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携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会(第6回)
 議事要旨


1  日時
     平成17年1月11日(火) 1400分〜1615


2  場所
     総務省 第三特別会議室


3  出席者(敬称略)
     座長 :  土居 範久
  構成員 :  荒木 純道、黒川 和美、関口 和一、多賀谷 一照、
長田 三紀、三谷 政昭、村上 輝康、吉田 進
  総務省 :  有冨総合通信基盤局長、竹田電波部長、稲田電波政策課長、吉田事業政策課長
  事務局 児玉移動通信課長、竹村移動通信課推進官、松井(俊)移動通信課課長補佐、
松井(正)移動通信課課長補佐


4  議事
   (1)   開会
  (2)   配付資料確認
  (3)   議事
「これまでの議論を踏まえた意見交換」
  (4) その他
   (5) 閉会


5  議事の概要


  (1)   録音等について

  座長

  前回、意見陳述人の方から、検討会の透明性を高めるため、録音等を認めるべきではないか、とのご意見があり、この件について、構成員の皆様にご意見を伺ったところ、賛否両論のご意見があった。改めてこの場でご意見を伺いたい。

  基本的には本会合は物理的にオープンになってはいるが、テーマが国民共通の貴重な財産である電波の問題を扱うということと、それを扱ってビジネスをしている経営者、関係者の方に参画をいただきお話を伺いながら進めていく議論であるという二つの側面がある。当初、この会合を始めるときに約束したように、基本的には公開だが、議事録は座長との相談の上でオフザレコードにしたければできるというルールの下で進めることが適当。

  基本的に今の意見に賛成である。メディアの立場として、こういった会合が公開されていること自体、前進していると思う。そういう精神を汲んで、なるべくオープンにしつつ、経営の根幹に関わることはオフザレコード。また、構成員も、議事録という形であればよいが、時には言葉がすべることがあるため、その部分については配慮していただければと思う。

  まさにそのとおりである。議事録の作り方を工夫して、結論だけ書くのではなく、結論に至るロジックやエビデンスについての発言を反映するような議事録にすべき。

  あくまで検討会であり、最終的な権限を持っているわけではないため、オープンな議論を行っていくという意味で、極力オープンにしていくべきである。

  座長

  構成員の方々の発言のとおり、公開される議事録の工夫・詳細化を図る方向で事務局で検討する。開催要綱では、検討会の運営に必要な事項は、座長が定めるところによるとされているため、他の研究会等と同様、自由な意見交換の観点から、今後、従来通り、録音等は認めないこととしたい。

  
  (2)   配付資料の確認

  事務局より、配付資料の確認がなされた。


  (3)   前回議事要旨案の確認

  座長より、資料6-1の前回議事要旨案について、特段の意見等がある場合は、事務局に連絡して欲しいと要請があった。


  (4)   資料6-2の「1 携帯電話用周波数の利用拡大に関する基本的な考え方について」及び資料6-3について事務局から説明。意見交換の内容は以下のとおり。

  2点コメントしたい。1つはトラヒックの将来予測である。定額制が導入され、コンテンツプロバイダーが大きなコンテンツを準備できるようになってきており、場合によってはトラフィックが30倍以上になる可能性もあり、トラフィックの予測は非常に難しい。これに関連して、検討会は2012年までを睨んだ議論ということで、これまであまり表には出てこなかったが、携帯電話だけでなく無線LANとのマルチモード端末が現れることが予想され、市街地の人が多く集まるところで大きなコンテンツについては無線LANを通してダウンロードし、ほどほどのトラフィックについては携帯電話を使う、という使い方が将来は出てくると思う。これを勘案すると、それほど携帯電話のトラフィックは大きくならないという気もする。2012年までの議論をするとなると、避けては通れない。

  また、市場に関する評価について、ソフトバンクBBから、我が国のARPUが高いという指摘があり、一方で既存事業者からは音声で言えばそれほど高くないという意見があったが、後者に賛成である。日本は技術屋が頑張っている。数年前、シンガポールの大学の先生と議論したとき、GSMでも電子メールをチェックできるが、利用画面に持っていくまでに非常に時間がかかり使い勝手が悪いとのことだった。日本はパケット交換をいち早く導入し迅速なデータ通信サービスを開発したが、GSMは最近まで回線交換サービスだった。このように日本では、技術的な開発の成果があって、i-modeを始めとしたデータ通信が花を開いてきたことが、ARPUの増加に寄与している。価格に見合うサービスのクオリティーを国民が享受していれば、それはそれでよいと考えている。

  また、GSMは日本・韓国以外のほとんどの国で使えるくらい世界的に利用されているが、GSMの変復調方式であるGMSKは、NTTの技術者によって開発された。そういう意味でも、日本では技術開発に多くの時間をかけ、多くの人が従事してきており、携帯電話産業の発達に貢献してきた。そのこともあってARPUの増加に寄与していると考える。

  今の意見のように、2012年の先まで考えると携帯電話だけでは議論できない。平成電電がIEEE802.16eと言っていたが、携帯電話と無線LANの融合の占める役割が増えるであろう。そのことはある程度見据える必要があると考える。

  座長

  技術革新が進むということは、我々も頭に入れておくべきである。

 考えるときに困っていることがある。既存事業者であれ新規参入希望者であれ、帯域の要求は、それぞれの企業にとっては当然の計算であるかもしれないが、経済学者は、マーケットがコンペティティブなのかコンテスタブルなのかオリゴポリスティックなのか、状況を考える。我々は既存と新規事業者だけを考えているが、世界のマーケットを考えるともっと参入しても構わないと考える人もいるかもしれない。エコノミストは基本的に消費者視点で考えるので、供給サイドのことはあまり考えず、一番いいサービスを厳しい競争環境の中で事業者の努力で安くいいサービスを提供してほしいと考えている。そのときに、例えば今回だと2GHzギガヘルツ帯のこれまでの割当てについて、5年間割り当てられていても十分に使われていないケースがあったが、社会的責任は問われるのか問われないのか。また、新規事業者又は既存事業者に割り当てるにしろ、5年後のそのオポチュニティコストをどう測るかも難しい。既存事業者は大きな利益が確保されている。このままの形が続くと、特定の事業者への収入は確定しており、本当はそれが、価格が安くなるか、多くのサービスを享受できるようになるべきだと私は思う。少なくとも、今の状態よりより競争的に何かしなければならないという感覚を持っている。

