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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」
(第6回会合)議事要旨



  1.  日時
     平成18年9月22日(金) 1000分〜1200

  2.  場所
     総務省 第1特別会議室(8階)

  3.  出席者
    (1)  構成員(五十音順、敬称略)
       石橋庸敏、音好宏、小池不二男、後藤滋樹、多賀谷一照、竹岡哲朗、寺坂和利、中村正孝、藤咲友宏、森忠久、森田圭、山口博續、山下東子、山本隆司
    (2) 総務省
       鈴木情報通信政策局長、中田大臣官房審議官、南放送政策課長、武田衛星放送課長、大久保放送技術課長、大西地域放送課長、本間地域放送課技術企画官、梅村地域放送課課長補佐

  4.  議事内容
    (1) 開会
    (2) 報告
        ア) ケーブルテレビの地上デジタル放送対応ロードマップ
        イ) ケーブルテレビ事業者の平成17年度経営状況
        ウ) IPマルチキャスト放送についての著作権問題の検討動向
        エ) ケーブルテレビの技術動向
      討議
        ア) ケーブルテレビをめぐる諸課題
        イ) 2010年代初頭におけるケーブルテレビの姿
    (3) 閉会

  5.  主な議論
     事務局から「『2010年代におけるケーブルテレビの在り方に関する研究会』の今後の進め方について(案)」(資料6-1)、最近のケーブルテレビに関連する行政等の動向(資料6-2〜6-5)、「ケーブルテレビをめぐる諸課題(案)」(資料6-6)及び「2010年代初頭におけるケーブルテレビの姿(案)」(資料6-7)について説明を行った後、それぞれついて以下のような質疑応答・討議が行われた。


    (1)  最近のケーブルテレビに関連する行政等の動向
    •  資料の中でITU−T SG9について紹介されていたが、当該会合に出席する米国の専門家を講師に招き、日本ケーブルテレビ連盟、日本CATV技術協会、日本ケーブルラボ主催で29日にセミナーを開催する。

    •  CSデジタル放送でも、HD化を目標としており、それをケーブルテレビで再送信するための技術基準が検討されることは歓迎。

    (2)  ケーブルテレビをめぐる諸課題
    •  条件不利地域でのケーブルテレビの普及については無線の利用も検討してほしい。

    •  「IPマルチキャスト放送(IPTV)と従来型ケーブルテレビとのイコールフッティングの確保」については、IPマルチキャストに適用される制度をケーブルテレビの制度に合わせることが基本と考える。

    •  プライマリー電話を始めとした新サービスを行う際、一事業者だけでは経済的に成り立たない場合もある。ケーブルテレビ業界全体で取り組むことも検討すべき。

    •  資料で列挙されているケーブルテレビの将来像は、公共性に軸足を置くものと商業性に軸足を置くものが混在している。どちらかに収斂しないとうまく行かないのではないか。
       都市型が商業性、ローカルが公共性、とそれぞれに異なる方向性に軸足を置く方法もあると思う。

    •  ケーブルテレビの課題を抽出する際、地方公共団体とケーブルテレビ事業者が一体的にどういうふうに仕事をしていくのかという観点が重要。

    •  都市型ケーブルテレビでBSデジタル放送の再送信が拡大する一方、地方のMPISでは進んでいない。「地上デジタル放送の再送信への対応」とともにBSデジタル放送への対応も必要。

    •  アナログ停波後の空き周波数の利用について、ケーブルテレビがVHF帯を利用している場合、後から新規に入ってきた放送事業者が当該周波数帯を利用しようとして混信した場合、後から利用した放送事業者が補償することとなるのか。
       空いたVHF帯の利用については、現在どのようなサービスに割り当てられるか検討されているところ。
       電波法では、無線局は混信から保護されるが、ケーブルテレビは保護されない。新規に開局した放送局がケーブルテレビに混信を与えるため放送局が補償を行った例もあると聞いているが、あくまで当事者間の合意に基づくものであり、法的な責務を負わされるものではない。

