○ | 塩野座長 それでは、第4回のデジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会を始めさせていただきます。
こういう悪天候の中、構成員におかれましてはご出席いただきましてありがとうございました。また、傍聴の方々もどうもありがとうございます。
本日の会合では、放送関係者からデジタル化への取組みと課題についてヒアリングを行いたいと思います。本日は、ラジオ、衛星放送、ケーブルテレビの関係者にお越しをいただいているところでございます。ヒアリング出席者のご都合もありまして、順序は、余り論理的ではないのですけれども、社団法人衛星放送協会、社団法人デジタルラジオ推進協会、BS八社会の株式会社ビーエス・アイ、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、社団法人ケーブルテレビ連盟といった順でヒアリングを行いたいと思います。また、それぞれのご発表があった、その時々に質疑応答の時間に充てるというふうにしたいと思っております。
それでは、本日の配付資料の確認をお願いします。
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○ | 安藤放送政策課長 それでは、お手元の資料、クリップを外していただきますと、まず座席表でございます。その後、議事次第。議事次第の後に、社団法人衛星放送協会様の資料といたしまして、「デジタル専門多チャンネル放送取組みと課題」という横紙の資料1がございます。続きまして、デジタルラジオ推進協会様の資料、「デジタルラジオ実用化試験放送の現状と課題」、資料2でございます。それから、同じくデジタルラジオ推進協会様のパンフレットが入ってございます。それから、資料3でございますが、ビーエス・アイの生井様の説明資料、「BSデジタル放送からみた視聴者支持の実現への道」。それから、資料4、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ様の「CSデジタル放送における課題と今後の取り組み」でございます。それから資料5、ケーブルテレビ連盟様の「デジタル社会を迎えたケーブルテレビ業界の対応」でございます。それから、第2回の会合の議事録を入れさせていただいています。以上でございます。
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○ |
塩野座長 資料は適宜、ご確認をいただきたいと思います。
(2)議題
デジタル化への取組みと課題について
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○ |
塩野座長 それでは、最初に、放送におけるデジタル化におきましてはCS放送が先駆者ということでございます。その関係事業者を中心とする社団法人衛星放送協会会長の植村伴次郎様から、デジタル専門多チャンネル放送の取り組みと課題について、ご発表をよろしくお願いいたします。 |
○ | 植村衛星放送協会会長 ただいま紹介にあずかりました植村でございます。
多チャンネル放送というものが立ち上がってから、もう既に20年近くなるわけでございます。その中でたった一人の生き残りではないかという、自負とまではいきませんが、ある面で生き字引みたいなものですから、歴史の話をして、その歩みの中で参考になることがあれば、小生の幸せだというふうに思っております。
我が国のケーブルテレビは、これは連盟の方のテーマでもありますが、55年にスタートいたしました。最初は、難視聴対策と区域外再送信としてスタートしたわけでございます。例えば東京の放送が見えない山梨県に、アンテナでとってケーブルで送るとかいうことです。続いて、86年に当時の郵政省の主催で、スペース・ケーブルネット推進懇談会というものが発足しまして、来るべき都市型多チャンネルケーブルテレビにむけた研究をしたわけでございます。
そして、翌年の87年に都市型ケーブルテレビが誕生いたしました。第1号が多摩ケーブルテレビジョンで、87年の4月ではなかったかと思いますが、そこで、専門多チャンネル放送が開始したわけです。そのときは宅配便を使ったテープ配信で配信をしておりました。当時から、私もこの仕事に参加したわけですけれども、専門多チャンネル放送を、地上波のブロードキャストに対しまして、ナローキャストとして位置づけをいたしました。つまり、地上波では対応し切れない視聴者のニーズに合わせた放送、自分の好きなチャンネルやジャンルの放送を選んで見る。大げさな言い方ですけれども、編成権を視聴者に渡す、ということで多チャンネルを始めたわけでございます。
そして、89年にアナログ通信衛星が使用可能になりまして、衛星で配信することになりました。このときに少々混乱がありまして、スカイポート事件というものがございました。ここでは詳しいことには言及いたしませんが。
そして、92年に委託・受託放送制度というものができ上がりまして、我々は放送認定を受けたわけでございます。一般家庭でCS放送を直接見られる、現在呼ばれているダイレクト・トゥ・ザ・ホーム、DTHがここでスタートするわけです。大変急速な技術進歩に伴いまして、他メディアに先行したデジタル化が進みました。
96年にデジタルCS放送がスタートいたしました。CS 128度、そして後に
124度が加わるわけでございますが、一方で、2年後にはアナログCS放送が終了しております。
98年、ケーブルの方もデジタル化がスタートいたしまして、現在、大変なスピードでデジタル化が進展中でございます。
そして、02年にBSと同じ 110度でCSのサービスが開始になるということでございます。
デジタル化以降、急速に多チャンネル化が進行いたしまして、複数のプラットフォームが並立しました。私はこれは混乱期と申し上げておきます。パーフェクト・テレビジョン、J−SkyTV、DirecTVという3つのプラットフォームが存在しましたが、最終的にはPerfecTVがルパート・マードックさんがメーンだったJ−SkyTVと合併いたしまして、現在のスカイパーフェクト・テレビジョンになっている。そして、国内の数社とアメリカのヒューズ社が中心になって展開したDirecTVは、大した時間もたたずに
1,200億円という損失を出して撤退して、現在はメーンのプラットフォームというのはスカイパーフェクTVさんということでございます。
ここで述べなければいけないのは、衛星料金の問題です。アナログ衛星の料金は認定料金と称しまして約 5.5億円でございました。実質は販促費とか宣伝費とかそういうような補助金で衛星会社が番組供給業者を支援していましたから、衛星料のネットの費用というのは、3億円から
3.5億円でございました。デジタル圧縮によりまして、送信容量はアナログのときの8倍になりました。8倍にキャパシティーがふえたわけですから、衛星放送の各社から言わせれば、8分の1に衛星料が下がって4,000〜
5,000万円が適切な料金ではないかと思うのですが、結果的に1億円弱でこれが一つの料金として定着しました。どうしてそうなったかと申しますと、 3.5億円なり4億円なりという料金を衛星料として払っていた人々にとっては、1億円というのは非常に割安という感じがした人もいまして、いち早くアクセプトしてしまった。その結果、現在、世界一高い衛星料金なのが日本でございます。
チャンネル数が92年には23チャンネルでございましたけれども、圧縮によりまして、それが膨大な量にふえました。今は 200チャンネル。衛星料金は4分の1に下がりましたけれども、衛星放送会社が手にしたものは10倍にはね上がった競争倍率でございます。
次に参ります。その後、視聴者基盤が十分に成長しない間の多チャンネル化、放送メディア変化の中、大変弱小な企業が経営資源を投入しまして、専門チャンネルの視聴者獲得の努力を継続してまいったわけでございます。現在では放送事業者が約
130社、チャンネル数にして 200チャンネルでございます。加入者の総数は、ケーブル、DTH、110度も含めて
835万世帯。全国の世帯数に対し現在の我々の総受信世帯数のパーセンテージは、17.4%という普及でございます。そして、これは推定でございますが、事業者の現在持っていらっしゃる累損の総計がいまだに
2,000億円ございます。一方、収入はケーブルテレビさんからの配信料とDTHからの配信料。それからもう一つ、重要なことは広告収入でございます。残念ながら広告マーケットの開発が大変おくれておりまして、現在では正味で
100億円程度です。これを 200チャンネルで割るわけですから、本当に収入はわずかなもので、これからは広告マーケットの開発が重要な課題だと思います。
現在、CSデジタル放送市場は拡大の踊り場にあると私は受けとめております。CS
124・128度が 310万世帯。この加入者は、今のところふえてはいますが、ペースはダウンしておりまして、横ばいよりちょっと上かという程度でございます。最大の問題は、CS
110度です。現在、12万世帯、全く予想とは違った数字で推移をしております。しかも、 124・128度で放送している放送業者のうち55チャンネルもがCS
110度でもサイマル放送をやっているために、ダブルコストがここでかかっているという悲劇的な問題もございます。
それから、もうひとつの課題として、現在、2つのCSデジタル放送で異なっている番組供給形態がございます。これは大変難しい、複雑な内容でございます。CS
124と 128度で放送しています番組供給業者はほとんど委託放送事業者としての免許を持っておりますが、 110度においては委託放送事業者としての免許を保有している会社は別でございまして、ほとんどが番組供給者として位置づけられているということでございます。
それから、3番目の課題が、ケーブルテレビ市場において、番組購入コストの抑制傾向がさらに強まっているということです。CS、いわゆるDTHに比べまして、番組供給料金が非常に低単価に抑えられているというのは、はっきり申し上げまして、消費者に対する一物二価ということで、何らかの形で解決しなければいけない問題だと私は受けとめております。デジタル化に伴いまして、ケーブルテレビの番組提供チャンネル数が増加する一方、さらに番組購入コストの抑制傾向が強くなっております。最初のスタート当時は、ケーブルテレビジョンの多チャンネルといいましても、地上波の再送信以外にはソフトはございませんでしたので、我々は大変優遇といいますか、大事にされましたけれども、あるところで主客転倒いたしまして、売り手市場と買い手市場がひっくり返ってしまったということで、大変苦しい展開になっております。今日は高橋さんもお見えになっていますが、高橋さんのような理解者がたくさん出てくると問題の解決は早いかと思います。いずれにしましても、番組供給業者と放送事業者、ケーブルテレビ局とがある種の健全な取引ルールの策定へ取り組む必要が急がれているのではないかと考えております。
次に参ります。デジタル技術のさらなる発展、進展は、CS放送に第二のデジタル化をもたらしております。ブロードバンドを利用した放送サービス、インターネット放送、ブロードバンドCATVサービスの開始。モバイル向け有料衛星放送サービスの開始。蓄積型放送やデジタル家電の普及、好きな時間に好きな番組を見る。専門多チャンネル放送に対しては、プラスとマイナスの両面を持つ環境変化への対応が必要であろう。こういう新しい第二デジタル化に伴って出てまいりますメディアとしましては、新しい市場としてのプラスはあると同時に、新たな送信メディアとしての可能性とともに、他メディアとの競合も加速してきます。インターネットやVODなどがその例ではないかと思っております。
それから、もう一つ問題がありますのは、ブロードバンド時代におきまして、現在、国内作品の著作権問題が未解決でございます。ブロードバンド型CATVサービスに対して番組供給がスムーズにできない事業者がかなりの数存在しております。それは、ケーブルテレビの著作権とブロードバンドの著作権が別物であるという解釈がなされているのが大きな原因ではないかと思いますが、諸外国では、CATVとブロードバンドを同一権利とみなす傾向にございます。わかりやすくいいますと、一人乗りのセスナでも
500人乗りのジャンボジェットでも飛行機に変わりはない、そういう見解で諸外国では著作権は一本化されておりますが、我が国ではそうされていないのが現実でございます。
次に参りますが、デジタル時代も視聴者が求めているものは、当然、魅力的な放送内容、コンテンツでございます。安かろう悪かろうとならないためにも、魅力的なコンテンツを充実させなければいけない。視聴者が見たい魅力的なコンテンツの獲得、開発の強化。それから、先程も言いましたが、ブロードバンドメディアに関する著作権問題の解決。現在、プラットフォームのスカパーも積極的にコンテンツの開発に参加してくださっておりますのは心強いことでございますが、ケーブルの方たちも料金交渉のためだけのグループの結集だけでなく、そのグループでコンテンツ開発に共同で向かっていただければ、またそのようなご指導をしていただければと、私は思っております。と同時に、著作権料を含めました、先ほど言いました、著作権のルール確立に行政の力が必要とされているのではないかと思っております。
いずれにしましても、CS放送というのは、私は3つ、もっと詳しくいいますと、4つの事業者が一体となって展開するものと考えております。私ども番組供給業者、ケーブルオペレーター、それからプラットフォームの連携。ケーブルオペレーターもプラットフォームもあるところでは競争相手でありますが、敢えて私は三位一体論を唱えている主たる一人でございます。4,800万の日本の全国の世帯に
100%テレビが普及しており、受信機は1億台を超えておりますのはご存じのとおりでございます。そのうち多チャンネル放送受信世帯は17.4%よりないのですから、関係者が三位一体となっていかにして17%を20%、さらに30%に伸ばすかという努力をすべきだと考えております。そして、その中で、増加した分をどのように取り合うかというのは、お互いの努力だというふうに考えております。
今後の取り組みの2番としまして、視聴者ニーズや各放送市場の位置づけを改めて再検討する段階と考えております。残念ながら、我々の業界では、自分たち自身の業界のデータの収集が非常に貧弱でございます。ほとんどないと言っても過言ではないほどです。今、急遽、このデータを集めていますが、まとまるまでにはあと3カ月か4カ月かかる見込みです。もし、それが終わっていたら、今日のプレゼンテーションももう少し違ったものになったのではないかと思いますが、私も就任してまだ4カ月たつかたたないかでございますので、間に合いませんでした。ご容赦ください。
一つここで問題点としましては、DTHのマーケットは、124・128度とCS
110度という2つのマーケットがございますけれども、プラットフォームにとって、また行政にとって、今後、どのマーケットがメーンマーケットになるのか、その縦軸、横軸が明確になっていないので、今後、これをぜひとも業界挙げて明確にしていただければと思っております。
最後になりますけれども、行政への要望を述べさせていただきます。まず、これは地上波もBSも共通の問題だと思いますが、2011年にデジタル化が完了することに関しての一般大衆への普及啓蒙が十分なのだろうか。小生の受けとめている感じとしましては、決して十分ではないような気がいたしております。これをひとつもっと消費者に認識してもらう、認知してもらうということをお願いしたい。それが同時に3波共用受信機の普及にもつながることではないかと思います。
それから、コンテンツがなければ放送は成り立ちませんので、コンテンツの流通とコンテンツの開発の奨励強化をお願いしたい。我々も努力いたしますが、行政の支援をよろしくお願いしたい。特に著作権ルールの確立。先ほど言いましたように、ブロードバンドとケーブルとの著作権の違いとかというものの整理を何らかの形でてきないものかと思っております。
それから、既存放送による過度のコンテンツ囲い込み等の抑制を考えていただきたい。これは、平成10年3月17日に公取委が明確なガイドラインを出しておりまして、それ以来、大変改善されてきておりますが、ひとつ逆戻りしないような指導をお願いできればと思います。
最後になりますけれども、行政のご協力の賜物だと思いますが、NHKがCS向けにコンテンツの放出を決断していただいたということはCS放送発展に大きな影響をもたらしたものと感謝しております。例えば今年の例をとりますと、一年間で90タイトル、
2,200本、延べ時間にいたしまして 1,000時間のソフトをCS放送のために放出している。これを何とか一時的なものではなくて、継続的なものになるように、ひとつお願いをして、私のプレゼンテーションを終わりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。
先ほど申しましたように、それぞれについてご質問があれば承るというふうにしたいと思います。舟田さん、どうぞ。
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○ | 舟田構成員 ご説明、ありがとうございました。時間もないので、ちょっと気になったところだけ。
