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資料7−3 第6回議事要旨


【日時】平成17年5月16日 木曜日 14時から16時
【場所】総務省5階 第4特別会議室
【出席者】
 研究会構成員 高橋座長、畠山座長代理、石川構成員(代理 彦根氏)、伊部構成員、梅垣構成員(代理 太田氏)、小畑構成員、古畑構成員、小村構成員(代理 伊藤氏)、関構成員、田代構成員、長友構成員、中野構成員、中邑構成員、松尾構成員、望月構成員、吉永構成員
 オブザーバー 厚生労働省 田村補佐、経済産業省 渡辺補佐
 事務局 総務省 松井官房審議官、飯島情報通信利用促進課長、有馬課長補佐 ほか
【議事内容】
  開会
 前回の議論を受けて参考資料を配付した旨を、事務局から説明。
  議事概要
  (1)障害者自立支援法案の概要とその中におけるIT支援の位置づけについて
  ○ 障害者自立支援法案の概要とその中におけるIT支援の位置づけについて、厚生労働省田村補佐から、資料6−1に基づき説明。
(主な意見等は以下のとおり)
市町村が行う地域生活支援事業である情報コミュニケーション支援は、ITを用いるとより効率的に実施可能。ただし、現状では市町村でこれらを提供するのは困難であることから、当面は都道府県において障害者IT総合推進事業を実施し、市町村や域内の障害者のIT利活用支援を行いつつ、事業者の支援が安定的に提供できる基盤作りを行うことが必要。
障害者に直接行う技術講習会等の事業は、当面は都道府県の事業としてITサポートセンター運営事業等で対応してもらうことを想定。しかし、市町村レベルでもこうした事業が提供可能な場合には、取り組んでもらうことを期待。
この法案では、ITは様々なサービス利用の中で活用していくという位置づけ。IT支援サービスそのものは法案の中で扱っていないが、ITを利用することでより利便性の高まっていくサービスなどは考えられ、このような具体的な場面の中でIT支援が実施されていくことを想定。
今後ITを考える上では、人材が重要。例えば、遠隔手話通訳の場合、手話通訳者が通訳するときにどのような周辺情報を使っているのかという研究は進んでいないが、映像だけを送ったのではうまく通訳できないということまではわかってきている。サービスの提供側と開発側の連携が非常に重要なのだが、工学と心理学の専門家が少々集まって議論する程度では解決できない。

(2)IT支援に必要な後方支援機能について
  ○IT支援に必要な後方支援機能について、事務局から、資料6−2に基づき説明。
(主な意見は以下のとおり)
「後方支援」という言葉はもう少し良い名称がないか。後ろに引きこもっているような印象を与える。
以前、養護学校・特殊学級の先生や親向けにこうした支援を実施した経験があり、そのときには、機器等の貸し出しやサポートを実施。本件でも、可能であればソフト・ハードの貸し出しやサポートまでできればよいと思う。
  1から4まではすでにある。ただ、色々な場所から情報がとってこられない人向けのポータル機能は必要。また、IT支援実践事例の収集・提供は今までにない取組だと思う。さらに、将来的にはIT支援効果の計測も考えたいところ。
実践事例収集では、具体的に、何をする時には、どの機器を用意すれば良いかということを障害レベル別に提供し、うまくいった例とうまくいかない例の両方を、1から4までの情報とリンクさせつつ提示していくことが重要。
実践事例収集では公的・準公的な機関だけではなく、民間の取組とも情報連携をとれるようにして欲しい。
障害のある人の生活が見えるような公表が重要。障害のある人の生活を記述し、生活シナリオから制度やサービスを考え直し、どのようなIT利用が考えられるかをまとめると、生きた資料になり得る。ITに抵抗のある人にとっては、生活のシナリオの中で描かれるサービスというのは重要。

