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ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会 (第10回会合)
議事要旨


1.日時
    平成161216日(木) 13時00分〜15時10分
2.場所
    総務省5階 第4特別会議室
3.参加者
 (1 ) 構成員
    別紙のとおり。
 (2 ) 総務省
    鈴木政策統括官、武田情報通信政策課長、安藤放送政策課長、江村地域放送課長、奈良コンテンツ流通促進室長、安東コンテンツ流通促進室課長補佐
4.議事録
(1)開会
1) 座長から開会の挨拶が行われた後、鈴木政策統括官から挨拶が行われた。
2) 事務局から資料の確認が行われた。
(2)議事
1)構成員の変更(開催要綱の変更)について
 資料1に基づき、座長より、人事異動等による構成員の変更に伴い、豊田構成員、伊藤構成員、千葉構成員、町田構成員が就任することとして開催要綱を変更することが諮られ、承認された。
2) 放送事業者の自主基準に係る対応状況
○舟田座長 続きまして、放送事業者の自主基準に係る対応状況について、各放送事業者からの報告と質疑応答を行いたいと思います。
 まず、資料2のとおり、本検討会において、本年3月に契約見本を公表いたしました際の申し合わせについては、資料2の1ページの下から5行目以下に、「個別の放送事業者ごとの契約方針については、前述の合意事項に基づき平成15年3月に放送事業者において作成、公表された自主基準の詳細化という位置づけで、本契約見本とは別に、各放送事業者において検討、公表されることを申し合わせているものである。」ということで、各放送事業者において、自主基準の詳細化という位置づけで個別の契約方針の策定・公表についてのフォローアップを行うということとなっているわけでございます。
 それでは、まずNHKさんからお願いしたいと思いますが、NHKさんにおいては、昨年度の本検討会でも契約方針の見直しについてご報告をいただいておりましたところ、本年4月に公表されているとのことですので、それについてご説明をお願いしたいと思います。
○私どもの作業といたしましては、ちょうど先ほどの資料にもありましたけれども、この会で契約見本の策定という作業がございましたが、これに並行するような形で一般番組、アニメ番組、それぞれにATPさんや動画協会さんとも話し合いを進めさせていただきまして、そのご意見を参考にして、NHKの契約方針をより現在化した形に改めたということがございます。
 その前年度に自主基準というのを私ども出しておりますが、これは概括的な表現でございましたので、その詳細化ということで、その協議を反映し契約方針を定めた、それを書き込むという形で対外的にも公表するということにいたしました。これがお手元の資料3となっているものでございます。これは現在、私どものNHKオンラインというホームページでも公表しております。また、幾つか制作委託取引にかかわる関連団体がございますので、ここのホームページでも同様のものを公表しているということになっております。
 内容について簡単にご説明申し上げますと、お手元の資料でご覧いただければと思いますが、1ページ目、2ページ目は、その前年度に掲げておりましたものと基本的に変更はございません。ただ、1ページ目のII2の(4)のところにございますけれども、そこが若干書き加わってございます。といいますのは、その(4)の2行目の後半、「契約にあたっては、『制作委託にあたってのNHKの考え方』、『アニメ番組に関する契約の考え方』(別添)について制作会社に十分な説明と協議を行い、その理解を得て適正な契約を締結する。」といった具体的な部分を書き込んでおります。そこに「(別添)」としておりますように、それぞれの契約方針をここの資料で申しますと、3ページ目、4ページ目にそれぞれ記述をしているということであります。
 3ページ目は一般番組に関する制作委託の考え方ということでございまして、これは契約見本の策定に関する議論もかかわっておりますが、そういったところで必要項目となった部分も反映させていただきまして、その中の重要な部分については、個別の数字的なことはともかく、考え方を明示するという方針で書き込んだものでございます。
 項目的に申し上げますと、まずは、これまでもご説明しておりますけれども、NHKの番組制作にあたって、外部制作会社に制作を委託するという場合には、NHK関連団体に委託しておりますプロデューサー業務というもののもとで、企画を募集し、そして、その制作作業もそのプロデューサーとともにやっていただくという形で、いわばNHKから見ますと、再委託というような形でお願いすることになるということを明記しております。
 それから、これは契約見本の話でも出てきましたけれども、この番組を制作するについては、どのような目的で、使用目的があるかということを明示しておくことが必要であろうということでありますので、ここでは、番組の制作の目的は、NHKの放送で使用すること、そしてまた、必要な視聴者サービスというのが各種ございますので、ある意味あまり広範なサービス項目があるわけではございませんけれども、いずれにしても、そういったところでの視聴者サービスのためには使いますということを明記している。
 それから委託費についての考え方も、番組全体の制作費は、NHKが全額負担するという原則に立っておりますということ。それから委託費は、制作経費と管理費というもので構成されるということを明記しております。
 それからまた、2つ目の「・」で書いておりますが、NHKでの放送使用は、いろいろなチャンネルで放送するということがありますので、そういう意味では、回数が多くなってきた場合には、一定の期間又は回数を超えて放送する場合は、制作会社にそれに関して別途追加支払いを行うということを明示しております。
 それと番組の著作権の取扱いということは一番議論になったところでございますけれども、これにつきましては、今回私どもの契約方針というものをここに示したということです。すなわち、その制作委託して完成された番組は、制作会社とNHK側の共同著作物というふうに位置づけられるというふうに考えております。これは制作実態に即して、そういうふうに考えられるということで位置づけております。その上で、NHKの公共放送としての性格及び制作費に用いる受信料収入の性格から、NHKを番組の著作権を代表して行使するもの、共有著作権の代表行使者と申せばよろしいかと思いますが、というふうに定めるという形で契約をお願いしますということを明示しているわけです。
 その際の条件として、代表行使期間を定めるということ、これは一定の期間を定めるということを明示し、その後、どうするかということについては、改めて協議するということを示しております。
 それから、番組の著作権行使によって、コンテンツホルダとしての権料収入が生じることが当然今後出てくるわけであります。この場合については、契約時に権料収入配分率というものを決めておくという形で適正な権料収入の配分という形で動いていくということであります。
 それからもう一つ、制作会社に番組の二次使用を行っていきたいというような希望がある場合には、この委託の契約関係であります委託元の関連団体を通じてNHKに提案してもらう、代表行使者たるNHKに提案してもらうということで動いていくことができるということを確認しているわけです。
 それともう一点、契約見本の議論でも出てまいりました番組の放送に当たってのクレジット表示、これについては著作権の共有ということを踏まえまして、NHKと制作会社の名称を併記するという形で行うということを明記しております。
