1 日時
平成16年11月25日(木) 10時00分〜12時30分
2 場所
総務省 地下2階 第1、2、3会議室
3 出席者(敬称略)
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座長 |
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土居 範久 |
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構成員 |
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荒木 純道、黒川 和美、高田 潤一、多賀谷 一照、
長田 三紀、村上 輝康、吉田 進
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意見陳述人 |
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アイピーモバイル株式会社 |
杉村 五男、竹内 一斉 |
イー・アクセス株式会社 |
千本 倖生、種野 晴夫 |
株式会社NTTドコモ |
中村 維夫、石川 國雄 |
KDDI株式会社 |
小野寺 正、冲中 秀夫 |
ソフトバンクBB株式会社 |
孫 正義、宮川 潤一 |
平成電電株式会社 |
佐藤 賢治、河津 和道 |
ボーダフォン株式会社 |
津田 志郎、五十嵐善夫 |
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総務省 |
: |
有冨総合通信基盤局長、竹田電波部長、稲田電波政策課長、吉田事業政策課長 |
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事務局 |
: |
児玉移動通信課長、竹村移動通信課推進官、松井(俊)移動通信課課長補佐、
松井(正)移動通信課課長補佐 |
4 議事
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(1) |
開会 |
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(2) |
配付資料確認 |
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(3) |
議事
「意見陳述人による意見陳述」 |
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(4) |
その他 |
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(5) |
閉会 |
5 議事の概要
(1) |
配付資料の確認
事務局より、配付資料の確認がなされた。
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(2) |
前回議事要旨案の確認
座長より、資料4-1の前回議事要旨案について、特段の意見等がある場合は、事務局に連絡して欲しいと要請があった。
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(3) |
意見陳述人による意見陳述
ソフトバンクBB株式会社、KDDI株式会社、株式会社NTTドコモ、イー・アクセス株式会社、アイピーモバイル株式会社、ボーダフォン株式会社、平成電電株式会社より意見の陳述を行った。
1) |
ソフトバンクBB株式会社による意見陳述
孫代表取締役社長より、資料4-3に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
○ |
ソフトバンクBB
まず、第3回の検討会の会合の中で、黒川構成員からより具体的な指摘があったので、もう一度再確認をさせていただきたい。
新規参入事業者と既存の事業者はイコールフッティングで事業展開できなければならない。これはまさに電波法第1条に書いてある趣旨のとおりである。ソフトバンクの主張であるマルチバンドの採用と、800MHz 利用の優位性が明らかであれば、この点を配慮しなければならない。つまりイコールフッティングでなければならない。
前回及び第2回の検討会で、是非議事録に明確に記録していただきたいと私も指摘をしたが、三段論法で答えは明確になるということである。800MHz 帯は効率のよい電波であるということが確認された。これは我々からの指摘だけではなくて、第2回の検討会でNTTドコモ並びにKDDIの両方から800MHz 帯はより効率のよいものであるということが、きちっと表明された。
次にNTTドコモ及びにKDDIの両方ともが、代表取締役社長が第3回の検討会でマルチバンドを採用する、利用するということを明言した。これも議事録に明確に残っていると思うところである。
その結果、三段論法として、冒頭に言ったとおり、新規事業者と既存事業者は、イコールフッティングで事業展開すべきだということである。この2つの前提条件が両方とも代表取締役社長によって、この公開のヒアリングの場で明言をされたので、これは揺るぎようのない明確な事実であるということである。
800MHz 帯の優位性ということについては、今、述べたとおり、第2回検討会11月4日NTTドコモからプレゼン提出資料の中に載っている。「800MHz 帯の方が有利となる」、赤線で引いてあるところで明確に指摘をしている。次にKDDIの資料で、同じく、この赤線の部分「同一条件で2GHz 帯のサービスエリア半径は、800MHz 帯の約70%となるため」、つまり800MHz 帯の方が有利であるということを明確に、これまた主張している。
次に三段論法の第2点目だが、マルチバンド、これが本当に実現できるのかということである。5つの点でマルチバンドは実現できるということを言わせていただきたい。
まず、構成員の皆様の手元に実物を用意してあるが、これはモトローラの端末である。これは850MHz 帯と、900MHz 帯、1.8GHz 帯、1.9GHz 帯、4つのバンド、4つの周波数の異なったところのものを1台の端末で同時に利用している。まさにマルチバンドそのものである。4つの周波数がこのような形で実現されている。これはほんの一例であり、他にも数えればきりがないほどたくさんの機種、もっと小さな機種、薄い機種、軽い機種いっぱい出ている。だから、これは実現される。この5つの点である。マルチバンドシステムは標準化されている、干渉問題はない、基地局のコストの差は非常にわずかである、ハンドオーバーは実現できる、かつ商用化されている、ということである。
この5つの点のまず1番目の点。マルチバンドシステムは標準化されている、3GPP、3GGP2の標準化規格、つまり世界のこの業界における標準化の規格にそのまま明確に標準化という形でマルチバンドシステムは世界の常識という形で受け入れられているということである。
次に、干渉問題はない、つまり800MHz 帯と1.7GHz 帯は、お互いに非常に離れている。離れている周波数帯であり、したがって、干渉というのはありえないということである。
次に3点目だが、マルチバンドを採用している端末のコストの差というのは、前回も言ったように3ドル未満、端末の平均コストが300ドル前後で、あるいは3Gの機械については500ドル700ドルしている状況の中で、3ドルというのは1%程度のコストである。これは事業者が当然自らのコスト負担で十分できる範囲。ここで書いてある赤い斜線のあるところの部品である。非常に小さくて、非常に軽くて、安い。したがって、おのおの事業者が負担するのは当然の範囲であるということである。
次に基地局の方であるが、基地局のキャビネットに今までであれば、左側にあるように800MHz 帯の基地局のカード、これが一つのキャビネットに全部収まっていた、ということだとする。次に新しいマルチバンドである場合どうなるかというと、同じキャビネットの中にある。ユーザ数は原則変わらないわけであるから、1.7GHz 帯あるいは2GHz 帯の基地局のカードを入れ替えればいい。これだけで済む。アンテナの価格が増加コストとしてなるという程度である。つまり、これは十分に事業者が吸収可能な範囲で実現できる現実的な答えであるということである。
4点目の点であるが、マルチバンド間のハンドオーバーは実現できる。これはすでに商用化されている。北米でもCDMA2000で800と1.9GHz 帯に対して、すでにこれを実現、実用化されているという例がある。もちろんGSMの世界では、ヨーロッパでいろんなマルチバンドはたくさん実現されているということである。
それから、この800MHz 帯が大変混雑しているという説であるが、これは電車の車両と、その中に乗っている乗客の数、これに例えるとわかりやすい。現在、例えば青い車両、800MHz 帯の車両にお客様が全部いると仮定する。そして2GHz 帯の車両、赤い車両がもう片方、ほとんど空いている空車の状態であると例える。このお客様がこれから新しい端末、3Gの端末に乗り換える。この乗り換えというのは、私どもの資料にも添付してあるが、2年前後でだいたい平均、お客様は新しい機種に乗り換える。1年で半分のお客様が乗り換えるというのが平均的な話である。全員ということではないが、平均値ということで十分に人口密度は表現できるが、乗り換える時にどこに行くか。
乗り換える時に左側にあるように現在800MHz 帯の車両に全員いたとする。しかし乗り換える時は、800MHz 帯と2GHz 帯の車両、両方に半分ずつ乗り換えるということがマルチバンドであれば可能である。マルチバンドであれば1つの周波数帯の車両に全員が乗り換えなければいけないという理由はどこにもない。乗客の数はほぼ同じであるとするならば、その乗客がどこに乗り換えるのか、手元の資料にはハードコピーであると思うが、800MHz 帯と2GHz 帯、つまり青い車両と赤い車両に、お客様は半分ずつ、例えば新宿駅に乗り換える。それまで沿線から来ていたとすると。人口密度はひとつの車両に対しては半分になる。したがって、800MHz 帯が混雑しており、もうどうにも使いものにならないというのは、これ全く偽った表現であるということである。
次に800MHz 帯がより有利な周波数であるということは、先ほど言ったとおり、両社の社長が明言しているわけで、これは業界の常識であるが、800MHz 帯を当然これ有利なバンドであるから、基本バンドとしてそれぞれ使いたい。そして2GHz 帯あるいは1.7GHz 帯というのを補助バンドとして使いたい。電車でいえばエアコンの効いている車両と、エアコンの効いていない車両。できればエアコンの効いている車両にお客様を可能な限り乗り換えでも詰めたい。その時に東京と大阪出身の人はエアコンの効いた車両に乗れるけれど、九州出身の人はエアコンの効いた車両には入れない。そんなバカな話はどこにもないだろう。まさに法律違反である、そういう差別をするのは。したがって我々も、イコールフッティングとして800MHz 帯と1.7GHz 帯、これを同じように基本バンド、補助バンドという形で使っていきたいということである。
