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塩野座長 ただいまから、デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会第2回を開催いたします。
まず、本日、初めてのご出席となる方から簡単に自己紹介をお願いいたします。小塚さん、お願いいたします。 |
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小塚構成員 上智大学の小塚でございます。第1回は差し支えがありまして、失礼をいたしました。
商法、とりわけ企業間取引の法律を専門にしておりまして、そういう観点から前の放送政策研究会のときにも加えていただき、また大変勉強させていただきました。今回もまたよろしくお願いいたします。
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塩野座長 どうもありがとうございました。引き続きまして、篠原さん、お願いいたします。 |
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篠原構成員 順天堂大学に所属しております篠原と申します。
私の所属しているのは、スポーツ健康科学部スポーツマネジメント学科というところでございます。かつて私は民放連に所属しておりまして、途中から順天堂大学の方へかわりました。専門はメディア論ということで大学では仕事をしております。よろしくお願いします。
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塩野座長 どうもありがとうございます。なお、本日は新美、長谷部、羽鳥、舟田の4名の方がご欠席と伺っております。
きょうの会合では、まず情報通信審議会の中間答申、つまり、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」、こういうのが出ておりますけれども、この取りまとめに当たられた本研究会の構成員でもあります村井さんからご紹介をいただきます。続きまして、デジタルに関する技術動向のヒアリングを行います。本日はメーカーと通信事業者の方にお越しをいただいております。地上デジタル放送の受信機メーカーであるソニー株式会社と、通信事業者として伝送サービス、端末開発に取り組まれておられるNTTグループ、KDDI株式会社から、通信・放送が連携したサービス、端末の開発、実用化の現状などについてご発表をいただき、意見交換を行いたいと存じているところでございます。
それでは、まず事務局から配付資料の確認をお願いいたしましょう。 |
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安藤放送政策課長 それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。 |
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今泉放送政策課課長補佐 まず、頭に議事次第がございます。それからクリップをとっていただきますと、横長の資料1「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」、資料2、ソニー株式会社の「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」の資料がございまして、資料3、NTTコミュニケーションズの「地上波デジタル放送の推進にあたり」という資料がございます。続きまして、資料4「通信・放送関連技術を活かしたサービス展望」、KDDI株式会社の資料でございます。そして次は縦長でございますが、「本年中の進め方について(案)」ということで、1枚ものの資料でございます。
以上が資料でございまして、あと構成員の方には議事録等を配布しております。 |
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安藤放送政策課長 過不足等はございますでしょうか。もしございましたら事務局の方に申し出ていただければと思います。
なお、ご確認いただきました第1回の議事録につきましては、今月の21日ごろ総務省のホームページに掲載される予定でございます。今回の議事録では、皆様が相互に呼ぶ際に、一応「さん」という形で統一させていただいておりますので、ご了承いただければと思います。
また、総務省において、平成15年度の放送事業者の収支状況について取りまとまりましたものですから、構成員の皆様のお手元の参考資料のファイルに追加をさせていただいております。適宜ご参照いただければと思います。以上でございます。
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塩野座長 どうもありがとうございます。今ちょっと説明がありましたが、議事録を見ておりますときに、構成員、構成員というふうに改まって名前が書いてあります。ただ、私も人のことを「構成員」と呼んだことはありませんし、それに「先生」と呼んでみたり、「さん」と呼んでみたり、「研究員」と呼んでみたり、いろいろでございますので、やりとりのときには思いついた名前でお呼びいただいて結構でございます。ですから、先ほどもちょっと思いついたのではなくて、わざと「村井さん」と申しましたが、記録には全部「さん」で統一させていただきます。ただ、皆様、それぞれご趣味がおありでしょうから、発言されるときには適当な名前でお呼びいただいて、いろいろな呼びかけでなさって結構でございます。そういうことをお約束させていただきたいと思います。
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(2) 議題 |
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塩野座長 それでは、まず村井さんから、情報通信審議会中間答申についてのご紹介をお願いいたします。よろしくどうぞ。
1) |
情報通信審議会中間答申
「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」報告 |
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村井構成員 それでは、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」ということで情報通信審議会の中間答申に関してご説明申し上げます。
1枚めくっていただきますと、委員会の検討スケジュールが書いてありまして、2月から7月にわたって毎月開催してまいりました。この検討委員会のメンバーが下に書いてありますけれども、私が主査を務めさせていただきました。
その取りまとめた答申が今からご説明する内容になるわけですが、それに基づきまして、7月28日の情報通信審議会の総会から中間答申として出されたということになります。
それではめくっていただきまして、中間答申の概要でございますけれども、基本的には地上デジタル放送は順調に普及している面もあり、例えば認知度であるとか、端末の売れ行きであるとかの、一部のメトリックは予想していたよりも大きいという部分があります。しかしながら、さらなる需要拡大、普及の加速が必要になります。もう一つは、期限等々のことを考えると、「条件不利地域を含めた全国普及の実現」という大きな課題がございます。
それで、そのためにはどういうことをやっていったらいいかというと、1つは「携帯向け放送」や、「サーバ型放送」など、地上デジタル放送ならではの高度なサービスを、教育や、防災といった、公共分野に先行導入して需要を喚起するということ。もう1つはいろいろな既存の通信インフラ等の既存資産の活用を含めて、「条件不利地域」という地域の選択肢を幾つか用意しながら、可能なものは積極的に利用しながら実現を図ることが必要だろうということでございます。
そのために平成17年度には、そういった点に考慮して実証実験を実施しながら、いろいろな理解も深め、そして実際の伝送手段やその他の方法論の中での実現可能性を比較したり、検討したり、あるいはそのためのプロセスを進めていくことが必要だろうということでございます。
3ページ目を見ていただきますと、全国普及に関しまして、どういうプロセスを考えていくかということですけれども、一番大きく分けることは、基本的なサービスと高度なサービスで、基本的なサービスというのは、アナログ放送の時代から提供されている放送サービスの利便性が向上するとか、クオリティーが上がるとか、そういったことでございまして、右側に書いてあるような映像の高度化、あるいは電子番組表、こういったことでございます。
それから高度なサービスというのはデジタル放送になって可能となる新しいタイプのサービスがあるということでございまして、放送と通信の連携であるとか、携帯端末向けの放送であるとか、サーバ型放送ということでございます。
次をめくっていただきますと、こういったことに着目をした上で、実際に普及の推進をしていくためには、民間部門での自由で柔軟な発想に関する取組みが大変重要になってきまして、民間部門のクリエイティビティ、積極的な取組みを推進することが基本でございます。それに合わせてどういう方向性を考えていくかという提示、それからインセンティブのメカニズムをつくること、また民間のそういった力、努力が引き出されるような環境整備、こういったことが必要ということをかんがみまして、特に公共分野においての「高度」な地上デジタル放送のサービスの導入ということが有効なインセンティブじゃないかと考えております。
それから、民間主導ということでございますけれども、国民生活に大変密着した話ですので、このことのフィードバックを含めたいろいろな情報、それから国民の視点の意見が入っていくようなプロセスが必要になってくると思います。
その次の5ページに行きますと、携帯電話の背景が書いてあります。ご存じのように新しい携帯電話の普及、さまざまな機能の発展が背景にございまして、その中でデジタル放送の受信ということの端末関係のマーケット、プロダクト、こういったような状況が整っていることがあるのと同時に、この役割、つまり、携帯電話の通信網、放送の電波の役割ということが、いろいろな立場、特に災害時の番組の受信、それから防災機能の中でどういう役割を果たすか。こういったところが地方自治体、公共機関などで非常に関心の高いところになるだろうということでございます。
それで次のページを見ますと、さらに具体的な参考の防災分野がありますけれども、例えば年末などに携帯電話がコンジェスチョン(輻輳)を発生することがございますけれども、放送波というのはコンジェスチョンなく受けられます。「WAKE UP」と書いてあるのは、電源が切れている携帯電話を自動的に起動するような信号を放送波に乗せるのですが、緊急時に起動することができた場合に、防災上の有効なツールとなり得るということが紹介されました。
それで次のページを見ていただきますと、先ほどの地上デジタルだからできるような、アナログではできなかったことの例が幾つか紹介されています。このサーバとの連携というのは、放送されたものを蓄積しておいて、蓄積してあるものをまた利用していくということの意味での連携でございます。
次にもう少し詳しいことが書いてあります。1つの例としては、教育分野での利用と書いてあります。これは番組が放送される際に、番組に関するデータを一緒につけることができますので、データがその放送を後から検索したり、発見したりするための情報となり、蓄積しておいた放送の番組の内容を後からいろいろな形で利用するときに有効です。一つの例として、教育用の番組を深夜に放送しておいて、朝、先生が学校へ来てから、教材をつくる、オーサリングをする、ということの中で、そういった映像を利用できるようなモデルも紹介されました。
それから通信と放送の連携ということの中で、どのようにデジタル放送の普及を促進していくかという視点に立ったときに、現在でも、ここで『B−PON』と書いてありますけれども、光ファイバの中でハイビジョンのクオリティーを110チャンネル配信するというサービスが進められております。この取り組みの中で、放送の課題である、普及促進、拡大ということに、こういった通信の枠組みがどう役に立つかということも議論されました。
10ページ目には、自治体によって通信インフラの整備がされていて、非常に充実している地域も現状としてある。これをどのように地上デジタル放送のために利用できるかということについて、先ほどお話があった連携、あるいは補完といった目的の中での利用可能性に関する議論がありました。
