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「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」(第2回)議事要旨






1 日時
  平成12年7月31日(金)14:00〜16:00

2 場所
  郵政省審議会会議室

3 出席者(敬称略)
   堀部政男(中央大学)、一力 健(社団法人テレコムサービス協会)、岩男
   寿美子(武蔵工業大学)、田中善一郎(株式会社日経BP)、苗村憲司
   (慶応義塾大学)、濱田純一(東京大学)、古川 享(マイクロソフト株式
   会社)、松井石根(社団法人日本PTA全国協議会)、山川 隆(ニフティ
   株式会社)、宮原英明(社団法人電気通信事業者協会)、和田正江(主婦連
   合会)

4 議題
(1) 各ワーキンググループの中間報告
(2) 今後の検討の方向性 等

5 議事概要
(1) 自主規制支援ワーキンググループ及びレイティングワーキンググルーグの
   各グループ長からこれまでの検討の中間報告及び今後の検討の方向性につい
   て説明が行われた。
(2) 主な議論

 ○ 総論
 ・ 有害な情報のうち、風営法上の青少年に有害なものの配信規制については、
   法的な規制の一類型であり、他のものと同様に扱うことはできないのではな
   いか。
 ○ 第三者機関の設置
 ・ インターネットのコンテンツの性質から、迅速に対応しなければ消えてしま
   うおそれがあり、第三者機関では対応に時間がかかってしまうことから、第
   三者機関を作ることは適切ではないのではないか。
 ・ 第三者機関が扱う内容によって迅速性は違ってくる。また、外部の人が委員
   になる委員会が、月に1回しか開かれないのでは迅速性はないが、事務局が
   基準に照らして違法であると判断することで、迅速なアドバイスはできる。
 ・ 第三者機関の一つの意味は、発信者情報の開示の判断を行うことである。プ
   ロバイダが発信者情報を開示すると、通信の秘密を侵したとして処罰を受け
   るおそれがあるので開示できない。そこで、第三者機関が間に入り、名誉棄
   損している疑いが非常に強いから発信者情報を開示しても違法性が阻却され
   るというような判断をし、発信者情報が明らかになうようにする。
 ・ 裁判所は最終的な紛争解決の場として必要不可欠だが、時間や裁判費用がか
   かることから、一種の紛争解決手段として第三者機関を設けておく必要があ
   るのではないか、という議論がある。BRO (放送と人権等権利に関する委員
   会機構) などでも、機関に苦情を申し立ててれば対応してくれ、簡便な方法
   で解決が得られる。
 ・ プロバイダが間に立って仲裁をしようとしても、裁判に訴えるということで
   協力が得られないことがある。第三者機関でも同様で、申告者から信頼され、
   判断を委ねてもらえる仕組みがないと、飛ばされてしまうのではないか。
 ○ プロバイダの質の問題
 ・ 数多くのプロバイダがあるが、その質はまちまちなので、プロバイダの質を
   ウォッチしていかなければならない。第三者機関を作るのであれば、プロバ
   イダの質をウォッチする機関という考え方もあるのではないか。
 ・ プロバイダの質はなかなか判断しにくい。基準をそろえるには法律が一番良
   いが、法律によることが可能なのかということから考えなければならない。
 ・ インターネット上で情報は国境を越えて流通するが、国際会議などで議論し
   ていると、ユニフィケーションは難しくても、ハーモナイゼーションはでき
   ないか、という議論になっている。我が国でも、法的措置が可能な部分は措
   置するということになろう。
 ・ 一般第2種電気通信事業者は届出だけで開業でき、業務内容はチェックされ
   ない。しかし、世論により対応を求められることもあるかもしれず、そうい
   う意味で、自主規制がうまくできればよい。
 ・ 自主規制では、テレコムサービス協会の会員は400社弱で、全プロバイダ
   の数%であり、会員外のプロバイダに対してどう対応するのかという問題が
   ある。
 ・ 一般第2種電気通信事業者で届出が必要なのは、エントリーだけあって、イ
   グジットについては届出は必要ない状態である。実際に活動しているプロバ
   イダは、実は非常に少ないのではないか。
 ・ 被害を受けた人がプロバイダにすぐ連絡できるよう、届出を受けた際の情報
   のうち、住所、連絡先などは使えるものにすることが重要である。また、契
   約解除の方法がわからない場合など、事業者に連絡するが、ルールがきちっ