  もう1つわからないことは、ある帯域幅を要求されたときに、我々はそれをどれくらいの重みのあるものとして受け止めるべきかについて、ほとんど判断できなかった。制約条件が厳しくなればなるほど、その少ない枠組みの中で企業は努力し、例えば無線LANと携帯電話をうまく組み合わせたシステムがでてくることを初めから要求できるものかどうか、議論してよいものかどうかもわからない。

  もっと不思議なのは、1.7GHzギガヘルツ帯がどこから出てきたのかということ。国が頑張ると、行政が使っている便利なところが出てくるのかわからないまま。多くの要求の中で、誰がどれくらいマーケットに対する社会的責任を意識しながら、どれくらいの範囲の要求で競争をして、厳しい制約条件の中で企業が努力をする環境なのかというマーケットの想定ができなくて困っている。2012年になると、需要量が圧倒的に多くなって、最終的にはオークションを意識するくらいの責任を持たなければならないとなると、事業の継続性をどう議論するのか。それとも、周波数が発掘されるか又は技術開発されることを期待するのか。これからどのように事業者が予測するのかも予測できない。少なくとも、現在は参入したい事業者がいることからコンテスタブルな環境にはなっていない。競争政策を意識しながら、限られた電波を割り当てることを議論すると、いくら投資と技術インセンティブがあるとしても、マーケットの今の状況を競争的にしておくことが絶対重要であると考える。まずそのことを考えた上で投資と技術インセンティブ等を考えて、必要な周波数を提示していただかないと議論できない。

  正直申しあげて、プレゼンを聞いてそのとおりだと思う一方、ものすごくソフィストケイトされた最大限たくさんの方の要求を取り入れていきながら、2012年という先のことまで天真爛漫に予測して配分するということはあり得ないと考えている。

  基本的に3Gの2GHzギガヘルツ帯は、ただで3社に与えてしまった。いい悪いは別として、欧州ではこれに対して何兆円という価格がついたが、これくらいのものが将来的に得られるという見込みがあったからお金を払ったはずである。日本の場合は、電波利用料はあるにしても、無料で優先的に与えてしまったというのはまずいことであると考えている。今の意見のように、電波は収益を生む元になっていることから、電波の適正な流通価格・値付けが出てくるような仕組みを検討する必要があるのではないか。オークションは、日本にはなじまないとされているが、米国でも戦前はそうであったが戦後には変わってきた。イコールフッティングの議論をしてもきりがなく、また状況はどんどん変わる。決めたことが2年後、5年後に変わってしまうことから、責任、流通性を高めるという狙いから、完全なオークションでないにしても、今回の議論を、そういったものを導入するきっかけにしてもよいのではないか。そうすると、一部の支配力のある者が、勝手に電波を押さえて使ってくるのではないかということが議論されるが、米国の例のように、割り当てる帯域を制限する等、やり方次第でそういった弊害は取り除けると思う。固定電話では4区間に分けてマイラインを導入したが、決まった時と導入された時とで2年のタイムラグがあり、今となっては形骸化している。2012年を想定して、経済的価値を考慮した有効な電波の割当てをしていく必要があるのではないか。

  電波についてオークション的な仕組みを取るということは、電波の利用の在り方が固定化していて、そこに経済的理論を使うことができることが前提。しかし、あまりに外部的要因が大きく、これは成り立ち得ない。電波は既存周波数として利用価値が決まっていて、最大効用で使うということが前提になっているが、これまでの構成員の方々の意見からも分かるとおり、周波数の利用については今後無線LANとの組み合わせを図る。また、周波数の有限性の中で、今後はMVNO的な形で、プロバイダーのようないわゆる二種的な業態もあり得る。そういう形で今後まだ動いていく。このため、あらかじめオークション的な形で電波の利用価値を決めるのは無理である。収益を上げるのであれば、電波利用料を経済的な効用に則して取っていくことが必要。入ってどれだけ儲かるかというのは計算できない分野であり、入口で全部をとるというのは反対。新規参入については、変数は大きくて難しいが、今現在の用途を前提としてそこで競争させるという議論だけではなく、今後2012年までに登場する新しい用途で技術開発をしつつ工夫するという環境を作らねばならない。

  ここで議論することの立脚点として、公平性を担保する、競争政策を正しくするという目      標があると思うが、固定とこの分野は対象が違う。長年の歴史があり利用者の固まっている固定回線の領域ではなく、極めてダイナミックに変化し、影響する変数も多いマーケットである。そこで価格だけではなく量も質も最適なものを選んでいく手法は、競争政策や配分をアカデミックな対象とするよりも、「アート」の対象とするという考え方が必要。やってみてそれを評価するチェックアンドレビューの仕組みを埋め込む。例えば3年後には必ず見直すという前提をつけてやっていく。大事なことはマーケットメカニズムにどのような効果をもたらすかではなく、周波数の利用者である国民にどういう成果をもたらすかということ。利用者は生活者だけでなく、産業も含まれ、国際競争力という側面も重要、また、行政サービスというのも大事。これらの3つのプレーヤーにとっての成果評価をどれだけ的確にできるかというのが大事であり、事前に最適な状態を論理的に決めていくというのはおそらく不可能。オークションが完璧なマーケットで完全な情報の下でやられるのであればよいが、これだけダイナミックなマーケットにおいてオークションをやるのは、「学」としては正しいかもしれないが、「アート」としてはいかがか。これまでのパフォーマンスを見ても、ヨーロッパ諸国の一部でも反省していると聞いている。事前にマーケットを読めるという前提に立つことはできない、ということである。日本はビューティーコンテスト方式をとり、事後的な、プレーヤー間の価格、供給力、技術革新力等の総合的な競争の結果を重視して、政策的に参入を決めている。個人的には、これまでのところ、うまくいっていると思う。これはどちらかといえば「アート」であろう。利用者視点の成果をもう少しヒューリスティックに見ていくことが必要。とりあえずは、今置かれている状況で何かを決め、同時に今後その成果のレビューをどのようにするべきかについての要件を決めておくことがいいのではないか。

