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資料5−6 障害者のIT利活用支援の在り方に関する研究会 第4回 議事要旨


【日時】平成16年10月26日 火曜日 14時30分から16時30分
【場所】総務省5階 第4特別会議室
【出席者】
研究会構成員
高橋座長、畠山座長代理、石川構成員(代理 彦根氏)、犬塚構成員、梅垣構成員、小畑構成員、古畑構成員、小村構成員(代理 伊藤氏)、佐々木構成員、関構成員、田代構成員、長友構成員、望月構成員、吉永構成員
ゲストスピーカー
厚生労働省社会・援護局障害福祉課 関口補佐
オブザーバー
厚生労働省 石渡専門官、田村補佐、平川補佐、経済産業省 渡辺補佐
事務局
総務省 鈴木政策統括官、飯島情報通信利用促進課長、有馬課長補佐、ほか

【議事内容】
開会
議事概要
障害者のIT支援人材の育成に係るカリキュラム案について、事務局から、資料4−1に基づき説明。
厚生労働省から、資料4−2に基づきITサポートセンターを中核とした障害者のITサポート事業について、資料4−3に基づきバーチャル工房支援事業について、それぞれ説明(なお、資料4−4に関しては、説明者が急な用事で欠席のため、次回持ち越し。)。
支援人材と企業の連携について、吉永構成員から資料4−5に基づき、望月構成員から資料4−6に基づき、それぞれプレゼンテーション。

(主な意見は以下のとおり)
 カリキュラム案について、対象者は福祉情報技術コーディネータ1級とのことだが、支援者や支援責任者レベルでは、もう少し大勢を対象としても良いのではないか。
 3級や2級は知識だけで試験に受かる人がいるので、そういう人にこそ、上位の級を狙う前に、こういう実践をやっていただきたい。
 カリキュラムを作るのは簡単だが、教員を育て、教材を開発するのは大変。現状をきちんと分析して、どのあたりを到達点にして、どのようにステップアップをするのかを具体化して欲しい。
 特に重度の障害者の場合、生活が支援されてないと就労にもつながらないので、ITサポートセンターは、地域の医療機関やリハビリテーションセンターと連携するべき。
 障害をもつ当事者がサポートを提供する側として関わることが重要。受ける側も障害のある人からサポートを受ければ安心するし、障害のある人に見やすいHPの作成など、障害のある人だからこそできる就労機会もできてくる。
 スキルアップコース案は実態に即したものであると思う。支援者は、障害者の自宅に直接入るため、公的なITサポートを実施する場合、安全面の確保が必要。
 実証実験の訪問サポート事業では、かなり高度なサポートに対する要望が多い。サポートする側もそれなりのスキルを持つ必要があるが、そのためにはボランティアも十数万円もするソフトを買わなくてはならないので、企業との連携が重要。
 先日、障害のある方がハローワークに訪れ、たまたま実証実験のことをご存知のハローワークの職員から、事務局にIT支援要請のご連絡をいただいた。この障害のある方は30分以上座って作業することができないという障害をお持ちの人。このような場合、ハローワークやリハビリテーションセンターなど、地域の機関との連携が重要。
 企業が障害者の雇用を考える上で、在宅障害者に仕事をお願いする仕組みがあればよい。バーチャル工房とは仕組みが異なるが、上手く連携し、将来はその人を企業で雇用することが可能となるような制度が望ましい。
 バーチャル工房は、就労するには至らない人の支援が中心で、現在9団体に委託している事業は仕事の受託をしている人の支援など。雇用の話については、在宅勤務者のために企業が雇用管理担当者を配置する際、来年度から助成金をつけるよう検討中。さらに、障害をもつSOHO事業者に仕事を発注した際に、発注した会社に経済的なメリットを与えることができるよう法改正を検討中。
 ITは雇用の後押しになるもの。雇用促進といった雇用政策的アプローチと、産業政策的なアプローチがうまく相まって働けば、そこにITサポートの意義が出る。
 支援機器等のデモ・販売・サポートを地域のコーディネータに委託し、ユーザからサポート料をもらうというビジネスモデルを試みたが、実際は難しい。原因としては、個人コーディネータでは公的機関と契約がしにくいこと、障害のあるユーザからサポート料金をもらいにくいこと、がある。公的な経済的バックアップも必要。今回の人材育成は、ボランティアを育成するのではなく、プロを育成して欲しい。
 カリキュラム案で、実習を入れているのは良い。1級だけと言わず、2級、3級の人にも受講できるようにするべき。
 福祉情報技術の上級研修を開催したことがあるが、2日間では教え切れなかった。このカリキュラムを本気でやると1週間から2週間の研修が必要ではないか。ここで身につけたスキルを活かして、いくらかでも対価を得られる環境を広げないと、この研修を受ける意義がなくなる。また、このカリキュラムにITに関する知識の講習も入れる必要があるのではないか。
 この分野には、ビジネスもあり、パブリックサービスもあり、ボランティアのような相互扶助もあり、これらが融合し始めてきている。ITは、障害者の自立のためのスキルともなってきており、非営利のサポートと、ビジネスとしてのサポートをどう切り分けるのかが重要。そのあたりを整理しながら、このカリキュラムが最終的に何を目指すのか整理する必要。今後、技術を持った団塊の世代がセカンドライフを始めるので、このあたりを上手く吸収できると良い。
 IBMやマイクロソフトが社会貢献をしているのは存じているが、この分野の中小企業も十分に社会貢献している。メーリングリストによるサポートなども社会貢献の一部。こうした企業活動も社会的に第三者が正しく評価をし、公的支援があっても良い。
 マーケットの構造のため、民間企業にも社会貢献の側面がある。こうした企業に対して、産業政策的なサポートが必要。また、こうした社会貢献的な部分と一般サービスは相互補完的で、他の商品の販売も活性化される。ここにNPOなど非営利な活動が絡んでくると広がりが出る。事務局の宿題として、これを整理しカリキュラム案の具体化をお願いしたい。
 社員の活動支援の報告については、単にボランティア活動を実施するのではなく、事業の継続性を維持するよう努めていることを申し添える。
 ビジネスモデルや、アクティビティモデルにおいて、この領域で持続可能性を維持する仕組み作りは重要な視点。

 閉会
 
以上





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