審議会のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ・ 調査研究会

報道資料

                                                  平成8年5月31日
                                                  郵   政   省

「マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会」報告書について

 郵政省では、今後到来するマルチメディア時代において、ニュービジネスの展開を促進し、すべての人々が高度な情報通信サービスにアクセスできるよう、新たなユニバーサルサービスと料金の在り方について、幅広い観点から総合的な検討をするため、平成6年10月から『マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会』(座長:岡野 行秀 東京大学名誉教授、構成員は別紙2参照)を開催してきましたが、本日、その報告書が取りまとめられました。
 報告書の概要は、別紙1のとおりです。

                             連絡先:電気通信局電気通信事業部業務課  
                             電 話:03−3504−4828

別紙1

「マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会」報告書

(概要)

第1部 マルチメディア時代の料金について

  

1 ニーズ及びコストの動向

   (1) ニーズの動向
   近年のインターネットや移動体通信の急速な普及等から今後を展望すると、家庭においても、企業においても、ネットワークを活用した社会経済活動へのニーズが顕著になるものと見込まれる。

   (2) ネットワーク及びコストの動向
   光ファイバ化の進展、多重化技術の進歩により、通信ネットワーク全体として、中継回線コストが低下し、従量制対応コスト、距離対応コストのウェイトが低下することが見込まれる。特にデータ伝送ネットワークの場合、この傾向が著しい。   

2 マルチメディア時代の料金の基本的な考え方

    マルチメディア時代の望ましい料金についての基本的考え方は、以下のとおり。
  1.  経済・社会構造の変革及び高度情報通信社会の発展への貢献
  2.  コスト構造への配慮
  3.  利用者間の公平性の確保
  4.  公正有効競争条件の確保
  5.  規制緩和の推進
  

3 需要喚起型料金(マルチメディアサービスの初期・発展期)

   マルチメディア社会の実現に向けた料金を考える上で最も重要なことは、映像通信の振興、ニュービジネスの創出等マルチメディアサービスの普及促進を図ることである。
  この観点から、マルチメディアサービスの初期・発展期においては、低廉な料金を設定することにより需要を喚起し、マルチメディアサービスのパイを拡大し、ネットワークのコストを低下させるような料金設定(需要喚起型料金)が望ましい。
  このような料金設定が成立するためには、
  1.  ネットワークに大きな外部性が存在すること
  2.  将来の技術革新により大幅にコストが低下すること
 の条件が必要。

4 望ましい料金体系

 
 
(1) 
マルチメディア時代には、ネットワークを活用した社会経済活動が定着し、長時間にわたる通信の利用が一般化すると予想される。このため、現行の電話の料金体系(通話時間・距離に比例)をそのままマルチメディア通信に適用した場合、利用抑制的な料金になるおそれがある。  
(2) 
一方、光ファイバ化の進展等により、通信ネットワーク全体として中継回線コストが低下し、従量制対応コスト、距離対応コストの比重が低下することが見込まれる。  
(3) 
このため、ニーズの動向及びコスト構造の変化を踏まえ、マルチメディア時代の料金は定額制料金のように「量」の要素ができる限り少ない料金体系を基本に考えることが望ましい。  
(4) 
また、種々な利用者のニーズに柔軟に対応できるよう、1複数定額料金制(サービス別複数定額制、需要段階別複数定額制等)、2複数定額制と二部料金制の選択制など多様な料金体系の設定が望ましい。

5 料金設定の在り方

   望ましい料金体系・水準を実現するため、具体的な料金設定の方法として、以下について検討することが必要。

   (1) 料金算定方法の弾力化

  1.  料金算定期間の長期化
     料金の算定期間は新サービスの場合、原則として5年間とされているが、マルチメディアサービスの需要を立ち上げる低廉な料金を設定する観点から、条件を明確にした上でその長期化を図ることが望ましい。
  2.  減価償却方法
     定額法は、初期の償却負担を軽減する効果があり、ネットワーク構築の初期段階において低廉な料金を設定する上で有効なため、事業者において定額法の導入について検討が必要。

