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第9回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)



1   日時 平成20年6月4日 1000分〜1200
場所 総務省8階801会議室
出席者(敬称略、五十音順)
  (構成員)
  阿佐美 弘恭(代理:田辺 守)、五十嵐 善夫、石田 幸枝、井上 惠悟、岡村 久道、岸原 孝昌(代理:岩瀬 直子)、桑子 博行(代理:丸橋 透)、坂田 紳一郎(代理:能登 雅夫)、佐久間 修、沢田 登志子、関 聡司、高瀬 哲哉、 高野 ひろみ、高橋 徹、長田 三紀、新美 育文、野口 尚志、林 一司、別所 直哉、宮内 良治、三膳 孝通、山田 和彦、吉満 雅文
  (オブザーバ)
  経済産業省 諏訪園消費経済対策課長、日本データ通信協会 若林所長、飯沼部長
  (事務局(総務省))
  武内電気通信事業部長、二宮消費者行政課長、吉田消費者行政課企画官、河内情報セキュリティ対策室長、扇消費者行政課課長補佐
4   議事
  (1) 開会
  (2) 第8回議事要旨案について
  (3) 議題
    オプトイン規制の運用について3)(ヒアリング)
    その他
  (4) 閉会

5   議事概要
  (1) 開会
  (2) 第8回議事要旨案について
    資料1の第8回議事要旨案について了承された。
  (3) 議題について
    1) オプトイン規制の運用について3)(ヒアリング)
     はじめに、全国消費者団体連絡会の高野構成員から資料2(迷惑メールの事例)について説明が行われ、その後概要以下のとおり質疑があった。

資料2の事例2について、提携先がワンパッケージで自動的に送信されてくるということだが、利用者側で選択できないのか、また、提携先はオープンエンドで特定されていないのか。
 利用規約のところで提携先がどんどん増えていく仕組みになっており、利用者側で選択はできない。提携先は特定されていないと認識している。

資料2の事例1及び2について、もし、消費者からこのような事例について情報の流失を防ぎたいといった相談があった場合、どのようなアドバイスをするのか。
 事例1の場合、端的にURLを押さないで下さい、若しくは覚えがないものについては触れないでくださいと助言する。
 事例2については、送信されてくる重要なお知らせを確認するよう助言したり、同意しない場合は退会するように助言。ただ、本来のサービスを気に入っている場合や退会手続きが複雑な場合などは、そのまま使っていただくか、他の代替えを探していただくよう助言している。

消費者側が訳の分からないメールには一切応答しないということで身構えるようになると、本来の優良な事業者から送られるメールも全てカットされることになる。それでは本来のメールの機能が損なわれることになり、対応を区別していかないと優良な事業者が困るのではないか。

資料2の8ページについて、メールアドレスの扱いが同意のない第三者提供や目的外利用等の個人情報保護法に違反する場合があると思うが、(監督官庁等を通じて)指導を求めるということがあるか。
 相談者からはこのような告知や個人情報保護方針のような規約が正しいのかどうかといった問い合わせはある。

資料2の事例2については、消費者取引の抱き合わせ販売に近いのではないか。

資料2の事例2については、非常にオプトアウトがしにくく、全く自分が入った覚えがないのに全てオプトアウトしていかなければならない点が問題であり、オプトアウトのしやすさが今後当然問題になってくるのではないか。

資料2の事例2について、こういう提携については携帯電話でも多いのか。
 ポイントを集めるといった形などで提携は利用されていて、携帯電話でも多いものと認識。

ポイントや電子マネー取引が絡んでくると一方で、共通化というビジネスモデルが存在するのでバランスの取り方が難しい。

資料2の事例2について、本来のサービスと追加サービスの関連性が非常に低く問題であるが、本来のサービスをよりよく使うために提携先が増えるということであれば消費者にとっても喜ばれることになると考えられ、バランスのいい考え方がガイドライン等で定められることを期待する。

現行の規制においても、きちんと同意をとっていなければ未承諾広告ということ法規制の対象になっているのではないか。

2)  次に財団法人日本データ通信協会迷惑メール相談センター若林所長から資料3(迷惑メール対策の「実効性強化」へ向けて)について説明が行われ、その後概要以下のとおり質疑があった。

ホームページ上の周知についてはどんどん努力していくべきではないか。

迷惑メール相談センターのチェーンメール対策の説明はわかりやすい。このように利用者の視点から情報提供していってほしい。

受信者から迷惑メールとして情報提供されるもののうち法律違反以外の情報が多く寄せられているようだが、そうしたメールについて何か特徴はあるか。
 英文メールがかなりの部分を占め、その他ではオークションの落札通知や、おそらく最初は自ら登録した可能性のあるメールマガジンなどが含まれている模様。