11ページ目は、幾つかの実証実験が既に行われておりまして、端末の中での放送や通信の連携という例が紹介されたわけですが、12ページ目を見ていただきますと、行政情報や行政の施設の予約の仕組みのようなものがインターネットでできながら、それの紹介の放送、行政番組ですね、こういったものが放送で流され、連携しているという例も紹介されました。
それらのことを含めまして13ページ目を見ていただきますと、今後重点的に推進すべき施策ということで、大きく2つに分けてあります。1つは、公共分野への導入に向けた先行的な実証を進めるべきであるということ。2つ目は、円滑なデジタルへの移行を実現すること。またそのための課題を解決していくというプロセスという2つが報告をされたわけです。
それで1点目に関しましては、いろいろな国民との接点を持っている公共のサービスを提供する機関での先行導入が実現すれば、普及に向けての大きな効果が期待できるだろうという視点でございます。当面は国が率先して、先ほどご説明したような、高度なサービスの機能と効果をどうやって実証するかという実験を進めていくことが必要で、その結果として地方公共団体自身が認識をすることも、それからそれを通じてたくさんの利用者が、実際に使ってみたときの効果を認識していくというプロセスが重要であるという点でございます。
2点目に関しましては、全国的に均衡のとれた整備、すなわち条件不利地域などでのきちんとした受信という環境整備が重要になります。そのためには既存インフラの活用、今、ケーブルテレビがそういった役割を果たしているわけですけれども、それに加えまして、デジタル化の通信インフラも先ほどご説明申し上げましたように、さまざまな整備が進んでおりますので、こういうものをいかにして活用していくのかということを十分考慮して、判断していく必要があります。そのため、地方公共団体や放送事業者等によるインフラ整備の状況に関する調査を行うとともに、それぞれの伝送手段をどのように利用できて、本来の目的を達成できるのかということを検証する。また、インフラ提供の主体との連携、協力のあり方を含めたフィージビリティ、それから実際の手段、条件等、実証実験を進めながら検討し、明確にいろいろなプロセスを定義していくことが必要です。こういうことで締めくくっているという内容でございます。以上でございます。
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塩野座長 どうもありがとうございました。今のご説明に対して何かご質問があれば承りたいと思いますけれども、このペーパーはそれぞれ基礎的な資料として常に使っていくことになるだろうと思いますので、その折々にご質問をいただいても結構でございますが、差し当たり今日何か特に村井さんに聞いておきたいことがあればお伺いしますが、どなたかございますか。
ちょっと私からですけれども、13ページ、公共分野への導入に向けて先行的にやろうと、それはずっと一貫して流れている思想だと思うんですけれども、(2)で「国が率先して高度なサービスの機能と効果を実証する実験を行い」と、これは具体的にどういうことを考えておられるんでしょうか。
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村井構成員 この高度なサービスというのは、先ほどの新しくできるサービスが中心になるかと思いますけれども、そういったサービスと放送との関係が、どういうふうに利用でき、どういうふうに役に立っていくかということの効果は、今のところは技術の提供側のロジックからそういうシステムができていったところだと思います。これがどういうふうに社会や人に受け入れられるか。人と社会のメトリックをきちんと確立するという意味で、効果を実験することが語られていると理解しています。
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塩野座長 えらい単純な質問ですけれども、放送として実験をしようと、そういうことなんですか。それとももう少し実験室の中で実験をしようと、そういうことですか。
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村井構成員 いいえ、これは実際には実験室の中ではなくて、こういった利用者や地方の実際の公共団体、こういう方たちが体験をして、そのフィードバックが入っていくような形での実験というふうに理解しております。
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塩野座長 それは行政の方がいいかもしれないけれども、民間に頼むとか、あるいはNHKに頼むとか、あるいはそんなことはないだろうけれども、総務省が自分でやるとか、どういうことになりますか。
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安藤放送政策課長 具体的なイメージにつきましては、今、村井さんからご説明があったとおりでございますけれども、例えば今の資料の6ページをちょっとおめくりいただければと思います。地上デジタルならではのサービスといたしましては、携帯向け放送というのがございます。先ほど村井さんからもご説明がありましたけれども、緊急の避難勧告の情報とかいったものを実際に乗せて利活用してみていただいて、その効果とかいったものを検証していくとか、その場合の乗せ方とか、システムの組み方とか、そこら辺はいろいろなパターンの比較検証をしてみて、どういうパターンでやるのが一番いいのか、いろいろ実証実験を例えばフィールドでやってみようと。これは消防庁とも連携いたします。
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塩野座長 実験は補助金を出すんですか。 |
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安藤放送政策課長 これは実証実験の調査研究費ということで、今17年度予算で要求しておるということです。 |
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塩野座長 そうですか。補助事業としてやってみようと、そういうことですね。 |
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安藤放送政策課長 補助事業ではございませんで、そういう実証実験を、ある意味で言うと、関係者協力のもと国の予算でやってみようということです。それは補助金とかいうことじゃなくて、調査研究委託費という形です。
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塩野座長 そうですか、ここに余りこだわるつもりはありませんけれども、もうちょっとシステム、要するに生きた放送に国がこういう実験をやると、それを放送として国民が受けるということであると、ちょっと放送法上いろいろ考えておかなきゃいけない点があろうかと思いまして、次回でも結構ですから、そういう疑問を持ったということだけ申し上げておきます。
よろしゅうございますか。
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塩野座長 それでは続けて、お待たせいたしました。技術の動向についてのヒアリングを行いたいと思います。
今日は、技術の動向に関して関係者にお越しいただいておりますが、まず最初にソニー株式会社の技術担当部長である坂口正信さんから、第1回会合においてNHKから展示発表もございました。メーカーの立場から携帯型受信端末やサーバ型放送受信端末で技術的にどういったことが可能になるかといったようなことで、ご紹介をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
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坂口ソニー技術担当部長 ただいまご紹介をいただきました、ソニーの坂口でございます。
本日は、「携帯受信とサーバ型放送」についてお話をさせていただきますが、この分野を担当しております2名、橋本と平賀が来ておりますので、あわせてよろしくお願いいたします。
次のページをお願いします。きょうは、先ほどありましたように2つ、地上デジタル放送の携帯受信とサーバ型放送についての概要と、それからどういうサービスがあるのか、どういう課題があるのかといった点についてお話をさせていただきます。
次のページをお願いします。いきなり1segというふうに書いて、ご存じの方とそうでない方もいらっしゃいますので、簡単に説明します。現在のアナログのテレビ放送は、6メガヘルツぐらいの周波数の帯域を使って放送されております。各チャンネル6メガヘルツぐらい使っておりますけれども、デジタルの地上波になりますと、この同じ帯域を使ってより高画質のものを送ろうということで、この帯域を13部分に分割しまして利用することになります。この"部分"のことをセグメントと呼んでいます。12セグメント使って、例えばハイデフィニションの放送をし、残り1セグメントを使って簡易な画像といいますか、携帯端末、あるいは移動体の受信機向けに放送をするということで、1seg放送というのはここから来ているわけです。
また別の利用としては、例えば9セグメントを使って、ハイデフィニションの放送を行い、3セグメントを使って通常の、標準のテレビ放送を行い、そして残り1segを使って携帯向けといった使い方もございます。以上が1segの説明でございます。
これで採用されている映像フォーマットですけれども、幾つかあります。その中でもMPEG 4−AVCという圧縮の方式を使っております。
QVGAと書いてありますけれども、要は画面の画素の数をあらわすもので、通常640×480をVGAと呼んでいますが、Q(quarter)がついて、その4分の1の画素を使っているという意味です。
Frame Rateも通常30fpsということですけれども、半分の15フレームを使うということで、下の方を見てもらいますと、棒グラフが書いてありますが、MPEG −2 MPと比べまして、AVCを使うことによって画質は同じに保ちながら2分の1ないしは3分の1にデータ量に圧縮することが可能だということです。
具体的なデバイスですけれども、これは当社のものですが、昨年度発表して、これがサイズ的にも切手ぐらいの大きさで、なるべく消費電力も抑えております。高速の移動、時速100キロということに対しても、エラーが出ないようにということで対応しているわけです。それから周波数帯域においても、UHFとVHF、両方のバンドに対応している。そういうデバイスができております。
実際これを使って今どういう状況にあるかということですけれども、実は9月14日に発表されたんですが、ご存じのようにITS世界会議が名古屋で10月半ばから下旬にかけて行われます。この中で実際にITS(Intelligent
Transport System)はいろいろなメリットがありますけれども、ITSのメリットを体験してもらおうということで、いろいろなほかのツアーもあるんですけれども、その一つとしてITS情報通信体験ツアーというのがありまして、この中でいろんな無線方式を使って、幾つかのデモをやるわけです。実際に1segの電波を発信して、それを受信する。一方地上波デジタル、フルの電波も受けてナビの画面で見るというのもございます。
その辺、次のページを見ていただきますと、13セグメントのうちハイデフィニションの映像素材と、1segの画像をマルチフレックスしまして、変調して送信する。バスでツアーは行われるわけですが、ナビの画面で高画質のものを見たり、あるいは小さな端末機で1segの受信画像を見ることが体験できるわけです。これは実際に体験するということで、実際には10月になりますけれども、できるだけ多くの方に見ていただきたいと思います。
次は、ここで使われる受信端末のモック・アップですけれども、その絵が出ております。サイズ的には約10センチ、それから幅が8センチ、厚さが2センチです。折り畳み式の携帯電話は長さが10センチぐらいあって、幅が5センチぐらいですけれども、それよりもやや大きいぐらいのサイズです。バッテリー、受信アンテナ、スピーカー等を内蔵しておりまして、先ほど触れましたけれども、切手サイズのチューナーが搭載されていて、映像とステレオの音声を見て聞くことができます。
課題といたしましては、細かく言えばいろいろあろうかと思いますが、1seg、現状においてスクランブルはかけておりませんが、実際に行う際にスクランブルをどうするのか。かけるのか、かけないのかという問題もあります。それから実際のサービスですけれども、現状はサイマル放送が2008年まで行われます。同じコンテンツを流すということですけれども、実際それ以降、サービスを行う側、放送業者様の方でいろんなアイデアとかが検討されていると思いますけれども、独自のサービスをされるのかどうか。されるとすればどういったサービスなのか。この辺が決まってこないことには端末を開発する側としては、それ待ちになってしまうということで、これがどうなるかという点です。
