60年8月建設省告示)、4)アフターサービス規準の充実(平成5年3月社団法人日本高層住宅協会、同年7月社団法人不動産協会)、5)中高層共同住宅標準管理規約、中高層共同住宅標準管理委託契約書の周知徹底といった施策が講じられてきている。
 この監察は、建設省等により実施されているこれら分譲マンションに関する各種施策の浸透状況等を把握し、分譲マンションの管理の適正化、区分所有者の利益の保護等に資することを目的として、総務庁の地方支分部局である管区行政監察局等が地方監察として実施し、その結果を都道府県等に参考連絡してその自発的な改善を促進するとともに、本庁において、管区行政監察局等の調査結果を踏まえ、分譲マンションに関する課題の改善が図られるようその諸方策を検討したものである。


目  次

1 管理業者業務の適正化
2 重要事項説明等の充実
3 標準管理委託契約書の見直し等