   (2) サービス・グレード別の料金設定

   サービス品質に対するニーズの多様化に対応し、遅延が許容されるサービスや品質の劣化が許容されるサービスなどサービスグレード別の多様な料金設定が望ましい。

   (3) ピークロードプライシング

   現在、深夜時間帯の定額制料金等において導入されているピークロードプライシングの考え方に基づいた料金設定が積極的に導入されることが望ましい。

   (4) 多様なユーザ料金の設定

   利用者の利便性や料金の低廉化を図る観点から、通信料・情報料一体型の料金設定や広告料を考慮した料金設定が有効である。

6 望ましい料金水準

   将来の利用者の負担可能額としては月額1万円弱〜1万5千円程度とする見通しが多く、また、現在、ネットワークを利用しているユーザからはさらに低廉な料金への要望が強い。
 一方、コストに関しては、当研究会が実施したモデル試算では平均コストを月額1万5千円程度とすることも可能との結果が得られており、競争の一層の促進や事 業者の効率化により、コストと家計の負担可能な水準との乖離の縮小が期待される。

7 接続料金

   (1) 接続料金の在り方

    適正な条件で接続が行われることが事業者間の公正有効競争を確保し、多元的な主体による競争を通じたマルチメディアサービスの提供にとって不可欠。
 この観点から、接続料金は、1効率性、2客観性、3無差別性、4多様性の4原則に基づいて定められることが必要である。

   (2) 接続料金の算定方法

   現在、NTTは地域通信網を事実上独占しており、地域通信網に対する接続料金の算定に際して、恣意的な費用の配賦や非効率性を排除することが困難である。
 十分な競争が存在する市場においては、長期的にみれば、接続料金は増分コストに収れんすることから、増分費用算定方式(接続によるトラフィック増に伴う費用の増加額に基づき接続料金を算定する方式)の適用の可能性について検討する必要がある。
 しかしながら、この方式には、増分費用の具体的な算定や共通費が賄えない等の問題点が存在することから、これらの問題について、今後さらに検討することが必要。

   (3) 具体的方策

  1.  料金の算定方式の検討
  2.  接続料金のアンバンドル化及びタリフ化 
  3.  事業者間精算方法の簡素化

8 当面の課題

   (1) インターネット

   最近、急速に成長しているインターネットに関しては、料金の内外価格差、一種事業者からの回線提供の遅延、アクセスポイントの偏在などの課題が存在していることから、以下の措置が必要。

  1.  内外価格差の縮小
     米国との間で数倍の価格差が生じている状況にかんがみ、内外価格差の縮小を図るため、コストの大きな部分を占め、かつプロバイダ自身の合理化努力では解決困難な回線コストの削減が必要。
     専用サービスの料金の低廉化を図るためには、競争の促進に加え、以下による一種事業者の専用サービスの低廉化、多様化が望ましい。  

  2.  アクセスサービスにおける均一料金の設定
     インターネットのアクセスにおける地域間格差を解消するため、均一料金によるアクセスサービスの提供が望ましい。

      

  3.  公正有効競争条件の整備
     NTTのOCNについて、今後、行政において、関係者の意見を聴取する等して、ネットワーク機能や設備のアンバンドル化を含め、公正有効競争条件の整備を図ることが必要。

      

  4.  プロバイダにおける情報開示
     料金と品質はトレードオフの関係にあることから、サービス品質に関して利用者に対する十分な情報開示が必要。

   (2) パソコン等の情報通信機器の法定耐用年数の適正化

   パソコン等の情報通信機器については、技術革新の著しい進展により、法定耐用年数より短い期間で機器を更改し、有税償却を余儀なくされるケースが増えており、情報通信の利用の高度化を阻害するおそれがあることから、実態にあわせた見直しが必要である。

第2部 マルチメディア時代のユニバーサルサービスについて

  

1 ユニバーサルサービスの範囲の見直し

   (1) ユニバーサルサービスの概念

  1.  国民生活に不可欠なサービス
  2.  誰でも利用可能な料金
  3.  日本全国における安定的な供給
   (2) マルチメディア時代におけるユニバーサルサービスの意義