それからどういうメーカーの機器でもちゃんと受けられるように、システム化に向けてテストが行われる必要があると思いますので、そのための共通に使われるテストストリームが重要になるかと思います。
以上が1segの受信についてのお話です。
続きまして、サーバ型放送についてお話しさせていただきます。
サーバ型の放送については、先ほど村井さんの方から一部お話が出ましたけれども、この絵にありますように、要素としては高画質のコンテンツといいますか、それがまず第1点。これが電波、あるいは通信として送られてくることになります。もう一つ重要なものは蓄積型であること。最近画像の蓄積、100ギガバイト、それから200ギガバイトのオーダーまで来ていますけれども、そういった大容量の蓄積型のデバイスが使われるようになっています。また、コンテンツそのものについて、いろんなデータが付随されて送られてきます。それをメタデータと呼んでいます。例えば映像のいろんなシーンについての情報、映画、ドラマでしたら俳優に関する情報とか、あるいは内容について少しそのエッセンスが書かれているかもしれませんが、そういった情報がメタデータです。こういったものをあわせて使うことによって、ユーザーのニーズに合わせたいろんな視聴が可能になるわけです。ですから、ユーザーの好む情報といいますか、シーンを選択的に選ぶことも可能になります。それからもちろんのこと、いろんな送られてくるコンテンツが不利に出回ることがないように保護される必要があります。
これはサービスのほんの一つの例ですけれども、先ほどちょっと触れましたが、番組のシーンを選択的に選んで視聴する。現在、皆さん忙しいでしょうから、全部見るわけにはいかないということで、自分の好きなところだけダイジェスト的に見る。中には野球の好きな方がいらっしゃると思いますが、自分のひいきのチームの映像だけを見ることも可能かもしれません。そんなぐあいにダイジェストの視聴が可能になってくる。それに対して有効になるのがメタデータというものです。
それから、この絵にもありますように、電波で飛んできたり、通信網を通ってコンテンツがやってきますので、そういったものがユーザーに対して不便をかけることがあってはならないわけで、ユーザーはどこからコンテンツが来ているのかわからなくても、スムーズに自分の見たいものが見れるということが望まれるわけです。
これは順次アニメーションのタイプになっていますけれども、今、真ん中にある四角は受信装置です。蓄積のメディアがあって、それに加え再生表示機能がある。そこに対してコンテンツが放送として送られてきて、それを再生するというのが従来からある視聴のスタイルです。
サーバ型は一旦コンテンツを蓄積メディアにためまして、メタデータの情報を参照しながら自分の見たいものを選んでいく。見るものもあるし、見ないものもあろうかと思いますが、見たものに対して、例えばお金を払うということが行われるわけです。
加えてブロードバンドの配信、光ファイバとかを通しましてデータが送られてきて、送られたらすぐそれを見る。ストリーミングのタイプの視聴がありますけれども、同じようにダウンロードして一旦蓄積メディアに蓄積して、それを見ることになりまして、放送と通信が必要なときにとか、あるいは時間帯として可能なときにデータが送られてくるというようなことで、この両方をあわせてユーザーは視聴するわけです。そのときに重要になる技術として統合されたコンテンツ配信の技術というのがあります。
それから、先ほど視聴者はどこからデータが来たかを意識せずにと言いましたけれども、メタデータを利用してナビゲーションしてあげる。そういった技術が必要になります。これはできるだけ見やすくという意味で、ユーザーインターフェースを含めまして、重要な技術の領域です。
一番下に書いてありますのは、重要なのは著作権保護ということになります。それから課金も含めて重要ですけれども、それらについてちょっと簡単にではありますが、次のページにまとめてあります。
繰返しになりますが、統合コンテンツ配信技術は先ほど言葉で既に説明しました。ユーザーとしては放送なのか、通信なのかというのは、いずれ意識しないようになるということで、便利に視聴することができる。
それから統合ナビゲーション技術もそのとおりです。いかに視聴者の好みに合ったというか、そういうものがすぐに取り出されるかということが重要で、コンテンツ検索と書いたのはそのことであります。
それから今いろんな面で注目を浴びていますけれども、著作権保護は、コンテンツを配信する側にとっては最も重要と言えるかもしれません。特にこのことについて触れますと、情報家電といいますか、今ネットワークの時代で、いろんな機器がネットワークとして結ばれていきます。例えば現時点でもPCはもちろんのこと、テレビもネットワークといいますか、インターネットにつながって外ともつながるような時代になっておりまして、例えば音楽で言いますと、皆さんご存じのように、特に米国においては無料でファイル交換がされることも起こっておりまして、ようやく最近になって有料でのコンテンツ配信が定着しつつあるように思いますけれども、まだまだ問題はあります。
先ほど言いましたサーバ型放送についても非常に重要なコンテンツで、すばらしい画像のものが送られてくるようになるわけですけれども、それを自由にユーザーが見るようになります。そういった機器がネットワークにつながる時代ですので、インターネットもつながり、著作権保護をどうするかということを大きな課題として、皆さん認識しなければならないというふうに思います。
最後のページですけれども、これはサーバ型放送の想定サービスということで、その幾つかを挙げたわけです。すべて説明するつもりはありませんけれども、自動蓄積サービス、ドラマシリーズとか、それをセットで購入する。そうすると、それがまとめて蓄積のデバイスに入って、その中で全部見るかどうかはわかりませんけれども、その中で見たいものを見ることが可能になります。今は自分で放送があるたびにビデオに録るということがあるかもしれません。あるいはパッケージで購入することがあるかもしれませんが、こういった形で居ながらにして好きなコンテンツを入手できることが可能になります。
それから放送・通信連携サービスと書いてありますけれども、ある連続ドラマを見たところとてもおもしろかったので初回から見ようということで、経路としては通信の光ファイバを通じてドラマの初回のビデオをダウンロードして見ることも出てきます。
それから、今ずっと家で見るようなことの話をしていましたけれども、将来においては蓄積されたものを、外で自分の携帯でアクセスして見ることも出てくるかもしれません。そんなさまざまな利用が可能になろうかと思います。
以上、1seg放送と、サーバ型放送について一通りお話ししましたけれども、これは繰り返しになりますが、例えば技術的な課題もありますし、それから1seg放送、サーバ型放送において、どういったサービスを放送事業者さんが提供するのか、提供していただけるか、この点が今後の重要な課題の一つかと思います。それから最後に言いましたように、著作権保護は、特にサーバ型受信機でネットワークにつながるという意味で重要な課題であると認識しております。
以上、早足でお話ししましたけれども、私の話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 |
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塩野座長 どうもありがとうございました。いろいろご質問もあろうかと思いますけれども、きょうご発表いただける方のご発表を全部伺って、まとめて質問の時間をとりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次にNTTグループから発表をお願いいたします。情報通信審議会の専門委員でもあり、現在NTTコムウェアの代表取締役副社長の網谷駿介さんから、これまでの取り組み、課題などについてご発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
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網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 網谷でございます。本日は発表の機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。
私ども通信事業者の立場で、地上デジタル放送の普及促進、あるいは高度なサービスに向けてどのような貢献が通信事業者サイドでできるのかということを、きょうはご紹介をさせていただきたいと思います。
申し上げるまでもなく放送と通信は、従来それぞれ重要な社会的使命のもとに、固有のフォーマットをベースにしまして進展してまいりましたが、昨今の技術革新によりまして、すなわちデジタル化というのがそのキーワードでございますが、これが連携をすると今までにない高度なサービス、あるいは相互の普及促進といったものに貢献できるということが、技術的にもかなり見えてまいりまして、現実にもそういうトライアルがかなりいろんな事業者さんの手で展開をしているところに来ております。
今日は、そういった技術的可能性と、通信が、放送の持っているいろんな社会的使命に基づく重要な約束事とか、あるいはフォーマットといったことについて、どの程度追随できるのかということをお話をさせていただきまして、そういったものが今後、当初の村井さんのお話にもありましたように、最終的には視聴者の皆様、消費者、国民の皆様にどのような形で利益をもたらすのか。そのための標準化のプロセスといったものを広く実証実験等の場で検証、しかも、オープンな形で検証しながら、より普及促進、高度サービスに向けて貢献をさせていただきたいということでございます。
前置きが長くなりましたが、NTTグループでの第一人者の片山を今日は連れて来ておりますので、片山の方からペーパーに基づいて説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
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片山NTTコミュニケーションズ部長 コミュニケーションズの片山でございます。
資料の説明に入ります。まず、光ブロードバンドアクセスへの期待というところと、あと放送通信連携でユーザオリエンティッドなサービスをという二つのテーマでお話をいたします。
まず一つ目ですけれども、「多チャンネル放送とブロードバンド通信を同時に提供できる波長多重光アクセス(B−PON)」、タイトルは非常にややこしいんですけれども、一言で言いますと、要するに光ファイバの中に、放送サービスとブロードバンド双方向通信サービスを閉じ込めたパッケージングのサービスができますというお話しです。
どういった能力を持っているかということですけれども、標準テレビ品質で約500チャンネル分、ハイビジョンで換算しますと、110チャンネル分が配信可能ということと、一方で通信サービスの方はピークで100Mbpsの高速通信を提供する。これは日々技術革新が行われておりまして、今日はB−PONということでご紹介をしますけれども、100Mbpsの双方向が現時点においては、GE−PONといった形で1桁上がりまして、Gbpsの双方向通信サービスというものも技術的には提供できるような形になっています。
光ファイバですので、下の絵(一芯の光ファイバ)の中にあるように、日ごろなかなか目にすることはないんですけれども、その中に双方向サービスと多チャンネル映像が同時に多重されています。これがB−PONという技術になっています。
次のページですが、ちょっとややこしい絵ですけれども、簡単にわかりやすく説明しますので、しばらくおつき合いください。まず、光が通っているわけですけれども、人間に見える光と見えない光があるのでなかなかわかりづらいんですけれども、この光ファイバの中に3つの波長、すなわち色でたとえると3色の波を多重して送っております。一つはそこにありますように資料中、水色と青に塗られている波長部分でデータ通信の双方向上りと下り、映像配信は下りということで、緑に塗られた部分です。こういった波長の中に三つの波長の信号を多重して送っているという形になります。