4ページの下でございますが、ここで番組供給者と放送事業者、特にケーブルのことでしょうが、ご説明にありましたように、従来から力関係が逆転して、ケーブルの方が力が強くなったということだと思います。それは、番組供給業者のチャンネルがふえて、ケーブルの余りチャンネルが、普通のケーブルですと40、50というふうに記憶していますけれども、その意味では当たり前のことですけれども、ですから、ケーブルテレビ側がいわば買い手優位になっているんじゃないかと思います。その場合に、取引ルールというのは、取引上優越的な地位を濫用して番組供給業者に不当な要求をする、何かそういうことがあるのでしょうか。ここは、取引ルールというのはどういうことをお考えなのか。
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○ | 植村会長 先ほど、ちょっと言いましたように、グループを組んで、そして料金交渉するというようなことが目立ってきておりますが、高橋さんのような方は大変な理解者で、放送事業というものは何を売るか、それは放送内容である、安かろう悪かろうということでは自分たち自身がいつかはだめになるよ、ということがわかってきつつあります。ただし、個々で折衝いたしますと感情が入りますので、ケーブルテレビ連盟と衛星放送協会の間で何かのルールを探ろうということで、今、模索中でございます。
優越的地位ということをおっしゃっていましたけれども、ケーブルさんが優越かというと、公取委の見解は、番組供給業者こそ優位じゃないか。みんなで談合しまして、何々の局に何月何日から番組をとめるということができるじゃないかということで、どちらが優越的か、現在のところ明快ではありません。
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○ | 舟田構成員 6ページに三位一体というご主張で、番組供給業者、ケーブルオペレーター、プラットフォーム。今、ケーブルオペレーターと番組供給業者の関係をちょっと伺いましたけれども、ここに番組供給業者とあって、委託放送事業者がないんですけれども。
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○ | 植村会長 それを含めたつもりでございます。
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○ | 舟田構成員 そうですね。4ページにもそのことをちょっとご説明いただきましたけれども、委託放送事業者と番組供給業者、法律上は全然違うんですけれども、委託放送事業者に対する規制が大分緩和されたといいますか、その点ではご不満といいますか、委託放送事業者と番組供給業者の放送法上の違いについては余り気になさってないというふうに私は受けとったんですけれども、それはそれでよろしいでしょうか。
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○ | 植村会長 その前に、私、三位一体と言いました、その中に、番組供給業者、ケーブルオペレーター、プラットフォームといっていますが、この横に受託放送事業者である衛星放送会社というものも欠くことのできない存在でございます。
それから、ただいまのご質問でございますが、ほとんどそのようになっておりますが、一つだけ違うのが 110度でございます。今、私、正確な数字を持っておりませんが、
110度では委託放送事業免許を持っていないチャンネルが20近くございます。いわゆるヤドカリ状態ということでございます。
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○ | 塩野座長 舟田さん、よろしゅうございますか。羽鳥さん、どうぞ。
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○ |
羽鳥構成員 多チャンネルのデジタル放送というのは、アメリカでケーブルテレビが非常に普及しているところにオーバーレイするような格好でBSの周波数を使って急速に登場してきた。それを追いかけるように日本の中でも御社を初め成功事例をつくり、そして勝ち残ってこられたという経緯があるように承知しておりますけれども、現状で、アメリカの多チャンネル、あれはBSをまだ使っているのだと思いますけれども、その放送とケーブルテレビの競争というのは、ちょっと最近のことを不勉強で知らないんですけれども、教えていただけますか。
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○ | 植村会長 アメリカにおきましては約 7,000万軒の世帯にケーブルが普及しておりますので、そこに番組供給業者が参入して、ちょっと努力して10%とっても
700万件とれるということで、一挙に経営がそこで成り立ってしまうということで、大変日本とはインフラが違うんでございますけれども、私の知る限りにおきましては、番組供給業者とケーブルテレビの方たちとの摩擦というのはあまり聞いておりません。
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○ | 塩野座長 よろしいですか。
ほかにもあろうかと思いますけれども、時間の関係がございますので、植村さんに対する質問はこれで打ち切らせていただきます。 どうもお忙しいのにおいでいただきましてありがとうございました。
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○ | 植村会長 大変失礼な発言があったかと思いますけれども、ひとつご勘弁ください。どうもありがとうございました。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、社団法人デジタルラジオ推進協会専務理事の東海林通様、おいででいらっしゃいますね。デジタルラジオ実用化試験放送の現状と課題について、ご発表をよろしくお願いいたします。
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○ | 東海林デジタルラジオ推進協会専務理事 デジタルラジオ推進協会の東海林でございます。よろしくお願いをいたします。
今日は、隣に私どもの推進協会の運営委員長でニッポン放送の取締役経営企画室長の近衛正通と、それからJ−WAVEの編成局技術部専任部長で、私どもの技術委員長をしております佐々木章が同席をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、現在行われておりますデジタルラジオの実用化試験放送につきまして、今、放送時間がまちまちでございますが、実際に放送をしている部分につきましてはその概要を、お聞きいただきながら説明をさせていただきます。
まず、ラジオのデジタル化ということにつきましても、テレビと同じように、平成9年から10年にかけて開かれました、塩野先生も、羽鳥先生も、舟田先生も構成員でいらしたんですが、地上デジタル放送懇談会での検討がもとになっております。
その骨子はそこに出ておりますけれども、地上デジタル放送については、1番として、地上デジタルテレビ放送と地上デジタルラジオ放送の2つを実現するということが述べられておりまして、具体的導入の道筋としましては、AM、FMのアナログ放送については、その受信機の簡易性、それから、非常災害時における情報通信メディアとしての役割に配慮して存続することとして、新規のデジタル放送サービスとして、高音質の音声も可能である音声放送を中心にデータも提供できる地上デジタル音声放送を実現するということになっております。その際に、現在のアナログ放送用の周波数帯でデジタル放送用の周波数を生み出すことは困難であるということで、テレビジョン放送用の周波数帯、具体的には当該地域でアナログテレビジョンに使用されていないVHF帯でのデジタル音声放送の実現を図るということでございます。
それから、既存音声放送事業者と新規事業者の参入機会を平等に確保するということでございますが、条件がついておりまして、デジタル音声放送の普及を図る観点から、既存の音声放送事業者の経営資源とノウハウが活用できるようにする。これが地上デジタル音声放送に関する骨子でございます。
その後、実際に放送をするに当たって、平成12年でしたか、勉強会が開かれて検討いたしました。その結果、懇談会で提言されたVHF帯では全国で思うように周波数帯域が確保できないということがわかりまして、とりあえず東京と大阪でVHF7チャンネルが使用可能ということで、この地域で実用化試験放送が行われることになったというわけでございます。この基本方針に沿って免許方針が示されまして、地上デジタル音声放送の試験放送を行おうとする者が非常に限られた周波数で幅広く参画できるということで、デジタルラジオ推進協会、私どもの協会が2001年10月23日に設立されたということでございます。その1カ月弱前に、デジタルラジオ推進協会の設立、これを条件にいたしまして、デジタルラジオ実用化試験放送の予備免許というものが与えられたということでございます。
免許の概要は、15年10月が本免許でございますが、当面、東京と大阪で使用可能なVHFの7チャンネル、
188メガヘルツから 192メガヘルツの間の4メガヘルツで実用化試験放送を行うことが示されておりまして、東京と大阪で昨年の10月に実用化試験放送をスタートいたしました。東京は東京タワーから、大阪は生駒山のNTT西日本の鉄塔を使って放送電波を出しておりまして、法人の事務所も両方に構えており、1法人、2事務所という形態をとっております。
4メガヘルツで利用可能なセグメント数は8個ということでございまして、後ほど触れますが、デジタルラジオもデジタルテレビジョンと同じ放送方式をとっておりますので、セグメントという形で搬送するような形式をとっておりまして、その8セグメントが1つの免許単位というふうになっております。ご承知のように、デジタルテレビジョンは13セグメントで放送を行うということでございます。
地上デジタル音声放送は、1セグメント放送と3セグメント放送がございまして、それぞれの特徴を出して放送を行っております。東京、大阪におきます実用化試験放送のチャンネル構成は、ごらんのとおりでございます。東京では1セグメント放送が91から95チャンネルの5チャンネル、3セグメント放送が98チャンネルということでございます。それから大阪は、1セグメント放送、8チャンネルということで放送しておりまして、参加している放送事業者その他会員が下の枠の中に書いてございますが、その辺については後でご説明をいたします。
それでは、簡単に放送内容についてご説明をさせていただきます。今、この放送は東京タワーから出ているんですけれども、その受信はパソコンの周辺機器メーカーでありますピクセラとFM東京が共同で開発した、パソコンに挿入して受信をするPCカード型の受信機で、皆様のお席のモニターとスピーカーに出るようになっております。
〔音声が流れる〕
まず、91チャンネルでございます。今、モニターに、EPGとデータが出ております。91チャンネルは、NHKとVICS、道路交通情報通信システムセンターが共同で運営をしております。このチャンネルでは、NHKが高品質の音声を、音楽を中心とするメーン音楽放送をしておりますが、時間によっては3つのサブ音声を使って4種類の語学番組、例えば英語、スペイン語、イタリア語というふうに、違った種類の、4種類の語学番組、それからローカル番組を選択できるもの、それからジャンルごとのニュースの選択、あるいは多言語天気予報ということで、中国語、ハングル、英語等で天気予報を放送したりしております。
それでは、91チャンネルの音声を上げていただきます。これは、現在はそこにEPGがございますけれども、FMのローカル番組を4つの音声を使って放送しております。
今、お聞きいただいているのは東京向けの放送でございます。
音声を切りかえます。
これが水戸放送局の番組でございます。
これは千葉放送局の番組でございます。
これが群馬放送局からの番組でございます。
こういうふうに、簡単な切りかえで4つの帯域を使って多重放送をしているということでございます。
次に、このチャンネルが放送しておりますデータ放送をごらんいただきたいと思います。各チャンネルの画面には左にEPG、右にデータ項目ということがありまして、NHKのデータ放送には番組連動データと、それから選べるニュースがございます。選べるニュースを選択してみます。
このようにジャンルがいろいろ分かれておりまして、例えば政治というのを選んでみます。
何項目かありますが、例えば3項目目を選んでみます。こういうことで、今はNHKニュースということで、画面が出ておりませんけれども、ここに、使えるものは写真等が出るというようなことでございます。それでは、最初のメニューに戻ります。VICSによる道路交通情報を選びます。そうしますと、東京及び近県の一般道路、高速道路などの項目が表示されます。ちなみに首都高速を選んでおきますと、台風の影響で大渋滞ということで、このように図形で渋滞情報が表示されるということでございます。
92チャンネルに切りかえます。簡単にご説明をいたしますが、92チャンネルは、FMヨコハマ、TBSラジオ&コミュニケーションズ、千葉のbayfm、ラジオたんぱ改めましてラジオNIKKEIという4社が運営しております。ここも音楽放送を中心としたメーン音声放送ですが、そのほかにサブチャンネルで短波放送が入っておりますので、株式情報、いわゆる何円高というような株式情報をサブ音声で放送しているのですが、このチャンネルは5時に終了しております。
それから、次は93チャンネルです。これは埼玉のNACK5、文化放送、テレビ単営社ですがテレビ朝日が参加して運営をしております。やはり高音質の音楽放送を中心した放送を行っております。右側のデータは、このステーションイメージのロゴを出しております。皆さん、これをヘッドフォン等でお聞きになると、「本当にこれがラジオですか」とおっしゃるんですが、この程度のスピーカーでも、非常に高音質を実感いただけるというふうに思います。
次は94チャンネルに参ります。94チャンネルはJ−WAVE、メガポート放送、ラジオ日本の3社が運営しておりまして、全チャンネルの中で最も長い時間放送しております。このチャンネルも団塊の世代をターゲットに、高音質の音楽を中心とした放送を行っております。
それから、次は95チャンネルでございますが、ここは実は伊藤忠商事とソニーという、全く放送事業者が入っていない社が運営をしているということで、新しいメディアにふさわしいチャンネルかなということでございます。ターゲットは20代から30代に設定して、世界の今を伝えるというコンセプトで世界各国の音楽を放送しているということでございます。
次は、98チャンネルに移ります。98チャンネルは唯一の3セグメント放送で、TOKYO FM、ニッポン放送、それからジャパンFMネットワーク、JFNCと呼んでおりますが、そこが運営をしております。3セグメント放送ということで申し上げましたが、A階層の両側にB階層というのがついて、放送しているということで、メーン音声放送としては、ニッポン放送とFM東京の制作する高音質の音楽番組を放送しておりまして、今は、このようにニッポン放送が行っているブロードバンド放送のサイマル放送をやっております。このチャンネルではデータ放送も充実をさせておりまして、例えば将来、ラジオでゲームに参加ができるようなデータ放送の実験とか、H.264の新しい符号化方式を使った簡易動画の放送の実験とか、それから
非常に広い帯域を使った、本当の高音質の 5.1サラウンド放送の実験もいたしております。
それで、ごらんいただいているのが、ニッポン放送が行っているBSおよびブロードバンド放送のサイマル放送で、右側に番組関連データがございます。番組を切りかえてみます。これは、「It's笑タイム」ということで、割とコミカルな歌を集めて放送しているということで、全部、3セグメントですので、かなりの帯域、ビットレートを使った放送ができております。3番目の放送をごらんください。「またたびアワー」という番組ですが、家で留守番をしている都会派の猫のための番組でございまして、非常にユニークな番組です。ここに猫の写真が出ておりますけれども、非常に好評だというふうに猫は言っております。
大阪の番組表をごらんください。大阪の番組表はこういうふうになっておりまして、実は、先ほど、会員社が全部まとめて書いてあるようなセグメント構成になっておりましたが、NHK、VICSの91チャンネルを除いては、参加者全員が共同で制作した1時間番組を各チャンネルごとにずらして放送するという方法をとっております。例えばSLなどの懐かしい鉄道を写真つきで紹介する「日本の鉄道アーカイブス」とか、京都の町並みを音と絵で紹介する、静止画で紹介する「京都通り歩き、あっちこっち」というような番組をつくっておりまして、大阪では、後ほど触れますが、受信機が出るまでは、みんなでお金を出し合って、ともかく少し豊かなコンテンツをつくって、横では同じ放送はしてないんだけれども、1時間ごとにずらしていけば、それなりの放送ができるという考え方で、大阪は放送しているということでございます。