   情報を知的資源として高度に活用する社会において、情報を「持つ者」と「持たざる者」の発生を防ぎ、結果として生じる社会的不公平を最小限にとどめることがマルチメディア時代におけるユニバーサルサービスの意義。この観点から、現在は電話に限定されているユニバーサルサービスの範囲の見直しが必要。

2 ユニバーサルサービスの範囲の拡大

   (1) ユニバーサルサービスの対象として検討されるべきサービスの範囲

  1.  マルチメディア・アクセス
     光ファイバと高速・広帯域のネットワークサービス(「マルチメディア・アクセス」)は、遠隔教育や遠隔医療などのマルチメディア・サービスへのアクセスに不可欠である。競争のダイナミズムの発揮と事業者間の相互接続の確保を図るとともに、多元的な事業者による提供により利用者にとってのオプションを保証すべきである。

      

  2.  マルチメディア・サービス
     遠隔教育や遠隔医療、マルチメディアを利用した公共サービスなど生活に密着した「マルチメディア・サービス」も、マルチメディア・アクセスの提供と同時に行われることが望ましい。

マルチメディア・サービスの図

(2) ユニバーサルサービスの範囲の拡大

      
  1.  ユニバーサルサービスの範囲の拡大の基本的考え方
     マルチメディアが普及した社会においては、情報を持つ者と持たざる者との間に生ずる格差は、単に情報の格差にとどまらず、教育、医療、雇用機会など様々な社会的不均衡を招くおそれがある。高度な電気通信サービスは、地域的、身体的に条件が不利な人々に様々な可能性を提供するという意味で、むしろ中山間地域の居住者や障害者にニーズが高い。
     この観点から、高度な電気通信サービスは国民生活に不可欠なサービスとして、ユニバーサルサービスとして位置づけ、社会的不均衡を回避すべきである。

      

  2.  ユニバーサルサービスの範囲の拡大の原則
    1.  競争のダイナミズムによるマルチメディア・アクセスの確保
       競争のダイナミズムは料金の低廉化やネットワークの拡大等を通じて、ユニバーサルサービスの実現に重要な役割を果たすものであり、マルチメディア・アクセスの確保も競争のダイナミズムの活用により行われるべきである。
    2.  段階的な拡大
       マルチメディア・アクセスについては、技術革新の進展やサービスの普及度合いを踏まえ、段階的にユニバーサルサービスとして位置づける。また、マルチメディア・サービスについても、国民的コンセンサスを得つつ、段階的にユニバーサルサービスの対象に加える方向で検討すべきである。
    3.  透明かつ安定的な支援制度の確立
       競争の進展に対応し、競争中立的、透明かつ安定的な支援制度について検討することが必要である。
    4.  マルチメディア・サービスの導入促進
       遠隔医療、遠隔教育をはじめとするマルチメディアによる公共的サービス等生活に密着したサービスについては、先進的なアプリケーション開発やパイロットプロジェクトの推進に、政府とともに地方自治体が主体的かつ積極的に取り組むことにより、その導入を促進すべきである。

   (3) 範囲拡大にあたっての留意点

   ユニバーサルサービスの範囲拡大にあたっては、技術の進展とサービスの普及状況を踏まえ、費用負担についての国民の合意を得て、見直しのある柔軟なスキームとすることが重要。

3 ユニバーサルサービス確保のための措置

   (1) マルチメディア・アクセスを確保するための措置の要件

      
  1.  競争中立性
  2.  透明性の確保
  3.  事業の効率性
  4.  実施費用が小さく、わかりやすいこと
(2) マルチメディア・アクセスを確保するための具体的措置