既存事業者には十分に周波数は割り当てられている、ということもポイントであるが、すでに800MHz 帯、1.5GHz 帯、2GHz 帯をNTTドコモが109MHz 、KDDI、ボーダフォンが、それぞれ60MHz の割当てをすでに受けている。実際にどのようにユーザがそこに張り付いているかということであるが、NTTドコモで58MHz の800MHz 帯のところに約4,000万人、そして2GHz 帯のところに、9月末のTCAの資料であるが、30MHz の中に約650万人。KDDIにおいては、前回、小野寺社長が2GHz 帯をこれから使うということを明言された。「これから」、ということは、つまり今までは使っていなかったということを明確に示しているわけであるが、9月末のTCAの資料でも、2GHz 帯のところに音声の携帯電話の利用ということでは、数字が少なくとも空白である。つまりいない。お客様が今まではいない。つまり先ほどの車両で言えば、片方の車両にはお客様がいっぱいいるけれども、もう片方の車両にはお客様がゼロの状態。これをマルチバンドでいえば人口密度が、それぞれが半分になると意味である。ボーダフォンも2GHz 帯をまだスタートしたばかりということであり、800MHz 帯のところ、1.5GHz 帯のところに、23MHz 、ここに約1,500万人いるが、2GHz 帯のところはまだ26万人というのが実態ということである。
したがって、私どもは前回から一貫して主張させていただいているが、800MHz 帯、1.7GHz 帯それぞれにマルチバンドで同じイコールフッティングで利用させていただきたい。後ほどプレゼンがあると思うが、他社の資料の中に、パズルで空きがないと、移動できないという表現があるようだが、これは全く意味のない主張である。つまり先ほどから言っているようにマルチバンドであれば、青い車両、赤い車両両方にまたがってやるということは十分に技術的に可能であるということである。これは欧米それぞれやっている常識的な手法ということである。
したがって、今回のポイントだが、電波法の第1条に明確にあるように、この法律は「電波の公平かつ効率的な利用を確保することによって公共の福祉を増進する」、つまり、イコールフッティングでなければならない。これは法律に明確に書いているわけであり、これを犯すことは法律違反である。法律を犯すことになる。つまり電波に既得権は存在しない。これは明らかに法律に明確に書いてある。つまり既存の事業者の利便性を保つためとか、既存の事業者に迷惑をかけないためというように、まるで既存の事業者を人質にとったかのような形での表現というのは、大変誤解を生む。知らない人が聞くとまるでそれが本当のことかのように誤解をしてしまう。つまり、マルチバンドを使えば既存に事業者に一切迷惑をかけることなく、法律で定められているとおりイコールフッティングが実現できる。前回言っているように、80%のマーケットシェアを持っている2社、上位2社の既存の事業者、この10年間で40倍に市場が膨らんでいるにもかかわらず、この既存の2社が無理な主張をして、まるで既存の事業者を保護するかのような形で表現をし、マルチバンドの技術があるにもかかわらず、既存の事業者に迷惑をかけてしまうというかのような表現は厳につつしまれるべきである。このマルチバンドを使った形での公平な周波数帯のみというのを、単純に小学生中学生にもわかる算数の世界、まさにユーザ数が急に倍になるわけではない。既存の事業者から新規事業者に移れば既存の事業者のユーザ数がその分減る。これは競争の原理で当然のことであり、したがってその分はさらにその周波数の逼迫というのはトータルの事業者数を足しても変わらないということである。
他に、添付資料としてそれぞれの設問に対する当社の答えというのは詳しく書いてある。また、複数のメーカーにマルチバンドが安いコストで実現可能か、リーズナブルなコストで実現可能か、というようなことをいろいろとその後調べている。これらについても添付資料に詳しく添付してあるが、明らかに、これはすでに実現化されている技術で、かつ、NTTドコモ、KDDIの両者とも社長がこれを利用する、マルチバンドを自らも利用するということを明言しており、マルチバンドの必要性あるいは実用性ということについては、議論の必要性がないくらいの状況であるということである。
ということで、私どもとしては、明確に三段論法、これ以上言うことはないというくらい明確な主張をさせていただきたいということである。
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2) |
KDDI株式会社による意見陳述
小野寺代表取締役社長より、資料4-4に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
○ |
KDDI
まず、800MHz の周波数再編に対するKDDIの基本的な考え方について説明する。
周波数再編が必要であること、これは皆様が認められているとおりだと思っている。特に800MHz 帯の周波数は細分化されている。当社の使用帯域は15MHz になっているが、前回に説明したとおり、10MHz 、3MHz 、2MHz と細切れになっている。この問題と上り下りの周波数逆転の問題の解消というのは、まさしく携帯電話を始めたときからの長い歴史の中での課題だと考えている。KDDIは800MHz 帯において、すでに3Gサービスを展開しているが、当社がこの周波数の再編移行にかけるお金というのはだいたい5,000億円程度だろうと見積もっており、我々としては、この5,000億円の資金負担を行ってでも、周波数の再編をやりたいと考えている。
また、この周波数の再編により新しい周波数が捻出されて、これが新しい事業者に割り当てられることは当然のことだろうと思っており、我々は競争を促進すべきではないということを一切言うつもりはない。我々も新規参入として入ってきた1社であるので、競争によってお客様にメリットを出していくというのは当然だろうと思っている。ただし、既存のお客様をどう保護し、利便性を確保しながらやるというのが大前提である。これはまさしく電気通信事業法の目的、第1条に「役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益の保護」ということがはっきり書かれているところである。つまり、すでに使っているお客様の利益の保護をどう確保するか、これをしっかり確保しながらうまく移行していただくということが必要であり重要である。このことがまさしく事業法第1条に書かれている。
我々としては、すでにご利用いただいている1,800万のお客様の利便性をどう維持しながら、この周波数の再編をやるかということが大きな課題であると考えている。前回にも述べたとおり、これまで、いろいろなサービスを他の事業者が中止してきており、そのお客様を引き受けている。我々はそういうことで、お客様に迷惑がかからないようにということで、他の事業者の分も引き受けてきた結果、先ほど言ったように2MHz のような非常に幅の狭い周波数も我々のところで使わざるを得ない状況になっている。その一方では、世界最先端の高度サービスを提供して行くことを考えており、データ特化のEV-DOを入れることによって周波数利用効率を飛躍的に高めている。また、先端サービスを立ち上げた実績にとどまらず、今後も更なる高度サービスを推進していきたいと考えている。
それでは、KDDIとして一体どれくらいの周波数を必要とするのか、ということであるが、CDMA2000の固有のパラメータを適用してITU-Rの計算方法で評価すると、実は今年度末で20MHz ×2が必要になってくる。しかし我々は小セル化、データ専用方式等の導入等、可能な限りの周波数有効利用方策によりこれに対応してきているところである。ITU-Rの計算方法によると、最終的には30MHz ×2では周波数が不足すると考えている。これをどうするかということは、まさしく今後新しい周波数が出てくるとか、そういう中で新規の周波数をいただくか、もしくは、我々としてより周波数利用効率を高めていく努力を、社の中でしていくことになる。もう一つ、みなさんに言っておきたいことであるが、所要周波数は、通常端末によるトラヒックから算出しており、ITSであるとか、音楽であるとか、モジュールなど、「新領域のトラヒック」を収容する周波数帯域は含んでいない。従来、音声だけの帯域で十分だと考えられてきているわけであるが、我々はやはり、新しいサービスを提供し、より携帯電話を快適に使っていただく中で、より高速なサービスが必要になる。つまり、より広い帯域を必要とするということが言える。少なくとも今までのパラメータを前提に計算してもこのような状況になるのは間違いないということである。
当社の周波数利用計画であるが、ここにあるように、すでに800MHz 帯はほぼ満杯になっており、この800MHz 帯については、順番に移行させながら、その中で2GHz 帯についても当然のことながら、使っていかざるを得ない。2008年頃には、既存の800MHz 帯でかなりの部分をカバーしながら、2GHz 帯の方も一杯になる状況になるだろうと考えている。ここに書いてあるが、中長期的に我々の利用者は3,000万加入に達すると考えており、既にKDDIはこの2年間で500万純増の実績を持っている。したがって、3,000万という数は、今後難しい数ではないし、むしろ、いろいろな新しいサービスを考えると、3,000万という数字も従来型の携帯電話を中心とした数字であって、これにモジュールであるとか、ITSを考えてみたときには、数自体もっと増えるであろうと思っている。ここに書いてあるように、加入者当たりのデータトラヒック、これは今後も激増する。我々はEV-DOサービスを開始しているが、このWINのサービスでのデータトラヒックの実績は従来の1Xと比べて30倍である。2005年度上期に我々の携帯電話の加入数2,000万人と見ており、EV-DOの加入者数はそのうちの500万人と見ている。先ほど言ったように、EV-DOのトラヒックは1Xに比較して30倍である。これは将来的、2012年ころには、携帯電話の加入数が3,000万、EV-DOについては少なく見積もっても1,600万、半分強と見ている。このお客さん達が本当にもっとEV-DOの便利さがわかれば、これがもっと大きくなる可能性は当然ある。一方EV-DOのデータそのものについても、今が30倍だが、例えば着うたフルのようなサービス、これを始めると1Xに比較して60倍まではあがるだろうと思っている。
だいたい今まで携帯電話の業界では、我々の需要予測よりも非常に大きな数のお客様が入ってきており、需要予測が少なめだったという事実がある。この数字について、正直いって、私個人としては、EV-DOの加入数が1,600万であるとか、データトラヒックが60倍というのは、これはまだ少ないのではないかと思っている。しかしここでは、一応こういう見積もりをしている。このような控えめな見積もりをしただけで現800MHz 帯の15MHz ×2の約3倍の帯域が必要になる。45MHz 程の帯域が必要になると見ている。