  今言われた国民的利益というものはあるのか。経済学者が競争的にしようとしているのは、ゲームのルールの話であり、電波という経済的価値があるものに対して徴収している電波利用料は、アパートでいうと家賃ではなくて共益費の世界であり、管理コストをもらっているだけだと考えて良い。電波の経済的価値を本当にもらうべきかを議論していて、その議論の一番重要なところは全ての様々な電波の利用の中で、特定の電波、極めてその利用が逼迫しているどうやっても決めようがないものについて、無駄に利用しているケースについてはできるだけ排除しようということで、経済的価値を提供することでコストが上がって、必要もないのにたくさんの電波帯を確保するのは止めてもらいたいと言っているだけである。

  近々、電波の経済的価値のシステムを導入せざるを得ない環境にあるということは先程述べた。オークションも、オークションのやり方、局面のバリエーションはいくらでもあり、アメリカでも成功している場所がたくさんある。これまでオークションのことを言っても、そこら中で叩かれているから、我が国ではまるで絶対成功しないかのように言われてきている。特定の逼迫したどうしようもなく決定のしようがない場合にどう考えたらいいかということ。一番計算しにくいのは、いつの間にか寡占的な状況の中で、知らず知らずにそれを使わざるをえなくなり、競争的でない環境の中で料金を支払っている見えないコストである。そのことを許すことが事業者間同士の切磋琢磨する環境を損なう見えないものである。だいたいこういうことは測られたことがない。やる前にそういうことがありそうだという議論はするが、国民的に上手に無駄な使い方をしないでうまく進んでいくかを見極めるというシステムというのは、いつでも誰かが裁量的に判断する検討会のような会合が必要になる。大人の社会ではこのようなシステムもいらず、競争的なルールの中で参入していると、いつの間にか失敗する人、成功する人がいて秩序だっているスポンテイニアスな秩序であり、今の意見のような、見守っていても確保できる利益とは全然違い、できるだけ裁量性が働く場が無くて自動的に処理されるゲームのルールがどうやったら作れるかというのが重要なところである。この部分に関して日本は遅れているので、あえて経済学者は極端な例を言っているが、本当に使おうとなるとすごく限定される。今回の場合は、2006年にこんなことをやろうと思ってのではなく、できるだけ早くに電波が無駄に利用されないまま残されないように、電波の特定の部分に関して経済的価値を取るべきということが一つである。

  また、日本の企業がアメリカやヨーロッパに行ってもこの事業をやろうと思い始めるはずであり、同じようにアジアの企業が日本に来て日本でやりたいと思う環境が出てきた時に、それを世界に向かって日本のルールは固有であると言わずに、これは競争的であって、世界の共通のルールで議論できる時代に対応できていないとまずいのでないか。2010何年になって、希少な資源になって、たくさんのポテンシャルを持った参入事業者が生まれてきた時に、前もって備えておかないといけないルールというのがあるのではないか、ということで、一部の極端な例がエコノミストに評判の悪いオークションという理論となっている。オークションの抽象的な意味は、本当に必要な人が経済的価値を払ってそれを手に入れるということであるとすると、まず電波利用料の中に経済的価値を部分的に導入すること、極めて逼迫している部分に導入するというのはありなのかもしれない。

  電波利用料自体ができた時に、経済的インセンティブが十分に導入できていないのが問題になると思っていた。携帯電話については結果的に経済的インセンティブが効くような仕組みになっている。携帯電話は、免許一局当たり540円という形になっている。法的には事業者が持っているが、現実には利用者が持っていて、携帯電話一台あたり540円となっていて、ユーザが増えれば増えるほどそれだけ電波利用料が増えるという仕組みになっている。今回の電波利用料の見直しでは、事業者は限られた周波数の中で、たくさんユーザを増やそうという形になっており、結果として、周波数の有効利用という形になっている。他の分野の衛星とか放送という分野ではそういうインセンティブがない。今現在最適配分についてオークションでやるのは反対でだが、今後無線LANとかMVNO等が入ってくる場合、既存の周波数を利用している利用者が、現在のシステムから新しい形態への移行の障害にならないような仕組みにしなければならない。将来周波数の高度利用がされていく場合に、そこへどうやって持っていくか、それが一番重要な話ではないか。

  私も電波利用料は全く否定しておらず、オークションか電波利用料かの二者択一ではなく、その組み合わせが必要ではないか。ただ、オークションの使途は限定されないが、電波利用料は総務省管轄で国民のために使われることとなっており、使途を考えると、どっちが本当の国民の財産を、お金に換算しているかということについて論点もある。

  また、今までの日本の場合、事業者が限られてきたからオークションをやるとお互い損をするので、話し合いで決めようという流れだった。技術革新のタイミングで新規参入ももちろんあったし、それがまた少なくなった。少なくなった一つの要因として3Gという技術が見えてきたということが挙げられる。免許の数が2社ではなくて、3社ということが見えてくると、事業者が合従連衡して3社にそろったというところがある。それがある意味談合というか、寡占体質を生んでしまったということもあり、もう少しオープンな形で進めてくれば良かった。その意味で、MVNOとかローミングとか、こういうスキームも流通性を高めるという意味で良いのではないか。

  また、オークションに関して、レビューすれば良い、ということについても確かにそうであるが、レビューするためにオークションというものがあり、回収の目処が立たないというところは、事業売却する、権利放棄するという判断があり、流通性をかえって高めるのではないか。今のままでは、それを使わないにもかかわらず5年も10年も持ち続けると言うことがある。例えばKDDIのEV-DOサービスは、2GHzギガヘルツ帯が余っているからできるサービスであり、本当に逼迫していたらEV-DOの定額化をやっていたかどうかは疑わしい。NTTドコモを追い上げるに当たり、持っているリソースを使って差を埋めるために定額化を行い、NTTドコモはこれに応じざるを得なかったという構図になっている。そこでも、持てるもの、持てないものというものをある程度経済的価値に裏打ちされているような形にする必要があるのではないか。