 これが一般番組の制作委託の場合の考え方でございます。
 次に4ページでございますが、「アニメ番組に関する契約の考え方」です。アニメ番組は、一般番組と当然番組の性格が大きく異なるということがございます。ある意味でそのキャラクターとか、番組自体が多角的に使われるということがある程度業界的に一般化している、そういうコンテンツ、あるいは、そういうことが期待されているコンテンツということができます。そういうところでアニメ番組の契約については、一般番組とはちょっと違う考え方が必要であろうということを、これは動画協会さんのご意見なども参考にしながら考え、整理しているものでございます。
 制作委託に関して申しますと、今申したような趣旨が書いてございますけれども、2つ目の「・」で書いておりますけれども、一般番組と同様に、NHK関連団体のプロデューサーのもとで制作を行うという枠組みを確認しております。
 それからシリーズ番組全体の制作費、これをNHKが負担するということを明記するというところは一般番組と同様の原則的な考え方を示しております。
 それから番組の著作権の扱いについてですけれども、これは実際にアニメ番組をつくるときの制作実態を整理いたしますと、大きく2種類に分けられるということでございまして、1つは、企画からプロダクションが企画して提案をしていただくというようなところで始まっていくもの、これについては、先ほどの一般番組における制作委託番組とほぼ同様の形の位置づけであるということで、共有著作権の代表行使者をNHKとさせていただきますということを明記しております。
 それから、そうではなくてBでありますけれども、NHK側が企画を出し、これにアニメ制作会社に加わっていただくというようなときにはどういう考え方だろうかということでございまして、その場合の委託内容は限定的となりますので、番組自体の著作権はNHK側に帰属するというふうに考えておりますということを明示しているということです。ただし、多角的な活用によって権料収入が生じたときは、この委託する制作会社の業務は多様でございますけれども、その態様に応じて、この寄与を踏まえて一定の権料収入配分を行うということを明示しているということでございます。
 それからアニメ番組の場合には、もともとプロダクション側の企画で完成番組になったというものの放送権を購入するという枠組みも従来からございます。こういった放送権購入という枠組みもありますよということをここで明示して、アニメ番組に関する私どもの取引、言うならばその全貌といいましょうか、こういった種類がありますということを整理して公表しているということでございます。
 ということで大体ご説明は終わりなんですけれども、一般番組の方に関して申しますと、制作委託という関係とは別に、NHK側の企画のもとでつくる番組の演出業務的な部分を委託するという枠組みもございます。ですから、そこが制作委託番組と演出業務委託番組がどこがどういうふうに違うかということについても、ATPさんのご意見もいただいて整理をしてきております。これについても契約書サンプルというのを定めまして、これを用いて動いているということであります。
 これについては、制作委託取引とする場合と、それから演出業務委託とする場合の取引の違いですね、これは大きく言いまして、企画がプロダクション側にあるということ、それからつくる過程で番組の全体のプロデュース業務にプロダクション側がかかわるという部分を制作委託といたします。
 逆に演出業務委託は、NHK側が企画を出し、そして全体の完成のためのプロデュース作業というものはNHK側が行いますよ、その中で演出的業務をお任せするというような形だという整理でございます。ですので、その場合、著作権的な扱いが制作委託の場合と異なってまいります。したがって、この違いが実態に即してそうなっているかどうかというところは、きちんと検証していかなければならないということもございます。ということで、この4月からそういった整理に基づいて具体的な取引契約を行ってきているわけですけれども、そこに何らかの問題があったりはしないかというようなことを、ほぼ半年経ちましたので、またATPさんとも意見を交換しながら新たな課題があれば、双方にきちんと何かメリットが生じるような形の整理、課題検討を進めていこうじゃないかというような形で進めております。
○舟田座長 今の最後におっしゃった3ページの制作委託というものと別に演出業務委託というカテゴリーがあって、そちらについても少し整理をなさっている、そういうことでございますね。ありがとうございました。
 個別については後でまとめて質疑応答の時間をとろうと思います。よろしければ、続きまして、現在個別の自主基準を策定されている民放の方々からご説明をいただきたいと思います。
(引き続き、民間放送事業者より説明が行われた後、質疑応答が行われた。)
○舟田座長 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご意見をお願いいたします。
 前提なんですけれども、皆様には事務局の方からお話がいったと思いますけれども、各社が自主基準をつくり、それを公表するということになっていますけれども、そのことの意義について、もう一度事務局の方から、どういう意味で公開なのかということをちょっとご説明願えますでしょうか。
○奈良コンテンツ流通促進室長 これはこれまでの議論の流れの整理かと思います。これまでのこの検討会におきまして、様々議論していただいて、また、その成果は契約見本のように公表したりということもございますし、また本検討会の議論も議事要旨ということで公表してございますが、他方、自主基準につきまして、これも2年前に、本検討会で申し合わせたことを踏まえて、それぞれ作成していただくことになったわけでございます。
 これをつくるだけではなくて、なぜ公表するかということでございますが、いろいろ放送番組制作委託に関する様々なご意見とか、ご見解がある中にあって、他方、ブロードバンド時代というのを睨んで、いかに公正・透明なものにしていくかという中にあっては、当然相対の当事者である放送事業者様と制作事業者様の間で一定の合意を得て取り組んでいくということも重要でございますが、それが対外的にもオープンになっていると、透明にやっているということが明らかになっているということが、結局、放送番組をつくって、またそれをブロードバンド展開していこうとしているという分野での取組が透明に・公正にやられているということが世の中的にもアピールできると。そうすることによって全体としてスムーズに発展していくことになるだろうということが基本的な考え方であります。
○舟田座長 ありがとうございます。デジタル化時代に入って、コンテンツについて様々な問題が出てきたということも受けている。それから何社かにありましたけれども、独禁法については、コンプライアンス・プログラムというものを各社で設定しておりますけれども、これらも伝統的な考え方でいきますと、本来は公表する筋合いのものではないんですけれども、むしろコンプライアンス・プログラムは公表するのを前提で皆さんおつくりになっている。それと似たようなこともあるのかなという気もいたします。
 今の前提の話で、各社から自主基準の作成状況についてご報告がありました。何かご意見ございましょうか。
 これも前提の話かもしれませんが、用語の統一がとれていないというのが、この検討会、最初から話が出ているんですが、例えば、さっき説明の中で「一括発注番組」、なるほどと思いましたけれども、それはそちらの会社の方でお使いになっている、これは完パケと全く同じ意味?
