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第3回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)


1    日時  平成16年11月10日 16時00分〜18時10分
 場所  総務省10階 1001会議室
 出席者 (敬称略)
構成員)
新美 育文(座長)、松本 恒雄(座長代理)、五十嵐 善夫、岡村 久道、加藤 雄一、寺田 眞治(岸原 構成員代理)、桑子 博行、西郷 英敏、佐伯 仁志、高橋 徹、長田 三紀、奈良谷 弘、野口 尚志、比留川 実、別所 直哉、三膳 孝通、山川 隆、好光 陽子
オブザーバ)
日本データ通信協会
総務省)
有冨総合通信基盤局長、江嵜電気通信事業部長、奥消費者行政課長、古市調査官、渋谷課長補佐、景山課長補佐

 議事
  (1)  開会
  (2)  第2回研究会議事要旨(案)
  (3) 議題
  ・ これまでの議論の概要について
  ・ 中間とりまとめ(素案)について
  (4)  閉会

 議事の概要
(1)   開会
(2)   第2回研究会議事要旨について
  資料1に基づき、第2回研究会議事要旨について事務局より説明を行い、了承された。
(3)   議題について
事務局より中間とりまとめ(素案)について説明の後、質疑応答
 オプトイン方式について、結論は現実的だと思うが、オプトアウト方式は機能しているとは言えないので今後の取り組みは検討する必要がある。
  約款による利用停止等自主的な対応に関しては、10条のようなお墨付きがあればありがたいし、また、迷惑メール送信者情報の交換は有効だと思う。
 送信に利用されるISPの場合は、受信者からの申告に基づいて対応するしかないため、このような対応についても10条で読めるようになると有効だと思う。
  また、送信側と受信側のISPの間で、メールアドレスや送信の事実を示す証拠を交換することが可能になれば良いと思う。
 明らかに迷惑メールと分かっていても、通信の秘密のために事業者間で情報交換できないということがある。我々事業者は、通信の秘密に関してかなり慎重に対応しているので、通信の秘密でカバーされる範囲を明確にすることが大切だと思う。
 通信の秘密に抵触するか否かはケースバイケースであり、ご指摘の点を考慮しながら整理していきたい。送信者情報の交換については別途検討しているので、法制度以外の議論の際に報告したい。
 迷惑メールの世界では、送信の時点では個々の犯罪性は小さいが、受信者や事業者に到達した時点ではこれが累積して膨大な被害となっているのが実態なので、この点も配慮すべき。
 特定電子メール法では、立入検査の対象が送信者や指定法人に限られるので、受信者が加入しているISPも対象に加えても良いのではないか。
 現在、技術的にはどこまで送信者を追跡可能なのか。技術的にごまかしが可能でどうやっても追跡できないものなのか、または、通信の秘密の問題があって情報を外に出せないだけなのか。前者であれば、通信の秘密を緩和したり罰則だけ強化しても、迷惑メールは減らないのではないか。
 確信犯的にオープンリレーサーバ等を使われると追跡は不可能。そのサーバを通ったということが分かっても、誰が出したかまでは分からないのが現状なので、メールを捨てるといった対応の方が望ましいだろう。
 アメリカを中心として、送信者認証技術が開発されており、こういった技術開発が進めば、送信者の追跡もできると考えている。
 送信者認証技術は、どちらかというと発信元が信頼できないメールをはじく事が目的なので、フィッシングに対しては有効だが、スパムのようなものに対してどの程度有効かは分からない。
 発信元が信頼できないメールを捨ててしまうというのは、簡単にできるものなのか。
 事業者にとっては、捨てるか否かの判断ができるようにした上で、ユーザに届ける仕組みが望ましいと思う。少なくともユーザの同意なく捨ててしまうのは難しいだろう。
 事業者が判断できないようなメールを、どこまで捨てられるのかを検討する必要があると思う。被害の範囲が広がっているので、「未承諾広告※」以外にもフィルタリングを検討する必要があるだろう。
 表示義務でフィルタリングするはずが守られていないので、表示義務も直罰化の対象に含めることもあり得るのではないか。
 「悪質な行為のみに限定する」と言い切らずに、間口は広くしておいた方が中間報告としては良いのではないか。
 一つ一つは軽微だとしても、数が多いと軽微ではないと思うので、繰り返し行った場合は直罰でいいのではないか。
 事業者が数を数えることになるので、複数回行ったことを刑罰の要件として認定するのは難しいのではないか。
 刑罰を強化しても、一部だけ表示義務違反のような業者は捕まえられるが、完全な違反者は捕まえることができず、いたちごっこになってしまうので、刑罰の比較だけでは議論は不十分かもしれない。
 刑罰の威嚇もない状態に比べれば、大きな進歩ではないか。
 問題は、直罰をかけるほど悪質性があるということを、他の法律とのバランスを考慮して検討する必要がある点である。
 素案でも「おそれ」と書かれているように、現実にサーバがダウンするなどの被害が起こる必要はなく、放置しておくと起こり得るというのでも十分だと思う。
 危険犯的な考え方をすると、違反者が危険性を内在していると言うことができれば、表示義務違反でも直罰に値することがあり得るのではないか。
 表示義務違反に直罰をかけることが可能だとしても非常に軽い罰になるだろうし、他の法律でも表示義務違反だけで直罰というのは例外的だと思う。
 よく使われる手段としてヘッダの偽装が多いので、CAN-SPAM法のように加罰するなど何らかの対応が必要ではないか。
 22ページで例として記載している中には、ヘッダの偽装なども含まれると考えている。