下の方の絵は、お客様宅とありますけれども、集合住宅、マンションなども含めまして住宅に、右の方はインターネットとか、放送設備、放送事業者の方々につながっているということです。こういった形で1本の光ファイバの中に、双方向ブロードバンドサービスと、標準テレビで500チャンネル相当のサービスを一体として提供する技術が確立しているということです。
次のページをめくっていただきまして、これは先ほどのB−PONという技術を実際にフィールドで提供している事例としてご紹介をいたします。真ん中にあるのはマンションなんです。マンションですと、衛星受信のアンテナ(パラボラアンテナ)をベランダに建ててはいけない、設置してはいけないというマンションも中にはありまして、マンションの屋上に共聴のアンテナが建っています。そのときに、右の方に周波数配列イメージとありますけれども、VHF、UHF、既存の放送と、BS、CSとあります。例えばスカイパーフェクTVさんが提供されております約300チャンネルの放送が、周波数が同じ部分に重なるために一部分番組をカットして、マンションの中で配信をしているという現状がありました。これは課題として、お客様に全チャンネルを提供できないという課題でありました。
次のページですが、これを解決する方法としてB−PONが活用されましたという事例です。これは左の方からスカイパーフェクTVさんの映像を受信して、それを光ファイバの先ほどの500チャンネルの部分の映像配信、テレビの配信のチャンネルに乗せてマンションまで提供するということで、先ほど重なっていた、見えなかった番組のところをすべて見えるような形でマンションに提供している。これは現時点で実際にフィールドで実用化されているやり方です。
次のページですが、先ほどの説明を絵にしますと、スーパーハイバンドと言われている周波数帯に約300のCSの全チャンネルを閉じ込めまして、伝送して送信をしているということです。
次のページですが、技術的には500チャンネルを十分とするか課題はありますけれども、500チャンネルと、先ほどのIP双方向通信ということで約100Mbps、現時点ではGbpsの双方向ブロードバンドを、マンションもしくは家庭まで送信することができます。
次のページですね、これまでお話をしたのは、RFと言われる周波数の中に搬送波を立てまして、チャンネルで番組を伝送するという考え方でした。ここでタイトルは通信パケット、internet protocolのIPパケットのことなんですけれども、IPパケットで放送的サービスができるんだろうかというテーマを、IPの双方向が高速化すると可能性としては出てくるということです。放送の基本的な要件であります、送った番組と受信している番組が同一なものなのか、また、私が何を見ているのか、そういうことがわからないということが保証されるか。さらに、3つ目として、放送している全チャンネルが本当に家庭までちゃんと届くかといったような、極めて放送の原則原理的な課題について、IPパケット放送というものが成り立つときに本当にできるのかということについて少し書いてみました。
現時点においてはいろいろと課題があるわけですけれども、同一性の保持、本当に同じ情報が家庭まで届くかということに関しましては、パケットのシーケンス番号を制御するような技術、もしくはIP−FECとありますけれども、パケットが途中でなくなったときに、それを訂正して再現するような技術、映像の品質を把握して、さらに通信制御上の経路制御とか、品質制御をするような技術があります。匿名性の保証につきましては、通信ですからIPアドレスで通信をするわけですけれども、そのIPアドレスを隠蔽したり、匿名のIDを使ったり、情報を複数の方が分散して仲介するといったような匿名性を保証するような技術があります。
あわせて課題の3番目ですけれども、先ほども申し上げましたが、全チャンネルが本当に家庭まで行くのかということに関しては、アクセス系と言われている電話局から各家庭までの最後のアクセス系もGbps、すなわち映像で言いますと、数十チャンネル、数百チャンネル分の伝送能力を持つブロードバンドサービスが提供できる時代になっておりますので、全チャンネルを何チャンネルと言うかという問題がありますけれども、複数のチャンネルが同時に伝送できるという技術が現状であります。
次のページに行っていただいて、これまではB−PONもしくは光ファイバの能力、もしくはIPの放送としてとらえたときの課題についてご紹介をしました。二つ目のテーマですけれども、放送通信連携でユーザオリエンティッドなサービスをということで、次のページですが、今までは放送番組を家庭で見るといったような基本的なサービスだったのが、先ほどのソニーの坂口さんのお話の中にもありましたように、これからは番組のメタデータ、もしくはアーカイブ機能、顧客管理・限定受信といったようなプラットフォームの中で、視聴者が自分のライフスタイルに合わせた視聴形態というものを楽しむことができる。家庭の中だけではなくて、ユビキタス、要するに屋外でも自分の見たいものにいつでもアクセスができる、もしくは視聴できるようなスタイルになるでしょうということです。
次のページですが、この辺はメタデータという技術が一つの要素的な中核になると思います。メタデータに関しましては、先ほどもお話がありましたので、割愛をさせていただきます。
少し飛びますけれども最後のページです。イタリアの事例を少し紹介をさせていただきました。どういうサービスかと言いますと、先ほどサーバ型放送ということで、家庭の中に録画機能つきの情報家電を設置するというケースでしたけれども、この事例ですと、ネットワークの中に自分の録画サービスができるストレージというんですかね、そういうものを契約をして、自分が外出先、もしくは自宅からこの番組を録画したいというと、自宅のテレビ、もしくは情報家電、ハードディスクではなくて、ネットワークの中で代わりに録画をするということです。したがって、家庭の中では比較的設備は持たなくても、ネットワークの中でお預かり、視聴者のWILLによって録画をさせていただいて、それをオンデマンドで見るといったようなサービスが実際に始まっております。
これらは先ほどのブロードバンドのIP双方向と、500チャンネルの映像伝送、放送伝送を組み合わせれば、いろんなサービスが実現可能だと思いますけれども、これは一つの事例としてデジタルのメリットというか、IPパケットを利用した双方向サービス、もしくはブロードバンドの能力をフルに活用すれば、放送事業者様が考えられる多様なサービスを、通信事業者としてご提供できる可能性があると思いますので、先ほども話に出ました実証実験等で社会に役立つアプリケーションというものは何かということに対しても、今後機会があれば検証していきたいと思っております。
説明は以上です。 |
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網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 以上でございますが、先ほど申し上げましたように、B−PONとか、耳慣れない言葉が出てきて、何のことかよくわからない、全容を解明しているのか、していないのかよくわからないということが、ご指摘としてあるかもしれませんが、申し上げたいことは、かなりのところまで来ているということで、光ファイバがこれから全国にかなりの速度で浸透していくと思います。それを使いますと、放送のより一層の普及とか、高度化といったことに使える可能性があるということでございまして、業界を超えた連携のようなものが可能になりますと、より視聴者の皆様にはすばらしい内容をお届けできるだろうということが、私どもの目標でございまして、個々の細かい技術的な事項はちょっとわかりにくかったと思います。しかも、放送のフォーマットといういろいろな条件がございますので、それができるようになってきたということでございまして、大変恐縮でございますが、その辺をご理解賜ればと思います。ありがとうございます。
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塩野座長 どうもありがとうございました。それでは、先ほど申し上げたような次第で、続きまして、KDDI株式会社からご発表をお願いいたします。
KDDIは、地上デジタル放送、通信連携端末サービス及びサービスの開発等を行っております。今日は技術開発本部執行役員の村上仁己様からご発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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村上KDDI技術開発本部長 村上です。どうぞよろしくお願いします。
では、ここに書いてありますように、「通信・放送関連技術を活かしたサービス展望」ということで、若干技術的な説明になろうかと思いますが、KDDIの現状とこれからの方向性についてご紹介したいと思います。
次のさらに次のページです。これは「通信と放送の連携に対するKDDIの取組み」ということで、先ほどご紹介がありましたように、携帯ということと、あと有線、一言で申しますと、光ファイバを使った有線伝送ということで、どういうことを今考えて実行しようとしているかをご紹介するものであります。
まずここの図にありますように、これはKDDIという意味ではなくて、一般的な通信事業、電話、インターネット、携帯、こういうことをサービスしている通信事業と、ケーブルとか衛星とか、地上のデジタルのテレビとかラジオをサービスする放送事業ということになろうかと思いますが、一番の大きな差は通信事業は双方向のネットワークであります。ただ、放送と違って送り側と受け側が基本的には1対1というのが通信の一番の特徴だと思います。逆に言うと、放送事業は一方向なんですが、送るのが一つでも受けがある意味で無限大、そういうふうな通信事業と放送事業がこれからどう絡み合って、さらに市場に受け入れられるような、あるいは大きなことを言いますと、国民がハッピーになるような新しいサービスをつくれるかということが今非常に重要になっている。ちょうどエポック・メーキング的なタイミングに今なっていると思っています。
例えばここに書いてありますように、通信事業で光ファイバを使いますと、双方向なんですが、それで技術的には、例えばテレビも送れますということで、通信と放送の連携が今話題になってきているということがあります。
それからあと携帯の端末でも、特に日本の地上デジタルテレビと言いますのは、通常のテレビだけではなくて、携帯用の画像、自動車用の画像、3種類送ることになっていますので、その中でも携帯用の画像が送れるという大変大きな特徴がありますので、それを携帯で受けていろいろなことができる。今までご発表の方のいろいろなお話に入っていると思いますが、そういうことだと思っております。
それからもう一つ、これは経済的な話なのですが、有線で、あるいは光ファイバでなぜこういうふうなテレビが送れるかというのは、私は個人的には、インターネットの定額制が今非常に普及していることが背景にあると考えています。数十メガ、今現在ですと、ADSLで50メガ、光ですと100メガぐらいが数千円で使える時代になっている。ということは、その容量の一部を使うとテレビが送れるということで、インターネットを使うことから言いますと、実を言うと、もしかしたらかなり安いようなテレビの伝送が可能になってきたということがあろうかと思います。
先ほど申しましたように携帯の場合は、地上波デジタルが携帯用の信号を送るというスキームになっていますので、携帯でも通信放送事業が可能になった。今アナログでテレビが見られますが、あれは見られるときがあるというぐらい品質的には大変不十分なものであります。ところが、デジタルになりますと、携帯できれいな画が動かしても乱れずにできるというので、携帯でテレビを見るというのは、地上波のデジタルテレビがスタートしたときがある意味でポイントであろうと思っております。
次のページです。これが通信・放送連携のサービスの一応の形になっております。先ほど村井さんのお話があったんですが、携帯端末は、実を言うと我々が唯一24時間、極端に言いますと、肌身離さず持っているネットワーク機器というのが今の一番大きな特徴であろうかと思います。そういう意味でこの図(通信・放送連携のサービス例)に書いてありますように、地上波デジタルテレビで受けた信号を、この右の方の図は、上がテレビからの画像になります。下の方は通信のネットワークを使って、テレビに関連する情報を、ネットを使っていろいろ引き出してきたという形を、こういう形で見せるのが一つの通信・放送の融合の形であろうというふうに思っております。
