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資料6−3 障害者のIT利活用支援の在り方に関する研究会報告書骨子(案)


スライド 表紙
障害者のIT利活用支援の在り方に関する研究会報告書骨子(案)
2005年5月16日 事務局

スライド1(目次)
○報告書骨子案
はじめに
1. 障害者のIT利活用支援の現状と課題
1.1 現状
1.2 課題
2. 障害者のIT利活用支援を行う人材の資質向上と育成方策
2.1 求められる支援人材の資質
2.2 人材の育成方策
3. 地域における障害者のIT利活用支援体制モデル
3.1 支援のモデル
3.2 地域リソースの有効活用
4. 実証実験による検証
4.1 実証実験の目的と支援モデル
4.2 実施体制
4.3 実証実験としての評価
5. 障害者のIT利活用支援事業の具体化に向けて
5.1 総合的な支援を行うために必要な機能
5.2 支援事業の普及促進
5.3 後方支援機能の拡充

スライド2
○はじめに
研究会の目的
ITが国民の生活にとって不可欠な新しい社会基盤となりつつある中、障害者をはじめ誰もがその価値や便益を享受できることが一層重要であるが、依然として多くの障害者にとって、ITやITを通じて提供される各種サービスを十分に利活用できる環境にあるとはいえない。
例えば、実際に障害者がITを利活用しようとする場合には、障害の内容や程度に応じて、支援機器やソフト、支持具等の作業環境も含めた総合的な調整を行う等の支援を得る必要があるが、その担い手となる人材の資質や人数の不足等に起因して十分な支援が得られていない等の問題が生じている。
こうした問題へ対処するため、障害者がITを利活用するにあたり、身近な地域で信頼できる十分な支援が得られるよう、障害者のIT利活用を支援する人材に求められる資質の向上と育成の方策を検討し、地域における障害者のIT利活用支援の体制のモデルを確立することを目指す。

研究会の検討項目
障害者のIT利活用支援の現状分析及び課題の抽出
障害者のIT利活用支援を行う人材の資質向上と育成方策
地域における障害者のIT利活用支援の体制モデル 等

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○障害者のIT利活用支援の現状と課題
1.1 現状
リハビリテーション、介護、生活支援、就労支援等については、公的サービス、民間サービス、ボランティア等による障害者支援が実施されているが、ITサポートについてはパソコンボランティアによるものが中心であり、十分な障害者支援が実施できていない。

1.2 課題
ボランティアのみでIT支援が行われる場合の課題点
適切な機器の選択や調整:
障害状況にあった支援機器の選択やサポート方法の検討の際に、専門的な知識等が不足。
サポート範囲と責任:
OSや支援ソフト同士の相性などのシステム上の問題は、ボランティアだけでは正確な判断が困難。
制度面:
障害者対象の給付・助成制度は、自治体などが独自の制度を設けている場合があり、正確な助言は難しく、また、給付・助成の申請に当たって障害当事者の所得額などのプライバシーに立ち入ることができないため、代理申請等は困難。
購入相談:
支援機器や支援ソフトの購入には、障害に対する知識と機器や製品に対する知識や正確な情報が必要。日常生活用具給付や助成制度などとの絡みなどもあり、ボランティアとして関わることが困難。
【このほか、プレゼンの内容等を追加(予定)】

スライド4
○障害者のIT利活用支援を行う人材の資質向上と育成方策(1)
2.1 求められる支援者の資質
支援者:
障害者のIT利活用を実際に支援する者。福祉情報技術コーディネーター(1級から3級)程度の知識が必要。
支援責任者:
障害者にとって最適なIT支援を計画し、責任をもって実践する者。IT支援に係る個別の状況に対応できるスキルが必要であり、支援者の知識に加えて次のような能力が必要。
IT支援実践スキル(最新技術を活用した個別事例への対応力)
介護・コミュニケーション実践スキル

