FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題
第1章 ネットワークの光化の現状


1 光ファイバ網整備の意義


   (1) 高度情報通信社会における光ファイバ網の役割

   (2) 光ファイバ網整備に関する政府の方針






第1章 ネットワークの光化の現状

1 光ファイバ網整備の意義

(1) 高度情報通信社会における光ファイバ網の役割
 高度情報通信社会とは、「人間の知的生産活動の所産である情報・知識の自由な創造、流通、共有化を実現し、生活・文化、産業・経済、自然・環境を全体として調和し得る新たな社会経済システム」とされている。この高度情報通信社会を実現するためには、情報・知識の創造・流通・共有化を支える高度な情報通信インフラを早急に整備する必要がある。高速・広帯域の通信を実現する21世紀の基幹的通信インフラとして期待されている光ファイバ網は、高度な情報通信インフラの中心となるものであり、総合的、計画的に早期の全国整備を図ることが重要である。
 また、諸外国においても、情報通信インフラの重要性に鑑み情報通信高度化に向けて積極的な取組が展開されている。米国のNII構想をはじめとして、韓国の「超高速情報通信網構築計画」、マレイシアの「マルチメディア・スーパー・コリドー計画」、シンガポールの「シンガポール・ワン計画」等、欧米はもとより、最近では、アジア各国においても情報通信を自国の経済成長の鍵となる戦略分野と位置づけ、官民を挙げての取組が行われている。





(2) 光ファイバ網整備に関する政府の方針
 光ファイバ網の整備については、「構造改革のための経済社会計画(閣議決定)」等において、民間において整備されるにもかかわらず、その基盤性に鑑みて社会資本の整備目標として掲げられている。すなわち、    
   光ファイバ網の整備は民間主導で進めることを基本とすること、
   2010年までに光ファイバ網の全国整備を完了することを目標とすること、
   2000年までを、投資に見合う収入を確保することが期待できない先行整備期間とし、民間事業者による投資を促進するために、投資負担を軽減するための支援措置を国が行うこと、
等を政府の方針として明確化している。