(1) MSOと農村型ケーブルテレビの今後の方向性等について(資料8-1) |
○過去、他業種でも、都市部で発展し地方に展開している。アメリカでも、小規模のケーブルテレビ事業者がMSO並みの経営判断をしており、小規模の事業者だけでは対応が難しい場合には、MSOからサービスを買っている。 |
○「地域密着」とは、地域に根を張って営業しているという意味と、地域の安全・安心・教育などを支えるコンテンツを提供している意味の両方があるのではないか。ローカルなケーブルテレビ局が「地域密着」をどのように活かしていけるか、また、通信事業者とのアライアンスをする上でも、どのように生き残っていけるかを考えるべき。 |
○たしかに「地域密着」には、企業を支える営業体制・地域の顔としての意味と、地域の安全・安心・教育などの豊かなローカル性を発展させ、高齢化社会への貢献などコンテンツの内容の2通りがある。
現在のケーブルテレビの強さはコミチャンなどコンテンツで、それを支える体制として地域に根ざした営業体制・アフターサービスがあり、これらは表裏一体ではあるが、目的は違うものと考える。資料中の「地域密着」は、主にコンテンツに係るものと思っている。 |
○P4の「地域密着」の中身の精査が必要。また、今後起こりうるケーブルテレビの再編成において、「地域密着」コンテンツがどのように発展していくのか示す必要がある。また、自由な事業展開により、これが後退することがないよう配慮する必要があると考える。 |
○よく、地方のケーブルテレビは「地域密着」だと言われるが、実態を見ると当てはまらないものもある。安全・安心・教育など「地域密着」コンテンツの強化が必要と考える。 |
○ケーブルテレビでは、衛星放送事業者から供給された人気のある全国共通のコンテンツと、各地域の情報を併せて提供することにより、ケーブルテレビの役割を果たしていけると思う。
衛星放送の出演者がケーブルテレビの地域密着の番組に出演するなど、アライアンスを強めているところ。 |
○「MSO型」と「農村型」と分類しているが、「農村型」に入る事業者は農村に所在しているものだけではない。あえて言うなら「地方型」「3セク型」などがあるが。
「農村型」以外のネーミングを考えるべきか。 |
○MSO的な経営は効率的だが、「地域密着」を怠ると通信事業者に吸収されてしまうかもしれない。他方、「地域密着」で生き残るには経済的に難しいものもあるが、インターネットの高速化や放送のデジタル化などプラットフォームの整備については、MSO的に連携しなければならないと思う。 |
(2) 2010年代のケーブルテレビの在り方について(資料8-2) |
○ケーブルテレビは資金力が乏しく、「地域密着」コンテンツを充実させるための資金力の獲得のためのMSO化やM&Aが必要であるとの意見がある一方、資金不足はここ数年で解消しMSO化が一段落するとの見解もある。都市部と郡部の中間のケーブルテレビが将来的にどのようにすればいいのかなど、経営戦略的な問題でもあり本研究会では結論が出ないとは思うが、十分な情報がないためにケーブルテレビが間違った選択をしないよう、議論が必要。 |
○デジタル化に対応するためにMSO化は早く進み、デジタル化を乗り切って将来的な基盤を構築できた後は、あまりMSO化をしないものと考えられる。 |
○西会津町のように地域のアイデンティティを高めていこうとする事業者についても、例えば、近隣の事業者とヘッドエンドを共用するなど効率化することもできるのではないか。 |
○ケーブルテレビに資金力がないというが、もっと日本の投資家、特に大手の投資家がケーブルテレビ事業に投資する必要があるのではないか。そのためにはケーブルテレビが投資対象として魅力のあるものにならねばならない。 |
○MSO化から取り残された、投資家の投資の対象にならないケーブルテレビ事業者について、これまで地域情報の提供や地上放送の補完機能などを担ってきた側面もあり、どのようにフォローアップしてゆくべきか考える必要がある。 |
○ケーブルテレビ事業者がどこまで公共性に軸足を置くべきなのか。収益性の低い地方だけネットワーク化しても、公共サービスを担っていくのは難しい。 |
○MSO化すると、ヘッドエンドの共用などにより効率化を図ることができるが、各地域間で、同じ番組内容でも売り方が違ったり、価格体系が違うなどの課題がある。MSO化で効率を上げようとすると、地域毎の取組みを阻害する面もあり、地勢的な面も考慮する必要がある。 |
○MSO化の大きなメリットの1つは人材確保の効率化。新しいサービス(電話など)を提供するためにその専門家を社内に置かなければいけないが、MSO化により専門性の高い人材を確保しやすくなる。 |
○ケーブルテレビに加入しているのは、地域でも比較的高所得の世帯であり、マーケティング的に言えば「宝の山」である。この財産をどのように活用するかは今後の議論である。 |
○今後、ケーブルテレビ事業者は放送以外のサービスで存在意義を高める必要があるのではないか。高齢化が進展する中で、福祉サービスとの連携が考えられる。 |
○通信の分野では以前から「メディア融合」の夢がある。以前は技術が未熟だったため普及しなかったが、現在はIPによる融合という方向に進みつつある。 |
○番組供給に関するネットワーク化について、既存の民間放送事業の営業形態の中で番組供給が行われてきているために市場が拡大していないのではないか。日本のケーブルテレビ事業者がコンテンツ流通面で新たなシンジケーションマーケットという形に成長していない。番組制作のやり方を高度化することにより、オペレータを含めた市場規模の拡大につながるのではないか。 |
○中海テレビのように、ローカルコンテンツを「売れるコンテンツ」にする努力が必要。民−民の部分が多いが、諸外国の事例にもあるように、支援する方法は様々あるのではないか。 |
(3) 報告書目次案について(資料8-3) |
○本日の議論には、2015年までの中長期的な話と、当面の話が混在しており、整理する必要がある。報告書をまとめる際に留意すること。 |
○これまでの議論にあるように、ケーブルテレビは地域性・公共性といった役割も担っている。報告書では「ケーブルテレビでなければ果たせない役割」を強調できる構成にすべきではないか。 |
○「果たすべき役割」と「具体的な事業的展開」が平行して記述されているので違和感がある。公共的な役割を含め、まず「果たすべき役割」を論じ、そのためにどういう事業展開を行うべきか、という順で展開すべきである。 |