我が国の21世紀初頭における高規格幹線道路網(高速自動車国道及び建設大臣の指定に基づく一般国道の自動車専用道路等で構成)の整備目標の延長は、昭和62年の第四次全国総合開発計画における「交流ネットワーク構想」に基づき、全国のほぼ全市町村からインターチェンジまで1時間以内で到達可能な約1万4,000キロメートルとされている。
高速自動車国道は、昭和32年に建設に着手されて以来、借入金をもって建設を進め、完成後の料金収入により管理費及び利息を賄いつつ、その借入金を返済する有料道路制度によって整備が進められており、高規格幹線道路の供用延長は、平成10年度末現在
7,377キロメートル(整備目標延長の53パーセント)に達しており、我が国の高速ネットワークの進展や経済発展に寄与してきた。
現在、21世紀初頭に約1万 4,000キロメートルの概成を図るべく、道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)に基づく「新道路整備五箇年計画」(平成10年5月29日閣議決定)
では、平成10年度以降5年間の高規格幹線道路整備の事業費総額を約15兆円と見込むなど、引き続き大規模な事業投資が予定されている。
このうち日本道路公団の高速自動車国道や一般有料道路については、近年の社会情勢の変化から交通量の大きな伸びは期待できない状況にあり、今後の整備や管理に当たっては、国民・利用者の理解を得る観点からも料金上昇の抑制を図りつつ、事業の一層の透明性・採算性の確保を図ることが課題となっている。
また、本州四国連絡橋公団の本州四国連絡道路については、供用後10年を経過した児島・坂出ルートの利用交通量が、近年の社会経済情勢の変化等により、供用当初の見込みを大きく下回っている状況下で、神戸・鳴門ルート(平成10年4月)、尾道・今治ルート(平成11年5月)が順次供用開始されたが、日本道路公団と同様の観点から、安定的な整備費用の償還を行うとともに事業の一層の透明性の確保を図ることが課題となっている。
このような状況の下、これらの道路の建設や管理を行う両公団においては、業務の一層の合理化・効率化の推進が課題となっている。 政府は、平成7年2月24日及び9年12月26日の閣議決定において、日本道路公団については、執行体制の効率化、事業拡大に当たっての組織・人員の増加の極力抑制等を行うことを、また、本州四国連絡橋公団については、3ルートの概成時点で、組織の大幅縮小、要員の大幅削減を行い、長大橋技術の継承・高度化を図ることを目的として管理を主たる業務とする体制に移行することを決定しており、これらの着実な実施が求められている。
この監察は、このような高規格幹線道路をめぐる現状にかんがみ、また、上記閣議決定を踏まえ、高速自動車国道、一般有料道路等の整備状況並びに日本道路公団及び本州四国連絡橋公団の経営状況を調査し、関係行政の改善に資するため実施したものである。
1 有料道路事業の透明性・採算性の確保 | ||
(1) 高速道路事業の透明性・採算性の確保 | ||
(2) 一般有料道路事業等の透明性・採算性の確保 | ||
ア 道路公団の一般有料道路 | ||
イ アクアライン | ||
ウ 本州四国連絡道路 | ||
(3) 情報公開の促進 | ||
2 業務の合理化・効率化等 | ||
(1) 業務委託経費の節減 | ||
(2) 競争性導入の促進 | ||
(3) 組織・要員の合理化 | ||
ア 組織・体制の見直し | ||
イ 要員管理の適正化 | ||
(4) 利用者サービスの促進 |