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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会(第13回)

平成19年7月2日(月)


【多賀谷座長】  ただいまから2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会の第13回会合を開催したいと思います。皆様にはご多忙の中、またこの蒸し暑い中をご出席いただきありがとうございます。それではまず最初に資料の確認をお願いします。
【井上地域放送課課長補佐】  はい、それでは本日の配付資料の確認をさせていただきます。資料は座席表、議事次第のほか、資料13−1、提出された意見及び本研究会の考え方(案)、資料13−2、「2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」報告書(案)でございます。資料の最後に前回会合の議事録及び修正履歴の見え消しをつけさせていただいております。なお、傍聴の皆様分につきましては議事録及び修正履歴の見え消しにつきましては割愛させていただいております。資料に不足等ございましたら事務局までお願いいたします。
【多賀谷座長】  よろしいでしょうか。それでは本日の議題に入りたいと思います。本研究会では前回会合まで、大分長くかかりましたけれども12回にわたる議論を重ねまして、報告書の最終案を取りまとめてまいりました。その後、意見募集に付しておりましたので、提出された意見とそれに対する本研究会の考え方、そして、報告書の最終案について今日は確認してまいりたいと思っています。
 それでは事務局よりご説明お願いします。
【井上地域放送課課長補佐】  はい、それではお手元の資料13−1、提出された意見及び本研究会の考え方(案)と資料13−2、「2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」報告書(案)に基づき、ご説明申し上げます。
 それではまず13−1、「提出された意見及び本研究会の考え方」をごらんいただきたいと思います。
 最初は個人の方からでございますけれども、ケーブルテレビの現状等々についてデータを更新するように、というものでございます。本研究会の考え方といたしましては、ご指摘のことも踏まえまして、できる限り最新の情報を記載するということにしてございます。
 2つ目、これも個人の方でございますけれども、事項の追加を希望されてございます。特に、これまではアメリカのケーブル事業の模倣であった、ケーブルテレビ事業者はFTTHの移行が絶対条件かといった意見でございますが、これにつきましては報告書の21ページにケーブルテレビの広帯域化の状況等を載せますとともに、また80ページにおきましてはFTTHを含め、合理的なネットワーク構築手法の検討を行うべきと記載しているものでございます。
 次のページ、3番目でございます。これも個人の方からのご意見でございまして、集合住宅と戸建住宅でのケーブルテレビ対応及び広帯域対応の配線についての考え方でございます。いただいた意見の2行目でございますが、受信者側へのラストワンマイルの引込問題ということでございまして、集合住宅と戸建住宅に区分できて、集合住宅の場合は修繕積立金をケーブルテレビ導入の際には充当されるケースがあって、戸建住宅の場合は個人負担にゆだねられるケースが大きいと。そのほか、1)住宅内の配線問題、分岐分配方式の採用、2)宅内増幅器の帯域問題等々掲げられております。これにつきましては、前段でご指摘の修繕積立金等につきましては、当該集合住宅に居住する住民の意思決定の問題であって、本研究会としてはコメントする立場にはないと考えております。またご指摘の1)から5)につきましては、ちょっと具体的な内容については承知してございませんが、今後必要に応じて検討されることが適当であると考えております。
 4つ目でございますが、これは株式会社オンラインティーヴィからのご意見でございます。基本的にはIPマルチキャスト事業者と従来型ケーブルテレビ事業者のイコール・フッティングの考え方でございまして、1つ目のパラグラフにあるブロードバンド化の進展、放送デジタル化の進展の中で、IPマルチキャスト放送を含むIP伝送方式がケーブルテレビ展開方法として提案され、ケーブルテレビの今後の発展の一翼を担うとする本報告書(案)はまことに時機を得たものと考えます、等々ございまして、これにつきましては本報告書(案)を支持するご意見として承りますというのが本研究会の考え方でございます。
