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「衛星放送の将来像に関する研究会」
(第6回会合)議事要旨



  1.  日時
     平成18年3月10日(金) 1000分〜1200
  2.  場所
     総務省 第1特別会議室(8階)
  3.  出席者
    (1) 構成員(五十音順、敬称略)
     浅野睦八、荒川亨、石橋庸敏、伊東晋、音好宏、岸上順一、畑文雄、竹中一夫、
    鳥居昭夫、長田三紀、舟田正之
    (2) 総務省
     清水政策統括官、河野官房審議官、大久保放送技術課長、岡崎地域放送課長、今林衛星放送課長、山本衛星放送課調査官、筬島衛星放送課課長補佐
    (3) 団体
    • 社団法人電子情報技術産業協会
      高柳宣治(デジタル家電部会テレビネットワーク事業委員会デジタル放送専門委員会主査)
  4.  議事内容
    (1) 開会
    (2) 衛星放送の将来像に関する研究会幹事会(第3回会合)について
    (3) 受信機制約条件の詳細調査結果について
    (4) 衛星放送の将来像に関する論点について
    (5) 閉会
  5.  主な議論
     事務局から席上配布資料及び衛星放送の将来像に関する研究会(第5回会合)について説明がなされた。
     音同研究会幹事会主査より同研究会幹事会(第3回会合)の概要について説明がなされ、論点については広範にわたり、制度の根幹に携わるものもあり、また、衛星不具合の状況等、なお確保すべき情報を把握した上で、さらに個別論点ごとに議論を深めることが必要であることから、今後、衛星放送の将来像を巡る各論点について、追加的に検討する機会を設けた上、今後の日程を変更することについて了承がなされた。
     また、受信機制約条件の詳細調査結果について、社団法人電子情報技術産業協会より説明が行われた。

     衛星放送の将来像に関する論点について、主な議論は次のとおり。
    • リモコンのワンタッチボタンについては、200712月以降全て割り当てられる予定であるため、それ以降の新規事業者にとっては、当該観点から競争条件の相違があることを認識してもらった方がよいのではないか。
    • データ圧縮方式については、今までは、より少ない伝送レートで送ることばかりに重きが置かれてきたが、近年、周波数資源の稀少性が緩和される状況になりつつあることを考えると、BS放送の1つの大きな魅力は高画質性にあるため、データ圧縮の高度化については、今までと同じ画質をより低い伝送レートで送ることではなく、従来と同じ伝送レートを割り当てればより画質がきれいになるということに着目することも重要ではないか。
    • ハードソフト一致の形態については、放送事業者において、設備も自ら保有してその経費を長期に内部化、事業全体の効率化を目指し、また、視聴者対応までもハードからソフトまで全部行うという考え方がある。他方、BSアナログ放送及びBS第9チャンネルのデジタル化の際の議論では、衛星運用者と放送事業者の分離の下、公正性・中立性を保ち、編集を行う程度の財政的基礎を有する者にとっては参入コストを下げることにより、BS全体の発展を図るという考え方もある。しかし、実態では、委託放送事業者にとって、受託放送事業者が倒産すると、放送の安定性が保てなくなることから、健全な衛星運用にコミットするために自らの責任により実態上受託放送事業者への出資が行われている。このような実態も踏まえ、分離制度の成果等を検証した上で、制度の在り方を検討することが必要ではないか。
    • 今後、無料広告放送市場における競争が激しくなるとすると、現行のBS放送のモデルも限界となり、今後視聴者により良いサービスができなくなることも考えられる。番組の多様性を促進するための手段としての衛星放送の有効性に鑑み、有料放送等の新しいモデル、競争的なモデルをBS放送が先導していくということも考えられるのではないか。
    • いわゆるマルチプレックスについては大規模役務事象者に近い概念であり、イギリスの地上デジタル放送におけるマルチプレックス事業とも異なるのではないか。また、マルチプレックスとプラットフォームも別の概念であり、そして、それら事業者が衛星を保有することも別のことであるため、これらの関係を踏まえた上で検討することが適当ではないか。
    • アメリカの衛星放送は主に2者により提供され、従来から反トラスト上の問題も抱えつつ、CATVへの対抗馬として成長してきた。また、イギリスのBSkyBについては、その国内としては独占かもしれないが、欧州全体の視聴者からみれば独占ではない。今後、日本において、ほとんどの放送事業者がマルチプレックスとして一者に集約され、プラットフォーム事業、衛星をも保有することとなると、CS放送としては独占状態となり、番組供給者との関係では優越的な地位を築くが、アメリカやイギリスよりも強固な事業体としてCATVBS放送や地上放送等他メディアの競争が促進されるとも考えられる。このような、特定メディア内では独占化する一方、広い意味で市場全体の競争促進につながる可能性もあることを踏まえ、プラットフォーム事業や衛星保有に関する段階的な垂直統合が本当にCS放送や放送全体の発展につながるかどうかについて、しっかりと検討していくことが必要ではないか。
(了)


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