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| （１） | 調査研究会構成員（敬称略、五十音順） 隈部紀生、小塚荘一郎、塩野宏、篠原俊行、武井一浩、新美育文、野村敦子、長谷部恭男、 濱田純一、舟田正之、村井純、山下東子（ |
| （２） | 総務省側 清水政策統括官、河野審議官、福岡総務課長、大久保放送技術課長（大内企画官代理出席）、 安藤地上放送課長、今林衛星放送課長、岡﨑地域放送課長、南放送政策課長、 長塩放送政策課企画官、山本衛星放送課調査官 |
| （１）開会 | |
| ○ | 塩野座長 それでは、「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」第1６回会合を開催いたします。 本日は、伊東さん、羽鳥さんが欠席というふうに伺っております。そのほかの方、お見え予定の方は、後ほどおいでいただけると思います。 今回は、長谷部さん、小塚さんから、それぞれ先月中旬に実施していただきましたマスメディア集中排除原則に関する海外調査の結果についてご報告をいただきます。そのあとで、マスメディア集中排除原則についての議論を進めてまいりたいというふうに思っております。 早速議事に移りますが、事務局より配付資料の確認をお願いいたしましょう。 |
| ○ | 長塩放送政策課企画官 配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料、クリップをお外しいただきまして、一番上に座席表がございます。その下、議事次第がございます。その後、資料番号、右肩の方でいきますと、資料 以上でございます。 |
| ○ | 塩野座長 よろしゅうございますか。 |
（２）議題 1)海外調査報告について（小塚構成員・長谷部構成員） | |
| ○ | 塩野座長 それでは、先ほど申しましたように、長谷部、小塚両構成員に、ヨーロッパ及び米国調査についての報告をそれぞれ20分ぐらいずつということでお願いをしておりますが、多少延びても構いません。20分ずつ先にご報告をいただいて、その後であわせて質疑という形で進めたいと思います。 それから、今日は、同行いたしました岡井係長、長谷川補佐にそれぞれ前の方に座っていただいておりますので、何か込み入った話になったら、岡井さんと長谷川さんに細かな報告をお願いする、そういうことになっているそうでございますので、よろしくお願いします。 では、まず長谷部さんから報告をお願いいたしましょう。 |
| ○ | 長谷部構成員 どうもありがとうございます。 海外調査の概要につきましては、資料 まず、それぞれの集中排除、所有・支配規制に関する基本的な考え方です。これは資料 ただ、いずれにしても、情報源の多元性あるいは世論に対する影響力の多元性ということになりますが、これは例えばドイツやフランスでは憲法判例等を通じて憲法原則となっている考え方でありますが、この考え方からいたしますと、実は、放送事業者の表現の自由というのは、いわば手段としての意味を持っているにすぎない。むしろ、情報源の多元性の確保を通じた視聴者ないし社会全体の利益の実現、これはとりわけ重要なのは民主主義的な政治過程の維持ということでございますが、それが優先するという考え方が語られていたのが特徴的でございました。 そして、２番目のポイントですが、近年において、いずれの国におきましても集中排除規制を緩和しているという傾向がございますが、この背景は何かということでございます。これも概括的に申しますと、１つは、インターネットを含めました多メディア化の結果、先ほど申しましたところの社会的影響力ですね。具体的には視聴率でこれを測るというのが、少なくともフランス、そしてドイツでは制度化されているわけです。社会的影響力がさほど大きいとはいえないメディアが現れているということが背景にあります。 典型的なのは、例えばイギリスやフランスにおける通信衛星を使った放送がそうだということになります。ただ、その際、大きな影響力を持っている公共放送が存在をしているということが、実は、私的部門における集中を緩和してもさほど大きな問題が起こらないという、背景として幾つかの国では指摘をされていたところでございました。こういった背景がありますために、実は、集中排除規制緩和の程度も、それぞれのメディアの社会的影響力に応じてめりはりの違いが出てきているということがございます。 例えばイギリスの場合、資料の もう一つ、付加的ですが、イギリスでは、外資規制が民間放送について撤廃をされているんですが、その外資規制撤廃の背景といたしましては、実は、各局ごとに事細かな番組内容規制があるということ。そしてまた、誰が所有・支配をしようと、番組のフォーマットというのはそう簡単には変わらない。伝統的に各チャンネルはそれぞれこういうタイプの番組を大体やるものだ、というのがイギリスの場合は決まっておりますので、それは誰が支配者、所有者になろうと、要するに、中身はそんなに変わるものではないだろう、ということが複数の関係者から語られていたのが印象的でございました。 他方、ドイツにおきましては、近年、視聴率に基づく規制が州間協定を通じて導入をされていたのですが、ドイツの その結果、視聴率基準として、例えば25％であるとか30％といった閾値を設けているわけですが、この数字も、実は、これなら現状をカバーできる、そこにありますとおり、現状が22から25である、少し余裕を持たせようと思えば30％だろう、そういう現状をカバーして、しかし、それとさほど乖離はしていない数字だということで導入されたというわけで、何か厳密な学問的検証を経て、この方がよりよい集中排除措置だという理由がきちんとあって枠組みを変えたわけではないんだ、ということをこの ただ、そうは申しましても、視聴率に基づいて規制をしよう、あるいはどこがどれだけ視聴率をとっているかということを認識しようとすれば、結局は資本関係を含めた所有・支配関係というのは認識せざるを得ないはずでありますので、恐らくは資本関係に関する正確な情報を収集する手続や努力は、やはり依然として必要になるはずのものであろうかと思われます。 それからもう一つ、次の柱になりますが、これは塩野座長から衛星について特に勉強してこいというご指示を受けているわけですが、この３カ国の中で衛星に関してスペシフィックな規制を行っているのは、フランスであります。資料 ただ、フランスでは、現在、所有・支配規制についての根本的な見直しが進んでいるところでございまして、これは資料 それから、フランスというのはいろいろ制度的に特徴的なところがありまして、例えばプラットフォーム事業者、衛星に限らず地上デジタルも含めて、あるいは 他方で、イギリスには、ご存じのとおり、衛星独自の規制はありません。先ほど申しましたが、希少性はない、しかも、衛星全体としても、地上波に比べてさしたる視聴率を占めているわけではない、というのがその背景であるということでありました。制度の話になりますが、イギリスでは衛星を通じた放送を行うためには、テレビジョン・ライセンサブル・コンテント・サービスという特殊な免許を取る必要があります。実は、これはケーブルにも共通のものでありまして、つまり、例えば地上波のテレビ局、チャンネル３、 他方で、ドイツは、少なくとも民間放送に関する限りですが、衛星、ケーブル、地上波の比重というのが相当ほかの国と違っております。ドイツの制度と申しますか、事業の枠組みというのは、事業者としてテレビ放送の免許をいずれかの州で得た後に、そのうち伝送路については、衛星、ケーブル、地上波、それぞれの伝送事業者、これもそれぞれ、いってみれば独占的な事業者ということになりますが、この事業者と交渉して番組を配信してもらう、そういう手順になります。SatEinsという私どもが訪問した民間放送の事業者の場合ですが、地上波を使っている割合は５％であるというふうに言っておりました。衛星を使った方が効率的だということもあるだろうと思います。 そういう形をとるのですが、衛星の場合は、少なくとも膨大な量のトランスポンダ、枠が現にありますので、免許がありさえすればすぐに受け入れてくれるんですが、他方、ケーブルにつきましては、それほどの多チャンネルのケーブルというのは普及しておりませんので、逆に、ケーブルの方が交渉は難しくなるのだということをお話しくださいました。これは、日本の委託放送事業と異なりまして、特定の波が使えるんだ、特定のトランスポンダを使えるんだということについて、公のお墨付きが特にあるわけではない。そういう点で特徴的なように見えますが、ただ、この点につきましてはフランスやイギリスでも恐らく同じ話なのだろうと思います。 とりあえず、以上のようなところでお話は終えさせていただきまして、後ほど、ご質問等がございましたら、お答えできればと思います。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 それでは、引き続いて小塚さんの方からお話を伺って、まとめてご質問を伺うということにいたしましょうか。 それでは、どうぞ、小塚さん。 |