それでは、これまでどのような周波数有効利用施策をやってきたかということだが、まず、新技術の導入をしてきている。ご存じのとおり、我々はセルラー、IDOの時代にアナログで参入している。当時、NTTとは別の方式のいわゆるTACS方式で参入した。どこの業界でもそうだと思うが、同じ技術で参入するのであれば、正直後から参入した方が有利である。これは開発コストがかからないからである。我々はあえてTACSで参入した。PDC、これはみんなヨーイドンだったため、これはこれで結構だと思うが、PDCについても我々から見ると技術的な問題がいろいろあり、それをNTTが中心となって解決してきた。ただ、PDCは日本独自の方式だったということで、我々はcdmaOneを入れた。これは95Bと言われているものである。この95Bによって周波数の利用効率をPDCより上げ、さらに1Xを導入し、音声でいうとほぼ倍に利用効率を上げている。今度は音声よりもEV-DOのようなデータが中心になってきているので、EV-DOを入れている。
容量対策のための基地局も増設してきており、人口集中地域では、局間距離限界まで置局している。800MHz 帯の場合にはだいたい300mが限界である。先ほど孫社長の方から800MHz 帯と2GHz 帯なり1.7GHz 帯の話があったが、はっきりいって、指摘しているとおり、伝播特性上、ルーラルでは差はある。ただしコスト差がどれだけというのは後ほど説明するが、むしろ人口集中地域では、必ずしも周波数が低いから有利ということではなくて、周波数が高くても全く問題ないということを今まで話してきているとおりである。これはどっちが調整しやすいかというと、PHSを見れば明らかだが、方式をどう使うかと言うことだけであり、800MHz 帯が有利、1.7GHz 帯が不利とか、800MHz 帯が有利で2GHz 帯が不利と一概に言えるものでは絶対ない。是非その点を考慮いただきたい。
3番目であるが、深夜トラヒック閑散帯の有効利用ということで、WIN、これはEV-DOのサービス名称であるが、ここでEZチャンネルというサービスをやっている。これは深夜の空き時間帯に、プリダウンロードということで、お客様に深夜にダウンロードしていただく。朝起きたときに、もしくは通勤の途中、通学の途中で見ていただこうというサービスである。つまり、トラヒックは年がら年中いっぱいなわけではなく、深夜帯、特に日本の場合には、午前1時以降になってしまうが、午前1時から午前6時くらいまでの間には、トラヒックが空いているので、ここを最大限に利用して有効活用しようというのが、我々のEZチャンネルのサービスである。
4番目として、ベストエフォート型のデータ配信ということで、EV-DOによって、我々は初めて定額制を実現した。このような定額制というのは、日本ではもちろん初めてであるし、海外でも定額制を導入されている事業者は少ない。我々が新しいサービスをどんどん入れることによって、この日本の業界、我々だけではなくて、電気通信の周りにいる企業、特に今この定額制でコンテンツ・プロバイダーに利益がもたらされている。コンテンツ・プロバイダーから見ると、いいコンテンツを提供しても、トラヒックチャージが高ければ、誰も見てくれない。定額制になったので初めていろんなコンテンツが提供できる。今回我々が着うたフルを始めたのも、まさしくその通りである。
このように新しいサービスで、新しい産業を興していくことが、我々のような電気通信産業の中では非常に重要である。値下げ競争だけでやって、シュリンクさせていくのがいいのか、それとも新しいサービス競争によって、お客様を増やし、日本全体の経済発展を期すのか、ここは非常に大きな問題だろう。単に低価格競争で業界全体をシュリンクさせることが、将来としていいのかどうか。これは是非検討いただきたい。また、我々がここまでお客様の数を伸ばせたのも、むしろこのデータサービスや新しいことをやって、新しいお客様の層を開拓し、それによって産業にも貢献しているからだと思っている。
我々のサービスの中では、ここでは指摘していないが、いわゆる車に積むためのITS向けの装置とか、最近あまりいいことでは話題になっていないが、GPSのいろいろなサービス、我々以外のところでやっているサービス、こういうサービスが先駆的に出てきている。これまでKDDIが先行的に提供したサービスとして、EZナビゲーション、EZムービーから今回の着うたフルまで、すべて書いているところである。このように周波数利用の有効利用を図りながら、新しいサービスを入れてきたということが、我々の今までの経緯である。
今後も新しいサービスの積極的な導入を予定している。周波数については、先ほど話したとおり、明らかに逼迫しているのは間違いない。
次に800MHz の再編、これについて我々がどう考えているということだが、800MHz 帯の再編というのは、これは正直いって、KDDIの経営だけ見たら、こんなことはやりたくないというのが本音。なぜならば今でもお客様に特に支障なく十分ご利用いただいている。しかしながら、日本の将来、この800MHz 帯の再編をやらなければ、周波数問題が解決しないということは明らかである。したがって、我々はKDDIだけでも5,000億円をかけて2012年までの再編期間、それまでに周波数変更を実施したいと思っている。どこにどれだけかかるかというのは、詳細については、ここでは言えないが、新しい800MHz 帯用に伴うインフラ及び端末のコストがかかる。それと、やはり大きいのは、既存の800MHz 帯の巻き取りにかかるコスト、これが結構かかる。デュアルバンドを導入すれば簡単ではないかということを言われたが、我々にはPDCの例がある。我々はPDC、それからTACSもやめている。これは社の意志でやっているので、とやかく言う必要はないが、しかしながら社の意志で計画的にやっても、かなりのお金をかけているのは事実である。ここにあるように、800MHz 帯のPDCの巻き取り時の費用は、総計で1,900億円かけている。この1,900億円のうち、約560億円が実は経費である。残りは設備の除却費用である。これは並大抵の金額ではない。我々は経費に560億円かけているが、これは後ほども説明するが、どうがんばってもお客様はある程度最後まで残ってしまう。こういうお客様について我々は強制的というと語弊があるが、我々が無償で端末を提供してでも協力していただくわけである。それでも非常に難しいということである。既存の事業者は、800MHz 帯に移行先周波数として、15MHz ×2が確保されるということを前提に新規割当周波数捻出のための周波数縮退と、多額のコスト負担をして周波数移行を行おうという訳である。ここは是非考えていただきたい。我々にとって、5,000億というのは、だいだい1年半分の経常利益がふっとぶ金額である。それだけのコストをかけるということを。
周波数再編というのは、これは国家的プロジェクトである。しかしながら、既存事業者の多大な経済的負担で実現しようとしている。KDDIはその負担を覚悟の上で、プロジェクト完遂に協力するものである。我々は放送事業者のようにデジタル化のために国の金を使うということをしていない。我々は自分の費用でやろうと思っている。
さて、どんな風にして周波数再編をやるのかということであるが、これは我々が説明するよりは、むしろ総務省が再度きっちり説明した方がいいかと思うが、現状は、このような周波数再編になっている。この中で、先ほど私が言ったここが3MHz 、ここが2MHz 、ここが10MHz 。現在このような周波数配置になっている。10MHz は当初我々がアナログサービスを開始するときにいただいた周波数。ここの3MHz は、いわゆる日米通信摩擦で追加で割り当てられた3MHz 。ここの2MHz 、これは前回の資料を見ればわかるが、東京湾マリネット、関西マリネットがあったが、これが事業不振でやめることとなり、その時にお客様に迷惑をかけないように我々が引き取りながら、結果的に周波数2MHz がここにきた。ところが、この3MHz 、2MHz については、非常に電波的には問題がある。一番の問題は、パーソナル無線による不法電波の問題である。これについては当時、郵政省と協力して、我々はパトリオットシステムという名前をつけたが、こういうものをもって撃退までやってきた。その結果として再編された後はこの形になる。PDCを返したためにここをうまく移行のところで使っていこうというのが、今回の選択である。
パズルゲーム、まさしくパズルゲームであるが、空きがなければ動かしようがない。空きがあるから順番に動かして最終的には2012年にドコモと我々で800MHz 帯をこのようにきれいにしようと。その上で、我々はすでにPDCを返している。ドコモも返す予定のようであるが、こういう形できれいに整理しようとしている。
そこに、途中で入りたいと言われても空きがない。PDCで返したところをメインで移行のために使う。しかも上下逆になっているから5MHz のガードバンドが必要。技術的なことを考えたら、これはありえない。これははっきり言った方がいい。ソフトバンクの10MHz をここに入れてしまったら、整理のバンドはここしかないわけである。ここは、もともと我々がPDCで空けたバンドを中心に順番に、ここを移行帯域として使っていこうとしていたのができなくなる。ここにあるとおりである。これをやるためにはまずドコモが削減しなければいけない。ドコモができるのかどうかわからないが、それ以上に次の段階に行けなくなる。KDDIが815〜825MHz を使えない。今ソフトバンクが言っているのは、一番最後の段階でクルッと入れ替わるということ。そんな話はできない。クルッと周波数を入れ替えることは1年間の間に全部の端末を入れ替えろと言っているのと一緒である。こんなことはできない。やはり既存利用者の利便性への影響、これをきっちりと考えていただきたい。これがまず第一点である。
二点目。800MHz 帯に新規参入事業者が参入した場合に、既存の事業者の再編の、800MHz 帯の利用開始時期が遅れて、2012年の再編直前の短期間で、今言ったように、利用者の対応端末の強制切り替えが必要になる。PDCの例で言うと、お金を560億円、1年間の期間をかけて、140万人の利用者のCDMAへの移行を計画的にやった。しかしながら、最終的に3万5千人残った。これはもう連絡がつかなかった。我々は最大限の努力をしたが、この方々には連絡がつかず、やむを得ず、その点で、サービスを停止せざるを得なかった、というのが一点。
もう一つは、再編後、利用開始の期間というのは一定期間、周波数の変更工事が必要であり、800MHz 帯はサービス停止をせざるを得なくなる。KDDIだけで少なくとも1,800万人に迷惑をかけるということを指摘して話を終わる。
なお、デュアル端末はここにあり、これはトリプル端末であるが、何でこれをすぐ使わないかというと、はっきり言ってコストが1,300円高い。これは国際ローミング用に我々が提供しているもの。あるところでは「コストが安い方がいい。」と言い、あるところでは、「多少コストが高くても構わないのでこっちがいい。」と言うのはおかしい。コスト議論するならば全部安い方がいいわけで、その点も考慮いただきたい。 |
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3) |
株式会社NTTドコモによる意見陳述
中村代表取締役社長より、資料4-5に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
○ |
NTTドコモ
