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「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」
第6回会合 議事要旨


1    日時
 平成16年11月16日(火) 9時30分〜12時15分

 場所
 総務省第1特別会議室(中央合同庁舎2号館8階)

 出席者
(1 )調査研究会構成員(敬称略、五十音順)
伊東晋、隈部紀生、小塚荘一郎、塩野宏、篠原俊行、野村敦子、羽鳥光俊、
山下東子(8名)
(2 )ヒアリング対象者
岐阜市まちづくり市民グループ [祭]GIFU百人衆:和田代表
社会福祉法人 プロップ・ステーション:竹中理事長
主婦連合会:河村副常任委員
三鷹市教育センター:大島所長
札幌市:秋元情報化推進部長
北九州市:安藤産業振興部長
株式会社 ビデオリサーチ:山本常務取締役 ほか
(3 )総務省側
堀江情報通信政策局長、福岡情報通信政策局総務課長、安藤放送政策課長、
南地上放送課長、今林衛星放送課長、江村地域放送課長、
小笠原放送政策課企画官、今泉放送政策課課長補佐

 議事
(1) 開会
(2) 議題
  視聴者・利用者の動向等
(3) 閉会

 議事の概要
(本文中の記号の意味は、以下のとおり。
   ●…構成員の発言 ○…ヒアリング対象者の発言)

視聴者・利用者の動向等
(1) 岐阜市まちづくり市民グループ [祭]GIFU百人衆からの発表
  岐阜市まちづくり市民グループ[祭]GIFU百人衆和田代表より、地上デジタル放送の実証実験に「ぎふ三十六景」というコンテンツを提供した経験等を踏まえたデジタル化の進展と地域まちづくり及び地上デジタル放送への要望等について説明が行われた。

(2) 社会福祉法人プロップ・ステーションからの発表
  社会福祉法人プロップ・ステーション竹中理事長より、障害を持つ方の社会参画の手段の一つとしての地上デジタル放送に対する期待及び要望等について説明が行われた。

(3) 主婦連合会からの発表
  主婦連合会河村副常任委員より、消費者の立場から放送のデジタル化に関する疑問及び要望等について説明が行われた。

(4) (1)(2)(3)に関する質疑応答
  主な内容は以下のとおり。

パソコンと放送との切り分けをどのように考えているか。今のパソコンの便利さが放送にも移る方がよいのか。パソコンが放送化するのが良いと考えているのか。
パソコンがテレビに近づく部分もあれば、テレビがパソコンに近づく部分もあると思われる。誰もが自ら発信者になり得、しかもその窓口が家庭のテレビになってくるという意味で、大きな期待感を持っている障害の有無にかかわらず、助け合いがお互いにできるというのが、双方向のすばらしさであり、ITの最大のポイントではないかと思っている。日本が国策として導入するのであれば、今まで働くことが無理だと言われていたような方々がコンテンツを作る側に回れ、仕事につけるというように地上デジタル放送を持っていきたいと考えている。
双方向機能の部分はパソコンが担うものと考えている。双方向と言っても、テレビが与えてくれる双方向はお仕着せの双方向しかできないのではないか。パソコンが要らなくなるのか、パソコンもテレビも必要でどちらも双方向機能を持ったものになるのかといったことがはっきりとはしない。

デジタル放送の特徴として一番大きいのは電波の有効利用。画質がいい、音質がいいというのが二点目。三番目に、データチャンネルを使った情報発信。デジタル放送のデータチャンネルはインターネットのポータルサービスという役割に似ていて、本来一方向の放送にインターネット等の通信機能を付け加えており、これを双方向と言っているが、放送と通信の機能がお互いに補完している関係にある。
双方向の可能性を、市場の問題も含めて考えなければならないのではないか。
ケーブルテレビは地域密着型を売りにしているが、それとの関係は現在どうなっているのか、あるいは今後どうなっていくのか。
デジタル放送の場合は、双方向性があって選択肢があるのが大きい。地上波デジタルによって岐阜に放送局ができたので、身近な情報がケーブルテレビ以上に流れてくるようになり、文字情報として取り出せる。また、地上波デジタルではある程度自分で好きなときに情報が取り出せる、という違いは大きい。

実際にデジタルテレビを活用するということになると、どうやって使いやすいものにしていくかを考えていく必要があるが、メーカーやテレビ局と一緒に具体的に実験を進めていこうという話があるのか。
我々は発足以来、IT業界とネットワークを組んでやってきた。これからも、地上デジタルの時代に突入するというときに、今までの我々の経験や知見を生かせる場があれば、積極的に参画したい。我々の意見を求めるメーカーがあれば、一緒に開発に向かっていきたい。

(5) 三鷹市教育センターからの発表
  三鷹市教育センター大島所長より、教育ユーザーの立場から、ITの教育利用の現況及びサーバ型デジタル放送への期待と課題について説明が行われた。