   我が国のユニバーサルサービスは従来、NTTが地域通信市場を独占する状況の下で、内部補助により確保されてきた。しかしながら、競争を一層促進し、競争の進展に伴い必要な場合には外部補助方式によりユニバーサルサービスの確保を図る方が、国民経済的にみて望ましい結果を得ることができると考えられる。
 マルチメディア・アクセスを確保するための具体的措置として、1内部補助方式、2ユニバーサルサービス基金方式、3アクセスチャージ方式、4バウチャー方式の4方式があるが、この4方式を比較検討した結果、ユニバーサルサービス基金は、競争のダイナミズムを活用する中でサービスの多様化と料金の低廉化を進展させつつ、事業の効率性を高め、透明な手続きによりユニバーサルサービスの確保を図るための適切な方式である。

(注)ユニバーサルサービス基金方式
 不採算地域でサービスを提供するために要する費用(いわゆるユニバーサルサービス・コスト)を計算し、予め設定された基金に、ユニバーサルサービスの提供義務を負う全ての事業者が拠出を行うスキーム。米国では既に導入されており、英国でも導入が検討されている。
      

    4 今後の検討課題

     マルチメディア時代に向けて、ユニバーサルサービスの範囲を拡大し、これを確保していくために、今後更に以下の点について検討する必要。
    1.  国民のコンセンサスづくり
    2.  対象となるマルチメディア・サービスについての検討
     マルチメディア・サービスの確保については、関係省庁や地方自治体等との幅広い協力の可能性を検討すべきである。

    (当面の課題)

    1.  NTTにおける費用情報の開示
       ユニバーサルサービスの制度を構築していくためには、NTTの詳細な費用情報の開示が必要。

        

    2.  ユニバーサルサービス基金の詳細な検討
       今後、我が国の電気通信市場において競争が一層促進されるとユニバーサルサービス基金の必要性が高まることから、ユニバーサルサービス基金の詳細な検討が必要。 
        
    別紙2
    委員名簿

     (敬称略・五十音順)

                      

    オカ ノ ユキ ヒデ
    座  長 岡 野 行 秀 東京大学名誉教授

    ハ トリ ミツ トシ
    座長代理 羽 鳥  光 俊 東京大学工学部教授
    (技術部会長)


    アオ ヤマ  ミ チ コ
    委  員 青 山 三千子 国民生活センター理事

    イシ グロ  カズ ノリ

    石 黒 一 憲 東京大学法学部教授

    ウ ガ カツ ヤ

    宇 賀 克 也 東京大学法学部教授

    オオ カワ タケ ツグ

    大 川 健 嗣 山形大学人文学部教授

    オオ タ    ハジメ

    太 田 元 経団連産業政策部長

    カワ ギシ  コノ エ

    川 岸  近 衛 読売新聞論説副委員長

    キ ムラ  ショウ ヘイ

    木 村  昌 平 セコム(株)常務

    コ バヤシ ヤス ヒト

    小 林 康 仁 岡崎市企画調整部長

    サ トウ タダシ

    佐 藤   忠 国立身体障害者リハビリテーションセンター
    研究所障害福祉研究部心理実験研究室長

    スガ ヤ ミノル

    菅 谷 実 慶応義塾大学新聞研究所教授

    ダイ ゴ サトシ

    醍 醐 聡 東京大学経済学部教授

    ツジ  マサ ツグ

    辻    正 次 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

    トウ カイ ミキ オ

    東 海  幹 夫 青山学院大学経営学部教授

    ナオ エ   シゲ ヒコ

    直 江  重 彦 中央大学総合政策学部教授

    ミヤ ザキ ミドリ

    宮 崎   緑 ジャーナリスト

    ムラ キ ヨシ ヒコ

    村 木  良 彦 全日本テレビ番組制作社連盟理事長
    (株)トゥデイ・アンド・トゥモロウ社長

    ヤマ シナ マコト

    山 科   誠 (社)マルチメディア・タイトル製作者連盟代表
    (株)バンダイ社長

    ヤマ ダ   ヨシ タカ

    山 田  吉 孝 NHK解説委員

    アイ ダ   ヒトシ
    技術部会委員 相 田   仁 東京大学大学院工学系研究科助教授

    イ  タミ   マコト

    伊 丹   誠 東京理科大学基礎工学部電子応用工学科講師

    トップへ