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3. 障害者支援の専門家(作業療法士)の視点からみた提案

本章では、ICT支援に既存の専門機関あるいは、専門職が関わることで、ICT支援そのものの改善を図り、かつ、それを継続的に支える支援基盤の構築という観点で、課題と提案を整理する。
「障害者のIT利活用支援の在り方に関する研究会」の提言ならびに、今回の実証事業において、ICT支援をより効果的にあるべき姿に近づけるためには、支援基盤の整備にあたって、障害者支援の専門職に専門家の視点から、かかわってもらうことが必須であることが指摘されている。
そこで、社団法人日本作業療法士協会の協力を得て、支援基盤整備における作業療法士の視点からのデータ整備の方向性ならびにその内容を検討する「データ整備研究会」を設置した。メンバーは、日本作業療法士協会から推薦された4名とし、3回の研究会を開催した。

(1)ICT支援における障害者支援の専門職とICT支援団体の役割分担

現状では、ICT支援を担う支援者の報酬を生み出す仕組みがないため、ICT支援団体に障害者支援の専門職が配置されることが難しい。したがって、多様な専門機関に配置されている既存の専門職がICT支援のノウハウを身につけることで、専門職とICT支援団体が、支援ステップごとに、主たる担当と、補佐的な支援とを分けて担う形をとり、効果的なICT支援を実施することが望まれる。たとえば、以下のような役割分担が想定される。

上記のような形で、専門職がかかわった場合、実証用ポータルサイトで提供している情報に加えて、ニーズ把握の手法、技術の活用と支援方法、情報収集の方法、情報の見方、機器の選び方、フィッティングの方法、評価・フォローの方法など、専門職として活用したい情報も同時に提供されることが重要になってくる。
これらも含め、今回のポータルサイトの「ICT支援の手順とポイント」の機能ならびに、「製品情報」「事例情報」等を、ICT支援のガイドラインとして、バージョンアップし、既存の専門職ならびにICTの支援者が共通の認識で支援に取り組める環境を作ることが必要である。

「ICT支援の手順とポイント」バージョンアップ例 ― ICT支援ガイドライン ―
ICTサポートのハウトゥー (How to)

(2)ICT支援における課題解決に向けた日本作業療法士協会の役割

ICT支援における今後の課題としては、下記の点が挙げられる。

ICT支援における今後の課題

上記の課題を踏まえ、データ整備検討研究会では、障害者支援の専門職の中でも、作業療法士(OT)に焦点をあて、OT自身が、かつ、職能団体である日本作業療法士協会が、課題解決に向けて、どのような役割を果たすべきかを検討し、そのポイントを次のように整理した。

課題解決に向けたOT協会の役割

今後、ICT支援をきちんとしたプロのサービスとして定着させるためには、日本作業療法士協会ならびに作業療法士(OT)の協力が欠かせない。その体制が実現すれば、ICT支援基盤機能としても、より高度な機能の付加と情報の追加が実現する。


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