時間が押してまいりましたが、放送番組をお聴きになっていろいろお気づきになったと思いますけれども、メリットに簡単に触れたいと思います。言うまでもないことですが、1は何といってもCD並みの高音質ということでございます。お手元のパンフレットにもございますけれども、「音がいいと、見えてくる。新世紀ラジオ・・・」というのがデジタルラジオのキャッチフレーズになっております。CD並みの高音質ということですから、圧倒的な臨場感を体験できる音楽番組ということで最も生かされるということは言うまでもありませんけれども、NHKの放送の例にもありましたけれども、語学の勉強で音がいいということは、非常に発音が聞き取れるということでございますので、今までの語学番組よりも、例えば一層クリアな発音で語学の勉強ができるというメリットもありますし、いわゆるディスクジョッキーでも人の声も今まで以上にいい音で聴くということで、話し手のキャラクターがより一層イメージできるというようなこともあって、パーソナリティーへの親しみ安さというものも増すのではないかというふうに思っております。
第2の特徴は、従来のラジオよりもはるかに多彩な放送ができる。それは、もちろんデータとか、静止画とか、場合によっては簡易動画ということが可能だということによるんですけれども、想像できなかったようなバラエティー豊かなコンテンツを放送することができる。それから、データ放送ということで、当然、よりきめ細かい地域情報を放送できるということで、ラジオの基盤でありますローカル性ということを一層際立たせることができるのではないかと思います。
第3の特徴は、モア・サービスだということでございます。テレビのデジタル化が移行ということに比べて、ラジオはAM、FMの存続ということですから、モア・チャンネルということで、テレビのサイマル放送という義務づけに比べて極めて自由度が高いということが一つ言えると思います。
第4の特徴は、携帯端末でより一層クリアな受信ができるということでございまして、災害時等に非常に威力を発揮するということは言うまでもないと思います。
5番目に、端末の種類。これは受信機が何に載るかによるんですけれども、通信と融合した双方向性というメリットを加えるということになります。ラジオはパーソナルメディアということがありまして、私のための放送という感覚が、テレビの視聴者よりもラジオの聴取者の方が強いというふうにいわれております。昔から自分の部屋でラジオを聴くとか、あるいは通勤途上、あるいは仕事をしながらラジオを聴く、車の中でラジオを聴くという習慣、ながら視聴ということも含めて非常に定着しておりまして、例えば英国では主婦がラジオを聴きながら家事をするということで、キッチンラジオというような愛称で、非常にデジタルラジオが普及をしているというふうに聞いておりますが、例えば電話やはがきのリクエスト、身の上相談なんていうのも、ラジオのメディアの方が活発に今まで行われてきましたし、そうした機能をデジタルラジオでは携帯電話とかPDAとかパソコンを使って行うことができるようになるわけですから、自分のための端末という感じが若者たちに強くなれば、携帯電話の例を見てもわかりますように、広い層に普及をしていくのではないかなというふうに思っております。
著作権問題のこともありますけれども、ダウンロード機能というようなことが加われば、自分の端末ということではなお一層普及に弾みがつくのかなと思っておりますし、例えばCDの購入とかコンサートチケットの購入などというビジネスモデルも当然考えられるのではないかと思っております。
最後に、課題について触れたいと思います。何といいましても最大の問題は、実用化試験放送も1年を過ぎましたけれども、まだ受信機発売の具体的な目途が立っていないということでございます。その原因としては、全国展開に向けての将来ビジョンが明確でないということが挙げられると思います。今のところ、全国での本放送開始は、テレビジョン放送が完全にデジタル化されて、アナログが停止する、デジタルラジオ実用化試験放送を行っている7チャンネルを含むVHF帯が完全に空く時ということでございますので、これが2011年7月25日以降ということになるわけですが、なかなか先の話でありまして、メーカーさんも受信機の市販に踏み出せないというようなことは想像に難くないというふうに申し上げていいと思います。
今も名古屋では放送してないのですが、名古屋は言うまでもなく、できるだけ早く、最低7大都市を中心とした全国展開を実現しなければならないというふうに思っておりますし、その辺についてはぜひ当研究会等での検討に大いに期待したいというふうに思っております。
それから、放送区域につきましても、東京・大阪に限定されておりまして、その東京大阪についても、出力の問題もありますが、ちょっと受信エリアが十分でないということがございます。現在、東京ではセグメント当たり
100ワット、合計 800ワット、大阪では1セグメント当たり30ワット、合計 240ワットで放送しておりますけれども、ぜひ送信電力のアップということもお願いをしたいというふうに思っております。
この協会もビジネスモデルの開発とかコンテンツの充実に積極的に参加をいたしまして、受信機の開発普及の促進に寄与するということで、公共の福祉ということの使命を果たしていきたいというふうに思っております。
それから、課題の2番目は、モバイルテレビとのすみ分けということになると思います。1セグメントのテレビジョン放送ということがもう既に実現の方向に向かって軌道に乗っておりますし、地上デジタル放送懇談会では、映像を中心に音声及びデータも提供できる地上デジタルテレビジョン放送と、音声を中心にデータも提供できる地上デジタル音声放送、それで、データの中には静止画及び簡易動画を含むという注書きがありますけれども、その両方を実現するというふうになっています。つまり、デジタル時代になっても、ラジオとテレビがそれぞれのノウハウの蓄積のもとでお互いに共存共栄をしていくということが謳われておるわけでございます。
デジタルテレビの1セグメントのモバイル放送は、現行では補完放送という位置づけでございます。12セグメントの固定受信向けの放送とのサイマル放送を義務づけられておりまして、地上デジタル放送懇談会でのテレビとラジオのすみ分けについては、制度的には担保されております。しかし、放送方式や周波数帯域の違いを除いては、ほとんど同じであるということや、急速な技術の進歩、視聴者ニーズの変化ということを勘案するときに、やはりいつまで今の制度のままでいけるのか、ラジオ事業者は一様に不安を抱えているというのも正直なところでございます。テレビとラジオをどのように区別して、また新たな共存を図っていくために、どのように制度に修正を加えていくのかということが、コンテンツとしてのすみ分けを考えるのと同時に、今、求められているのではないかなというふうに思います。
デジタルラジオ実用化試験放送に関するご説明は以上でございます。ありがとうございました。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。私にとって全く新しいことをいろいろ教えていただきまして、ありがとうございます。構成員の皆様方もそういう類の人が多いかと思いますが、どんな初歩的な質問でも結構でございますが、どうぞ、この際、伺ってみていただけますでしょうか。
私からですけれども、モア・チャンネルということでございますね。そうすると、市場はこれによって膨らむということなんですか、それとも今までラジオを聴いて、FMを聴いておられる市場は、大体そのままということなんですか。それともうんと広がるばら色の夢か何かがあるのでしょうか。そのばら色の夢が、多少科学的な根拠に基づいているかどうかということも含めてお願いします。
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○ | 近衛デジタルラジオ推進協会運営委員長 ラジオのビジネス規模が、現状、仮に 100あるといたしますと、広告という部分でいけばちょっと膨らむぐらいかなというふうに現状では予測できるわけですが、それ以外のビジネスモデルというところでどういうふうにやっていくかというのが、このデジタルラジオの一つの展望であると思います。そのやり方は、今、いろいろ細かく研究しております。課金とか、ダウンロードサービスとか、いろんな形でのプラスアルファということでございます。
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○ | 塩野座長 まだ教えてくれないわけですね。
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○ | 近衛運営委員長 静止画、簡易動画あるいはデータという部分での、幾つかのモデルは研究しております。これはラジオだけのことではございませんで、やはりいろいろなメディアで競争するということになるかと思いますが、やはりラジオの携帯性、移動性、それからパーソナル性といったようなものを一つの基軸にしまして、そういったものをどういうふうに生かしていけるかというところだと思います。
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○ | 塩野座長 その実験もここで一緒におやりになるということですか。
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○ | 近衛運営委員長 今、まだ始めたばかりであるということと、それから受信機がまだ一般にないということで、本当に実験を始めたというところでございますが、今、申し上げたようなことを各チャンネルで具体的に、なるべく早く、なるべくたくさんの実験をやっていこうということでございます。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。適時にまた新しい情報を集められたら教えていただくように私からお願いします。どうぞ、伊東さん。
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○ | 伊東構成員 東京と大阪の放送区域の中で一つだけ、東京の方で3セグの試験放送をされているということですが、3セグならではというような内容があれば、教えていただきたい。
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○ | 近衛運営委員長 1セグメント放送、よく 300Kぐらいでできるものですと、ステレオの音声、それから圧縮技術が進めばですけれども、今の技術でも簡易動画程度ができますので、そういう意味では当然、3セグでなければ絵が送れないとかそういうことはないわけでございますが、やはりスムーズな動画、それから音声のダウンロード等を考えますと、
300Kという中でダウンロードのスピードとかそういうものを考えていきますと、結構つらいものがあるかなというのを現状でも感じております。
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○ | 東海林専務理事 それから、 5.1サラウンド放送につきましても、5.1とステレオ、その他で670ぐらいの帯域が要りますので、 5.1サラウンドは現状では、運用規定上3セグ放送でしかできないということはございます。
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○ | 伊東構成員 どうもありがとうございました。帯域が広がれば、それだけスピードも上がる訳で、データ放送などの待ち時間が短くなるとか、そのような利点はもちろんあると思っていたのですが、サラウンド放送などの高品質な音楽放送というイメージですね。
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○ | 東海林専務理事 今、実際には3セグメントでは高音質のステレオ放送を3つ、それに番組連動のデータを放送をしておりますし、そのほかにカルーセルデータも放送しておりますので、それが可能だということです。
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○ | 伊東構成員 5.1サラウンド放送という例は、よくわかりました。
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○ | 東海林専務理事 5.1は、全帯域を使って 5.1を送るということでございます。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 舟田さん、どうぞ。
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○ |
舟田構成員 私はFMファンで、アナログのFMを、昔は八木アンテナ、大きいのでやっていたんですけれども、とにかく東京では到底もう雑音が多くてひどい。で、今はCATVのチャンネルからとっているんですけれども、これはどういうふうにとればいいのか。それとも普通にアンテナでとれるのか、東京のような雑音の多いところはどういうふうにとればいいのか。
もう一つは、デジタルのテレビの場合はコピー制限がありますけれども、ラジオの場合、もし、よければ私も録音したいですが、録音は制限されるんでしょうか。
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○ | 佐々木デジタルラジオ推進協会技術委員会委員長 では、今のことについて、技術委員会の方からご説明いたします。
まず一点は、先生の受信環境がどのようなものか想定いたしますが、一般的に固定受信、先生のところで固定受信を考えますと、今のFM局と同じように、ある程度、固定のアンテナ、あるいは窓際の室内アンテナ、あるいは条件がよければホイップで受けられるだろうと思います。デジタル放送の場合、ご案内のとおり、CNだけで決まりますので、ある一定の電界がありますと
100%受信できますので、送信側のクオリティーがそのまま先生のお宅で再現できます。もちろん、BSも地上デジタルもすべて同じなんですが、そういう意味では非常にハイクオリティーなサービスが可能だろうというふうに理解しています。
それからもう一つ、RMP、コピー制限に関してでございますが、現在のDRP、実用化試験局の中の編成あるいは著作権の検討をいたしました、その中で一つありますのは、今、確かにハイクオリティーということで申し上げたんですが、実は、CS−PCM時代にリニアのPCMでサービスが既に行われております。これに関してコピー制限は、シリアル・コピー・マネジメント・システム、具体的にはDATみたいなシステムで採用されるコピーワンスという制限を送っていまして、これと同じものを音声放送に関しては採用いたしております。今、申し上げましたのは、我々はデジタルテレビもデジタルラジオもMPEGで圧縮しておりますので、以前、サービスしておりました、現行のアナログのBSのBモードがそうなんですが、リニアなもので1回のコピーを認めていますから、それよりも少なくとも劣化するだろうという理解のもとに、コピーワンスの制限だけでサービス提供を行いたいということで、現在、そのシステムを導入いたしております。これはテレビジョンさんの、例えばハリウッド、映像ありきの議論と、やはりラジオは音声だけでいっておりますので、その辺の違いがあろうかと思います。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。どうぞ、篠原さん。
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○ | 篠原構成員 では、簡単に教えていただきたいと思います。
これは、事業者さんの側で答えていただけるのか、あるいは政策立案というか、行政側の方で答えていただけることなのか、ちょっとわかりませんけれども、今、ここにありますのが基本的には1セグでやっているチャンネルと、大きいのだと3セグというのがありますけれども、要するに、基準になるのは1セグのチャンネルなのか、それから、将来も3セグの方式と1セグの方式だけなのか、それ以外のものも許容されるのか、その辺の制度なり政策的なことはもう決定しているのかどうか、その辺のことを教えていただきたいのですが。
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○ | 塩野座長 では、安藤さん、どうぞ。
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○ |
安藤放送政策課長 1セグ放送、3セグ放送につきましては、実用化試験放送においてはその免許方針の中で3セグ放送もいろいろな可能性を調査する観点から行うことは可能とされておりまして、そういうことで、今、この98chで3セグの実用化試験放送が行われているということでございます。なお、将来、本放送に至ったときにどういう形になるかという点は、まさしくこれからの制度設計の問題でございまして、この実用化試験放送における視聴者のニーズでありますとか、ビジネスモデルでございますとか、そういったものを総合的に勘案しながら、今後、検討していくということになると思います。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。いろいろ情報を得まして、大変勉強になりました。ありがとうございます。
