インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会自主規制支援WG第3回会合議事要旨
1 日時
平成12年(2000年)7月14日(金)18:00〜20:00
2 場所
郵政省電気通信技術審議会会議室(郵政省10F)
3 出席者
委員(敬称略):
堀部グループ長、松本グループ長代理、長見委員、金子(明)委員、
金子(忠)委員、田村委員、長崎委員、牧野委員、丸橋委員、矢挽委員
4 議題
(1) 諸外国の状況
(2) 我が国における今後の検討事項
5 議事の概要
(1) 諸外国の状況として、プロバイダの責任に関する立法・判決の状況、第三者
機関の現状について、事務局から説明が行われた。
(2) 主な議論
・ 英国のIWFは、第三者機関として、かなり積極的にウォッチしており、
日本のサイトも見ているようだ。また、英国には、それとは別にISPの協
会があって、そこで自主的な規制のルールを作っていた。
・ NTTのダイヤルQ2では、(社)全日本テレホンサービス協会の審査を通った
もののみを対象に、NTTが情報料の回収代行をしているが、通信の世界では、
これは特殊な例と考えられる。
・ パソコン通信でも、ダイヤルQ2と同様の問題があり、専門家に判断基準を
考えてもらったこともあった。
・ 情報料の収納代行をしてしまうと、プロバイダとして単純な接続の提供や、
ホスティングを行っているという場合と異なり、もっと主体的な責任を負う
可能性がある。
・ 米DMCAでも、コンテントから直接的な経済的利益を得ていないことが
免責の条件とされている。
・ 現在の自主規制の範囲について、(社)全日本テレホンサービス協会のガイ
ドラインやモデル約款は、会員プロバイダ以外にも使用を勧めており、オー
プンにされているが、従わなかった場合について、罰則があるわけでも無い。
・ 他の分野において、事業者団体が利用者からの苦情を受け付けている例は
多く、その場合には、会員以外の事業者に対する苦情も受け付けており、連
絡等を行っているが、それだけだからと言って問題だ、ということにはなっ
ていない。
・ 自主規制の実施主体はプロバイダと考えられていたが、コンテントに何ら
かの関わりを持つ機関などに範囲を広げる必要があるのではないか。
・ 自主規制の対象をあまり広くすると、自主規制の仕組み自体が機能しなく
なりかねない。欧米では、事業性があるかないかで区別している場合もある。
・ 違法・有害情報への対応については、ユーザのコンテントについて事業者
に苦情を言うという意味でプロバイダ自身が第三者的な立場にあり、さらに
その上に事業者団体がある、という段階構造になっている。
・ そのような中で、現在、プロバイダ自身が責任を追及されてしまう可能性
があるため、第三者としてどのように適切に対応すれば責任を追及されない
のか、そのための支援として何を行うのかという観点で検討する必要がある。
・ プロバイダの免責を法的に位置づけることを検討する場合に、現行法の適
用に当たっての解釈の確認という意味を持つものなのか、その責任の範囲を
変える創設的な意味を持つものなのかが問題になる。
・ プロバイダの免責規定を設ける場合には、セーフ・ハーバー的なもの、そ
の枠に入っていれば確実にセーフで、少し超えていても場合によってはセー
フの可能性がある、というようなもの、と考えるべきである。米国のDMC
A(デジタル・ミレニアム著作権法)、EU指令もそういう考えのようであ
る。
・ プロバイダ等が判断を誤ったときの責任について、一定の手続に沿って判
断したが、結果として判断を誤って削除してしまった場合の免責を検討する
のであれば、逆に、結果として判断を誤って放置してしまった場合の免責に
ついても検討するべきではないか。
・ 米DMCAのノーティス・アンド・テイクダウンのように、通知があった
ら、すべて削除してしまうのは行き過ぎで、デフォルトで削除するべき、と
いうよりは、一定の判断プロセスに従えばよい、ということなのではないか。
・ 違法かどうかは、基本的には裁判の結果を待たなければ判断できないので
あって、プロバイダ等にその判断をさせることは望ましくなく、むしろ、そ
のような判断をしなくてすむように大枠で免責を認めるべきである。
・ 発信者情報開示について、現在、発信者情報を開示しなかった場合のプロ
バイダ等の民事的責任は問われていないが、被害者のためにどういう場合に
開示を認めるべきか、ということではないか。
(3) 次回会合は、各委員のスケジュールを調整し、別途設定されることとなった。