迷惑メールのうち出会い系やアダルトサイト系の違法有害メールのような主要部分については、迷惑メール相談センターがウェブ上の違法有害情報に対応するインターネットホットラインセンターのような機能を担っていくべきではないか。

情報をさらに多く収集していくということだが、今後どのように分析を進めていくのか。
 現在、情報分析には人手に頼っている部分も多く、今後システムを用いた分析を強化していく必要があると考えている。

ISPの運用上の立場からすると、中立的な立場の迷惑メール相談センターから通知を受けることは有益である。

その一方、迷惑メール相談センターから通知があったときには、ISPに対し、既に苦情が多数寄せられているという場合もあり、自動的なシステムの導入等を通じ、違法な迷惑メールの通知の迅速化に向けた検討をしていくべきではないか。

法改正によってオプトイン規制が導入されると、迷惑メール相談センターのモニター機に着信するメールは、同意のない受信であるので全てオプトイン違反になる。こうしたモニター機の活用等を行っていく仕組みを検討すべきではないか。

摘発や規制のために、利用者から情報提供された個人情報がそのまま使われることになると、利用者は情報提供することを躊躇するのではないか。個人情報保護に関する指針的なものがあると利用者は安心して情報提供できるのではないか。
 運用の中で受信者の個人情報保護に配慮しながら対応をきちんとやっていく。

実効性をどれだけ上げているかをきちんと周知しないと、受信者から十分に情報提供が行われないのではないか。

3)  事務局から資料4(最終とりまとめに向けた論点整理(案)について)及び資料5(省令で定める内容についての考え方について)について説明があり、その後概要以下のとおり質疑を行った。

資料5の2ページ2)の「同種の商品の購入、サービスの利用の申込みのために電子メールアドレスが通知されている場合」における「同種」の範囲はどうなのか。
 この研究会でご議論いただければと考えているところ。なお、EUのオプトイン規制では例外として定められているところ。仮に省令でこのような規定を定めることとする場合であっても、ガイドラインにて事例の積み重ねをしていくことが必要と考えているところ。

今回の改正法についてどうすればオプトイン規制を守ることになるのかを早く明らかにすべきではないか。

例えば消耗品を買っていただいたお客さんからメールマガジンはいらないと言われたが、その消耗品がなくなるころに「そろそろ購入しませんか」といったフォローメールや「いい商品が出ました」というようなリコメンデーションメールを送ってもいいのかどうか、それを送るのに同意がいるのかどうかといったことを早く決めることが重要なのではないか。

買い物をした場合に、今後同じ商品・サービスに関するメールを送ることについてきちんと同意を取得しておくとすることが適当なのではないか。

例えばメルマガは断るが、同種のお知らせについてはほしいという新たな同意のための項目を設けることが考えられるのではないか。

今回の特定電子メール法改正で法の規制の対象者がかなり広がるということを考える必要があり、規制は、かなり慎重に行っていく必要があるのではないか。

(ウェブサイトを開設して)イーコマースを行っているもののみならずリアルでビジネスを行っている者も電子メールを使っているので、そういう人達への周知が十分になされていないのではないか。そうした者への影響も考えていくべきでないか。

普通の商店では、一回取引したお客さんに次のご案内をするのは普通の感覚であり、そうした点を踏まえて慎重に議論していく必要があるのではないか。

ベストプラクティスと法令で定める部分の区別をし、法令の部分は消費者保護と事業者の活動の両立を図れるような形で最低限にするべきではないか。

資料4の10ページにある記録の保存については、行政措置の担保をするためのものであって最低限のものを定めるべきではないか。

保存期間について、特商法のオプトイン規制では、3年にする方向で検討している。

キャンペーン期間中のみのサイトの画面の保存に関して除外するということに関しては、出会い系サイトがこの手の手法をよく使っている実態にかんがみ、これを取り締まれるようにすべき点から慎重に考える必要があるのではないか。

合併や事業承継等があった場合については、既にメール送信の同意が適正に行われているのであれば、広告宣伝メールの同意も承継されていると考えるべきではないか。

法的に権利が承継されているので、承継したという表示を行うことは法令上要求される事柄ではなく、ベストプラクティスと考えるべきではないか。

BtoBの広告メール送信については、昨年の報告書で今回改正の対象外とされたことから、基本的にオプトインの対象外であることを明確にすべきではないか。
 BtoBについては、改正法第3条第1項第3号及び第4号で基本的にカバーされていると考えている。ただし、第4号の範囲は省令で定めることとされており、今後その内容を決めていく必要がある。

