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IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会(第1回)議事概要





  1.  日時:平成17年10月28日(金)10時30分〜12時30分

  2.  場所:中央合同庁舎第2号館 低層棟1階 共用第4会議室

  3.  出席者

    (1) 構成員(五十音順、敬称略)
    依田 高典、尾家 祐二、酒井 善則、関口 博正、東海 幹夫、林 敏彦、
    藤原 まり子、舟田 正之、増野 大作、森川 博之
    (2) 総務省
    須田 総合通信基盤局長、寺ア 電気通信事業部長、谷脇 料金サービス課長、
    泉 料金サービス課企画官、鈴木 事業政策課長、矢島 消費者行政課企画官、
    湯本 事業政策課調査官、片桐 料金サービス課課長補佐、横手 同課長補佐、
    白井 同課長補佐、西潟 同課長補佐

  4.  議題

    (1) 懇談会の進め方について
    (2) IP化の進展に対応した競争ルールの在り方について
    (3) IP化の進展とビジネスモデルの多様化について
    (4) 検討アジェンダについて

  5.  議事要旨

開催要綱について】

 事務局提案の「開催要綱(案)」(資料1)について、了承。

座長の選任及び座長代理の指名について】

 林構成員を座長に選任。また、座長により酒井構成員を座長代理に指名。

懇談会の進め方について】

 事務局提案の「懇談会の進め方(案)」(資料2)について了承。

IP化の進展に対応した競争ルールの在り方及びIP化の進展とビジネスモデルの多様化について】

 事務局より「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方について」(資料3)を説明。

 増野構成員より「IP化の進展とビジネスモデルの多様化」(資料4)を説明

 自由討議における構成員からの主な発言は以下のとおり。
  •  従来携帯電話事業者は一般サイトの部分についての課金はタッチしないということだったが、最近、他事業者と連携して課金というプラットフォーム機能も提供しようとしている。このような動きが今後どのようになるかは一つの論点。日本が国際的な競争力を持ち得るものとして、端末があるのではないか。他方、その端末が何に対して開放的で何に対して閉鎖的なのかは単に技術だけの問題ではなく、何らかの設計上の約束事が関わっていると思うので、端末とネットワークやコンテンツホルダーとの間の開放性や閉鎖性といった関係について検討が必要。

  •  端末については、各社ともコスト低減の観点からプラットフォームの共通化という動きがあるものの、基本的には各社カスタマイズされたものを使っているのが実情。

  •  日本の携帯電話のビジネスモデルは通信事業者からみると利益率が高いかもしれないが、逆にコンテンツ提供者から見るとどうなのか。携帯、PCTVといった各メディアで開放性・閉鎖性の扱いが異なるというのは、早晩仕組み的に耐えられなくなるのではないか。

  •  今の携帯電話事業者がこれから開放的なネットワークを構築していくのか、閉鎖的なままでいくのか、市場だけではなく、おそらく技術がどうなっているのかがかなり大きなインパクトを与えると考えられる。
     日本はブロードバンドの先端ネットワークを構築していると言われながら、要素技術では国際競争力を持っていない。これはネットワークのオープン性が関係しているのではないか。物理層のレベルでの技術革新、それから標準化、システム化等に関する競争のコンセプトを国内に限定しては、国際競争に勝てない。

  •  固定電話は2000年をピークにトラフィックが減ってきている。携帯電話の通話量についても同様。携帯電話の端末の純増幅も最近はそれほどでもない。そういった下を支える技術は必要だが、あまり利益にならなくなってきているのではないか。
     したがって、物理レイヤーや通信サービスレイヤーとその上のレイヤーをバラバラに考えるのではなく、全体的に見て情報通信分野の活性化と、利用者にとってこれらがどういったバランスだとうまくいくのかという視点が重要ではないか。また、その判断に当たっては、指針やパラメータのようなものが必要であると思う。

  •  垂直的な統合は、伝統的な独占禁止法の考え方からいえばあまり害はないとされている。しかしながら、通信の分野では、レイヤーをまたがって統合されたとき、ある特定のレイヤーにおいて支配的な力を持つということはあり得る。一般論が通用しないということで、具体例を見ていって、どこがボトルネックになっているのか、どこにパワーが集中するのかといった点について検討が必要。

  •  従来通信網のボトルネック性だけ見てきたが、今後のコンテンツも含めたシステム全体を考えたときに、もしかするとコンテンツのところがボトルネックなのかもしれず、そういったものを日本国内でなるべくなくして、健全な競争環境を実現していくべきではないか。加えて、国際的な視点で見てみると、例えばルータの階梯のように、別のボトルネックというものがあり得る点に留意することが重要。

  •  「2010年代初頭」を念頭において検討するという点について、この時点で高速道路のように共通のインフラ上で自由に事業展開されているという状況になっていることまで想定してこの懇談会で議論するのか、あるいは、それはまだ先とするのか。この点を明確にした方が議論がし易い。

検討アジェンダ案について】

 事務局より「検討アジェンダ(案)」(資料5)について説明

 自由討議における出席者からの主な発言は以下のとおり。

  •  検討に際しての時間軸と共に、空間軸も非常に大事であり、時間軸・空間軸の相対性をみていくことが重要になっていくと思われる。つまり競争政策を考えていく上で、どの時間の、しかもどの空間かを指定しないと、適切な競争政策が議論できない。

  •  料金政策について、確かに見直しは必要だとは思うが、料金規制は基本的には事後規制。制度制定時に想定していなかったバンドル型の料金メニュー等に対する審査基準等を変えようということであれば、この点については独禁法でやるべきとの考え方もあり、微妙な問題ではないか。

  •  電話というマーケットを考えてみると、従来の電話サービスとIP電話というのは同じマーケットと言えるのか考える必要がある。仮によく似たマーケットであると、IP電話はブロードバンドサービスのおまけとして限りなく無料になり、一方、従来の固定電話は無料にはならないとすると、これをどう考えるかという問題が出てくる。しかも技術の進歩、ビジネスの進歩を止めないような形で国全体で資源をうまく使っていくという観点も必要であり、悩ましい問題。

  •  光ファイバといった有線だけ考えるのであればまだ簡単だと思うが、モバイルを含めて考えると非常に難しい。すなわち、モバイルは周波数が有限である一方、設備の設置コストが有線に比べ非常に安いという特徴があるので、モバイルを含めて考えたときに、例えば有線と無線は一体として考えるべきか、あるいは有線と無線はきっちり壁を作るべきなのか。この点についてもしっかり議論することが必要。

  •  接続政策について、長期増分費用については、学術的に見てもおかしいと指摘されている一方、現実としては日本では非常によく機能してきており、この点は肯定的に評価されるべき。その上で、今後の接続政策としては3点に留意することが必要。第一に、PSTNからIP網への移行期には市場の競争が社会的に適正な資源配分を保証しないという前提のもと、市場の失敗を防ぎつつ競争をどうやって推進していくかという問題。第二に、都市はIP化が進展する一方、地方ではPSTNが残っているという状況において、今後内部相互補助的な仕組みで地方のPSTNを維持することが難しくなってくるとすればどうするのかという問題。第三に、投資インセンティブとネットワークの開放をどう両立させるのかという問題。すなわち、複数のインフラが共存している現在では、競争政策の視点に加え産業政策としての視点が必要になってくるが、この両面性をどう議論していくかという問題がある。


以上


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