それでは次に、BS放送事業者で構成されておりますBS八社会から、株式会社ビーエス・アイの代表取締役社長生井利重様より、BS放送事業者のデジタル化への取り組みと課題について、ご発表をお願いしたいと思います。
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○ |
生井ビーエス・アイ代表取締役社長 それでは、BS八社会を代表しまして、私、生井がご説明させていただきます。時間も押しておりますので、なるべく端的にご説明させていただきたいと思います。
まず、デジタル放送が始まりまして、デジタル時代がどんどん進展してきまして、映像メディアの環境というのは、今、どうなっているか、ということを3つのキーファクターにまとめてみました。
最初は、「生殺与奪の権は視聴者に」とありますけれども、これだけ地上、BS、CS、衛星モバイル、ケーブルテレビ、さまざまなメディアが出てきまして、それぞれ事業にすべく競っておるんですけれども、今後、携帯向け放送とかサーバー型放送というものが出てきましたら、まさしく、どの内容でもってどういう放送を視聴者に届けるかということでございますので、視聴者から支持されない番組というのはもう成り立たない。放送自体も成り立たないという時代に来ていると思います。それだけ厳しい時代に来ているということで、視聴者の選択権が非常に拡大しましたので、それに我々事業者がどういうソフトを供給していくかというのは、まさに追い詰められた大きな問題になってきている。BSは、まさにそのさなかにございます。大変な時代なんですけれども、智恵を出すだけではなくて、同時に、私どもは24時間放送をやっておりますので、莫大な投資が必要になってくるということは言えると思います。
それについて、続きまして、視聴者が生殺与奪の権を持っていますから、当然のことながら、どういうコンテンツを供給していくか。おのおのメディアの特性に適した、視聴者の目にかなりコンテンツがどのメディアでも最重要なんですけれども、それをどう届けるかということがこれからの中心だろう。つまり、これまでデジタルでもって、技術とか枠組みとか、いろいろそういうものが中心になってきましたけれども、そうではなくて、これからはコンテンツの方に主軸を移さないと、放送がなかなか成り立たないというか、通信も出てくる、さまざま出てきた場合は、放送が特別な存在ということはいえないと思いますので、その中でも、どの場面でもやっぱり行き着くところ、最後はコンテンツだというふうに言えると思います。そういうことでもって、我々の経営、それからソニーもそういう軸足で動いていると思われますので、軸足をますますそういうふうに移さないと視聴者の支持を得られないという認識を改めて強く持っております。
それから、3番目に「メディア大競争の足音」としました。これは私ども予感でございますけれども、今、日本の放送業界というのは、系列間競争とか他のメディアとの競争とか、国内のマーケットでもって非常に大きな競争を広げていますけれども、現実問題として、最強といわれる地上波のセット・イン・ユース、つまり、総視聴率は漸減しております。ほかのメディアが地上放送を食っているというのが現状でございます。
それが今の競争の実態でございますけれども、さらに、最近においては、韓流ブームに象徴される韓国ドラマの展開、これは恐るべきものがございます。NHKが口火を切ったんですけれども、どの局も展開しております。私どもビーエス・アイも韓国放送をオンエアすると直ちに支持を得られるというぐらいに、ここにいらっしゃる皆さんは興味ないかもしれませんけれども、30代以上の奥様方、それから最近は大の大人も涙を流して見るというぐらいのブームになっております。これはすごいブームです。それだけ、日本のドラマがだらしがないといえばだらしがないんですけれども、それが実態を反映していると思います。
さらに最近は、私ども、いろいろ国際場面で接触しておりますので、中国の自然ものとかそういったものを日本でやらないかとか、さまざまな攻勢をかけられております。一緒に番組をつくりましょう、ということもいわれております。そういうことでもって、国内だけではなくて、国際マーケットにおいてコンテンツ、つまり、ソフトをどういうふうに展開していくかということは、これからの課題になってくると思います。
日本にも才能のあるクリエーターというのはたくさんおります。これはビーエス・アイではないんですが、TBSの方もフォーマット販売でもって形を売っていく、フォーマットを売っていくということはやっております。それで支持を得られています。映画でも、最近は、「Shall
Weダンス?」に象徴されるように、いってみれば、リメイクをハリウッドがやる、そういう時代になっております。
したがって、今後、メガバンクとか、ソニーが関連子会社を全部合併しちゃうとか、松下が合併しちゃうという形になって巨大化しておりますけれども、それは競争に耐えるということだと思いますけれども、国際競争がそろそろとば口に立ってきたなという感じもしております。これまで、コンテンツというのは文化ですから、いってみれば、その国の風合いを色濃く反映しているので、そういうことはないと思っていましたけれども、どうもそうじゃなさそうだというとば口に立っておりますので、こういうこともしておきました。
いずれにしろ、この3つで強調したかったのは、とにかく基本コンテンツ、視聴者の支持を得られる、国際的に売り込めるコンテンツをどう供給していくかというのは、大課題だというふうなことを言いたくて、述べさせていただきました。
続いて、これが本題ですけれども、BSデジタル放送の現状、これはリアリティーでございます。放送開始から3年10カ月たちました。普及は、皆さん、ご案内のように、今年に入ってから結構順調に来まして、今、
674万世帯。これが 750万とか 800万世帯はもう指呼の間になっておりますけれども、それを超えますと関西地区の視聴可能世帯を超えていきます。したがって、非常に大世帯の人たちが見るようになってきたということは言えると思います。それには、NHKばかりか、民放がハイビジョン放送でそこそこのコンテンツを供給していったことによって伸びていった、それに寄与したということは、少し自負をもって言わせてもらいたいと思います。
ところが、メーカーは大変儲かっているんですけれども、私ども民放5社は、その受像機売り上げに追いつかず、今のところ、売り上げは5社合計で
162億円でございます。先ほど、植村さんがご指摘になりました、CSは 2,000億円と言われましたけれども、今、売り上げはその足元にも及ばないということでございます。それで、累積損失は、現在、
893億円ございます。私どもの資本金合計は 1,550億円で、この1〜2年で相当厳しい状況を迎えるということでございます。
ただ、スカパーが黒字化するまでに7年かかっております。この間、WOWOWもスカパーも非常に大きな累損を出しながらも、言ってみれば、視聴者の全て、それから放送会社、電機メーカーという巨大資本が束になって資本投下しまして、あと、いよいよ放送会社の本命の重村さんが社長になられて、ここに来て黒字になってきました。そこまで、言うなれば、金と時間と、それから智恵が必要だということ、放送はそういうものだろうというふうに認識しております。
それで、スカパーとかWOWOWというのは、有料放送というのは、業態でいうと、ありていに言わせてもらいますと、デパートとか量販店とかそういう販売、番組を並べて販売する会社です。それなりのご苦労はたくさんあると思いますけれども、私どもBS放送というのは無料放送でございますので、独自のオリジナルな番組をつくらないとなかなか売れないんです。これ、既存の地上波とサイマルをやったり、地上波の番組をディレーでやったとしても、商品価値はガクッと落ちまして、なかなか売り込めない。したがって、我々BS放送は、オリジナルな番組をつくらないと、なかなか視聴者の認知とか支持、視聴習慣化への道ができないということがございます。そのためには資金と時間を要する。
つまり、私どもが覚悟しているのは、この程度の赤字でございますけれども、軌道に乗るまでは半端なことじゃ済まないぞという自覚を持っております。ここにありますけれども、ビーエス・アイの番組制作費というのは、衛星、固定費に比べて5対2と書いてありますけれども、こんなものでは済まなくて、もっと10対1、20対1ぐらいにしないと、で、コンテンツの莫大な先行投資をしないとなかなか視聴者の支持を得られないということを自覚しております。
続きまして、BS放送のミッションと課題。私ども、BS放送が3年10カ月たちまして、最初の志としまして、地上波には飽き足らない視聴者に番組を届けるということを最大のミッションとして考えました。さらに、今、地上放送もHDが始まりましたけれども、映像産業として、放送だけではなくて、内外で勝負できるソフトを制作しようということで各社それぞれ努力してきました。それで、右側に、これも手前味噌で恐縮ですけれども、他社さんのことはわからないものですから、ビーエス・アイだけ書きましたけれども、これだけの受賞歴がございます。これは、ドキュメントあり、それからドラマあり、それから旅番組ありということで、さまざまな、これだけの国際的、内外の受賞作をつくり出しております。地上波にもない、これだけの期間で一挙に受賞したというのはありません。ほかの局もこういういいものをたくさんつくっております。ただ、我々の放送というのは、無料放送の場合は、24時間、1週間の編成表なんていうのがございまして、これをランニングするには、こういういい番組を点でつくってもなかなか視聴者の支持は得られない。つまり、見た人は「いい番組をやっているな」と言われるんですけれども、余り見ない人は「見るもの、ないよ」と言われて、それはたまにしかやらないからなんです。これは、言ってみれば、特番のような形でやっております。それが2回、3回やるんですけれども、そう多くかけられないものですから、たまにしかございません。したがって、BSの視聴者の支持を得られるには、こういう番組を面でもって展開しなくちゃいけない。つまり、少なくとも24時間いかないまでも、ウイークデーのゴールデン、それから土・日あたりにいい番組をぶつけていかないと、なかなか視聴者の支持を得られないという苦悩もございます。現在、制作費は地上キー局の20分の1以下ですから、その資金投入では、まだ面展開というのはとてもできません。面展開するには、今の実力ではなかなか難しいというのが現状でございます。これ、リアリティーでございます。
続きまして、ミッションと課題の2番目としまして、経営のガバナンスと挙げましたけれども、これも資本金で、今の状況で、私どもBS各社は話し合っておりまして、来年4月あたりから先ほど言いました逆Lといいますか、地上のゴールデンと土・日あたりに継続的に視聴者、つまり、レギュラー番組で視聴者の支持を得られるような番組を供給していこう。これはスポンサーがつかないという危険性もあるんですけれども、とにかくその辺で勝負をかけないと、なかなかBSは立ち行かないぞということでもって、そういうような前向きの話し合いもしております。
そういうことをやっていきますと、今後1〜2年で資本金が払底するおそれもございます。待ったなしの段階にこの1〜2年で突入するだろうということは覚悟しております。これは投げ出すわけにいきませんから、この構想を何としても最初の志を貫きながら軌道に乗せなくちゃいけない。ただ、経営という冷厳な実態、つまり、経営論理からいいますと、BS放送のガバナンスを持っているところ、経営責任を持っているところは、筆頭株主であり、なおかつ社長、私もビーエス・アイの社長ですけれども、TBSの役員も兼ねております。そういう社長を出して、なおかつ従業員、作り手の大半を出しているキー局は、商法でいうところの実質支配者ですから、そうなった場合のキー局の責任といいますか、キー局がどう取り組むんだというのは問われる時期が来ると思います。それだけの認識はキー局にまだございません。やがて来ると思います。その中でもって、番組ではやっぱり地上波と差別化しながら、この中で言いたかったのは、今、テレビは、言ってみれば、若年層と中高年層との断絶が起こってしまって、中高年層になかなか見るものがないということを言われますけれども、世代間の断絶にこたえる番組づくりをしていきたいというふうに思っております。ただ、それが
100%実現できていないので、なかなか胸を張って言うわけにはいかないんですけれども。
それから、これからの課題としまして、総合的な連携と挙げましたが、地上キー局の制作設備、人材、それからライツ獲得能力。番組をつくるときに、どうしても地上波の力を得ないと、BSは権利のクリアができないということがございます。それから、番組の流通、ウィンドウ・コントロールなど、このノウハウはどうしても活用せざるを得ないということが言えると思います。ただ、現状の民放では、さまざまな税制の壁もあったりして、なかなか難しい面もございます。
それから、地方局との共同制作、番組購入とありますけれども、これは、今、既に相当やっております。地方局の番組、つまり、地方局はローカルでかけるんだけれども、全国でかけたいというドキュメンタリー番組とか旅番組とかそういったものは結構持っております。その番組をBSでかけてくれということで、我々は番組を購入しまして、結構かけております。さらに、ライブなどの共同制作も地方局とやっております。最近は、地方局が、どうもBSはくみしやすいと思ったのか、盛んに売り込みに来られまして、最初、BSは地方局の敵になるということで危機感を持っていたんですけれども、最近は、我々はなめられているんじゃないかというぐらい、地方局から寄ってきていただいております。
そのほかに外部の映画制作会社、レコード会社、その他プロダクション、これは大きなプロダクション、小さなプロダクション含めて、相当オープンに協力しております。これを協力しないと、BSは番組ができません。したがって、地上波の場合はガチンガチンに編成で縛られていますけれども、我々の場合は柔軟性がありますので、結構開かれて、いろんな番組をつくっております。
下に絵がありますけれども、この「さそり」というドラマをつくりました。これは外部の映画会社と共同出資しこちらでつくりました。それで、権利は、よく放送会社が全部取ってしまうといわれますけれども、とんでもありません。この権利は共同で持っています。
「怪談新耳袋」、これは5分間のショートドラマなんですけれども、これをつくりました。これも外部のレコード会社と共同でつくりました。これも権利は、もちろん、分け合うという形でもって、私どもが権利を独占するということは、これまでの例ではほとんどございません。「怪談新耳袋」、皆さん、これはご縁がないかもしれませんけれども、auの動画配信で、5分のバージョンなものですから、トップランクになるぐらいの人気がございました。
それから、「豪華船でいく北欧クルーズ」というのは、中高年層の人に非常に支持を得たんですけれども、これは我々は放送権を購入しただけでもって、権利はプロダクションが全部持っております。
こういう形でもって非常に柔軟にやっております。だだ、言いましたように、キー局、ローカル局、それから外部の勢力と相当連携をしていかないとBSは成り立たない、ということを強調したかったわけです。
今後の取り組みというのは、まとめでございます。強固な経営基盤による資金の投入というのは、先ほども言いましたように、これから面展開の編成表案を作っていくには、視聴者の支持、視聴習慣をつけていただくということには、あくまでも相当資金を投入しなくちゃいけない。
それで、ここがポイントですけれども、独自の番組をつくらないとだめなんです。これがないと市場性がなくなってしまう。そのためには、制作会社とか他のメディアとも相当連携しなくてはならない。これに我々の権利が仮に残らなくても、いい番組であれば流していく。つまり、窓として生かしていくという姿勢をあくまでもここで貫きたいと思っております。ここでコンテンツを充実させて、普及と視聴シェアをふやす。つまり、今、普及は何となく自動的に進みそうな感じの面もあるものですから、視聴シェア、つまり、視聴習慣をつけていただく。それで、新たな視聴者評価指標の導入、つまり、視聴率の導入なんですけれども、視聴率といいましても、地上波と違いまして、BSの場合は双方向とかデータ放送とかいろいろございますので、単純な地上波と同じ視聴率では十分ではない面がございます。ですから、独自の視聴率調査は各局ともやっております。ただ、独自でやっているだけではだめなので、統一した視聴率を、今、BS八社会で話し合っているのは、来年あたりから、BSがどのぐらい見られているのかということを実際にやっていこう。それを踏まえて各社ごとにやろうじゃないか、というような方向で話し合っております。
それには、いろんな外部の力を借りながらやらなくちゃいけないんですけれども、そういう形で視聴率を導入しようとしています。そういう形でもって、放送の市場形成をしていこうということでございます。こういう循環になれば、BSは成り立つなということを思っております。
