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〈資料4〉
ベンチャー企業に対するアンケート調査結果の概要 1.調査の概要
1.1 調査の目的
ベンチャー企業の資金調達や投資の実態、支援制度に対する意識・要望等を探
り、ニュービジネス育成支援のための方策を探る基礎資料を得ることを目的とす
る。
1.2 調査の対象
調査対象企業は以下に示す468社である。
対象企業 企業数 社団法人マルチメディア・タイトル制作者連盟加盟企業 121 テレコムサービス協会に加盟する非上場企業 249 日経ベンチャー1000社調査対象企業のうち情報通信分野の企業 98 合 計 468
1.3 調査の時期
平成8年1月12日〜1月26日
1.4 調査の方法
郵送調査法による。
1.5 調査の項目
調査の項目は以下のとおりである。
・資金調達の状況
・売上げ高の状況
・投資の状況
・知的財産権・技術の所有状況
・ストックオプション制度に対する意識
・知的財産権担保制度に対する意識
・料金・規制に対する意識
・ベンチャー企業が抱える問題点
・ベンチャー支援施策に対する意識
1.6 回収結果
回収結果は以下のとおりである。
発送数 有効回答数 有効回収率 468 155 33.1%
2.調査結果の概要
2.1 調査結果の概要
(1)回答者の属性
今回の回答企業の業種は、コンピュータソフト、マルチメディアコンテンツ、
情報処理といったソフトウェア分野が多い。
1980年以降に設立された企業が全体の約2/3を占めている。
資本金1000万円以上5億円未満の企業が大半を占め、特に1000万円以上
5000万円未満に位置する企業がもっとも多い。
従業員数50人以下の企業が半数以上を占め、10人以下のごく小規模な企業
だけで1/4を占めている。
(2)資金調達手段の状況
資金調達の手段は、一般の民間金融機関からの借入金が中心である、つい
で自己資金、株式の発行の順で多い。政府系金融機関からの借入金は、約1/
4の企業が活用している。
(3)売上高の状況
売上高は、1億円から20億円程度の企業が中心になっている。
増収率については、横這いの企業が多いが、減収になっている企業は2割
程度にとどまり、全般的には増収になっている企業が多い。
(4)投資の状況
研究開発費の割合が5%未満の企業が、回答企業の約7割を占めている。
また、ここ1年の研究開発費の伸び率がほぼ横這い状の企業が多い。
設備投資の割合については、5%未満の企業が5割強を占め、全般的には
研究開発費に比べて設備投資の方が比率が高い。ここ1年間の設備投資の伸
び率は、横這いの企業が多いものの、伸び率がマイナスになっている企業も
ある。
(5)知的財産権・技術の所有状況
特許、実用新案、意匠権については、1件でも持っていると回答した企業は
全体の1割以下である。商標権については3割余りの企業が所有している。独
自の技術・サービスについては、「持っている」と回答した企業が5割弱であ
る。
(6)ストックオプション制度に対する意識
制度の認知度は「よく知っている」、「だいたい知っている」を合わせても
約4割と低い値となっている。
利用意向については約3割の企業が導入したいと答えており、導入の条件と
して手続きの簡易さや導入できる企業に対する制限が緩いことが多く挙げら
れている。
(7)知的財産権担保融資に対する意識
約3割の企業が知的財産権担保融資を「ぜひ利用したい」あるいは「利用し
たい」と答えており、その際の形態として「現存しない将来的な知的財産権を
担保としたもの」が最も多く挙げられている。
一方、その評価方法としては「公的機関による公平・オーソライズされた評
価」「民間の任意団体が専門的に行う評価」が比較的多くなっている。
(8)ニュービジネス実施時の通信料金と規制に対する意識
通信料金が「高い」と答えた企業が88.6%と多く、その理由としては「料金
等にかかる許認可」が最も多く挙げられており、「参入の際の許認可等の規制」
「相互接続に係る規制」も多くなっている。
(9)ニュービジネス振興支援施策に対する意識
a.ニュービジネス実施上の問題点
ニュービジネスを実施していく上での問題点としては、「人材確保がむず
かしい」ことがもっとも多く挙げられており、ついで「資金調達がむずかし
い」、「技術ノウハウの獲得がむずかしい」の順になっている。
b.ニュービジネス振興支援制度の認知度
郵政省が実施しているニュービジネス振興支援制度の中では、企業化段階
における政府系金融機関からベンチャー企業への低利融資制度がもっとも
よく知られているが、認知度は全体の3割あまりにとどまっている。
c.ニュービジネス支援施策に対する要望
ニュービジネス支援施策に対する要望としては、コンピュータ機器等減価
償却期間の短縮や企業化段階における政府系金融機関からの長期低利資金
の供給に対する要望が高く、ついで研究開発に対する助成、ベンチャー企業
に対する軽減税率の適用、規制緩和の順で要望が高い。
2.2 回答者の属性
(1)業種
今回の回答企業の業種は、コンピュータソフト、マルチメディアコンテンツ、
情報処理といったソフトウェア分野が多い。2つ以上の業務を兼業している企
業も多く、情報処理とコンピュータソフトウェア、マルチメディアコンテンツ