  先ほど「アート」の話が出たが、絵を描く場合に有名画家が描いたものと無名画家が描いたものがあるが、有名画家が描いたものはある程度のお金がかかる。無名の画家が描いた場合、どう評価するのかということは、携帯電話でいえば、何年か先になって初めて経済的評価が可能になってくるという難しさであり、今回かなり問題点として挙がっている。評価をどの時点でやるのかと言うことをしっかり決めなければならない。

  ひとつに、企業努力が足りないということがある。例えば、2GHzギガヘルツ帯の周波数を十分に活用していないという事実があるが、電波を返上する仕組みが作られていない。電波は一度割り当てられるとずっと使用して良いという既得権益を担保するような形で、これまで、日本の電波は割り当てられている。割り当てられていれば、十分活用しなくても何年間は持てるという、あぐらをかいた体質がどうしても企業に生まれやすい。したがって、3年経ってこれだけやらなければ電波は返さなればならないという圧力をかける仕組みを、このような機会に作らないと、電波を有効に活用しようという企業自体が考えないということになる。企業が危機感を持つような電波行政をある程度考えなければならない。割り当てるだけという議論ではなく、返上させるぞ、テレビ局が使っているけど、儲かっていないからそこは戻しなさい、といったような強制力を持ち得るような仕組みが必要になるのではないか。そこも検討の範囲に入れて頂きたい。

  新しい周波数で新しいシステムを導入する場合、たとえ研究開発の見通しが立って周波数を得たとしても、技術屋が予測しているものと実際のサービスが実ってくる時期とはかなり遅れがあるように思われる。身近な例で言えば2GHzギガヘルツ帯があまり使われていないということだが、これについても日本の技術屋が標準化に大きくコントリビュートして、日本が率先して導入したが、一般に予測されていたより伸びていないのは確かである。

  しかし、努力をしたか否かということは考慮すべきである。現在、既にBeyond 3Gや4Gという次世代の携帯電話の計画が議論されており、そこでは少なくとも2GHzギガヘルツ帯よりかなり高い周波数を割り当て、将来の高速のシステムを作っていこうという話がある。その際に、誰がこういう周波数を使えるようにするのか、開発していくインセンティブをどうやって与えるかを考えると、本当に率先して努力をして頑張って使えるようなものにした人に何らかの見返りのあるシステムを作らないと誰もやらなくなってしまう可能性がある。確かに、予想に反して遅れが生じることも有り得る。800MHzメガヘルツ帯も1979年12月に始まったが時間がかかったわけであるし、さまざまな事情が絡むと思うが、技術屋としては少なくとも努力したところには大きな目で見て頂きたいと考える。

  座長

  この後もう一件ある。今まで必ずしもこの場で提案して回答を示すことが出来そうにない問題提起やいくつかの提案をいただいているが、今日で終わるわけではなく、しばらくこれらのことを踏まえてご検討いただく、あるいはご意見を頂戴するという場は続くため、次の議論に進ませていただきたい。

  その前に、資料6-3について、聞きたい。全国については、40MHzメガヘルツ×2は無理で、30MHzメガヘルツ×2でということだが、例えば東名阪の半分と全国の半分の組み合わせというような割当ての仕方はあり得るのか。東名阪については、20MHzメガヘルツ×2をフルに活用する。東名阪以外のところ及び東名阪について、15MHzメガヘルツの一部、つまり30MHzメガヘルツの半分を割り当てるということは、経済的・技術的に合理的に出来るのか。これまでに東名阪の一部又は全部とローミングの義務化というセットの議論はあったが、東名阪と全国を二等分するなり三等分するなりしてセットで割当てを考えるのは合理的か、あるいは技術的に可能か。

  事務局

  全国使用の周波数15MHzメガヘルツを2つに分けるとなると、7.5MHzメガヘルツ×2の周波数幅となるが、現在の第3世代携帯電話として実用化されているシステムは、5MHzメガヘルツを単位として1つのブロックとして使うシステムになっているため、5MHzメガヘルツ、10MHzメガヘルツ、15MHzメガヘルツといったブロック単位での使い方が基本になると思っている。

  その意味で、技術的には5MHzメガヘルツを全国使用として、東名阪では10MHzメガヘルツを使用するという組合わせは観念的にはありえるが、実際にサービス提供となると、全国的な展開を考えて、データ通信用と音声用周波数が、現在のシステムは、データ通信用周波数と音声通信用周波数を分けるということになっている。電波利用の形態を詳細に検討しなければならないが、なかなか分けることは困難な可能性が高い。

  5MHzメガヘルツが一単位というのは、ヒアリングの中で1事業者からそういう意見が出たが、もう一つの方式でも5MHzメガヘルツがやはり一単位となるのか。

  事務局

  CDMA2000 1xについては1.48MHzメガヘルツ幅である。ただ、もともと1xについても、当初は3xということで3つを束ねて使うということを考慮しており、基本的には5MHzメガヘルツが1つの単位である。

  5MHzメガヘルツを一単位として、5MHzメガヘルツと10MHzメガヘルツという組み合わせも不可能ではないという理解でいいか。これが可能かどうかによって、分割の仕方の自由度がずいぶん変わってくると思う。

  事務局

  技術的に詳細を詰めなければならないが、周波数の分割の際の非効率の問題、周波数の有効利用の観点も合わせて、詳細に確認をしなければならないが、原則論では、周波数を小さくすればするほど、非効率利用になるというのは事実である。そういう意味では、出来る限り周波数をまとめた形にしようと、800MHzメガヘルツ帯の再編でも考えているが、そういった面を考慮することも重要だと考えている。