 次のページ、スカパーJSAT株式会社からいただいた意見でございます。5番といたしまして全体に対する意見でございまして、多チャンネル市場におけるケーブルテレビの役割、それからコンテンツの充実といった観点からのご意見でございます。1つ目のパラグラフに、約1,000万世帯の日本の多チャンネル放送市場のうち、放送事業者がケーブルテレビ事業者に再送信・番組供給を行いまして、その約1,000万世帯のうち600万世帯がケーブルテレビ経由で見ておられるということでございまして、日本のコンテンツ流通市場においてケーブルテレビは重要な役割を担っていると。次のパラグラフ、本報告書ではケーブルテレビ市場の発展に向けた幾つかの役割、具体的取り組みについては記述されているが、全体、日本のコンテンツ市場の拡大に関するケーブルテレビの役割についても記述すべきと考える、とあります。研究会の考え方といたしましては、本報告書(案)、本研究会はケーブルテレビ市場に専ら焦点を当てているものでございまして、ご指摘の日本全体のような話につきましては、今後必要に応じてメディア横断的な観点から検討されることが適当と考えます。なお、本報告書(案)におきましては、多チャンネル化という観点から「放送新サービス(CSデジタルハイビジョンなど)の再送信の対応」等についても記述しているというものでございます。
 次のページ、6番といたしましてこれもスカパーJSAT株式会社からいただいたものでございます。衛星のプラットフォーム業務に関するガイドラインの改訂を行ったという事実でございまして、これにつきましては研究会の考え方としては、ご指摘の内容を踏まえ、本報告書(案)を修正いたしますとしているものでございます。
 次のページ、7番といたしまして、これもスカパーJSAT株式会社からいただいた、メディア全体での競争条件のイコール・フッティング化を図るべきといったものです。内容といたしましては本報告書(案)では有線テレビジョン放送事業者と、有線役務事業者とのイコール・フッティングについては検討されているけれども、それ以外のケーブルテレビ事業者と通信事業各事業者との競争が行われているが、それについての記述がなく、今後は現実の競合状況に即して各事業者間の競争条件が同一になるような制度整備が行われることを希望するというものでございますが、これにつきましても本報告書(案)というのはケーブルテレビ市場に焦点を当てているものでございまして、ご指摘のものにつきましては、今後必要に応じましてメディア横断的な観点から広く検討されることが適当であるというふうに考えますとしてございます。
 8番につきましてもスカパーJSAT株式会社からのご意見でございまして、主にケーブルテレビのMSOの拡大と、コンテンツの充実に関するものと承知してございます。1つ目のパラグラフ、2行目でございますが、MSO化・広域連携の進展等での大規模化により、放送番組の調達において小規模な事業者が多い番組供給者に対するケーブルテレビ事業者の交渉力が増すこととなり、その結果としてケーブルテレビ経由での多チャンネル放送加入者数は増加したとしても、番組供給事業者の収入はそれほど増えないという事態が懸念される。そういった場合には番組供給事業者によるさらなるコンテンツの充実が行われなくなり、結果としてケーブルテレビの加入者に対するサービスの向上がしないことが予想されることから、本報告書においてはケーブルテレビのコンテンツ流通市場の重要性を踏まえ、ケーブルテレビの大規模化による経営の効率化が番組供給事業者も含めたコンテンツの充実につながるようなスキームについて検討するよう記述すべき、とあります。これにつきましては本研究会の考え方につきましては、ご指摘の内容につきましては、今後必要に応じましてコンテンツ取引等の実態等を十分踏まえた上で検討されることが適当であると考えます。なお、本報告書(案)の91ページにも「競争状況の評価等を行い、公正かつ有効な競争環境の整備に係る政策展開につながる仕組みを検討するべき」と記載させていただいているところでございます。
