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「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」
第13回会合 議事要旨


  1. 日時
    平成17年10月7日(金) 10時00分〜11時30分

  2. 場所
    総務省第1特別会議室(中央合同庁舎2号館8階)

  3. 出席者
    (1)  調査研究会構成員(敬称略、五十音順)
    伊東晋、隈部紀生、小塚荘一郎、塩野宏、篠原俊行、野村敦子、長谷部恭男、
    羽鳥光俊、濱田純一、村井純、山下東子(11名)
    (2)  総務省側
    清水政策統括官、河野大臣官房審議官、福岡情報通信政策局総務課長、
    南放送政策課長、大久保放送技術課長、安藤地上放送課長、今林衛星放送課長、
    岡崎地域放送課長、長塩放送政策課企画官

  4.  議事
    (1) 開会
    (2) 議題
    1) 今後の取り運び(案)について
    2) マスメディア集中排除原則をめぐる最近の動向について
    (3) 閉会

  5.  議事の概要
    (本文中の記号の意味は、以下のとおり。
       ●…構成員の発言、○……総務省側の発言)

    (1) 今後の取り運び(案)について
     事務局から今後の研究会の取り運び方につき、資料に沿って説明がなされた。続いて、当該説明について質疑応答がなされた後、次の点等について、資料のとおり承認された。
    • 今後は親会を中心としたような形での議論を行うこと
    • 通信・放送融合への対応及び放送に係る経営環境の変化への対応等を当面の重点検討課題とすること
    • 持株会社に関する商法の分野の専門の委員を構成員として追加すること
    • 12月末に一部の課題についての提言を行い、平成18年6月の最終的な報告の取りまとめに向けて議論を進めること
    質疑応答の主な内容は次のとおり。

    事業者の要望を踏まえた上で、事業者の発展及び視聴者の利益を追求した議論ができればよいのではないか。
    技術の変化や国際的非常に活発な動きがあるという背景を前提として、制度面の議論ができればよいのではないか。
    情報通信審議会及びこちらの研究会で、情報のキャッチボールができればよいのではないか。

    放送・通信融合の話のところで、有料放送制度の在り方という問題提起がなされているが、理屈で考えると、やはりコンテンツを消費者が入手するというそこの一対一の関係というのが基本であり、いわゆる有料放送制度というのが理念形としては基本なのではないか。

    ワーキンググループの専門委員には、その専門の知識、経験を生かすべく、適宜、ご意見を賜るということはあろうかと思われるが、ワーキンググループの会合自体はしばらく休止をするという方向。

    (2) マスメディア集中排除原則をめぐる最近の動向について
     事務局より、マスメディア集中排除原則をめぐる、地上放送、衛星放送及び諸外国における最近の動向について、資料に沿って説明がなされた。
     続いて、当該説明につき、質疑応答が行われた。主な内容は次のとおり。

    アメリカの2003年のFCCの規制緩和について、地上テレビジョン放送事業者間の方に関しては、FCCが決めた45%という基準の施行が停止されたが、その後、アメリカの議会が別に法律を作り、大統領も署名したので、この39%というのは既に施行されているところ。
     新聞と放送の兼営については、最終的に判決が出ており、未施行というよりは、FCCが書き直しをするということを義務づけられているところ。

    マスメディア集中排除原則につき、多様性を保持するという大原則は守るべきだと思うが、時代の要請や環境の変化に応じて変えていく必要があるのではないか。そして、地域の情報発信力の強化と中央依存の脱却、及び新しい技術やアイデアを生かした市場をどうやって発展させていくかという、2つの視点が大事なのではないか。

    こういう原則の立法事実が今の状況に本当に適合しているのかというようなこともきちんと考え直さなければいけないのではないか。事業者の方にも、違反していたから直しますというだけで終わるのではなくて、経営基盤をと緩和で強くしてもらった方がよりよい放送ができる、といった積極的なスタンスをヒアリング等で見せていただければ、研究会としてはいろいろ参考になるのではないか。

    会社というものに対する見方の変化の一つで、支配ということと契約で縛るということとどれほど違うのかがかなり議論になっている。そういう目でこの放送の問題をみると、一方では出資とか、まして兼営ということを非常に厳しくいってきており、他方で、ネットワークの契約の方は、基本的に自主的な対応に任せてきたところであるが、そこにそれほど差をつける合理性というか、理論的な基盤があるのかということは、もう一度きちんと考えておく必要があるのではないか。
    日本の放送行政の場合には、できるだけ表現の自由の中身に入らないようにといった点等から、放送事業者の自主性と介入する場合の形式性を中心にやってきていたのではないか。

    メディア所有規制が全体として緩和される傾向にあるということであるが、緩和される傾向というのは、マスメディアのメディアが増えたということだけが理由なのか。また、放送は、手さぐりで何とか規制緩和をずうっとやっていく、そういう時代の中にいるのか。さらに、イギリスなどでは、いわゆる上下分離みたいなものが進んでいるというふうに聞いているが、メディア所有規制を緩和するというときには、どの部分を緩和するのか。
    今の段階では、特に地上デジタルのネットワーク整備を進める上においては、ハードとソフトが一致して、それが一つの力の源泉となる形が最も望ましいのではないかというふうに考えているところ。イギリスにおいてはいろいろ歴史的な経緯もあって、そのような形になっているのではないかと思っているが、いずれにしても、諸外国の仕組みについては、もう少し目的的に調査をさせていただき、議論の参考にしていただければと思っている。

    政策評価については、細かなことをやり過ぎると大変な作業になるが、簡単なものでもあれば議論がやりやすいのではないか。
    制度の改正により、経営の自由度あるいはオプションは増えているのではないか。また、制度を変えて、短期的にすぐに使われるものと、もう少し時間がかかるものとがあるのではないか。
    現実にこれからのご議論をいただくとき、具体的な変化だとかそういうところはなるべく事業者からも情報をいただきながら提供していきたい。

    多様性、地域性を実現するためのベストパフォーマンスを求めようとすれば、所有規制だけでどこまでできるのかという議論が恐らくあって、ほかのいろんな手段も動員すべきだろうという議論をここでやる必要が、場合によっては出てくる。他方では、メディア所有規制というのは、あくまで多様性を確保するための、あるいは多様性が損なわれないためのミニマムを確保する、その手段を探る、というスタンスの考え方もあり得る。この研究会ではどちらを追求することになるのか。
    いろいろなアプローチの仕方があるので、今後、どちらの線で議論をしていくか、あるいは2つの両にらみでいくかという問題をここで議論していきたい。また、多様化という言葉の使い方についても注意して議論を進めていきたい。

    諸外国における所有規制につき、BSとの関係について何の記述もないとすると、なぜそうなのかということと、そのような場合に実態としてはどうなのかを調査する必要があるのではないか。

    (3) 今後の予定について
     事務局より、ヒアリングの準備、調整を行う旨、及び海外調査につき一部の構成員に協力を依頼したい旨が説明された。


    以上



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