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ユニバーサル・コミュニケーション技術に関する調査研究会(第5回)
議事要旨

  1. 日時
    平成17年10月6日(木) 13時30分〜15時45分

  2. 場所
    三田共用会議所 4階 第4特別会議室

  3. 出席者
    (1)  調査研究会構成員(50音順、敬称略)
    青井 孝敏(松下電器産業)、淺川 和雄(富士通研究所、代理:潮田 明)、
    岩浪 剛太(インフォシティ)、榎並 和雅(日本放送協会、代理:渡辺敏英)、
    大森 慎吾(情報通信研究機構)、春日井 眞一郎(東京放送、代理:杉原 啓介)、
    後藤 幹雄(電通総研)、土井 美和子(東芝)、東倉 洋一(国立情報学研究所)、
    所 眞理雄(ソニー)、原島 博(東京大学)、羽鳥 好律(東京工業大学)、
    平田 康夫(KDDI研究所)、廣瀬 通孝(東京大学)、福永 泰(日立製作所)、
    畚野 信義(国際電気通信基礎技術研究所)、松山 隆嗣(京都大学)、
    三木 俊雄(NTTドコモ)、村上 輝康(野村総合研究所、代理:山田澤明)、
    山田 敬嗣(日本電気)
    (2)  事務局(総務省)
    松本技術総括審議官、竹内研究推進室長、平技術企画調整官
    (3)  説明者
    諸外国における研究開発の動向(野村総合研究所:勅使河原 元)
    ユニバーサルコミュニケーション技術による社会・経済的効果(電通総研:美和 晃)

  4. 配布資料
    資料5−1  第4回議事要旨(案)
    資料5−2  ユニバーサル・コミュニケーション技術関連の平成18年度概算要求について
    資料5−3  最終報告に向けた調査検討会の進め方(案)
    資料5−4  諸外国における研究開発の動向
    資料5−5  ユニバーサル・コミュニケーション技術による社会・経済的効果

  5. 議事
    (1) 開会
    (2) 挨拶(原島座長、松本技総審)
    (3) 配布資料確認
    (4) 前回の議事録(案)の確認
    (5) ユニバーサル・コミュニケーション技術関連の平成18年度概算要求について
     竹内室長から資料5−2に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
    (原 島座長)国全体からみると、ユニバーサル・コミュニケーション技術の部分の伸び率等はどうだったか。
    (竹 内室長)昨年の37億円に比べ43億に増えており、伸び率で考えても良い数値である。

    (6) 最終報告に向けた進め方について
     平調整官から資料5−3に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
    (土 井構成員)新世代ネットワーク技術、ICT安全・安心技術、ユニバーサル・コミュニケーション技術の3分野の横の連携を図る必要がある。
    また、(資料5−3のP2で)コンテンツ主導型とあるが、強いコンテンツ、いわゆるキラーコンテンツを探すこと自体が難しく、議論をする必要がある。
    (原 島座長)大学では情報分野の人気が下がっている。若い人に夢を抱かせる報告書を作って欲しい。
    (東 倉構成員)具体的にフォーラムはどのような感じなのか。
    (竹 内室長)ユビキタスネット社会を実現するには分野横断的な取り組みが必要であり、そのために産学官フォーラム(仮称)を立ち上げて推進をはかるべきと中間報告でご提言を頂いた。後半戦では、具体的にどのような分野の方々に参加してもらい、どのような進め方をするかを議論して頂きたい。
    (東 倉構成員)21世紀COEプログラムでは分野横断の取り組みが数多くなされているが、中間評価では具体的な成果が見えているものが少ない。ターゲットを明確にして実地することが重要である。
    (松 山構成員)文理融合が目的ではなく、必然的に文理融合になってしまう。特にコンテンツ主導型であれば、技術だけでなくデザインなどが混じり合い、結果的に文理融合につながっていく。
    (原 島座長)文理融合の前に、文理越境がある。「理」の研究者が「文」の領域へ垣根を越えて研究分野を広げ、その反対も然り。その結果として文理融合ということになるのではないか。