○そうです。社内の規定の中にその表現を使っているという、それを使っているだけでございます。
○舟田座長 番組制作委託取引、これは統一したんでしたっけ、番組制作委託取引という名前自体は。
○奈良コンテンツ流通促進室長 はい。
○舟田座長 これの定義はどこかにあるんでしょうか。これは何ですかと言われた場合には、完パケだということの、それとも、これは中で書けばいいことですかね。各社には説明がなくて入っちゃっているわけですね、各社の自主基準もね。どういうふうにしたらいいものでしょうかね。最初のNHKさんのお話でも制作委託と別に演出業務というのがあるというお話でしたね。
○その点に関して言いますと、先ほどその詳細化と申しました3ページのところで、どういう取引のことを言っているかというのが混乱するとよろしくないということで、冒頭に、当協会は当協会の放送で使用する番組の企画提案を募集する場合ということを言っているのが1つと、それから、その下のNHK関連団体による契約と制作統括といったような形で、取引が具体的にどういうジャンルのことを言っているかというのは、それなりにご説明しようという意図は持っているんですけれども、きちんとしたそれが定義といったような表現形式にはなっていないところがあるかなというふうに思っているところです。
○舟田座長 そうですね。これは募集といっても公募ではないですよね。
○取引が通常行われている関係各社に募集するという形です。
○舟田座長 ちょっとこれは事務局の方でどういう、概念整理について、どうやっておくかちょっと考えていただければと思いますけれども。
 それから、私が気になったのは、権利の帰属についての記述と、窓口についてのことなんですが、例えば自主基準でどこまで書くべきか、これは皆さんお迷いになったのではないかと思いますが、権利の帰属というものを明示するかどうか、どちらかに明示する。例えばNHKさんのように共同の著作権というのを明示する形もありますし、あるいは明示しないという形もありますけれども、例えば最初の方でいきますと、A社では制作実態に応じた著作権の帰属を記載するということですが、これは両方が、両方がというのはテレビ局側と制作会社が両方寄与していると。
○クレジット表記上でもわかるようになっていると思うんですけれども、「製作著作A社」というふうな形になっている場合はA社に帰属している。制作会社に帰属している場合は、「製作著作制作会社」で、A社は「企画制作」というような形になると、そのような形に・・・・・・。
○舟田座長 それはクレジット表示ですね。
○実態もそれに即していると思います。あと部分委託等に関しましても、その制作の関与状況によりまして、二次利用の配分等も公正に行っていると思っておりますので。契約上もある程度わかる形にはなっていると思います。
○もともとこの検討会で最初から私出していただいている記憶からまいりますと、そもそも局制作のものとか、そういったものを対象にするのではなくて、あくまでも完パケ発注のものの扱いについて検討の材料にしようというような認識だったというふうに理解しておりますので、そうなりますと、民放の場合、通常完パケ発注ということで進めております場合は、これは各社それぞれのお考えはあると思いますが、基本的に制作会社が著作権をお持ちになるということは前提とした上の話というふうに私は理解しておりますが、大体そんなところではないかと、これまでの話からいってもというふうな気がしております。
○理念的にはそうだと思いますが、実態とは乖離しているところがあって・・・・・・。
○窓口等の話はまた別の部分としまして・・・・・・。
○そうじゃなくて、商取引における著作権の帰属は実態とは伴っていないという認識です。
○舟田座長 今日はそういう問題は実は最初からあるんですけれども、自主基準にどう書くかということを今考えて、それもちょっと難しい問題ですけれども、特にこれは公表するということですから、例えば私がこうしろということではなくて、客観的に比べているわけですけれども、番組制作を委託する段階で速やかに著作権の帰属を明確化して提示するという形でこれは公表したいということですね。しかし、内容的には、もし完パケということであれば、著作権の帰属は多分制作会社になるだろう。そういうことなんですね。
○基本的に当社の方針としては、いわゆる完パケ発注の場合の自主基準を以下のとおり定めるというように当社としては定めているわけでございますので、これはあくまでも完パケ発注の場合の自主基準というふうに理解しております。
○舟田座長 これは法律家の感じからいいますと、できるだけ明確にして提示する、こういう形が多いんですけれども、例えばB社では、権利の帰属で番組の著作権がB社に帰属するか、制作会社に帰属するかの明示をしろということですね。自主基準で明示すると。これはどういう意味・・・・・・。
○これは実際上、長年使っている契約書で制作会社さんに、特にATPさんと交わす契約に関しては、権利はATPさんに行くということが前提になっていますので、特に明示をしていない契約がまずあるんですね。ではなくて、完パケ発注であるけれども、話し合いの上、当社に著作権が帰属するものは、当社に帰属するとはっきり書いてある。ざっくり分けてその2種類の契約があるということを言いたいんですけれども、もうちょっと内容を工夫した方がいいかなとは思います。
○舟田座長 後で松田先生からアドバイスがあればと思います。
 私も単に今日はフォローアップの会合ですので、どういう書き方を皆さんご苦労になっているかなということで比較させていただいているわけですが、もう一点、窓口のこともいろいろな書き方がされて、これはもちろん載せるかどうかはまだご検討中ということですが、例えばC社の窓口業務についてもう少しご説明願えますか。
○これは、前にもご説明申し上げたことがあると思いますけれども、十二、三年前に、この完パケ発注契約についてATPさんの方とほぼ1年にわたって議論した中ででき上がった契約でありますので、それを尊重してずっと使用しております。その文言を見ますと、二次利用に関しては、我々がいただきます放送期間、弊社の場合は一般番組は2年間、それからドラマに関しては2年6か月間の放送期間をいただいておりますけれども、その間を窓口業務を優先と。現在使っております契約書は、窓口権という用語は用いておりません。実態として、企画等を持ち込まれたときに、ビデオはうちの方でやりたいんだというお話があった場合にはお願いするということがございますので、実際には窓口業務優先となっておりますけれども、制作会社の方がおやりになることもありますし、それから第三者が申し出たときは、第三者の方に窓口業務をお願いするというのが実態でございます。
 要は、権利関係、著作権云々ということになると、本当に現場の方ではいろんな問題があるんですね。完パケ発注といってはおっても、局の方がかなり関与してキャスティングでありますとか、シナリオの先生、脚本を押えたりというようなこともあります。ただし、それであっても、完パケ発注を使っているというケースもありますので、一番重要なことは、実務的に見た場合に、法律家がご覧になると不備な点があるかと思いますけれども、ともかくスムーズに番組が二次利用できて、双方が利益が上がればいいわけですから、使い勝手がいいようにということでありますので、現在、十数年前に1年かけてつくったものを尊重して、そのまま利用しているという状況がございます。
 なお、個別の最近ドラマなんかで多い共同制作に関しては、窓口業務のところも一応当社が放送期間中というふうに定めてありますけれども、第2項で制作会社から窓口業務を申し出た場合にはOKという内容も入っておりますし、それから、第三者が窓口業務をやりたいということを言ってきた場合には、特段の事由がない限りにおいては、それはOKにしようというような合意事項も入っております。ご参考まで。