800MHz 帯を中心に話をさせていただきたい。宿題についても、この中で話をさせていただく。また、意見の骨子であるが、最初に書いてあることは、当社の電波の有効利用の観点から、いわば前回も説明したように都市部、山間僻地について、小セル化、ハーフグレード化をやりながら、高い周波数効率を達成してきている。骨子の中身については、その都度説明させていただく。
800MHz 帯に関する当社の考え方は、あくまで再編であるということ。KDDIも言ったように、700/900MHz 帯を空けようと、効果的に利用するために800MHz 帯を整理する。それから、800MHz 帯自体がまだら状態であり、そして上り下りが世界と逆であり、こういう形で干渉の問題が諸外国と出てくるということであり、これを整理しようという目的でやっている。
こういう目的のために多くの組織や専門家が参加して3年以上に渡って、これどうやるのかということを検討してきて、私どもも参加してきた。当社としても58MHz 、29MHz ×2の上り下りを持っていたが、当然ながら15MHz ×2と、30MHz ということで整理縮小するということに同意している。このために非常に膨大な数の既設基地局の周波数の配置換えを行わなければならないということで、再編に向けては引き続き議論するつもりである。
800MHz 帯を空けるということは、当然2GHz 帯の方に対する技術開発、それから設備投資を実施していく。さらに再編の確実な実施、残り4,000万程のPDCのユーザをFOMAへ移行しなければならない。こういうことなので、このために2GHz 帯に加えて新たな周波数帯における周波数の確保が必要と考えている。
それから、800MHz 帯、これを今後相当な期間全国的に面的に使うという事は困難な状況。周波数の変更作業を行いつつ、都市部のスポット的なところ、特定箇所において使用することは可能であるので、それについても後ほど説明する。
最初に周波数の効率的利用の現状であるが、私どもの現状はどうなっているかというと、全帯域で言うと、MHz あたりの加入数は48万加入である。2GHz 帯は始めたばかりであり、23万人で700万程度であるが、これに伴う端末は1,000万と考えている。それでもまだ低い状況と考えている。800MHz 帯、1.5GHz 帯も混ぜて言うと、すでに58万というような数になっている。そういった意味でもかなり有効な利用となっている。
主要国との比較ということで、先生からアメリカと中国はどうなっているかということがあったが、左下の図を見るとわかるように、中国、アメリカは周波数効率が非常に高いという状況になっている。ただ、両国とも国土面積が日本の25倍あるということであり、ある意味では各主要国のコストを考えてみればいいが、周波数の繰り返し利用が行われているために、結果として高い数値となっている。そうはいっても、ということで、右に都市別の人口密度の高い都市、これは国連による最大都市圏という表現で出ているが、これを比べてみると、東京では一都三県ということ、韓国(ソウル)、パリ、ドイツではそちらに書いてある地方。イタリアはミラノ、アメリカのニューヨーク、中国の上海、比べてみると、都市部における電波の有効活用という面では、かなり日本は高くなっているということである。
それからもう一つ、周波数有効利用のための小ゾーン化ということを、各社ともにやっているが、実際に東京23区でいうと、こういうメッシュ状況になっている。こういう小ゾーン化を実行してきているということ。周波数の有効利用を図るために規則正しい周波数配置が一番有効であるが、そんなわけには全然いかない。場所的なトラヒックの集中、基地局のロケーションの問題、こういったものもあるので、実際には不規則な配置になって工夫しながらやっている状況。例えば新宿周辺の基地局の半径でいうと、もう100mのところもある。そうすると、小ゾーンで移動している最中だと、次を捕まえてしまうということもあり、もうハンドオーバーが追随できない。そういったこともあって、方式的にはかなり限界に近いという感じである。
それから、高度な周波数配置設計や、アンテナ方向の最適化という形で調整に膨大な稼働を費やして現在、需要に対応している。それでも桜田門といったところは、もう干渉でどうにもならないと皆様から苦情をいただいているが、いささか干渉で手に負えないというところが現実に出てきていることは間違いないところである。
三番目に周波数はどういう風に、ということで我々が口を出すことではないが、概要を述べると今話題になっている800MHz 帯については、現在800/900MHz 帯でPDCを利用しているのを、2012年までにきれいにしようと。そして700MHz 帯は現在アナログテレビが使っている周波数であるが、これもやめて、そして700/900MHz 帯をきれいにするという大目的のためにやっていることである。1.5GHz 帯、これは携帯電話とMCA、いわゆる現在これらのために使用されているが、将来の高度化に適する配置にはなっていないということもあり、将来的には再編が必要だと考えられている。
1.7GHz 帯、これは公共業務用システムの移行に伴って、2006年度から使用可能ということである。2GHz 帯については、将来的にもIMT-2000の使用バンドということで、3社に利用が割り当てられているところである。TDD方式としては、2GHz 帯及び2.5GHz 帯が検討されているが、2.5GHz 帯については、TDDのデータ専用としての検討もなされている。このうち、実際に使用できるものは、1.7GHz 帯のFDD、2GHz 帯のTDDがもっとも早いタイミングで2006年度から全国的に使用可能という状況にある。
これまで800MHz 帯の周波数再編にどういう取り組みをしてきたのかというと、くどいようだが、700/900MHz 帯をきれいにしようというところからこの話は出てきており、地上テレビのデジタル完了時期に合わせてやっていこうということである。基本的には高帯域を使用する無線通信方式が使用可能とするためにぐじゃぐじゃに細分化されたものをきれいにするということ、それから諸外国と上下逆になっている電波枠について、諸外国と整合性をとる形にするということである。現実に私どもも、九州は韓国と干渉しあっており、実際問題、日本側で周波数帯を止めている。このような状況になっている。
再編までの道のりであるが、これはある意味で国家的プロジェクトであり、単なる事務方の作業をやってきたのではない。多くの方が、総務省をはじめ携帯電話の事業者、放送事業者もメーカー会社も、学識経験者の方々も、多くの人たちが集まってやればなんとかなるのではないかと、こういうことをやってきたわけで、34組織、200名近くの人達が関わってきた。その場も情報通信審議会、あるいは調査検討会、こういったところがやってきたわけであり、ドコモとしてもこれに対して強い協力をしてきているし、いわゆるテレビの周波数変更対策というのは、これは実は電波利用料、事業者が払う電波利用料が使われているということである。
これから先どうするか、ということだが、私どもとしては、本当を言えば800MHz 帯で50MHz 程度は使用可能だったということであるが、これはまずいだろうということで、800MHz 帯をきれいにするということで、2GHz 帯の方に移ってきたということであり、58MHz のうち30MHz に削減することは当然受け入れているものである。そのために、2GHz 帯のFOMAの積極的な技術開発と設備投資を実施してきた。そして再編以降の800MHz 帯を使用可能とするPDCのFOMAへの移行状況、どの程度FOMAへ移行してくれるのか、3Gへ移行してくれるのか、それから他の無線システムをどういうふうに移行させていくのか、こういったものを考えながら、周波数の配置換えを行う必要があるということで、本当は空きがあるというわけではない。電波を5MHz ずつ停波しながら順々に移していくという作業がいるのであって、電車のようにそんなに簡単にいくわけではないということを是非ご理解いただきたい。
次の表は単に情報通信審議会、それからARIBでやってきたものについての参考である。
それでは、800MHz 帯が一体どういうことになるのかということだが、これはすでにKDDIから話があったが、現状はこういう形になっている。これは800MHz 帯しか書いていないが、右側に900MHz 帯があって、私どもは上りとしてこのまま、800MHz 帯として24MHz 、さらにこれをこういう形にしましょうということで、1)2)3)4)5)6)というのは、上に対応している。案では1)2)3)がKDDI、ドコモが4)5)6)を使うという形で整理をしようということにしている。下の図は最後にどういうふうで使われるのかということだが、1)2)5)6)、これは最後まで、2012年の最後の整理まで全く使えない。仮に使うとするならば3)4)があるということだが、これも面的には全く使えない。面的に使えるのは、もしうまくFOMAと3Gへの移行ができれば、2010年頃に面的に使える可能性は若干出ると思うが、干渉をさけながらスポット的に使うことは可能だと、これが2007,8年頃から可能ではないかと考えている。それから、2010年くらい、これは他のところがどいてくれるのかというところもあり、いわゆる3Gへの移行がうまくいくかということもあるが、この部分についてはかなり利用場所が増やすことができるのではないか。こういうような状況にある。
これは都市部であるが、いわゆる山間僻地のルーラル地域については、帯域をまるごと使おうという訳ではなく、空いたところについて入れていくということであり、町役場とか村役場とかいったところについては、すでに2GHz 帯で対応している。それから、さらに奥に入った集落、こういったところについて、このやり方で使えないか、うちの方が都市部に使っているけどローカルに使っていない部分、それから逆にルーラルの方はKDDIが使っていない部分、こういったところを探しながら、ルーラルで800MHz 帯を若干使えるのではないかということであり、ルーラル、ルーラルといってもそういう意味であって、5MHz 帯域丸ごと使うとこういうことではなくて、工夫しながら使っていけるのではないかということである。したがって、両方のところを同時に持っていて、さらにくれという話ではなくて、食べられる饅頭は一個しかないということであり、その食べられる一個もいつ使えるのか、食べるまでに時間がかかるということである。
800MHz 帯を途中からどういう風にスポット的に使うかということであるが、上の図は上り下り両方あって、W-CDMAというのはご存じのとおり5MHz を単位として使っているので、その中で細分化はできないが、仮にFOMAの下り回線をそこで切るということになると、当然ながらFOMAの5MHz 分は使えなくなるということだが、逆にそれだけでは済まずに、FOMAの上り回線についても9MHz 分停波しなければ駄目だと言う形である。停波が必要なPDCの周波数というのは、上り下り、干渉があるので、非常に大きな停波をしなければ止まらない。ただし、スポット的に使うというのは、こうしなくても、いろいろな施策がされているので、10数局程度の電波の調整をすれば、なかなかそれも難しいが、干渉しないようにしながら、部分的に、スポット的に利用していこうということであり、ある意味でいうと3Gの周波数逼迫対策に対して、特に都心部、東京23区の限られた場所、こういったところで使えるということであって、全面的に都市部でこれらをするというのは停波をしなければダメだということである。ただ、スポット的にはいろいろ工夫しながらやれる余地があるということである。