ここで実を言うと今の携帯は、GPSという、位置情報を持っているのが一つの大きな特徴だと思います。携帯は基地局の周り、大体数キロから10キロぐらいの範囲で受けられるのですが、ある携帯に対して、たとえテレビを送っても、地域限定のサービスが行えるというのがまず大きな特徴になります。さらに言いますと、GPSを使いますと、地域でなく1人1人の受信を、コントロールという言葉を使うべきじゃないと思うんですが、1人1人がそれを受ける、受けないを含めて選択できるのが、今の携帯の大きな特徴だろうかと思います。
村井さんのところの報告にもあったのですが、例えばこのビルが爆破されるから逃げてくれという話になったとき、もちろんテレビでそういうことを放送されたとき、これも村井さんの方から報告があったんですが、携帯をスイッチオンにしてそれを報告できるのですが、GPS機能とか位置情報を使うと、この場にいらっしゃる方の携帯だけをオンにして、「皆さん、避難してください」という情報を流すこともできるようになっておりますのが、位置情報を持った携帯の大きな情報だと思っています。
その辺のいろんな可能性を下の方に表にしております。右から二つ目の緊急ニュースということと、左の方の下から3番目に双方向サービス、この辺を組み合わせることによって、いろんな可能性が出てくるというのをあらわしております。
次のページですが、ここは最近のauの携帯電話の高速化、この辺は弊社だけではなくて、ドコモさんもボーダフォンさんも、そう大きな違いはないとご理解いただければと思います。2年ほど前は携帯は64キロの速度を持っておりましたけれども、ここに書いてありますように、2002年の4月に144キロに増速されております。技術的な開発が行われて昨年の11月には2.4メガで、携帯の伝送路がそこまでアップしてきた。これから数年たちますと、多分確実に携帯の伝送路が10メガぐらいまでは行くというふうに思っていただいて結構だと思います。実を言うと、今はADSLは50メガまで行っていますが、1〜2年前まではADSLは10メガ前後でした。そういうふうなレベルまで今携帯が来ているということをここに書いております。さらに言いますと、5年、10年ぐらいたちますと、多分100メガの可能性が出てくると思っています。今研究所レベルでは、携帯でも100メガぐらいの可能性を、プロトタイプなレベルなんですが、技術的な開発が熱心に行われているというのが一つの大きな特徴であります。
EV−DOと言いますが、現時点ではこれはリアルタイムにはちょっと向かない。データ伝送がメインですけれども、こういうものがこれから大きく広がっていくのではないか。新たな発展の可能性として、これからIP関係は全部そうなんですが、品質の保証機能をさらに向上させたりとか、同報機能、これは一言で言いますと、テレビ的な同報機能、それからあとはいろんなビジネスでの使い方が、このぐらいの速度になってきますと、これからさらに使われていくんじゃないかと理解しております。
次のページです。今度は光の方にちょっと移りますけれども、今のところADSLは先ほど50メガとご紹介しましたけれども、NTTさんの交換機で大体2キロぐらいの範囲のお客さんですと、その辺の高速のビジネスというか、サービスを享受できるんですが、残念ながら交換機から遠くなりますと急に速度が下がります。そういう意味でこれからADSLから光のサービスがさらに発展していくんじゃないかと思っております。
右の方に、この辺の光のサービスの一つの特徴を書いておりますが、二つの四角のところに、現在最大100メガの高速インターネット接続というのがサービスされていますが、これはそう遠くないときギガビットオーダーに進展していくのだと私は理解しております。
次のページをごらんになっていただきたいと思います。これはKDDI光プラスのネットワークの構成をざっと書いたものであります。他社との大きな違いは特にありませんけれども、真ん中の大きなところに、全国基幹ネットワークということで、これは全国横断の光のネットワークを持っておりまして、あと地域ごとにさらにそこからまた光のリンクが出て、あとはマンションとかに光ファイバで例えば100メガとか、さらに高速なのを引いてお客様に使っていただこうということを考えておりますし、先ほどNTTさんの方から光多重の話と、IPマルチキャストの話がありましたけれども、弊社の場合は現在IPマルチキャストという技術をメインにサービスをしようというふうに努力しております。
次のページ、最後になります。今まで申し上げましたことを、一応まとめとして書いております。
(1)携帯端末の高機能化ということで、先ほど申しましたように、1)通信・放送連携による新サービスの可能性、私どもなりに実験したり、あるいは総務省のご指導のもとにいろんな実験の可能性を今検討しているところであります。先ほど申しましたように、通信と言いますのは、1人1人に対応したサービスが可能であります。ということは、先ほど問題点で指摘されていますが、課金とか、そういうところについての技術的な準備は既に終わったネットワークでございますので、その辺を使った新しいサービスがこれから出てくるものというふうに理解しております。
2)モバイル通信網の高速化、数年で最大10メガと書いてありますが、そういう意味で光といいますか、有線で言うとADSLになっている。将来は光に相当するモバイル通信網ができるものと思っていますし、これは確実に技術的には達成可能だと思っています。
3番目にモバイル通信網の高機能化(同報機能)と書いてありますが、これは位置情報と結びついたいろんな技術的な可能性を考えております。実を言いますと、携帯のこの辺の技術は日本は世界一と言っても、多分誰も異論をはさまないぐらい非常に進んでおります。技術的にもいろんなサービスの発展といいますか、サービスの普及についても、正直申しまして日本は世界一と言ってよろしいかと思います。
一方、(2)に固定通信網の高機能化ということが書いてありますが、1)最大100メガの高速インターネット接続の実現がなされております。ただ、これは若干個人的な気持ちも入っているんですが、今コンテンツが不足しているというのはやっぱりあるんじゃないか。最近NHKさんが昔の番組を使えるようにある意味で許可をしていただいて、いろいろその辺は出してきていますが、思ったように市場が動いていないという感じを私は持っています。そういう意味も含めて、こういう高速になったときのコンテンツというのは何だろうかというのは、これから我々にとっての大きな宿題でもあると思っております。
2番目のIPマルチキャスト技術による放送サービスの実現ということで、光を多重にするのか、IPにするかというのは、これから大きな技術的な検討課題だ。今IPマルチキャストで送るところが一つで、受けが幾つまでできるかというのは結構微妙な技術のレベルの発展途上にありますので、これから送り場所が一つで1,000万とか、2,000万の方が受けられるようなIPマルチキャストの技術がもしできれば、一つのブレイクスルーになるのではないか。ただ、そういうことが技術について結構いけているという話は、まだ聞いておりません。
それからあと3番目、IP電話、VoIPというやつですね。それからインターネット放送などの同時提供の実現が固定通信網によってなされていくだろうと思っています。
先ほど申しましたけれども、コンテンツが不足しているというのが、我々にとっての解決しなければならない一つの問題点だと思いますが、一方、私どもの方に、例えば地方のCATVの局から、東京タワーを出たすぐの信号を、コマーシャルを含めて見たいというお客さんがいらっしゃるという話は聞きます。それから東京の人が自分の田舎のテレビを見たい。CMが東京とやっぱり違いますから、そういうことを見たいというお客さんもいるということも確かであります。そういう意味でその辺がまたこれから大きなディスカッションの一つのアイテムになっていくのではないのかと思っています。
固定通信網のインターネットの使い方、放送、実を言うと、この辺の技術的な立場、普及発展の度合いも多分日本は世界一なんじゃないのかなと思っています。ただ、我々の会社から言いますと、この固定通信網は正直言って全然もうからない。やめたいとはもちろん言いませんが、非常にしんどいビジネスを今一生懸命、携帯で今黒字が出ていますので、そちらの方に持ってきて、何とかこのまま続けたい。これは多分皆さんのキャリア、日本全部同じだと思いますが、そういう意味で我々としては、高速な固定通信網をさらに使っていただくためのコンテンツをどう準備するかは、非常に大きな課題だと思っております。以上です。
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塩野座長 どうもありがとうございました。3社の方から最新の技術的なお話を伺いました。しかし同時に、制度論にも非常に密接に結びついているものが幾つかございました。ただ、今日直ちにこれは放送であるかとか、通信であるかとか、そういった制度の人が好んでする議論に入りますと、時間の関係もございますので、きょうはできれば技術のことについていろいろご質問を承れればと思います。あるいはご意見も承れればと思います。もちろん制度がそれに引っかかってくるのは、別に排除するつもりはございませんけれども、やや重点をそちらに置いていただくことになるのだろうと思います。
どなたか適当にご発言、ご質問をいただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。 |
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濱田構成員 これは教えていただきたいことなんですが、ソニーさんのお話の中で、「サーバ型放送に必要な技術課題」というところでございましたが、統合コンテンツ配信技術というご説明がございました。これは具体的に申しますと、どういったメニューがここには含まれるんでしょうか。先ほど光ファイバでいろいろ放送・通信も含めて配信するという話もありましたが、もうちょっとそのほかのいろいろな技術が含まれるようなものなんでしょうか。
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坂口ソニー技術担当部長 一度にすべて語ることはできませんが、例えばこれはサービスの形態にもよりますけれども、一方で放送であるコンテンツを流す。そのときにそれが例えば旅行だとか、そういう番組であったとすると、それに関する情報を同時に放送で流すわけにはいかないというか、そこまでの伝送容量はありませんから、一方で通信でそれを提供できるようにしておきます。そうすると、ユーザーは必要に応じて放送で流れてくるものを見ながら、必要に応じて通信から見たいコンテンツにアクセスすることができます。それがいかに連動するようにするか、うまく動くようにするかというのは事前に仕掛けをしておかなければいけませんし、仕掛けだけじゃなくて実際見る方においても、それがスムーズに動くようにしなければいけないということで、これは一例ではありますけれども、そういった関連するものをいかにうまく流すかということが、一つ挙げられるかと思います。
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濱田構成員 そうすると、今のお話だと端末側だけではなくて、そもそもの配信する会社といいますか、そちらの側においてもいろいろ工夫をする。そういう話になるわけですね。
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坂口ソニー技術担当部長 そうですね。両方に関係すると思います。 |
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濱田構成員 ありがとうございます。 |
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塩野座長 今のサーバ型との関係で、私もちょっと違ったことでもっと初歩的なことを伺いますが、ソニーさん、サーバ型サービスプラットフォームというので、この図(サーバ型サービスプラットフォーム)ですと、従来型と違って、既存型放送があって、サーバ型放送が流れていますね。このサーバ型放送と既存型放送とは、蓄積メディアの方に行くだけで、サーバ型放送はサーバ型放送しかしないんですか。
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坂口ソニー技術担当部長 実際にはサーバ型であるか、放送を送る側としては、通常のリアルタイムで見るものと、ですから、これは蓄えようというのはユーザー側に任せられるわけです。今ビデオデッキだとかをお持ちの方が自分で録る。それとは別に、ある仕掛けが要るわけですけれども、サーバ型の場合には、これはサービスの形態によるわけですが、ユーザーの方がドラマ、あるいはスポーツ番組を自分は買いますよと。そういうのを買えるような仕掛けを事前にコンテンツ等を含めて、別のデータが要りますけれども、そういうふうな仕掛けを用意しておかなきゃいけない。これは通常の放送とは別のものを用意しなきゃいけない。コンテンツそのものは変わりませんけれども、それが録れるようにする仕掛けは必要かなということです。
