FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題
第1章 ネットワークの光化の現状


3 光ファイバ網を用いたアプリケーションの開発


   (1) 国におけるアプリケーション開発の取組

   (2) 民間等におけるアプリケーション開発の取組






第1章 ネットワークの光化の現状

3 光ファイバ網を用いたアプリケーションの開発

 光ファイバ網整備を促進するためには、光ファイバ網を有効に活用するためのアプリケーション開発・導入を積極的に推進することが重要である。光ファイバ網の整備に伴い、アプリケーションが開発・導入され、アプリケーションの開発・導入が光ファイバ網の整備を促進するという好循環が、早期の高度情報通信社会の実現の鍵となる。このように、光ファイバ網の整備と並行してアプリケーションの開発を進めることは、光ファイバ網の早期の整備のために非常に重要であり、既に産学官において、様々な取組が行われている。

(1) 国におけるアプリケーション開発の取組
 光ファイバ網整備の初期段階においては、民間部門のアプリケーションの開発・導入が十分に進まないおそれが大きいため、国が主導的に公共アプリケーションの開発・導入を進めることにより、アプリケーション開発の先導的役割を果たすことが必要である。国においては、通信・放送機構奈良リサーチセンターをはじめ、様々な機関を設置・活用し、電子図書館等の公共アプリケーションの実現に向けた研究開発に取り組んでいる。最近では、これら研究開発の成果を活用してマルチメディア・モデルを展開する「マルチメディア・パイロットタウン構想」の取組も進められている。





(2) 民間等におけるアプリケーション開発の取組
 民間等においても、ユーザサイドやサプライヤサイドから様々なアプリケーション開発の取組がなされている。その代表例としては、新世代通信網実験協議会(BBCC)の「B−ISDN(広帯域ISDN)利用研究・実験」(94年〜)、財団法人マルチメディア振興センター(FMMC)の「新世代通信網パイロットモデル事業」(94年〜)、NTTの「マルチメディア通信の共同利用実験」(94年〜97年)がある。
 「B−ISDN利用研究・実験」は、B−ISDNを利用したアプリケーションの開発・実験を行う機関として我が国で初めて設立されたBBCCにおいて取り組まれており、関西文化学術研究都市を中心に、関西地域及び首都圏ともB−ISDN等で結び、遠隔教育、遠隔医療、電子図書館等のアプリケーションプロジェクトを実施するものである。 「新世代通信網パイロットモデル事業」は、関西文化学術研究都市に実験センターを設け、付近の300世帯に光ファイバを引き(FTTH)、ビデオ・オン・デマンド、テレビ電話サービス等の各種マルチメディアの実証実験を実施するものであり、この種の実験としては世界最大規模のものである。
 「マルチメディア通信の共同利用実験」では、国や地方自治体、大学、病院等の公的セクタや、通信機器メーカ、建設会社、銀行、流通業等、情報通信とは関係の薄いと思われる企業を含め、数多くの民間セクタの参加により、様々なアプリケーション実証実験が実施された。実験が終了した現在も、参加企業では将来に向けたアプリケーション開発の取組が続けられている。