コーディネータ:
障害者のIT利活用にあたって、サービス、支援者、地域リソース等の総合的なコーディネートを行い、総合支援計画書を作成する者。IT支援を計画・評価・管理・調整するスキルが必要であり、支援責任者の知識・能力に加えて次のような能力が必要。
IT支援マネジメントスキル
地域資源の理解と調整スキル
新しい取り組みへの提案スキル

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○障害者のIT利活用支援を行う人材の資質向上と育成方策(2)
2.2 人材の育成方策
対象者と育成方策
「支援者」については、福祉情報技術コーディネーター試験向けの既存の研修制度を活用し知識習得を図る。
「支援責任者」と「コーディネータ」については、既存の研修制度はないことから、実践スキル及びマネジメントスキルの習得を想定したカリキュラム案を整理。育成にあたっては、多様なケースへの対応力、新しい技術の活用、異なる専門領域との連携について、実技及び実習を含む研修とすることが重要。

既存専門職への浸透
確実なスキルに裏付けされた人材を早期に育成するためには、関連領域(リハビリテーション分野、福祉分野、教育分野、就労支援分野等)で働く専門職がIT支援に関するスキルを身につけ、現在の職種の中で支援を実践し始めることが効果的。こうしたことから、福祉情報技術コーディネーターの資格に関しては、関連専門職の資格取得を容易にする方策を検討することが必要。

スライド6
○地域における障害者のIT利活用支援体制モデル
3.1 支援のモデル
市区域レベル
日常的な支援者は、市区域レベルに人材を配置するのが適当。支援を受ける人にとっては細かい対応が期待でき、支援提供者にとっては経済的・時間的に見て効率的。
身近な支援を行うための体制としては、地域の実情を踏まえて活動できる支援者と、個々の支援計画の作成等を行う支援責任者を配置。

県域レベル
県域レベルでは、広域的なネットワークを活用した支援に重点を置く。支援を受ける人の近隣で活動する支援団体と連携し、当該支援団体と連携し、これをフォロー。
また、総合支援計画の立案、重度障害対応、その他特殊な対応、関連機関との連携・調整等を担える高度な人材(コーディネータ、支援責任者)の育成は、効率性を考慮し、県域レベルで集中的に行う。

3.2 地域リソースの有効活用
実際の支援においてはIT関係だけでは対応できない面が多く、またIT機器操作も日常生活と不可分なものとなっている。そこで、IT支援の周辺でかかわる生活支援、介護支援等については、障害者支援などを行う地域の専門機関と連携する必要がある。

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○実証実験による検証(1)
4.1 実証実験の目的と支援のモデル
実証実験は、障害者のIT利活用を促進するために、地域の中で、人的支援体制を構築し、その効果を実証することを目的として実施。
地域エリアとしては、前述のモデルに即して、「市区域レベル」と「県域レベル」を想定。それぞれのエリアで実現すべき人的支援を、今後の継続性も考慮しながら実験的に展開。
人材の区分については、大きく「コーディネータ」「支援責任者」「支援者」に分類し、将来的に、有料でサービスできるスキルレベルを想定。
受益者の負担額及び支援者に対する報酬額等についても検証。

4.2 実施体制
市区域モデル
実証実験の実施にあたって、NPO法人練馬ぱそぼらんと東京都練馬区との間で協定書を取り交わし、協力できる体制を構築して実施。
事業内容としては、訪問サポート、IT講習会、支援者養成講習等を実施。訪問サポートの場合には、練馬区が受付窓口となって、練馬ぱそぼらんが支援を実施。

県域モデル
社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会とかながわ障害者IT支援ネットワークが協働で実施。
事業内容としては、訪問サポート、IT講習会、支援者養成講習等を実施。訪問サポートの場合には、神奈川県社会福祉協議会が受付窓口となって、依頼内容や依頼者の居住地に応じて支援団体を決定し、当該団体が支援を実施。

スライド8
○実証実験による検証(2)
4.3 実証実験としての評価
県域と市区域レベルの支援内容の設定が妥当か
日常的な支援は、身近で、派遣がしやすく、費用的・時間的に効率がよい市区域レベルで実施するのが妥当。
高度なスキルを伴う業務(計画作成、関連機関との連携の調整等)を担える人材は数多くはいないため、県域レベルで対応した方が効率的・効果的。