| ○ | 小塚構成員 私は米国調査ということで行ってまいりました。長谷部先生のように深いことはとても申し上げられないのですが、聞いてきたことをお話ししたいと思います。 調査の詳細は、先ほどと同じように、資料 その結果をまとめましたものが資料 まず第１に、出発点として、1996年の電気通信法というものが現在の制度の基礎をつくっているということであります。と申しますのは、96年の電気通信法というのは競争ということを重視した法律である。裏からいいますと、規制緩和ということが法律によって立法者の意思として明示されているということが、その特徴であります。 その結果としてどういうことになっているかと申しますと、資料 次に、第２ですが、それでは、直近の見直しの結果、どういう現状になったかということです。その2002年の見直しが2003年の規則というものに結実しました。これは、競争の重視と規制の緩和という基調を、ある意味で非常にドラスチックに推し進めた、そういう規則であったというふうに伺いました。当時の ところが、そのようにして採択されました2003年の規則というものが、実は、その後、裁判所で争われまして、市民団体等が原告になって差止訴訟が提起され、そして、その大部分が実は差し止められてしまったということです。このことは、資料 それから、ここは規制の内容ごとになっていますので、３ページの方にも同じ、その他（違憲判決の影響）というところがあります。いずれにしましても、ドラスチックに規制を緩和した部分については差し止められてしまった。差止めの理由は、規則の策定に当たって したがって、判決の直接の内容は、その立法事実に即した規則につくりかえよということだったのですが、時間が経過するうちに先ほどの定期的な見直しというものが参りますので、どうも次の2006年の見直しのときにあわせて考え直そうということのようです。そうしますと、この2003年の規則というのは、つくりましたけれども、事実上、一度も施行される機会がない――例外となる規定が若干はありますが、一度も施行される機会がないまま、次の改正を迎える。こういうことになっているようです。 次に、３つ目のポイントですけれども、2003年規則は、いろいろなところで規制を緩和しておりますが、そのうちの１つが、資料 そして、それによって各地域の視聴可能世帯というものをカウントしまして、同一の事業者が全国の視聴可能世帯の35％を超えてはならないというのが従来の規制でした。これを45％というふうに引き上げるというのが2003年の規則であったわけです。これが差し止められたので、そうしますと、もとの規則の35というのが適用になるわけですが、ここについてだけは、この間に議会で法改正がなされまして、上限を39％とするということが法律上に明記されました。 こうなりますと、一つは上限が若干引き上げられたことになるとともに、他方で、これは この39％という数字がどうして出てきたかというのは、若干ヨーロッパと似たような事情がありまして、その当時、最も問題になっていたのは、ネットワーク事業者の中でも 次に、やや大きな問題。この資料には、文章にしにくいので、書いていないところも含めて申し上げますが、やや大きな考え方の問題として、放送の公共性あるいは地域性、多元性、多様性ということは、もちろん、重要なことであるということは当然なのですが、それとビジネスとしての放送事業の競争ということとは矛盾するものではないというふうに、ベースの理解としてそういう考え方があるように思います。 要するに、放送というのは公共的なものであるから、いわば競争原理に抗しても何かをしなければいけないというような、こういうシンプルなロジックではなくて、良質な、国民のためになる、視聴者のためになるメディアであれば、競争という面でも支持を得られるはずである。したがって、営業成績としても事業者が破綻するということはないはずである。どうもこういう認識がベースにあるようです。 逆にいいますと、破綻するような事業者というのは、放送の公共性という使命を果たしていないのではないか、こういうことなのですが、他方で、この これは、ある意味で党派を超えてあるようでして、民主党的な立場でいいますと、地域主義、グラスルーツというものを強く守らなければいけないということであったようですし、他方で、共和党的な、保守的な側からしますと、現在、番組内容の品位というようなことが問題になっておりまして、商業主義に任せておくと、品位の欠ける番組が出てくるということで、非常に批判があった。そういう意味では、両側から批判をされて、４大ネットワーク等は必ずしも大きくなればなるほどいいということにはなっていない、というのがどうも現状の背景にある考え方ということのようです。 それから、先ほど来、保有、保有ということを申し上げているのですが、この保有ということの意味は、出資で申しますと、５％以上の出資というのが基本です。このことは、資料の全国所有規制の関係では１の(2)の中の支配の基準というところに書いてありますが、法律上の用語は、認識可能権益、コグナイザブル・インタレストということでして、それの一番メーンの基準は出資の５％以上です。 しかし、それだけではありませんで、例えばそこにも書いてありますように、役員の兼任というようなことによっても、この認識可能権益ありということは肯定されますし、場合によっては、契約関係等についても、一定の条件を満たすとこれに当たる場合があるということで、かなり柔軟な考え方がとられております。 これは、間に何重にも親子会社関係とか持株会社などか関与する場合には、基本的には掛け算をしていくということでして、10％の出資をした先の会社がさらに10％の出資をして放送事業者を持っているということですと、0.1×0.1で、その１％ということになります。そのあたりのテクニカルな計算方法はいろいろあるようでございまして、50％超の場合は100と数えるとか、いろいろあるようです。 これは、全国所有規制だけのことではありませんで、その資料の４ページ目、４の主要株主変動に係る手続というところにもかかわっている話です。ここの持株会社に係る手続というところに間接出資規制という言葉が出てまいりますが、これも今申し上げたのと同じことです。 それから、その次ですが、これも非常にアメリカ的だなと私は思ったのですけれども、規制がないと我々が考えるような分野、例えば衛星放送、衛星放送については２ページ目に書いてございますが、これもアメリカの関係者の認識は、規制がないわけではない。一般的な規定による規制がないだけでございまして、パブリック・インタレストという、いわば一般条項を用いたケース・バイ・ケースの判断をするのである。まさに、このDirecTVとEchostarの経営統合といいますか、EchostarによるDirecTVの取得が差し止められたという件は、このパブリック・インタレストという条項を基準にして行われたということです。 結局、当局の方が端的におっしゃっていましたが、ルールをつくって明示するというのは、関係事業者がたくさんあるので、予見可能性を確保する必要があるということである。事業者が２社とか３社しかなければ、それはケース・バイ・ケースの判断で十分なのだ、こういう非常なプラグマチズムに基づいているわけでして、したがいまして、私どもが条文だけを調べて、規制がないからといって、ここは規制なし、自由放任であるというふうにとってはいけないというのが、どうもアメリカのことを考えるときの教訓のようです。 規制について申し上げることは以上ですが、若干背景的なこと、ビジネス的な側面と申しますか、そういう方面にも関心がありましたので、少し伺ってまいりまして、３点ほど、そういう側面を補足させていただきたいと思います。 まず第１に、アメリカのメディア産業はとにかく強い、特にネットワーク会社は強い、というのが私の素人的な印象だったわけですけれども、それはどういうビジネス戦略なのであろうかということでございます。 資料の２ページの下の方のネットワークの現状というところにございますが、ネットワーク事業者は基本的にはコンテンツの供給者というふうにみずからを位置づけています。確かに日本のキー局のような存在と違いまして、 そうしますと、あとは、その持っているコンテンツをどういう流通経路で消費者に届けるか、こういう発想になりまして、それはローカル局を保有する。先ほど申し上げたような意味で保有する。５％超の出資をして保有するということもあれば、ネットワーク契約を通じて、いわゆるアフィリエートと呼ばれる契約しているローカル局を通じて流すこともあれば、あるいは例えばNewsCorpのようにDirecTVという衛星放送事業者を傘下におさめて、それを通じて流す場合もあるということでした。 次に、ローカル局はどうなのかということ。今度は、同じ２ページの真ん中辺に書いていただいておりますが、このあたりが日本とややニュアンスが違うものを私は感じたのですが、ローカルのコンテンツというのは、商業的にも非常に重要である。