続きまして、行政への期待。これはちょっと抽象的になっていますけれども、この中で一言でいいたいことは、行政は、「総合的な放送政策を」とありますけれども、放送というのは、もう今や、コンテンツを楽しむ選択肢の一つになっているというのはひしひしと感じます。確かにまだ地上放送局は強いんですけれども、この牙城は徐々に崩れていくだろう。ですから、これまで枠組みとか、サービス内容とか帯域の利用についても、視聴者の支持を得たものは伸ばして、要らないものはもうやめるということを結構柔軟に、既にやっていらっしゃるんですけれども、そういうことをやっていただきたい。つまり、あくまでも視聴者を見てそういうことをしていただければと思っています。
それから、2番目に「視聴者の利益、大競争に対応した枠組みを」とありますけれども、視聴者の支持とか放送の多様性、つまり、視聴者に選択権がなければ話になりませんから、その選択権を得るために、プレーヤーを多くすることも必要ですし、新規参入をとめるということはとんでもない話ですけれども、これまでにある複数のチャンネル――メディアというのはチャンネルと言いかえた方がいいんですが、チャンネルを保有する者に、多くの制作者と連携しながら展開させることも、ここでいま一度考えていただければ、問い直していただければというふうに思って書きました。
最後に、「実態を踏まえ実質を確保する制度を」でありますけれども、国際競争力のある映像ソフト産業を育てる枠組みも、ここにありますように、ハイビジョンということを考えた場合に、今、ハイビジョンソフトというのは日本が一番強いですから、これを世界に売り込むということを、そろそろそこまでスケールの大きいことを考えてもいいんじゃないかというふうなことで書かせていただきました。その核になるのが、地上放送局、BS放送局、それから外部の映像ソフト産業も組み込んで、一体となってそれを組み込んでいくということが必要ではないか、というふうに考えて書かせてもらいました。
最後に、我々の夢なんですけれども、日本の映像産業を育てる場としてBSほど適したものはございません、ということを言いたくて、ここに書かせていただきました。といいますのは、今、BSというのは、制作設備、人材、ノウハウ、資金を持っていろんな人が集まって、我々はそういう人たちに放送権料で還元しております。それから、放送局と組みたいというプロダクションとか映画会社が非常に多いんです。なぜかといいますと、それはプロモーションでもって、テレビで宣伝できるからです。そういったさまざまな特性がございます。ですから、局が核となって、さまざまなソフト関連事業と結びついて、高い制作力の集団、村ができるんじゃないか。先ほど申しましたように、BSデジタル放送というのは、今のところ、編成表案というのは極めて柔軟にできますから、いろんなプロダクション、それから映画会社、レコード会社さんが集まってきます。ある意味では梁山泊みたいなことでございまして、先ほども申しましたように、地上波ではないような放送ソフト、HDの放送ソフトをつくる試験的なことというのは幾らでもできます。それでもって、いい番組を、地上波にはない新しい番組づくりを何としてもしていきたいということでもって、柔軟なBS放送が、言ってみれば、さまざまな制作集団の梁山泊となって新しい力を発揮できればと思いまして、こういうふうな絵をかかせてもらいました。
時間もあれなので、駆け足で恐縮なんですけれども、以上でございます。失礼しました。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。
BSについては、舟田さんは前からいろいろなところで関係しておられて、今のプレゼンテーションをお聞きになって何か感想はおありですか。
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○ | 舟田構成員 いろいろありますけれども、一つだけ。5ページ、放送事業者と制作会社の関係というのは微妙なところがあるというのは、私も承知しておりますけれども、先ほどのお話では、外部連携、共同制作とか放送権購入が増えている。地上波の場合には、特に放送事業者がすべて著作権を取り上げるというようなことも一部言われて議論になったわけですけれども、放送権購入だけなら著作権は全く要らない。例えば1回限り、あるいは再放送も含めて2回限り。それはかなり安くなるものですか。つまり、ビジネスとしては、著作権を共同著作権にして一部持つというのと、それから放送権購入だけというのは、かなり違うものですか。その辺、ビジネスのことはよくわかりませんので。
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○ | 生井代表取締役社長 さまざまな形態がございまして、ここに書きました「豪華客船でいく北欧クルーズ」は、制作費はこのプロダクションが払っておりまして、我々は放送権料しか払っておりません。その代わり、権利は全部、向こうです。ですから、これは我々にとっては安くできます。ただし、「さそり」とか「新怪談耳袋」というのは、制作委員会方式とか共同制作でございますので、あくまでも我々は制作にかみますので、その資金は出します。そのときは放送権料だけというわけにいきませんので、コストは結構はね上がります。
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○ | 舟田構成員 そうしますと、8ページですか、左の方に、「高い制作力の集団(村)ができる」。ここが一つの夢だと思いますけれども、その場合にも、今のお話を聞きますと、放送局としては、放送されたものという意味で、むしろ、放送権料だけで、あとは自由なソフト流通といいますか、そういうことになるのでしょうか。その辺、見通しはどうなんですか。質問があいまいで失礼ですけれども。
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○ |
生井代表取締役社長 いえいえ、大体おっしゃりたいことを私なりに忖度させていただきますと、私ども、地上放送の方に足をかけていますので、その権利というのは、事業者として取りたいという気持ちはございます。ただ、現実として地上波のは取れないという局面になっておりまして、なかなか全部は放送局にないんですけれども、ましてやBSの場合、我々も一応権利については取りたいということをいいますけれども、企画の持ち込みとかアイデアとか、中心プレーヤーはBSにないと絶対だめなんですけれども、その元種とかそういったものがプロダクションとか外部にあった場合には、我々がそれを押さえるということはなかなか難しい面もございます。
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○ | 塩野座長 では、村井さん、羽鳥さん、続いてご質問いただきたいと思います。
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○ |
村井構成員 BS放送事業のデジタル化に関して、いろいろなことをお考えになり、また実際に取り組まれていらっしゃることを大変興味深く聞かせていただきました。どうもありがとうございました。
お伺いしたいことが2点あります。1点目は、「新怪談耳袋」制作におけるauとの連携に関してお話ししていただきましたけれども、「新怪談耳袋」のようなHDコンテンツが大変力を持って将来広がっていくという夢をお持ちだということとの関連で、今後、他のメディアとの連携というのがどのような意味を持ってくるとお考えですか、という質問です。
2点目は、韓国ドラマを例にしてお話しされた、海外とのコンテンツ流通における日本の国際的な競争力についてですけれども、例えば我々が海外に行きますと日本のアニメーションをいたるところで目にします。そのような部分に目を向ければある意味では国際的な競争力が強くも見えますし、逆に、日本に韓国ドラマのように海外の番組が入ってくることに目を向ければ、国際的な競争力が弱いような気もしてきます。このようなコンテンツの国際的な競争力という意味で、これからデジタル化がどのようにかかわってくるのか、という質問です。この2点についてよろしくお願いいたします。
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○ |
生井代表取締役社長 では、まず後半の方からお答えさせていただきますと、韓流ブームというのは、ほんとに強烈なものですから、韓国ドラマは日本だけではなくて、中国とか台湾とか香港とか、そっちの方まで相当人気を呼んでおります。かつて日本のドラマが、一時期、香港とか台湾で人気を呼んだんですけれども、今は韓国ドラマに比べると昔日の面影が全くなくなってしまっているということでございます。今、日本は、先生がおっしゃったように、アニメは相当強い。例えば私どものTBSがつくったアニメといいますか、アニメではないんですけれども、CGを使った番組などは、相当国際的にも、映画会社が買って、それを配給したりしております。そういったものは非常に日本の場合にはこれからの売り物、競争力の強いソフトだと思いますけれども、それ以外に、言ってみれば、リアルなものですよね、ドラマとかにしたって、いろんなドキュメンタリーにしたって。そういったものを海外に売り込むとなると、HDソフトをつかってやるとなると、ちょっと違う発想をしないと、なかなか売り込めないんじゃないかというふうに思います。
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○ | 村井構成員 別の聞き方をさせていただきますと、要するに、競争力があるコンテンツ(番組)が国際的に正当に評価されるマーケットがあるのですか、それともマーケットそのものに規制があり、その規制を制度的、あるいはルール的な側面から緩和するという方法で解決しなければならないというような問題があるのですか。
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○ | 生井代表取締役社長 マーケットそのものはグローバルにあるんですけれども、グローバルなマーケットがあるというのは、文字どおり、先ほど申しましたように、国内と同じで、とにかく視聴者に支持されなかったら、マーケットとして売り込めないというのは冷厳な事実で、今のところ、日本の場合はアニメは売り込めているけれども、ほかはちょっと売り込めてない。で、フォーマットの場合というか、リメークという形でもってはありますけれども、日本がつくったドラマとか番組がそのまま向こうに生で流されるということは、たまさかございますけれども、それが年がら年中あるということではございません。
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○ | 村井構成員 では、基本的には(番組の)内容の実力の問題ですか。
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○ | 生井代表取締役社長 内容の実力の問題ですね。
それと、auは、ショートフィルムみたいなものをずうっとつくっておりまして、非常に人気を呼んだんですけれども、我々、BSでまずかけまして、それを外部のレコード会社と一緒につくりまして、これは純粋に我々が携帯配信に売り込んだんです。そうしたら、auが、これはおもしろいとやってくれて、それが非常に人気を呼んでいるというのが実態でございます。
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○ |
村井構成員 BSがレコード会社と一緒に作品を作り、携帯キャリアに売り込むというビジネスモデルは、ビジネス的にはどの企業が一番ウィン(利益を得る)なのですか。携帯配信が人気を呼んでいるという状態は、携帯電話会社、音楽会社、それにテレビ会社もビジネス的に得をしているということですか。
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○ | 生井代表取締役社長 みんな、ウィンですね、そういう多メディアでもって人気を呼んだ場合には。
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○ | 村井構成員 ありがとうございます。
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○ |
羽鳥座長代理 7ページの行政への期待の2番目に、複数のメディアを保有する者に問い直していただきたいということをご説明いただいたんですけれども、もう少しわかりやすく説明していただけるかというのが一点と、2点目は、BSというのは非常に強いメディアであると思うんですけれども、まだ普及が途上にあるものだから、現状において経営上の難しさがあるということで、塩野さんのおやりになられた放送政策研究会の中で、地上のTBSからビーエス・アイに対する出資比率を緩和するという報告書を出していただいて、現状においてそういう運営がなされていると思うのですけれども、それで当面は大丈夫なのか。
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○ | 生井代表取締役社長 先生の1番目のご質問と2番目のご質問というのは表裏一体だと思いますので、私なりに言わせていただきますと、複数のチャンネルを保有する者というのは、ありていに言うと、地上キー局のことなんですけれども、そこの多様性というのは、色々なプレーヤーがいると同時に、たくさんのソフトをつくれる人間がいる。というのは、たくさんのプレーヤーがいますと、確かにそれは健全なことなんですが、狙うところは、売れる番組というのは同一方向に行っちゃいますよね。
あと、私どもはBSと地上波をやっていますと、どうしても我々もゴールデンのたくさんお客さんがいるところにかけるということになっちゃいまして、地上波と同じことになっちゃうんです。それは、ある意味では、地上波とうまく連携できれば、その編成表案がうまくばらける。例えば私どもはシルバーは捨てないという標語を持っているんですけれども、私もシルバーの一人なんですけれども、そのシルバー層が見られる時間にいいソフトを流すとか、そういう差配は結構可能性があるということでもって、先ほど、先生のご質問のあった50%でどうかといわれますと、来年あたりになって資金ショートした場合には、いろんな借入金とか増資とか、今はまた金を出してくれるところなんて、あるかどうかわかりませんけれども、そういったシビアな局面になると思います。そのときにはまたいろいろとご議論をお願いするかもしれませんけれども、今のところ、50%の範囲内ではやっております。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。はい、どうぞ。
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○ |
篠原構成員 一点だけ教えていただきたいと思うんですが、デジタルのBSに民放が参入するとき、押しなべて謳い文句になっていたと思うんですけれども、例えばキー局が参入することの必然性というのは、要するに、持てる経営資源、特にソフトや何かを積極的に投入できる。それを他の業界よりは、そういう意味では、抜群の能力がある。そういう能力というか、潜在的なものを持っているということが、要するに、デジタルBSへの参入ということでの必然性ということで強調されていたと思うんですね。そういうことでいった場合に、現実の事例で結構なんですけれども、例えばNHKの場合、BSの普及に加速をつけるということで、ある種、地上波の高カロリーの番組を先行放送という形で投入するということは、かなりやってきている。それで、現実に、それに対応して普及率というものは上がったと思うんですね。同じようなことを民放系のBSデジタルではやっていらっしゃるのかどうかですね。その辺を聞かせていただきたいです。事例があるのかどうか。
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○ |
生井代表取締役社長 BSジャパンで先行でかけている番組もあったと思います。そのほかで、私も全部の番組を見ているわけではないものですから、確たることは言えないんですけれども、先行してやるには、NHKさんのように、一体経営になっていますから、一体経営のところは先行してやっても何ら問題ないんですけれども、私どもの場合は商業放送になっていますので、BSに先にかけて、地方で後でかけるといった場合には、それだけソフトとして手垢がついちゃうわけですね。そうすると、地上波の場合の値段が下手をすれば下がる可能性があるということもあります。