   と決まっていない事業者は場当たり的な対応になる。業界である程度基準を
   作れば、質がだんだんと高められていくのではないか。
 ○ 有害情報が発信された場合の責任
 ・ プロバイダというが、最近、アクセス行為の部分と、ポータルの部分のサー
   ビス内容が分離する傾向にある。あるプロバイダに入ると、そのプロバイダ
   のページに行くのではなく、最初のメニューから他のポータルサービスを提
   供している者のページに行ってしまう。その場合に、有害なコンテンツが提
   供されていれば、プロバイダではなくポータルサービスの問題なのではない
   か。
 ・ また、最近は、プロバイダがコンテンツを持っているのではなく、コンテン
   ツ登録者自身がサーバを持ち、リンクされているだけということが多い。そ
   の場合には、サーバに有害なものを置いている登録者自身の行為が問題であ
   り、プロバイダはリンクを切るのが責任になる。
 ・ 最近はメディア融合が起きており、テレビとインターネットが重なり合う表
   現では、海外の有害なテレビがインターネットを経由して見られる。そのと
   きに、通信としてのパイプを用意している人が問題なのか。
 ・ メディアの融合は、単に映像系とインターネットのアクセスだけに限らない。
   例えば画面の中には有害なことは書いてなく、楽しい情報を販売するとだけ
   いって、メールオーダーで有害な内容のビデオテープが送られてくるサービ
   スもある。
 ・ 昔は情報発信は限られた者しか行えず、出版社、放送局、大規模なプロバイ
   ダなどを押さえていればよかった。現在は、情報発信がアマチュア化し、多
   くの者が情報発信するようになったため、それにどう対応していくかが課題
   である。
 ・ 個々の企業や個人が発信する情報にラベリングをすることに対して、発信者
   に何らかのインセンティブを持たせることはできないか。そのために、ラベ
   リング用ソフトを簡単にするとともに、制度的な誘導をすることも必要であ
   る。
 ・ 「プロバイダ」という意味では、インターネット・サービス・プロバイダや、
   コンテンツ・プロバイダがある。コンテンツ・プロバイダがコミュニティを
   設置すると、ユーザがいろいろ書き込むが、その中に変な書込みがある場合
   には、インターネット・サービス・プロバイダよりも、まず、コンテンツ・
   プロバイダの責任が問題となるのではないか。その辺りの整理が必要ではな
   いか。
 ・ インターネット・サービス・プロバイダの提供するサービスにもいろいろあ
   るが、結局、最後はサーバを用意しているところに管理責任が発生すること
   になるのではないか。
 ・ 情報が黒か白かは実際には分からない、グレーな場合が多いが、誰かが違法
   ・有害情報の判断の義務を負うならば、間違う可能性を前提に置き、間違っ
   ても被害が少ない制度を設定しておくべきではないか。そういう点では、放
   置した場合の責任と、削除等の措置をとった場合の責任について検討する際
   には、ある情報が違法で、著しく不利益を被る人がいる、と判断される場合
   は、削除する方が正しい。意図的に表現の自由を制限するように運用される
   と非常に問題になるが、情報によって非常に不利益を被る人がいるならば、
   削除することで、先に救済をしておく方がよい。そのような場合には、後で
   もう一回言ってもらうことは可能で、判断が誤っていた場合の救済がしやす
   い。
 ○ コンテンツの管理
 ・ ISPに、コンテンツ登録の段階で、いいものか悪いものかの表示を要請し
   ていくべきである。しかし、有害なものを意図的に配布する場合、わいせつ
   なサイトを、単におもしろいサイトとしてリンク集を作った場合などには、
   いくらスキャンをしても、遠回しな言葉しか書いていないのでチェックでき
   ない。
 ・ ISPでもコンテンツを登録するのでなく、サーバスペースのまた貸しする
   形もある。スペースを提供した後に内側にさらに仮想的なISPが入ると、
   その中身がどう管理されているか手の出しようがない。
 ・ 一つのプロバイダでありながら、実は分散した場所にあり、仮想的に一つの
   大きなものを形成している場合もある。そのような状態の中でも、正しく情
   報を登録することが大事である。
 ・ 有害情報が発見されたとき、例えば、翌日から全国の小学校で見えないよう
   にするような登録手順が薄い。教育者や両親から、問題だという指摘があれ
   ば、プロキシ側でブロックできるデータベースの管理を考えてもいいのでは
   ないか。



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