とりわけローカルニュース、一般のいわゆる政治ニュース等のほかに、気象情報とか道路情報のようなものもあるわけですが、ローカルニュースというのは、視聴者からも非常に要望の高いコンテンツである。そういう意味では、そこで商業的に成り立つという認識があるようです。 それから、ネットワーク契約の詳細なども伺ってきましたし、広告収入をどう分けているかというような話は、ネットワークの現状という、このページの下の方に書いていただいておりますが、いずれを見ましても、我が国のネットワーク契約と比べますと、ローカル局の持っている権利あるいは自由度等々がはるかに高いのではないか。そういう背景がありまして、ちょっとこだわるようで恐縮ですが、先ほど、競争、営業面と公共性ということとが必ずしも対立するものととらえられていないということの背景は、一つはこういうあたりにもあるのではないかというふうに感じております。 そうはいいましても、ローカル局というのは放っておいてもうかるというような状況ではない。仮に従来はそうであったとしても、これからはそうではない、というのはアメリカでも共通の認識でして、一方にはインターネットのような新たなメディアとの競争があり、他方ではデジタル化の投資がある。このあたりはわが国と同じ状況があります。 そこで、どうなっているかということが３ページ目の地域所有規制の(1)複数支配という中で、地上波テレビの規制とかクロスメディアのことがいろいろ書いてありますが、現場で起こっていることは、番組編成の独立性自体は各局が維持したままで、例えば経営の部門ですね、マーケティングとか、あるいは会社の経営、そういうところは、統合というと語弊があるかもしれません、提携といった方がいいのかもしれませんが、ライバル局同士がいわば契約関係を結んで、そして、共通に、例えばマーケティングをやっていくというようなことが現実に起こっているということですし、クロスメディアの規制について、規制緩和要望等が事業者側から出ているというのも、そうした背景があるということです。 ですから、ちょっと注意しなければいけませんのは、全国所有規制のところで、大商業資本がローカル局を保有していくということが問題になっているのは、ある意味で、英語でいいますとビッグマーケット、非常にもうかるといいますか、大きな市場の話なのですね、同じ地域市場の中でも。それに対して、こういうローカルの規制緩和ということを事業者が要望しているのは、むしろスモールマーケット、つまり、なかなか将来の見通しが立ちにくいところでどう生き残っていくか、そういう話。それが同時に進行しているというあたりに、ちょっと注意しないといけないのではないかというふうに感じた次第です。 差し当たり、私の方からは以上です。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 今日、お話のある以外にも、いろいろ情報は得ておられると思います。ただ、海外に行かなくても結構知っている方もここの委員の中におられますので、委員の方はそういう情報を背景にして、自分の情報がお調べになった情報と整合性があるかどうか、あるいはすき間が、こういうところはどうなっているのでしょうか、というようなことでのご質問も結構でございます。それから、もっと一般的なお話でのご質問も結構でございます。 そこで、ヨーロッパ系とアメリカ系でお話を承ったわけですが、大体多くの調査はそうなんですけれども、やっぱりヨーロッパ系とアメリカ系とはいろんな意味で違うところがあると思います。そこで、まず最初の私の質問は、お二方の方で、それぞれお聞きになって、ヨーロッパ系とアメリカ系でここが一番違うとか、そんな感じがいただければよろしいんです。よろしいという意味は、これから我々がこれを考えていくときに、外国法制をどういうふうに見ていくかという点があって、それぞれの国にそれぞれの特色がありますけれども、あまり細かいことをいっても困りますので、まず大ざっぱにいって、ヨーロッパと、あるいはヨーロッパといってもヨーロッパ大陸とイギリスはかなり違うかもしれませんけれども、それぞれご報告をお伺いになって、やっぱりアメリカとヨーロッパは違うなという印象をお持ちならば、それでもいいし、それではどこが違うかという印象をお話しいただければと思います。 そこで、まず長谷部さん、あなたはアメリカも詳しいけれども・・・・・・。要するに、私が一番言いたいのは、外国人は外国のことを聞くと、「あれはおかしい」とまず感じるんですね。フランス人がドイツに行って調査して、あるいは日本に来て、そして日本の話を聞くと、「あれはおかしい」とまず感じる。ドイツ人もそうなんですけれども。そういう意味で、ヨーロッパを調査された方からすると、アメリカはどこがおかしいとか、違うとか、そういう印象がどこかあれば・・・・・・。同じだということであれば、もちろん、それでも結構ですけれども、どうぞ。 |
| ○ | 長谷部構成員 大変難しいご質問で困りましたが、アメリカとヨーロッパの一番の特徴は、やはり例えば 今、小塚先生からご指摘のあったとおり、近年ではというか、やはり80年代の終わりごろから、マーケットに任せておけば、という考え方がアメリカではかなり強まってはいるんですが、ただ、それもやはり前提があるわけでして、これはレッドライオン判決でホワイト裁判官が言っていることですけれども、要するに、一番大事なのは視聴者の利益である。その視聴者の利益を実現するために、一体どういう方策が必要なのかというと、これはアメリカも変わらないですね。これはヨーロッパとアメリカが共通しているところだろうと思います。 その視聴者の利益を実現するための物の考え方というのが、小塚さんのお話からあらわれますように、現在のアメリカですと、要するに、視聴率をたくさんとれるところがそれだけ視聴者の効用を満足させているのであるから、それを自由に競争させて、視聴率競争をさせれば、それは結局、公益の実現になっているんだ。そういう考え方になっているのだろうと思います。それは恐らくヨーロッパの人たちは「それはおかしい」というふうに言うだろうと思いますが。 |
| ○ | 塩野座長 どこがおかしいというんですか。 |
| ○ | 長谷部構成員 視聴率競争をして、視聴率の最大化というのは、結局、現在、それぞれの視聴者が持っているところの所与の効用を前提にして、それが動かないという前提ですね。それは動かないという前提で、それをどうやって満足させるかという話になるわけです。 他方、ヨーロッパの考え方というのは、消費者としての個人というよりは、市民としての個人というのをまずは考えるはずであります。だから、公共放送も必要だという話になるわけですし。市民としての個人というのは、自分が既に持っている効用を満足させてくださいというのではなくて、むしろ、社会の問題、政治の問題を考えるときに、私が知らないことがあるはずである、自分が考えを持っているんだけれども、考えが足りないところがあるはずであって、それを考え直すような、そういう情報をください、というのが市民としての欲求です。それを満足させるような情報源が多元化していないといけない。そういう議論の仕組みになっているのだろうと思います。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。別にそれは長谷部さんの意見ではなくて、ドイツ人はこう考えるだろう、そういうお話だと思いますが、小塚さんの方から何か、アメリカ人から見るとドイツ人はおかしいという点があれば・・・・・・。 |
| ○ | 小塚構成員 まさに、今、長谷部さんがおっしゃったことを、結局、裏側からアメリカ人は見るのだと思うのですね。つまり、消費者としてであれ、市民としてであれ、国民の満足になるような制度でなければいけないという、そこは前提として、結局、国民の満足というものを制度設計者が決めてしまっていいのか、そこが、多分、アメリカ人の側からは一番疑問になるのではないかと思うのですね。 恐らくそういうことを突き詰めていくと、例えばそれが、アメリカは非常に多くのコンテンツを持っていますけれども、コンテンツが乏しいので、保護主義的になって「国民の満足」ということを言うのではないか、とかいうような物の見方にアメリカ人からはなっていくのではないかと思います。 あと、これはまさに外国人である私の、いわば評論家的な言い方かもしれませんが、結局、マーケットの大きさが全く違うのですね。面積的にはともかく、マーケットとしては |
| ○ | 塩野座長 ありがとうございました。 それぞれ事務局の方も気になっていると思いますが、今までのやりとりを含めて、特に印象に残ったことがあったら、一言ずつ、これは日本人の目から見たことでいいですから。では、まず岡井さん、それから後で長谷川さんの方、お願いしますね。一言ずつ、どうぞ。 |
| ○ | 岡井放送政策課政策係長 欧州の方と米と違いですけれども・・・・・・ |
| ○ | 塩野座長 違いというか、要するに、今度の調査の印象でいいですからね。 |