 次のページ、9番につきましてもスカパーJSAT株式会社様からの意見でございます。これはケーブルテレビのプラットフォーム業務に関する、プラットフォーム規律に関するものでございます。2つ目のパラグラフ、CS放送であれば当社のようなプラットフォーム事業者が顧客管理等の各種プラットフォーム業務を提供することが必要であり、ケーブルテレビではケーブルテレビ事業者自らが各種プラットフォーム業務を行うことが必要であると。次のパラグラフの3行目、スカパーJSAT株式会社におかれましては自主的にガイドラインを見直したところでありまして、ケーブルテレビ事業者につきましても地域独占状況にあることが多く、今後ある程度のプラットフォーム規律について検討することが必要であり、特に多チャンネル放送市場でのシェアが大きいMSOが番組供給事業者との合併あるいは支配するような場合においては、公正性、中立性等の確保について懸念されるので、自主ガイドラインも含めたプラットフォーム規律の検討を早急に行うべき、とあります。
 ケーブルテレビにつきましては実際に顧客管理を行っている有線テレビ放送事業者、それから有線役務利用放送事業者というのは、有線テレビジョン放送法、それから電気通信役務利用放送法において直接規律が課せられておりまして、衛星放送のプラットフォーム事業者とは事情が異なってございますが、ご指摘の内容につきましては今後必要に応じて実態等を踏まえた上で検討されることが適当と考えます。なお、本報告書(案)にも先ほど申し上げた「競争状況の評価等を行い、公正かつ有効な競争環境の整備に関する政策展開につながる仕組みを検討すべき」と記載させていただいてございます。
 次のページ、10番といたしまして、これは社団法人日本民間放送連盟からいただいたご意見でございまして、再送信同意、それから裁定制度に関するものでございます。1つ目のパラグラフの4行目以降でございますが、2011年の「完全デジタル化」を見据え、ケーブルテレビと地上放送が調和ある発展を遂げるためには次の施策が不可欠であるとされてございます。1つ目はケーブルテレビの再送信に関する「大臣裁定」の抜本的見直しでございます。1つ目のポツといたしましては、当事者間で十分協議して決めるべきものと。2つ目のポツといたしましては、「大臣裁定制度」は区域外再送信への同意を放送事業者に強いるものであり、制度としてのバランスを著しく欠いており、民放連としては地域免許制度と相入れないということで、同制度の撤廃を求ている。最後のポツといたしましては、国がケーブルテレビの再送信に関する「大臣裁定制度」の撤廃を含めた抜本的見直しを行うべきである、というご意見でございます。
 2つ目のご意見としましては、放送事業者の同意を得ない「違法再送信」の中止でございます。1つ目のポツにつきましては最後のところでございますが、放送事業者の同意や許諾を得ずに無断で行われるケーブルテレビの再送信は、これらの法律に明白に違反する「違反再送信」であり、次のページ以降、ケーブルテレビ事業者の企業としてのコンプライアンスや、放送事業者の著作権等を侵害している点で重大な問題であると。最後のポツとしてこうした違法再送信は早急に中止すべきであり、そのために国は適切な措置を行うべき、とされてございます。本研究会の意見といたしましては、ご指摘の内容につきましては今後の再送信同意の状況におきまして必要に応じて検討されることが適当と考えます。なお、再送信同意の問題につきましては本報告書(案)の70ページにも記載されておりますとおり、「地上デジタル放送の全国的な開始に伴う視聴者の地上デジタル放送への再送信への期待、地上アナログ放送における利益の保護に配慮して再送信の同意について誠意をもって十分に協議を行うことが重要」というふうに記させていただいております。
 最後でございますが、11番、匿名の方からのご意見でございます。ケーブルテレビ、特にMSOと番供との関係、それからケーブルテレビ、それからCSプラットフォーム事業者に関する制度のバランスをとるべき、といった意見でございます。3パラグラフ目、多チャンネルマーケットの普及・拡大を促進する点から、ケーブルテレビ事業者が経営の拡大を進め、経営体力の強化を図る上で、ケーブルテレビ事業者が優越的な地位を乱用せず、番組供給事業者と良好な関係を維持し、良質なコンテンツ・番組が視聴者に恒常的に提供できる仕組みの構築を期待したい。最後のパラグラフの最後でございますが、法制度・利用伝送路は分かれているが、「提供される機能」という点ではほぼ同一であり、この点において各制度がバランスのとれたものとなることを希望する、というものでございます。本研究会の意見といたしましては、本研究会はケーブルテレビ市場に焦点を主に当てているものでございまして、ご指摘の内容につきましては今後、必要に応じてメディア横断的な観点から検討されることが適当と考えます。
