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「地域における情報化の推進に関する検討会」
住民サービスワーキンググループ(第7回)
議事要旨

  開催日時
  平成17年3月3日(木)14時〜1630

  開催場所
  総務省10階 1002会議室

  出席者
(1) 構成員等
     宇山正幸、國領二郎、小林隆、塩崎泰雄、鈴木聰明、高木治夫、高橋寿美夫、寺林一朗、平井愛山、細内信孝、丸田一(五十音順、敬称略)
(2) 総務省
     鈴木政策統括官、松井審議官、横田地域通信振興課長、今田地域通信振興課長補佐、ほか

 議事概要
 
 (1) 事務局より、「住民サービスワーキンググループ報告書(案)について」についての説明が行われた。
 (2) 地域情報化に関する意見交換が行われた。
 (3) 報告書は主査が取りまとめされることとなった。

 意見交換の概要
   報告書の記述について、地域情報化の意義には、主体が地域の住民であることを明確にする文言を挿入すべき。単なる住民参加型ではなく、住民が主体となって問題解決に取組むという方向性を、より明確に打ち出すべきではないか。
   地域情報化は、地域格差を埋めるのが目的ではない。地域のニーズに合わせて、地域の住民が自ら問題解決できる環境を作ることが目的であることを意識すべき。
   今回追加された実際の事例におけるインセンティブ・トラスト・コネクター(イ・ト・コ)の例はとてもわかりやすい。イ・ト・コをコンセプトではなく、実際のものとして把握することが可能となった。
   イ・ト・コに関しての記述は従来の報告書と比較して、特徴が現れている点である。イ・ト・コの具体例について、インセンティブ=モチベーションになっているが、「モチベーションを誘因する構造」が書かれるべきではないか。例えば、建築市場では、システムの導入により結果として職人の賃金が上がったということがモチベーションを向上させている。
   イ・ト・コは地域情報化に限られたものではなく、もっとグローバルなモデルにも適用することができる。
   「公的な支援は自律性を損なわない限り必要最小限にとどめる必要がある」という記述があるが、自律性が損なわれないことを前提とした「必要最大限の支援」ではないか。ただし支援を受け過ぎると、自律性が阻害されてしまうため、その両面の配慮をしたい。
   NPOに対する寄附の課税控除が一部しか認められていないのは、NPOの活動の上で大きな問題である。寄附が課税控除となる新しい制度(認定NPO法人への寄附課税控除)があるが、現在認定法人は少数しか存在しない。この点は記述されるべきでは。
   NPOが事業を展開する上で助成金、補助金が必要であるが、必要経費が補助金等に十分に盛り込まれないという問題がある。
   NPOの場合、プロジェクトを受託しても、委託金が支払われるまでの数ヶ月間の運用資金を確保しなければならず、小さな組織では運営が立ち行かない。行政からの発注書を担保にして融資を受けるというような、信用保証のスキームが利用できればよいのではないか(参考:売掛債権担保融資)。また、NPO版プロジェクトファイナンスのようなものも必要になるのではないか。
   NPOは出資を受けないため、資金力がなく、つなぎ融資が受けられない。活動が将来地域にとって有効だということを地域で認定して、資金を出していくという形にするのが理想的である。また、県がコミュニティビジネスを認定し、保証することで融資を受けられる仕組みが、青森県等で開始されている。
   報告書案では地上デジタル放送について触れられていないが、地上デジタル放送を活用した行政サービスの提供に関する取組が、各地で実用化段階に進んでおり、記載するべきではないか。住民にとっては、パソコンよりも地上デジタルの方が親和性があるのではないだろうか。また、事業者は「放送と通信の融合」に関心があるので、これも併せて記述したい。