最終的に電波はどれくらいいるのかということだが、私どもも4,000万ユーザの残りを2012年までにFOMAに移行しなければならない。とりあえずここでは1MHz で50万人というかなりMAX的な要素だが、50万人と仮定して計算すると、18年度までに80MHz 、20年度に100MHz の周波数帯が必要になると考えている。これが赤い点線の中のことである。電技審のトラヒックモデルによればその直線の図ということだが、そこまでは出していない。
一番最後に、上の方に書いてあるが、2GHz 帯、1.7GHz 帯、800MHz 帯でさらにもう少しどこかを工夫して、1.5GHz 帯なりを工夫していきながら、これらの課題であるけれども、やっていく必要があると思っている。
これから先は回答であるが、使用されている周波数の集約、移行についてということだが、前回と同じであり、現行ユーザへの継続的・安定的なサービスのためにやっていかなければならないので、適切に周波数帯が確保されることが必要だし、今まで話したとおりさらに追加の周波数が必要である。
二番目であるが、周波数移行後の周波数のあり方については、再編移行のために利用されるべきものであり、新たな周波数割当の対象とは考えていない。
新規事業者に対する周波数の割当てということについて、いわゆる今までのユーザに対して必要となる周波数が確保されることを前提として、新規事業者が周波数割当を行われることに対しては全く反対するものではない。
三番目は同じ、選定基準については変わっていない。周波数の逼迫度及び利用効率の評価についても前回と変わっていない。
携帯電話用周波数に関する検討事項の中で、ご指摘があったように2GHz 帯と800MHz 帯はどう違うのかということについては、都市部とルーラル・山間僻地の設備の規模は違う。設備コストは1対0.3くらいでルーラルの設備投資コストは1/3くらいだと思う。ただ、これは2GHz 帯でも800MHz 帯でも別に装置に大差はない。ルーラルにおいてPDCの実績から言うと、都市部が2、ルーラルが1くらいの規模である。それからルーラルの電波では、2GHz 帯と800MHz 帯で1:2くらいの差があると思っている。ただし、いわゆる面的にみると1:2というのは4倍に上がるが、だいたい山間僻地は道沿いになっているので、4倍まではいかない。我々のシミュレーション、2GHz 帯のシミュレーションでも2:2くらいだろうということで、全体的にみると総費用としては、それを掛け合わせると、全国展開した場合には約15%程度設備コストに差がでるだろうと計算をしている。
マルチバンド。これは争点ではないと思うが、基本的にはマルチバンドは、電波が逼迫しているのでやむを得ずやるということで私どももやる。これに対して反対しているわけではないが、コスト的にどうだということになると、3ドルではないだろう。ネットワークの装置でいうと、アンテナの部分だが250万程度、全国1万局とすると250億円。それから移動機の方だが、これはチップだけではなく、デバイスとかシンセサイザの広帯域化とか、アンテナの2周波の対応とか、私どもの算定では1.500円くらいになるだろうと思っている。これは実績からであり、これからどういうふうに安くなっていくかはちょっとわからない。ただ、私どもは2,700万台電話機を市場に出しているので、これだけでも毎年400億円くらいのコストが増になっているということがある。これがいい悪いではなく、こうしなければならないということであり、これ以外の道はない。
最後に、資料としては出していないが、我々は3Gのネットワーク構築のために今年度末までで、すでに1兆4,000億を費やしている。また、研究費が4,300億円かかっている。しかしながら、今は、基地局設備は1/4〜1/5に落ちている。それから屋内の基地局も1/2〜1/3になっている。端末に至っては半分程度になっている。新規の事業者は数千億円でネットワークができる。こういう話は、それが可能であるなら、それはこのように安くなった、事業者やメーカーが努力して安くなったということであり、ある意味でいうと、先行事業者を上においてできるということであり、その点は、是非ご理解いただきたいし、全く否定する立場ではないが、NTTドコモにとって3Gはイバラの道であり、最初の2年間はユーザが100万しか増えなかった、ほとんど死んでいたという状況だった。したがって先行事業者がこのようなリスクをとって3Gを開発したことについて、頭の片隅にいれておいていただけると幸いである。 |
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4) |
イー・アクセス株式会社による意見陳述
千本代表取締役CEOより、資料4-6に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
○ |
イー・アクセス
我々の基本的な考え方は、結論からであるが、FDD方式については、1.7GHz 帯が準備されているが、新規事業者が複数、2社を10MHz ×2、これだけ割り当てていただきたいというのが第一点。第二点目の結論は、何よりも消費者の利益を考えて、新規事業者が2006年にはサービスを開始できるように電波を割り当てていただきたい。つまり、2006年というのが、一つのポイントである。第三点は既存事業者の使用している800MHz 帯の移行と集約先はこれまで、KDDI、NTTドコモといった通信のプロの意見を聞いていても、800MHz 帯という総務省の当初の案とするのが現実的で、妥当ではないかと考えている。また、1.7GHz 帯については、新規事業者のみを割り当てていただきたいということ。さらに、マルチバンドについても、これは新規事業者にとっても現実的に設備投資がかなり多大になるという意味で、現実的ではないと考えている。以下、それぞれの点について説明させていただきたい。
まず、第一点のFDD方式の導入については、これまで、1988年の競争導入以降、移動体通信分野の新規事業者というのは、同じ方式技術で同時に最低でも2社、ここに書いてあるように89年、94年、95年を見ても新規事業者というものが複数導入されている。これが消費者にとっても大変効果のあった導入のモードであると考えている。従って、今回の新規参入についてもFDD方式で最低2社を認めるべきであろうと我々は考えている。また、私どもが前々回説明したとおり、新規事業者には10MHz ×2の割当が適当ではないかと思っている。
次に、モバイルの変化として書いてある3ページであるが、1994年にデジタル方式が実用化された際に2つの会社、デジタルホンとツーカーの2社が、新規参入が認められている。その新規参入によって、消費者はもちろんのこと、事業者、メーカー、この3者ともメリットが享受できている。それがまたさらに消費者に対してメリットをもたらすという、ある意味でいいWIN、WIN、WINの循環ができあがっていた。2006年に新規参入がもし認められるとすると、この循環が、再現されるのではないかと考える。1994年は2社の参入の他に制度的な変更があり、これは端末の売り切りということが実現された。これは大変大きなメリットを消費者にもたらした。2006年には、これから予定されているが、携帯電話の番号ポータビリティが導入を予定されている。1994年の新規参入において、携帯における音声のデジタル革命が起きた。おそらく2006年には新規参入が認められれば、今度はモバイルブロードバンド革命が起きるのではないか。是非とも日本としては世界に先駆けてこういったモバイルブロードバンド革命を起こして消費者の皆さんに多大なメリットをもたらすというふうにやるべきだろうと思っている。
次に、新規参入が複数であることのメリットであるが、私どもは、競争促進、料金低下を進めるためには、既存事業者との競争、それと、新規事業者同士の競争が重要である。デジタルホンとツーカーフォンが非常に競争した、あるいは、セルラーとIDOが競争した。こういったことが消費者に対して非常に大きなメリットをもたらしている。もし新規事業者が1社だとすると、既存事業者より多少安い価格で参入すればそれで十分だということで、2社以上ある場合には、新規事業者同士の競争が起こって、料金は歴史的にみても大変よりよく下がっていく。現に日本の長距離料金、これは新電電3社が1987年に参入したが、複数であったがために、独占時代の1/10程度まで、現在では下がっている。携帯電話でも、複数者の参入によって料金が1/3以下になっている。現在を見てみると携帯の料金が下げ止まりになっているが、この移動体通信の新しいブロードバンド時代において、さらに競争の導入は複数者でやるべきであろうと考えている。
次に、基本的な考え方の第二点であるが、2006年はどういった年かということを検討すると、一番目は移動体通信事業にとって、総務省の方針によって、1.7GHz 帯の周波数帯が開放される年。これは10年ぶりのことであるが、これは大きなエポックメイキングである。第二番目は携帯電話の番号ポータビリティ、これがなかなかまだ実感していないことであるが、これは大変意義のあることで、これが2006年になされるということは、日本にとって極めて大きなインパクトを与える年ではないか。
三番目には、そろそろ、今から2年後には、高速のブロードバンドサービスが非常に革命的に大きくなってくるだろう。そういうものを時代的に感じているところである。こういうことを考慮した場合には、2006年には是非とも、新規事業者がサービスインできる、つまり2年後くらいには新しい事業者がそこで競争状態が起こる、スケジュール的にそういうことを実現できるというのが、消費者にとって非常に大事なことではないかと考えている。移行・集約、割当てで考慮すべき要素が書いてあるが、これが第三の基本的な考えだが、本件は、ちょっと複雑なので、順を追って説明させていただく。
まず、周波数の移行・集約で考慮すべき要素について3つのものを考えるべきであろう。第一番目は、時間の問題。二番目にはイコールフッティングの問題。これはかなり議論されているが、我々はちょっと違った立場からイコールフッティングの問題を考えたい。最後には周波数の効率的な利用。この3つの点を考えていきたい。
まず、第一番目のスケジュール・時間の問題だが、800MHz 帯の再編は、今、KDDI、NTTドコモの話を聞いていても極めて複雑、単に通信事業者だけではなく、放送事業者も巻き込んだ非常に複雑なプロセスで、その作業にはかなりの時間がかかるのではないか、これは私どもも想像される。具体的な時間については、すでに当事者であるKDDI、NTTドコモがかなり詳しく説明しているので省くが、聞いている限り、複雑な手順を踏むと、800MHz 帯における新規参入は、起こるとしても、実際は2012年くらいでやっとできるのではないか。それまでの間は再編の複雑なプロセスが必要になるのではないかと考えている。2006年に新規事業者が事業を開始し、消費者の皆さんに新しいサービスを開始したいということを考えると、800MHz 帯を新規事業者に割り当てるというのは、現実的に極めて難しいというのが、私たちの考えである。