もう一つは、NHKが出たのでついでに言わせてもらいますと、NHKが我々にとってうらやましいのは、1局2波でございますので、1局2波ということは、つまり、ハードコストなどは、我々はキー局とか――NHKもそうでしょうけれども、スタジオコストにしましても、編集コストにしましても、非常に高いんですよ。それは地上の基準でやっていますので。で、我々は別会社でございますから、そこを使う場合には高い。ただ、局以外の一般のスタジオを使ったりは一生懸命やっております。ですけれども、例えばスポーツの中継とか、それからライブ番組とか、そういったものはどうしてもキー局の設備を使わないとできない。その場合、非常に高いコストを払わざるを得ないんです。普通だったら、NHKみたいに1局2波の場合、遊んでいる場合はほとんどただでスタジオが使えるわけです。ところが、今の税法上は、我々が使う場合には、それなりに対価をきちっと払わないと贈与にみなされちゃいますので、払ったり、それから、何よりも、今の地上局は系列を非常に大事にしていますので、我々のところに先出しするなんていうことはなかなかできない、まずあり得ない。
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○ | 篠原構成員 我々、外から見ると、要するに、資本比率では 100%だ、80%だということではないけれども、キー局が実効支配はしていると思うんですよね。
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○ | 生井代表取締役社長 おっしゃるとおりです。
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○ |
篠原構成員 で、実効支配をできる影響力をその事業体に行使できるということは、ほんとにBSデジタルをテイクオフさせたいということであれば、やっぱりカロリーの高い番組を投入するべきだと思うんですけれども、それができないということは、相対的な意味で、余りBSが早くテイクオフするということに対しては、地上波の方が今度は逆に媒体価値が落ちるから、その辺の手控えをしている。そういう意識というのはないのでしょうか、キー局の側の経営者の方々に。
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○ |
生井代表取締役社長 率直に言わせてもらいますと、キー局は、BSを半分恐れている面もございまして、ですから、BSとキー局の関係というのは、別会社でございますから、非常に微妙な関係でございまして、フェイバーを我々に年がら年じゅう与えてくれるということは、TBSの場合は結構あるんですけれども、局によって違いますから、そのフェイバーを与えるかどうかとなりますと、先生のおっしゃったことは必ずしも的外れではないのではないかということがいえると思います。
あと、資本が別だというのは、やっぱり色々な壁がございますから、これは50%いただいたんですけれども、確かにありがたい話で、それでやっておりますけれども、BSに対する微妙な地上波の目というのは、そのまま50%でも同じだということがいえると思います。
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○ | 篠原構成員 どうもありがとうございました。
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○ | 塩野座長 なかなか難しい質問に率直にお答えいただきまして、ありがとうございました。
ただ、先ほども羽鳥さんがご質問になったところですけれども、行政のところはちょっとわかりにくい、特に1番目、2番目、両方ともですね。もっとストレートにおっしゃっていただいた方が、我々としては考えやすいんですね。2番目も、マスメディア集中排除原則は見直すべし、と一発書いていただいて、その理由は、50%では全然意味がないとおっしゃれば。非常に大事なことは、つまり、こういう場所は政策評価の一つの手段なんですね。最近、政策評価法ができまして、いろいろ政府も、それこそ、今の局長はその道の専門家で、あの法律をつくった一人だと思うんですけれども、あれが本当にいい政策だったのかどうかということは、ここで本当のナマの声を聞かせていただくと大変ありがたいので、「問い直していただきたい」なんて、こんな言い方をしないで、おかしいとおっしゃれば、それでいいと思います。
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○ | 生井代表取締役社長 わかりました。
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○ |
塩野座長 それで、1番目の方はちょっとわかりにくいんですけれども、だめなものはどんどんつぶして、そのかわり、力のある者がそのチャンネルをとって、いい番組を送る。だから、今のキー局とBSの関係ではなくて、BS相互だって、だめなBSがいれば、それはもう吐き出させて、一生懸命やっているところによこせ、そういうお話ですか。
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○ | 生井代表取締役社長 いや、そういう面も含んでいるんですけれども、私どもはそこまで干渉するつもりは全くございませんので、そこまで大胆には言えないんですけれども、これは帯域の問題とかさまざまな問題で、いずれにしろ、だめなところはどんどんやめてもいいんじゃないか、ということをただ言いたかっただけなんです。
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○ |
塩野座長 CSの世界がもう出入り自由になりましたよね。BSの世界でも、やはり出入り自由という形をとるべきだと。
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○ | 生井代表取締役社長 いや、とるべきだとは言いませんけれども、現実としてそういう場面もあるかもしれないということはいえると思います。ただ、今、これだけの資本金を集めて、これだけの帯域をいただいて、イグジットを簡単にするということはまず
100%できないと思います。それをやっちゃいかんと思います。
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○ | 塩野座長 まあ、それはそうですが、視聴者から見れば、余りおもしろくない番組ばかりやっているのは、さっさと退場していただいた方がいい、そういう視聴者の声を反映したのかとここでは思ったんですが。
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○ | 生井代表取締役社長 余りずうっとそれが続くようだったら、そういう局面になるかもしれませんけれども、そういうふうにならないように、ご報告しましたけれども、我々は一生懸命努力しようと思っていますので、そこのところはご配慮いただきたいと思います。
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○ | 塩野座長 ありがとうございました。この微妙な言い回しがなかなかわかりにくくて、念を押してお伺いして申しわけありませんでした。きょうは、いろいろどうもありがとうございました。
続きまして、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ代表取締役社長の重村一様から、プラットフォーム事業者の立場からCSデジタル放送における課題と今後の取り組みについて、ご発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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○ | 重村スカイパーフェクト・コミュニケーションズ代表取締役社長 スカパーの重村でございます。
衛星放送協会の植村さん、それから、今、BSの生井さんの方から、CSにもまたがるようなお話が出ましたので、要点だけ、飛ばしぎみにお話ししていきたいと思います。ただ、地上波に長くいて、この世界に入った立場で、私自身、今までの放送行政に関しては言いたいことはたくさんある。植村さんも生井さんも非常に遠慮されてお話しなさっていたので、私は、失礼な言い方があるかと思いますけれども、ストレートにいろいろ言わせていただきたいと思います。
CSに関して言いますと、プラットフォームというのは非常にあいまいな立場でありまして、受委託制度の中でいうと、プラットフォームというのは、法制度の中に存在していないという立場なわけですね。しかし外から見ると、CSというと、スカパー、視聴者の立場からいえば、そういうふうに見られていると思います。
最初のページをちょっと見ていただきたいと思います。CSデジタル放送が企画会社からスタートして、ちょうど今月で10年目になるんですね。94年11月にDMCという企画会社ができてから10年たって、今現在はCSのプラットフォームは、WOWOWさんもプラットフォームを今度おやりになるとは聞いていますが、実質的にはスカパー1社になってしまったと言えると思います。合併、離合集散の歴史というようなことがいろいろ書かれるわけですけれども、現実は合併でもなくて、どっちかというと、幾つかあったプラットフォームが、とても事業性がなくて、清算して退場していった。スカパーの立場からいうと、視聴者保護のためにその方々を吸収したという形です。
例えばDirecTVが清算したときに、スカパーがかけた費用というのは約90億です。一方、DirecTVさん、ヒューズは、資本金プラス、マイグレーションに、やっぱり90億ぐらいかかっているわけです。そうすると、1つのプラットフォームが退場するということは、視聴者を保護するという形になりますと、あの当時、DirecTVの加入者は大体30万から40万ぐらいいらしたのですが百数十億のお金がかかったということになるわけですね。一件当たり6万ぐらいの金額がかかっているというふうにお考えいただければよいと思います。
植村さんの話にもありましたけれども、CS事業というのは、安かろう悪かろう。でシャビーな放送というふうに見られていたのは事実です。私自身、地上波から来て、これをまず打破しなきゃいけないというふうに思ったわけです。それで、いろんなことをいわれましたけれども、ワールドカップの権利を百数十億で買った。そうすることによって、デジタルの中の多チャンネル放送、専門放送の価値、あるいはペイテレビの価値があるんだということ。それはNHKと民放だけが放送だと思われている国民意識を変えるためには必要だったわけです。
我々としてはデジタル放送の先駆けという自負心は持っております。ただ、ここのところで整理しておいていただきたいのは、BSアナログとかCATVというのは、本来、難視聴対策でスタートしたはずだった。それに対して、CSのデジタル放送というのは、アナログの時代から専門性の高い有料チャンネル、ペイテレビという意識の中でスタートしているわけです。最初から我々は志が違うという認識を持っております。 それから、ビジネスモデルの観点からいっても、基本的には地上波とかBSというのは、収益源は広告なわけですね。したがって、広告主のためにサービスするという目的でできているんです。但し、NHKは、ある意味でいうと、我々と同じような立場もあるかとも思いますが、それは別にして有料でやっているというのは、視聴者からお金をいただくわけですから、視聴者に対してどういう形で還元していくかという立場になります。したがって、地上波、BSの立場と、我々CS事業者、ペイテレビの事業者は違うというふうに我々はまず認識しています。このところを、どうも伝送路で分けてしまう。国の行政も大体そういうふうになっているんですけれども、それが果たして今の時代に合っているのかという感じが私どもはします。
国民意識がどんどん多様化しているという状況の中で、収益源を一にしていますと、地上波とかBSの場合ビジネスとして成功させようとすれば、広告主が期待するような番組をつくるという形になるわけです。そうすると、広告主が期待しているのは何かといえば、やっぱり若いターゲットです。だから、今の民放を見ていると、若者ばかりの番組で、ちっともおもしろくない。ここにいらっしゃる皆さん、ほとんどがそう思っているんじゃないか。そういう意味でいうと、収益源を別にした事業というものをきちんと立ち上げていかないと、国民ニーズが多様化していく状況の中で、多様化したチャンネルというのは出していけないんじゃないかというふうに思っています。
当社の累損ピークというのは 1,290億です。余りこんなことは自慢できるわけではないんですが、これに、ここに参加している委託放送事業者さん、今、194社あります、チャンネル数で音声を入れれば
300チャンネルぐらいあるんですが、その方々が投資した金額、それから退場していったDirecTVとかプラットワンが投資した金額を入れると、莫大なお金がこのマーケットに投入されています。それでなおかつ、収入があって、累損がこうなんですから、数千億の金が民間のお金で出ているということを認識していただきたい。これは全部、民間の金でやっとマーケットができ上がったわけです。
ただ、現実問題としていいますと、先ほどの植村さんの話にあったように、今、8 %程度の世帯普及率というところで、DTHに関しては、はっきり申し上げて踊り場に来ているというのは事実です。今までの純増ペースというのは、
124、 128度に関していえば、多いときで月に2万とか3万。ワールドカップのころは5万、6万というふえ方もしましたけれども、現在は数千の単位まで下がっています、 一方で、
110度の方、先ほど、植村さんが 110度のスピードが遅いといわれましたが、ここへ来て、 110度は非常に伸びがよく出ているんです。今、表向きの数字というのは、本登録をした人間の数字を出しているわけですが、私どもは、今、30日間無料視聴という形をとっているんです。ここのペースは、毎月1万を大きく超えてきているわけです。これはどこから起きたかというと、オリンピックでもって3波共用機が普及する兆候が出てきたということと、それから、地デジです。ここへ来て大きいのは、東京地区が、9月22日から視聴可能世帯数がふえました。この段階から明らかにお客の反応は変わってきています。すなわち3波共用機が出てきた段階から、
110度というのは徐々に伸びてきているといえます。
ただ、問題点として、我々がこれから厳しいだろうと思っているのは、伝送路においては、やはり通信と放送の垣根がなくなる、ブロードバンドの世界あるいはケーブルのデジタル化という状況の中でいうと、DTHという形の中だけで物を考えることはできないわけで、競争相手は、はっきり申し上げて、デジタル化されるケーブルであり、あるいはブロードバンドである。だから、衛星においてスカパーというのは独占体じゃないかといわれるわけですけれども、実際、営業の第一線に出ている人間は、ケーブルに行きますか、DTHをとりますか、あるいはブロードバンドの世界の中でそれをしますか、こういうような光の話というような形の戦いになっているということだと思います。これは、お客様は伝送路を買うのではなくて、コンテンツを買うわけですから、そういう意味合いでいえば、仕分けの仕方というのは、伝送路で仕分ける時代は終わったのではないかというふうに思っています。
次の表は、スタートした97年ごろというのは、黄色い部分、橙から上側は、チャンネル数が多いということでスカパーに入りましたという方なんですね。したがって、最初のころは、民放が3局しかない地域にドーッと伸びたんです。ところが、最近の傾向は、7月の調査でいえば、見たいコンテンツがあることが85%になっているわけです。すなわち、今の既存の放送にもう満足しない、お金を払っても見たいコンテンツがあるものを見たい、というふうにお客様は動いているということになっていますから、本来の初期の目的の方向に動いているということはいえると思います。
さっき、盛んに韓流の話が出ていましたけれども、韓国ドラマというのは、火をつけたのは確かにNHKの「冬ソナ」かもしれませんが、一番最初にその傾向がうちに早く出てきた。当社には韓国のテレビ局の放送をそのままやっているチャンネルがありまして、韓国ドラマをやっていたわけですね。このチャンネルが異常に数字が伸びてきた。彼らは最初、そのチャンネルは在日韓国人を対象に放送していたわけです。ところが、どうも数字の入り方を見ていると、そのような人々だけではなく、韓国ドラマを日本人が見だしたということ。BS日テレが韓国ドラマをその後におやりになって、その後、NHKがBSでやって、地上波でやるという格好になってブームになったということですが、ここでなぜこういう数字を見せたかといいますと、当社の場合、ずっと苦しんでいたのは、若者と男性がスカパーに入ろうといっても、主婦は全く興味を示さなかったんですね。ところが、5月の調査を見ていただくとわかるのですが、今年に入ってからやたら女性の契約者が増えてきた。それを調べてみると、韓国ドラマを中高年の女性層が見るという形になって、スカパーに入ってくる。これも、コンテンツ次第で決まっていくということのあらわれだと思います。
ただ、我々が何に困っているかといいますと、先ほど申し上げたように、お客様から見ると、スカパーと契約したという意識なわけです。ところが、受・委託制度の中においては商品設定をできるのも、価格設定をできるのも、委託放送事業者あるいは役務事業者なわけです。プラットフォームは一切それに関知できないわけです。