    •  現在、OFDMを使うコミチャンが1chチャンネル(リモコンのチャンネル)あるが、「ケーブルテレビのコミュニティチャンネルの充実」は、chチャンネル数を増やすという意味もあるのか。
       当研究会で以前にヒアリングを行った中海テレビは複数のコミュニティチャンネルを提供しており、数の充実という方向性もあり得ると考える。デジタルコミチャンのリモコン番号について、ケーブルテレビ連盟のガイドラインでは地域ごとに1chチャンネルを想定している模様であるが、制度的に規定されているものではなく、あくまで現状のニーズを前提とした当事者間の合意によるもの。今後複数chチャンネルとなるか否かについても当事者間の合意による。

    •  西会津町の公設公営のケーブルテレビは地域社会に貢献しており、保健・医療・福祉のトータルケアの町づくりに必要なもの。商業ベースで運営することとなると、町づくりのためのケーブルテレビの利用は難しくなる。

    •  資料中「条件不利地域等におけるケーブルテレビの貢献」との表現があるが、地上デジタル放送への完全移行が前提であって、その際に一部地域をケーブルテレビが受け持つというスタンスだったはず。結論としては同じになるかもしれないが、最初から条件不利地域があるという考え方ではないのではないか。

    •  ケーブルテレビは地域独占で提供される場合が多いので、利用者の観点からは、利用料金の在り方についても検討すべき。
       通信事業者が提供する映像配信サービスとの競合も生じてきており、むしろ現状の料金体系のままで今後も成り立つのかという観点もある。

    •  STBが高度化しホームネットワーク化が進むと、ケーブルテレビに加入するとロックインされる(逃げられなくなる)おそれがあり、視聴者の選択の幅が狭まるのではないか。
       事業者側の戦略として利用者を囲い込もうとすること自体は自然なこと。また、STBの標準化の進展や通信事業者の競合サービスが登場する可能性などを考えると、本当にロックインが生じるかどうかはなかなか予測できない。

    •  今後、ケーブルテレビ産業は、もっと大きくなる可能性もあり、その過程でさらに再編が進むことも考えられる。ケーブルテレビの歴史的経緯からすれば、公共性・商業性のどちらも必要であり、双方を見据えた制度的な枠組みが必要。

    •  都市型(MSO型)と公益ケーブルでは、ビジネスモデルが違う。また、MSOが大きくなれば、番組提供という観点から衛星放送のプラットホームとの競合も考慮して検討を進めるべき。

    •  「IPマルチキャスト放送(IPTV)と従来型ケーブルテレビのイコールフッティングの確保」については、通信・放送の分類や著作権の在り方など、当研究会でも十分議論すべき。
       放送法制と知的所有権の法制を必ずしも一致させる必要はないとの考え方もある。

    •  従来の日本のケーブルテレビ業界は、米国の技術をそのまま輸入してきたが、今後は日本が先行しているFTTHなどの独自技術を世界に発信していかなければならないと考える。


    (3)  2010年代初頭におけるケーブルテレビの姿(案)
    •  BtoCにおいてはハード(回線)とソフト(コンテンツ)を一体的に提供するサービスモデルが採られてきたが、BtoBにおいてはケーブルテレビ事業者がハードのみ提供し、ソフトは他の事業者が提供する、という形態もあり得る。

    •  市町村合併により、一つの自治体に複数のケーブルテレビ施設が存在する場合がある。そういった場合の指定管理者制度の利用などについて検討すべきではないか。
       指定管理者制度は自治体がケーブルテレビを運営していく選択肢であり、当事者がそれも含めて適切な形態を採用すればよいと思われる。

    •  米国はケーブルテレビの普及率が高く、日本においても米国並みに普及すれば、ケーブルテレビの市場規模が現状の2倍になる可能性もあると思われる。今後の市場規模の見通し等も含めて議論すべき。


(以上)


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