  座長

  1.7GHzギガヘルツ帯については、詳細に重要な点でディスカッションしておらず、今初めてやったところであり、今後も検討を続けていくということにしたい。

  イー・アクセスから2006年の問題を非常に大事にしているという話があった。ナンバーポータビリティとかローミングということに議論があったわけだが、ナンバーポータビリティを導入することの価値があるかいう議論をした時に、最も重要なポイントは何だったのかというと、ナンバーポータビリティを導入すると既存事業者が今持っている顧客をキープすることが難しくなり、競争的になるということが一番大きなことである。2006年に、需要の価格弾力性を計算して、それが国民にとってどれだけ利益があって、ナンバーポータビリティを導入することにどれだけの価値があるかということを評価して、これを導入しようと議論をした。

  そのことを考えると、2006年にその議論が動きだそうとしている時に、ちょうど各事業者はそのことを頭に置いて投資活動ができないといけない。政策的に、動き出そうとするものは多くの投資をしようとする人にとってちゃんと計算できる環境の中で組み込まれていくべきであり、2006年問題ということは、とても重要だということを是非認識していただきたい。

  座長

  1.7GHzギガヘルツ帯については、次回以降かなりの時間をとって、引き続きディスカスさせていただきたい。


  (5)   資料6-2の「2 既存の携帯電話用周波数の移行・集約について」について事務局から説明。また、関連してソフトバンクBBから、総務大臣宛に800MHzメガヘルツ帯移行案検討のための作業班設置の要望書が提出されていることについて説明。意見交換の内容は以下のとおり。

  座長

  800MHzメガヘルツ帯の周波数の再編について、意見陳述人の方々の意見が平行線だったため、技術的な観点については、事務局に論点を整理していただいた上で次回以降改めて論議したい。したがって、その点を次回以降するということを念頭に置いて、ご意見を賜りたい。

  事務局でまとめていただくにしても、何を議論しなければならないかという洗い出しだけは、この場でやってもいいのではないかと思う。   

  いろんな観点があるのかと思うが、今まではどちらかというと全体的な流れや、基本的な考え方をやってきた。一方、具体的に決めなければいけないことは決めなければいけないし、その機会が限られているが、番号ポータビリティの時も本来は、2005年くらいにできたと考えると、この会であまり時間をかけることはよくないと思う。

  その意味で、順番にいくと、一番に、1.7GHzギガヘルツ帯を誰に、何社に、ということを決めなければならない。いつ頃ということもある。800MHzメガヘルツ帯については、あくまで再編だという意見と、余りが出るため早く割り当てろという話が一方である。したがって、第三者を2012年以前の段階で入れるか入れないか。仮に入れるならば、本当に2012年までであれば若干の問題を勘案しつつ前倒し、それをいつまで前倒しにするのかという点。2GHzギガヘルツ帯については、これがどの程度本当に有効に利用されているのかというのを改めてレビューをし、さすがに返上というのは現実的ではないが、具体的な使用方法や、計画、スケジュール等を示してもらう。

  それで、あとそれともう一つのポイント、論点といえば、やはり料金の問題だが、ナンバーポータビリティの時も議論になったが、基本的に日本の料金は高いと思っている。これは、単価で比較するとそれほどではないということも確かかと思う。何で高いかというと、日本のユーザというのは、非常に携帯を好んでよく使う国民である、ということ。それから、それが国民の、新しいコミュニケーションツールになっているために、ある程度お金を使わざるを得ない。その結果として、例えば化粧品が売れなくなったり、いろんなものが売れなくなったりしているわけであり、事業者からいっても一年で一兆円もの利益が出るというのも、これも本当にビジネスモデルとして正しいのかどうかという疑いの高いという疑問もあり、余剰利潤がそこに発生していないかどうか。その辺を、将来的な課題として詰めていただければと思う。

  座長

  私の述べたのは、800MHzメガヘルツ帯に関しては、意見が平行線だった。その点を技術的な観点からどうなるかということを改めて、その場で論点整理をしてまとめた上で、この場に出していただきたいということである。

  一番目の議題と関連する問題だと思うが、国民として電波の問題をどういう風に考えていくのか、という議論がどこまで広がっているかというのは、まだまだ何も知らない人が非常に多いのではないか。携帯電話の周波数、それからテレビのデジタル化等にしても、便利になるから、この方向に誘導するという形で整理をしていくという事が今、全体の方向性としては行われているのではないか。やはりこれだけ周波数がこういう目的のためにこう整理するということが、情報として早い段階から、国民に提供されること、よりわかりやすく説明されること。なかなか技術的な問題で将来は読めないんだという先生方の話もよくわかるが、どういう将来をイメージして、これから技術開発を望むのか、どういう姿を望むのかというところを示していかないと、なかなか国民はこの議論に参加しにくい状態になっていると思う。したがって、技術的な問題などをきちんと整理した段階で、よりわかりやすい形で、情報提供をするということを、総務省も事業者も努力していただきたい。

  マルチバンドによる事業展開について、イー・アクセスからは、マルチバンドは二重投資で非効率であるという話があったことを記憶しているが、その際、イー・アクセスからは具体的な数値は出てきていないのか。もし出てきていなければ、一度イー・アクセスから聞いていただくといいと思う。

  もう一つの話として、前回も述べたことだが、この場でいままで800MHzメガヘルツ帯に興味が行き過ぎた感がする。1.7GHzギガヘルツ帯がさも非常に使いにくい悪い周波数であるかのようなイメージを与えてしまった。本来は1.7GHzギガヘルツ帯というのは、FOMAとかCDMA2000をやっている2GHzギガヘルツ帯より低い周波数であり、そんなに使いにくい周波数でもないと思うので、むしろ、これから参入されようとする事業者は、これをいかにして使いやすくもっていくか、少し新しい技術を導入してでも、積極的にこういう形で使っていきたいというような積極的な提案が欲しかった。新規参入される方には1.7GHzギガヘルツ帯をもっと技術的な手段でもって効率を上げて、場合によっては800MHzメガヘルツ帯と同じような使い勝手が得られるところまで持ってゆくんだという意気込みを持って欲しい。伝搬特性で若干のハンディがあるのは事実だが、何らかの形で技術的に対応できる問題だと思う。そういう意気込みを持っている事業者であって欲しい。