○舟田座長 こういうことはないんですか。テレビ局側がこうしようと思ったけれども、番組制作会社は別の考えを持っている。つまり、ある番組をAに渡そうか、Bと交渉しようかという対立があった場合の決定権がどっちにあるかという話ではないんですか、これは。
○高く売れればいいわけです。要は高く売れればいい。それから、地上波放送とバッティングして、地上波放送する前の日でも、CSからふってくると、上からふってくるということは、あんばいは悪いわけですね。そこら辺の交渉でどの時点でCSからふらす、あるいはBSでやるという問題が1つと、それから、どうしても実現化の部分の権利処理が何でもかんでも二次利用できるという状況ではありませんので、そこら辺のところを睨みながらやらないと、幾ら制作会社、我々がこういう順番に二次利用していこうといっても、その中の原権利者の権利が、許諾がとれなければ、全く机上の論理になりますので。
○これはやはり各社でそれぞれお考えは違いがあるかもしれませんが、今まさにおっしゃった高くなるということが番組価値の最大化にもなるわけですから、そちらの方に倒すべきだろうと思っております。ただ、これはそれぞれの社によって窓口の考え方も違いますので、相当違う部分があるかもしれませんが、例えば今おっしゃったように、仮に当社が窓口として、これに使いたいと思っても、その番組を実際に制作された制作会社が嫌だとおっしゃる場合には使えない、使わないということはこちらの方ではやっております。それは窓口という、これは前からここの場でも議論されたことではございますが、そのものの捉え方ということとも関係はしてくると思うんですが、一切合切相手に連絡なく、配分さえすれば自由に扱える権利とまで、そこまで強固な権利と考えるのか。結局、お互いに共同でビジネスをやっているのだから、どちらかでやはり窓口として連絡窓口的なものを決めておく必要があるだろうということで、事務手数料も含めて、事務もやらなくちゃいけないからということで決める場合と、そういった窓口の度合いの強弱といったものもあるのではないかというふうに考えます。だから、同じ言葉の「窓口」といっても、多少その辺のニュアンスも先生がおっしゃるように変わってくるところかなと思います。
○菅谷座長代理 私も実務はわかっていないので、ちょっと疑問に思ったことなんですけれども、今のお話ですと制作委託、これは完パケですよね。これでも実はいろんなやり方があって、それによってその対応が違うというようなお話をされていたんですけれども、そうすると、制作委託もさらに幾つかわけないと分類上、好ましくないのか、そんなことはできないほど、いろいろ実態としてはいろんなケースがあるのか、そこら辺はどのように考えればよろしいんでしょうか。
○制作委託、いわゆる完パケ発注もご指摘のとおり、いろんな形態があって、すべてが制作会社にお任せして、あとは入ってきたものをチェックして云々というのも中にはあろうかと思いますけれども、実際にはいろんな企画会議の中でどんどん企画も多分変わっていくだろうし、それから局の人間のかみ方も、お任せよといって、あとは一切任すのもいれば、現場にすごい長いこといて、口出しせざるを得なくて、しょっちゅう、こうせい、ああせいみたいなことを言っている人もいるだろうし、特にキャスティングに関しては、制作会社もキャスティングのあそこのタレントは押えられるとか、むしろテレビ局の方は付き合いが長いから、あそこのプロダクションは押えられるというようなこともあろうし、ですから、話を聞くと、そこの関与の仕方は番組によっていろいろ複雑にあるのだろうと思うんです。それを今度細分化して契約書をつくるとなると、とてもとても対応しきれないので、ある部分はばっさりと完パケでいく、完パケということは、制作会社の方に著作権がありますよと。それから明らかにこっちの演出が出て、カメラが出てというようなことになれば、これは共同制作なりという形にやっているのが実態です。だから、ご指摘のとおり、完パケでもいろいろあります。でも、それを細分化して、さらに契約を複雑にしていくということは、現実的にはできないし、それをやってもあまり意味がないだろうと思います。
○菅谷座長代理 共同制作になるような部分と完パケになる部分だと、完パケの場合でも、現場のプロデューサーとか、ディレクターのいろいろな力関係というのか、業界にどういう人を知っているか知らないかによってテレビ局と制作会社との契約の仕方が変わってくるということなんですかね。
○契約を一つ一つ変えるのは大変なので、ある部分は大きく完パケ契約で結んでしまって、その契約の条文に従って処理していくと。ただし、その中に完パケであってもアナウンサーが出演するとか、テレビ局が持っている素材を使うとか、あるいはスタジオ部分を使うというようなことがありますので、それは特約事項の中に書き込んでいるという・・・・・・。
○菅谷座長代理 特約事項というのがあるんですか。
○はい。むしろ、そこら辺のところは、現場にいらっしゃった方がお詳しいんじゃないかと思いますけれども。
○ちょっと補足になるかどうか。今の話のとおりで、以前よりはよく言われる丸投げ的な完パケ発注は非常に少なくなっていると思います。これはどうしてそうなったかは一概には言えないとは思いますけれども、やはり放送局側の放送責任ということがかなり厳しく問われているという事実もありましょうし、各社上場されて、株主責任ということも当然問われますし、株主責任の中で言えば、利益、こうしなきゃいけないという部分もありますし、そのために、よく言う視聴率戦争がかなり激化しているというんですか、それそのものが株価に反映するようなこともあり得ましょうし、むしろ内容責任について、放送局側が真剣に取り組んでいるというふうに・・・・・・。ただ、その取り組み方は、プロデューサーの個性もありますし、現場が好きなプロデューサーが来ると、逆に僕らは、いい意味で困っちゃうぐらいのところもありますし、丸投げがじゃいいかというと失敗する場合もありますし、それは実態というのはかなり複雑というか、多様になっているというふうに言えると思います。それが決してよくないかどうかという判断基準はないと思うんです。番組によって、それこそ違いますし、逆に局のあるタレントにものすごく強いプロデューサーがいれば、非常に心強い制作体制がつくれますし。
 あとちょっとだけなんですけれども、この場で言うべきかどうかわかりませんが、制作の現場の多様性と同時に、例えば番組宣伝の多様性とか、これはこの場で言うかどうか、前に比べてPR、番組スポットの本数使用が非常に増えています。当日用、前日用、前週用も含めて。あと各局のホームページに記載する番組のデータを集めて、場合によっては文書作成ということが改正下請法はちゃんと納品があるんですけれども、これらがPR関係が一括した契約書の中で、はっきり言うと単価設定もないと。だから、PR業務を含むという形で一括契約になっていて、それこそ、以前に比べると度が過ぎる発注があって現場は非常に・・・・・・。PRしていただく場があるのは結構なんですが、やはりオールネットでやりますと、僕らが業務のサービスになってしまうということになんかが現場問題としてはかなり、プロダクションとしては時間もとられるし、それが実際には単価設定をしていませんから、やりくりの中で大変になってきているという部分が・・・・・・。
○ホームページがやっぱり負荷が大きいんですかね、各社の。
○いや、まずPRが昔ですと、前週一本とか、せいぜいそれぐらいだったのが、下手すると20本ぐらいつくらなくちゃいけないんですね。
PRスポットを?