 以上、提出された意見及び本研究会の考え方でございまして、1番のデータの更新と6番のプラットフォームに係る業務のガイドラインのところを事実関係として反映させるというのが事務局の考え方でございます。それに基づきまして、かつ前回いただいた宿題等を踏まえまして、報告書(案)のご説明をさせていただきたいと思います。大変恐縮でございますが、主に変更されたところのみ説明させていただきたいと思います。まずは本体の1ページ、第1章、現状認識、1、通信・放送における環境の変化等でございます。これにつきましては先ほどのパブコメでいただきましたとおり、データの更新等がございますので、こういったところは直してございます。以下、データの更新につきましては適宜修正させていただいてございます。
 11ページをごらんいただきたいと思います。これにつきましても先ほどのパブコメでいただきました衛星放送の将来像に関する研究会の報告書、それからそれを受けた取組として記載させていただいてございます。当該研究会の報告書におきましては、プラットフォーム事業者について業務の公正性、中立性、透明性等を確保するための規律が必要であると示されまして、プラットフォームの在り方に関する協議会が200611月に設置されたと。株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズでは結論を踏まえ、プラットフォームのガイドラインの改訂を行ったという記述をつけさせていただいております。
 45ページ(2)といたしまして、双方向性を生かした地域との連携強化というものでございます。前回までの報告書の中身は非常に薄くあったものでございますから、それぞれ記述を充実させていただきました。具体的な記述内容については大変恐縮でございますが、説明を割愛させていただきたいと思います。
 59ページの最後でございますが、3)のケーブルテレビの市場規模というところでございまして、前回の研究会でちょっと記述がわかりづらいというご指摘をいただいたものですから、記述を追加させていただいてございます。
 67ページから68ページにかけまして、ICTの活用による高齢者等を含め、だれもが安心、安全に生活できる社会というところでございまして、前回の研究会で記述が薄いということをご指摘をいただきましたので、追加をさせていただいているところでございます。
 最後でございますが、95ページ、これは実際の取り組み課題と処方策でございますが、地方行政の主体である地方公共団体の出資または運営に関する規制につきましても、もともとの記述をイコール・フッティングとの観点も踏まえまして修正をさせていただいているものでございます。非常に駆け足になりましたが主に変更されたところは以上でございます。
【多賀谷座長】  それではただいまの提出意見及び報告書(案)につきましてご意見、ご質問等ありましたらご自由にご発言願います。どうぞ。
【石橋構成員】  いただいたコメントの内容につきまして、個々に申しますと、ケーブル事業者はケーブル事業者としての考え方もございますが、ここでそれを議論するということではないと思います。我々と番組供給事業者、あるいは委託衛星放送事業者との関係について申し上げておきたいんですが、ケーブルテレビ連盟の会員の中にその事業者が入っておられます。連盟内に特別委員会というのがございまして、2者懇談会、これはケーブル事業者と衛星放送事業者、衛星放送協会の会員との議論の場です。それからもう一つは今日出席しておられます竹岡構成員が委員をやっておられますが、番組供給事業者の部会でございます。そういう場でもう少し議論を深めていったらいいんじゃないかなというふうに思います。結論といたしましては本研究会の考え方としてはこの案のとおりでいいんじゃないかと思います。
【竹岡構成員】  意見書が出ておりますけれども、衛星放送協会といたしましても番組供給事業者の代表として、ケーブルテレビ連盟といろいろ打ち合わせを持っておりますし、個別的に今、現状、番組供給事業者の間からこういった声が正式に上がっているというふうには理解をしておりません。個々の事業者間でMSOなり、ケーブルテレビ各局とのいろいろな交渉については、これは個々の事業者の範疇でございますので、それぞれが交渉しておりますので、トータルとして我々としては係る事態が、大きな問題が惹起しているとは考えておりません。ただ個別の事業者の意見というのは当然ございますので、共通の問題があればこれについては連盟の2者懇とそれから番組供給事業者部会でいろいろ議論をさせていただいているというところでございます。
