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資料7−1 障害者のIT利活用支援の在り方に関する研究会報告書(案) 概要


これは、資料7-1の7枚のスライドをテキスト化したものです。

スライド 表紙
障害者のIT利活用支援の在り方に関する研究会報告書(案) 概要

スライド1
○障害者のIT利活用支援の現状と課題
障害者のIT利活用支援の担い手は、リハビリや介護等とは異なりボランティアが中心となっており、様々な課題が存在している。

(IT利活用支援は、リハビリ、介護、生活支援、就労支援等と異なり、公的サービス・民間サービスが対応できておらず、パソコンボランティア中心で対応していることを描いた概念図)

ボランティア主体であるがゆえの課題
・適切な機器の選択や調整の課題
 障害状況に合った機器等の選択やサポート方法の検討の際に、専門的な知識等が必要。
・サポート範囲と責任上の課題
 OSや支援ソフトウェア同士の相性などのシステム上の問題は、高度な技術的専門性が必要。
・制度面の課題
 障害者対象の給付・助成制度は、地方公共団体などが独自の制度を設けている場合があり、正確な助言は難しい。また、給付・助成の申請に当たって障害当事者の所得額などのプライバシーに立ち入ることが求められるため、代理申請等は困難。
・購入相談の課題
 支援機器等の購入には、障害に対する知識と対応方法、機器や製品に対する知識や正確な情報を総合的に判断する能力が必要。


スライド2
○障害者のIT利活用支援を行う人材の資質向上と育成方策

IT支援人材を「支援者」「支援統括者」「支援企画責任者」に3分類する。

「支援者」は、障害者のIT利活用を実際に支援する。
「支援統括者」は、各支援者のIT支援をとりまとめつつ、障害当事者にとって最適なIT支援を責任もって実践する。
「支援企画責任者」は、様々な資源(人的資源や地域資源)を障害当事者にとって最適なIT支援環境となるよう配置・調整する。

それぞれに必要なスキルは次のとおり。
「支援者」に必要なスキル
・ITの基礎
・障害の理解
・コミュニケーション技術
・生活支援の方法と道具
・IT機器処方に関する知識
・IT支援の心構え
・ノウハウ

「支援統括者」に必要なスキル
・IT支援実践スキル
・介護・コミュニケーション実践スキル

「支援企画責任者」に必要なスキル
・IT支援マネジメントスキル
・地域資源の理解と調整スキル
・新しい取り組みへの提案スキル

なお、「支援者」に必要なスキルは既存の研修制度などで対応可能。「支援統括者」「支援企画責任者」に必要なスキルは今回の研究会で研修カリキュラムを提案。
また、確実なスキルに裏付けされた人材を早期に育成するため、リハビリテーションや福祉等の専門職が、現在の業務の中で容易にIT支援を行えるようするなどの方策も必要。


スライド3
IT支援機能は、県域レベルと市区町村レベルに分けて整理。県域レベルの機能は市区町村レベルの機能を連携しつつこれをフォロー。
県域レベル
◎広域的なネットワークを活用した支援
◎支援計画の立案、関係機関との連携・調整等を担う「支援企画責任者」、「支援統括者」の育成
市区町村レベル
◎日常的な支援者は、市区町村レベルに人材を配置。これにより、細かい対応が期待でき経済的・時間的に見て効率的
◎地域の実情に即した「支援統括者」や「支援者」を育成

地域リソース
地方公共団体、介護支援センター、リハビリテーション機関、学校、就労支援機関 等

IT支援の周辺でかかわる生活支援、介護支援等については、地域の専門機関と連携することが必要。


スライド4
○実証実験による検証

実証実験の概要
 実証実験の目的:IT支援を促進するため、支援体制を構築し、その効果を実証することを目的として実施(実施期間:平成16年7月〜平成17年2月)
 市区町村レベル(東京都練馬区にて実施) NPO法人練馬ぱそぼらん及び東京都練馬区が協働で実施
 県域レベル(神奈川県にて実施) 社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会とかながわ障害者IT支援ネットワークが協働で実施

県域モデルと市区町村モデルの設定の妥当性を検証し、今後実践可能なIT支援体制を検討するという視点から評価を実施

実証実験としての評価
・日常的な支援は、身近で、派遣がしやすく、費用的・時間的に効率がよい市区町村レベルで実施するのが妥当。高度なスキルを伴う業務は、県域レベルもしくは全国レベルで実施した方が効率的・効果的
・IT支援以外の生活支援等については、各分野の専門機関等との連携を前提に考えるべき
・支援業務の質を上げるためには、業務・役割の分担を明確にし、それぞれの業務に専念できる体制作りが重要であり、高度な人材の育成が不可欠
・高度な人材がその能力に見合った報酬を得られる環境等の整備が必要


スライド5
○障害者のIT利活用支援事業の具体化に向けた提言

IT支援機能のあるべき像は、以下のとおり。
全国レベル
◎IT支援人材の活動をサポートするIT支援基盤
◎「支援企画責任者」の育成

県域レベル
◎「支援企画責任者」による相談・支援計画作成・調整
◎市区町村で対応が困難な事例のフォロー
◎「支援統括者」の育成

市区町村レベル
◎窓口機能
◎「支援統括者」による相談・地域内の調整・指導
◎「支援者」による直接支援
◎「支援者」の養成

現状からあるべき像への道筋は、以下のとおり。
IT支援基盤の早急な立ち上げと実証(今年度中にポータルサイトを立ち上げ、実証)
◎リソース情報の提供
 全国のIT支援人材が必要とする最新情報等の収集・提供
◎情報収集の仕組みづくり
 効果的に上記の情報の収集・提供を実施するため、関連機関等との相互連携体制の構築
◎横断的連携の検討
 ポータルサイトで提供される情報を有効に活用しIT支援ができるよう、関係機関等の横断的連携を検討

IT支援効果の検証(平成18年度以降)
 IT支援の効果に関する定量的な把握を可能とすることで、費用対効果分析を可能にし、行政機関や民間企業等の取組を促進

IT支援専門機関の拡充
 まずは地域への周知・窓口機能から。その後、あるべき姿を目指す。
関係分野との連携
 福祉等関連分野の既存の組織・人材等を活かした体制を構築。
行政の取組
 IT支援を行政が担うべき機能と位置づけ、IT支援専門機関と関係機関の連携体制を整備。
人材育成の環境整備
 IT支援のマネジメント等が可能な人材を育成する、より実践的なプログラムを開発。


スライド6
○IT支援基盤に関する実証イメージ
IT支援基盤に必要な機能は、次の6項目で構成する。
a. 技術・製品情報の収集・提供(国内・国外)
b. 関係組織・機関情報の収集・提供
c. 法律・制度情報の収集・提供
d. セミナー・イベント等スキルアップ情報の収集・提供
e. IT支援実践事例の収集・提供
f. IT支援効果の検証(将来的課題として検討)
以上のIT支援基盤に必要な機能は、行政機関・研究機関、機器・ソフト等関連企業、支援者、支援者の所属機関からの情報提供により構築され、これら関係者が主に利用するものであり、これにより障害当事者へのIT利活用支援に必要な基盤とする。
機能a 〜e については、今年度より総務省において検証予定。機能f については、18年度以降の課題として引き続き検討。


以上


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