さらにイコールフッティングについて、私どもの考えている原則を話すと、原則論としてイコールフッティング、これは理想として守られるべきである。イコールフッティングはできる限りにおいて新規事業者、それからあらゆる状況においてイコールフッティングを担保するというのは正しいやり方だと思う。ただし、イコールフッティングには2つのモードがあって、既存の事業者と新規事業者のイコールフッティング、もうひとつは新規事業者と新規事業者のイコールフッティング、2つある。周波数割当での既存と新規のイコールフッティングというのは、今まで議論されているが、歴史的な経緯があり、そのプロセスを考えていくと、そのまま瞬時に実現するというのは現実的に極めて困難だろうと想定される。ただし、新規同士のイコールフッティングというのは、これから設定されるのであるから、絶対に担保されるべきであろう。このことを次のスライドで説明したいが、新規対既存の周波数のイコールフッティングというのは、これは理想的に望ましいことだということは私たちも認めるが、ただしそれがすべてではない。周波数のところだけでというのは、どういうことがあっても歴史的に既存の事業者が出てきて新規事業者が出るというプロセスを考えると、いつもそこのところでシャッフルするというのは歴史的に考えても非常に難しいことではないかと考える。調べた範囲だけでも電波の到達距離が、一般的に1.7GHz 帯あるいは1.9GHz 帯というところは短くて、そういったところでもマーケットシェアを確保している事業者がいる国がいくつかある。
例えば一つは韓国であり、これをみていただくと韓国のSKテレコムというのはもともと独占のNTTドコモのような移動体通信事業者だったのだが、このSKテレコムは800MHz 帯を独占して使用している。第二位のKTF、これは新規参入であるが、第二位のKTFは1.7GHz 帯という大変高い周波数を使っている。そうであるにもかかわらず、KTFは31%、かなりシグニフィスタントなシェアをとっている。SKテレコムはもともと独占的に使用していた立場だったが、これは歴史的にみてもかなり善戦しているのではないか。つまり周波数が高くとも、効率的な経営を進めてかなりのマーケットシェアをとっている。
次の例は、英国であるが、英国ではこの例がもっと顕著に出ている。GSMを使用している1,800MHz 帯使用事業者と900MHz 帯を主に使用していた独占的な事業者の間のシェアというのはほとんど1/4ずつになっている。これはどうしてこういうことになったのかということはいろいろあるが、ひとつの要因は、黒川先生が積極的に進めた番号ポータビリティが1999年において英国ではすでに行われており、つまり番号ポータビリティを入れることによって、高い周波数帯域を使っている新規参入というものもそれなりにきちっとした地位を築いている。競争政策がうまく働いている成果である。是非とも我々は2006年の番号ポータビリティを確実に日本でもやるべきだと思っている。
いずれにせよ、周波数が高いから、そのまま不利になるとは一概には言えない要素がある。それは、次に書いてあるが、むしろイコールフッティングというのは、周波数の領域においてのみイコールフッティングを担保しようとすると歴史的に非常に難しい問題がある。むしろ、同じ周波数だけではない他の政策を、公正競争を担保するために既存事業者が必ず新規事業者をローミングさせる、これはアメリカとか英国でやっているところが多いと思う。2つ目は、例えば、既存事業者の鉄塔や設備というものを、ADSLでもやらしてもらったが、そういうものに対して使用させる。それから最後には、繰り返しになるが、番号ポータビリティの開始時期をきちっと担保する。こういう3つのことを考えるべきである。
したがって、800MHz 帯を新規と既存に平等に割り当てることのみがイコールフッティングの要請ではない。もう少し広く新規参入に担保、奨励策を考えるというのが世界の大きな流れと考える。
一方、新規事業者同士のイコールフッティングについては、これは同じ条件で競争させるべきである。周波数の違いが設備投資に直接影響することから、新規は同一周波数帯で同じ幅で割り当てるということを原則とすべきである。これは1.7GHz 帯のFDD方式で10MHz ×2を新規2者に与えることによって、現実の解になるだろうと考える。
最後に周波数の効率的利用については、端末はともかく、設備投資の面から考えると、新規事業者にとっては、単一の周波数帯で10MHz ×2の周波数を使用する方が、基地局を二重に打つマルチバンドに比べると、これは設備効率、設備投資がはるかに効率的である。これはすでにKDDI、NTTドコモが後ろの方で承知されているが、これは我々の計算によっても、単一で与える方が効率的である。すなわちマルチバンドは設備投資の観点から新規事業者にとって現実的ではないということである。
以上の議論から、今回2006年の新規事業者による移動体通信分野の競争促進を考えた場合、800MHz 帯は、総務省の考え通り、新規参入への割当ては行わない、700/900MHz 帯という新たな周波数帯が開放されることになっている2012年に議論するのが一番妥当ではないか。第二番目のポイント。1.7GHz 帯については、新規参入のみを2社、10MHz ×2を割り当てるべきだろう。そして三番目。マルチバンドは新規事業者にとっては非効率である。新規事業者は、1つの周波数帯、すなわち開放される1.7GHz 帯を割り当てるべきである。
以上、こういった我が社の基本的な考え方に基づいて検討事項の1つ1つ簡単に話したいが、検討事項の第一、携帯電話用として使用されている周波数の集約・移行については、すでに繰り返し述べたとおり、800MHz 帯は総務省案どおり、1.7GHz 帯は新規参入のみ、こうすべき。次に新規事業者に対する周波数の割り当てであるが、これもすでに述べているが、新規は1.7GHz 帯に2社、10MHz ×2を割り当てることが妥当と考える。次に新規事業者の必須条件と選定基準であるが、これは前々回私が述べたように、これは既存の3社の第三世代携帯電話の免許条件に準拠した形、これが国際的にも正しいやり方と考える。
競願の場合の選定基準についてもすでに述べた。通信事業に経験、通信事業者としての管理実績、顧客をきちんと管理しているか、事業計画の実現性がちゃんと担保されているか、実証実験等で技術力が保証されているか、それから、健全な財務基盤を担保できているか、ということである。
最後に周波数の逼迫と利用効率の評価については、第三世代携帯電話の導入時に公の場ですでに議論されており、公開されているものがある。それが、根本的な基準であり、当然今後もそうであるべき。ただし、技術の飛躍的な進歩に伴って、新しい技術が導入されたり、当時は想定されなかったユーザの新たな使い方が出てきた場合には、その部分は新たに公開して、公の場で議論してアップデートすればよいのではないかと考えている。 |
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5) |
アイピーモバイル株式会社による意見陳述
杉村代表取締役より、資料4-7に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
○ |
アイピーモバイル
意見陳述の骨子として私たちは4項について重点的に提案させていただく。まず、順を追って説明させていただく。
まず、集約・移行であるが、現在、携帯電話用の周波数として使用されている周波数は、800MHz 帯、1.5GHz 帯、2GHz 帯となっているが、利用者がこれらの周波数帯に対応した端末をすでに免許を交付し、サービスを受けているので周波数を変更するときは当然それらの端末は使えなくなる。周波数を変更するとなると、そうした混乱を避けるため、十分な準備期間を置き、端末の交換を推し進めるなど時間的にも費用的にも大変大きなコストが発生する。したがって、周波数を安易に集約・移行するということはあってはならず、それを実行するためには、十分かつ正当な理由が必要になると思われる。
集約・移行の十分かつ正当な理由としては大きくは3つに分類できる。一つ目は、アプリケーションが高度化してきたことに対応して、技術革新によるシステムパフォーマンスを上げ、周波数利用効率を上げることが可能になる。こうした新しいシステムを展開するといったこと。2つ目はITUの新しい勧告や周辺国の状況に合わせ、干渉やローミングなどの問題を考慮し、国際協調性の担保の観点から移行・集約が進むというもの。3つ目は、例えば移動通信以外に使用されていた他システムが利用されなくなったり、サービスの中止が計画されているシステムがあった場合、こうした空いた帯域と組み合わせることによって、収容効率を上げ、結果として周波数利用効率を向上させるということである。
電波政策として、意思決定を行うに当たっては、これらの要素が総合的に評価・分析されなければならず、それに基づいて周波数の移行・集約が必要と判断されるものであれば、速やかに実行に移されるべきと考える。
新規事業者に対する周波数の割り当てについては、先日の第2回でも意見陳述したとおり、きちんと競争が機能する市場を形成するためには新規参入障壁があってはならない。携帯電話の無線ビジネスには、周波数の割り当てそのものが新規参入の障壁の一つとなりうるため、これについては、公正な措置が必要。そして、新たな周波数の割り当てについては、既存、新規を問わず、各事業者が平等に割当ての機会が与えられなければならないと考える。
私どもは新規事業者であるが、既存事業者も必要であれば追加的な周波数の割り当ては必要だろうと思っている。ただし、前回の弊社の意見陳述にあったように、現時点において、既存事業者の収容能力についてはまだ余裕があると見ている。したがって、新しい周波数の割当てについては、新規事業者を対象に行うべきである。
新規事業者に求められる必須要件及び選定基準については、新規事業者の要件と選定基準については、すでに第2回の検討会で意見陳述しているので割愛させていただきたいが、具体的には、平成12年に行われた第3世代移動通信システム導入時の要件や選定基準を参考にすればよいと考える。
周波数の逼迫度合いや利用効率については、周波数を追加的に割り当てるためには、まず、加入者の収容状況や増加するためにいつ頃に逼迫するかを評価するのは、先日の意見陳述で述べたとおりである。周波数の逼迫度合いを判断するには、各周波数帯のシステムの加入者数や利用状況、適用技術、将来予測などについて、定期的な情報開示がなされた上で周波数が逼迫する時期を割り出し、電波の割当計画と照らし合わせながら、対象となる周波数帯や適用するシステムについての議論を進め、必要な措置が執られなければならない。
弊社の考えでは、長くとも半年程度の間隔で、移動周波数帯、提供サービス、平均トラヒック、基地局数、提供技術、加入者数、カバー率などについて公表してもらうという内容であった。これに対して、制度的には電波利用状況の調査・公表という制度がある。総務省のHPを見ると、その目的は今後、技術の進歩に応じた電波の最適な利用に当たり、必要な周波数の再配分に資するためにおおむね3年ごとに電波の利用状況を調査・公表し、国民の意見を踏まえ、電波の有効利用の程度を評価するとなっており、利用技術や無線局数、通信量などが調査されることになっている。