 特定電子メール法の見直しの頻度が3年以内となっているのは長すぎるのではないか。
  迷惑メール送信者の開発頻度は2ヶ月程度と想定されるので、オプトアウト方式にするのであれば、2、3ヶ月に1回は定義を見直すようにして、抜け穴を小さくしていく必要があるのではないか。
 抜け穴を無くして、身元を明らかにしたら捕まるといった状態になれば、送信者は身元を隠すようになるだけではないか。
 送信者は出会い系サイトとセットになっているのだから、迷惑メールの送信だけを切り離して考えるのではなくて、お金の流れから特定できるのではないか。
 出会い系サイトの迷惑メールに対してはその方法も有効だが、それ以外の英文スパムなどに対しては効果がないのではないか。
 英文スパムはゴミ箱に捨てるしかないと思うが、日本語の迷惑メールは出会い系サイトなどがほとんどなので、お金の流れから捜査するというのはあり得ると思う。
 刑事罰が課されるのであれば、お金の流れをもとにたどっていく事が可能なのだから、通信の世界だけを見て送信者を特定できないと言うのは、実情と違うのではないか。
 迷惑メール相談センターに寄せられる違反メールの申告についてみると、全て正体不明である。
 素案に記載されている内容のうち、何が迷惑メールの減少に効果があるか不安なところがあるので、見直しの期間を短くすることも必要かと思う。
  また、送信者に対するオプトアウトは機能していないので、ISPに対してオプトアウトすることや、オプトインの有効性についても検討していただきたい。
 日本が世界に先駆けて法律を作っており、その後の国は、各国の事情により、オプトインかオプトアウトを採用している。
  当初日本では、なりすましなどは少なく行政処分で対応可能と考えていたが、最近事情が変化してきたので、検討をお願いしているものである。
 オプトアウトでは見直しを頻繁にやる必要があるとの意見があったが、その点はどうか。
 年に1回しか通常国会は開かれないので、それ以上の頻度は難しいだろう。ただし、現実的にはどこかで検討を続ける事が必要だと思うし、一部政省令に委任することも検討して良いのではないか。
 特定電子メールの定義は限定されているので、オプトインにしたところでカバーできる範囲もそれほど多くないのではないか。
 どのような内容であっても、「未承諾広告※」の表示さえあれば迷惑でないだろう。今の法律のままでも守られていれば問題ないが、そうでないから問題なのではないか。
 法律の定義が狭いからSMSなどに広げる必要があるという話なので、オプトアウトだから法改正を頻繁にやる必要があるということはないと思う。
 オプトアウトは一般的にどこに送ってもいいとした上で送付先のネガティブリストを持つものであり、送信者はしてはならないことに当て嵌まらない制度上、システム上の穴を探しやすい。一方、オプトインは一般的に許された宛先以外に送ってはならないとした上で送付先のポジティブリストを持つものであり、送信者はしてはならないことに当て嵌まらない制度上、システム上の穴を探すのは難しいと思う。この難しさにおける非対象性があるから、オプトアウトにおいては禁止事項を頻繁に見直し、穴を見つけられたらその穴をつぶすという対応が必要になる。
 事業者の自主規制をやりやすくするための制度改正というのも大きな柱なので、約款の効力が生じない中継するだけのISPなどでも、送信者認証に基づき役務提供拒否ができるようにすることも必要だと思う。
 SenderIDの場合、ブロックするのは受信者側ISPなので、受信者の同意に基づいて拒否するのは現在でも可能である。
 現在のインターネットの世界では、間に入っている事業者が通信の内容をチェックする事は不可能だろう。
 SenderIDを登録すると捕まる可能性が出てくるので、送信者がわざわざ登録して送信することは考え難く、効果があるのではないか。
 送信元が不明なメールが届かないということになれば、迷惑メールは減ると思う。また、特定電子メール法10条を根拠に役務提供を拒否することは難しいと思うので、自主規制について制度的な担保があればありがたい。
 架空請求メールを定義に入れていない点については賛成だが、現実に被害が生じていることを考えると、何らかの提言をすべきではないか。
 架空請求メールは刑事罰の対象であり、現在、架空請求等に利用されている携帯電話や銀行口座に関する対策の検討が進んでいるところ。今回の検討においては、広告宣伝メールに限定して議論したいと考えている。
 25ページの正当性のある役務提供拒否事例の整理について、事業者としては具体例について判断に悩む事が多いので、ガイドライン的なものが公表されると非常にありがたい。
 大量の迷惑メールは、個人と法人を問わず自動生成で送りつけられるものなので、業務に支障が生じる危険がなくても対象にすべき。
 事業用アドレスかどうか区別せずに送りつけているので、抜け道をふさぐためにも必要な改正だと思う。
 いくつかの建設的な意見を頂いたが、積極的に素案を変更すべきという内容は直罰化に関する部分だけだったと思うので、書きぶりについて確認したい。
  21ページの3)の1)で「悪質な行為のみに限定する」と言い切ってしまうと、将来的な自由度が減ってしまうので、「悪質な行為を対象とする」と修正したいが良いか。
  なお、オプトアウトについては、現実的には素案のとおりで良いが、将来的には慎重に検討すべきという話であったと思う。
(異議なし)
 それでは、今の点を修文して中間とりまとめという形で確認したいが良いか。
(異議なし)
 中間とりまとめについては、11月中旬より1ヶ月程度パブリックコメントの手続きを行い、寄せられた意見に対する考え方を整理した上で、各構成員あて連絡する予定。


(以上)


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