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○ |
塩野座長 それは1人でも申し込みがあると、それは受けるかどうかは別として、1人でもそういうことはあり得るということですね。
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坂口ソニー技術担当部長 1人でもありますし、いろんな方が申込む場合もあります。 |
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塩野座長 1人ということを一応。 |
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坂口ソニー技術担当部長 はい。 |
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塩野座長 そうすると、またそれは放送ですかと聞きたくなるんですが、それはやめるといたしまして、だから、それは制度的に言うと、ビデオテープを買うのとどこが違うんですかね。
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坂口ソニー技術担当部長 平たく言いますと、ビデオテープを買うのは、それを売っているところに行かなければいけませんし、それから一体それが自分の知っている店にあるかどうかもわからない。なければ、本と同じですけれども、そこで発注しなければいけない。届くまでに何日か待たなければいけない。しかしながら、実際にネットワークでつながったりしていますと、それはどこかにあれば、そこにアクセスして瞬時にといいますか、例えば時間がかかったとしても、その日のうちにデータとして届くということで、その辺が自分の欲しいときにすぐ見られますよという意味で非常に便利になる。そういう意味です。
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○ |
塩野座長 どうもありがとうございました。制度論はやらないと言いながら、ちょっと気になったものですから、私の理解では、サーバ型放送は放送ではないと今のところは思いますが、これは後からまた議論しましょう。どうぞほかの方。どうぞ小塚さん。
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小塚構成員 今の塩野さんのご質問にも関連するのですが、NTTグループの方で少し説明をはしょられた部分ですけれども、メタデータというものについて、これは経路のどの段階で、どういう人がつけることになるのかということを教えていただけませんか。
最初にコンテンツを作ったところでつけることができそうなのはわかりますが、その途中でいろいろな事業者がつけたり、そのメタデータだけを変えることができるかどうか。そのあたりを教えていただけませんか。
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片山NTTコミュニケーションズ部長 いろんな考え方があろうかと思いますし、サービスモデルにもかかわる部分ですので、いろんなアイデアが出てくると思います。これは私の考えですけれども、基本はコンテンツの一部としてコンテンツを作られた方が、自分たちのコンテンツをどのように見てほしいかということを基本としてつけるんだろうと思います。したがって、コンテンツの一部になると思います。
ただ、視聴者の立場から見ますと、やっぱり自分なりのオリジナルな考え方、意見、趣味嗜好みたいなものがありますので、例えば阪神ファンには阪神ファンにしか分からないメタデータもあるでしょうし、巨人ファンには巨人ファンにしか分からない言葉の使い方みたいなのもあるでしょうし、そういった視聴者から見たときには、いろんなメタデータを自分たちなりにつけて、そのコンテンツを視聴するというスタイルもあるのではないか。そうすると、第三者が客観的にメタデータをビジネスにするという考え方も将来は出てくるんじゃないかと思います。それが成り立つかどうかという話は別問題と思いますけれども、アイデアとしてはあるんじゃないかと思います。
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○ |
塩野座長 よろしいですか。篠原さん、どうぞ。 |
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篠原構成員 NTTさんの15ページ、イタリアの例ですけれども、これは要するにセンターに録画を個々人なり、各家庭で事前にお願いするというやり方ですね。
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○ |
片山NTTコミュニケーションズ部長 そうですね。 |
○ |
篠原構成員 その場合に、個人の側で特定の番組、あらかじめこれとこれ、というように特定して頼んでおくのか。ある程度各家庭の視聴傾向なり、個人の番組嗜好みたいなものをデータ的に統計をとっておいて、その傾向に近いようなものがある、あらかじめ録画をする会社の方で、この人なり、この家庭ではこういう視聴傾向があるということで、あらかじめみつくろったものをつくってあるんでしょうか。その辺をちょっと教えてもらいたいんです。
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○ |
片山NTTコミュニケーションズ部長 現時点では視聴者の方ですね、要するにサービスを受ける方がEPGという番組ガイドに従いまして録画を要求するということで、センター側で本人に成りかわり、家庭のホームサーバに成りかわってセンター側でお預かりをすることが基本と聞いております。
将来は、視聴記録なり、趣味嗜好データ、もしくは巨人ファンなら、巨人ファンの録画オーダーがあってもなくてもセンター側で絶対録っておくということは、サービスの形態としてはあろうかと思いますけれども、現時点においては明確に録画要求があった番組について、一定期間お預かりをするという形態になっていると聞いております。
したがって、巨人ファンなら今日録画をし忘れてしまったんだけど、今電車に乗っているし、携帯電話も出せないし、見たいな。やっぱり録れていてよかった。松井のホームランシーンがやっぱり録れていてよかったということは、視聴者としては便利でありがたいなと思いますけれども、現時点では、そこまではこのサービスにおいてはできていないと思っております。
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○ |
網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 すみません、ちょっと補足させていただきますと、先ほどのサーバ型放送との関連もありますので、この種のどういうものを蓄積しておくかということで考えますと、今蓄積装置そのものは非常に安く、言ってみれば無限大で蓄積はできます。したがって、多分こういったものが本格化すると、すべての番組をすべて蓄積しておいて、好みに応じて過去・現在のものを、リアルタイムなものも含めて、検索、あるいはダイジェスト、編集、あるキーワードで今までこういうものが入っていたコンテンツを全部総ざらいしてくれとか、そういったことがかなり可能になる。そういう可能性を秘めておりますが、今のイタリアの会社の場合には、そこまでやっているかどうかということでいくと、経済性とか、加入者数の増とか、需要の増大でそういったものを拡充していくというプロセスじゃないかと思っております。
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○ |
篠原構成員 ありがとうございました。よくわかりました。 |
○ |
塩野座長 野村さん、どうぞ。 |
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野村構成員 同じFast Web社の件なんですけれども、センター側で番組を蓄積して、視聴者のニーズに応じて送信することになりますと、イタリアでは可能なのかもしれませんが、日本ではこういう場合、自動公衆送信になって、同じサービスをなかなか簡単にはできないのではないのかなと思います。そこら辺で同じようなサービスをなされようというときに、制度論になってしまって申しわけないんですが、課題などがあったらお聞かせいただきたいと思うんですが。
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○ |
片山NTTコミュニケーションズ部長 世界各国のいろんな考え方とか制度がございますので、イタリアでできたサービスをそのまま日本に持ち込めるか、もしくは日本で実現しているサービスが世界に展開できるかということは、各国の文化なり、国民性なり、そういったこともいろいろ影響してくると思います。今回ご紹介いたしましたのは、技術論的にこういうことができるということをご紹介いたしました。
制度的なお話しということがありましたけれども、私の方からは将来どこまでのことが、いつごろにできるのかということはなかなか申し上げられないので、日本においては日本のやり方というものがあるのではないかと思っております。ですから、そういったサービスのアプリケーションの利用シーンというんですか、そういったものに合わせて技術を提供していく、基盤を提供していく考え方で今はおります。
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○ |
塩野座長 しかし、あまり制度がぐずぐず言っていて、せっかくの技術の発展を止めてほしくない。そういうお気持ちはおありになるわけですね。
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○ |
網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 今、地上波のテレビ番組を通信上に乗せるというのは、やっぱり著作権上の問題が非常に大きくありまして、技術的にはかなりのことができますが、一つは著作権の問題、それからどういうコンテンツをどういう形で流したらいいのかという放送カテゴリーに即して、制度的、準制度的プラス実態のいろいろな関係省方面の方々のお考えもございますので、そういったことを克服しながらやっていく必要があるということだと思っております。
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塩野座長 どうもありがとうござました。隈部さん、どうぞ。 |
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隈部構成員 ソニーさんのご説明で、統合著作権保護が大事だというお話がございまして、まさにそのとおりだと思うんですけれども、これまで著作権の問題はどうも放送は放送、あるいはパッケージはパッケージ、通信は通信というような、個別に著作権保護の検討が技術的にも進められてきて、既にもう一部それぞれに実施されているわけでございますけれども、それを統合したような、放送でも、通信でも、メディアの融合時代に、すべてにわたって使えるといったような著作権保護技術がどこら辺まで開発が進んでいるのか。それで、近々実際にサーバ型放送は始まりますから、そうしますと、それに間に合うのかどうかといったようなことを、もしわかりましたら少し教えていただきたいと思います。
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坂口ソニー技術担当部長 今のご質問ですけれども、現時点では、私の知っている限りでは、統合された形でというのは、まだそういう見通しは立っていないと思います。なかなか難しい問題があろうかと思いますが、先ほどお話ししましたのは、実際に視聴者の方々が、今の技術、これからの技術でいろんなことができる、いろんな楽しみ方ができるということで、そのためにはスムーズにアクセスすることが必要なわけですけれども、そのためにこれが必要だというふうに申し上げました。
ただ、これがいつの時点でどういうふうにまとまってできるのかというのは、私自身、申しわけありません、情報を持っておりませんので、橋本の方にちょっと交代します。
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○ |