とコンピュータソフトウェア分野を兼業しているところが多い。
図2.2-1 企業の業務内容
図2.2-2 事業実施数
図2.2-3 業務内容の組み合わせ
(2)設立年度
1980年以降に設立された企業が全体の約2/3を占めている。
図2.2-4 設立年度
(3)資本金
資本金1000万円以上5億円未満の企業が大半を占め、特に1000万円以上
5000万円未満に位置する企業がもっとも多い。
図2.2-5 資本金
(4)従業員数
従業員数50人以下の企業が半数以上を占め、10人以下のごく小規模な企業だ
けで1/4を占めている。
図2.2-6 従業者数
2.3 資金調達手段の状況
資金調達の手段は、一般の民間金融機関からの借入金が中心である、ついで
自己資金、株式の発行の順で多い。政府系金融機関からの借入金は、約1/4の
企業が活用している。一方、ベンチャーキャピタルから資金を調達している企業
は6社にとどまっている。
図2.3-1 資金調達手段
2.4 売上高の状況
売上高は、1億円から20億円程度の企業が中心になっている。
増収率については、横這いの企業が多いが、減収になっている企業は2割程
度にとどまり、全般的には増収になっている企業が多い。また増収率が100%を
超える高成長企業も15社ある。
図2.4-1 売上高
図2.4-2 増収率
2.5 投資の状況
研究開発費の割合が5%未満の企業が、回答企業の約7割を占めている。また、
回答企業の約半分が、ここ1年の研究開発費の伸び率は5%未満と答え、ほぼ横
這い状況であるが、伸び率がマイナスの企業はほとんどない。
一方、設備投資の割合については、5%未満の企業がもっとも多く、回答企業
の5割強を占めている。全般的には研究開発費に比べて設備投資の方が比率が高
い。ここ1年間の設備投資の伸び率は、横這いの企業が多いものの、伸び率がマ
イナスになっている企業も1割強ある。
図2.5-3 設備投資の割合
図2.5-2 研究開発費の伸び率
図2.5-1 研究開発費の割合
図2.5-4 設備投資の伸び率
2.6 知的所有権・技術の所有状況
特許、実用新案、意匠権については、1件でも持っていると回答した企業は全
体の1割以下である。商標権については3割余りの企業が所有している。独自の
技術・サービスについては、「持っている」と回答した企業が5割弱である。
図2.6-1 特許
図2.6-2 実用新案
図2.6-3 意匠権
図2.6-4 商標権
図2.6-5 独自の技術・サービス
2.7 ストックオプション制度に対する意識
制度の認知度は「よく知っている」、「だいたい知っている」を合わせても約4
割と低い値となっている。
利用意向については約3割の企業が導入したいと答えており、導入の条件として
手続きの簡易さや導入できる企業に対する制限が緩いことが多く挙げられている。
図2.7-1 ストックオプション制度の認知度
図2.7-2 ストックオプション制度の利用意向
図2.7-3 ストックオプション制度に求める条件
2.8 知的財産権担保融資に対する意識
約3割の企業が知的財産権担保融資を「ぜひ利用したい」あるいは「利用したい」
と答えており、その際の形態として「現存しない将来的な知的財産権を担保とした
もの」が最も多く挙げられている。
一方、その評価方法としては「公的機関による公平・オーソライズされた評価」
「民間の任意団体が専門的に行う評価」が比較的多くなっている。
図2.8-1 知的財産権担保融資の利用意向
図2.8-2 利用時の形態
図2.8-3 担保の評価法
2.9 ニュービジネス実施時の通信料金と規制に対する意識
通信料金が「高い」と答えた企業が88.6%と多く、その理由としては「料金等に
かかる許認可」が最も多く挙げられており、「参入の際の許認可等の規制」「相互
接続に係る規制」も多くなっている。
図2.9-1 通信料に対する意識
図2.9-2 規制に対する意識
2.10 ニュービジネス振興支援施策に対する意識
(1)ニュービジネス実施上の問題点
ニュービジネスを実施していく上での問題点としては、「人材確保がむずかし
い」ことがもっとも多く挙げられており、ついで「資金調達がむずかしい」、「技
術ノウハウの獲得がむずかしい」の順になっている。
図2.10-1 ニュービジネス実施上の問題点
(2)ニュービジネス振興支援制度の認知度
図2.10-2 ニュービジネス振興支援施策の認知度
郵政省が実施しているニュービジネス振興支援制度の中では、「企業化段階に
おける政府系金融機関からベンチャー企業への低利融資制度」がもっともよく知
られているが、認知度は全体の3割あまりにとどまっている。また、もっともよ
く知られていないものは「『通信・放送新規事業』に対する通信・放送機構から
の出資制度」で1割あまりの認知度である。
(3)ニュービジネス支援施策に対する要望
「コンピュータ機器等の陳腐化スピードに対応した減価償却期間の短縮」や
「企業化段階における政府系金融機関からの長期低利資金の供給」に対する要望
が高く、半数以上の企業が国が積極的に行うべき施策として挙げている。
ついで「研究開発に対する助成」、「ベンチャー企業に対する軽減税率の適用」、
「規制緩和」の順で要望が高く、4割以上の企業が、国が積極的に行うべき施策
として挙げている。
図2.10-3 ニュービジネス振興支援施策への要望