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参考資料



ホームページ等に関する業務フローの現状と課題

(長野県伊那市担当者へのヒアリング)




国内の地方公共団体のうち、ほぼ9割が人口10万人以下であることから、こうした小規模団体の実態把握は必要不可欠である。
当研究会でも、来年2月にこうした地方公共団体も含めたアンケート調査を行う予定であるが、今回、長野県伊那市(人口7万人弱)の担当者からアクセシビリティに関する取組の現状についてヒアリングする機会に恵まれた。本資料は、議論の参考用としてヒアリングの内容をまとめたものである。(ヒアリング調査実施:平成16年12月13日)


1. ヒアリング結果

1) 伊那市におけるホームページ検討状況
市役所内に電子自治体調査研究委員会が設置され、その中の「IT活用WG」において、課題抽出、対応方針検討を開始。WGではアクセシビリティ確保や運用ルールについても検討。

2) ホームページの調達事例(平成13年2月公開)と運用状況
調達の「提案実施要領」の中に、「ウェブアクセシビリティの確保の必要性」についての記載あったが、抜本的な対応までは意識されていなかった模様。
仕様書を元に企画課担当者が検収。「視覚障害者への配慮、文字を大きくする」要件は、「バリアフリーページ(一部コンテンツをテキスト版で提供)」を用意したことで、対応とした。
公開後の運用は、各課でword、excelで作成した原稿が企画課に送られ、企画課担当者(1名)がホームページビルダーでHTML化して公開。一部の定型コンテンツは業者に外注。
市民から任期1年間の「市勢モニター」8名(地区推薦4名、一般公募4名。障害者枠などは無し)により、毎月一回、市報やホームページについての意見を提出。

3) 予約システムの調達事例(平成16年4月稼動)
提案段階、契約時の仕様書には概要を記載。詳細は業者との協議で検討。
開発が短期間だったため、開発途中や検収での使い勝手や見易さをチェックは充分できなかった。使い勝手の改善について、平成17年度に新たに予算化して対応する。
調達当時、Webシステムのアクセシビリティ対応は意識されていなかった。

4) アクセシビリティに関する取り組みの現状
運用ルール、手順、ガイドラインのような庁内文書は無く、アクセシビリティの維持や改善は、制作公開の担当者の配慮意識やスキルに依存している。
企画課担当者が、公開前にWebhelperで点検を行うことはある
各部署の職員には、アクセシビリティやJIS規格は認知されていない。前述のWGの委員は、アクセシビリティやJISを意識し議論している。
各課の担当者が更新を担当しタイムリーな情報提供ができる体制を目指し、庁内意識、ルール整備を含めた体制、CMSなどツール導入を含め、実現方針の検討をはじめた段階。

2. ヒアリングに基づく分析(事務局)

自治体側に調達ガイドラインが無いため、委託業者側の提案に依存した調達にならざるを得えず、結果的にアクセシビリティ確保の視点が充分に盛り込まれていない。(特に中小の自治体では多いケースと思われる)
アクセシビリティ確保の意識が、ホームページとWebシステム調達で連携が取れていない。(主管の違いが原因である可能性、システムのアクセシビリティが想定外である可能性)
調達時のアクセシビリティ確保については、自治体規模の大小に関わらず、ほぼ同様の課題が存在すると考えられる。一方、ホームページ運用体制はいくつかの異なるパターンが想定され、パターンによって確保に必要な方策が異なることが想定される。


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