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第8回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)


1    日時  平成17年6月15日(水) 1000分〜1140
 場所  総務省9階 901会議室
 出席者(敬称略)
構成員)
新美 育文(座長)、江口 研一(奈良谷 構成員代理)、岸原 孝昌、木全 紀元(五十嵐 構成員代理)、木村 孝(加藤 構成員代理)、桑子 博行、西郷 英敏、佐伯 仁志、高橋 徹、長田 三紀、野口 尚志、比留川 実、別所 直哉、三膳 孝通、山川 隆、好光 陽子
オブザーバ)
日本データ通信協会
総務省)
有冨総合通信基盤局長、江嵜電気通信事業部長、奥消費者行政課長、古市調査官、渋谷課長補佐、景山課長補佐

 議事
  (1)  開会
  (2)  議題
  ・ 最終報告書(素案)について
  (3)  今後のスケジュールについて
  (4)  閉会

 議事概要
最終報告書(素案)について
  P7のグラフに年の記載がないので、記載いただきたい。
  P31の2の2)の「メールサーバの機能障害要件」の括弧内の記述について、数時間程度の電子メール送受信の遅延が許容されているかどうか。携帯電話の場合は、わずかな遅延でもクレームにつながる。ISP1020分程度で遅延という運用をしているのであれば、数時間以上というのは長すぎないか。昨今、PC、携帯電話間の電子メール送信が多くなっている。PC発の電子メールが他のISP等を経由して携帯電話に転送されてきたような場合、当該メールが今送信されてきたと思っていたら、実は数時間遅延していたなどというと非常に困る。
  非常に重要なご指摘。ISP側の考えはどうか。
  P31の記述は「少なくとも・・・数時間以上」とあり、数時間よりも短時間の遅延についても読める。ただし、実態として「数時間以上」の遅延は設備の故障などの場合。サービスの円滑な提供ができないということで、10分〜15分程度の遅延でなんらかの対応をしている。
  具体的に時間を明記することは難しいかもしれないが、法律による最低ラインとして、いくらか解釈に許容範囲があっても良い。しかし、ISPでの運用を聞くと、数時間以上というのは例示として長すぎるかもしれない。
  どのくらいの時間なら遅延として見ることができるかは、ISPの規模等により異なる。数時間以上の遅延というのは、一般的にどのISPにおいても遅延していると考えて良い基準という趣旨である。
  ISPにおいて、円滑なサービス提供ができるかどうかを基準として10〜15分でも遅延という運用をしているなら、その辺の説明を加えることはできないのか。
  この場で具体的にどの位の時間が適当か合意するのは難しいと思う。最終報告書素案では「具体的には個別事例において判断」とあり、携帯電話以外の場合、さらに数時間より短かい時間の遅延の場合についてもカバーする記述となっている。数時間以上というのは最低ラインの記載として問題ないのでは。
  あえて数時間以上と明記しなくても、「利用者の期待に明らかに反する遅延」などとしたらどうか。数時間以上と書いてしまうと、1〜2年後にはその時の実態とかけ離れた記載になるのではないか。携帯電話事業者かISPかも書かずに、「具体的には個別事例において判断」という部分が生きるような書き方にしていただきたい。
  ネットワークが一時的に遅延する場合も考えられるため、「通常よりも大きく遅れて」といった表現が適当。
  ISPにも数分から数十分の遅延で結構クレームがくる。数時間はやはり長い。
  よりわかりやすくなるよう修正させていただく。
  P34の1行目は、「迷惑メール追放支援プロジェクト」の趣旨に鑑みて、民間事業者の「自主規制を促す」とするより、「自主規制の円滑な実施を促進する」などとしてはどうか。
  修正させていただく。
  フィルタリングに関して報告書に何箇所か記述されているが、全体を通して読むとわかりにくい。フィルタリングの有効性が期待されるが、通信の秘密を侵害しないためには利用者からの適切な同意が必要であること。そして、フィルタリングの設定は通常デフォルトOFFであり、例外的にデフォルトONが認められるが、具体的にどのような場合かが明記されていない。
  更に、未成年者の名義で携帯電話を契約する場合は、フィルタリングの設定の要否を携帯電話事業者が確認するとの記載があるが、保護者が未成年者の名義で契約する際に、子供の通信の設定を保護者が行ってしまっていいのかという問題が未整理のままであり、今後フィルタリングの利用を促進していくにあたって、どのような方向性で進めていけばいいのかを含め、何らかの形で整理していただきたい。