視聴者ニーズを商品に反映していくという形で考えていったときに、例えばアナログ時代は1中継機に1放送局ですから、それはそれでよかったわけです。しかしデジタルのよさというのは何かというと、1トラポンの中に6チャンネルも8チャンネルも入っているわけですね。すなわち、専門的なチャンネルがたくさんあるということですから、地上波が総合編成で縦に、例えば教育何十%、ニュース何十%、スポーツ何十%という形で編成していたものを90度横に倒して、それを24時間やっているという形だというふうに考えればいいのだろうと思うんです。
そうしますと、お客様に対してパッケージでお売りすることによって、お客様は興味ある専門チャンネルを幾つかとるという形ができるのが一番いいわけです。そうすると、パックセットというのがそこの中では非常に問題になっていくわけですが、このパックセットそのものを商品設定することがプラットフォームにはできない。ところが、事業者は自分たちの利害を考えますからいろいろな意味でこちらが商品設定の提案をしても、放送事業者の方が合意しないというケースが多いわけです。
パックセット以外でも複数台視聴というのを我々は事業者さんにお願いしているんですね。すなわち、家の中に2台、3台あったら、2台目、3台目のセットボックスの料金に関しては、例えば50%オフにしてくれとか、70%オフにしてくれ。これはDirecTVでもBsky
Bでも当たり前にやっていることなんですが、これに反対する事業者が多いのです。収入減になる。そういうようなことに関して決める人間が存在しないような今の組織になっているということが、さっきの踊り場現象を呼んでいるということになる要因だと思います。
そういうようなことを整理してみますと、現在の制度は視聴者オリエンテッドな視点でパッケージやセットが組成できない構造になっている。それからもう一つは、バックやセットというのは、日本のベーシックというのはアメリカやヨーロッパのベーシックとは違って、マスト・バイではないので、ベーシックといえるかどうかわからないんですが、中心的なベーシックセットに入ってしまうと、そこに入った事業者は、ある意味で、自分のところが頑張らないでも、ほかのチャンネルが頑張ってくれれば、その分だけ数がふえていくんですね。みずからコンテンツを強化したときのインセンティブというのはほとんどないに近い。アメリカなんかの場合は逆で、DirecTVやBsky
Bの場合というのは、明らかに人気のないところに関してはアロケーションを下げていくというようなことができるわけですから、みんな、必至になってコンテンツを強化するんですけれども、それができないような形になっている。そのことが、適切な収入配分、アロケーションの仕組みができていないという形になっていく。
これとは全く逆の意味で我々が危惧しているのは、「悪貨は良貨を駆逐する」という現象がこの世界の中で起きるというのを一番警戒しています。どういうことかといいますと、例えば我々のチャンネルの中には、ニュースのチャンネルであるとか、あるいは海外放送であるとか、ドキュメンタリー、「ディスカバリー」であるとか、「ナショナル・ジオグラフィック」とか、良質なチャンネルがたくさんあります。あるいは、例えば「クラシカジャパン」という、さっきの植村さんがおやりになっていらっしゃるチャンネルがあるんですが、これは日本では唯一のクラシックを24時間やっているチャンネルです。年間4〜5億、赤字を出されていると思います。そういうような事業をきちんと残す。日本にはクラシック専門チャンネルなんて一つもないんですから。そういうようなことのためにパッケージとかセットというのはあるわけで、多チャンネルのよさというのはあるわけですけれども、それも仕切るところがないところに問題があるのではないかと思っています。すなわち、お客様の声をそのまま反映するような組織には、今、なっていないということがいえると思います。
その例として、次の図を見ていただきたいのですが、皆様方には釈迦に説法かもしれませんけれども、日本の制度を考えてみた時に、僕らはどう考えても非常に疑問に思うんですが、一番右側の一般放送事業者というのは放送法の中にあります。、地上波とBSアナログが一般放送事業者として放送法になっています。
ただ、アナログの時代に、衛星ができたというので、受・委託制度ができたということはわかるわけですが、こちら側から見ると、地上波から衛星の方に行ったときに、受託事業者と委託放送事業者は分かれているのですが、最近は電気通信役務利用法というのができて、確かにいろんな意味の参入障壁は緩和されたのですが、ケーブル側の有線の方から見ると、有線の方のケーブルテレビというのはもともと放送局ですから、さっき、いろいろご質問の中に出ていた番供さんとの間の力関係ということでいうと、チャンネルの編成権をケーブル局が持っているわけですね。
なおかつ、これが役務になってきて、受託に当たる部分のところをNTT等が回線を持っていて、役務事業者というのはケーブルテレビと同じ形なわけです。多分、同じスカパーがやっていても、形からいうと、今までの事業者は番供になるんですね。ところが、この同じ役務利用放送法でも、衛星になるとこの番供は役務放送事業者になる。したがって、この番供とこちら側の衛星側にいる役務放送事業者、委託放送者というのは、全く同じなんですよ。同じ事業者で同じことをやっていて、法律上、違う。
なおかつ、僕なんかが非常に疑問に思うのは、ケーブルは 100%外資オーケーです。有線系の役務事業者も外資 100%オーケーです。それで、衛星の役務も
100%オーケーですが、こちら側の委託放送事業者になると外資が20%の規制があるんですよ。それから、マス排のところも、例えば我々でいうと、CSは役務事業者の場合は8トラポンまでです。これが委託になると4トラポンになるんです。これも、同じことをやっていて、なぜ、こう違うのだろう。ここらの部分が、もう一回、根本的に整理し直す必要があるんじゃないですか。
なおかつ、もう一つ僕が申し上げたい部分で言うと、外資 100%でケーブルはオーケーですというなら、僕はそれでも結構なんですが、最初は難視聴対策で出てきたわけですよね。すなわち、地上波のユニバーサルサービスをやるためにある意味でケーブルが出てきた。ところが、そこの出口を外資
100%の会社に押さえられるという状況、それでもいいんですか、という感じを持っているわけです。そうなったときには、日本の地上波やBSが外資のケーブルさんを使ってユニバーサルサービスをやるという形になるわけです。やるなら、両方全部やってくださいという感じが我々の方としてはまずある、というのが疑問点としてございます。
それからもう一つ、一番大きい問題として、先ほどから出ている部分でいうと、コンテンツ、ソフトそのものに関してのシンジケーションマーケットというのをきちんとつくる、ということを一つの放送行政の中でやっぱりやっていかなきゃいけないのではないか。現実的には、これも非常にわかりづらいのは、ソフトの方は経済産業省の方が盛んに来る。で、こっちの放送関係になると総務省だという形になるわけですが、本質的な部分でいえば、ソフト分野のところを充実させないと、基本的には日本の放送というのは強くならない。
さっき、韓国の話が出ましたけれども、韓国は最初は伝送路で一生懸命ネットに対して、KTや何かに対して援助をやっていったんですね。そのころ、著作権はめちゃくちゃな部分があったんですが、次にやったのは、結局、ブロードバンドといったってコンテンツがないという話になって、積極的にコンテンツに対する国策的な援助をやっていった。それが、今、韓国ドラマや韓国映画が元気なわけであって、伝送路ばかり追いかけていてもしようがないわけで、お客のニーズのベースはソフトにあるというところに話を持っていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
そういう中で、我々の取り組みとしては、基本的にはプラットフォームとして、今、やらなければいけない問題として、委託事業者さんや役務放送事業者さんと一緒になって、ソフト制作にお金を出していこう。そのために、今は企画会社ですけれども、近々、事業会社化して、地上波の放送局だけに頼らないでも資金が出てくるという形のソフト制作の投資会社をつくって、それを例えばペイテレビに先に出していくという形もつくりますし、あるいは映画であれば、興行に出して、二次利用の部分の利益を我々の委託や役務放送事業者さんと分け合っていくというような形をつくっていきたいというふうに思っています。
ただ、先ほど、ちょっとお話がありましたが、これをやった場合に、植村さんがはっきりおっしゃらなかったんだけれども、一つの問題点としては、我々のプラットフォームに乗っかっていらっしゃる放送事業者はケーブルテレビにも出ているわけです。したがって、我々の立場からいうと、DTHのプラットフォームだけが大きな負担とリスクをしょうのではなくて、やっぱりソフト制作にケーブルさんもある程度リスクをしょっていただきたいという気持ちははっきりいってあります。そういうような部分が、さっきおっしゃった三位一体、あるいは実際は三位ではなくて四位なのかもしれませんけれども、そういうような問題で考えていかないといけないんじゃないかというふうに思っています。
それから、通信領域のところと放送領域の障壁がなくなってきたという状況の中で、すべてを包含していくというのは、これから光ファイバー、FTTHの世界なのだろう。放送通信の領域というのは、その意味でいうと、一本のラインの中に乗っかって出てくるのであろうということからすると、少なくとも伝送路の側の方が先に一本化されてしまうという状況の中で、どういう形で著作権や権利処理のところをきちんと整理していくか、ということを急いでやらないといけないんじゃないかというのが我々の考え方です。
今のところ、我々がオプティキャストという形でやっているのは、権利処理がある意味で非常に難しいという問題があるので、過渡的な形で放送とIPを波長多重で切り離して送るという形でやっていますが、多分、将来はIPでも送られるという構造になると思います。基本的には「フリー」と「ペイ」をベースとした放送政策という形が求められていくのだろうということですが、もう一つは、例えば、私どもでは携帯のauに2分40秒のドラマを週に2本ずつ、連続で流しています。それは五十何回、連続でやるわけですが、終了すると2時間の映画ができるんです、あるいはテレビドラマ、2時間ドラマができるんですね。形の上でいうと、まず最初は携帯のいわゆる第三世代で出して、その次にCSの世界に出して、ケーブルにも出してというような展開をいろいろ考えて、すなわち、多様なメディアをうまく使いながらコンテンツをいろんな形でリクープしていくという形だと思うんです。
はっきり申し上げて、今の料金であれば、一つのメディアでそれなりの作品の回収をすることは全く不可能です。要するに、auさんに出している2分40秒のドラマというのは、多分、携帯で回収できるお金というのは、制作費の
100分の1もないだろう。だけど、それが話題を呼んでくれれば、CSでも使える、あるいは地上波も買いに来るかもしれない、あるいはDVDにしたときに売れるかもしれない、そのときにとんとんになればいいという考え方で、我々としてはこれからソフト制作をする。そういう形の物のつくり方をしていかないと、これからはやっていけない。
最後に、もう一回お考えいただきたいなと思ったのはこの表です。私自身は、この中でいうと、Jsky Bに行って、マードック、それからソフトバンクの孫さんなんかもいたんですが、Bsky
Bの連中とか、フォックステレビとか、向こうの連中とさんざん話しました。はっきりいって、日本の受委託制度の中では彼らがやりたいようなやり方はできないということで、プラットフォームを一本化する以外ないとなって私自身が行って3カ月目ぐらいにパーフェクTVとの合併話に入った。すなわち、まだ放送がスタートする前から合併の話でした。今から考えると、もう一回、この3つの型が日本にあって、どの型が本当の意味でペイテレビのマーケットを広げていく意味でいいのか、ということを先生方や行政の方にもお考えいただいて、次の政策をお考えいただきたいというふうに思っています。以上です。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。
時間の関係がございまして、ここで質問を入れて、いろいろおもしろい質問があると、そのお答えだけでまた30分、1時間かかるかもしれませんので、ケーブルテレビの話が時々出てまいりましたので、日本ケーブルテレビ連盟企画委員会副委員長で、横浜ケーブルビジョン株式会社代表取締役社長である高橋伸隆様からまずお伺いをして、その後で最後の時間を設定したいと思います。
それでは、高橋様、お待たせいたしまして。どうぞ。
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○ | 高橋日本ケーブルテレビ連盟企画委員会副委員長 横浜ケーブルビジョンの高橋でございます。
まず1ページ目、ケーブルの歴史でございます。ここにも書いておりますように、皆さん方、十分ご承知のところでございます。ケーブルが始まりましたのが1955年、昭和30年ということで、来年50年を迎えるわけでございます。確かにスタートは再送信で事業を始めたということでございますが、これは地元の要請といいますか、地元のニーズによってスタートしていったということでございます。その後、新宿等でビル陰によっての障害対策ということで動き出してもおりますが、1987年には、都市型ということで、要するに、多チャンネル放送を始めておるということで、今の重村さんのお話にちょっと反論させていただきますと、スカパーが動き出す10年前には、もう多チャンネル放送を我々は始めていたということで、再送信ということを大分強調されましたが、その辺は誤解のないようにしていただきたいなというふうに思っております。
ケーブル業界の現状でございます。ケーブルテレビでごらんになっておられる方が、今、 2,468万世帯ということで、日本の全世帯の50.1%ということで、既に半分を超えておる。ただ、今、お話がありましたように、この中には再送信でごらんになっている方も数多くございます。それで、自主放送を行っておるというのは、要するに、我々、ケーブル事業者と通常呼んでおりますが、これが接続世帯数で
1,654万ということでございます。これは普及率にしますと33.6%ということで、既に3分の1の方が自主放送を行っておりますケーブル事業者から配信されておるということでございます。
ただ問題は、その次にありますが、有料チャンネルをごらんになっておられる方が約 512万ということでございます。ということは、そういう意味では、全世帯から見ますと、多チャンネルをごらんになっている方はまだまだ少ない。それから、先ほどから植村さんの方からもお話がありましたように、あるいは、今、スカパーの重村さんからもお話がありましたように、スカパーを入れても、多チャンネルをごらんになっていらっしゃる方は17〜18%しかないということは、まさにまだまだ80%以上の方々が再送信といいますか、地上波だけを見ておるということですから、パイとしてはそちらの方がはるかに大きいのかなということで、我々とすれば、お互いに智恵を出し合いながら、その残りの80数%の方々に多チャンネルを見ていただくような方策を考えていくのが必要かなというふうに私は思っております。その下のケーブルテレビ連盟の概要は、ここに書いてあるとおりでございますので、省略させていただきます。
続きまして、ケーブル事業者の収支状況でございます。これは昨年度の実績でございまして、収益といたしますと 4,800億ということで、おかげさまで伸びは順調だといえるかなと思います。経常利益でございますが、経常だけでも
250億の利益が出ておるということですが、逆を言いますと、今、ちょっと前にございましたように、ケーブル事業者がオペレーターだけで 360数社ございますが、それが長短はございますが、50年かかってやっとここまで来たのかなというふうに思っております。設備投資にしましても、13年度、14年度の実績でいきますと、
1,000億以上の設備投資をしておるわけですが、これがまたデジタル化によりまして、今後、どういうふうな伸びをしていくかというのは定かではございません。いずれにしましても、デジタル化対応することによって、我々ケーブル事業者の負担というものもこれからまた大きくなるのかなというふうに思っております。
これは、実は、昨年3月に、地上デジタル放送がスタートするときに、ケーブル業界としてどういう推移で行くかということでロードマップをつくったわけです。左下、昨年の
200万のところに点線が入っておりますが、昨年3月、地上デジタルがスタートする前につくったときには、こういう予測で、 200万前後からスタートするかな。それで、地上デジタルが終了いたします2011年7月までには
2,300万世帯まで持っていこうというロードマップをつくったわけですが、スタート時点で既に 700万世帯以上になりました関係で、この7月に修正いたしまして赤い線に直しております。ただ、それ以降、ワールドカップがございます2006年以降は、当初の計画をそのまま推移しておるということでございます。
