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地域における情報化の推進に関する検討会
住民サービスワーキンググループ(第4回)
議事要旨

  開催日時
  平成16年11月19日(金)10時〜12時

  開催場所
  総務省10階 1002会議室

  出席者
  (1)   構成員
伊藤淳子、宇山正幸、國領二郎、小林隆、塩崎泰雄、鈴木聰明、高木治夫、高橋寿美夫、寺林一朗、野長瀬裕二、細内信孝、丸田一(五十音順、敬称略)
  (2) 総務省
松井審議官、吉武地域通信振興課長、今田地域通信振興課長補佐、その他

 議事概要
  (1)   事務局より「住民サービスWG中間とりまとめについて」についての説明が行われた。
  (2) 中間とりまとめ、地域情報化に関する意見交換が行われた。

 意見交換の概要
議論のポイントは、現状を分析し課題と理念的に結びつけることと、その課題に対して実際にどのような手を打つのかということ。
上記に加え、国がやるべきことのみならず、システムそのものの中に課題解決する仕組みを組み込むという形で、地域自らが解決する方法はないか、地方公共団体に手伝っていただける部分はないかということを含めて議論を進めたい。
地域情報化は地域の独自性、自前主義等を残した上で進めるべき。また現在弱いのは地域の活動を結びつけるコネクターの部分。地域をプロデュースするような個人や団体が実行力を具備できるような支援が必要では。
他省庁においても、コーディネータ等の人材に関する施策が行われている。先行する事例を分析して進めれば、良い政策が出せるのでは。また地方公共団体では担当者が熱心であれば活動が進めやすいが、異動すれば振出しに戻る。それを防ぐため、行政側にCIO等が必要ではないか。
コネクターになれる人は限られているが、活動の伝播には必須の存在。またコネクター同士を結ぶイベント等のような、メタコネクターに対する支援も必要では。
地域の情報化においては、地域内のことに対してはフォーカスされるが、地域間交流への支援になると非常に手薄。メタコネクターやひとつの地域に対して助成を行うのみではなく、複数の地域が一緒に活動する仕掛けはできないか。
地域の課題を解決する、産業を興すというのは、社会的企業家を繋ぐということに繋がる。イギリスのCANという組織では、社会的企業家間をネットワーク化し、知的ノウハウをドキュメント化して公開している。データ化することにより、従来縦割りで行われていた、福祉と建築のような異分野を繋げることを促進している。
コネクターが出てくる素地は地域が作ったもの。その環境が今壊れてきている。環境を整えるため、地域の歴史のようなコミュニティアーカイブを形成する即効性のあるものと、アーカイブを活用する長期的なものとの両面で支援すべきでは。
コネクターは、行政が縦割りのそれぞれの分野で探しても見つからない。行政と市民とのコネクションをいかに広めていくかということが重要。またランニングコストについては、成功事例を見ると、最初の1年は金銭的支援を受け、2年目は支援を投資し、それが生きてくる、3年目は行政をパートナーとしてビジネス等を行う、という流れがある。必要な支援に段階があることを捉え、有効な施策を行うべき。
コネクターは自治体と地域の間の接点がないと捕まらないが、接点があっても発見できるかどうか難しい。
行政は縦割りで物を見ているが、コネクターはどこでも繋がる人であるので、行政がそれぞれ担当の事業に取り込もうとすると、資源が分散されてしまう。それを防ぐためには、やはり役所の横連携を行うためのCIOが必要では。
伝播の際には、活動をユニット化するのみではなく、それが地域に根付くためのインターフェースが必要である。インターフェースをオープン化して何にでも繋げられるように行政が図る必要がある。
トラストについては、相手が信用できるか確認する仕掛け(認証)を整備すべき。
役所の中の横断的仕組みをつくるのは、実際のところ難しい。国がストレートに団体を支援する仕組みを作れないか。
国から地方公共団体等を通して地域企業やNPOに仕事が降りてくる間に、細目や計画が確定していて請負えなくなることがある。
資金調達の手法として、民間からも調達できる仕組みを併せ持つのがよいのでは。行政の資金は税金であり、使途や品目が自ずと限られてくる。また税収入は先細りである。そこで地域コミュニティから調達できる私募債の発行や、マージングの方法等を検討できればよいのでは。
地域情報化を進める人材について言うと、ファーストレベルインフレンサーは経済的に独立している人となる。ある程度独立した人がリードしないと地域情報化のシステムは動作せず、ゆえに最初にその人をどのように見極めるかが重要では。
