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第2回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)


1    日時  平成16年10月22日 18時00分〜20時10分
 場所  総務省9階 901会議室
 出席者 (敬称略)
構成員)
新美 育文(座長)、西野 茂生(五十嵐 構成員代理)、加藤 雄一、岸原 孝昌、桑子 博行、甲田 博正(西郷 構成員代理)、佐伯 仁志、高橋 徹、長田 三紀、江口 研一(奈良谷 構成員代理)、野口 尚志、比留川 実、別所 直哉、三膳 孝通、永田 英昭(山川 構成員代理)
オブザーバ)
日本データ通信協会
総務省)
有冨総合通信基盤局長、江嵜電気通信事業部長、奥消費者行政課長、古市調査官、渋谷課長補佐、景山課長補佐

 議事
  (1)  開会
  (2)  第1回研究会議事要旨(案)
  (3) 議題
  ・ 構成員からの発表
  KDDI株式会社、ニフティ株式会社
  ・ 事務局からの説明
  検討の範囲について
  法制度に係る検討事項について
  (4)  閉会

 議事の概要
(1)   開会
(2)   第1回研究会議事要旨について
  資料1に基づき、第1回研究会議事要旨について事務局より説明を行い、了承された。
(3)   議題について
KDDI株式会社からの発表について
(KDDI株式会社江口構成員代理より、迷惑メールの状況と対策について発表)
  同報送信サービスを中止にして、クレームはなかったのか。
  迷惑メール対策ということで、理解してもらうしかなかった。サービスをデグレードせざるを得なかった点は残念である。
  あて先不明メールについては、技術的な対策だけでどの程度効果があると思うか。
  努力はしているが、ゾンビPCなど送り側の手口が巧妙化しており困難と認識している。あとは、事業者間の連携で対応する必要がある。
ニフティ株式会社からの発表について
(ニフティ株式会社加藤構成員より、迷惑メールの状況と対策について発表)
  送信者情報を詐称や偽装しているということは、明確に分かるものなのか。
  送信元のメールサーバの情報がきちんと登録されているかチェックすれば、存在しないということは明確に分かる。
  迷惑メールと思われるメールは捨ててしまうぐらいの対応をしないと撲滅できないと考えており、できればそのようにしたい。
  詐称などされたメールに対しては、ユーザからの承諾によってフィルタリングサービスを事業者が提供すれば、法律上の問題は生じないのではないか。
  詐称したメールの廃棄については、事業者側では是非やりたいと思っている。
  エラーメールを返すことにより、そのアドレスが存在しないということが分かってしまうので、何らかの基準を設けて、迷惑メールに対してはエラーメールを返さないで良いというようにならないか。
  送信者の中には、リターンメールは全て不要と考えているところもあり、エラーメールを止めたからと言って、あまり効果はないかもしれない。
  米国では送信者認証技術という技術を使って、送信者をある程度ISP同士で確認し合い、確認できないメールを拒否する試みが始まっているので、このような方法も取り得るのではないか。
事務局からの説明について
(事務局より、検討の範囲及び法制度に係る検討事項について説明)
  空メールが特定電子メールの定義に入っていないが、これは範囲が狭すぎるのではないか。
  最近は、空メールや友人を装ったメールなどが現れてきているので、5条で架空アドレスあて送信を禁止する対象範囲を広げる方向性を提示しており、この点について検討していただければと考えている。
  諸外国の例を見ても商業広告に限っているので、定義を広げてしまうと影響が大きいのではないか。5条の規定を拡大する方向で検討した方が良いのではないか。
  空メールについては、何らかの対応をしなければいけないという方向で良いと思う。
  なお、10条の運用でどこまで対応できるかというのも関係してくるだろう。
  ユーザの視点から見ると、事業者の皆さんとは少し感じ方が違う。迷惑メールの範囲の話としては、広告宣伝であろうがなかろうが、望んでいないメールには変わりないので、大きな意味での迷惑メールを減らす方向で是非検討していただきたい。