  800MHzメガヘルツ帯の周波数帯域の基準について、この際お聞きしたい。この周波数帯、全部同じではないだろうが、周波数帯について2007年という話と2012年という話が出ているが、周波数については5年間の有効期限という概念があり、用途等や技術的条件が決まっているが、800MHzメガヘルツ帯について、事務局の方から、総務省としてどういう風に免許方針を決めているかということについてお話いただきたい。

  事務局

  周波数の使用期限と無線局の有効期限との関係だが、周波数の有効期限については、周波数割当計画を電波法に基づいて作っており、そこに定められている。周波数には、使用期限が定められているものと期限の定めがないものとがある。800MHzメガヘルツ帯については、現在の周波数配置に基づく携帯電話用周波数の使用期限について、昨年9月に電波監理審議会に付議して、周波数割当計画を変更して、2012年7月を使用期限にしているところである。

  無線局免許との関係だが、無線局免許の有効期限は原則5年とされているが、再免許を妨げないということになっている。当然、再免許を妨げないと言っても、周波数の有効利用の観点から、周波数の利用状況調査とか、無線局の再免許の際において、割当て済み周波数の必要性について検証を行って見直しを図っている。

  割当周波数の使用期限と無線局免許の有効期限5年間との関係だが、周波数割当計画において、周波数の使用期限が設定されている場合、今回の800MHzメガヘルツ帯の場合もそうだが、「免許の際に周波数の利用は周波数割当計画に定める使用期限までとする」という旨の条件を付して免許をすることになっている。

  周波数の利用態様は、例えばPDCとかそういったものと理解してよいのか。

  事務局

  然り。現在の周波数配置に基づくものについては、PDCと、一部IMT-2000もあるが、今のPDCなどの現在の周波数配置に基づく使用と、新しい周波数配置に基づく使用について、同時に周波数割当計画において決められているということである。

  期限を区切って許可を与えているという話だが、その期限が経過した時に、更新をするかという話と、その更新の機会利益と、期限が過ぎたら自動的に免許がなくなってしまうことと、それから期限を切ったときに新規参入が入ってこれるかといった、問題とからむ非常に難しい問題である。従来、無線局免許というものは、例えば放送局の場合が典型的だが、期限が過ぎても、そのまま更新ということが大部分の前提となっていた。しかし、この800MHzメガヘルツ帯については、例外として、2006年とか2007年頃までに更新して、2012年がデッドエンドだということを定められた珍しいケースである。周波数免許については、5年に1回、5年ごとにチェックをして免許を更新している。もちろん、例えば免許人の方が何らかの意味で非違行為を行った場合には、当然途中で撤回するということは、あり得る。しかし、これまでの経緯として周波数の移行、例えば国際的な周波数の用途変更で、周波数を移行しなければいけないという場合、その場合どうするかというと、たぶん2回くらい先の1、2回くらいあとに、例えば、5年で言えば10年後くらいに、周波数を変更することとし、そこまでに期限を定めているということである。それを考えると、今回の800MHzメガヘルツ帯について、2012年に移行させるということは、従来の相場から言ってもかなり厳しいもの。2012年には全部新しい状況になるというのが、かなり新しい方針だと思う。

  また、免許人がいるからその周波数は使わないという形で返上をするという場合には当然、免許人が変わるということはあり得る。これに対して、電波法71条に免許有効期間途中で、免許人の意に反して、そして免許人自体が非違行為を行っているわけではない時に、その周波数を途中で取り上げるという場合は、それによって生じた損失を免許人に対して補償しなければいけないということであるが、これまで補償したという事例はあるのか。

  事務局

  電波法第71条第1項の規定は、特に電波に関する国際条約等において周波数の変更が必要になるなど、必要性、緊急性がある場合に、この条項を発動しているものである。

  これまで議論を聞いていて、途中で周波数を変更するということについて、このような法的な見解がネグレクトされて議論されてきたのではないかと感じている。既存のNTTドコモやKDDIといった免許人の方々は、一部については個別的に返上している。NTTドコモやKDDIの方々が部分的に周波数を返上した場合に、新規免許人が誰になるかというのは、当然、返上した人がそのままそこに入れるということは決まっていなくて、新規参入も同様に周波数帯に入るかは平等に決しなければいけないと思う。一括して全部をある時点でまとめて再編というものを2012年により前にやる場合には、当然補償の問題がついてくるということはご理解いただきたい。

  2012年以降は、補償の必要がなくなるのか。

  事務局

  現在の周波数配置では、現に周波数をNTTドコモとKDDIが使われているが、その周波数配置に基づく使用は、2012年7月に切られており、そこまでに移行する分については、それを自己負担で負担していただくものである。あくまでも、そこまでにどいてくださいということが決まっているということ。

  座長

  2012年のところで再編されて、また何かが起こった時に今の条項が適用されるということか。

  事務局

  2012年7月以降のことについては、現在決まっているわけではなく、そこまでに使用期限が決めてあるため、今の周波数使用配置に基づく使用は終わりということは決まっていて、それに向けて自主的に移っていただくということ。

  2012年までの期限というのは例の地上のデジタル化との関連がひとつあるのだと思う。基本的に地上アナログの放送は2012年に打ち切ることを踏まえて12年ということだと理解しているが、方針としては、終了ということをうたっているが、本当に終了ができるような運びになっていくのか。昨年末に私もデジタルテレビを購入しようかと思ったが、大画面テレビはさすがに地上デジタルが入っているが、中規模以下のものはほとんど入っていない。テレビは10年は持つため、次の2012年まで十分に使える。このため政策的にテレビの方もやらないとうまく回っていかないのではという点がある。

  5年ごとにというのは、2004年の次は2009年で、その次は変則的に2012年になるということか。

  事務局

  免許の期限のことかと思うが、免許を付与した時期が異なるため、必ずしも一斉に期限が到来するのではない。

  800MHzメガヘルツ帯について、基地局のコストの比較が出てきた。15%〜40%までのブレがあるが、これは、800MHzメガヘルツ帯と2GHzギガヘルツ帯を比較するということで、数字が出ている。今の議論で必要なのは、1.7GHzギガヘルツ帯と800MHzメガヘルツ帯を比較したときに、トータルのコストとしてどれくらい違うのかである。技術的な検討の中で、その判断をするのに役立つような代理変数のようなものがあるとありがたい。1.7GHzギガヘルツ帯のコスト特性は、2GHzギガヘルツ帯と800MHzメガヘルツ帯の、どちらにどう近いのか。この差が、トータルのコストの中で考えたときに、致命的に違う差異なのか、微差なのかということがわかるようなエビデンスがあると非常にありがたい。