資金のある人ばかりが独立的なのではなく、お金のない独立者もいる。その場合は、どこかが窓口になり資金を調達できるようにする必要がある。
(青森県の市民出資による風力発電事業を事例として)善意だけでは活動を続けることは出来ず、わずかでもリターンがあることがトラストに結びついている。
コネクターが地域の中で機能するためには、経済的に独立している方がよいが、独立しにくい人もコネクション能力がある。お金のロジックから土俵を変えて存在する形があればよいが。
コネクター=地域のリーダーではない。地域の中にいるわけではなく、地域間を泳ぐ能力がある者。品格、知識、知性があることが重要で、経済的に独立していることもそこに繋がる。そういった、人を信用させ得る人物がコネクターとなる。自然発生的に出て来るのは難しいかもしれないが、コネクターを繋ぐことは可能では。
地域情報化を行う人が自然発生的に出てくる仕掛けをどのように作っていくか。公募制や契約によるものがあったり、達成すべき目標設定など様々な仕掛けがある。この仕掛けを明示すれば、キャリアを積みたいという人は挑戦するのではないか。
所管業務の重なりのような必然性の中で、行政同士のコネクトは生まれてくるのではないか。
地域の活動の自立性、継続性については、プロジェクトの品質や顧客満足度の向上が非常に重要。また地域のニーズから活動が発生しているため、他の地域に伝播した場合に、本当に根付くかどうか難しい。品質を維持しつつ、地域連携して効果を生じさせてゆけるかが継続のキーワードとなる。継続可能かどうか、多数の地域と連携しているかどうかを評価するような仕掛けや政策が必要ではないか。
行政の情報が地域に行き渡るよう、メディアを用いる等行政のPRの仕方も洗練されてもよいのでは。
様々な段階における地域情報化の定義があるが、どの段階が対象なのか明確化しないと「情報化の促進」と書いても不明確となるのではないか。
情報化が目的なのか手段なのかという議論がずっと続いているが、手段だと思う。
ここで地域情報化の定義を検討してもよい。「地域情報化」は変化し続けるもの。
このWGでは「地域が自主的に解決する能力を与えてくれる情報の道具を用意する」といったところか。
今回は、コネクターについて主に議論が行われた。行政の縦割りを、横にニーズ側から繋いでいく話や、地域間を繋ぐという話があったように、「繋ぐ」がキーワードとなっている。コネクターが非常に重要な役割を演じていて、その動きの中でトラストを形成することも行われている。そうすると、コネクターが泳ぎやすい環境をどのように整備するかという話に繋がる。コネクターの発生については、自然発生的ではあるが、それでも生じやすい環境があるのではないか。またコネクターが行動を起こしたときに資金の問題が発生する。行政の資金が活きる形で流れるようにする話と、地域そのものから資金を調達する仕組みという二つが論点として挙がった。更に地域情報化の情報を集積して、コンテストのようにセレクトするような仕組みを作ることによって、ネットワーク化が図られる話も述べられた。これはメディア化の話でもある。このような中からファンディングの基礎となるトラストも醸成されるし、メタコネクターも生まれてくるのだろう。
市民出資や地域通貨の規制の緩和、補助金交付の仕方も検討したい。
行政側にコネクター人材が不足しているため、これを育成する仕組みが必要。地域のコネクターは多数存在するが、行政が見つけられていない。またトラストについては、行政が担保する信頼感、行政と協同するために発生する信頼もあるが、これからは活動のプロセスがオープン化されていることによる信頼というものもあるのではないか。
行政側にコネクターが増えると、それがインフラとなる。現在は広く一般を底上げすべき時期。底上げしないまま不特定多数で活動を行うと失敗する。
活動を行う側も、行政が信頼を置ける組織とならねばならない。
現状の課題分析において「少子高齢化」と記載されているが、シニアのみで女性の観点がない。追加すべきでは。
資金について述べると、地域情報化の活動は個人の力に負うところが大きく、今後は所属ではなく個人を見て投資を行うべきではないか。また投資であるので失敗も予想されるが、失敗の情報も地域間を流通し今後の糧となり得るものである。
ICT化が急速に進む現在、数年後がどのような情勢になっているか不明だが、消費者サイドに立ったアプローチが必要であることは間違いない。国、自治体、大企業があってユーザが居るという関係は崩壊するのではないか。そのような状況で、国、自治体が何を行えばいいのかという検討を、次回以降続けたい。
    

  以上



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