○スポットが。もちろん、テロップ1枚変えるのも含めますけれども、30秒、15秒・・・・・・。バージョンが増えた。当日用、前日用、前週用、いつでも使える用、夜中用とかいろいろあるんですよ。
○視聴者としては、NHKさんがものすごく増えましたね。バリエーションがすごい。
○編成上の時間で言うと、既に番組そのものをつくっている制作部局側と、PRを担当する広報部局側とはせめぎ合いがございまして、ほんとに分、秒の単位で、来年度に向けての編成表といいますかプログラムでは、何分増えた、減ったという議論はいつもしておりまして、そういう拮抗の中でやっています。宣伝の仕方がうまくなったというふうに思っていただけるとうれしいんですが、確かに前よりは力を入れております。ただし、尺が伸びたかと言われると、やはり、それはきちんと統計をとってみないとわからないかなとは思いますが。
○実感として本数は増えています。明らかに。
○実感としてそうです。大人しいPRじゃなくて、割に派手にPRしますので、非常に印象が強く残るんだと思うんですけれども。
○各局には広報部という独立セクションがありますけれども、僕らオール一括ですから、とにかく何が何でも全部つくらなくちゃいけないという現場感覚がありますので、結構時間はとられます。はっきり言いまして。
○時間と負担ですね。
○舟田座長 余り時間がございませんけれども、今の点でもしあればですが。
 またあれば、後ほどまたお話しいただくとして、それでは、前回の会議で述べましたが、自主基準につきましては、実際の番組委託制作取引において、公正性が確保されるレベルでの具体性が必要であるというふうに考えます。民放各社の方々におかれては、本日の議論も参考に、自主基準の策定・公表に向けた作業を引き続き取り組んでいただくようお願いいたします。
 また、本日は限られた時間での質疑応答でしたので、追加の意見等の対応につきましては、事務局で段取りを決めて別途連絡をさせていただきます。具体的には、構成員からいただいた意見等につきましては、事務局を通じて全員で共有できるようにいたします。民放の方々におかれては、個別の自主基準の策定にあたり参考としつつ、公表に向けた作業を進めていただきたいと思います。そしてタイミングを見て3月を目途に次回会合を開催し、公表された自主基準をご説明いただくこととしたいと思います。
○今、著作権の帰属と二次利用の窓口というのがいろいろケースケースで違うんだというようなことがありましたが、私ども、ほかの記述というのはそれほど各局別に欲しいわけではなくて、著作権の帰属については、多種多様なんだよということがありますが、多様なら多様なりに、例えばそのうちの3ないし5パターンぐらいを、こういう場合には局が持ちます、こういう場合は協議ですとかというふうなことをお手数で申し訳ないんですけれども、各局別にできるだけ明示していただけるとありがたいなと。
 それから窓口については、先ほどおっしゃったように、著作権がプロダクション側にあるという原則だとすれば、それは大変結構なことでありますので、窓口については、私どもが持っているのは、当然にプロダクションが持つべきものというふうに思っているんですが、ただ、二次利用する窓口がない、窓口というか、業務体制がないプロダクションもあるので、その場合はそのプロダクションの意図に基づいて、これは局さんお願いしますよというふうなパターンになるのが望ましいなと。原則論的に言ってもそうなるんじゃないんじゃないかというように思いますので、この2点について、お手数ですが、なるべく詳細なケーススタディをお願いしたいというふうに思います。
○舟田座長 なるべく具体的な表現にしてほしいということは私も申し上げましたけれども、今のようなご希望があったということですね。今の段階、それでお答えいただくというのは・・・・・・、何かありますか。
○当社としては、動画協会さんと直接話をしておりますので、細かい話をここの場でするのがいかがかなというのは思います。アニメに関して言いますと、我々がやっておりますのは、特に窓口に関して言いますと、アニメの場合、普通の一般番組と違いますのは、既にもう二次利用が大体見えておるというところで始まっておりますので、窓口に関しても制作段階である程度見えておったり、そこで実際に協議をしたりというケースがほとんどでございまして、弊社の場合、いわゆる放送番組の販売、国内国外を含め、その販売以外につきましては、なかなか窓口は放送局ではとれていないのが実際でございますので、一般番組とはまた違うのではないか。一般番組の場合は、実は二次利用が後から発生して、そこで一緒に話し合うというケースがほとんどでございます。例えば、ビデオ化したいとか、映連さん関係の制作会社さんへの制作委託の場合には、そこでビデオが前提になっているケースがございますけれども、普通のバラエティとかでありますとか、なかなか二次利用というのは、放送の段階で見えておりませんので、あとでまずは通常は放送局の方に出版とかビデオ化とかどうですかという話が持ち込まれるケースが多い。その段階で我々、先ほど自主基準の詳細化の方で申し上げたとおり、その段階で行使に際して協議するというふうにしておりますので、事前の段階である程度のパターンというのは一般番組では難しいのではないか。アニメに関していいますと、我々の場合は個々に逐一お話し合いを、一番組において話し合いをしておるので、そうなかなか一般化するのは難しいのではないかと思っております。
○私どもも非常にアニメの本数は少ないんですが、もちろん、完パケ発注という形でつくられるような場合には、ATPさんや映連さんと同じような私どもの自主基準に従った扱いになるというふうには認識しております。ただ、ほとんどのケース、現行私どもの場合は、すべて製作委員会方式という形で制作費を各社から集めてというようなスタイルをとっていることもありまして、なかなか自主基準という形ではなじみにくい。つまり、当社だけが発注する、全額制作費をこちらの方で負担して発注するというパターンでないということですので、それは製作委員会内部での話し合いになるというふうに、個別の議論になるというふうに理解しております。
○やはりアニメにしましても、ほとんどが個々にお話し合いをすることだと思いますので。窓口についても、例えば海外番販のようなものでも、その得意な地域によって、ここは局が担当して、こっちは制作会社がというような事例もありますし、余りにも多岐にわたっておりますので、ここで一括して書くというのは非常に難しいのではないか。やはり個々のそれぞれの番組、番組のお話し合いではないかというふうに思うのですけれども。
○舟田座長 おっしゃるとおりで、そこは私のような全くの素人もそう思っているんですけれども、それだけで終わってしまうと、例えばアニメの制作委託取引はどうなっているんだと全体像が見えませんし、どういうルールがあるのかというざっくりしたルールみたいなものを出せないか、そこが私どもの難しいところですね。一方で、個別にいろいろなケースがある、他方でざっくりとしたルールみたいなものを各社さんお持ちなんだろうか。その両方のどちらに軸足を置くか、この自主基準は各社ごとに粗いものでもいいから、基準みたいなものがないかなということで書いていただければと。非常に書きにくいということであれば、それはやむを得ないですけれども、今のご希望は少しでも具体的に書いてくれないかと、そういうご希望だと思います。非常に難しい問題だと思います。今日のところはこれでよろしゅうございましょうか。
3)改正下請法に関する放送関係者の対応状況
○舟田座長 今日は実はもう一つございまして、今年4月に施行された改正下請法に対する各関係者の取組状況について、資料5に列挙しました項目に従い、順にご説明いただきたいと思います。