  座長

  1.7GHzギガヘルツ帯の設置コストについて、何かデータはあるのか。

  事務局

  1.7GHzギガヘルツ帯について、定量的なデータは持ち合わせてはいないが、2GHzギガヘルツ帯よりは低い周波数帯ということで、電波特性の面では、優れているという特性はあると思う。

  座長

  これは、事業者にも何かを具体的に問い合わせているのか。

  事務局

  1.7GHzギガヘルツ帯は今使っていない。2GHzギガヘルツ帯においてはある程度経験値で数字が出てくるが、事業者に聞いても正確な定量的なデータというのは難しいかもしれない。

  判断するヒントになるようなものでよいが、見切り発車してよいのかとか、どちらに近いのかということが判断できるようなものがあればと思う。また、トータルのコストがどうなのかというところについては、2GHzギガヘルツ帯でも800MHzメガヘルツ帯でもいいのだが、基地局とトータルのコストの関係について、判断できるものでもいい。

  事務局 

  1.7GHzギガヘルツ帯については、新しく使う周波数帯ということで、端末とか機器の開発コストがあるので、どれだけ正確な数字が出るかわからないが、参考になる資料を集めてみたい。

  800MHzメガヘルツ帯の技術的な問題点について、技術的なことを事務局でまとめて次回会合でということであったが、そうすると、800MHzメガヘルツ帯の周波数の移行の決まっている部分までを踏み込んで検討を進めていくのか。それとも、技術的にいろいろパズルを解けるかという議論があって、パズルは技術的に解けませんよという結論が出れば、もう800MHzメガヘルツ帯はいじらないということになるのか。今後の方向性は、どのようになっているのか。

  座長

  どのような結果がでるのかはわからないが、各社からの問題が技術的にはどうなんだということを、この場でまとめたものを提出していただきたい。それを受けて、現在の粛々として進められているものをこの場で変えろとか、どうかしろというのは、この場では議論するという場ではないと私は考えている。したがって、本当にできるのかできないのかはわからないが、技術的な観点から見たら問題があるのか、ないのか。あったとしたらどういう問題なのかということを、この場で我々の方に提示していただきたい。それが可能なんだとしたら、その観点を踏まえた上でいろんなことも言わなければいけないし、不可能だとしたら、それに対したことを検討しなければいけない。その点で技術的な観点から整理していただきたいということをお願いするものである。したがって、現在の政策に対して、この場でどうのこうと言うのは、みなさんのご意見として出てきた場合にはともかくも、そうでない場合には検討することは考えていない。

  例えば技術的に不可能だということになった場合でも、イコールフッティング、どのレイヤーで公平な競争を議論するかということは難しい。またいろんな事業者の方から、つまり他のところで大きくて他のところで下げられたらたまらないという議論もあったと思うが、少なくとも情報通信産業の分野は、今までのように一次元だけで競争を考えるよりは総合的な事業者で競争した方がいいというような時代にだんだん近づいてきていることも認識した方がいい。2012年には、もっと明確なルールで既得権のない状態で動いていかなければいけない環境があると考えて、今回は技術的には動かないと結論が出たときに、そのときにどうしてもこの分野に入りたい、そうすることが競争上有利だとわかったときに、こういうときに、独禁法の世界のように明らかに参入する方が望ましかったにもかかわらず、参入できず、別の電波帯に移ったというケースの時に、何らかの形で既存の事業者で800MHzメガヘルツ帯を利用している人たちが相対的に有利な分を機会費用として補償するようなことは考えられるのか。これは、ここでの議論では全くないが、基本的には競争政策や公平な競争マーケットにするのが普通だという認識している時に、明らかに費用の差があるということがわかっていても仕方がなく動かすことが技術的には不可能な状態であって、今の事業計画、割当計画が進んでしまっているというケースの時に、特定の既存の事業者が今ものすごく大きな利益を上げているということを目の当たりにしている状態で、何らかの形で電波に対する経済的な価値を利用料としてとるということが起こったり、あるいは何らかの形で新しい事業に入って行くときの電波施設を有効に利用する時の複合的な活用づけとか、何らかの形で新規参入事業者に有利に補償を与えるようなメカニズムというのが、この中で出る可能性があるのかということは、ここの議論ではないのかもしれないが、どういう風に考えたらいいのか。

  2012年の再編というのは、当時、他の新規参入もないまま、当時の既存の事業者がみな賛成して決まったということだが、その後に状況が変わって、いろんな技術や番号ポータビリティというようなものが出てきて、それだったら参入したいという企業がこのタイミングで出てきた。ここで技術的に可能かどうなのかということに問題提起がなされており、それが電波利用の利用拡大に関する検討会ということであれば、この2012年まで待つのがいいのかどうかということを検討すること自体は、やっていいのではないかなと思う。

  2012年というのは、やはり免許の更新期間のタイミングとテレビとの関係でそういう数字が出てきていると思うわけであり、事業者もそれに向けてこのスケジュールの管理をしている。このため、事情変更の法則ではないが、状況が違ったのだからこうしましょうと言ったら、事業者側のやり方も変えてくることも可能かもしれない。例えば巻き取りのコストについては、事業者の一方的な数字が提示されているだけで、それが正しいか検証ができていない。何十万人残ると言っているが、日本の携帯電話の需要予測はかなり難しい。基本料というのはたしかだいたい横並びで3,000円くらい、談合しているとはいわないが、横並びの状態である。やはりその身の危険とかで手元に持っておきたいというお年寄りとかそういう方も3,000円払って、あんまり使わないで毎月黙ってそれを払っている。そういった人たちは往々にして端末もあまり変えたがらない。変える必要性をあまり感じないわけである。ある意味では、事業者からの優等生ということであるが、その人たちが移りたくないと決めつけるのではなくて、むしろ積極的にそこに補填ではないが、ちょっと一世代二世代古い端末を渡す分には本人たちは納得してくれると思う。そういう形で不便さえ落とさなければ、巻き取りということも、むしろ全体の効率性が高まるのであればやっていくことも可能と思う。