   地域には行政による公共ネットワークが存在しているが、十分に活用されておらず、ファイバが空いている状態である。地域住民のコンセンサスの下で、地域住民が公共ネットワークを利用できることが大切ではないか。各地域では資源があるにも関わらず、住民に利用方法についての決定権がない。予算の出所、目的外使用の制限という形で規制がかけられており、非常に惜しい話である。ICTのネットワークは道路のような基本的なインフラであり、特定の用途のみに使用を限定しない方がよいのではないか。縦割りの理屈ではなく生活者の視点で、今ある資源を有効活用できるようにならないか。
   近年地域イントラネット事業では、地域で広くイントラを活用することを想定している。ただしそれ以前に構築されたものについては活用できていない。また、民業圧迫の懸念もあり、行政で構築したものを全て民間に開放するという訳にはいかないのではないか。
   民業圧迫については、これまでの地方の情報通信インフラの整備は市場原理の中で進められてきたため、結果として情報過疎地域が4割くらい残っているという問題もある。
   報告書は、全体的にニーズよりもシーズよりの記述ではないか。特に第4章の施策の部分は、視点がシーズ的である。インフラ構築において、大事なのは「共有」という概念である。今後必要とされるのは、契約者だけが使えるものではない。訪問医療において、高齢者ではなく医者や薬剤師が、高齢者宅や近隣のネットワークを利用できるという、「共有」して使える基盤があるということであり、病院から療養者宅へ「癒しのラストワンマイル」が構築されるということ。報告書に記載はあるが、より住民視点で記述すること。
   報告書案は、住民の自律的な発展に注目しているが、地域情報化によって地域が変容するのにあわせ、行政側のスタンスも変えていくべきではないか。例えば、現在は個人のスキルやナレッジを考慮しない補助等が行われているが、十分なスキル等を有する人材には、貢献に応じた報奨を行っていくべきではないか。
   インフラについては、各地域で一定レベルまで底上げしようという意図が見える。しかし各地域でインフラの整備レベル、要求レベルは異なるのではないか。インフラありきではなく、住民が実生活で何を望んでいるかを把握することが必要である。それを考慮した記述にすること。
   活動が越境した場合にも十分な支援が受けられるよう、行政圏という枠組みにとらわれないことが必要ではないか。例えばケーブルテレビの行政区域を越えた活用は、住民の視点から考えるとごく自然なこと。また、都道府県の枠組みを越えた動きがあった場合には、圏域を越えたところの調整等を総合通信局が担えないか。
   民からすれば、そこに存在するインフラがどうして使えないのか、官からすれば、制度を守り、民業圧迫などを考慮しなければならず、その部分のギャップの埋め方が難しい。できれば主語が住民だというレポートの書き方で進めてみたい。
   地域情報化の総合的評価指標については、国家戦略としての住民サービスの話と、顔の見える関係である住民同士における住民サービスが混在しているように思える。今後の検討課題として欲しい。また、NPOのファンディングには、情報公開は必須であり、指標による評価を何度も繰り返し、PDCAに乗せ、住民主体の活動の評価、情報の公開がされる状況をつくり出す必要がある。ひいては、NPOが地域活動としてどのようなことを行ったのか、あるいは行おうとしているのかという情報を、基本的なフォーマットを策定し、データベースとして情報公開していくことを行いたい。これはNPOも情報公開して審査を受けられる、アカウンタビリティを作るという話である。例えば、「シニアSOHO普及サロン三鷹」は企業でいう株主総会用の事業報告、決算書、バランスシート等を持ち、公開している。
   このWGにおいて、情報化の仕掛けと基本要素を明確にし、特にコネクターの役割を重要と位置付けた。今後地域情報化プロデューサ支援制度が発足し、民の立場でのプロデューサ制度を作り上げていくことができたら、素晴らしいのではないか。
   地域がうまく発展できなかったのは、都市部と地域との情報の格差による経済格差が一因。しかし、ICTが進展したことによって、誰でも情報を得られるようになり、それぞれの地域が持っている自然、歴史、文化、人などの特徴を活かして魅力を生み出していけるようになった。今後魅力を得た地域の成果というものは、都市部と全く同じになるのではないか。
  以上



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