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携帯電話事業及び周波数利用の現状について
事務局より、資料1-4、1-5に基づき携帯電話事業及び周波数利用の現状について説明が行われ、その後質疑応答を行った。主なやりとりは以下のとおり。
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○ |
700MHz /900MHz 帯の計画について、アナログのテレビをデジタル化することによって移行できる周波数帯である720MHz 〜770MHz はすでに決定されているのか?また、ペアとなる905MHz 〜960MHz は現在他に使われているが、この時期までにうまく再編をしてペアとなる周波数を確保すると考えて良いのか。
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○ |
事務局
平成15年の審議会で議論しており、移動業務用の周波数の配置の全体像ということで、このブロックで使うということを答申頂いた。
現在のデジタルテレビのチャンネル配置については暫定的なものとしており、最終的に圧縮することも検討されている。その時点にならないと最終的な周波数の幅が決まらないが、ペンディングになっており、暫定的な周波数配置としている。
テレビのチャンネルは62チャンネルあるが、どこまでをテレビに割り当てるかについて、具体的には2チャンネル分710MHz 〜722MHz に関しては、2006年に地上デジタル放送の置局経過を見ながら最終的にデジタル放送に使用するか移動通信に使用するのかを決定すると周波数割当計画に明記されている。その時点で最終的に720MHz まで使用できるかどうか決定される。
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○ |
800MHz 帯、1.7GHz 帯、2GHz 帯、2.5GHz 帯があるが、周波数帯幅と最大利用可能人数の関係の変換公式のようなものはあるのか。また、周波数帯が変わると最大収容人数はどのように変化するのか。
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○ |
事務局
平成11年のIMT-2000の技術条件における利用イメージでは、2010年頃までに480MHz 幅が必要とされており、8,000万程度の加入者を想定している。しかし、音声・データ共に利用すればするだけ周波数帯が必要になるので、一概に1MHz あたり何人とはいえない。また、技術的な問題や基地局数によっても異なる。
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○ |
議論していく中で目安になるようなものはあるか。
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○ |
事務局
参考に審議会の資料を提出させていただく。なお、現在の携帯電話は音声中心で1MHz あたり50〜70万程度である。ただし、データ通信ではその数字も異なると考えられる。
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○ |
コスト的なもの、周波数帯ごとの基地局1局あたりの費用はどの程度になのか。このような観点がないと新規参入の議論が進みにくくなると考える。このようなデータを示して頂きたい。
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○ |
事務局
具体的なコストや事業の展開ついては、今回関係者からヒアリングを行うので、事業者から答えを伺うこととしたい。
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○ |
座長
審議会の答申やもう少しかみ砕いた資料で、それぞれの利用状況の1ページにあるような周波数ごとの関係を示せないか。
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○ |
電波は周波数帯によってどのように性質が異なるのかを含めて資料があればいいと考える。
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○ |
事務局
一般的な周波数の特性などは、これまで審議会等での議論を提示したいが、やはり、具体的なコストや事業者のサービス等については、具体的には事業者にお答えいただくことが良いのがいいと考える。
一般的な周波数の性質については、高い周波数ほど直進性が強く、低い周波数ほどある程度遠くまで届くという性質を持っている。
携帯電話サービスを考えた場合、周波数を繰り返し使って有効利用し、多数の加入者を収容するため、一つの基地局のカバーエリアを非常に小さく作るマイクロセル化を前提とすると、周波数による差は小さい。しかし昔とっていた、一つの基地局で大ゾーンをカバーする場合は周波数が低い方が有利ということができる。
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○ |
座長
どのような形態で事業者が展開するのかに大いに依存しており、一般論以外は難しいものである。
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○ |
電波の割当の議論では、従来は定性的な判断がされてきているので、電波利用効率等の基準となる指標を設け、透明性を確保しながら割当の方策を立てることが妥当であり、国民の理解を得やすい。
かなり難しいかもしれないが、周波数の繰り返し利用等いろいろな観点から、ヒアリングをやる事業者には電波利用効率の定量的・数量的なデータを提出して頂き、それをもとに各社の整合性を取りながら統一された土俵の上で議論し、今回定量的な評価の方法が確立されるべきである。
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○ |
座長
ヒアリング時に事業者から全く異なるベクトルで話されると判断できないため、統一を取るべきである。
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○ |
事務局
既存事業者及び新規参入希望者からヒアリングの際に、1つの事業者が使用すべき周波数帯域、サービスの内容等の満たすべき条件や1MHz あたりどの程度の加入者を収容する見込みなのかを提出してもらい、議論する予定である。
