FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題
第1章 ネットワークの光化の現状


4 光ファイバ網整備への支援策


   (1) 特別融資制度

   (2) ふるさと融資制度

   (3) 税制支援

   (4) その他光ファイバ網整備に関連する諸施策






第1章 ネットワークの光化の現状

4 光ファイバ網整備への支援策

 社会資本として位置づけられている光ファイバ網の整備を促進するため、民間における投資負担の軽減施策として、国や地方公共団体による融資制度、税制支援制度が設けられている。また、光ファイバ網整備に関連する諸施策が、関係省庁において取り組まれている。

(1) 特別融資制度
 加入者系光ファイバ網を整備する第1種電気通信事業者及びCATV事業者を対象として、日本開発銀行、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫からの低利融資(NTT−C’)及び通信・放送機構からの利子助成による超低利融資(NTT−C’融資の金利が3.0%の場合、融資当初5年間は2.0%の超低利で融資)制度である。
 95年度の制度創設以来、融資枠は毎年拡大し、97年度予算における融資枠は511億円となっている。

特別融資のスキーム
特別融資のスキーム

特別融資の融資枠と実行額の推移
95年度 96年度 97年度
融資枠 300億円 420億円 511億円
実行額 299.74億円 420億円
(見込み)
 −





(2) ふるさと融資制度
 加入者系光ファイバ網を整備する第1種電気通信事業者及びCATV事業者を対象として、地方公共団体より行われる無利子融資制度である。通常のふるさと融資では、融資対象事業において一定の新規雇用を確保することが要件となっているが、加入者系光ファイバ網整備に対するふるさと融資では、この新規雇用要件が緩和されている。

ふるさと融資制度のスキーム ふるさと融資制度のスキーム





(3) 税制支援
 光ファイバケーブル及び光伝送装置等を取得する電気通信事業者及びCATV事業者に対し、法人税における特別償却及び固定資産税における課税標準の軽減措置が講じられている。

税制支援の概要
装  置  名 法  人  税 固 定 資 産 税
加入者系光ファイバケーブル及び光伝送装置 取得価額の10%の特別償却(96年度取得の場合は12%) 取得後5年間、課税標準を4分の3に軽減(CATVにおいては5分の4)
中継系光ファイバケーブル等 取得価額の8%の特別償却(96年度取得の場合は9%) 取得後5年間、課税標準を4分の3に軽減





(4) その他光ファイバ網整備に関連する諸施策
 政府においては、「情報通信整備プログラム(電気通信審議会答申)」を契機として、94年8月、高度情報通信社会推進本部が発足され、以来、関係省庁においても光ファイバ網整備に関する諸施策が推進されている。
 建設省においては、光ファイバを初めとする情報通信の高度化に対応し、公共施設管理用光ファイバ網や電線共同溝の整備等が実施されており、道路、河川、下水道等の公共空間を活用したネットワークを、2010年を目途に約30万km整備することとしている。
 また、光ファイバ網等を利用した公共アプリケーションの開発や地域の情報化の促進を図ること等を目的として、「自治体ネットワーク施設整備事業」(郵政省)、「マルチメディア住宅のモデルプロジェクト」(建設省)、「リーディング・プロジェクト」(自治省)、「田園地域マルチメディアモデル事業」(農林水産省)等の施策が実施されている。 「自治体ネットワーク施設整備事業」は、市役所、学校、病院等の公共施設等を高度な情報通信ネットワークで接続し、公共分野におけるアプリケーションを開発・導入するための施設整備の側面から支援を行うものである。
 「マルチメディア住宅のモデルプロジェクト」は高度情報通信網が整備された21世紀に向けて、在宅勤務、在宅学習、住宅ケア等の新たな住生活イメージを提供するマルチメディア住宅・団地のモデルプロジェクトである。
 「リーディング・プロジェクト」は、特定政策課題に先導的に取り組む地方自治体の単独事業に対し、地方債(地域総合整備事業債)の優先充当等を行うものである。この特定政策課題のひとつとして「地域情報化対策」があり、地域の情報ネットワークの整備に対し財源措置がとられている。
 「田園地域マルチメディアモデル事業」は、農村地域において、CATV施設等を核とした高速、大容量及び双方向の通信を可能とする情報基盤をモデル的に整備するものであり、郵政省「マルチメディアモデル農村展開事業」と連携して実施されるものである。