具体的には、無線局の用途、管理体制などに始まり、無線使用技術、アンテナ技術やセクター数、さらには加入者数、通信量、通信時間などの項目が調査省令で担保されている。スライドではわかりにくいが、調査・公表制度の調査では、周波数帯別にシステムごとに基地局数を調べるために、使用周波数帯や使用システムについても把握できるようになっており、弊社の考えている周波数の追加割り当て要件を洗い出すための調査項目と多くの部分で共通しているといえる。
この中で特に注意を要するのは、調査周期の3年という期間の長さである。電波利用状況の調査は、周波数割当計画の策定する上で必要な情報を収集し、整理する目的で行われる。近年技術革新スピードは加速化しており、データ通信を中心としたサービスニーズの多様化に対応するため、次々と新しい技術を適用している。例えば第3世代携帯電話を可能にしている標準化機関である3GPPでは、1年から2年ごとに新しい技術を出して、標準技術の高度化を進めており、国内でも順次、それら適用するための作業が行われている。また、サービスニーズの観点から、例えばFOMAのサービスの伸び率が、過去3年間、その増加傾向が大きく変わっているため、3年前の加入者数と、現在の加入者数のみをもってして、将来の加入者数を予測するのはほぼ不可能であるということは言うまでもない。こちらの図はNTTドコモの統計を活用させていただいたが、3年前と現状では、立ち上がり方は全然違う。将来的にもどういうカーブを描くかは予想すらつかない状況である。
こうした状況下において、3年ごとに収集した情報に基づいて、適切な周波数割当計画を策定するのは、非常に困難であることが予想される。こうしたポイントを踏まえ、サービスニーズの動向やトラヒックの推移については、実質上、きちんと傾向してとらえるためある程度短期的な新規なデータをとる必要があると考える。
そこで弊社としては、具体的に1ヶ月から半年という提案をさせていただく。しかし、このことを、3年に1度の実施周期を前提として組まれている調査項目をそのまま1ヶ月から半年に落とすということは事業者側にも大きな負担と考えられる。したがって、これらの調査をより短期かつ継続的に実施できるために調査項目を絞り込むという一つの方策になる。例えば、利用状況調査項目のうち、無線局の管理体制や、使用年数、他システムへの代替無線局数、通信量といったサービスニーズや技術動向を把握するのに必須となる項目に限り1ヶ月から半年というより短期的な周期によって、情報を収集することで、電波の使用実態を把握するといった方策をとるべきと考える。弊社としては、事業者と国民の共有財産である電波を利用し、事業を行う以上、電波の利用状況をきちんと明らかにした上で、周波数の追加割り当てなど、電波政策上の自由な意思決定ができるような素地を提供すべきと考える。 |
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6) |
ボーダフォン株式会社による意見陳述
津田執行役より、資料4-8に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
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ボーダフォン
冒頭2ページにあるように、本検討会における検討の内容について、私どもは以下のように考えている。これまで会合を重ねる上で少し論点がずれているのではないかと考えており、検討会側の名称にもあるように、携帯電話用の周波数の利用拡大に関する検討会であって、まず、既存なり、新規参入事業者向けであれ、電波をどう有効利用活用できるかという視点が極めて重要かと思う。一点目にあるように、その目的、趣旨からすると、やはり日本の携帯電話利用者に利益を長期的な視点で確保するために、どういう形で法律的な周波数の割り当てを実現することができるのかという点での検討が必要と考える。すなわち、日本の移動体通信市場は継続的な成長、又は事業の安定的な提供を確保するために必要となる競争条件の均衡をどのように保つかということが極めて大事と考える。前回初めてこの検討会に参加させていただいたが、やや新規参入の是非論にフォーカスされすぎている感じがするので、是非、今挙げた論点、電波の利用拡大、有効活用という論点で議論を進めていただきたい。
今日、示されている今日の検討会の5項目があるが、資料4-9にあるが、これは、ややそういうきらいがある。しからば当社では、どのような検討事項が適切かということで、4点挙げた。1点は、すでに割り当てがされ、使用されている周波数の現状は、競争上問題がないかどうか、という観点での検討。もう1つは、既存事業者が直面している周波数の需要上の問題。これについてはどういうことがあるのか、今日のメインテーマである800MHz 帯についても同様である。それから、3点目として競争上の問題を是正しながら、周波数需要を満たす最善の方策はどういうものか。最後に4点目として、我が国の移動通信体産業の持続的な成功並びに安定性を確保しつつ、更なる新規参入の事業を認めるとすると、その方向づけに対する最善の方策、これも電波の利用の観点から見るとどういうことになるかということ。以上4点と思っている。それぞれに対して、資料に基づき、当社の考えを述べる。
まず、今、4点のうちの1、2に関する問題。すでに、KDDI、NTTドコモからもあったが、まず、800MHz 帯の再編については、後ほど述べるが、2事業者に3Gとして再利用されることを前提として立つと、ボーダフォンは3Gのサービスにおいて、他の2事業者の間で整合性のとれた周波数割当てが行われていない状況にある。したがって、競争条件の公平性の観点から話すと、まず既存事業者間の競争条件の均衡という観点で扱っていただきたいというのが1点。2点目も他社から話があったが、将来の3Gの需要増を想定すると、現在使用する周波数でも十分ではないということ。当社の場合だと、2007年末には15MHz ×2の周波数帯域を追加として必要。したがって、第2の優先事項としては、既存の事業者が今後の事業の継続性の観点からみると、周波数が逼迫するのかしないのか、逼迫すると、それに対してどういう解なのかということを是非優先事項として考えるべきである。
次にボーダフォンの周波数需要であるが、この算定方法はすでに以前の資料でも提出しているが、総務省が必要周波数算出のために適切な方法としてITU-Rの算定方法を推奨しており、これを基に算定をしたところ、これは現時点における客観的な評価を与える上で有効なものと考えている。これによると、現在の3G用の2GHz 帯の帯域にプラス15MHz ×2の合計、片側で35MHz の帯域が必要である。
したがって、これについても話をさせていただく。順序であるが、2GHz 帯の周波数帯については、各社PHSの干渉の問題からガードバンドをとっている。これは空いているとか新規参入用にとっているのではなく、これも平成11年度公表された第3世代移動通信システムの免許に関する基本的方針というものが発表された。この中の内容に大きく2点あって、一つは事業者数。免許人は最大3事業者、割当ての帯域幅は片側で20MHz の3ブロックの割り当てというのが、当時の方針の中で明らかにされているところである。当然事業の開始以降のキャパシティーは全部の周波数帯幅を必要とするのではなく、年を追って段々増えるので、現時点において片側20MHz いるということではなく、逐次その器のなかでお客様を収容し始めるということである、現在の加入数容量と帯域幅で空いているということでは決してないということである。
次に検討事項3の回答であるが、冒頭の4点のうちでは、競争上の問題を是正しながら周波数需要を満たす最適の方法としては、次のことが適切であると考える。先ほど来でているように、総務省を始め、関係者、メーカー、外部の有識者を含めて、これまで800MHz 帯の再配分、3Gに向けての周波数配置の変更については、長く検討されたところ。現時点でもっとも効率的に利用する上で最善の回答と考える。これを再編成においてどのように使われるかも、各社述べていたが、現在使われている2事業者にそのまま周波数の逼迫に対して割り当てるのがもっとも効率的と考える。当社にとってはどうかというと、競争条件の公正と、今後の周波数需要から見て、次の周波数である1.7GHz 帯をボーダフォンに2006年度までに割り当てていただきたいと考える。これによって競争の中立性も既存事業者間において確保できる。
次のページに、今の状況を絵で描くと、このとおりになるが、現在2GHz 帯で3事業者、グリーンのところがガードバンドで、ここのところを使いながら次の周波数需要に対しては2事業者については、800MHz 帯、当社については、新たな1.7GHz 帯の周波数帯域をいただきたいということ。
次に、800MHz 帯は、すでに話したとおりであるが、ドコモ、KDDIの周波数需要を満たすために、800MHz 帯の再編をし、再移動することについて支持をしたい。これは、各点書いてあるように、すでに現在使用されていること、2Gから3Gへの移行においても、お客様の移行が非常にスムーズにいけることは、他の事業者が入るよりはベターであること、短期的にも2事業者が必要とする周波数の逼迫にも対応できるということである。
ついでに1.7GHz 帯については、総務省の計画では2006年に1.7GHz 帯で15MHz ×2の帯域幅を利用可能となる予定を聞いているが、私ども予定としては、周波数帯の逼迫にあわせてこの周波数帯を国際的にも利用できるので、是非割り当てていただきたいと要望する。これにより、ボーダフォンは国際的な移動通信体事業者として日本で提供している唯一の事業者であるが、グローバルベースの市場の中で、設備、端末等の開発をすることによって、コストが下がり、その結果は利用者にも利便性や料金等で還元ができ、また、日本の端末メーカーにとっても市場として国内のみによらず、グローバルな市場での展開が可能となることが期待される。
検討事項4であるが、これが新規参入事業者に関する私どもの考え方である。まず、基本的には、既存事業者の需要増の対応の必要とされない周波数、あるいはそもそもこれまでの間では、FDD用の2GHz 帯のバンドはすでに3事業者に割り当てられ、まだTDD方式がリザーブされない状況である。これについては、新規参入を希望され、計画をされている事業者が、これまで実験等を進めてきた。したがって、順序としては、まずTDDについての新規参入の可否について議論されるべきであるが、必ずしもこの検討会で議論されるということを求めているわけではない。いずれにしろ新規参入事業者の数、時期、条件等については十分に検討した上で結論がなされるべきであると考える。