  座長

  述べていることはそのとおりだと思うが、例えば、イコールフッティングという言葉がどういうところで使われているかということもある。既存事業者あるいは参入を希望している事業者からも出てきた。先生方からも意見が出ているが、何をもってイコールフッティングするという定義が定かではない。免許期間内にかかわらずというような先程の解説があったが、基本的に、その免許期間内の事業計画、あるいは施設、設備等を踏まえた上で、今の事業計画をひっくり返すようなことをしなければいけないということを勘案すると、新規参入者に対するチャンスと同様に、既存事業者に対する損害というか、ペナルティーを払わなければいけないということが法律にあるが、そういうようなことを含めて考える必要がある。そういうようなことに対して回答するという役目が我々にあるかどうかということを考えなくてはならない。

  コストを詰めるとか、実際どうするかというのは、それはまた別の話でいいと思う。ただ、議論の進め方については、そういうことは、この会議の中で提案していいのではないか。

  座長

  要するに決定に当たってはこういうことが問題になるから、よく考えろと。そういうことに関するいくつかの回答があるなら、そういうものを我々として出すというのは、それはもちろん重要なことだと思う。先ほどのご発言だと、全部回答を出せという形にとらえられる。

  競争政策のところで、現状の電波の割当てに関することから派生するいくつかの問題で、明らかに見えている問題があるにもかかわらず、既得権をもっている者が有利に働いてしまうことが、明らかに見えるというのは、これまでの議論の中で認識をしている。このことについて、公平だという解決の案を、この場ではなくて競争政策とか、あるいは事業法の世界のところできちんと議論をしていただく場をつくってもらわないといけないと考えている。この検討会は、多分、違うと思うが。1.7GHzギガヘルツ帯や2012年になったときに周辺でもう少し空くという話というのも、そのときに空いた時にそれが何だと言う感じもする。その時に、この分野に投資をしようと思っている方が上手に2012年の世界を目指して、一斉に2012年、放送も電波の世界も一斉にソフトランディングするというのは、画期的な、憲法改正の時みたいな、そんなことってあるのだろうか。そうではなく、2012年が見えながら、その方向に最終的に行き着く先に近づいて、一歩ずつ、実態もそれに近づいた環境にしておくのが当たり前なのではないか。

  私もやや似た意見である。仮に2007年頃にドコモなりKDDIが、PDCをやめてIMT-2000に変えたいと言ってそれで免許を受けた場合、そこからまた5年間、そこを押さえていることになる。そうするといつまで経っても既得権というものがあり、それは、今の意見のように実現は困難かもしれないが、2012年に周波数帯域700/900MHzメガヘルツが利用可能となったときに、そこで新規参入が十分できるというようなこと、それを前提とした議論は必要。

  また、携帯電話の場合については、なお、成長構造だが、800MHzメガヘルツ帯についてはすでに開発されていて、十分おいしい市場だということはわかっているところである。したがって、それについては、これは我々の任務ではないが、そこにアメがあって参入したいという場合には、そこに既得権益が押さえているというのではなくて、既得権益については、電波利用料なり、何らかの料金値下げで、国民一般に、あるいは事業者にそれを返納してもらう、そういう政策をとるというのはあると思う。

  最後に技術的に確認しておきたいが、800MHzメガヘルツ帯の細かいことはまた別途次回話があるということだが、やはり、既存の第二世代がありつつ、移行していく、しかも、制御チャンネルもあって、それはなかなか厳しい状況にあるということは、共通認識としておいた方がいいのではないか。

  800MHzメガヘルツ帯の話もあるが、1.7GHzギガヘルツ帯の割当の方針を総務省が決めなければならず、1.7GHzギガヘルツ帯が今回のメインテーマではあることに違いなくて、2006年度に間に合うようにある事業者が参入できないといけない。であれば、事務局で、議論がいつ頃収束し、その最終的な判断をいつするのかということについてある程度方針を言っていただきたい、今後、引き延ばしとか、いろいろ可能性はあるので、番号ポータビリティにあわせて2006年に間に合わせるということで、これは10月までには必ず決めるとか、その方針はここでどういうような時期に、どこの時期である程度のものをまとめなければいけない。このままだと、移行の委員会を作ってくれとか、そのままズルズル、ズルズル長引きそうである。最初はそうではなくて、だいたい今日当たりにはまとまっているというような方向に持って行きましょうというようなことだったが、正月も余りのんびりできなくて、少しは考えとかないと、というような状況にある。事務局の方で、どの辺が目途なのかを、是非この場でご披露していただきたい。

  事務局

  最初でも説明したが、2006年度には1.7GHzギガヘルツ帯が第三世代携帯用に使用できる状態になるということで一刻も早く、それに関する免許方針を作りたいと考えている。ここの検討会で出されたいろいろな意見を踏まえて、なるべく早く、免許方針を作っていきたいと考えている。

  800MHzメガヘルツ帯の議論と1.7GHzギガヘルツ帯の議論が、並行して進むような議事進行をお願いしたい。

  座長

  然り。そのつもりである。できるだけ早くということは必要。

  だいたいどの辺でというのが見えないと。事業者の方もなかなか決まらないということでやる気を無くされると言う可能性もある。ある程度期間を担保してあげないとうまく回らない。ある意味それはこの検討会の役割の一つであろう考える。

  座長

  1.7GHzギガヘルツ帯の議論が今日初めてだったということも、実はある意味においたら不幸なことであった。その意味では1.7GHzギガヘルツ帯という当初の対象をこの場で次回からしっかり検討させていただきたいと思う。


  (6)   今後の進め方について
  次回の日程及び場所は現在調整中であり、後日連絡することとなった。 



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