【多賀谷座長】  衛星の場合にはスカパーJSAT株式会社が唯一の、今、プラットフォームの形になっているわけですけれども、ケーブルテレビの場合にはMSOが拡大しつつあるといっても、今のところはボトルネック的にある事業体が全体の生殺与奪の権利を握っていると、そういう状況には多分ないんだろうと思います。この意見は今後のことを慮ってというところであろうと思います。おそらく今後の展開の話はこのご意見にもありますように、単一のケーブルテレビ業界だけではなくて、ケーブルテレビと、衛星と、それと役務事業者全体の中で競争に移ってきつつあるなと。そしてそういう意味において、もう一つの別の融合法制の研究会の話とやはりそれは絡んでくると、そっちの土俵の話だろうという気がいたします。この研究会がここまで延びたのは、1つはそういう融合法制等の絡みもあるわけですけれども、多分議論は開かれたものであり、業界の中で3者が話すだけでは済まないような話になるかもしれないという気がいたします。
【竹岡構成員】  補足して申し上げますと、コンテンツが重要であるということは、これは皆様方十分にご認識いただいている点でございますし、私も実際に各局とお話をさせていただいたときも、当初10年前ぐらいのお話と比べて、最近は特にコンテンツを強化しないといけないという局のご意見も非常に強くなっておりますし、いいコンテンツを持っている番組供給事業者については特別なサポートをしようだとか、そういったことも十分考えていただいているというふうに理解もしておりますし、かつそういったトータルでのコンテンツ強化を図らないと、今、ケーブルテレビ及びスカパー、我々、多チャンネルと申し上げてます1,000万世帯を、これをさらに1,500万、2,000万にする活力が生まれてこないということは、皆様方の共通の認識ではないかというふうに考えています。そういう意味ではそれぞれ意見を活発に出しながら、どういうふうにマーケットを大きくしていくかということは、これからの大きな課題でございますし、今後のご検討をいただくためのベースにいただけたらありがたいかなというふうに思っております。いたずらにいろいろなことを決めてしまうと動きにくくなるということもあるかと思いますし、慎重に対応していただきたいなということを考えております。
【多賀谷座長】  そのほかご意見ございますでしょうか。インターネットの側ではYouTubeというとんでもないものが出てきておりますし、外国では放送事業者がYouTubeと提携する場合もありますし、自ら放送した番組をネットで、ブロードバンドで7日間とか、一定期間流すというようなそういうサービスをやり始めつつあります。一方においてそういう従来型の番組供給事業者とは違う、より強力な番組供給システムが出てきたときに、ケーブルテレビという閉鎖網的な番組提供システムがどういうふうに今後展開していくのかというのは、やや予断を許さないところがあります。著作権の仕組みとの絡みもありますし、区域外再送信の話もそちらのほうとの話もおそらくかかわってくるだろうと思いますけれども。
【山下構成員】  この研究会、1年半の間に環境も変わったなと思いますが、ケーブル自体というよりはそれを取り巻く環境がすごく変わってきたと実感いたします。その結果として非常に力作といいますか、大部の報告書がつくられたのだと思いますけれども、当初はケーブルテレビがどういうふうな位置づけになればいいのかということが、問題意識かと思いましたけれども、1年ちょっと議論していった結果、どこかに収束するというよりは、むしろ拡大していく可能性というのもあると思いました。地域メディアとして拡大するとか、あるいは国際的な技術として拡大するとか、ユビキタスというような言葉もございましたし、いろいろな方向があるのだなということが、私としては勉強させていただいた結論だと思います。
 その中でやはり周りの環境ですね、特にコンテンツとそれから他のメディアと、その間のうまいバランスがとれると、より自由度の高いケーブルテレビ市場というのが開かれるのではないかと報告書を拝見して思いました。