橋本ソニー担当部長 全体のお答えになるかどうかわかりませんが、恐らく著作権保護技術の要素技術そのものは、どの段階の技術を求めるかは別としまして既にあるかと思います。その技術をどういう形で組み合わせして、放送の保護技術、通信の保護技術を同じプラットフォームの中でやるか、別にやるかという技術要素そのものの選択がありますが、技術そのものの開発自体は、何かをしなければいけないという状況に今の段階であるとは思っておりません。
ですから、そのことは暗号化方式を含めまして、技術的にはいろいろございますので、そのことを関係者集まってこうしましょうと、合意形成ができれば、それで動けるかと考えております。
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○ |
塩野座長 どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。 |
○ |
隈部構成員 ありがとうございました。 |
○ |
塩野座長 伊東さん、何か今までの技術の説明はどこかおかしいとか何とか、そういうことがあれば、どうぞ。 |
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伊東構成員 いえ、特にないと思います。私からも質問させて頂いてよろしゅうございますでしょうか。 |
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塩野座長 どうぞ、お願いします。 |
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伊東構成員 ソニーさんの御発表で、携帯端末向けの1セグ放送については、デバイスの開発状況も含めて教えて頂きましたが、一方サーバ型放送の方は、特定のサービスに特化したような専用受信機では過去の例から見ても需要の掘り起こしがなかなか難しいとも思われますので、汎用性を持った受信装置が今開発途上にあるのかどうか。この辺りはなかなか難しいのかもしれませんが、お答え頂ける範囲で結構ですので、教えて頂けるとありがたいのですが。
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○ |
橋本ソニー担当部長 先ほどの著作権保護技術と同じでございまして、新しく何を開発するという要素技術がさほどあるとは思っておりません。サービスに合わせた形で技術開発はできると考えております。ですから、そのサービスがどういうものであるかということを決めることが一番大事なところかと思います。
デバイス上の開発は、セキュアな部分のデバイスの開発は、決まってしまえば開発をすればいい。それに、どのようなサービスがあるかによって端末側の開発をする。ベースとしてはテレビ、もしくはセットトップ・ボックス(受信機)、これはいろんな形態があるかと思いますが、それに載せる形になるかと思います。ですから、このサービス向けの特別の端末の開発というよりは、今お手元にお持ちというか、デジタル受信機の中の機能の一つとして、この機能が付加されていくというふうに考えております。よろしいでしょうか。
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○ |
伊東構成員 どうもありがとうございました。サーバ型放送の受信機能についても、おそらく色々と考えられていると思うのですが、それが決まってから実際に物が出るまでに、時間的なディレイがどれぐらいあるのか、その辺りがちょっと気になったものですから。
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○ |
橋本ソニー担当部長 これはまだ一般論でしか申し上げられませんけれども、仕様が決まってから18ヵ月はかかるかと思っております。
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○ |
塩野座長 山下さん、どうぞ。 |
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山下構成員 私はサーバ型のものとセンターなどで蓄積するものとを比べてどちらが省エネなのだろうかとか、あるいはどちらがセキュリティー上高いのかとか、使い勝手もあると思うんですけれども、そういったことで言うとどちらがいいのかを質問します。特に省エネの視点では、例えばサーバ型ですと結局自分が見るかもしれないけど、見ないかもしれないものまでどんどん取り込んでいくわけですね。それを個々の家庭でみんながやる。家は留守なのにその間ずっと電気を使っているような状況になるんじゃないか。それだったらどこかに蓄積されていて、メニューなんかを見ながら選ぶ方が、電気の使い方は少ないんじゃないかとかいう気がいたします。
それからもう一つは、それを伝送する手段として、光ファイバでというお話と従来型の無線というのもあると思うんですけれども、それも環境にやさしいとかいうことで言うと、どっちの方がいいんだろうなという疑問があるんですけれども、どなたかお教えいただけないでしょうか。
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塩野座長 どなたでも結構ということですが、どうぞ。 |
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網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 エネルギーの消費量のトータルの比較はなかなか難しいと思うんですが、今の先生のお話で、できることとできないことが両方のパターンによって全く同一ではなくして、例えばサーバ型ですと、さっき片山がちょっと言いましたけれども、あらかじめ自分がこういうものを蓄積しておきたいと予定していたもの以外に、例えば「紅白歌合戦」で、ある歌手が出ている「紅白歌合戦」をさかのぼってすべて検索して見せてくださいということが瞬時にできるようになるわけです。
したがって、一つはニーズの多様化といったものにどれだけこたえるのか。それに対してどういうものを用意するのか。そうすると、かなり膨大なものを全部蓄積しておかなきゃいけないことになりますし、今先生がおっしゃるように、自分が録りたいものを全家庭が全部録って、そのためにDVDレコーダーを全部買って電気をつけてやるというのと、完全にそういった意味では目的と手段が合一化しませんので、仮に、全部が録画する予定的録画をトータルで比較したときにはどうなるかと言ったら、先生がおっしゃるように、必ずこっちの方が電気代はかかると思うんです。しかし、そのためにだけにやるわけではなくて、検索とかダイジェストとか、あるとき思いついたものだけをふっとリモコンでやったら、それが出てくるといったことを、こっち側は目的とする部分もありますので、答えになったかどうかわかりませんけど、どっちが電気代が安くなるか。国民の省資源に寄与するかということについては、一概にはなかなか判断できないのかなと。モデルで計算してみれば出るかもしれませんけれども。答えにならなくてすみません。
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塩野座長 これから恐らくこういうものが世の中に出ていくと、今、山下さんのようなご質問、あるいは議論の論点が出てくると思いますので、技術者の方もぜひそういった点のリアクションはあることを前提にしておいていただきたいと思います。
なお、村井さんには後で総括していただきますが、その前に、KDDIの方もそうですし、それからきょうのご説明も大体放送と通信ということで、いろいろご説明になっているんですけれども、いろんな技術開発をおやりになろうというときに、一体これは放送なのか、通信なのかと、そんなことはお考えですか。
私の結論を申しますと、そんなことを技術者の方はお考えになる必要はないので、こんなサービスをしたい、それだけでいいんですね。これは通信だからどうだとか、これは放送だからどうだの、これでうまく行くかなんていうことは、後々役人が考えるか、学者が考えるかで、そのときの学者や役人のこれからの心構えは、技術の発展を、それが社会に害悪を与えない限りは盛り立てるものだ。そういうものだと私は理解しておりますので、きょうのご説明で技術者の方が何だか通信と放送に、ソニーの方だけですかな、余りこだわってないのはね。やっぱり通信事業者さん、もともと通信の方だからこだわられるのかと思って、これはご返事を求めるというよりは、私の希望と申しますか、技術者の方に対するお願いですけれども、こだわらないでいただきたい。また、そんな行政指導はしてないわけですね。
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安藤放送政策課長 はい。 |
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網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 よろしいでしょうか。 |
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塩野座長 どうぞ。 |
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網谷NTTコムウェア代表取締役副社長 お答えになるかどうかわかりませんけど、技術革新とか、技術開発そのものについては、座長がおっしゃるように、本来的にそういったものを追求するという姿勢で各社ともやっておりますので、それはないと思います。
ただ、これを一旦事業としてどうとうらえるか。そのために例えば研究開発投資そのものについてもどこまで開発投資をかけるのか。あるいは実際に基盤をつくるといったときに膨大な設備投資がかかりますので、さっき冒頭に村井さんがおっしゃった、民間部門の創意工夫、柔軟な、しかも積極的な姿勢といったものを引き出しなさいという観点で言ったときに、インセンティブとして、事業としてどこまでそういうものが容認されるのかといったセンスになった場合には、そこのところが少し影響してくるということではあろうかと思います。現実、純技術的にはそんな障壁を設けてやっているわけじゃございませんので。
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村上KDDI技術開発本部長 私の方からも一言よろしいでしょうか。 |
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塩野座長 どうぞ。 |
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村上KDDI技術開発本部長 技術開発に関しては、多分技術者、研究者全部、こういうサービス、あるいはこういう技術がもしできたら市場の方、極端に言うと1人でもいいんですが、喜んでもらえるんだろうか。そこが私は出発点だと思います。ですから、例えばよくいろんな制度面で問題が出てくるかもしれませんが、日本のテレビをアメリカとか、外国にいる方がネットを通じてよく見るというのは実際あろうかと思います。もしかしたら制度面でいろいろあろうかと思いますが、技術的にはもう十分可能な今時代ですので、そういうことがいろんな創意工夫でやっているんだろうなということで、基本的にはあとはいろんな制度面のこともありましょうし、あとは会社としてそれを正式なサービスにしようとすると、あとはやっぱりもうかる、もうからないという話になりますから、それはまた次の話だと思います。
ただ、私は、何となく私の技術屋としての過去の経験を言いますと、技術的に可能で、かつ、それが市場の方が「いいね」とおっしゃるものだったら、多分制度とか、いろいろ縛っても、長い目で見ると、やっぱり世の中に出て行ってしまうのではないかなという感じは持っております。
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塩野座長 ありがとうございました。それでは村井さん、コメントというか、ご自身のご意見も含めて総括的にお話をいただければと思いますが。
