FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題

はじめに

 高度情報通信社会の実現に向け、民間主導原則の下、情報通信基盤の整備が急ピッチで進められている。光ファイバ網は、94年5月の電気通信審議会答申等において、情報通信基盤を支える基幹的なネットワークインフラであると位置付けられており、2010年の全国整備完了という整備目標に従い、順調に整備が進められているところである。

 高速・広帯域の通信サービスが利用できるという光ファイバ網のメリットは、各家庭まで光ファイバが敷設されて初めて実現されるものである。現在、加入者系光ファイバ網の整備は、需要の顕在化に先立って先行的に整備を進める段階にあり、光ファイバの利用に即応できる状態にするとの観点から、主として途中のき線点までの光ファイバ化が進められている。このように、現段階では、各家庭にまで光ファイバが敷設される段階(FTTH:Fiber To The Home)には至っていないため、一般ユーザは、加入者系ネットワークの光化の進展の直接的なメリットを理解することは難しい状況にある。

 今後、加入者系ネットワークの光化を進めるにあたっては、2010年に全国整備が完了し、初めてそのメリットが現れるということではないことは勿論のことであるが、整備の途上においても、できるだけ早期に光化の進展によってもたらされる高速・広帯域の通信サービスが、一般ユーザに対し、従来よりも低廉な料金で提供されるよう、FTTHの実現を図っていくことが望まれる。
 このような観点からFTTH部会においては、今後の光化の進展に伴うネットワークの変遷、光化のシステム構成、通信サービスや料金のイメージ、一層の低料金化等、FTTHの実現に向けての展望と課題を明らかにすることを目的として検討を行った。