次のページにポンチ絵を描いているが、一般的に競争事業者数が増えると、その競争の活性化により料金等が下がり、ユーザの利便性が増すというのが非常に耳障りのよい言い方だろうが、果たして本当にそうか。横軸を事業者数とすると、もちろん独占という事業者数の少ないところは、非効率であり、ここは例として具体的には、イノベーションに対するインセンティブと書いてあるが、そういうモチベーションが非常に低くなる。そうすると事業者数の数が増えるのがいいかというと、それは皆さんもご承知のとおり必ずしもそうではなくて、過当競争ということになってくると、こういった経済的な財務の強さも弱いということで、結果的に低下する。日本を例にとると、今の状態が必ずしも適切だと行っているわけではないが、無線の時代から新規事業者数が増える中で、過去同一営業区域内でPHSも含めると7事業者で競争をした。7事業者数という数で競争を実施した結果、今は3事業者のグループに収斂している。寡占化で徐々に今の事業者が3グループになったというのではなく、一度数多い競争ということの結果今の状況になっている。その点も考慮すべきと考えている。
次に当社固有の問題として、1.5GHz 帯はどうするかということであるが、これは承知のとおり、1.5GHz 帯を移動体サービスに利用しているのは日本だけである。過去この周波数帯を利用したPDCサービスを東南アジア、あるいは中国を含めてアジア各国で導入できないかという運動をしたこともあったが、結果としては我が国のみとなっている。したがって、今後はともかくとして、現時点でIMT-2000のバンドとしては、割り当てられていないという状況である。では、この分をどうするかということであるが、以前3Gで容量が逼迫するであろうという時期においては、まだ現在のPDC、2Gに残っているお客様がいる、このために現在の1.5GHz 帯の周波数帯が必要となる。これは短期的なものであって、これをすぐに3G用として再利用するということは不可能である。では、2Gのお客様が移行した後1.5GHz 帯がどうなるかというと、これは端的に言えば当然その周波数帯は空きになるため、今回のメインテーマではないかもしれないが、今後将来に渡って、これをどのように利用すべきかという話題は次の検討テーマになりうるし、その検討に当たっては是非当社も参加させていただきたいと考えている。
その他の話題としては、前回の会合では、1.5GHz 帯と800MHz 帯の既事業者との間でハンディキャップを課したらどうかということである。これはいろいろ調べてみたら、PDCで参入をした時にはまず周波数を割り当てられ、事業をできるということだけに極めて神経としては集中していたので、800MHz をもらったらどうかという議論は全くなされていなかった。ただ、当然のことながら、伝搬特性とか、干渉の問題とか、屋内外における浸透率はどうだということは、未知の領域なので、それほどの調査もしながら、今日までエリアを拡大してきたということになる。あえて申し上げれば3G用の2GHz 帯と1.5GHz 帯はどうであるかということが書かれている。理論的であるが、周波数の高い、低いということによる伝搬のロスの問題がありセル半径からすると、おおむね1.3〜1.5倍の基地局を必要とすると考えられる。これも特にルーラルで、という問題になる。我々が現在の2GHz 帯の3Gを打つに当たっては、そういう問題を含めながらどういう形で最もコスト効率がよくなるか、どう構築するかを考えて実施していきたいと思っている。
なお、後ろのページには、我々がなぜ、周波数帯がさらに必要かの算定について資料をまとめている。これもすでに前回の会合までの間で資料を提出しているが、最初のページでは、日本の市場における需要数はどの程度であるかという想定、これも必ずしも突出した需要数を想定しているものではない。2007年末で9,200万加入であろうということである。そのうちの割合としてボーダフォンはどれくらいかというと、20%ということを想定しており、ここで段階的に2Gから3Gに移っていくということから、2007年度末の加入数を1,300万加入と想定して算出している。その時サービス別にどのような情報量を必要とするか、使われるということは、とくに我々ではなくて、ITU-Rに基づいて算定し、先ほどの周波数が必要であるということである。 |
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平成電電株式会社による意見陳述
佐藤代表取締役より、資料4-2に基づき意見の陳述が行われた。意見の陳述の内容は以下のとおり。
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平成電電
当社の周波数利用に関する基本的な考え方ということで、まず、現在世界的には4Gとか、そのなかで始まるIEEE802.16eとか、すでに3Gより一世代進んだ4Gの研究開発とかが進んでいる。具体的には、韓国では、来年の3月からサービスインをするというような状況の中で、現在3Gを前提として、2012年までのトラヒックを検討して、しかも、そのトラヒックの増加、加入者の増加はすべて既存事業者が担う。先ほどのKDDI、ボーダフォン、ドコモの需要予測にしても2012年までの予測をして、現在のシェアを確保するとなると周波数が足りない、加入者数がこれだけ増えるので、周波数が逼迫するという議論だが、基本的に新規参入が入ればそちらの事業者にも加入者がいくわけであるし、今から7年先も新技術は全く導入されないで現在の技術の延長線上でトラヒックが増えるので、周波数が逼迫すると。すべての事業は既存の3社で新技術もなく、3Gでデータトラヒックが増えるので、1.7GHz 帯に関しても、もろもろの周波数帯に関しても既存事業者だけでも需要は一杯で逼迫するので、新規参入はか無理だというような根本的な議論は違っているのではと思う。例でいうと先ほどいった既存3社のうち2社はすでに4Gの研究開発をされており、私どもが打ち合わせをしている会社にも頻繁に打ち合わせをされたりしている。そういう中、新技術、4Gの話もなく、データが音声の倍くらいになって周波数が逼迫するという現状の既存業者前提の議論を少し整理していただければと思う。現在、音声通信の三事業者でデータの周波数帯が足りないと言うことはほとんどないと思われる。新宿、渋谷等の都心部のごく一部で発生している事態を、そのために周波数をとって、新規事業者は東京以外の場所は余っている周波数を一切使えないというのはいかがなものかと考えている。
次のページであるが、これは若干各社の正確な数値を完璧に把握しているわけではないので、違う点があれば、修正もやぶさかではないが、現在2GのPDCにおいて、ドコモの加入者4,047万、MHz 当たり59万人、こちらを100%と換算すると、3Gでは現在30%くらいの利用率、KDDIは既存の800MHz 帯だと2Gと3Gを入れて104%、ボーダフォンだと111%くらい使われている。3GになるとKDDIの2GHz 帯でいうと、何人かはいるかもしれないが、基本的にゼロという状態と思われる。ボーダフォンでは、3Gだと27万人くらい、現在の利用率は1%。こういう状態において、先ほどの需要は3社で担うということで、現在0%及び1%の事業者の需要予測を前提にして新規事業者の割当てはないとか、既存の事業者は逼迫しているので、既存事業者をまずは考えるべきだという議論は、現状の数値を見て判断していただきたい。
次のページだが、こちらの比較については、まだIEEE802.16eという仕様はまだ完全に固まっておらず、来年の6月頃のフォーラムで固まるのであるが、これだと、スループットも設備投資も非常に安い技術になる。現在、すべての音声もデータもFDDすべて同一帯で同一技術でデータ、音声運ぶという、現在3Gはそういう考えだが、少なくとも2012年とか、ここ4、5年で逼迫するという話の中には、データと音声を区分する考えとか、新技術を見据えた周波数の逼迫及びデータ需要の増大に対応する検討をしていただきたいと考える。
携帯電話用周波数拡大への意見ということだが、基本的に現在のセルの大きさとか、先般も出た定量的なデータを出していただいて、NTTドコモの話でもあったようにビル用の小さい基地局とかは今も値段が下がって少ない設備投資で収容効率を上げられるということもあるので、その辺のデータを正確に把握して検討していただきたいと考えている。
800MHz /900MHz 帯に関しては、私どももすぐに新規事業者に割り当てるということについては、周波数の整理を図った方がいいと思うので整理した後は、新規事業者に優先的に割り当てて頂きたいが、早急にすぐということは考えていない。
次の新規事業者に対する周波数割当てについては、今までの話の趣旨は、既存事業者への割り当ては不要で、新規事業者2社又は3社に1.7GHz 帯、700/900MHz 帯、2GHz 帯を割り当てるべきと考える。
新規事業者に求められる必須要件については、携帯電話事業者の、先ほどボーダフォンから非常に多くの母体があったということだが、最終的には、電話会社が母体、通信事業者が最終的に残っていると分析しており、音声役務の事業運営が可能なこと、及び事業をしていること。二番目として全国面展開で自営通信網を保持し、通信網の維持管理能力を有すること。三番目として、全国全地域で継続して、移動体通信を行う計画を有すること。後の財務内容とか、そういう要件は当然だと考えるが、基本的に移動体通信に関しても全国規模で現在も音声役務をやっている、音声サービスをやっているという、資本だけではなくサービス要件も重要な要素だと考えている。
以上であるが、周波数の逼迫度合い及び利用効率の評価についてだが、先ほども述べたが、既存事業者の周波数利用状態の実績を調査し、基地局、セル設計、配置、もろもろ都心部の周波数の利用状況について、精査をすべきと考えている。単純に言うと、周波数が逼迫しているので新たに周波数割当てということになると既存事業者はほとんど設備投資をせず加入者増が可能である。新規事業者は同じ周波数を割り当てられても新たに設備投資をすることになる。新規事業者と同額くらいの設備投資を行えば相当周波数の逼迫は解決すると考えている。
次に、私どもが参入計画において想定する基地局数、5年間の設備投資コスト並びに5年後の想定加入者数についてであるが、基地局数は1万局程度であり、先般私どもがあいまいにしたのは、実はできればIEEE802.16e、4Gで参入したい考えで、その場合は基地局は200万程度、全国で工事費等も500億円で可能と考えている。3Gの場合はその4倍くらいの設備投資が必要と思われる。
先ほどのIEEE802.16eとか4Gの話も同じだが、現在、無線のIEEE802.11のホットスポットとか、データ通信の需要を吸収する手段は必ず3Gで行わなければならないということではないと思うので、データ通信に関してIEEE802.11、無線LAN規格の利用とか新しいIEEE802.16の利用とか、データに関して、今の3Gで考えるだけではなくて、ワイヤレス、他のデータ通信手段も含めて、今の周波数問題を検討いただければと思うのが私どもの意見である。
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今後の進め方について
次回の検討会については、12月14日(火)14時00分より開催し、本日の意見陳述を踏まえ意見交換を行うこととした。
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