| ○ | 岡井係長 感じたことは、先ほど、長谷部先生がおっしゃっていただいたことですが、ちょっと補足といたしまして、どちらもこういった放送関係の法規のほかに一般法の競争法の枠組みの方を意識している。特にヨーロッパの方ですけれども、実際にそういった競争法の中でこのようなマスメディア集中排除原則、それから企業間の合併といったものを考えていった上で、しかも、その発生過程、それから検討の過程において、実際にこういった放送関係行政の機関が審査あるいは検討の過程に加わっているというような状況がございました。それが印象に残った点でございます。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 では、どうぞ、長谷川さん。何かありましたら、どうぞ。 |
| ○ | 長谷川放送政策課課長補佐 小塚先生のところでも出たんですが、日本ですと、ローカル局がローカルコンテンツを流していくというのがビジネス的にどうかという話があるんですが、アメリカ人はまさにローカルニュースを流さないでどうするんだ。一番印象に残ったのは、ワシントン |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。最初、大変大ざっぱな質問を申しましたけれども、どうぞ細かな質問等々、あるいは両者の報告を聞いた上でのご感想でも結構でございます。どなたでも結構でございます、どうぞ。 どうぞ、山下さん。 |
| ○ | 山下構成員 たくさん伺って理解ができていないんですが、クロスメディアの新聞について、アメリカのところであまり私が理解できなかったのかという気がするんですが、それと、ついでにといいますか、通信事業者ですね、そういったところとの間の所有というんでしょうか、そういうことについてどんな現状になっているのかとか、あるいはどういう考えがあるのか、ということを教えていただければと思います。 |
| ○ | 塩野座長 もし即答できない場合には、調査の上でも結構ですから。どうぞ、アメリカの方ですね。 |
| ○ | 小塚構成員 アメリカに存在するクロスメディア規制の内容は、３ページ目の真ん中に書いてあるとおりです。要するに、地域規制の側面で、そこに書かれているような条件で、テレビとラジオ、あるいは新聞とテレビ、ラジオとのクロスメディアの所有が禁じられている、こういうことです。 あるいは、先ほど、私がちょっと余計なことを申し上げた方をご質問いただいたのかもしれませんが、結局、新聞社というのも、新聞記者を初めとして多数のスタッフを擁して、ニュースを集めて経営をしていかなければいけないわけでして、それはローカル局も同じでして、いかにローカルニュースがよく見られるコンテンツであるといえども、他方でやはりそれだけの取材力を擁して、また営業部隊を擁してというのは、相当コストのかかることです。 そうしますと、いろいろ経営環境が変化する中では、少しでもそのコストを節減したい。そうすると、例えばマーケティング部隊は共同にしていきたいというようなニーズが出てくるわけでして、そうすると、クロスの保有も緩和してほしいというような要望が事業者側からは出てくる。こういうことをちょっと申し上げたわけです。 それから、通信の方は、私が理解している限りでは、現在、非常に議会で問題になっているというようなことを聞きましたけれども。長谷川さん、そういうような話でしたね。 |
| ○ | 長谷川補佐 はい。 |
| ○ | 小塚構成員 要するに、もとの |
| ○ | 山下構成員 ありがとうございました。 |
| ○ | 塩野座長 どうぞ、どなたでも結構ですけれども。 |
| ○ | 舟田構成員 どれでいってもいいですけれども、資料 |
| ○ | 小塚構成員 これは、私どもも質問したのですけれども、まさに「あちこちであるから」というような答えでして、証券規制とか、税制とか、いろいろなところで５％というのを一つの目安にしているからという、何か相場感のようなものということでございました。 |
| ○ | 舟田構成員 そうしますと、例えば４大ネットワークの系列のもとになる会社がローカルの幾つかを持つ、５％超持つということになると、それは支配になるわけですね。それも、現状ですと、39％の視聴率の計算に算入されるということですね。 |
| ○ | 小塚構成員 まさに舟田さんがおっしゃったようなことですので、実際、ネットワーク会社の方に行きますと、保有するのであれば100％。つまり、５％以上でカウントされるとなりますと、ある意味で、中途半端な保有は意味がないということになりまして、保有するのであれば100％という意識が事業者側は非常に強いようです。それは、まさに舟田さんがおっしゃったような背景があるということです。 むしろ問題になっていますのは、純粋投資の投資銀行とかそういうところがわずかずつ、数％ずつ持っていても、正直に計算すると、これに引っかかる場合があり得るのではないか。これは、外資規制のときに問題になりましたけれども、要するに、真の株主というのがわからないので実態がわからないのですが、実は違反になっている場合があるのではないか。一部法律家はそういう認識を持っているようです。 |
| ○ | 村井構成員 さっき、小塚さんが最後に余計なことといっておっしゃったところがちょっと気になって、ご質問するんですけれども、つまり、ビジネスモデルがいろいろ違うので、主体が、要は、登場人物のコンポーネントがあって、それで、それが例えば番組をつくります。そうしたら、どのチャンネルで流すかということで、ローカル局をいわば支配したり買収して、それで展開をしていくとか、そういうようなビジネスの展開をご説明いただいたかと思うんですね。 つまり、登場人物の区切りというのが、だれが何の役割を果たしているかというのがあって、例えばハリウッドの映画なんかでも、そういうエージェントが間に入り、それから物をつくる人がいて、それで、それといろいろな映画会社があり、それとの関係をどうセグメントとして分離していくか。つまり、構成要員のモデル、これが契約関係なんかでできて、その結果として、相互関係が支配関係であるとか、そういった定義になって、それが規制に結びついてくる、こういうことだと思うんですね。 そうすると、私の質問は、こうやって調べていただいたヨーロッパ、それからアメリカ、それと日本も含めて、つまり、その前提となる構成のコンポーネントのモデル、それからそれのお互いの関係、こういうことは、こういう議論をするときには同一の議論をできるのか、あるいはそれを前提として我々は理解しておいてから、支配であるとか所有ということを考えるべきなのか、これはどういうふうに考えればいいのでしょうか。 |
| ○ | 小塚構成員 私の調査にかかわりのある限りでお答えをしますけれども、まさにおっしゃったようなコンポーネントの組合せが非常に入り乱れている、俗っぽい言い方をすれば、ごちゃごちゃになっているというのが、ある種、アメリカの特徴ではないかと思うのですね。そのあたりが、多分、長谷部さんが行っていただいたヨーロッパと大分違うのではないかというのが私の推測です。 例えば、今、ハリウッドとおっしゃいましたけれども、コンテンツの大もとをつくるスタジオなどでも、 出口の方も同じことでして、衛星放送の１社はネットワーク会社の１社が、事実上、大きな影響力を行使している、しかし、他方はそういう関係ではないというようなことなわけですし、そのローカル局にしても、ネットワーク会社が保有しているというところもあれば、有力な新聞社が保有している、で、有力な新聞社が保有していて、そのネットワークとアフィリエートの契約を結んでいる、これは日本でいうネットワーク契約ですが、さらに申しますと、ネットワーク会社が持っていながら、別のネットワーク、４大ネットワークとしてはちょっと問題があるようでございまして、準ネットワークというんですか、 |
| ○ | 塩野座長 その辺はおもしろいですね。日本の場合だと、どこかのキー局が全部ローカルと一体に動きますなんていう話は時々聞きますけれども、もっと入り乱れている。日本でも、具体的に見ていくと、系列に必ずしもとらわれていないローカル局もあるようですけれども、基本的には縦系列で動いているというのと、アメリカではかなり違うところがある、そういうことですかね。 ビジネスモデルや何かについては、５％条項も含めて、武井さん、何かありますか。 |
| ○ | 武井構成員 一点、競争法との役割分担という点なのですが、マスメディア集中排除規制を競争法でも見ているということなのでしょうか。 |
| ○ | 塩野座長 それは、岡井さんの責任で答えてください。 |
| ○ | 岡井係長 例えばフランスなどですと、先ほどのランスロー委員会という、見直し作業を進めているという話がありましたけれども、そちらに関しましても、実は、競争法の一般的な枠組みの見直しを進めている。その中でこういったメディア集中あるいは企業同士の合併の話を扱っているような話でございます。 そして、実際にこれもフランスの事例なんですけれども、競争法の枠組みの関連で、メディア企業同士の合併があるような場合につきましては、まず一たん、一般的なそういった競争法の関係の部署で扱った上で、先ほど申し上げた中にありました |