【音構成員】  ほんとうに大部なしっかりした報告書ができたと私も思っています。先ほどのご意見の中にございました、今回の提出された意見に対する本研究会の考え方は、私はもちろんこの考え方でよろしいかと思うんですけれども、事務局のほうでご用意をいただいたこの案の中で、まさにメディア横断的な観点からの検討というようなことが、この次のステップとしてやはり非常に重要になってくるのではないのかなと私も認識をしております。2010年代のケーブルテレビという本研究会が射程に入れて議論してきたその2010年代がもう目の前に来たということから考えますと、このメディア横断的な観点からの作業というのがこの報告書を1つのステップとして、しなければいけない次の作業になるんだろうなと思います。
【後藤座長代理】  私も、私はインターネットの技術側という感じのバックグラウンドですので、この研究会で大変勉強させていただきました。インターネット側というのはIPということで、いろいろなものがデジタル化されればIPになっていくという動きにはあるわけでありますけれども、例えば電話などにしましてもIP電話というのが、そう右から左にはいかないということになっているわけでありまして、インターネットの歴史そのものを見ますと、一番最初にあったものがどんどん広がっていくというよりは、かなり問題が出てくると、それを解決して、より次のものにくるということになっていると思います。
 したがってマルチキャストもしかりでありまして、すでに実施されている方もいるわけでありますが、マルチキャストそのものもまたいろいろ課題というのはあるということで、またIPそのものもあるということになりますので、そういったあたりはまさに通信というのは双方向だという感覚がありますので、それぞれのアプリケーションにおいて課題とされているようなところを十分に解決していくということで、IPの技術もまた発展して、またこちらのケーブルテレビのほうの実際の技術としても発展するという、相互的なものになるといいのではないかなというふうに思っております。特にそういうメディアの融合みたいなところはかなり日本においていろいろな問題が出てきているという気もいたしますので、引き続き勉強したいと思いますので、構成員の皆様にもよろしくお願いいたします。
【多賀谷座長】  ありがとうございました。そのほか全体を通してコメント等ございましたら、最後の機会にございますでしょうか。よろしいでしょうか。それではこれをもちまして、本日の報告書の最終案についてご確認いただいたということにしたいと思います。意見募集の結果、及び報告書の字句修正につきましては私にご一任いただき、その後、公表したいと思いますけれども、ほぼこのとおりということになると思いますけれども、ご賛同いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
【井上地域放送課課長補佐】  本日はありがとうございました。今後の予定でございますが、意見募集の結果、及び報告書につきまして報道発表を行う予定でございます。報道発表は総務省のホームページにも掲載したいと考えてございます。またその際には構成員の皆様にもご案内申し上げたいと思います。それでは大変恐縮ではございますが、本日最終会合でございますので、多賀谷座長よりお取りまとめのお言葉をちょうだいしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【多賀谷座長】  この研究会、1年半ですか。それとも2年ぐらいやっていたんじゃないかと思う、非常に長くかかりました。その間、先ほど後藤先生とも話し合ったのですが、いろいろなことがありまして、通信法制に関する環境も大分変わっている。今、現在も放送法案がどうなるかわかりませんし、今後まだ激動する状況であります。ケーブルテレビもこれだけ分厚い報告書をつくったわけですけれども、今後の通信・放送法制の中でどのようにケーブルテレビが、システムが生き残っていくかというのは、最終的な方向性というものは残念ながら出し得ていないと思います。それは仕方がないところであります。
 ただし、この報告書の全体としてのトーンとしては、やはり通信・放送法制の基本的な流れは、特に融合法制のところで出てきますように、レイヤーごとにサービスと、それからハード的な伝送部門のところが別々の仕組みとして制度ができるという方向を志向していることは既に新聞等で皆様ご存じだと思うんですけれども、ケーブルテレビの場合には基本的にそれはその伝送のシステムであり、しかも伝送システムとしてその地域に密着したシステムであるという、そういう特徴を持っているわけです。したがってサービスとしてのコンテンツの中にはいろいろなものがありますけれども、そのコンテンツの中で特に地域密着型のコンテンツを中心に、勿論それだけでは生きていけないでしょうけれども、地域密着型のコンテンツを確実に提供できるという、そういう利点を生かしつつ、新たな通信・放送法制のもとに、システムの中でも、それなりに活躍の場を見出すという、そういうことになると思います。