 なお映連さんにつきましては、本日はご欠席のため、別途ご説明をいただくことにしたいと思います。
 時間が大分押しておりますので、すみませんけれども、ごく簡単にお願いいたします。
○構造的に私ども本体の動きと、それから関連団体が各社ございますので、これらを大体全部まとめるといいましょうか、全体を見る形で、本体の動きを昨年10月から体制を構築して動き始めているということでございます。
 大体その施行の前までにここの資料5の項目で申しますと、セミナー研修会等、これを関連団体グループの中では全体的な形で施行前に7回やり、施行後にも2回催すというようなことをやっております。関連団体の方を申しますと、各社の社内マニュアルを施行前にすべて作成しております。
 それから社内における責任体制ということは、先ほど申しましたが、本体は昨年10月につくったのに応じまして、その同月内に各社内で社長以下の体制をつくっているということでございます。
 周知徹底の推進ということですけれども、これは当初、ですから施行前は割に全体、グループ、関連会社、各社が一緒になってという部分が部外講師とか、部内講師を集めてあったんですけれども、その後は各社別に徹底作業、むしろ実務的なところで経理の発注管理システムの開発とか、そういったことを進め、その操作マニュアルを作成するというような作業を行っております。
 それから本体におきましても、下請法に規定された取引関係というところを意識してまして、下請法そのものを本体でも準用しておこうというルールをつくっておりまして、下請法の手引きというものを今年3月に作成して、これを各制作現場のそれぞれの担当ごとに、ライツプロデューサーというのがおりますので、これらを通じて実務的にかく動くべしというような体制の周知徹底を推進しているということでございます。
 数字的なものはいろいろございますけれども、ここでは省略させていただくということでございます。
○下請法を管轄しておりますのは法務部と制作推進部というところでございますので、私はそこから取材してきた部分でございます。余り詳しくないところもちょっとございますけれども。
 具体的な取組といたしましては、今年の3月の1週から2週にかけての話でございますけれども、プロデューサー向けの研修会の開催を2回行っております。参加者は約180名、そのときの欠席者に対しても別途個別に説明しておりますので、該当者はほぼ全員受けたということだそうです。
 それから、制作会社及びグループ各社向けの説明会の開催も2回行っております。こちらはおよそ300名ほど参加いたしております。それと契約事務主査というのが我が社にはあるんですけれども、これは各局の業務部長レベルの人間でございますが、契約事務主査によります検討会も2回開いております。
 その各研修会で使用しましたパワーポイントが25ページほどございますけれども、パワーポイントをプリントアウトしまして、それをテキストとして使用しております。
 それからつくりましたほかのマニュアル関係のものでいいますと、下請法適用判定用の「下請法類型」という表を作成しております、チェックリストでございます。それから業務類型別に「発注補充書」というものの様式を作成いたしました。それから、これはこれからになるのでございますけれども、4月に発行いたします、先ほど来申し上げています「番組制作費マニュアル」という部分で、この解説項目を全面改訂いたします。
 それと、私どもの各局レベルで下請法担当責任者というものを設置いたしました。これは各副部長レベルの人間でございまして、15名ほどおります。
 簡単でございますが、具体的な取組としては、そういうことでございます。
○改正下請法の対応ということで、民放連で今年の2月に発行されました「放送番組制作取引における下請法遵守マニュアル」という大部のマニュアルがございまして、これをテキストに2月から3月にかけて社内で説明会を頻繁に開催いたしました。
 まず全社的な説明会として、各2時間ということで合計6回開催したことがございます。これは2月から3月でございますが、このほかに、やはり直接的に関係がございます現業部門、特に当時、分社で3分社がございましたので、その3分社と同じく分社ではございませんが、現場である報道局やそれぞれの局を対象にいたしまして、それぞれの局が普段日常業務でやっております下請の発注といったものに対応するための特化した内容で説明会をそれぞれ1回から複数回開催いたしました。
 また、制作会社に対しまして、発注契約として番組制作委託取引の契約を行う部分の担当しております編成局の編成部を対象に、これも先ほど申し上げました自主基準とはまた別に、下請法の具体的な運用として説明会を行いました。このほかグループ企業、グループとしての担当者に対しましても、全体説明会を2回行ったほか、特に個別に美術制作会社や番組制作会社に対しまして、個別に説明会を開催いたしました。この説明会では、先ほど申し上げました民放連で発行しました下請法遵守マニュアルのほかに、独自で制作いたしましたQ&A、それから発注書の実際の記入例、どういった形で発注書を書けばいいのかという記入例、それから社内的な流れ図に沿いまして、下請法対応作業の流れ、あるいは対象業務なのかどうを判定する早見表、それからこれはあまり歓迎されませんでしたが、法律自体の条文も含めて皆さんにお持ち帰りいただきました。その場でも、もちろん内容について説明して進めておりました。
 さらに社内における現在の責任体制でございますが、各局、これは分社も含めまして、それぞれ業務部というセクションがございますので、それぞれの業務部が責任をもって、その局なり、その中の内部的な下請法関係の書類を集約するということを取り決めた上で、各分社、各局で集約したものを総務局の総務部の方に一元化するということで、外部に対しましての、特に所管官庁でいらっしゃいます公正取引委員会などに対する対応の窓口といたしましては、総務局総務部を充てております。
 このほかに周知徹底の推進ということで、業務部長会が社内で開催されるたびに、下請法の遵守、具体的には発注書の作成などを督励するような形で進めておりますが、私どもに対しましては、4月から6月に中小企業庁、それから9月から11月ということで、公正取引委員会それぞれから調査を行うようにというような依頼書もいただいておりますので、これにのっとって業務を進めております。
○下請法でございますが、セミナーは、全社説明会が昨年の10月から今年の3月まで5回、各部局を対象にした個別説明会、あと関係会社の説明会を含めますが、これを13回行いました。
 社内マニュアルは、パワーポイントでつくったポイントを説明したもの、肝のところを説明したものを1種類、それからフローチャートでこれを見れば、一目で下請法の対象かどうか、対象ならばどうしなきゃいけないかということがわかるものが1つ、あと下請法の要でございます発注書ですね、発注書を出したけれども、それをなくしてしまったとか、どこかへいっちゃったというのが一番問題と思いますので、保存マニュアルというのをつくりまして、これを各部局に配付しております。
 下請法に関しましては、所管は著作権部並びに総務局の法務室が共同で当たっておりますけれども、全社横断的に情報成果物が発生すると思われる各局に責任者を置いております。それに関しては、既にリストを事務局の方に提出してあります。この12月には下請法実施がどのように行われているのかアンケートをつくって配付しておりますので、これが取りまとまったところで、一体どこの部局が弱いのか、何ができていないのか、それを検証の上、今後とも下請法を徹底していきたいと思っております。