地域全体での連携、役割分担が妥当か
支援内容は、IT支援に絞った方が効果的。IT支援以外の生活支援等については、専門機関、専門職との連携を前提に考えるべき。連携機関とのサポートの実践に対する合意形成、リスク対策が重要。

支援内容と対象者、支援者の資質の組み合わせが妥当か
支援業務の質を上げるためには、支援側の業務と役割分担を明確にし、それぞれの業務に専念できるようにするとともに、その実践を支援する仕組みが必要。
計画立案のスキル、支援実践の経験、最新のIT技術に関する知識を持った高度なスキルを持った人材(コーディネータ、サポート責任者)が不可欠であり、その育成が重要。

費用/報酬が妥当か
受益者負担のみでサポート提供者が満足できる報酬を得られるかは不明。
受益者負担に対する抵抗が大きい現状では、サポート実践者の報酬を受益者負担のみで考えるのは困難。

スライド9
○障害者のIT利活用支援事業の具体化に向けて(1)
5.1 総合的な支援を行うために必要な機能
全国レベル:
IT支援を実践する「コーディネータ」「支援責任者」「支援者」の活動をサポートする後方支援機能(支援に必要な各種データを集約・発信:臨床情報、リソース情報、評価エビデンス等)
「コーディネータ」の育成

県域レベル:
「コーディネータ」による相談、支援計画書作成、市区町村をまたがる調整
市区町村で対応が困難なケースのフォロー
支援に対するクレーム処理
「支援責任者」の育成

市区町村レベル:
窓口機能(相談、問い合わせ等)
「支援責任者」による相談、支援計画にもとづく市区町村内の調整、実践の指導
「支援者」によるエンドユーザーへの直接支援機能
「支援者」の養成(市区町村の地域性を考慮した支援者の育成を行う)

スライド10
○障害者のIT利活用支援事業の具体化に向けて(2)
5.2 支援事業の普及促進
IT支援専門機関の拡充
当面は、ITサポートセンタ等IT支援専門機関が地域へIT支援について周知とIT支援を望む人たちのポータル(橋渡し役)としての機能を果たす。
将来的には、ITサポートセンター等を中心に、今回取りまとめたあるべき姿の実現を目指す。

関係分野との連携
リハビリテーション分野、福祉分野、教育分野、雇用・就業支援分野を中心に、既存の組織、機能、制度、専門職人材等を活かし、あるべきIT支援を実現するための地域内での体制の構築を目指す。

行政における対応
IT支援を、行政自身が担うべき機能の中に位置づけ、ITサポートセンター等が、効果的に支援を実践できるよう、関係機関と密接に連携できる体制を整える。

人材育成の環境整備
IT支援のマネジメントと実践スキルが必要になる人材(コーディネータ等)について、より実践的な人材育成プログラムを開発し、人材育成を早急にはじめる。

スライド11
○障害者のIT利活用支援事業の具体化に向けて(3)
5.3 後方支援機能の拡充
障害者のIT利活用支援に関わる人々が、最新の知識とノウハウにもとづいて支援し続けられるよう、必要な情報を確実に入手できる情報ポータル機能を中心とした後方支援機能を拡充すべき。
リソース情報の提供:後方支援機能、特に情報ポータル機能としては、「技術・製品情報」「関係組織・機関情報」「法律・制度情報」「セミナー・イベント情報」「IT支援実践事例情報」等のリソース情報を中心に整備する必要がある。
情報収集の仕組みづくり:効果的な情報の発信と活用環境を整備するとともに、関連組織・機関、利活用支援に関わる人々を通じて最新情報の収集が行える仕組みづくりも進めることが重要である。
IT支援効果の検証:将来に向けて、IT支援を実践した成果を正確に把握し、その効果を検証して、社会にフィードバックするスキームを検討する必要がある。

以上



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