  通常デフォルトOFFなら、デフォルトONにするための条件は何か。利用者からの適切な同意という観点では、以前、総務省にフィルタリングサービスの提供に関する相談した際、通信の秘密に関することは、約款による包括的な同意ではなく、利用者からの個別の同意が必要と聞いている。例外的にデフォルトONができるというなら、同意とは別の話だと思うが、その点を明確にしていただきたい。
  基本的な考え方としては、まずフィルタリングは迷惑メール対策として有効であり、通信の秘密に抵触しない範囲で設定を促進するということ。そして、通信の秘密に抵触しないためには、利用者から適切に同意を取ること。利用者からの適切な同意を取るためには、フィルタリングの設定をデフォルトOFFにしておいて、同意を取ってからサービスを開始することが必要。しかし、絶対デフォルトOFFにしなければならないというのではなく、利用者の意思を適切に反映した形でサービス提供して下さいとご説明している。利用者の適切な同意とは、迷惑メールを取り巻く状況や技術の進展に伴い変化していくと思われる。
  デフォルトONでフィルタリングサービスを認めた例としては、auにおけるCメールのURLフィルタリングサービスがある。本サービスでは、サービス開始前にアンケート調査を行い、Cメール利用者のほとんどが当該サービスの提供について同意しており、かつ利用者に十分に事前周知を行って、利用者の意思が適切に反映されるようにし、利用者の意思でいつでもデフォルトOFFにできることなど、いくつか条件を提示した上で認めている。
  現段階では、各電気通信事業者と個別に相談させていただいているところであり、報告書に記載するまで明確に整理されていないため、本報告書素案には、「通常デフォルトOFFで」という記載にした。
  また、未成年者の名義の携帯電話契約の際、親が子供に代わってフィルタリングの設定をすることについては、通信の秘密の問題というよりは、親が自分の子を管理するという問題と認識。
  未成年者の名義の契約の場合はデフォルトONで良いということか。
  そうではない。
  では、フィルタリングは通信の秘密に関わるが、親の管理が及ぶ範囲については、通信の秘密にもいくつかの段階があり、他の権利とのバランスで個別判断するということか。
  フィルタリングと通信の秘密の問題については、別途整理させていただきたい。
  フィルタリングの普及促進に向け、電気通信事業者の間では、利用者からの同意の取り方が問題になってきている。是非整理をお願いしたい。
  また、迷惑メールの解析には、ヘッダ情報だけでなく、メールの内容も解析せざるをえないと考えている。個別に解析していたメールの解析結果をデータベースに蓄積し、パターン化することにより、他の利用者に対してもこれを適用して迷惑メールをフィルタリングするサービスが海外で始まりつつある。
  送信ドメイン認証技術など技術的なフィルタリングの問題と、青少年にわいせつな情報などを見せないようにするフィルタリングを混同してはならない。どちらも重要なことだが、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(以下「特定電子メール法」という。)との関係では、フィルタリングによる迷惑メールの受信の可否の問題。未成年に関する記述を削除すれば、論点が明確になるのではないか。
  また、フィルタリングが通信の秘密の問題になるのは、メールの内容を見るからであり、利用者の同意が必要というのはわかるが、内容を見ないような場合は通信の秘密に該当しないフィルタリングもありうるのではないか。通信の秘密に抵触しないようなフィルタリングの場合は、デフォルトONもありうるという記載にはできないか。
  メールのフィルタリングであれば、メールの本文だけではなく、ヘッダ情報などの構成要素についても、通信の秘密の保護に抵触する。
  通信の秘密は手紙の中身だけではなく封筒の部分も含むということ。そもそも通信の秘密に抵触しないフィルタリングが存在するのかどうか。
  通信の秘密に関する従来のスタンスは既に述べたとおり。しかし、技術が進展して、フィルタリングを促進しようとしている中で、あれもこれもだめというのはいかがかと思っているところであり、整理する必要があると認識している。
  「通信の秘密」という扉を開けるために、「利用者からの同意の取り方」という鍵で、いかに円滑な運用ができるかということ。既に一定の条件の下にデフォルトONを認めるなど、徐々に扉は開きつつある。個別事例の積み上げをしたいという趣旨が報告書の記述に出ていると思うが。