○各社さんと同様ですけれども、担当が必ずしも著作権部門ということではなくて、弊社の場合には法務部と、うちの方は担当部長がやっておりますので、そこから上がってきたレポートをそのまま読ませていただきます。
 必ずしも資料の5の順番になっていないかもしれませんが、現場の人間を対象とした社内セミナーは、今年3月から4月にかけて前後7回開催しました。このセミナーには、弊社職員のほか、構内関連会社、出資会社と系列局(ローカル局)の職員も参加しています。参加総数は約250名でした。前期社内セミナーは一般職員向けですが、これとは別に各現場の管理担当者、経理、今回の場合、かなり経理のシステムがかんでいるようですが、経理、それから法務、総務、コンプライアンス室等による対策会議を2月から開催しました。対策会議ですので、スタートした2月ごろ、当初は1週間に1回の割合で頻繁に行いましたが、前期セミナー終了後は徐々に回数が減り、現在は1か月に1回の割合で開催しています。
 それからセミナーの資料、Q&Aも含めまして、これは民放連が作成しました先ほどから話題に出ておりますけれども、「放送番組制作取引における下請法遵守マニュアル」を使用しました。なお、民放連マニュアルは、弊社用に2,000部印刷し、全職員約1,300人おりますけれども、及び構内関連会社の管理担当部門に配付しました。全職員に配付したというのは、下請法が今後4月からテレビにも関係してくるよという認識を持ってもらいたいというのと、それから、異動で現場と事務部門が行ったり来たりしますので、事務部門の者にも持たせるということでございました。
 それから、弊社の番組制作発注に関する自主基準、先ほどご紹介していただいた自主基準ですけれども、そこにも改正下請法の遵守対応を掲載しておりましたので、この自主基準の大部分は2004年初頭にはでき上がっておりましたので、前期民放連マニュアルを印刷し、全職員に配付するまでの間は自主基準に掲載した下請法関連記事をテキストとして使用しました。先ほどの15ページから改正下請法についても書き込みましたというところなんですけれども、ここの部分だけを使って遵守マニュアル、民放連バージョンができるまでの間はこれをテキストとして使ったということです。
 それから、弊社の下請法対応部局は、原則として各現場の管理部門とし、社内下請法対応会議を結成しています。メンバーは25名前後であります。これは余談ですけれども、当初、民放連でいろいろ議論をしたのが著作権部門なので、著作権部門が担当部署になれというような指示もあったんですけれども、そうしますと、制作現場の方がお任せになってしまって、きちんとできないだろうというようなことで、各現場の管理部門が責任者ということにいたしました。最も下請法に関する会議、セミナー等の呼びかけに事務局機能は法務部門と著作権部門が担当しております。
 なお、先月でしたか、中小企業庁からの書面調査がございましたので提出しております。
○今年の3月以降、全社説明会を2度行いました。その後、管理担当者説明会、後ほど申し上げますが、現場の責任者であります管理担当部長の説明会を1回、それから関係会社向け説明会、これを2度、それから制作現場の説明会を制作局で2回、スポーツ局、報道局でそれぞれ1回、大きな説明会としましては、以上計9回実施しております。その他の個別の番組につきましては、随時指導を行っております。
 社内マニュアルにつきましては、社内で制作いたしましたのは、改正下請法の概要という資料、それから番組制作における細かいフローチャートを記載いたしました改正下請法に対応するための手順、それと製造委託業務フロー、役務提供、修理委託業務フロー、それから下請取引書類保存基準、こういったものをマニュアルとして作成いたしました。これらはすべてイントラネット上に常時掲載しております。それに加えまして、民放連がつくりました下請法遵守マニュアル及び公正取引委員会作成の改正下請代金支払遅延等防止法テキスト、これを説明会参加者に配付するとともに、イントラネット上に掲載しております。
 それから、責任体制の明確化でございますが、弊社では、書面調査等に対応する外部への窓口といたしまして、総務局総務部に1名、それから下請代金支払遅延ということですので、経理局財務部に1名、それから番組の制作委託ということで編成局編成部に1名、細かい部分に対応するということで契約統括部に2名置いております。さらに各制作の現場におきましては、管理担当部長がその担当責任者ということで3条書面の保管等を行っております。
 それから、周知徹底につきましては、社内報で下請法に関する記事を掲載いたしましたり、個別の業務の中で目につくところは常に注意を喚起しておるところでございます。
○時間も迫っていますので簡単に。まず1月16日に、これは毎月各会員社の著作権担当者が集まる著作権委員会という場があるんですが、公正取引委員会の向井課長補佐に来ていただきまして、改正下請法の概要みたいなものを説明して、これは勉強会という形で実際していただきました。それから、2月26日に、これは下請法のセミナーという形で、これはデジタルメディア協会、こちらは総務省所管だと思いますが、AMDの理事の方がこちらの方の外部理事であることもありまして、AMDとの共催でこの改正下請法のセミナーを行いました。このときには、公正取引委員会の向井課長補佐と実務面における弁護士の方を講師に招き、なおかつ今日もご参加いただいていますが、民放連の田嶋さんにもお越しいただきまして、この三方の講師によるセミナーを開催しました。
 実際このときには、もともと公取の方で防止法のテキストと、あと番組制作作業における下請取引実態と改正下請法の概要というのと、何度も先ほどから出ていますが、民放連のマニュアル、これをもとに一応配付し、それぞれの方に説明していただいたと。かなり活発なQ&Aがございました。実際に、民放連のマニュアルに関しましては、実態面を含めて非常に理解しやすいということで、逆にお願いしまして、配付していただきましたというふうに対応しております。
 それから、関西の方で2月27日に、同様に公正取引委員会の多田課長及びこちらの弁護士の方という形で関西でもセミナーとして開催いたしました。それは半年以上経ってきておりますが、実際この下請法がどう運用されているのかというのは、セミナーを行うのか、アンケートを行うのかというのは検討中でありますという状況でございます。
○アニメ業界というのは、この下請法の改正に最も難しい業界だなという危機意識を持っておりまして、昨年の7月に公取の方、それから経産省のメディアコンテンツ課、それから中小企業庁の方、それから私どもの顧問弁護士の事務所の先生方にも来ていただいて、これは法令の趣旨説明、内容等を勉強させていただきました。その場合に私どもの制作実態というのが非常に個人契約者、グループ契約書、中小零細企業等の各工程で、それぞれの人たちが非常に広い範囲にわたって分散的環境下で制作をしているという実態なものですから、この趣旨を全部に知らせるというのはとても大変だという危機意識を持って中小企業庁等に広く宣伝をする必要があると。そうでないと、業界団体としても責任が持てないというようなことでお願いしておりまして、中小企業庁から若干の予算をいただきまして、今年の3月にアニメ産業に特化した下請法のマニュアルというのをつくって、これを配って、各社にはくれぐれもコンプライアンスの姿勢をもってやってほしいということでお願いをしております。
 それで今年の3月24日にいよいよ4月1日から実施されるよということで、再び公取の指導係の方に来ていただきまして、そのときには、各会員社43名が集まりして、夜5時から10時近くまでとうとう会場から追い出されるというぐらいケーススタディをやりました。例えば、こういう場合にどうするんだというと、公取の方もにわかに判断ができないというので、上司の方とコミュニケーションをとって、その場合はどうする、こうするということを延々とやって時間切れになったわけであります。
