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第6回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)



1   日時 平成20年3月25日 1700分〜1900
場所 総務省低層棟1階共用3会議室
出席者(敬称略、五十音順)
  (構成員)
  阿佐美 弘恭(代理:田辺 守)、五十嵐 善夫、井口 尚志、石田 幸枝、井上 惠悟、岸原 孝昌、桑子 博行、坂田 紳一郎(代理:吉田 祐佳)、佐久間 修、沢田 登志子、関 聡司、高瀬 哲哉、高野 ひろみ、高橋 徹、長田 三紀、新美 育文、野口 尚志、林 一司、別所 直哉、松本 恒雄、三膳 孝通、山田 和彦、吉満 雅文(代理:石倉 雅巳)
  (オブザーバ)
  経済産業省 諏訪園消費経済対策課長、日本データ通信協会 若林所長
  (事務局(総務省))
  武内電気通信事業部長、安藤総合通信基盤局総務課長、二宮消費者行政課長、河内情報セキュリティ対策室長、吉田消費者行政課企画官、扇消費者行政課課長補佐
4   議事
  (1) 開会
  (2) 第5回議事要旨案について
  (3) 議題
    特定電子メール法改正法案について
    迷惑メールが日本経済に及ぼす影響の調査について
    迷惑メールに対する技術的解決策について
    迷惑メール対策に関する国際連携の在り方について
    今後の進め方について
  (4) 閉会

5   議事概要
  (1) 開会
  (2) 第5回議事要旨案について
    資料1の第5回議事要旨案について了承された。
  (3) 議題について
  1) 特定電子メール法改正法案について
  事務局から資料2−1(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案の概要)及び資料2−2(中間とりまとめの特定電子メール法改正法案への反映について)に基づき特定電子メール法改正法案についての説明及びオブザーバの経済産業省諏訪園消費経済対策課長より特定商取引法改正法案における電子メール広告規制の概要についての説明があり、これに関し以下の質疑があった。

特定商取引法の今後のスケジュールはどうなっているか。
→   特定商取引法は公布後6ヶ月以内施行となっている。国会次第だが、仮に6月に法案が成立すれば、秋に(政省令等に関し)パブリックコメントを実施した上で、年内に施行したい。

オプトアウトからオプトインへの改正は、規制がなかったところに規制がかかる形になりため、既存事業者にとっては非常に影響が大きいのではないか。

広告メールについて、やめられないというような苦情が多いのであればオプトイン規制を行う意味があるが、実態はどうなっているのか。
→   受信者の意識としては95%が広告宣伝メールの送信の禁止かオプトイン方式による送信を希望しているというアンケート結果が出ており、送信事業者側でも正当な事業者は、ほとんどがオプトイン方式で送信している実態があるが、規制強化にならないような形にしていきたい。

法改正により、法を意識することなく中小企業が送っているメールも規制の対象となりうるものであり、十分な事前周知が必要ではないか。
→   周知の在り方も今後研究会で議論していただきたい。

実態としては、事業者は同意を取った上で送信し、配信解除の手続きも備えているところが多いようだが、法規制としてやる必要があるのか。
→   産業振興の立場から広告メールは重要であり、不必要な規制は不要。ただし、商店街などが送った真っ当なメールを見てもらえないという実態もあり、送っ たメールを安心して見てもらえるような枠組み作りも今回の改正の狙い。

中小企業など規制がかかっていない人に対する新たな規制については慎重であるべきである。今回の会合から新たに5人の構成員にも加わっていただいており、運用に関し十分議論していただければと思う。

今回の改正法案は正当な広告業者とは関係がない。法制定時からオプトアウトは不十分な規制であると主張していたところ。懸念しているのは悪質な事業者が規制の網をくぐり抜けて正当な事業者のみが規制されるのではないかという点。オプトイン規制には賛成であるが、技術的にできないことまで求められるのは困る。

  2) 迷惑メールが日本経済に及ぼす影響の調査について
  財団法人日本データ通信協会若林迷惑メール相談センター所長から資料3(「迷惑メールが日本経済に及ぼす影響の調査」報告書について)の説明があり、生産面への被害として約7300億円、ISP等における投資として約319億円、事業所・行政機関等における投資として約518億円、消費者における投資として約132億円という最終報告があった(なお、消費者への被害の定量的推計は対象外としている。)。これに関し以下の質疑があった。

通信事業者などのサーバーやシステムの増強費用についてはどこに含まれているのか。
→   ISP等における投資や事業所・行政機関等における投資の部分に含まれている。