| ○ | 武井構成員 あくまで一般的枠組みとしてという感じなのですね。 |
| ○ | 岡井係長 はい、一般的なので、こういった放送関係の分野に限らず、それ以外のものも、当然、そちらの方で扱うことになります。 |
| ○ | 新美構成員 今の関係ですけれども、全くこれは放送ではなく、通信の場面で、 |
| ○ | 塩野座長 ありがとうございます。 長谷部さん、今の点、何かつけ加えることはありますか。 |
| ○ | 長谷部構成員 フランスについては、今、岡井係長からお話があったとおりでありまして、 それから、イギリスの場合、ご存じのとおり、この2003年の通信法で公益性テストというのがありまして、マージャー・レギュレーション、マージャーといっても、日本語の合併よりも広い概念で、とにかく日本でいうところの集中排除にかかわるようなものは、みんなマージャーと一般的にいっているわけですが、このマージャーについて公益性の観点から問題になるというときには、主務大臣、これは、現在では貿易産業大臣ですが、貿易産業大臣がそのマージャーについての案件を最終的にはコンペティション・コミッティの方にリファーできる、そういう仕組みができております。その際の公益性の観点の中にメディア集中の問題というのも入るんだ、ということが2003年の法改正で入りまして、そのメディア集中の観点から、公益性上、問題がないかどうかという点については、 ですから、一般競争法上の審査の枠組みの中で、メディアに関する限りは、メディアの規制官庁なり審査庁なりが意見を言えるという仕組みになっているというところが、いろいろな国で見られるという、そういう仕組みなんです。 |
| ○ | 塩野座長 舟田さん。 |
| ○ | 舟田構成員 まず、私の理解では、日本のマスメディア集中排除原則というのは、塩野さんがお書きになっていますが、ジャーナリズム上の競争というんですか、それであって、経済的な競争ではない。大体そういう理解で来ているのではないかと思いますけれども、アメリカははっきり、今、小塚さんがおっしゃったように、競争原理が入った集中排除原則。見ていますと、確かに競争促進というのがしょっちゅう判決なんかにも出てきますから、明らかに日本のマスメディア集中排除原則とアメリカの原則とは違うと思いますね。 で、ヨーロッパを私はよく知りませんけれども、多分、日本と違うんじゃないかなと。つまり、競争法と、目的は違うという意味ではですね。そういう感じがしますけれども、それが一つ。もう一つは、ヨーロッパの場合には、国をまたがる場合には |
| ○ | 新美構成員 ちょっと質問、よろしいでしょうか、１点だけ。 |
| ○ | 塩野座長 ええ、どうぞ。 |
| ○ | 新美構成員 アメリカでは視聴率についてはニールセンを根拠に算出するといいますが、ドイツも視聴率については言及されているんですが、これはどうやって視聴率を確定するのでしょうか。資料 |
| ○ | 長谷部構成員 ドイツでいうと、２ページ目のところに視聴率等の算出方法というのが載っております。この枠の中で出ております |
| ○ | 新美構成員 これは純粋に民間団体なのか、あるいは公的存在なのか。 |
| ○ | 長谷部構成員 これは株式会社であるということですね。現在、ヨーロッパでも、公と私とちょっとよくわからなくなっているので。 |
| ○ | 新美構成員 いや、多分そうだと思います。たてつけがどうなっているか、ちょっと・・・・・・。 |
| ○ | 長谷部構成員 半官半民みたいなものではないかと推測していますが。 |
| ○ | 小塚構成員 今の関連で、アメリカ側の制度の補足説明をさせていただきたいのですが、視聴可能世帯という言葉が出てまいりますが、これは視聴率とは違うものでして、要するに、放送の対象地域内にどれだけ世帯があるかという話ですので、実際には不人気で全く視聴されていないものでも、その世帯はカウントされて規制の根拠になる、こういうことです。 |
| ○ | 塩野座長 濱田さん、今までのあなたがやってきた調査と随分違うとか、間違っているところがあるとか、そういうご感想はありますか。 |
| ○ | 濱田構成員 感覚的には大体そのようなことかなと思います。 ついでに、１点、よろしいですか。 |
| ○ | 塩野座長 どうぞ。 |
| ○ | 濱田構成員 アメリカの方の状況ですが、非常に印象的なことで申しますと、放送の場合でも、競争と公共性というのが、いわばイコールになっている。そうすると、規制緩和をするというのは、放送における表現の自由というものが個人的なものだというふうに考えると、いわば自由をより尊重するという政策になるわけですね。そうした規制緩和政策について裁判所の判断で立法事実が厳しく問われるというのは、やはり放送における表現の自由というのが、純粋にほかの表現の自由とは同じように個人の自由というふうには理解されていないのではないかという気もするんですが。つまり、放送における表現の自由というのは、アメリカでも何かややヨーロッパ的な放送の自由の感覚がないわけではないような印象も受けるんですが、そのあたり、何かお感じになったことはございませんか。 |
| ○ | 小塚構成員 多分、イエス・アンド・ノーというようなお答えをすると、非常に無責任だと怒られるかもしれませんが、私の印象はそうでして、一方では、先ほど来出ていますような、ビジネス的な意味での競争法の配慮も放送規制の中に入ってまいりますので、そういう意味から、例えば独占市場が成立しそうな場合は、当然、規制するというロジックは、放送の自由というようなことを介さなくても出てくる問題です。 もちろん、判決は、ある意味でテクニカルに、96年通信法が「不要になった規制は廃止する」ということを しかし、他方で、それでは、例えば自動車の販売と同じように考えているかといいますと、そのあたりは確かにローカル性とか、グラスルーツとか、放送の品位とかいう問題が出てきているということは事実でして、そういう意味では一般の物を売るときの競争と確かに全く同じには考えていない。ですから、いかにもアメリカ的な衣をまとってはいますけれども、やはり放送法の自由というものは確かに特殊な位置を持っているといえばいえるようでもあります。ある意味で規制緩和ということは大きな哲学としては承認されているとしても、どこまでということについては、今なお正解がないのだ、というような発言もインタビュー先ではありまして、そういう両面があるように感じております。 |
| ○ | 塩野座長 よろしいですか。 隈部さん、何か・・・・・・。 |
| ○ | 隈部構成員 お二方の大変短期間での詳細な調査に敬意を表しますけれども、これ、先の話なので、あまりお聞きにならなかったかもしれませんけれども、ここのところ、アメリカでも、イギリスでも、放送事業者側が、通信事業者も絡んで、放送のコンテンツをインターネットで流す、ブロードバンドで流すというというのが物すごく活発になってきて、この１～２年、驚くべき勢いで進んでおります。そういったこととのこの放送の所有規制の関連といいますか、そのことが出てくる可能性が将来あるわけですけれども、それについてヨーロッパ、アメリカで何かそれを感じさせるような動きが既にあったかどうかというようなことを、もし、たまたまお聞きになりましたら教えていただきたいんですが。 |
| ○ | 長谷部構成員 確かに隈部さんのおっしゃるとおり、そういった動きというのがフランスでもありますし、イギリスでもございます。最近では、BSKyBがブロードバンドを通じた番組配信に進出するといった話もありますし、フランスに関しまして、先ほど、ちょっと言及いたしましたが、ブロードバンドを通じた番組配信について、プラットフォーム事業者の届出制というのをつくっておりまして、これはフランスはもう少しドラスチックで、テレビ、ラジオという概念を変えてしまいまして、ブロードバンドを通じて番組を配信するということにしてしまいましたので、そういう概念の変更が生じているのは、まさにそういうことを念頭に置いた話なのだろうと思います。 具体的には、ヨーロッパ、いろいろな国、それぞれ温度差はありますが、番組を配信するのに、田園地帯には衛星を使うのがいいんだけれども、衛星を使いにくいのは都市部で、大都市部の人たちに番組を配信しようとすると、やはりブロードバンドの方がむしろ効率的だということで、そういうことを考えておられるということですが、例えばイギリスの場合、だからといって、それについて改めて何か規制を考えますかというと、特にそういう話にはなっていないようであります。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 大分時間もなくなってまいりましたが、何かこの際に聞いておきたいということがあれば、あるいは感想でもいただければと思いますが、篠原さん、野村さん、何かありますか。 |
| ○ | 篠原構成員 |