 そういうことは当然当初から予想されましたので、この報告書をつくるときに、各工程ごとの人たちに個人契約の人、プロダクション、元請け等、全部含めてヒアリングをいたしました。脚本家、監督工程、それから作画のアニメーション各レイアウト、原動画、背景を描く部門、トレース彩色をする部門、撮影パート、編集パート、録音パート、それからグロスで下請を受ける会社の経営者の方、それから元請けの方のヒアリング等をやって、ほぼ全工程の個人ないしプロダクションから意見を吸い上げました。アンケートは434社にわたりましたけれども、この報告書が全部で97ページにわたっております。公取が出しているマニュアル書だけでは全く理解ができないということで、発注書をどういう形で、どういうふうにして本人に届けるか、離れているものですから、発注書というのはファックスでもいいかどうか。ファックスした場合に、もらっていないとか、子どもが鼻紙にしちゃったとか、いろいろなケースがあって、その場合、元請け会社の責任が重大だみたいなことで発信記録があればいいというようなことも含めてやりまして、今年公取等がアンケート調査をやって、来年早々にも現地立ち入り調査をやるというふうになっておりますが、スケジュール等が一向に改善しないところを見ると、どの程度遵守しているのかということが、特にスケジュールが守れないというようなことが頻繁に起こっているようです。そこら辺が厳格に取り締まられると、非常に厳しいなというふうな感じを持っておりまして、私どもは協会としては絶えず各種の委員会で下請法の遵守ということを宣伝をし、情報をやりとりするようにしております。
○ちょっと先ほどの議論に遡りますけれども、ちょっと判然としないところが幾つかありまして、多分それは現在もまだ論議が続いている部分があるのだろうと思いますので、できれば、次回までにはその辺を明確にしていただきたいなと思いますが、制作委託と演出業務委託との違いがよくわかりません。基本的に大づくりに言えば、企画がどちらに存在するか、つまり制作会社から持ち込まれた企画であれば、制作委託であるし、企画が局側であるならば、演出業務であるというふうなご説明のように先ほどは聞こえましたが、現実には制作会社側から企画が持ち込まれていながら、その番組が演出業務委託の枠だからとの理由で演出業務委託にされているということが幾つかあるという実例があると聞きました。つまり現場の責任者に対しての周知徹底がどこまでできているのかというあたりに非常に疑念を持っています。さらに大きい疑念で言えば、当然ながら、制作委託と演出業務委託とは、発注すべき金額に大きな差があります。これはトータルして番組の制作にかかる経費のコストダウンを図っておられるのかなという疑念さえ持ちます。そうなると、またこの検討会が持たれた最初の理由とはやや違う理由で、公正取引という観点から見た場合に、それは正しいことかということを思いました。先ほどのご説明でも、このペーパーの中でも、演出業務委託についてはペーパーがありませんから、恐らく今いろいろお考えのところなんだろうと思いますが、もう少し明確に制作委託業務と演出業務委託の違いをどういうふうに区分し、それをどういうふうに周知徹底しておられるかを伺えればというふうに希望します。
○舟田座長 今、何か、それとも、時間が余りないですけれども。
○先ほども若干申し上げましたけれども、そこが実態と契約関係がちゃんとうまくいっているかということは、確かにおっしゃるとおり、きちんと検証しなければいけないと思いますので、おっしゃるところを踏まえて、実態も多少調べながら次回に何らかのコメントをさせていただければと思います。
○舟田座長 よろしゅうございましょうか。
 それでは、改正下請法に関しまして、今後とも、各構成員の方々の取組を期待したいと思います。議事は以上でございます。ここまでに関して何かございますでしょうか。
 それでは、次回はタイミングを見て3月をめどに開催することとし、先ほど申し上げたとおり、各構成員から意見等があります場合は段取りを決めて受け付けますので、各放送事業者におかれましては、適宜ご参考としていただきながら、個別の自主基準の策定公表に向けて取組をいただきたい、こういうふうに思います。
 次回会合については、民放各社の方々からの公表をいただいた個別の自主基準についてご説明いただきたいと思います。
 それでは、次回について事務局の方から何か。
○奈良コンテンツ流通促進室長 次回会合につきまして、具体的な日程等につきましては、また座長とご相談させていただき、ご連絡させていただきたいと思います。別途自主基準案に関する意見等の受け付けに関しまして、改めて事務局の方からメールによりましてご連絡させていただきたいと思います。年内残り少ないので、期限といたしましては、事務局的には1月上旬ぐらいを期限にと考えております。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。その辺ということで別途今日、遅くとも明日にはメールで照会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○舟田座長 それでは、ちょっと今日時間が超過して申し訳ございません。今日の会合はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
(3)閉会




(別紙)

「ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会」第10回会合
出席者



(敬称略)
学識経験者  
  舟田 正之 立教大学法学部教授
  菅谷  実 慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授
  松田 政行 青山学院大学法科大学院教授

放送関係者  
  豊田  宏 日本放送協会放送総局業務改革推進室長
  竹内 冬郎 日本放送協会マルチメディア局業務主幹
  伊藤 和明 日本テレビ放送網株式会社コンプライアンス推進室次長兼ライツ審査部長
  植井 理行 株式会社TBSテレビ編成制作本部編成局コンテンツ&ライツセンター担当部長
  千葉 晋也 株式会社フジテレビジョン編成制作局著作権部長
  高橋 英夫 株式会社テレビ朝日編成制作局ライツ推進部長
  池田 朋之 株式会社テレビ東京編成局契約統括部長
  田嶋  炎 社団法人日本民間放送連盟デジタル推進部主幹
  高村  裕 社団法人全日本テレビ番組製作社連盟副理事長、株式会社オフィス・トゥー・ワン取締役
  今川 祐之 社団法人全日本テレビ番組製作社連盟専務理事
  山口 康男 有限責任中間法人日本動画協会専務理事・事務局長
  佐々木史朗 協同組合日本映画製作者協会理事、株式会社オフィス・シロウズ代表

<配付資料>(PDF)
  資料1 「ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会」の開催要綱
  資料2 放送番組の制作委託に係る契約見本(契約書の必要事項)について
                                (平成16年3月26日公表)
  資料3 日本放送協会資料
  資料4 民間放送事業者資料
  資料5 改正下請法に関する対応状況について





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