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FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題
第2章 FTTH実現に向けたネットワークの展望
3 ネットワーク変遷の展望
(1) FTTHに向けたネットワーク方式
(2) ネットワークの変遷
第2章 FTTH実現に向けたネットワークの展望(1) FTTHに向けたネットワーク方式
現在加入者系ネットワークを光化するFTTHのネットワーク形態としては、収容局等と加入者間を1対1で結ぶ「SS方式」が基本となっている。FTTHの形態には、このSS方式の他に、加入者回線を一部共用し能動素子の入る「ADS方式」、加入者回線を一部共用し受動素子の入る「PDS方式(注2)」の2方式が考えられる。また、PDS方式については、通信方式により、「STM−PDS方式」と「ATM−PDS方式」の2方式がある。
(注2) 光ファイバと増幅を行なわない受動的(パッシブ)な素子である光カプラから構成されるネットワークの方式は、「PON(Passive Op−tical Network)」という用語が国際的には用いられている。
こういった広い概念を持つPONの中で、さらに対象を絞った現実的なネットワークの構成方式(基本的には2重のスター方式)のことを、「シングル・スター(SS)」に対して、「パッシブ・ダブル・スター(PDS)」と呼んでいる。
各方式の概要
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・ ADS: Active Double Star ・ PDS: Passive Double Star ・ STM: Synchronous Transfer Mode(同期転送モード) ・ ATM: Asynchronous Transfer Mode(非同期転送モード) ・ SS : Single Star ・ ONU: Optical Network Unit(光端末回線装置) ・ SLT: Subscriber Line Terminal(端末系光端局装置)
ADS方式は、電話、ISDN(144kbps)、低速専用線サービスに対応する方式として採用されており、現在の加入者系ネットワークを光化する際の代表的な方式(CT/RT方式)もこの方式である。センタからハブまでは、光ファイバを用い、ハブから各加入者までは、メタルケーブルを用いる。通信方式は、STM方式である。
STM−PDS方式は、電話、64kbps−数Mbpsの伝送容量のサービス提供に対応する。通信方式はSTM方式で、ピンポン伝送方式が使用される。波長多重により、多チャンネルのCATV伝送も可能である。
ATM−PDS方式は、数Mbps−数10Mbpsの伝送容量のサービスに対応する。通信方式はATM方式で、上り下りにそれぞれ1波長を使用する。
SS方式は、数10Mbps以上の伝送容量のサービスに対応する。Gbpsクラスの超高速サービスにも対応可能である。通信方式は、ATM方式が想定される。現在は、比較的低速のサービスもSS方式で提供されており、コストが高くなっている。
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(2) ネットワークの変遷
今後、2010年に向け、ネットワークの効率的な使用、FTTHが可能とする高速・広帯域サービスへのユーザニーズの増大、そのための料金の低廉化の必要性等を考慮すると、ネットワークの形態は、「STM−PDS方式」、「ATM−PDS方式」、「SS方式」と順次変遷するものと予想される。
STM−PDS方式は、97年に導入され徐々にその利用が本格化する。
また、共用型ONUの使用により、電話や128kbps程度のメタルレベルの低速サービスの提供にも対応する。
これらの方式は、ユーザの伝送速度に対するニーズやシステム構築コストに応じてそれぞれ最適な方式が採用されるものであり、2010年頃には、伝送速度に対するユーザニーズやネットワーク構築コストの低下等に応じ、STM−PDS方式、ATM−PDS方式、SS方式の3方式が併存していると思われる。
ネットワークの変遷
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