  そもそも同じ性質の利用者を念頭に置いているために、通常デフォルトOFFで、利用者の必要に応じてONにするということになるのではないか。フィルタリングの仕組みを理解して設定する人は少ない。普及を促進するなら、利用者をある程度類型化して、その類型に応じたお勧めプランなどを提示したらどうか。例えば、家族間で携帯電話のメールを使うとき、普段のメールやり取りは家族だけであり、外部に対するフィルタリングの設定などは特にしないだろう。個々の利用者の利用方法によって、フィルタリングの設定を類型化することが望ましい。よって、P41の1のたとえば以下はあえて具体例を挙げなくても、「利用の仕方によって、ある程度フィルタリングの設定を確認するような対策が考えられる。」といった記載をしたらどうか。
  本来は、契約の際に代理店や電気通信事業者が、すべての利用者にフィルタリングについて個別に説明して同意を取ることが望ましいが、そこまで事業者が対応できるか。
  すべての利用者に説明するのは大変だろう。フィルタリングの設定の類型は3つか4つくらいでも良いと思うが、単に広告メールは受信しないというような簡単な設定でもあるだけで違う。
  利用者への説明をするのは、主として携帯電話事業者が年頭に置かれていると思うが、携帯電話事業者が店頭窓口で対応可能かどうか。
  携帯電話事業者としては利用者の類型化やきめ細やかな対応は難しいが、ご提案の趣旨は理解している。フィルタリングの設定率があまり高くないというデータもあり、設定をなるべくわかりやすいものにするよう心がけている。
  電気通信事業者が、利用者がフィルタリングの設定をカテゴリ別に選択できるようなサービスを提供すべきと加筆したらどうか。
  「いろいろな利用者に応じたフィルタリングサービスの提供」などと記載したらどうか。消費者の意見を聞くと、細かいことをいわれてもよくわからないので、携帯電話の料金プランのように、フィルタリングを含めた安心プランとして、選択できれば良いという人が多い。記述は削除しなくても良いと思う。
  削除するより、書き振りを変えたほうがいい。
  修正したい。
  通信の秘密に該当しないフィルタリングはないと思うが、電気通信事業者は、インターネットの規格に合わないメールを弾いている。これは厳格に見ればフィルタリングであるといえるが、事業者にはその認識はない。存在しないドメインから送られてきた迷惑メールを、プロトコルが合わないから弾くということもありうる。通信の高度化に伴って、送信ドメインを詐称している場合などは、客観的に見てインターネットの規格に合わないメールを弾くことは将来的にありうるのではないか。
  ご指摘は理解できるので、事実関係を把握した上で法的な整理をしたいと考えている。
  手紙で言うと切手のない手紙や宛名の不完全な手紙を差出人に戻すことに通じる問題。どこまでが通信に必要な情報かという規格化が進めば、通信の秘密に関する議論も変わってくるのではないか。今すぐの問題ではないが、非常に重要なご指摘。
  通信の秘密は社会通念上妥当かどうかで判断されるべきで、あまり厳格な解釈をすると、プロトコル違反などについても同じような問題が出てくるだろう。例えば、ISP各社のポリシーで、ドメインの逆引きができないメールを弾く設定をしている場合も結構あるだろう。それらが通信の秘密の侵害であるとすると、事業者の取組みの足かせになってしまう恐れがある。
  P40の3)の注3の「送信者が誰であるかの情報」というところは、どこから受け取ったかをメールのヘッダに自動的に付ける仕様にしているISPもあり、ヘッダ情報はそのまま受信者に送られる。ここで通信の秘密の観点から受信者に「送信者が誰であるかの情報」を一切提供できないと書いてしまうと、実運用との整合性が取れない。「ヘッダについてくる内容を上回る内容を改めて提供することができない。」ということがわかる記述に改めたほうが良い。
  また、通信とは、内容が変わらずにすべてが送信者から受信者まで届けられるものであり、本来は止められるものではないということが原則だということを明記していただきたい。フィルタリングによってそれを止めることはあくまで例外である。
  更に、特定電子メール法第11条(旧法第10条)の役務提供拒否の規定によらなくても、ISPがリスクを負って契約約款等に基づいた利用停止をしているので、ISPの自主的取組みとして、その点も記載していただきたい。
  利用者啓発、消費者啓発といった表現は、消費者が官から教えを請うような印象を与えるということを強く主張する人がいる。タイトルだけで良いと思うが、啓発ではなく「支援」としてはどうか。
  修正させていただく。
 
(修正点の具体的な文言は座長に一任ということで異議なし。)

  ○今後のスケジュール等について
  本日の最終報告書素案に対するご議論を踏まえ、事務局で最終報告書案を取りまとめて座長と調整させていただく。パブリックコメントの結果を踏まえた最終報告書案の修正について、7月中旬に開催予定の次回会合の場でご議論いただきたい。


( 以上 )


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