| ○ | 長谷部構成員 そういうご認識で、それほど外れていないと思います。この資料６で申しますと、３ページ目に地域所有規制に関する限りでは新聞が載っているんですね。で、その前提はやはりおっしゃるとおりで、イギリスも若干そういうところがないわけでも・・・・・・。イギリスはやはり全国紙は大きいものがありますけれども、フランス、ドイツは全くおっしゃるとおりです。まず、新聞といえば、各地方のものである。ドイツもそうだという話でありました。しかも、ドイツについては各州の規制の話になりますので、すぐに全国ということになりますと、また放送の |
| ○ | 篠原構成員 ありがとうございました。 |
| ○ | 野村構成員 一点だけ教えていただきたいんですけれども。 先ほどの隈部さんですとか山下さんの質問とちょっと重なるんですが、小塚さんにお尋ねしたいんですけれども、最近、ベビーベルと呼ばれていた |
| ○ | 小塚構成員 これは、もし間違っていたら、事務局から後で訂正していただきますが、私の理解では、 それから、先ほど来、隈部さんからもご質問が続いているのであれですが、アメリカではその裏に関連して、ネット・ニュートラリティということがかなり言われているようでして、インターネットについては放送のような規制は及ぼさない。これが、少なくとも現在の |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 まだいろいろご質問もあろうかと思いますけれども、今日、もう一つ、議題を予定しておりますので、外国については、その中でまたご議論いただいても結構でございますし、また、今後、引き続き外国法制はこの資料として使わせていただきます。お二方の構成員及び２人の事務局の方、どうも大変ご苦労さまでした。大変濃密な調査をしていただきまして、今までの知見に加えるものも多かったと思います。どうもありがとうございました。 |
2)マスメディア集中排除原則について | |
| ○ | 塩野座長 それでは、事務局の方から、集中排除原則についての資料が一応できておりますので、一種の論点整理でございますけれども、これについて説明を伺った後で、集中排除原則について、今日の知見も踏まえてフリートーキングをしたらどうかというふうに思っております。 それでは、事務局から説明をお願いいたしましょう。 |
| ○ | 長塩企画官 それでは、お手元の資料、資料２についてご説明させていただきます。今、ご指摘がございました論点整理、今後の論点整理のための素案という位置づけで、これまでいろいろ出されました問題意識、ご意見、ご質問等を少し整理してみたものでございます。 １枚目がマスメディア集中排除原則の基本的考え方という出発点を再度整理してございます。 集中排除原則の意義としましては、どのように考えるかということでございまして、参考として、現在、法制度上、予定されているところ、表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるように、民主主義の発展に寄与する、といったところを挙げさせていただいております。 この原則に基づいて具体的に求められる政策目的でございますが、今回、これをどのように出発点として考えるかということでございます。参考となりますのが、放送政策研究会と、数年前に開催されたものでの整理でございまして、多元性、多様性、地域性の確保、これを求めるということで整理されております。この冊子の最後のページに当時の表現ぶり、関係のところだけ挙げさせていただいております。 それから、政策目的の確保の手法ということでございまして、これについては出資比率等による間接的な、いわゆる構造規制といわれるようなもの、そのほか、番組比率規制等による直接的な手法があり得ますので、このあたりをどのように、その適用範囲ですとか具体的なものとして考えていただくのかということがございます。 それから、諸外国の動向ということでございますが、今回、ご説明、ご報告いただいたものでございます。 各論ということでございまして、２ページ目でございます。 まず１点目としまして、 それから、規制緩和の必要性。特に兼営というふうなことについては、そのメリット、従来の規制緩和での対応状況、それから改めての必要性。 それから、多元性、多様性、地域性ということにつきましては、先ほどの放送政策研究会で問題点が挙げられておりまして、多元性については、全国放送を基本とする準基幹放送メディアが地上放送と一緒になることによって多元性が確保できるかという点で懸念があるのではないか。それから、地上と衛星との同一番組というものが増えて、番組上の選択肢が減ってくるのではないか。それから、ローカル局への影響を通じて、地域に根差した情報発信メディアの存立というものについても影響があるのではないか。こういう過去のご指摘についてどういうふうに考えるか、ということがあろうかと思います。 さらに、この点の緩和をした場合に、新規参入予定者、それから既存の事業者へのイコールフッティングという観点でどのように考えるか。こういったことを挙げさせていただいております。 それから、その次は、これは今後の議論になりますので、まだご議論は十分いただいておりませんので、非常に簡略ではありますが、とりあえずポイントだけ、同じような並びで挙げさせていただいております。それぞれの緩和の必要性、それから、取り巻く環境の変化。個別には、多元性、多様性、地域性の確保の観点でどのように考えるかということでございます。 それから、もう一点、参考資料という １ページ目でございますが、衛星放送に関する市場規模が、今、どういうふうになっているのかということでございます。衛星関係の市場規模は総額で4,400億円程度ということでございまして、 ２ページ目がそれぞれの１社当たりの収益を挙げさせていただいているものでございます。左上の表が１社当たりの平均営業収益ということでございまして、 それから、右側につきましては、 ３ページ目は以前にも出させていただいているものでございますが、それぞれの実際の現状。これは社会的影響力にもかかわってくるのかなと考えております。 ４ページ目が現在の ５ページ目が、放送の位置づけということでございまして、 こういったことを前提として、現在のそれぞれの免許の認定の際にどういうことを基準として置いているのかというのが６ページ目、最後の資料でございます。基本的には、放送全体、 以上でございます。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 この論点整理の方は、今までこの研究会で出た議論のほかに、これまでの郵政省、あるいはその後の総務省がとってきた基本的な政策について、どういう正当化、根拠をもって語られてきたかという、その整理でございます。 そこで、この点については、特にマスメディア集中排除原則の基本的考え方は、今までの皆様方のご議論の中でも、当然、背景的な物の考え方として押さえた上でのご発言というふうに承っておりますのと、それから、 そこで、どういう議論の仕方をしたらいいのかということでございますけれども、一つ、今日伺ったことも含めて、いろいろこれに論点としてつけ加えていくということも重要かと思います。 そういうことで、一つ、今日、伺っていてあれだったのは、やっぱり競争ということの考え方について、少し意見を統一しておいた方がいいのではないかというふうに思います。放送の世界でよく競争というと、日本は二元的放送体制で、片や むしろ、日本の独禁法制でも一つの土俵を設定しているわけですけれども、放送の場合にはその土俵のつくりがちょっと違うところはありますけれども、やはり競争というのは基本的にはあると思います。我々として、ここでマスメディア集中排除原則の基本的考え方を考えるについても、一つ皆様方の共通の理解として競争というものを、今後、日本でどういうふうに考えていくか。先ほどからご質問のありましたような一般の競争政策との関係もあって、この辺は舟田さんが一番詳しいところですので、またいろいろ説明をしてください。ということもあって、ここに一つ加えた方がいいかなという感じもいたしました。 それから、今日伺ったところでは、何で日本で ただ、私も随分そのことをメディア特性とかなんとかいいながら言って、ついに放送という概念は要らないんだということまで申したんですけれども、濱田さんは要るというふうにおっしゃっているので、この辺をどうするかということです。ただ、放送概念は要らないというところまで私は主張するつもりは毛頭ありませんけれども、 そういうことでございますので、私の方から申し上げることは以上でして、ご自由にご議論をということでございますが、一般的に、今日、ちょっとお伺いしたいのは、こういった |
| ○ | 舟田構成員 もちろん。 |
| ○ | 塩野座長 その場合に、 |
| ○ | 舟田構成員 特に切分けの議論をしているわけではありませんが、 |
| ○ | 塩野座長 どうぞ。どの点でも結構でございますので。もちろん、 アメリカのいろんなものを見ていると、地域の、特に |