    (7) 構成員からのプレゼンテーション
    1)  諸外国における研究開発の動向について村上構成員代理から資料5−4に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
    (原 島座長)分類が4つあるが、この分類に属さないもので興味が惹かれるものはなったか。
    (説 明者)ブレイン・コミュニケーションがアメリカではいくつか見うけられた。
    (東 倉構成員)アジアの視点を入れて欲しい。最近、アジアの諸外国は日本をパスしてアメリカを見ている傾向がある。
    (説 明者)中国・韓国は情報発信が少ない。欧米ほど文献が出ていない
    (福 永構成員)シンガポールとインドも追加して欲しい。
    (羽 鳥構成員)現在問題となっているのは、高齢化社会に向けてどう取り組むのかということと家族の絆を作ること。日本は世界で一番早く高齢化を迎えることになり、ユニバーサル・コミュニケーション技術は必要な技術である。そして、日本に次いで高齢化社会を迎えるのは韓国、中国である。文献により研究開発を調べるのであれば欧米を調べればよいのであろうが、実際の需要の観点から考えるのであれば今後高齢化が進んでいく中国、韓国を調べるべきである。
    (原 島構成員)医療関係の検討会に参加して思ったことだが、ハイテク化により医療費が高くなる研究開発が主に議論され、医療費を安くする研究開発は検討されていない。ハイテクの研究開発だけでなく、ローテクで安くて良いものを作る研究開発も重要である。
    (廣 瀬構成員)コンテンツ開発に関して、諸外国では実態として何をやっているか。ヨーロッパではコンテンツ系の研究開発が多く、アジアでも韓国が強化してやっていると聞いている。例えば、「上海万博に向けたR&D」のようなもの。
    (松 山構成員)韓国では日本のMICに相当する役所がICU大学を設立し、R&Dを進めているが、日本でなく、アメリカを見ている。
    (村 上構成員代理)参考までに、現在、情報系で人気がない理由を伺いたい。
    (原 島座長)電気系は古いイメージがある。学生側から見ると、生まれた時から「情報」が当たり前で、目新しいイメージがない。また、電気産業が昔と違い、世の中を引っ張っているイメージがなく、事業や工場の縮小などネガティブなニュースの方が昨今は多い。ロボットや宇宙など学生に夢を与えることが必要である。
    (所 構成員)前回の議事録をみると基礎研究が大事だと残っているが、概算要求などみると基礎研究に関することがない。委員の多くは夢を欲しいと言っていて、現在あるものでなるべく早く結果を出すことも大事だが、将来に向けた基礎研究も大事にして欲しい。
    (原 島座長)大学では医学に近いバイオなど基礎に近いところも人気がある。しかしながら、ユニバーサル・コミュニケーションの基礎技術とは何かということを誰も明らかに出来ておらず、今後の課題と認識している。
    (竹 内室長)資料5−2でお示ししたNICTで実施する研究開発には、15年後を見据えた基礎研究も盛り込んでおり、基礎研究にも取り組んでいく所存。
    (大 森構成員)ユニバーサル・コミュニケーションを実現するためには、バックボーンとなる高速のネットワークや言語処理だとか沢山の基礎技術が必要となる。しかし、現在は総合科学技術会議などにおいて出口が常に問われている傾向があることも理解して欲しい。
    (所 構成員)夢のもてる基礎研究を推進する仕組み作りが必要

    2)  ユニバーサル・コミュニケーション技術による社会・経済的効果について後藤構成員から資料5−5に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
    (原 島座長)50兆円としたとき、国内の市場規模はどうなっているのか。スケール感が分かるようにすることが大事。
    (説 明者)当該分野の市場規模は捉えていない。現在のGDPはおよそ500兆円程度である。
    (松 山構成員)コールセンターのサービス市場は加算してもよいのではないか。機器が複雑化し、高齢化も進展していく中、分かりやすくサポートできることは重要である。コミュニケーション・マーケットは大きくなっている。
    (土 井構成員)日本の市場だけではなく、アメリカのコールセンターがインドにあるようにワールドワイドで考えて欲しい。経済波及効果については国内市場に閉じていまいがちだが、スーパーコミュニケーション技術などによってワールドワイドにできるところがあれば、部分的でよいので波及効果において算定して欲しい。
    また、海外に情報発信するためにも、最終報告書は要約だけでも英語にして欲しい。
    (山 田構成員)医療費が減るなどコストセービングも重要な社会的インパクトである。これらの社会的効果も何らかの形で評価できないのか。
    (説 明者)数値化するのは難しいと思われる。
    (原 島座長)数字を出すことよりも、どのように使うのかを考えないと意味がない。
    (山 田構成員)ユニバーサル・コミュニケーション技術により、労動市場の確保、例えばコンテンツ産業のクリエーター人材の育成や、日本文化の発信機能の強化を図ることができる。これらも一つの社会的インパクトして明記して欲しい。
    (原 島座長)定量的に扱えるものだけ掲載するのではなく、場合によっては定性的でもよいので重要なところは示しておくのが大事。数字化できないところも考慮にいれることが必要であり、幅広に集めて条件を示して数値化することが重要。
    (東 倉構成員)少子高齢化を迎えるに当たって拡大一方の社会モデルはあり得ない。今後は持続安定社会をどう作っていくかが重要なテーマとして指摘されているが、現在の議論がこれらの潮流にあっているかどうかが気になる。
    基礎的な研究支援について一言申し上げれば、総務省では競争的資金、SCOPE制度により支援を実施している部分である。
    また(資料5−4P13)国際的な学会誌への論文発表、国際会議への積極的な参加が大事であると書かれているが、学術会議等でも日本の英文学会誌の国際化が問題となっており、対策を進めているところである。
     
     その他、事務局から次回開催日(6回を11月2日、7回を12月8日)などについて報告が行われ、了解。

    (8) 閉会
     


    (以上)







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