  10条の適用範囲と、「特定電子メール」の定義の範囲とで違いはあるのか。
  10条の対象は特定電子メールとは関係がなく、架空アドレスあてのメールであれば、広告・宣伝メールでなくても良い。
  空メールといっても、メールとして成立する前の段階でもあて先アドレスが存在するかどうか調べることができるので、空メールの送信禁止を法文として書く場合は、この点を気に留めていただければと思う。
  フィルタリングを積極的にできないという問題については、ユーザにはISPを選ぶ権利があるのだから、送信及び受信の段階でどのようなメールをフィルタリングするのかをきちんと説明した上であれば、役務提供を拒否しても良いのではないかと思う。
  迷惑メールを約款で定義し、利用停止等を行うのは賛成。
  できれば、架空請求メール等については、ガイドライン等でここまではやって良いというのを示していただきたい
  契約約款のモデル条項で迷惑メール等の禁止事項を明記しているが、これはあくまで会員に対しての条項なので、発信者との関係でも効果があるように、業界全体として徹底される仕組みが必要かと思う。
  メールの中身を見ることができないので、迷惑メールの定義ができたとしても、どのようにそれを判断するのかが難しい。
  10条の役務提供拒否の規定は限定的なので、3条、4条、5条の表示義務等に違反した場合や、他人の電気通信設備に障害を生じさせるような場合、同じ送信者が時間を空けて送信したメールについても対象に含めるべき。
  最近のスパマーは自前のメールサーバを立てており、送信側ISPのサーバは通らない。送信側ISPは回線を提供しているだけなので、受信者からの苦情が唯一の証拠であり、送信行為を立証するのは非常に困難である。
  固定網の場合、海外から送信される迷惑メールが多いことから、送信者に罰則をかけることはできないため、受信側で役務提供を拒否するなど何らかの処置を行うことが重要。
  本当に外国から送っているのであれば、確かに処罰は難しい。
  SMSにおける文字数が少ない場合のアイデアとしてリンクを掲載するとあるが、リンクの先が架空請求サイトという問題もあるので、この点の配慮も必要かと思う。
  悪質な行為に対する直罰化は大切だが、送信者を特定することが難しいと聞いているので、直罰化する場合には、効力を発揮するための手立てというのも考えておく必要がある。
  直罰化を必要とする被害の深刻性については、まず、携帯電話における迷惑メールが発生してからすでに4年が経とうとしていること、次に、特定電子メール法が成立したにも関わらず、法律を守られていないこと、そして、海外と比べ日本だけが間接罰になっていることが挙げられる。
  特に悪質な行為を直罰化するのは抽象論としては問題ないが、そのような行為を上手く抜き出せるかが難しく、また、他の事例との均衡も問題になる。
  例えば、架空アドレスの送信により被害が生じるのは事業者であるが、その場合は業務妨害罪が考えられるので、そこまで至らない段階で処罰するための理由が必要。一方で、受信者には害がないと言いながら、これを説明しないといけない。
  また、送信者情報の改ざんについても、郵便では問題ないが、電子メールの場合には犯罪だというための説明が必要。
  被害は事業者だけに生じるのではないのではないか。ISPによっては、迷惑メールのために数億円以上の設備投資がかかっており、最終的にユーザ料金に反映されてしまう。また、架空メールや大量送信があることによって、メール受信が1週間遅れることもある。
  業務妨害罪の可能性は、架空メール送信者に業務を妨害する故意があったかという点で難しいので、こういった法の欠けている部分を埋めることが必要だろう。
  ワン切りの時は、実際にNTTの設備がダウンしたことから、直罰化され、ずいぶんと収まったという例がある。
  注意しなければいけないのは、米国などと異なり、日本の場合、他の法律との重複の有無やバランスを非常に気にするということだろう。

  今日の議論を踏まえると、法制度に関して見直しをすることが適当であるということで方向性の確認ができたと思う。
  したがって、法制度の見直しを視野に入れた提言を出すこととし、次回会合では事務局から中間とりまとめの原案を提示していただき、それを中心に議論していきたい。


(以上)


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