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○ |
800MHz 帯の再編に関連した700MHz 帯と900MHz 帯のペアバンドについて、例えば端末を作ることを考えると、800MHz 帯の真ん中で再編したものと、700MHz 帯と900MHz 帯のペアバンドで上りと下りを実現するものでは、サービスしやすさ等かなり異なる性格のものである。帯域幅だけで議論していいものなのか。また、800MHz 帯は海外とのローミングという話があったが、2012年位を目処とした時に800MHz 帯が本当に海外でIMT-2000の帯域として使われているのか。
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○ |
事務局
平成15年の答申において、この周波数を使っていこうと答申をいただいている。一つには大きな課題として新しい周波数を作るということで議論しているため、今の段階ではこれを使っていくとしている。二つ目の質問だが、2012年という先の話で今後周波数の再編やITUの周波数割当等、今後議論されていくものであり、今の段階で結論付けるものではない。
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○ |
2GHz 帯のauに割当てられた5MHz がPHSとの干渉を起こすため後で割り当てるということだが、PHSの帯域も2012年を目処に見直すという意味か。また、PHSは今回のスペクトラムに入っていないが、再編対象として検討されるものなのか。
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○ |
事務局
PHSに関しては干渉問題解決のために周波数移行、制御チャネルの移行に取り組んでいるところである。
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○ |
今のコメントと若干関係するが、周波数効率を考える時に検討する必要な観点が2点ある。1つは、現在の2GHz 帯のサービスを引き続き行っていく周波数帯域はあるのか。2つ目は、携帯電話と言い切っているがデータのみのサービスについても対象になっていると考えて良いのか。
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○ |
事務局
1.5GHz 帯については、現在IMT-2000の周波数帯ではなく余り使われておらず、既存の第2世代携帯電話の周波数として使われている。こういった周波数についても、既存の周波数として課題があると考えている。2つ目については、携帯電話のIMT-2000の中ではマルチメディア通信ということなのでデータ通信も含めた議論をしていただければと考える。
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(6) |
検討事項について
事務局より、資料1-6に基づき検討事項について(案)の説明が行われ、質疑応答を経て、案のとおり了承された。また、構成員からの質問及び要望に対し、事務局より、事務局において可能な範囲で資料を提供するとともに、今後、事業者及び新規参入希望者に対してデータの提出依頼をするとの説明があった。主なやりとりは以下のとおり。
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○ |
2.5GHz 帯については、もともとIMT-2000の衛星バンドとして検討されていたのではないか。FDDで使う場合は下りのみということだが、上りの周波数はどこになるのか。
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○ |
事務局
資料1-5の4ページの2GHz 帯割り振りにあるように、2GHz 帯の1980MHz 〜2010MHz 、2170MHz 〜2200MHz が移動衛星業務としてIMT-2000の衛星バンドとして特定している。FDDの下りは、上りの周波数には特定されておらず、他の周波数を使うか、非対称で使うこととなる。
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○ |
1.5GHz 帯でITUにおいて分配されていないということと、今後IMT-2000の方式をここで使うということは若干異なると思うがどのように考えるべきか。周波数利用効率を考える場合に重要な問題になるのではないか。
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○ |
事務局
1.5GHz 帯については、周波数割当計画上、今使われている既存の方式の記述しかなく、将来的に1.5GHz 帯を事業者としてどう考えるかということと、総務省としてどういう方向に周波数割当を行うかという二つの課題があり、事業者からもコメントをいただきたい。
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○ |
800/900MHz 帯について、集約するための移行プロセスは検討事項に盛り込まれているが、移行後空いた周波数をどうするかということについても検討するのか。また、集約する際のコストについても検討するのか。
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○ |
事務局
移行先の問題もあるので、利用についても検討を行う。集約にかかるコストについては現在その周波数を使用している事業者からヒアリングの場で意見陳述をお願いする。
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○ |
資料に基づきご説明いただいたが、非常に難しい問題だと考えている。進めていくに際して、予備知識があると審議しやすいので、過去の諸外国を含め、どのような事例があり、判断がなされたのか、情報の提供をお願いしたい。
米国でのPCSのオークション等、いろいろな問題が生じたと伺っているが、日本でも一度オークションの是非が議論され、時期尚早であるとの結論になった。その後、IMT-2000に関して欧州で価格が高騰しトラブルが多かったと聞いている。一部は聞き及んでいるが、議論する際に知っておいた方がよい知識、制度等の過去の諸外国の場合、周波数の伝搬特性など、知識の提供をお願いしたい。
様々な周波数によって若干の差があるとのことだが、事業者が細かいデータを持っていると考えられる。また、研究の対象として、伝搬特性・進入特性等様々な検討が行われている。今後の議論の参考とするため、客観的なデータとして提供頂けないか。