(6) 札幌市からの発表
  札幌市秋元情報化推進部長より、札幌市における地上デジタル放送活用の方向性について、防災端末の利用を中心に説明が行われた。

(7) 北九州市からの発表
  北九州市安藤産業振興部長より、地上デジタル放送の地域検討会の概要と活動を基に、地上デジタル放送の今後の活用法等やそれに対する課題について説明が行われた。

(8) (5)(6)(7)に関する質疑応答
  主な内容は以下のとおり。

北九州市では何故これほど医者が前に出てきているのか。
以前から地域ごとに医師会、自治会、婦人会等地域のグループの方がまちづくり推進協議会のような、地域ならではの組織を作っていた。そのような地域ネットワークのベースがあって、医療の関係の方々からデジタル放送を地域で何か活用できないだろうかという話が上がっている。
医師会は、従来、放送よりはインターネット、通信の方のフィールドで熱心に考えていたと思うが、北九州市でもそのような基礎があって、デジタル放送というアイディアが出てきたのか。
我々の地域検討会の中でも、通信とどう違うのかというような意見が当然医師会の中からもあった。デジタル化の持っている機能を咀嚼する中で、上手く活用できるのではなかろうかという合意が得られるまでに半年くらい議論を重ねた。
何が何でもデジタル化というのではなく、使えるいいツールが現れたので、もう少し開発してみようという話か。
そのとおり。

授業で使うコンテンツとしては、教育テレビの内容が思い浮かぶが、それ以外にどういうものが存在し、あるいは将来的に想定しているか。
流れてくる放送と授業とがマッチングしないため、一時より学校の中でNHK番組の教育利用は多くなく、民間が作っている教科書に合わせたようなビデオを購入している現状の方が多い。他のコンテンツも民間の方が進んでおり、例えば、予備校の遠隔地への一斉授業配信や実験を高精細で見るといった利用がこれから進んでくる可能性が非常に高い。

デジタル化したときの自治体と放送局との関係については、経費や編集の自由といった点が制度的にはかなり問題になると思うが、それらについて議論は進んでいるのか。ネックになる点などはあるのか。
自治体と放送局との関係については、議論の端緒に入った段階であり、その整理がこれからの課題。現状の仕組みの中でも防災という視点についてはある程度情報提供と放送という部分の整理がついている。他の情報提供との関係は、これからの課題。
放送局の話を聞くと、時間的に限られている中で、デジタル電波を流すためにどうするかということが第一命題。放送局と自治体の関係まで直接的には話に入っていない。

放送局もコンテンツ制作の主体に関わっていくのか。それとも医師会や行政の方で作り放送局に持っていくという形を考えているのか。
制作の過程で放送局のアドバイスはあるかもしれないが、我々の方でコンテンツを作って放送局に持ち込む関係を想定している。

(9) 株式会社ビデオリサーチからの発表及び質疑応答
  株式会社ビデオリサーチ山本常務取締役及び小黒メディアリサーチ事業局長代理より、現状の視聴率測定や視聴データから見た視聴変化及びデジタル化がもたらす視聴変化や将来の視聴率測定について説明が行われた。
  続いて、当該発表に関する質疑応答が行われた。主な内容は次のとおり。

TiVoのReplayTVについて、チューナーは1台なのか。また、ハードディスクに録画された番組をDVDやビデオテープにコピーできるというのは、コピーワンスなのか。
チューナーは1つだけ。それから、アメリカの場合はまだアナログ中心であり、VTRがかなり普及していることから、利便性を考え、いくらでもアナログ型のビデオテープに落とせる仕組みになっている。

電車などの移動中の実態について、本、雑誌、CDという順位でメディア関係の接触行動があるが、今後は活字から映像という流れになるのではないか。その流れの中で、テレビを携帯端末等で見るというのは、現物を利用するようになれば、もっと上位にいくのではないか。
確かに携帯電話のテレビはこれからだと思うが、実際に小型テレビは市場に出ているし、視聴者側はイメージしやすかったのではないか。我々の解釈としては、満員電車の中で見られるコンテンツは、ライブのものを見るパターンと、メモリースティックに入れたものを見る2つのパターンがあるのではないかと見ている。電車の中ではゆっくり休みたいというグループと、携帯でゲームやメールをやっているグループがあるが、そことのトレードオフと見ていくのがいいのではないか。電車、車の中など色々なシーンを設定してデータを集計することによって、市場をもう少し深く見ることができる。

タイムシフトの視聴を将来視聴率のデータに入れていくということだが、時間をどのくらいあとまで含めて考えているか。また、TiVoでCMスキップがマニュアルでできるということから、広告主に提出する視聴率調査との関係をどう考えているか。
タイムシフトの視聴については、これからの議論。イギリスでは、ライブの視聴率と1週間内再生を入れた統合された視聴率が運用されている。データを使うみなさんとの協議の上でルール化をしていきたい。CMに関しては、スキップされるシーンもあるが、繰り返し見るシーンもある。飛ばされるシーンというのは、何度も見ているか自分と関係のない商品の場合に起きる可能性があると見ている。

    
  次回会合は、平成16年12月7日(火)9時30分から。


以上


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