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村井構成員 今日のご説明、どうもありがとうございました。いろいろな技術の状況をご説明いただきましたが、私の情報通信審議会での中間答申の内容も含めまして、少し全体的な構造を考えてみます。まずは地上デジタル放送の利活用と普及に向けてということから中間答申は来ておりますけれども、基本的にはデジタル、すなわち数字を使って情報をやりとりしたり共有したり、あるいは交換できること。ある情報がデジタル、数字に変換できるかできないか。基本はそこにあります。例えばIT基本法の中では、日本の国民がデジタル情報を使って、知識や情報を共有したり交換できる。こういう社会でありたいという考え方で始まったのが「e−Japan重点計画」という政策です。その議論の中でも、地上デジタル放送に対する期待が大変高まっている。こういう背景があることを考え合わせますと、今日のご説明も多分そうだと思いますけれども、機運としてやはり「期待感がある」というところから議論は出発しているのかなと思いました。
つまり、デジタルが人のために何ができるかを考えたときに、地上デジタル放送というのは、いろいろな意味で大変重要なことに関わってくる。これを推進していくためには、どのような工夫が必要だろうか。まず、利用者と社会のメトリック、物差しという視点です。地上デジタルがどういうふうに広がっていけるだろうかということ一つを考えてもさまざまな技術の要素がある。また、さまざまな使い方に対する期待もあるということを受けて、今日のご説明は、多分技術的な要素はこの地上デジタルの発展の中でいろんな意味で整ってきているのではないかと思います。つまり提供する側の論理です。しかしながら、整っていない部分があるかもしれないという疑問符がある部分もあるので、それに対してのきちんとした見極めをするための作業を、やらなければならない。これが実証実験という言葉で出てきたと思います。
ただし、この作業を進めて行く上で重要な点として、先ほど山下さんのお話にもありましたが、あらゆる立場の利用者のサイドのメトリック、社会のメトリックを加味し、より広く受け入れられるためにはそういったフィールドを含めた実証実験が必要だろう。こういうような流れになっていくのかと思います。
それからもう1点は、今日のお話、ご説明を伺っても、技術の進化が非常に急速に進んでいます。それは普及についても同様のことが言えます。例えばブロードバンドインターネットの普及状況を見ると、この3年、4年で非常に変わってきています。このことから類推しますと、未来に対する、例えば今の2004年から3年、4年とたっていく状況の中での技術の急速な発展ということに対する大変大きな期待もあるのだと思います。今日のご説明の中では、幾つかの未来に向けての技術の発展の可能性ということも含めまして、そういった意味での要素、技術の整備に対する大変強い自信というか、そういう状況をご説明いただいたのではないかと思います。
それからもう1点で、先ほど放送・通信という話がございましたが、サーバ型放送についてこれからもいろいろな議論になってくるかと思いますけれども、基本的にはデジタル放送の中にはデジタルデータ、つまり、音声と映像だけではなくて、ほかの要素も同時に搬送することができるということだと思いますので、その中でメタデータというものが付随することができて、それを受信した場合にどう利用できるかという話が、このサーバ型放送のご紹介だったと思うんです。
従いまして、デジタル、数字で送られる放送のメディア、ここのところにサーバ型放送の一つの可能性があり、それに対するビジョン、夢、それから技術的な可能性ということをご説明になったと理解しております。そうなってきたときに、もう一つ、多分今日のポイントとして大変重要な背景といいますか、ご説明の中にあったと思われることは、コンテンツのバリューのことではないかと思います。これも今までのIT戦略本部を含めて何度も議論になっていることで、これは放送の中に大変魅力的なコンテンツがたくさんあり、先ほど村上さんの話にもありましたが、それがどうやって利活用されていくかということには、やっぱり二つの大きな意味があると思います。それはマーケットが活性化していったり、産業として発展していくということが一つあると思います。それからもう一つはその魅力ある、世界に通じる優れたコンテンツを創っていく次の世代の発展といいますか、発達というのは、これからの日本社会の競争力に大変影響があるだろうということです。
つまり、我々の学生もそうですけれども、質の良いテレビ番組を見たことがきっかけで、こういうものをつくりたいとか、こういうもので自分を表現したいと思う。そこから新しいものをつくっていくということがありまして、その大変魅力的なマーケットを放送は持っています。それがますます広がるということの意味は、例えば通信事業者としての先ほどのご発言の中には、そういった放送の魅力的なコンテンツの利活用がいろいろ進んでいくことの中で、産業や、あるいはそれをつくり出す、創造する次の世代がうまく生まれていくのではないか。あるいはマーケットが発展していくのではないか。こういう期待が出てくるかと思いますので、そういった意味で放送のコンテンツの魅力ということの現在の大変大きな力、ここから立脚してデジタル化の進展の中で、通信と放送を含めた基盤にこのコンテンツが発展をしていくか。こういう視点もあるのではないかと思いました。そのことが技術としてどういうふうに支えられるか。あるいは通信のサービスとしてどういうふうに関わっていけるのか。そういったことでのご説明をしていただいたということで、これは「地上デジタル放送の利活用の在り方」として私がご説明させていただいた中間答申の中でも、要素として組み込まれていたことではないかと思いました。
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塩野座長 どうもありがとうございました。適切に総括していただきまして、御礼を申し上げます。
ほかに何かご質問、あるいはご意見等はございますか。あるいはきょうおいでいただいて、ご発言いただいた中で、どうしてもこれだけはあと一言言っておきたいということがあれば、まだ時間も多少ございますので承ります。
どうぞ、ソニーの橋本さん。 |
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橋本ソニー担当部長 先ほど仕様が決まってから、どれぐらいの期間でできるかという一般論でご回答を申し上げましたけれども、先ほど村井さんのお話にもありましたが、やはり消費者がこのサービスを受けるときにどれだけ価値を求めるか。それによって端末側がどう対応するかということは、実は一体でございまして、端末があるから云々、サービスがこうだから云々、片方だけではできない。ですから、消費者に受け入れられる魅力あるサービスがあった時に、どのような端末の仕様で、どういうふうにいつ作るかという重要な課題、そういう意味では違う領域の話かもしれませんが、そういう部分がありますので、これはメーカーだけ、サービス側だけ、で出来ない複雑な要素が入っているということだけはご了解いただきたいと思います。
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塩野座長 どうもありがとうございました。 |
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村上KDDI技術開発本部長 あと一つよろしいでしょうか。きょう私は述べなかったですし、きょうご列席の方もコメントされなかったのですが、実を言うと、今ソニーの方が物をつくるのに18ヵ月とおっしゃったんですが、ハード的な観点は多分そうだと思うんですが、今受信機もいろんなところがソフトでできているんですね。ソフトウエアでできているというのは何かと言うと、実を言うと、そのソフトを変えるのに無線で送って、あるいは伝送路で送って一瞬に変えられる時代になっているんです。ですから、これから受像機とか、いろんなもののあり方が従来のハードオリエンティッドから、ソフトウエアで構成されてくると、例えばキャリアは、携帯の中にソフトのバグがあると、携帯をお持ちの方が電話をかけていないときに、ネットで正しいソフトを送ってちゃんと使えるように、そういうことはもう既にできておりますし、テレビの方もソフトにバグがありますと、今無線で、放送波で送ってそういうことをやっております。
ですから、そういうふうな技術的な進歩というインパクトは、きょうディスカッションにはならなかったんですが、我々にとっての技術的な大きなインパクトになるんじゃないのかと思って、もし可能でしたら、そういうようなディスカッションをぜひしていただければ、技術的な立場からです。お願いしたいと思います。
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塩野座長 どうもありがとうございました。
それでは大体予定の時間も参りました。長時間にわたりヒアリングにご協力をいただきました、坂口、網谷、村上、そしてまた橋本さんもどうもありがとうございました。
これでヒアリングの方は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
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塩野座長 それでは最後に、今後の研究会の進め方について、事務局からお願いいたします。 |
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安藤放送政策課長 それではお手元の資料5をごらんいただければと思います。
実は前回の会合におきましては、研究会の年内の開催につきましては、大体6回程度ということでご説明させていただいていたかと思ますけれども、その後、皆様からのヒアリング候補者のご推薦等を賜るにつけ、より幅広くさまざまな分野の方々からお話を伺う、あるいは相応の時間をとってヒアリングをやっていくことになりますと、2回程度さらに会合を追加していくことが必要なのかなということで、あらかじめ各先生方の方にはご連絡させていただいておりますけれども、全体では論点整理まで含めて年内8回ということで進めさせていただければと考えておるところでございます。
それから会合の日程につきましては、多くの先生方にご出席いただけるようにということで、可能な限り調整させていただいたつもりでございます。大変ご多忙のところ恐縮でございますけれども、このような日程でご理解いただき、可能な限りご都合をつけていただければ非常にありがたいと思っております。
それからヒアリングの候補の方でございますけれども、各回ごとの大まかなイメージにつきましては、資料5の一番右側の欄に少し書かせていただいております。例えば第5回の会合等については特に入れてございませんし、ヒアリング候補の例が入っているところにつきましても、具体的にはどういう方からお話を伺った方がいいかというところについては、これまたいろいろとご意見をいただければというふうに思っておりまして、大変お忙しいところだとは思いますけれども、特にいつまでということではなく、逐次お気づきの点がございましたら随時ご意見をいただければ、それを踏まえて可能な限りの調整を図らせていただきたいと思っているということでございます。
進め方については、以上でございます。 |
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塩野座長 よろしゅうございますか。特に、例えば皆さん幅広い方がいらっしゃいますので、視聴者、利用者といった、大体どういうところにヒアリングをしたらいいかとか、あるいはコンテンツ関係者については、場合によっては総務省の方よりも構成員の皆様の方がよくご存じの方も多いかと思いますので、その点、よろしく情報の提供をお願いしたいと思います。
それから回数がどんどん増えていくので、もう増えないということで考えてよろしゅうございますね。まだ増えるんですか。年内は一応これで固定しますね。
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安藤放送政策課長 一応こういうような方向で参りたいと思っておりますが、いろいろご推薦いただいた結果で若干調整が、そのときはまたご相談をさせていただきますので、基本的には8回ということです。
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塩野座長 よろしくお願いいたします。ほかに何かご発言はございましょうか。
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(3) 閉会 |
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塩野座長 それでは、夜大分遅くまでおつき合いをいただきまして、どうもありがとうございました。
きょうはこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 |
以上
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