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○ |
事務局
オークションの是非はともかく、欧米でどういった単位で事業者の競願体制をとったのか資料を作らせて頂きたい。伝搬特性については調べてみたい。実際にどのように800MHz 帯を移行すべきか情報通信審議会で議論したので、答申を参考として提供させていただく。
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○ |
周波数の有効利用として検討していることが、結局、ユーザの暮らしにどのように影響するのかが見えるようにヒアリングしていただきたい。技術的な問題等もあるが、どのような競争が行われてユーザにどのように影響してくるのかという視点が必要である。
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○ |
周波数の物理的な効率がどうかということも大事だが、何年に何MHz あれば、どのようなサービスができるのか、何人がそれを使うことができるか等、サービスの内容が利用者にとっては重要であるため、サービスの内容の分解能を高いものにして議論できると利用者にとって有効な議論ができると考える。
本検討会と平行して、u-Japan政策懇談会を担当しているが、2012年というと概ねビジョンが実現している時期であり、携帯電話がどのような役割を果たしてくれるのかということには大きな関心がある。もちろん料金がどの程度下がるのかということにも関心があるが、どの程度イノベイティブな利用を利用者が出来るのか、現在カメラがついているが動画が出来るようになるのか、そうなればより周波数帯が必要になるだろうし、GPSを搭載した携帯電話もあるが、現在議論されているRFIDの読み取りもできるようになるのか。価格、量、だけでなく、将来のサービス内容に、非常に関心がある。
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○ |
事務局
後ほど説明するが、具体的な計画を有している方を含め、意見陳述をしていただく方をインターネット等で募集する。参加を決まった方については、今回の検討会の要望を伝えて資料を提出していただくことが可能である。
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○ |
電波を有効利用するため、割り当てる際に、いままでは共益費型の費用の負担を求めてきていたが、電波の経済的価値、未利用の方がいる一方で高度な利用を予定している方がいる場合、どのように割り当てるべきなのか。また、さらに利用効率の低い方に周波数帯を移って頂くための費用負担はどうしたらいいか、という議論があった。
今回は従来通りの考え方で割り当てると考えていいのか、経済的な価値を踏まえた議論をして良いのかどうか。国会等では経済的価値を考慮して割り当てるべきとの意見がある。
従来は一度割り当てると継続的に割り当てていたが、新しい技術で利用したいという方がいる一方で、利用効率の低い方に対してどう対処するか、利用効率の判断基準はどうするのか、といったことが今回の課題に入っていると考えているが、経済的に市場的な意味、新規事業者の意味、電波の利用の経済的価値をどこまで考えて議論していいのか。経済的な価値を考慮せざるを得ない状況、大混雑のなかを再編するという状況では、経済的な価値を意識して割当てるということは当たり前といった考えである。
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○ |
事務局
今年の電波法改正により、給付金を給付することで利用効率の低い方には移行していただき新規の方に開放する制度ができた。既存の周波数が特に非効率な場合は電波の利用状況を調査・評価し、周波数割当計画を変更し、移行していただくこととなる。そのため、電波の利用の経済的価値については、当然前提としている。
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座長
ヒアリングの参考とするため、総務省の中で今までいろいろな立場から検討してきた事項ついて提示して欲しい。これを踏まえて、この場で議論していきたい。
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事務局
大きな政策の流れは情報通信審議会の電波政策ビジョンに沿って決められており、構成員の方々には要約をお配りさせていただくが、将来的には国が使っている部分も含めて周波数を見直して再配分していく。再配分していく際には経済的価値を念頭に、できるだけ迅速に導入していくことを基本的な方針ビジョンとしている。
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○ |
電波は非常に貴重な資源であり、それを配分するということでは、ベンチャーキャピタルがベンチャーに投資することと同様と考え、ビジネスモデルを評価することだと考えている。新規周波数の検討事項を見ると、新規事業者を対象としているようだが、既存事業者に対する新規周波数帯の配分についても議論の対象とされているのか。
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事務局
ここでいう新規事業者は全く新たに参入する事業者のことだが、新しい周波数帯での割当について、既存事業者が新規周波数帯を使用することも念頭に置いて検討を行う。
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新規事業者にサービスの内容等の計画をヒアリングするのであれば、既存事業者に対してもこの点についてヒアリングを行うべきではないか。
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事務局
新しく開放する1.7GHz 帯については、新規事業者のみでなく既存事業者にも計画があるのであれば、現在の事業の延長線上か全くの新規の計画かにとらわれず、考えを伺うつもりである。この質問事項は、新規事業者に対してのみ質問するということではなく、客観的に例えば新規事業者の満たすべき条件は何かという事については、既存事業者にも答えていただくべきだと考えており、項目を限定して新規・既存を分けているものではない。
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