| ○ | 小塚構成員 そういう側面は確かにあると思います。要するに、消費者の嗜好自体が、長谷川さんが先ほどおっしゃったような、日本でいいますと、通勤圏にいる人は、むしろ、東京の方を向いている、ところが、アメリカでは ただ、それだけなのか。制度なりビジネスモデルなりによって、いわばニーズを発掘する体制ができているということなのか。例えば ついでにちょっとよろしいですか。 塩野さんが先ほどおっしゃった競争の意義ということは、私もぜひ共通の理解をつくっていただきたいのですが、そのときに、競争というのはやはりどうやって実現するかという問題があるのだと思うのです。アメリカの制度がビジネス面の競争ということを非常に重視している。それは、先ほど、濱田さんとのやりとりにも出ましたように、それがすべてだと思っている人は、実はアメリカでも少ないのかもしれないのですね。ただ、とにかくビジネス面でもうかる人が勝っていって、もうからない人が退出していくというのは、競争を実現する非常にわかりやすい手段であり、確実にこれはききます。 それに対して、例えば、日本の体制がどうだったかですけれども、ジャーナリスティックな競争をするための制度ですといって、それでは、そういう競争をしましょうといったときに、ジャーナリストの倫理観だけに俟つということですと、いつ、それが崩れるかわからない。そこで競争を実現する仕掛けのようなものがどうなっているのかというのが、多分、ポイントなのではないかと思いますので、その競争の概念という話とは別に、それを実現する仕組みという観点がもう一つ必要なのではないかとふうに感じています。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 私、先ほど、競争の土俵と申しましたのは、今の点ともちょっと関係があると思うんですけれども、つまり、 同じビジネスモデルといっても、この土俵でのビジネスモデルと、それから、こういったもう少し広い土俵でのビジネスモデル、いろいろあるのではないかということで、つまり、アメリカ人はそもそも土俵自体をつくりたくないということですか。 |
| ○ | 小塚構成員 それは、恐らく現在だけを見ていれば、確かに規制緩和でいかにも土俵がないように見えますが、少しさかのぼりますと、例えばフィンシンルールみたいなものをつくって、何か既存の、いわば大きな複合体を人為的に壊したわけですよね。ですから、決して土俵をつくらないという話ではないのだと思うのですが、つくるときに、常に競争のドライブがかかるように、かかるようにというつくり方をしている。日本で、ともすると、競争が起きないように、起きないようにという土俵のつくり方になるとすれば、問題ではないかというのが私の認識です。 |
| ○ | 塩野座長 その点は重要なご指摘だと思います。 事務局の方でしゃべりたいことがあれば、どうぞおっしゃってくださって結構です。 |
| ○ | 今林衛星放送課長 先生方がお調べいただいて、大分私も勉強させていただきましたが、各国には各国の、先生方がおっしゃったように、事情と背景があり、これまでのメディアの歴史もあり、それから、制度の歴史もあるのだと思います。したがって、各国とも制度の現状、小塚先生がおっしゃられたように、 日本も、今、何か そのときに、事務局側からこういうことを申し上げるのはちょっと不謹慎かもしれませんが、事務局側でこんな案がいいんじゃないかというようなことを勝手に申し上げるだけでなくて、やはり今、関係しておられるプレーヤーの方々、あるいはこれから関係されようとされる、あるいは潜在的関係者、こういう方々に、例えば今日、論点になっておりますような政策目的ですとか、あるいはその各個の手法でございますね、こういったところについてもかわりの案と申しますか、こうあるべきではないかというようなことについて、ご提案いただくべきではないのかなというふうに私も考えております。 つまり、役所側から、例えば番組比率をどうすべきだとかいうことを一義的に申し上げるよりは、例えばこの間、ご提案になった |
| ○ | 塩野座長 できるだけ幅広い声を参集して議論を詰めていきたいと思います。どうもありがとうございました。 どうぞ、山下さん。 |
| ○ | 山下構成員 今、課長さんから潜在的なプレーヤーという話が出たので、競争に関連して、そのことについて申し上げたいと思います。 私は、どちらかというと競争の方がいいというふうな派閥なんですけれども、どんな市場での競争かというときに常に思うのが、今いるプレーヤー同士の競争というのをつい考えがちですけれども、むしろ、潜在的な競争者が入ってくる余地のある制度があるということが競争であって、それが重要なのだというふうに思います。 特に、放送のようにプレーヤーが最終的に無限にはなり得ないようなところでは、やはり既存の方々の意見というのが尊重されやすくなる傾向がある。ですから、制度設計をするときには、それがあったとしても、競争中立的な制度がまずできるというのが一番大事なのではないかというふうに思っています。 変な言い方をしますが、私は経済学では産業組織論なんですけれども、そうすると、いかに競争ができるような市場をつくるかとかいうことをやるわけですね。ところが、経営学でも同じなことを扱うことがございまして、そのときには経営学は企業の方から見ますから、いかに競争制限的なプレーをするかということが、ブランドをつくるとか、見本を配るとか、広告を打つのもそうですが、それは競争を制限しようという行動であるわけですね。 企業の方々、もちろん、放送事業者もですが、誰もフェアに競争したいとは思っていないわけで、それを前提として意見を承るべきである。しかし、我々としてはそこでも潜在的な競争者を入れて、どう競争するかということを考えるべきではないかと思っています。 |
| ○ | 塩野座長 ありがとうございました。 どうぞ、舟田さん、今の点との関係ですか。 |
| ○ | 舟田構成員 はい。今のお話、大変興味深いお話で、私も同じなことを考えていまして、競争を促進するという場合には、もちろん、各企業は自分が競争の中で打ち勝つように考えるわけですから、そのことと全体の競争の促進とは一致しない場合がある、というのが今のお話だと思いますけれども、放送業界をもし競争という目で眺めた場合の最大の特徴は、一つは集中化が進んでいる。つまり、寡占５社が非常に大きなシェアを占めているということが一つ。しかし、寡占１社とか２社ではなくて、５社もあるといいますか、 ２つ目は、しかし、それらがすべて系列化をしている。この系列化という意味は、例えば系列化のローカル局の株式を大部分を所有してはいない、しかし、契約上、非常に強い縛りをかけている。先生、さっき、おっしゃったようなことで。そういう意味で、放送における競争促進の問題というのは、並列的な系列問題をどう考えるか、あるいは小塚さんの言葉を使えば、競争を促進するような土俵づくりはどうあるべきか、ということになるのではないかなというふうに思います。 それで、いろんなことを話したいんですけれども、今日いただいた参考資料で、前回もあったんですけれども、視聴時間のシェアというのがあって、これは、私、かなり個人的には主目的だったんですが、参考資料、マスメディア集中排除原則という５～６枚ぐらいの小さなものですけれども、これの３ページ目に視聴時間等とあって、地上放送３時間59分、 これは、恐らくそのことが当然、経済的な力に反映しているはずで、その意味で、先ほど、アメリカのことをおっしゃいましたけれども、アメリカの50年代ですか、まだ もし、マスメディア集中排除原則を競争の側面から見るとすると、このような非常に大きなシェアを持っている系列というものが競争を促進しているのか、それとも一部ゆがめてはいないか、そういう検討をする。そういう意味では、私、この論点整理に一つつけ加えるべきかどうかわかりませんけれども、系列の問題というものをやはり正面から取り上げて、だから、直接、直営局何局までとか、あるいはアメリカのように、フィンシンルールのように何％は供給してはいかんとか、そこまでやるかどうかは別にして、そういう問題を考えるべきではないかなという気がいたします。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 系列の問題はなかなか難しい問題があるのと、それから、私の司会の仕方が多少あれだったのかとは思いますが、大変重要な問題で、放送政策の根幹にかかわる事柄と、それから、当面、もうつぶれますからどうにかしろという声が、今、上がっている。そのはざまの中でこの放送政策研究会、やはり学者の集まりでございますけれども、現実の政策を取り扱っているということもありまして、そこのところは、今後、どういうふうに視野を広げる、あるいは我々の土俵をどこまで広げていくかということについては、皆様方ともいろいろ考えていきたいと思いますけれども、今日の段階では基本的な問題もどうぞご自由に指摘していただいて結構だと思います。 どうぞ、村井さん。 |