(3)報告書骨子案について
  ○ 報告書骨子案について、事務局から、資料6−3に基づき説明。
(主な意見は以下のとおり)
5ページと10ページの人材育成方策について、既存の専門職への浸透も重要だが、医療福祉系の大学や専門学校等への支援技術教育の浸透も加えてはどうか。専門分化して自分の領域を作り上げてしまう前の、なるべく柔軟なうちに利用者像を捉えて欲しい。総務省の範囲ではないかもしれないが。
コーディネータという名称やカタカナ語は、意味が曖昧になる。
11ページの後方支援機能の拡充で、「情報」だけではなく、「相談」機能も書いていただきたい。
8ページの費用と報酬が妥当かというところの扱いが小さい。
費用負担には、利用者が全額負担、一部負担、負担しない、というレベルがあり、ボランティア、公的支援、企業の社会貢献等という、いろんな形の支援がある。また、受益者負担といっても、市場価格の場合と実費提供の場合がある。ここはきめ細かく議論しないといけない。
費用の話は非常に難しい。今回の実証実験において、支援を受けた方々がいくらなら払ってもいいと言ったからといって、価格設定ができるものでもなく、この実証実験だけで答えるのは困難。11ページの最後にある「IT支援効果」の部分は、生活の質の向上という部分のほか、経済学的な話も含めて今後検討していくことが必要と考えており、ここで提案したい。
  11ページの効果の検証のところで、この研究会においてIT支援の在り方を提案・提言する以上、それが妥当なものであったのかどうか、きちんと検討・検証される枠組みが欲しい。もう一つ、最近、安易にカタカナ語は使わないことよう言われており、ポータルやリソースというカタカナの言葉を、そのまま公的文書に残すかどうかは検討するべき。どうしても使う場合は日本語で説明を付けるなどが必要。
  支援効果の検証について、単なる生活支援の場合と就労支援の場合ではだいぶ違う。我々が目指すIT社会は、まずは障害者・高齢者が社会生活に参加できるようにすることだが、就労支援の場合には多少費用を取っても良いと思う。後方支援機能のところに、新しいビジネスや機能とリンクしていくことを記述することが必要。
情報権というと、最低限、電子申請などにバリアがあってはいけないという情報保障の問題がある。また、ITによって社会参加をするというのも課題であり、経済的な収入に結びつくためのIT支援と職業スキルは裏表の話。このあたりは整理が必要。
現状では、非常に多くのボランティアが、パソコンを使いたいけれど支援者がいないという障害者に直面し、ボランティア以上の過度の負担を負ってしまう、という状況にある。障害者にとってITは非常に大事なものであるから、もっと層を厚くして対応する必要があり、ボランティアも必要だが、その他の多くの層をもって障害者を支えていくことが必要である。
企業の立場からIT利活用に取り組んでいく上で、いろんなパートナーと力を合わせていく必要がある。企業でこうした取組に予算を取るのは大変で、どういうニーズがあり、どのようなパートナーシップがとれるかを明確にしてくれると動きがとりやすい。
ボランティアと専門職は、競合するものではなく分業・協力するもの。お互いがお互いの話を学びあうべきであるという記述があれば良い。
分業し、協力するという意味では「協働」という語がある。ボランティアと専門職、企業と行政、行政とボランティア団体、ボランティア団体と企業、あるいは企業同士で、「協働する」というコンセプト。その中でそれぞれの役割を考える共通基盤は何なのか、ということを書いていただきたい。
障害当事者の立場から一言。障害者ではない皆さんは障害者に対して非常に優しい。しかし、障害当事者として、これはまずいと思うことがある。人間が本当に幸せを勝ち取るためには、積極的なマインドが必要。マインドが高ければ、1年後や3年後の能力は上がっていく。これは本来私が障害者に言わなくてはならないことだが、障害者のマインドが上がるような施策をたてないと、障害者の本当の自立は訪れない気がする。(8ページで)「受益者負担に対する抵抗が大きい現状では、サポート実践者の報酬を受益者負担のみで考えるのは困難」と書いてあるが、分析としてはその通りだが、現状としてはまずいなと感じている。単なる感想で申し訳ないが、一言申し添えたい。
3   閉会

以上



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