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第8回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)



1   日時 平成20年5月16日 1000分〜1200
場所 総務省8階第1特別会議室
出席者(敬称略、五十音順)
  (構成員)
  阿佐美 弘恭(代理:田辺 守)、五十嵐 善夫(代理:若松 広司)、石田 幸枝、井上 惠悟、岡村 久道、岸原 孝昌、桑子 博行、坂田 紳一郎(代理:能登 雅夫)、佐久間 修、関 聡司、高瀬 哲哉、高野 ひろみ、高橋 徹(代理:木村 孝)、新美 育文、野口 尚志、林 一司、別所 直哉(代理:守屋 雅弘)、松本 恒雄、宮内 良治、三膳 孝通、吉満 雅文
  (オブザーバ)
  経済産業省 諏訪園消費経済対策課長、日本データ通信協会 若林所長
  (ヒアリング対象者)
  エイケア・システムズ 山下取締役、パイプドビッツ 遠藤CMO、青木CCO
  (事務局(総務省))
  武内電気通信事業部長、河内情報セキュリティ対策室長、吉田消費者行政課企画官、扇消費者行政課課長補佐
4   議事
  (1) 開会
  (2) 第7回研究会議事要旨案について
  (3) 議題
    オプトイン規制の運用について2)(ヒアリング)
    その他
  (4) 閉会

5   議事概要
  (1) 開会
  (2) 第7回研究会議事要旨案について
    資料1の第7回研究会議事要旨案について了承された。
  (3) 議題について
   オプトイン規制の運用について2)(ヒアリング)
    1)  電子メールサービスの提供を行う電気通信事業者からのヒアリングとして、財団法人インターネット協会迷惑メール対策委員会の木村委員長から資料2(電気通信事業者側からの要望)について、社団法人日本インターネットプロバイダー協会の野口構成員から資料3(特定電子メール法の改正案について)について説明が行われ、その後概要以下の質疑があった。

 資料2の8ページに、ISP等は送信者と受信者の関係について関与する立場にないとあるが、これはホスティング事業者も同様の立場なのか。
 ホスティング事業者も同様の立場である。

 資料3の5ページに関し、実際にスパマーを捕まえるのにはどのようにしたらよいと考えるか。
 契約者情報は虚偽である場合もあり、警察により、令状を取った上での捜査を強化してもらわなければならないのではないか。
 送信者情報を偽装した送信については、前回の法改正において直罰規定が設けられており、警察による捜査が可能。また、契約者の虚偽の登録があった場合には、契約解除等の措置も行うことが可能であり、法規制と自主規制を組み合わせていくことにより効果をあげることは可能なのではないか。
 文書偽造ということでもいけるのではないか。

 改正法案第29条の規定により違法な送信者を特定できる情報を出させることはできないのか。改正法案29条はプロバイダ責任制限法の発信者情報開示制度類似の制度ではないのか。
 改正法案第29条の規定は、通信の秘密として保護されているものをオーバーライドするという立法趣旨ではなく、個人情報保護法により法令の根拠なく第三者に提供できないものとされている契約者情報に関して、法令上の根拠を設けて解除するという趣旨。そういった意味で通信の秘密を解除するというプロバイダ責任制限法の発信者情報の開示制度とは趣旨が異なる。

 今回の法改正で罰則の整備はできてきたのではないか。

 今後の重要な課題はいかに法執行をしていくかということではないか。そのために特定電子メール法のガイドラインなどを総務省ホームページ上に載せて、現場での円滑な執行ができるようにするべきではないか。

 固定IPアドレスは送信者とほぼ同一なので出してもよく、動的IPアドレスは送信者とイコールではないので出せないという理解でよいか。
 通信履歴と一体化しているものは出せないが、これとは別の顧客リストのようなもので通信履歴と切り離されたものであれば出せるということ。


    2)  電子メールの配信ASP事業者からのヒアリングとしてエイケア・システムズ株式会社の山下取締役から資料4(メール配信サービスの概要と特電法改正への対応について)について、株式会社パイプドビッツの遠藤CMOと青木CCOから資料5(迷惑メール規制の実運用の在り方に関する提案及び要望)について説明があり、その後概要以下の質疑があった。

 資料4の6ページに送信元IPアドレスだけではサービス利用者を特定するための情報が不足しているとあるが、具体的には本文が必要ということか。
→    当社としては個人情報に直結する内容の情報提供を望んでいる訳ではなく,当社サービスの利用者を迅速に特定するための情報が欲しい。Fromアドレスと本文が提供されるだけでもかなり違うが,配信サービス事業者とISPの間で利用者を特定するためのヘッダ情報などの取り決めができることがより効果的であると考える。

 資料5の12ページ、14ページの意見については、電子メールアドレスが個人情報保護法の保護の対象に該当しないこともあるという前提の下での意見か。
 その通り。

 グレーゾーンの場合には、個人情報保護法に準ずるのが望ましいのではないか。

 この研究会は法規制を考える場であって、事業者のあるべき姿としてのベストプラクティスの議論は法規制の議論と区別することが必要ではないか。そうでないときちんと送っている者に対し、過度な規制を課してしまうことになるのではないか。具体的には、資料5の11ページの同意記録の保存義務、12ページの電子メールの送信目的の通知又は公表、15ページのデフォルトオンについては実効性との兼ね合い等から慎重に考えるべきではないか。
 この研究会での議論については、法令上の義務となる省令委任事項の内容、運用に当たっての解釈のガイドラインとして明確化すべき内容、また、運用にあたって、義務ではないが、こういうことが望ましいといった事項に分けて取りまとめることが考えられるのではないか。