次に、細かい数字がいっぱい出ておりますが、ケーブルテレビ業界におけるデジタル化対応ということです。我々のデジタル化というのは、BSデジタル放送が開始しました2000年ごろから、これを契機にいたしまして本格的に動き出しております。その前に、CSデジタル等も一部局によっては対応しておりますが、2000年のBSデジタルから全体的に各局が動き出した。それで、CSデジタルにも対応していこう。そして、昨年12月の地上デジタル放送によりまして、各局が一斉に本格的なサービスということで、これは要するに、BS、CS、そして地上波を含めての対応を始めた、サービスを開始したというところが多数ございます。
数字的には、BSデジタル放送の受信者数、これは総務省の発表でございますが、 651万世帯に対しまして、ケーブルの受信者が
257万ということで、直接受信 394万と比較いたしますと、4対6ということで、ケーブルの方が全体の4割ぐらいを占めているのかなというふうに思っております。
地上デジタル放送の状況でございますが、これはことしの6月に連盟の方で調べた結果でございます。再送信を行っている局が 109局ございます。これは、東名阪を中心にして、それぞれのケーブル事業者がやっておるということで、その視聴可能世帯数が
868万世帯ということで、6月の実績でございます。9月の推定でございますが、 979万世帯ぐらいになるだろうということですが、多分、もう少しこれをオーバーしているのかなというふうに思っております。
では、実際に地上波をどのぐらいの方が見ていられるかということですが、B−CASカードの発行枚数が、今、89万
6,000枚。これは、下にございますが、ケーブル事業者の中でB−CASカードを専門に扱うということで、有限責任中間法人の日本ケーブルキャスセンターというものを設立いたしまして、ここが一元管理しておるわけですが、ここの9月の実績で89万枚が出ておるということでございます。ただ、この中には、当然、東名阪以外のBSデジタル放送だけを見ておられるお客様もありますので、東名阪ではどうだろうということで調べましたが、83万枚ぐらいは東名阪の視聴者ということでございますが、ほぼこの数字に近い数字が地上波もごらんになっているかなということは推定できます。
そのほか、110度CS放送の再送信の方もやっておりますし、今、申しました地上デジタル放送の再送信。それから、今後の課題といたしましては、自主放送のデジタル化。これは、コミュニティーチャンネル等を含めましてデジタル化を今後進めていくということが一つの課題になっております。
最後に、デジタル化への対応です。これは各局がやることでございますが、伝送路の広域化というものが一つは必要になってきます。それから、共同ヘッドエンドなどの広域連携ということで、デジタル化対応になりますと、ヘッドエンドそのものが非常に高額になりますし、我々ケーブル事業者というのは、先ほど申しました三百数十局ございまして、五百数十万の多チャンネルをごらんになっている方を割りますと、1局当たりになりますと非常に数が少なくなるわけで、そういう意味で、非常に弱小の局が多いわけです。そういう中で、今後のデジタル化対応のためには、どうしてもヘッドエンド等も広域化していかなければならないのかなというふうに思っております。
あるいはHITSの登場によりまして、HITSの利用ということも必要になっていくであろうということ。それから、セットトップボックスそのものの標準化をこれから進めていかなければいけないのかな、というのも一つの課題になっております。それから、B−CASカードの一元化でございますが、中間法人の方でこれは一元管理をしておるということでございます。ただ問題は、もう一つ、C−CASカードというのがございまして、このC−CASカードにつきましてはベンダーさんが3社ございまして、これの統一というのも大きな課題として残っています。
そして、デジタル化を迎えましてメディアそのものも非常に多くなり、あるいは、先ほどのお話もありましたように、2002年1月から電気通信役務利用放送法というのができまして、今までのような有線テレビジョン放送法に基づく事業者以外の方、要するに、今まではケーブルを持たなければいけない、ヘッドエンドを持たなければいけないという事業者が、今度は自前で伝送路を持たなくてもいい、あるいはヘッドエンドを持たなくてもいいというような事業者の方が役務法によって進出してくるということで、だんだん競争が激しくなっていくというのは目に見えておるわけでございます。そういう中で、我々ケーブル事業者といたしまして、どう対応していったらいいかということを、連盟を中心にしていろいろ対応を考えてきた。その一つが、大都会における競争の中でどう対応していくかという分析をしたものでございます。
次、ケーブルといいましても大都市と地方によって大分違うだろうということで、地域を大きく2つに分けて分析をしたものでございます。地方は地方でのいろいろ悩みもございますので、これを今後、どういうふうに対応していくかということで、我々ケーブル事業者同士での対応策を考えたということでございます。
その結果、次のところにございますが、一局一局が非常に小さい弱小の局がほとんどでございますので、それをお互いに連携してネットワークをつくっていこうじゃないかというのが、このホロニック型オールケーブルネットワーク構築の一つの考え方でございます。ホロニックというのは、ホロンを一つの分子として県ごとにまとまり、それが各ブロックごとにまとまり、そして全国でまとまっていこうという考え方ですが、我々の業界というのは各地域によって性質が違いますし、それぞれの親会社が非常に多岐にわたっております。地元の鉄道会社だったり、新聞社だったり、あるいはもっと地方に行きますと、プロパンガスの方がケーブルの事業をやったり、あるいは商社の方はもちろん入っておりますし、メーカーも入っておりますが、いろいろな業種の方がおりますので、こういうホロニック型ということが、一つの考え方としては我々連盟としても非常に合うかなというふうに考えております。
それで、意外と我々の方も、お互いの局が小さい、あるいは隣同士になっているということもございまして、隣同士での接続率も非常に大きくなっておりまして、連盟といたしましては、もう既に63%を超えているというようなことから、これを全国ネットしていくのもそんなに難しいことではないだろうということで、これから連盟といたしましてもネットワークをつくっていくことに少し努力していきたいと思っております。
具体的にネットワークを作って何をするのかということですが、広域化によりまして、映像の配信あるいは通信を行うのと同時に、それ以外の連携によってのプラスビジネスといいますか、新規ビジネスも新しく我々として生み出せるのではないかということでの努力をしていこうということで、デジタル化に向けての一つの大きな我々としての努力目標になっております。
最後になりますが、業界としてまとめてみますと、先ほどから申しておりますように、放送メディアとして、通信メディアとして、それからもう一つは地域情報メディアという意味では、地域コミュニティーあるいは地域情報というものの担い手に今なっておるわけで、この大きく3つのメディアとしての役割、それが大きくいえばライフラインになるのかなというふうに思います。そういう意味では、ケーブル一本で世界を結んでいけるような我々の役割があるかなということで、e−Japan
計画からu−Japan 構想への一つのインフラに我々がなれればいいなということで――なれればいいというよりも、なることを目標に、今、作業を進めておるわけです。
それから、ケーブルの一番の特徴というのは、やはり地域密着型事業ということもございます。先ほど言いましたように、小さな事業者が非常に多いわけですが、逆を返しますと、非常にお客様との間の距離が短いわけでございます。そういう意味では、ここにあります、テレビに関する地域のよろず相談窓口になっておる。
卑近な例でございますが、昨年の12月に地上デジタル放送が始まるということで、NHKが11月ごろからデジタル化になりますよといったときに、我々各局のケーブル会社のカスタマーセンターに一斉に電話が入りまして、その多くの方は我々のケーブルのお客様ではなくて、アンテナでごらんになっているお客様等も、デジタル化によってうちのテレビは見られなくなるのかというような質問が大分ありました。それに対しまして我々は、将来のお客様ということもありまして、懇切丁寧にといってはちょっとオーバーですが、ご説明をしたということで、そういう意味では、テレビに関して、あるいはインターネットも含めまして、通信に関してもそうですが、地元のよろず相談所になれるな、というか、なっているなという自負がございます。そういう意味では、顔の見える日常活動ということで、フェース・トゥ・フェースという意味で、お客様をまず大事にした営業活動といいますか、事業展開が必要かなというふうに思っております。
次に、ワンストップサービスの充実ということですが、これから電子自治体等になりますと、そういうネットワークに我々が行政サービスの提供ということでお役に立てれば、あるいはセキュリティーサービスということでは、少子高齢化社会あるいは人口減社会の到来に対しまして、我々のインフラがご利用いただければいいかなというふうに思っております。あるいは防災情報サービスということですが、これも例えば阪神大震災のときに意外とケーブルは丈夫で切れなかったというような事例もございまして、そのときに被害状況等も含めまして、地元での情報提供が地域の方に歓迎されたとか、あるいは先日の新潟の長岡三条の水害のときも、地元のケーブル事業者がいち早く情報を提供したというようなこともございまして、まさにそういう意味では地域の方に対するワンストップサービスの充実を図っていく意味では重要かなというふうに思っております。
最後になりますが、広域ネットワークサービスということで、先ほど申しましたケーブル事業者間の全国ネットの構築を進めることによって、多岐にわたるサービスをしていくということで、まさにホロニック型オールケーブルネットワークを構築することによって、地域の方あるいは視聴者の方に対してのサービスを今後も続けていきたいというふうに思っております。
現状につきまして、概略ご説明させていただきました。問題点とか、いろいろそういうこともございますが、それにつきましては、今回、特に触れてございませんで、状況だけをご説明させていただいたということでございます。以上でございます。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。
CSの方のご説明が問題提起型で、こちらの方は現状のご説明ということで、それぞれ特色のあるご報告で、質問とか意見の交換をしたい構成員の方々も大変おありだろうと思いますけれども、数を制限して恐縮でございますが、CSに関してご質問があれば、まず承りたいと思います。どなたでも結構でございます。どうぞ。
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○ |
羽鳥座長代理 法律を変えないとできないような話というのが、例えば先ほどのマスコミの集中排除原則とか、あるいは放送法にかかわるようなものであるとか、その中に3ページのところで
110度のCSデータ放送がございまして、これは前の塩野さんの放送政策研究会の中で、NHKとしては 110度のCSデータ放送に参入する意欲をお持ちであったけれども、これは法律を変えないとできないことであるということで、
110度のCSデータ放送への参入というのは果たせなかったというか、そういう経緯がありまして、現時点でNHKがこういうところに入ってくる意向をどれぐらいまだ強く持っていらっしゃるのか、わからないところがありますけれども、NHKが入ってくると、多分、15万という数ではなくて、もっとたくさんの加入者を
110度CSは獲得することができたのではないかというふうに思いますけれども、その辺、現時点でどういうふうに……。当時は、そういうところにNHKが出てくるのはやめてくれ、というのが新聞協会とか民放の方々の強いご意見だったように思いますが、いかがでしょうか。
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○ |
重村代表取締役社長 私の立場で言いますと、NHKが入ることに関しては、我々は何の異論もないです。110度の一番大きい問題というのは、BSアナログが予想以上に普及しているということなんですよ。というのはどういうことかといいますと、3波共用機になって、皆さん、買い換えが進めば受信機はCS110度まで見られるんですね。ところが、アナログのアンテナや家庭内ブースターは12.5ギガのところでフィルターがかかっているんです。だから、受信機はCSが見られるけれども、アンテナはCS110度の全チャンネルが映らないのが現状なんです。
電器屋さんとかお客さんはどうするかというと、ともかくアンテナはせっかくアナログでついているわけですからBSは見られる。だから、アンテナまで変えなくていいということになってしまうのです。それで、我々としては相当過大な投資が必要になってくるわけですけれども、アンテナを変えようとキャンペーンを行っています。すなわち、アナログアンテナをデジタルアンテナに。ここの部分が、110度CSの最初の立ち上がりを悪くした原因だと考えます。ただ一つだけいいことは、地上波デジタルになるとUHFアンテナに変えなきゃいけないという問題が出てきます。それで、地デジの部分が出てきたことによって、CSの
110度も伸びましたよというのは、電器屋さんが屋根の上に上がる、ベランダに行く、そのときにUHFアンテナとディッシュを両方一緒に交換できるという条件が出てきた。110度が伸びるか伸びないかというのは番組内容もありますがアンテナが今は大きな問題だと思います。
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○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。
質問を制限して申しわけありませんが、CATVの方で何かご質問があれば承りたいと思いますけれども、どなたかございますでしょうか。
CATVの地域密着型というのは、最初から私もこういった議論に参加させていただいた、もう何十年ぐらい前からこんな話は聞いたんですが、現実問題として、自主番組で地域のお役に立つような、あるいは地域住民のサービスにオリエントしたような番組というのは、最近、つくられる傾向にあるんですか、それともだんだんそういうものからは撤退する方向にあるのでしょうか。
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○ | 高橋副委員長 基本的には地域にさらに密着していく必要があるのかなというふうには思っておりますが。で、先ほどもちょっとお話ししました各市町村の自治体のデータといいますか、情報とか、それから、これは私どもの会社の情報ですが、例えば最近、おれおれ詐欺だとか、いろいろ犯罪が多くなっている。そうしますと、警察の方に直接出ていただいて注意を喚起するとか、あるいは横浜ですと、横浜のいろいろな美術館だとか、あるいはにぎわい座だとかという施設がございますので、そういうところの催しのご案内をするという意味では、今まで以上に密着性を高めていくということだろうと思います。
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○ | 塩野座長 そうですか。いや、地域の政治あるいはいろんな社会問題とマスメディアとがあまり密着してもらうと困るなという、両方の問題があるものですから、ワンストップサービスもやり出すと、だんだんCATVが行政機関の一つになってしまうと、また別の問題が起こるかなというふうに思いましたので、ちょっとご質問申し上げた次第です。どうもありがとうございました。
それでは、まだまだお伺いしたいことがたくさんございますけれども、時間も随分たちましたので、今日、お聞きする時間的余裕がなかったCS及びCATVについては、また別の機会に、あるいは構成員の方から質問が参るかとも思いますけれども、そのときはどうかよろしくお答えいただきたいと思います。お二方、どうもありがとうございました。
(3)閉会
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○ | 塩野座長 それでは、会の方はこれで終わりたいと思いますが、何か事務局の方からお伝えいただけますか。
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○ | 安藤放送政策課長 それでは、次回の会合でございますけれども、既にご案内させていただいているとおり、11月4日、木曜日、午後6時から総務省のこの8階第一特別会議室で開催を予定しております。時間の確保をお願いできればと存じます。次回でございますけれども、社団法人日本新聞協会、それからコンテンツ関係者などからのヒアリングをお願いできればと存じております。
事務局からは、以上でございます。
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○ | 塩野座長 どうも遅くまでありがとうございました。きょうはこれで終わります。
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