審議会のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ・ 調査研究会

第3回電気通信サービスにおける情報流通ルールに関する研究会議事要旨





1 日時
  平成9年11月7日(金)14:00〜16:45


2 場所
  郵政省国際部会議室


3 出席者(敬称略)
  堀部座長(中央大学)、新美座長代理(明治大学)、鈴木委員(北陸大学)、
  藤田委員(NTT)、大谷委員(テレコムサービス協会)


4 議題
  電気通信事業者2社((株)ジャストシステム、第二電電(株)及び弁護士
 2名(藤原宏高氏、牧野二郎氏)よりヒアリング


5 議事概要

(1)電気通信事業者(2社)よりヒアリング

 ○ 公然性を有する通信での違法・有害情報の流通の責任は、情報発信者にあ
  る。

 ○ しかし、電気通信事業者は、ホームページ上における違法な情報の存在を
  知りながら一定期間放置した場合、刑事責任、民事責任に問われる可能性が
  ある。また、社会的な非難を受ける可能性がある。

 ○ 実際の運用に当たって考慮すべき事項として、表現の自由、通信の秘密の
  保護、検閲の禁止、プライバシーの保護との兼ね合いなどの問題がある。

 ○ 事業者の責任の範囲があいまいであり、行政による指針の提示や立法措置
  による明確化が望まれる。

(2)藤原宏高氏(弁護士)よりヒアリング

 ○ インターネットの匿名性という現状はやむを得ないが、これは今後技術的
  に改善されるべき事項である。

 ○ 犯罪者にとっては、インターネットが最も活動しやすい場となっている。
  自主規制のみでは解決されない問題であり、法規制が必要である。

 ○ オフラインでは犯罪の構成要件に該当しない事項についても、必要であれ
  ばネット上の発言に限り、一定の明確な要件に基に発言を禁止するような法
  的規制を検討すべき。ただし、世界的なコンセンサスが必要である。

 ○ プロバイダーの責任について、ドイツのマルチメディア法のように政策的
  な責任をプロバイダーに課する形での規制には国内的な議論が必要であり、
  慎重であるべき。加えて、世界的なコンセンサスが必要である。

 ○ 電気通信事業法を改正して、いわゆる公然性を有する通信に該当する形態
  の通信には通信の秘密は及ばないと明記すべきであるが、その反面、プロバ
  イダーに個人情報の保護義務を課することが最低限必要。同時に被害者によ
  る事業者への発信者情報の開示請求権を認めるべき。また、ID不正使用の
  罰則や盗聴の処罰規定なども必要。

(3)牧野二郎氏(弁護士)よりヒアリング

 ○ インターネット上の違法・有害情報の流通が増加しているというが事実で
  あるか不明であり、そのような社会問題を定量的に検討すべき。

 ○ インターネット上の犯罪といわれる部分について、現行法による犯罪の摘
  発が必要な部分で十分なされていないにもかかわらず、ことさらに新しい規
  制をいうのが問題であって、新たな規制を検討する前に、まず現行法のネッ
  ト上への適用をはじめとして、ほかに行うべきことがある。

 ○ 有害情報と一口に言うが、有害の内容が明確ではない。有害の概念を明確
  にしないと、議論する意味がない。

 ○ プロバイダーの役割と責任は、図書館設置者の役割と責任のアナロジーで
  考えることが適当である。

 ○ ホームページは、実名を明らかにして利用されるようにすべき。プロバイ
  ダーは、発信者と受信者の橋渡し役になればいい。情報発信者の自己責任が
  問われず、事業者のみを問題にするのは筋違いである。ホームページで人権
  侵害をしていながら、その発信者が実名を明らかにしない場合には、プロバ
  イダーは当該ページを削除しても構わないと思う。批判者の実名を出して批
  判するのが表現の自由の本質であると思う。批判を許さない表現行為はファ
  ッショだと思う。

 ○ 不正アクセス禁止法などの立案があると聞くが、事業者だけが責任を負う
  ことになる立法は適当ではない。個人情報全般を保護する法律の制定などが
  望ましい。

                 連絡先:電気通信局電気通信利用環境整備室
                 電 話:03−3504−4831
トップへ