| ○ | 村井構成員 私はこういう議論の歴史が浅く、非常にプリミティブな質問をさせていただきます。先ほどさせていただいた質問と非常に似ているのですが、マスメディア集中排除の考え方をする、それから、今伺ったように、競争ということも含めて、既存のマスメディア、放送事業者の二次元の集合を考えることができて、その集合の中での集中排除であるとか、集合の目的に即した、場合によっては競争の原理であるとか、集合の性格の違いであるとか、そういうことを議論していくというお話と理解したのですが、実態的には、先ほどのお話にもありましたように、放送のどの部分を担っているのかというのは、多様なプレーヤーがあるのが現実です。つまり、BS、CSといったような放送事業者を並べた集合の中では、実は、三次元のモデルがあって、誰がどの役割を果たすかということが、やはりそれぞれの放送事業の種類によっても今は違っているわけです。 先ほどのBS、CSの議論を伺っていると、諸外国においてもそれぞれの放送事業の考え方が非常に多様化している。そこで私の質問ですが、何を前提としてこの集中排除の議論をしていくのでしょうか。つまり、現状の二次元のモデルで放送事業者が並んでいるということで考えていくのでしょうか。それともBS、CSなど幾つかのバリエーションのモデルを現行のままで考えていくのでしょうか。あるいはBS、CSなどのことも含めて集中排除の議論を進めていくのでしょうか。これらはどのように考えたらよろしいのでしょうか。 |
| ○ | 塩野座長 その点は、今の村井さんのご質問にまともに答えているかどうかわかりませんけれども、まず、私が今の質問を受けて答えるとすると、現在の放送法の解釈論を展開しろといわれれば、放送局にということだと思います。放送局というのは免許を受けた主体。そういうふうにできていますので、そのほかに、それが局同士にどういうふうに結びついているかということはありますけれども、一体、番組は誰がつくっているかどうかということは問題ない。 それからもう一つ、日本の場合、放送局がハード、ソフトを基本的には一致させていますので、そこはまた日本の特色としてあるわけですね。だから、ハードとソフト――ソフトというのはコンテンツではなくて、免許のことですね。ハードとソフトを一緒に持っているという放送局という単位、これの結合関係をどういうふうに整理していくか、というのが集中排除原則として出てきているということなんですね。 ただ、村井さんの先ほどからのご関心が、そんな形式的な、本当にはありもしないようなものを考えるよりは、全体のコンポーネントを考えてアプローチしなければだめだよというご指摘は、それはご指摘として、これからの議論として大事だと思いますけれども、さて、それが、先ほど申しましたように、そこまで視野を広げて議論できるかどうかということだと思います。 長谷部さん、どうぞ。 |
| ○ | 長谷部構成員 ぼんやりした話のうちにお話をしておければと思いまして。 塩野座長、ご指摘のとおり、これは放送政策を研究する場でございますので、何か規制について物事を考えるとか改めるとすると、規制の切り口になるのは、やはり放送事業者を相手にする免許の局面等、それがやっぱり第一に問題になると思いますけれども、そこに至るまでの過程として、いろいろなこと、村井さんがご指摘の点も含めていると思うんですが、今、競争という概念が問題になっているんですが、競争というのは、競争自体が目的のはずはない。競争すると何か公益の実現に役立つから、競争させる。競争が自己目的ということはないと思うんですね。何かの役に立つから競争させるということなのではないか。そうすると、どういう競争なのかということと、では、どういう公益なんですかという、２つのレベルの話があると思うんです。 どういう競争ですかというとき、これ、恐らく幾つかに議論を分けなければいけないと思うんですね。広告料を財源とする放送事業者の場合の競争というのは、直接には広告主と放送事業者の間のマーケットで、要するに、放送事業者が視聴者を供給して、それを広告主が買いますというマーケットですから、そこでの競争のことをいっているのか、あるいはフィンシンルールのお話が出てきていますが、フィンシンルールというのは番組制作とその配信の場の話でありますから、これはまた別のマーケットですし、あるいは憲法学者が漠然と考えているときの競争というのは視聴者の獲得競争なんですね。ですから、これはひょっとすると、そういうマーケットでの競争というのと、一段外れた間接的な場面での競争なのかもしれない。 ですから、競争についても、何の場での競争ですかということを考えなくてはいけないのと、それからもう一つ、座長はご納得いってないようですけれども、競争というのは何らかの公益のためのはずで・・・・・・ |
| ○ | 塩野座長 そこは哲学の話、哲学というか、むしろ、人生観の話ですね。哲学というのは、そんないいかげんなものではありませんので。 |
| ○ | 長谷部構成員 やはりそれぞれの場面で競争を実現するといって、どういう公益の実現に役に立つんですかということをやはり議論をするべきであって、競争のための競争はよろしくない、というのが私の人生観でございます。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。 こういう話をしていると、時間がいつも足りませんが、今日、いろんな外国のことを聞いていまして、皆様方のご関心も、その競争ということが一つ重要なポイントだということがありますので、事務局の方でも整理させていただきたいと思います。ただ、これは放送を勉強しているものがずっとないがしろにしてきたわけではございませんで、今から20～30年前に亡くなった金沢先生が、我々の放送制度研究会の中で民放における放送ということで、あの先生の頭は広告との関係の放送・・・・・・ |
| ○ | 舟田構成員 経済的競争は広告が行われている・・・・・・ |
| ○ | 塩野座長 というふうな論文が出ていますので、場合によっては、それを一遍皆さんにお目にかけるということもあろうかと思います。 大分時間がたちましたので、今日、まだ細かいところには至っておりませんけれども、大変重要な問題でございますので、次回以降、この点を掘り下げてまいりたいと思います。 そこで、この論点整理をまずもう少しブラシュアップするということと、それから、少しずつ個別論点について入ってまいりたいというふうにも思っておりますので、あまり競争とは何かということで何回も何回もやる意図もありませんので、研究会の大体の了解はこういうことであるということで、だんだんに進ませていただきたいと思います。 この際、ほかにこういった重要な論点もあるではないかというようなご指摘があれば、あと５分ほどございますので、承りたいと思いますが、何かございますか。 |
| ○ | 篠原構成員 検討の際の論点として、いろいろなメディア別に、集中排除の問題を考えるといっても、地上波から始まって 放送あるいはその周辺のメディアを含めて考えた場合に、我々のこの研究会は検討の土俵にのっかってくるべき有資格のメディアなり事業者とはどこまでなのか、難しいと思うんですけれども、検討対象とするメディアや事業者の範囲はあらかじめ定める必要がないか、と思うんですね。 |
| ○ | 塩野座長 どうもありがとうございました。そういった点も整理して、今度はお目にかけるということになろうかと思います。ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。 |
3)その他 | |
| ○ | 塩野座長 それでは、本日、マスメディア集中排除原則について、個別に逐一なめるというわけにはまいりませんでした。特に そこで、今日のご議論を踏まえまして、この論点整理について、もう少し具体化できるところは具体化する。外国放送のことも含めましてね。ただ、まだ空白に残っている部分は空白に残ったということで、議論をぜひ詰めていただきたいという形での資料を提供して、ご議論をいただく、ということがだんだんに出てくるかと思います。 ただ、それまでにまだ、先ほどから、いろんなサイドからの意見を聞くべきだというご意見も出ておりますので、そういったことで、次回のことについて、ヒアリングの予定もございますので、事務局からご説明いただけますか。 |
| ○ | 長塩企画官 次回の会合につきましては、持株会社に関する民放連からのヒアリング、あと、 具体的な日時につきましては、12月９日の午前10時からでございまして、改めて場所等をご案内させていただく予定にしております。 以上でございます。 |
| ○ | 塩野座長 年末になりまして、皆様、お忙しいかとは思いますけれども、ぜひ、ご参加いただきたいと思います。 ヒアリングの個別の対象につきまして、事務局と相談の上で決めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 |
（３）閉会 |
|
| ○ | 塩野座長 それでは、時間も参りましたので、今日はこれで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。 ご報告の方、２人ともどうもありがとうございました。ご苦労さまでした。 |
