国民健康保険の被保険者数は、平成10年度末現在、公的医療保険の被保険者等数1億2,606万人の約3分の1に相当する4,545万人となっている。また、国民健康保険の支出額及び国民健康保険への国庫補助金等の額は、高齢化の進行、医療の高度化等により、年々増加の一途をたどっており、平成10年度には、それぞれ8兆7,198億円及び3兆1,267億円に上っている。
市町村は、国民健康保険事業の実施を義務付けられており、平成10年度末現在の保険者数は3,249市町村となっている。市町村が行う国民健康保険事業の経営状況をみると、平成10年度においては、全国の55.9パーセントの市町村が経常収支で赤字を計上しており、事業経営の健全化が大きな課題となっている。このため、被保険者の適用及び保険料徴収の適正化による保険料収入の確保を図る一方、療養給付費等の支払の適正化、被保険者の健康の保持増進のための対策が総合的、効果的に講じられることが重要である。
また、国民健康保険組合(平成12年4月末現在で全国に166組合)については、総じて組合員の所得が高額である組合に対しても高率の国庫補助が行われている等の指摘があり、厳しい国家財政状況の下で、その見直しが求められている。
さらに、保険医療機関等が保険者に請求した医療費について、国民健康保険団体連合会における診療報酬明細書の審査により減額された場合は、被保険者が既に保険医療機関等に支払った一部負担金の調整問題が発生するが、この返還が不十分との指摘がある。
この監察は、国民健康保険事業の運営の健全化等を図る観点から、国民健康保険事業の運営状況、事業運営に関する国の助成措置状況、診療報酬の減額に伴う支払済一部負担金の返還状況等について調査し、関係行政の改善に資するため実施したものである。
1 市町村国保事業の運営の健全化 | |
(1) 適用事務及び保険料(税)徴収事務の適正化 | |
(2) レセプト審査・点検の在り方の見直し | |
2 国民健康保険組合に対する国庫補助の見直し | |
3 保健事業の効果的実施 | |
4 診療報酬の減額に伴う支払済一部負担金の調整 |