 したがって他の放送事業者の場合には、ある程度ハード・ソフト分離型の、従来の完全なハード・ソフト一体型ではなくて、より戦略的に、ソフトに志向する事業者もいるでしょうし、ハードに志向して、ある種の通信事業者的な形になる事業者もいるでしょうけれども、ケーブルテレビの事業者の場合にはそういう地域コンテンツという観点では、ハード・ソフト一致型のシステムを仕組みとして維持できるという面がある。もちろんそれだけでは生きていけないということなんですけれども、そういう利点を生かして、今後、新しい制度の中で活躍していただきたいと思います。この研究会の報告書はいろいろなことが書いてありますけれども、それを皆様、利用して、今後の発展をしていただければと思います。以上です。
【井上地域放送課課長補佐】  ありがとうございました。また最終会合に際しまして、情報通信政策局長の鈴木より一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
【鈴木情報通信政策局長】  先ほど来、何度も出ておりますように、非常に長い研究会をやっていただきましてほんとうにありがとうございました。とりわけ山口町長、あるいは寺坂さん、遠いところをいつもご参加いただきまして、ほんとうにありがとうございました。非常に貴重なご意見をいただいて、報告書の中に大分反映されていると思っています。今日のパブリックコメントの中でもありました、新しいデータを入れた結果、この6月に発表させていただいた数字、ごらんいただいているとおり、ケーブルテレビの加入世帯数が2,000万を超えて、加入率でも40%と、初めて大台を超えたところまでまいりました。こうなってくると昔のイメージのケーブルテレビの時代ではなくなってきているがために、いろいろな、今日のパブコメの中でもありましたように、衛星系の事業者からは自分たちだけではなくて、そういうところも縛るべきだという意見が出たり、あるいは民放連の意見の中にも、全然時代が違うんだから、再送信同意という制度自体がおかしいんじゃないかというふうな話も出てきておりますけれども、例えば参考になりますアメリカのFCCの規則を見ておりますと、有料放送市場の30%を超えるものは他の会社を合併できないというふうな規制がございますが、残念ながらまだ有料放送市場全体で見ると、アメリカのようなところまではとてもまだ行っていないという状況でございます。そういう規制が必要だと思われるくらいにもっと大きくなっていただきたいというのが私どもの業界に対する期待でございまして、今後ますます発展されますようお願いを申し上げたいと思っております。
 もちろんその中でも、先ほど来、多賀谷先生からおっしゃっていただいた、新しいコンテンツ流通全体を見た流れなんかも考えていかないといけませんし、また私もこの報告書の原案をつくり始めてからずっと読んでおりますが、自分の知らない具体的な利用方法ですとか、あるいは地域でのサービスの提供の方法だとか、あるいは技術だとか、いろいろなものが出てきて、私自身も勉強になりました。最後に後藤先生がおっしゃったIPTVのような新しい制度、新しいものに向かっての貢献というのも、例えばITUの中のSG9IPTVについての議論をしているわけですが、日本の中でその中心的な役割を果たしてきたのはケーブルテレビ連盟であり、CATV技術協会の皆様がやっていただいておりまして、そういう意味では日本のCATVの皆様方もパブコメの中ではアメリカの踏襲しかしてこなかったではないかというのがございましたが、必ずしもそうでもなくて、世界をリードするところまでも来ているんだという感を、改めて強くした次第でございます。
 先ほど申しましたようにこの報告書、極めて分厚いというだけではなくて中身が非常に濃いものでございますので、この内容をしっかり生かしまして努力してまいりたいと思います。どうも長い間ありがとうございました。
【多賀谷座長】  ありがとうございました。それでは以上をもちまして2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会の会合を終了いたします。ほんとうに皆様、長期にわたりありがとうございました。



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