 説明のあった両社の配信システムは同じようなものと解してよいか。
 基本的に技術的には同じであり、両社のIPアドレスから送信されることになり、IPアドレスの管理については利用者と契約を結んでいる。なお、専用システムということで利用者が自らのドメインからの送信を希望する場合には、そちらから出してもらうことになる。

 迷惑メールを止める際に利用者からの情報提供はスムーズに行われているか。
 利用者には情報提供に応じてもらっている。

 エイケア・システムズの説明では(ISP等からIPアドレスの情報を提供された際に)送信者の特定に時間がかかるということであったがパイプドビッツではどうか。
 迅速に対応しているが、情報が多ければ多いほど対応がしやすい。

 両社への迷惑メールのクレームの量はどのくらいか。
 年に数件である。

 実際に警察がどれだけ発信者を特定し、取締りまでできるのかといった実情を把握し、仮に警察だけでは対応が困難ということであれば、事業者にも協力してもらうような体制作りが必要であり、そのためには総務省がリーダーシップをとっていくべきではないか。また、体制の実情について情報提供いただくことにより、規制の効果についても判断しやすくなるのではないか。
 この研究会としては、総合的な迷惑メール対策としてどのような体制を構築すればよいかという点について議論いただければと思う。ご指摘の点は、警察庁とも相談させていただきたい。

 資料5の8ページに関連して、迷惑メールの本文中で配信停止手続きに従い、手続をした場合、「このアドレスは登録されていません。」ということでずっと送り続けてくるような場合があることは把握しているか。
 リストと配信停止の仕組みが結びついていない場合にこうしたことが生じると考えられる。

 配信停止手続後メールが止まるまでは1〜2週間要するという通知がよくあるが、そういうものなのか。また、そうした通知があった後に一度でもアクセスするとメールが止まらないということについても把握しているか。
 配信の仕組みと停止の仕組みがつながっていない場合にそうしたことが生じると考えられる。パイプドビッツの提供しているシステムでは、通知があった場合、直ちに停止することが可能である。

    3)  消費者側からのヒアリングとして、全国消費生活相談員協会の石田構成員から資料6について説明があり、その後概要以下の質疑があった。

 資料6の2ページの懸賞サイトに応募したら、迷惑メールが大量に届くといった事例については、受信者からの真の同意はないので、未承諾広告メールであって、表示義務に違反していれば現在の法規制の対象になるものであり、法執行が十分でないことが問題なのではないか。
 法執行が十分に行われればこのような事例はなくなると考えられる。

 健全な事業者の取組も法執行がきちんとなされなければ無意味となってしまうものであり、社会的コストのみを増大させるようなことは望ましくないのではないか。

 登録したメールの解除ができなくて困っているという件数と登録していないのに送られてくるという件数では圧倒的に後者の方が多いという理解でよろしいか。
 現状ではその通り。

 迷惑メールに関する相談では、出会い系サイトに関するものが非常に多い。これに関しては、無料のサイトに一つ登録すると様々なところからメールがくるということであり、これらを食い止める対策が必要なのではないか。

 資料6の相談事例からすると、消費者の認識にも問題があり、ごく基本的なレベルにもなっていないので消費者に対する啓発活動こそ必要なのではないか。それを放置したままルール化すると過度な規制を事業者に課すことになり、健全な企業活動まで萎縮し、単に社会的コストが増加して効果がないという結果になってしまうのではないか。

 消費者としては、最も弱い人を前提に考えるのが消費者保護に関する議論での鉄則ではないか。高齢者や未成年に対し、どこまでの知識を求めるか、今後議論していくべきではないか。

 携帯電話などの取扱いについて、親より子供の方が詳しく、子供に教えられない親も増えているのではないか。

 メールアドレスの無断での第三者提供の問題については個人情報保護の問題が関わってくるが、この場合、同意取得は送信者を特定した上で行わなければならないのか。また、同意の記録は誰が行うことになるのか。
 改正法案では同意の通知は送信者又は送信委託者に対してするものとされており、包括同意は特電法上の同意とはいえないのではないか。ただし、実際の同意取得の方法は様々な方法があるので、そうした実態も踏まえた上で考えた方を整理する必要があると考えられる。

 同意の取得の方法については、包括的同意がいいかどうかという議論も含めて、引き続き議論していくべきではないか。

 同意のない電子メールアドレスがどれくらい流通しているかを把握しているか。また、行政処分にあたって、そうしたことを、調査したことはあるか。
 同意のない電子メールアドレスの流通については特定電子メール法とは別の観点でもあり、調査は行っていない。ただし、措置命令をする際にどのような形で同意を取得したかについて確認した例はある。

 個人情報保護法の適用に関しては、例えば、個人識別性があるものが20%含まれていれば、大量確実的な処理が必要であり、全て個人情報であるとの前提の下に取り扱う必要が出てくるのではないか。

 現在、迷惑メールと違法有害メールの二層構造になってきているのではないか。こうしたことから、今後の迷惑メール対策の方向性としては迷惑メールと違法有害メールの二段階とし、ワンクリック詐欺メール、架空請求メール、出会系メールなどの違法有害メールを厳しく規制していくのが望ましいのではないか。

( 以上 )

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