BtoBについては、既存の取引先への広告メール配信のみならず、例えば新規営業先へ商品紹介のご案内メールをを送信する場合なども通常の商取引慣行でありうることから、こうした場合も認められるようにすべきではないか。
 電子メールアドレスの利用・提供が個人情報保護法上問題ないかどうかも関係してくるのではないか。

同意記録の保存義務について特電法は特商法と平仄を合わせる形でやっていくことが適当ではないか。
 最低限、齟齬が生じることは避け、両法で最大限合わせるように調整していきたいと考えているところ。

合併、営業譲渡については、個人情報の場合は利用目的という縛りが存在し、合併後の企業が当然自由に使えるということになっておらず、それと足並みをそろえ、同意を取得した範囲内であれば、引き継げるようにすべきではないか。

ピンポイントで同意していたつもりでもいつのまにか、合併に伴って同種のメールが膨らんでいってしまうので、合併した旨の表示を義務にしないと問題ではないか。

同種のメールがいつのまにか膨らんでいった場合、オプトアウトが困難な場合がとても多い。オプトアウトのしやすさを担保すべきではないか。

第三者による同意取得についてはオプトインを厳格にするより、重要なのは、容易にオプトアウトできることであり、迷惑メール相談センターの活動も合わせ利用者が望まないサービスをすぐやめられるような体制を整えることが必要ではないか。

合併譲渡の場合には部分的なオプトアウトを認めるといったことを考えていくこともあり得るのではないか。

法規制の話とビジネス上認められている話の整理が必要ではないか。

衆議院及び参議院の附帯決議がきちんととりまとめに反映されているのかどうかを確認していくべきではないか。

法の運用にあたり全体的な話と個別的な話をそれぞれ詰めていく必要があるのではないか。
 次回研究会に報告書案という形で総論・各論をまとめたものを提示させていただき、併せて省令案の考え方の内容についても提示し、次回会合でご議論いただいた上でパブリックコメントに付していきたいと考えているところ。

個人情報保護法とクロスオーバーする話だが、未成年者の場合は誰からどういう同意をとればよいのか。
 基本的に未成年者の場合、親権者の同意が必要と考えられ、親権者と未成年者の意思が食い違う場合は、親権者の意思が優先されると考えられる。ただし、運用上、外形的に、親権者からの同意かどうか確認できるかといった点はあり、そうした点についてガイドライン等で考え方を整理できないかと考えているところ。

資料5の6ページの「携帯電話あてに送信されるものについては、携帯電話の特徴等を勘案し、電話番号による記載でもよいこととしてもよいか」という点については電話でオプトアウトするということになるとメールアドレスしか教えていない相手方に更に電話番号を知らせることにつながるので認められないのではないか。

資料5の1ページの電子メールとなる通信方式の件について、ウェブメールについてはSNS等が含まれることとならないように慎重に検討する必要があるのではないか。また、資料5の2ページのフリーメルサービスなど無料のサービスを受ける対価として広告が送られてくるようなメールは広範に認められるべきではないか。

資料5の2ページの電子メールアドレスを通知している場合について、「同種の商品、サービス」ということにすると、何が同種の商品・サービスかで判断が困難なことも予想され、何が同種か明確にすることが難しいのではないか。

資料5の2ページの第3条第1項第4号のメールアドレスの公表している団体又は個人について、電子メールの受信を拒否する旨の表示をしていた場合は除くとあるが、除く場合の立証はどのようにすべきか、例えばウェブの画面を保存しておかなければならないのか、

資料5の5ページの表示義務について、オプトアウトの通知を受ける方法については各社が迅速に対応できるような形が望ましいしのではないか。

資料5の5ページの表示義務について、本拠が海外にあるような海外発のものについては、法規制の対象になるがそういったものに表示義務を課すのは現実的ではないのではないか。

資料5の6ページの携帯あてのものについては、ホームページを持っている
事業者だけとは限らないということをきちんと認識すべきではないか。電話でオプトアウトの連絡を受け付けられないと困ってしまうのではないか。

迷惑メールを送っているのは悪質な事業者なので今回のオプトイン規制で過度な負担を優良事業者に課すのを避けるべきではないか。

資料4の9ページのように広告キャンペーンの場合は、同意の記録をキャンペーン期間中は当然残しているが、3年間残すとなると負担は重く、それにより実効性があるのか疑問。正当な事業者とそうでない者を区別して考えていくべきではないか。

正当な事業者とそうでない者を区別して規制をしていくのは困難。ただし、正当な事業者過度な負担にならないようにしていくべきではないか。


( 以上 )

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