  3) 迷惑メールの最新動向と実施すべき技術的対策等について
  JEAG(Japan Email Anti-Abuse Group)本間氏から資料4(迷惑メールの最新動向と実施すべき技術的対策等について)の説明があり、日本国内における迷惑メールは減少せず危機的状況である。国内でOP25Bの技術的対策の完全実施を進めるとともに、海外の政府、事業者等に対し日本の成功事例(特にOP25B)を推奨し、迷惑メールの送信者の情報交換をできる体制を整備することが必要との意見があった。これに関し以下の質疑があった。

資料4の18ページで、海外ISPの一部ではトラフィックをねじ曲げてISPでモニタしているところも存在しているという記述があるがどういう意味か。
→   日本では認められないと思うが、ユーザーがアクセスしてきたトラフィックをそのまま正式なルートに流すのではなく、ISPが提供しているサーバーにスルーさせてモニタリングし、違法なものであれば排除するといったもの。

資料4の1ページで迷惑メールは減少しておらず、危機的状況という記述があるが、迷惑メールによる経済的損失を減らすには全世界でOP25Bを導入するしかないのか。
→   仮にOP25Bが全世界で導入されれば、動的IPアドレスからの迷惑メールの送信はなくなると思うが、固定IPアドレスから送信するケースについては依然として対策が必要。

固定IPアドレスの取得は困難ではないが、なぜ、迷惑メールの発信者は固定IPアドレスではなく、動的IPアドレスを利用して迷惑メールを送信するのか。
→   資料4の1ページにあるとおり日本国内発については固定IPアドレス発の迷惑メールも増えている。固定IPアドレスに関しては、取得の際の厳格な審査や悪質な者に対する利用停止といった措置をとっているISPが多数ある。ただし、簡単にIPアドレスの取得を認めるISPもあり、そうしたISPに迷惑メールの発信者が集まるおそれはある。

自分でサーバーを立ち上げて固定IPアドレスを利用するような人に対して、本人確認をなるべくやっていくなど運用面での対応をしていくべきということか。
→   それも一つの解と思う。また、固定IPアドレスについてもOP25B的な運用ができないかという考えもある。

  4) 迷惑メール対策に関する国際連携の在り方について
  事務局から資料5(迷惑メール対策に関する国際連携の在り方について)について、官民ともに多国間及び二国間連携をし、様々なレベルで情報共有することで国際連携を進めることについての説明があった。これに関し以下の質疑があった。

日本における迷惑メールの実態は外国に知らせるということだが、外国、特にアジアの上位数カ国、例えば中国、台湾における迷惑メールの数量は把握しているか。
→   正確な数量は把握していないが、東南アジアいずれの国でも迷惑メールに対する問題意識は我々と一致している。
中国では、2年前にオプトインを導入してから、全電子メールに占める迷惑メールの数量は相当減少した。ただし、日本へ発している迷惑メールの状況については把握していなかったようであり、日本からの情報提供を始めたところ。

アジアパシフィックにおける迷惑メール対策はAPCAUCE(Asia Pacific Coalition Against Unsolicited Commercial Email)が担っているが、活気があまりないのでAPRICOT(Asia Pacific Regional Internet Conference on Operation Technology)全体のプログラムの中で迷惑メール対策を取り上げるべく話し合っているところ。

  5) 今後の進め方について
  事務局から資料6(今後の進め方について(案))について説明があり、これに関し、以下の質疑があった。

法改正の成果に関しては、法の執行を注視する必要があるが、今回の改正法案作業で警察との連携について進展が見られたか。
→   今回の改正法案策定作業に当たっては、実効性強化の観点から、警察ともよく話し合って進めてきたところ。今後もさらに連携強化していきたい。

これを機会に総務省、経産省、警察庁とでインターネットGメン制度的なもの作り、取り締まってはどうか。
→   今回の改正法案作業を通じ関係省庁間の連携強化についてはあらためて確認しており、政府として一体的に取り組んでいきたい。

民間ではプロジェクト名に主導者の名称を付けるのが普通であり、例えば、法の名称も法改正を主導した者の名称とすれば、実効性の担保にも資するのではないか。
→   改正法案については、政府全体で立案してきたものである。

全国の消費者センターに寄せられる小・中・高校生からの苦情の大半はネット関係で、その大半は迷惑メールに端を発する被害に関するものが多い。最近は被害の低年齢化が進んでおり、今後は、学校や消費者センター相談員向けの教育も併せて進める必要があるのではないか。
→   次回会合以降、そうした利用者サイドからの視点についても議論していただければと考えている。

インターネットホットラインセンターと国民生活センターとではお互い何をしているかのかわからないことが多い。今後、対話する機会が必要ではないか。

情報の共有や交換は、既存の枠組みを含め、別の場が活用できるのではないか。
→   政府、民間相互に情報共有していかなければならないというのは、(資料5「迷惑メールに関する国際連携の在り方について」で触れている)国際連携の進め方をはじめ、必要なことであり、それが今不足しているということであれば、強化していかなければならないと思う。

( 以上 )

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